特許第6705713号(P6705713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大和製罐株式会社の特許一覧 ▶ 大和サービス株式会社の特許一覧 ▶ 金城機工株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6705713-カッティング装置 図000002
  • 特許6705713-カッティング装置 図000003
  • 特許6705713-カッティング装置 図000004
  • 特許6705713-カッティング装置 図000005
  • 特許6705713-カッティング装置 図000006
  • 特許6705713-カッティング装置 図000007
  • 特許6705713-カッティング装置 図000008
  • 特許6705713-カッティング装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6705713
(24)【登録日】2020年5月18日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】カッティング装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/18 20060101AFI20200525BHJP
   B26D 1/60 20060101ALI20200525BHJP
   A21D 13/00 20170101ALN20200525BHJP
【FI】
   B26D7/18 E
   B26D1/60 D
   B26D1/60 N
   !A21D13/00
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-142830(P2016-142830)
(22)【出願日】2016年7月20日
(65)【公開番号】特開2018-12157(P2018-12157A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2019年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208455
【氏名又は名称】大和製罐株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】506111354
【氏名又は名称】大和サービス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592209755
【氏名又は名称】金城機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】川添 晃
(72)【発明者】
【氏名】田中 総一郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 功
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5719472(JP,B1)
【文献】 特開平10−156796(JP,A)
【文献】 特開平03−277497(JP,A)
【文献】 特開平09−224545(JP,A)
【文献】 特開平07−236407(JP,A)
【文献】 特開2001−322088(JP,A)
【文献】 特開2006−88252(JP,A)
【文献】 特開平07−172080(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102039613(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/18
B26D 1/60
A21D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断対象物を搬送するコンベヤと、前記コンベヤと同じ速度で移動させられかつ前記切断対象物に向けて下降されることによって前記切断対象物を切断するカッタとを備えたカッティング装置において、
前記コンベヤによる前記切断対象物の搬送方向で、前記カッタが最も下降させられた位置より前方に、前記カッタに対して斜め上方から空気を吹き付けて前記カッタに付着した異物を吹き飛ばす除去装置が配置され、
前記搬送方向で前記除去装置より前方に、前記コンベヤの表面に付着した異物を前記コンベヤの幅方向で両端側に排出させるように構成されたスクレイパが配置されている
ことを特徴とするカッティング装置。
【請求項2】
