(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の変速動作において前記変速比を小さくする場合、前記第2の変速動作は、前記第1の変速動作の後に実行され、変速比が小さくなるように変更する全ての前記変速動作を含む、請求項2または3に記載の自転車用制御装置。
前記第1の変速動作において前記変速比を大きくする場合、前記第2の変速動作は、前記第1の変速動作の後に実行され、変速比が大きくなるように変更する全ての前記変速動作を含む、請求項2または3に記載の自転車用制御装置。
前記制御部は、前記変速機が前記第1の変速動作を実行し、予め定める期間内に、前記第1の変速動作が完了しない、または、前記変速比が変化しなければ、前記変速機が前記第2の変速動作を実行する場合に、前記変速機が前記第1の変速動作を実行するときよりも、前記モータの出力の前記制限値の減少および前記モータの出力を低下させる時間の増加の少なくとも一方を行う、請求項2〜7のいずれか一項に記載の自転車用制御装置。
前記制御部は、前記変速機が前記第1の変速動作を実行し、前記予め定める期間内に、前記第1の変速動作が完了しない回数、または、前記変速比が変化しなかった回数が第1の回数に到達すると、前記変速機が前記第2の変速動作を実行する場合に、前記変速機が前記第1の変速動作を実行する場合よりも、前記モータの出力の前記制限値の減少および前記モータの出力を低下させる時間の増加の少なくとも一方を行う、請求項8または9に記載の自転車用制御装置。
前記制御部は、前記変速機が前記第1の変速動作を実行し、前記予め定める期間内に、前記第1の変速動作が完了、または、前記変速比が変化すると、前記変速機が前記第2の変速動作を実行する場合に、前記変速機が前記第1の変速動作を実行する場合よりも、前記モータの出力の前記制限値の増加および前記モータの出力を低下させる時間の減少の少なくとも一方を行う、請求項8〜10のいずれか一項に記載の自転車用制御装置。
前記制御部は、前記変速機が前記第1の変速動作を実行し、予め定める期間内に、前記第1の変速動作が完了、または、前記変速比が変化すると、前記変速機が前記第2の変速動作を実行する場合に、前記変速機が前記第1の変速動作を実行する場合よりも、前記モータの出力の前記制限値の増加および前記モータの出力を低下させる時間の減少の少なくとも一方を行う、請求項2または3に記載の自転車用制御装置。
前記制御部は、前記変速機が前記第1の変速動作を実行し、前記予め定める期間内に、前記第1の変速動作が完了した回数、または、前記変速比が変化した回数が第2の回数に到達すると、前記変速機が前記第2の変速動作を実行する場合に、前記変速機が前記第1の変速動作を実行する場合よりも、前記モータの出力の前記制限値の増加および前記モータの出力を低下させる時間の減少の少なくとも一方を行う、請求項11〜13のいずれか一項に記載の自転車用制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、変速機が動作する場合におけるモータの出力を適切に低下させることのできる自転車用制御装置および自転車の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う自転車用制御装置の一形態は、自転車の推進をアシストするモータを制御する制御部を含み、前記制御部は、前記自転車の変速比を変更する変速機が変速動作を実行する場合、前記モータの出力を制限値以下に低下させ、前記変速動作における前記変速機の動作状態、および、前記変速機が前記変速動作を実行することによって変化する前記自転車のパラメータの少なくとも一方に応じて、前記変速機が前記変速動作を実行する場合における前記モータの出力の前記制限値および前記モータの出力を低下させる時間の少なくとも一方を変更可能である、自転車用制御装置。
上記第1側面に従えば、変速機の動作状態、および、変速機が変速動作を実行することによって変化する自転車のパラメータに関わらず一律の制御を行う場合と比較して、変速機が動作する場合におけるモータの出力を適切に低下させることができる。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の自転車用制御装置において、前記変速動作は、第1の変速動作と、前記第1の変速動作の後に実行される第2の変速動作とを含み、前記制御部は、前記第1の変速動作における前記変速機の動作状態、および、前記変速機が前記第1の変速動作を実行することによって変化する前記自転車のパラメータの少なくとも一方に応じて、前記第2の変速動作を実行する場合における前記モータの出力の前記制限値および前記モータの出力を低下させる時間の少なくとも一方を、前記第1の変速動作を実行する場合における前記モータの出力の前記制限値および前記モータの出力を低下させる時間の少なくとも一方と異ならせる。