前記搬送方向で前記カッタが最も上昇させられた位置に対応する位置に、前記カッタに消毒液を噴射して前記カッタを消毒するノズルが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のカッティング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カッティングの対象物を所定の形状に切断する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例が特許文献1に記載されている。その装置は、二枚の食パンの間に具を挟み込んで作成した元サンドウィッチの姿勢を揃えて切断コンベヤに載せ、元サンドウィッチの搬送方向で左右両側に配置された一対の把持部材によって元サンドウィッチの左右両側を把持するように構成されている。上記の元サンドウィッチは各把持部材によって把持されている状態で、上方から下降してきたカッタによって切断される。そして、切断して得られた商品サンドウィッチは、トングによって掴んで持ち上げられ、収容部材に収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5719472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された装置を繰り返し使用すると、切断に伴って生じる残渣がカッタや切断コンベヤに付着してしまう可能性がある。上記の残渣がカッタや切断コンベヤに付着した状態で、さらに繰り返し使用すると、前記切断くずが商品サンドウィッチに付着して商品性が損なわれたり、不衛生となったりする可能性がある。
【0005】
この発明は、切断に伴って生じる残渣などの異物による影響を排除して切断作業を円滑かつ高効率に行うことのできるカッティング装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は、切断対象物を搬送するコンベヤと、前記コンベヤと同じ速度で移動させられかつ前記切断対象物に向けて下降されることによって前記切断対象物を切断するカッタとを備えたカッティング装置において、前記コンベヤによる前記切断対象物の搬送方向で、前記カッタが最も下降させられた位置より前方に、前記カッタに対して斜め上方から空気を吹き付けて前記カッタに付着した異物を吹き飛ばす除去装置が配置され、前記搬送方向で前記除去装置より前方に、前記コンベヤの表面に付着した異物を前記コンベヤの幅方向で両端側に排出させるように構成されたスクレイパが配置されていることを特徴とするものである。
【0007】
また、この発明は、前記搬送方向で前記カッタが最も上昇させられた位置に対応する位置に、前記カッタに消毒液を噴射して前記カッタを消毒するノズルが配置されていてよい。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、搬送方向でカッタが最も下降した位置より前方に前記カッタに空気を吹き付けて前記カッタに付着した異物を除去する除去装置が配置されている。そのため、先行する切断対象物を切断した後に、前記カッタに付着した異物を除去することができる。また、除去装置によって吹き飛ばした異物が後続の切断対象物に付着することを回避もしくは抑制できる。さらに、搬送方向でカッタより前方に、コンベヤの表面に付着した異物を排除するスクレイパが配置されているため、上記のようにしてカッタから吹き飛ばした異物がコンベヤの表面に残っていたとしても、コンベヤ上の異物をスクレイパによって除去することができる。それらの結果、切断対象物に異物が付着して商品性が損なわれたり、不衛生となったりすることを回避もしくは抑制できる。さらに、繰り返される切断作業を停止することなく異物を除去することができるため、上述した切断作業を円滑に行うことができるとともに切断作業の効率を向上できる。
【0009】
また、この発明によれば、カッタに消毒液を吹き付けて消毒することができるので、衛生的な装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明におけるカッタの構成の一例を示す側面図である。
図2図1に示すII−II線に沿う矢視図である。
図3】この発明におけるノズルの配置を説明するための側面図である。
図4図3に示すIV−IV線に沿う矢視図である。
図5】この発明におけるスクレイパの構成の一例を示す上視図である。
図6】この発明におけるスクレイパの構成の一例を示す側面図である。
図7】この発明に係るカッティング装置の構成の一例を示す図である。
図8】この発明における切断コンベヤの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明に係るカッティング装置は、切断に伴って生じた残渣などの異物を、カッタから吹き飛ばして除去する除去装置を備えている。また、カッタから吹き飛ばした異物を連続的に搬送されてくる後続の切断対象物に付着させないため、前記除去装置はコンベヤによる切断対象物の搬送方向でカッタより前方に配置される。さらに、吹き飛ばされてコンベヤ上に落下した異物を除去するため、前記搬送方向で除去装置より前方にスクレイパが設けられる。先ず、カッティング装置の構成の一例について説明し、次いで、カッタやスクレイパの取り付け位置について説明する。なお、以下に説明する例は、正方形状の切断対象物を、その対角線方向に沿って切断して三角形状の切断物を得る例である。
【0012】
図7は、この発明に係るカッティング装置の構成の一例を示す図である。この発明に係るカッティング装置に隣接して搬入コンベヤ1が設けられている。その搬入コンベヤ1はカッティング装置に向けて切断対象物2を搬送するものであり、ここに示す例ではベルトコンベヤによって構成されている。図7に矢印で示す方向が搬入コンベヤ1によって切断対象物2が搬送される方向である。搬入コンベヤ1の終端部近くに積み上げ機構3が設けられている。その積み上げ機構3は、ここに示す例では、図示しない多関節型ロボットによって構成されている。また、搬入コンベヤ1に載せられている切断対象物2の向きや姿勢を判別するカメラ4が搬入コンベヤ1の上方に配置されている。このカメラ4によって得られた画像データを図示しないコントローラによって解析し、その解析結果を制御指令信号として上記の多関節ロボットに伝送し、多関節ロボットが切断対象物2の位置および姿勢に応じて動作するように構成されている。
【0013】
積み上げ機構3は、複数の切断対象物2の姿勢を揃えて積み上げるためのものであり、多関節型ロボットのアーム部に取り付けられたすくい上げ機構を備えている。なお、多関節型ロボットやすくい上げ装置は、図を簡単にするため、図7に記載していない。このすくい上げ機構は、従来知られている機構であってよく、搬入コンベヤ1上に平置きされている切断対象物2の一つをすくい上げるように構成されている。そして、積み上げ機構3は、そのすくい上げた切断対象物2を搬入コンベヤ1上の他の切断対象物2の上に姿勢を揃えて載せ、こうして積み上げた複数の切断対象物2を搬入コンベヤ1上からすくい上げて次の切断工程に送るように構成されている。
【0014】
搬入コンベヤ1に続けて、この発明におけるコンベヤに相当する切断コンベヤ5が配置されている。この切断コンベヤ5は、搬送方向で更に前方に切断対象物2を搬送し、その搬送過程で切断対象物2の切断を行うためのものである。切断コンベヤ5は搬入コンベヤ1と同様にベルトコンベヤによって構成されている。
【0015】
図8は、切断コンベヤ5の一部を示す断面図である。その切断コンベヤ5は、その幅方向での中央部に、全周に亘ってスリット6が形成されていて、そのスリット6に切断対象物2に向けて下降してきたカッタの刃先が挿入されるようになっている。カッタによる切断コンベヤ5の損傷を避けるためである。カッタの構成については後述する。上記の切断コンベヤ5は、図示しないモータによって回転させられるプーリ7に巻き掛けられており、そのプーリ7の幅方向での中央部に、プーリ7の全周に亘って溝部8が形成されている。この溝部8に前記スリット6を一致させるようにプーリ7に切断コンベヤ5が巻き掛けられる。
【0016】
上記の積み上げ機構3を構成している多関節型ロボットは、切断対象物2の一つの角部2Aが切断コンベヤ5の走行方向で前方を向き、かつその角部2Aを通る対角線が前記走行方向と平行になるように、具体的には上記のスリット6に一致するように、切断対象物2を切断コンベヤ5に載せる。このような切断対象物2のハンドリングは、前記多関節型ロボットのティーチングを行うことにより可能である。
【0017】
切断対象物2を切断するに当たって、切断コンベヤ5上での切断対象物2の位置および姿勢を規制するコーナ押え機構9が図7に矢印で示す搬送方向で積み上げ機構3より前方側に配置されている。コーナ押え機構9は、2つの把持部材10,11を備えている。一方の把持部材10は、前記搬送方向で切断コンベヤ5の右側に配置され、他方の把持部材11は、前記搬送方向で切断コンベヤの左側に配置されている。それらの把持部材10,11は、前述したように一つの角部2Aを搬送方向で前方に向け、かつその角部2Aを通る対角線を搬送方向と平行にして切断コンベヤ5に載せられている切断対象物2の他の二つの角部2B,2Bのそれぞれを押さえるように構成されている。左右それぞれの把持部材10,11は、当該他の二つの角部2B,2Bにおける二辺に添わされる当て板10A,10B,11A,11Bを備え、これらの当て板10A,10B,11A,11Bは、上述した角部2B,2Bの角度に合わせて、開き角度が直角になるよう配置されている。各把持部材10,11は、切断対象物2に対して接近・離隔させられ、さらに切断コンベヤ5と同速度で移動させられ、かつ元の位置に戻されるように構成されている。また、一方の当て板10A,11Bは、カッタによる切断対象物2の切断が終了した際に、切断して得られた切断物から離れる方向に退避させられるように構成されている。
【0018】
切断コンベヤ5の幅方向および長さ方向での中央部であって、その上方にカッタ12が配置されている。図1は、カッタ12の構成の一例を示す側面図である。このカッタ12は、把持部材10,11によって位置および姿勢が決められてかつ切断コンベヤ5によって搬送されている切断対象物2を切断するためのものである。ここに示す例では、切断対象物2を前述した対角線に沿って直線状に切断するように平板状の1枚の切断刃(ブレード)13によって構成されている。ここに示す例では、ブレード13を超音波振動させる超音波カッタが採用されている。また図7に、カッタ12および後述するようにカッタ12を動作させる各機構が配置される位置を点線で囲った領域として記載してある。
【0019】
ブレード13は、図示しない超音波振動させる機構を含めて昇降台14に取り付けられている。この昇降台14は上下方向に向けて配置された昇降シリンダ15におけるピストンなどの可動部に取り付けられ、昇降シリンダ15によって上下動するように構成されている。また、昇降シリンダ15は、切断コンベヤ5の上方であって切断コンベヤ5の幅方向に向けて配置されたスライダ16に下向きに取り付けられている。このスライダ16の一方の端部は、切断コンベヤ5の走行方向と平行に配置されたリニヤガイド17に連結されている。スライダ16の他方の端部は切断コンベヤ5の走行方向と平行な方向に前後動作する前後動シリンダ18に連結されている。それらのリニヤガイド17および前後動シリンダ18などはカッティング装置のフレーム部材19に取り付けられている。