上記第2側面に従えば、第1の変速動作の結果によって、第1の変速動作の後に実行される第2の変速動作においてモータの出力を適切に低下させることができる。
【0007】
前記第2側面に従う第3側面の自転車用制御装置において、前記第1の変速動作において前記変速比を小さくする場合、前記第2の変速動作は、前記第1の変速動作の後に実行され、変速比が小さくなるように変更する全ての前記変速動作を含む。
上記第3側面に従えば、第1の変速動作の結果によって、第1の変速動作の後に、変速比を小さくするために実行される全ての第2の変速動作において、モータの出力を適切に低下させることができる。
【0008】
前記第2側面に従う第4側面の自転車用制御装置において、前記第1の変速動作において前記変速比を大きくする場合、前記第2の変速動作は、前記第1の変速動作の後に実行され、変速比が大きくなるように変更する全ての前記変速動作を含む。
上記第4側面に従えば、第1の変速動作の結果によって、第1の変速動作の後に、変速比を大きくするために実行される全ての第2の変速動作において、モータの出力を適切に低下させることができる。
【0009】
前記第2側面に従う第5側面の自転車用制御装置において、前記第2の変速動作は、前記第1の変速動作の後に実行される全ての前記変速動作を含む。
上記第5側面に従えば、第1の変速動作の結果によって、第1の変速動作の後に実行される全ての第2の変速動作においてモータの出力を適切に低下させることができる。
【0010】
前記第2側面に従う第6側面の自転車用制御装置において、前記第1の変速動作において、前記変速機が前記変速比を第1の変速比から第2の変速比に変更する場合、前記第2の変速動作は、前記第1の変速動作の後に実行され、前記変速機が前記変速比を前記第1の変速比から前記第2の変速比に変更する全ての前記変速動作を含む。
上記第6側面に従えば、第1の変速比から第2の変速比に変更する場合の第1の変速動作の結果によって、第1の変速動作の後に実行され、第1の変速比から第2の変速比に変更する第2の変速動作において、モータの出力を適切に低下させることができる。
【0011】
前記第2〜第6側面のいずれか一つに従う第7側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記変速機が前記第1の変速動作を実行し、予め定める期間内に、前記第1の変速動作が完了しない、または、前記変速比が変化しなければ、前記変速機が前記第2の変速動作を実行する場合に、前記変速機が前記第1の変速動作を実行するときよりも、前記モータの出力の前記制限値の減少および前記モータの出力を低下させる時間の増加の少なくとも一方を行う。
上記第7側面に従えば、予め定める期間内に、第1の変速動作が完了しない、または、変速比が変化しなければ、第1の変速動作の後に実行される第2の変速動作においてモータの出力の制限値
の減少、および
または、モータの出力を低下させる時
間が増加する。このため、第2の変速動作において、変速が失敗するおそれが低減される。
【0012】
前記第7側面に従う第8側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記変速機が前記第1の変速動作を実行し、前記モータの出力を所定値まで低下させていない状態で、前記予め定める期間内に、前記第1の変速動作が完了しない、または、前記変速比が変化しなければ、前記変速機が前記第2の変速動作を実行する場合に、前記変速機が前記第1の変速動作を実行する場合よりも、前記モータの出力の前記制限値を減少させ、前記変速機が前記第1の変速動作を実行し、前記モータの出力を所定値まで低下させた状態で、前記予め定める期間内に、前記第1の変速動作が完了しない、または、前記変速比が変化しなければ、前記変速機が前記第2の変速動作を実行する場合に、前記変速機が前記第1の変速動作を実行する場合よりも、前記モータの出力を低下させる時間を増加させる。
上記第8側面に従えば、変速機が変速動作を完了することが難しい場合に、まずはモータの出力が所定値まで低下し、次にモータの出力を低下させる時間が増加する。このため、モータによる人力駆動力のアシストが行われない期間が長くなることを抑制できる。
【0013】
前記第7または第8側面に従う第9側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記変速機が前記第1の変速動作を実行し、前記予め定める期間内に、前記第1の変速動作が完了しない回数、または、前記変速比が変化しなかった回数が第1の回数に到達すると、前記変速機が前記第2の変速動作を実行する場合に、前記変速機が前記第1の変速動作を実行する場合よりも、前記モータの出力の前記制限値の減少および前記モータの出力を低下させる時間の増加の少なくとも一方を行う。