【0020】
すなわち、スライダ16およびこれに取り付けられている昇降シリンダ15ならびにブレード13は、図示しないコントローラからの制御指令信号に基づいて切断コンベヤ5の走行方向に前後動するように構成されている。また、ブレード13は切断コンベヤ5の走行方向に前後動シリンダ18によって前進動作させられている間に、昇降シリンダ15によって下降動作させられて切断対象物2を切断するように構成されている。具体的には、ブレード13の刃先が図1での左上方から右下方に向かって切断コンベヤ5に接近するように平行移動することにより切断対象物2が切断される。上下方向で最も下降させられた位置が、後述する終点EPである。この終点EPでブレード13の下降が停止される。その後、ブレード13は上下方向の動作を停止させられた状態で前進させられ、その後に、上昇させられる。ついで、後進させられ、更に上昇させられる。このようにして元の位置に戻される。上記のようにブレード13が動作する場合におけるブレード13の長さ方向での刃先の中央部13Aの移動軌跡を図1に矢印で記載してある。
【0021】
カッタ12による切断対象物2の切断が終了する位置つまり終点EPより前方側、もしくは、ほぼ同じ位置に、図1に示すように、エアーノズル20が設けられている。ここで、エアーノズル20の配置について説明すると、図2は、図1に示すII−II線に沿う矢視図であり、この図2に示すように、ブレード13を挟んでその両側にエアーノズル20がそれぞれ設けられている。各エアーノズル20はカッティング装置のフレーム部材19に予め定めた角度で取り付けられている。すなわち、ブレード13の刃先に対して斜め上方から空気を吹き付けるように構成されている。各エアーノズル20は例えば図示しないエアーコンプレッサに接続されており、ブレード13に対して連続的もしくは間欠的に圧縮空気を吹き付けるように構成されている。なお、エアーコンプレッサは、図示しないコントローラからの指令信号に基づいて動作するように構成されている。それらエアーノズル20やエアーコンプレッサがこの発明における除去装置に相当している。また、ブレード13に空気を吹き付けてブレード13に付着した異物を除去できればよいので、エアーコンプレッサに替えてブロワであってもよい。
【0022】
なお、図1に示す例において、スライダ16によって切断コンベヤ5の走行方向で最も後方側にブレード13が後進させられ、かつ昇降シリンダ15によって上下方向で最も上側にブレード13が上昇させられた位置が、切断動作の始点SPあるいはブレード13の待機位置となっている。これに対して、上述したようにスライダ16によって切断コンベヤ5の走行方向で前方側にブレード13が前進させられ、かつ昇降シリンダ15によって上下方向で最も下側にブレード13が下降させられた位置が、切断動作の終点EPとなっている。切断コンベヤ5の走行方向と平行な方向でのエアーノズル20の中央部20Aが、前記走行方向で終点EPより前方側、もしくは、ほぼ同じ位置となるようにカッティング装置のフレーム部材19にエアーノズル20が取り付けられている。
【0023】
なお、詳細は図示しないが、前記終点EPもしくはその終点EPより幾分前方側に、切断対象物2を切断して得られた2つの切断物2C,2Cのそれぞれを切断コンベヤ5から持ち上げて次工程に向けて搬送するピックアップ機構が設けられている。そのピックアップ機構は、例えば多関節型ロボットのアーム部に取り付けられたトングを備え、そのトングによって切断コンベヤ5上の各切断物2C,2Cを掴んで持ち上げ、次工程に向けて搬送するように構成されている。また、その搬送の過程で、切断物2C,2Cの向きつまり姿勢を変更できるように構成されている。なお、そのトングは上述した一方の当て板10A,11Bが退避した後、それらの当て板10A,11Bがあった位置から切断物2C,2Cに向けて差し込まれる。
【0024】
また、図3に示すように、カッタ12の始点SPに対応する位置に、ブレード13に消毒液を噴射させるノズル21が設けられている。ここで、ノズル21の配置について説明すると、図4は、図3に示すIV−IV線に沿う矢視図であり、この図4に示すように、ブレード13を挟んでその両側にノズル21がそれぞれ設けられている。各ノズル21はカッティング装置のフレーム部材19に予め定めた角度で取り付けられている。すなわち、ブレード13の刃先に対して斜め上方から消毒液を吹き付けるように構成されている。ここに示す例では、ノズル21の噴射口がブレード13と平行な方向に対して45°、ブレード13側を向くようにフレーム部材19に取り付けられている。なお、各ノズル21はブレード13に対して予め定められたスケジュールに基づいて、消毒液を吹き付けるように構成されている。例えば、カッティング装置を始動させたり、停止させたりする場合や、切断対象物2の種類を変更する場合など、ブレード13の下方に切断対象物2が配置されていない場合が好ましい。切断対象物2に対する消毒液の混入を防止するためである。なお、ノズル21は、図示しないコントローラからの指令信号に基づいて動作するように構成されている。消毒液としてはエタノールなどのアルコール系消毒液や過酸化水素水などが好ましい。
【0025】
切断コンベヤ5の終端部近くにスクレイパ22が設けられている。図5は、スクレイパ22の構成の一例を示す上視図であり、図6は、スクレイパ22の構成の一例を示す側面図である。そのスクレイパ22は、開き角度が直角になるよう構成された2つのプレート部材23,24を備えており、第1プレート部材23は第2プレート部材24より切断コンベヤ5の走行方向で後方側すなわちコーナ押え機構9側に配置され、その上下方向での下端部が切断コンベヤ5の表面に軽く接触させられている。また、上記のスリット6に第1プレート部材23の角部23Aが一致するように、切断コンベヤ5上に配置される。第1プレート部材23の両端部23B,23Bは、切断コンベヤ5の幅方向で切断コンベヤ5の両端部より外側まで延びている。その第1プレート部材23の内面に上下方向で第1プレート部材23の上側に僅かにずれて第2プレート部材24が接続されている。この第2プレート部材24の内面とカッティング装置のフレーム部材19とが連結部材25を介して接続されている。すなわち、カッティング装置にスクレイパ22が固定されており、切断コンベヤ5が図7に矢印で示す方向に走行すると、切断コンベヤ5の表面に付着した異物がスクレイパ22によって除去される。その異物は、第1プレート部材23の外面に沿って移動して第1プレート部材23の両端部23B,23B側からカッティング装置の外側に排出される。なお、第1プレート部材23の下端部と切断コンベヤ5の表面との間に隙間があけられていてもよい。要は、切断コンベヤ5上の異物を除去できるようにスクレイパ22が設けられていればよい。
【0026】
次に、上述した構成のカッティング装置の作用について説明する。カッティング装置のパワースイッチをオンにし、ノズル21からブレード13に消毒液を噴射させる。こうすることにより、ブレード13を消毒し、切断対象物2の搬入に対して備える。搬入コンベヤ1上の切断対象物2は、積み上げ機構3のすくい上げ装置によってすくい上げられ、搬入コンベヤ1から切断コンベヤ5に載せ替えられる。その場合、切断対象物2は所定の一つの角部2Aが切断コンベヤ5による搬送方向で前方を向き、かつその角部2Aを通る対角線が切断コンベヤ5の中心線とほぼ一致させられる。すなわち切断コンベヤ5に斜め置きされる。
【0027】
切断コンベヤ5に載せられた切断対象物2は、把持部材10,11により軽く把持され、その位置および向き(姿勢)が決められ、その状態で移動する。カッタ12の下方に切断対象物2が搬送されてくると、カッタ12の前後動シリンダ18や昇降シリンダ15が動作を開始する。この場合に、ブレード13は上述した始点SPに配置されている。そして、ブレード13が切断コンベヤ5の走行方向で前方に前進しつつ切断対象物2に向かって下降させられる。つまり、ブレード13の中央部13Aが始点SPから終了EPに向かって、図1に矢印で示すように、斜めに移動する。こうすることにより切断対象物2が切断される。なお、切断して得られた2つの切断物2C,2Cは、図示しないピックアップ機構のトングによって掴み持ち上げられて次工程に搬送される。
【0028】
終点EPにおいては、ブレード13は上下方向で最も下側に位置するが、切断コンベヤ5にはスリット6が形成されているため、前記ブレード13の刃先はスリット6に挿入され、その刃先と切断コンベヤ5とは接触しない。終点EPに到達したブレード13は上下方向の動作が停止させられた状態で前進させられる。その後、前進しつつ上昇させられる。次いで、後進しつつ更に上昇させられ、前記始点SPに戻される。
【0029】
このようにブレード13が前進しつつ上昇させられている間、および、後進しつつ上昇させられている間に、主として、エアーノズル20からブレード13に空気が吹き付けられる。その空気によって前記切断に伴って生じた残渣などの異物が、ブレード13から吹き飛ばされる。上記のエアーノズル20は、ブレード13に対して斜め上方から下方に向かって空気を吹き付けるため、ブレード13から吹き飛ばされた異物はエアーノズル20の下方に落下する。そのため、後続の切断対象物2に異物が付着しにくい。また上記の異物の一部は切断コンベヤ5に落下する。その異物は切断コンベヤ5に載ったまま移動し、切断コンベヤ5の終端部近くに取り付けられたスクレイパ22によって除去される。そして、スクレイパ22の形状に沿って移動させられてカッティング装置の外側に排出される。
【0030】
したがって、この発明に係るカッティング装置によれば、切断対象物2の切断に伴って残渣などの異物が生じたとしても、その異物がカッタ12や切断コンベヤ5に付着して後続の切断対象物2に付着する不都合を抑制できる。そのため、商品性を損なうことがない。また、エアーノズル20やスクレイパ22によって異物を除去する場合に、カッティング装置を停止することがないので、上述した切断作業を円滑に行うことができるとともに、作業の効率を向上させることができる。さらに、切断作業を開始する時点や終了する時点などに、ブレード13に消毒液を吹き付けて消毒することができるので、衛生的な装置とすることができる。
【符号の説明】
【0031】
2…切断対象物、 5…切断コンベヤ(コンベヤ)、 12…カッタ、 EP…終点(カッタが最も下降した位置)、 20…エアーノズル(除去装置)、 22…スクレイパ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8