上記第9側面に従えば、予め定める期間内に、第1の変速動作が完了しない
こと、または、変速比が変化しなかったことを誤検出した場合に、第2の変速動作を実行する場合におけるモータの出力の制限値およびモータの出力を低下させる時間の少なくとも一方を変更することが抑制される。
【0014】
前記第2側面に従う第10側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記変速機が前記第1の変速動作を実行し、予め定める期間内に、前記第1の変速動作が完了、または、前記変速比が変化すると、前記変速機が前記第2の変速動作を実行する場合に、前記変速機が前記第1の変速動作を実行する場合よりも、前記モータの出力の前記制限値の増加および前記モータの出力を低下させる時間の減少の少なくとも一方を行う。
上記第10側面に従えば、予め定める期間内に、第1の変速動作が完了し、または、変速比が変化すれば、第1の変速動作の後に実行される第2の変速動作においてモータの出力の制限値の増加および前記モータの出力を低下させる時間の減少の少なくとも一方が行われる。このため、第2の変速動作において、アシスト力が不足したり、途切れたりする期間をできるだけ短くすることができる。
【0015】
前記第7〜第9側面のいずれか一つに従う第11側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記変速機が前記第1の変速動作を実行し、前記予め定める期間内に、前記第1の変速動作が完了、または、前記変速比が変化すると、前記変速機が前記第2の変速動作を実行する場合に、前記変速機が前記第1の変速動作を実行する場合よりも、前記モータの出力の前記制限値の増加および前記モータの出力を低下させる時間の減少の少なくとも一方を行う。
上記第11側面に従えば、予め定める期間内に、第1の変速動作が完了し、または、変速比が変化すれば、第1の変速動作の後に実行される第2の変速動作においてモータの出力の制限値の増加およびモータの出力を低下させる時間の減少の少なくとも一方が行われる。このため、第2の変速動作において、アシスト力が不足したり、途切れたりする期間をできるだけ短くすることができる。
【0016】
前記第10または第11側面に従う第12側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記変速機が前記第1の変速動作を実行し、前記モータの出力を低下させている時間が所定値よりも長い状態で、前記予め定める期間内に、前記第1の変速動作が完了した、または、前記変速比が変化した場合、
前記変速機が前記第2の変速動作を実行する場合に、前記変速機が前記第1の変速動作を実行する場合よりも、前記モータの出力を低下させている時間を減少させ、前記変速機が前記第1の変速動作を実行するとき、前記モータの出力を低下させている時間が所定値以下の状態で、前記予め定める期間内に、前記第1の変速動作が完了した、または、前記変速比が変化した場合、前記変速機が前記第2の変速動作を実行する場合に、前記変速機が前記第1の変速動作を実行する場合よりも、前記モータの出力の前記制限値を増加させる。
上記第12側面に従えば、変速しやすい場合に、まずはモータの出力を低下させる時間が所定値まで短くなり、次にモータの出力の制限値が増加する。このため、モータによる人力駆動力のアシストが行われない期間が長くなることを抑制できる。
【0017】
前記第10〜第12側面のいずれか一つに従う第13側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記変速機が前記第1の変速動作を実行し、前記予め定める期間内に、前記第1の変速動作が完了した回数、または、前記変速比が変化した回数が第2の回数に到達すると、前記変速機が前記第2の変速動作を実行する場合に、前記変速機が前記第1の変速動作を実行する場合よりも、前記モータの出力の前記制限値の増加および前記モータの出力を低下させる時間の減少の少なくとも一方を行う。
上記第13側面に従えば、予め定める期間内に、第1の変速動作が完了した
こと、または、変速比が変化したことを誤検出した場合に、第2の変速動作を実行する場合におけるモータの出力の制限値およびモータの出力を低下させる時間の少なくとも一方を変更することが抑制される。
【0018】
前記第11〜第13側面のいずれか一つに従う第14側面の自転車用制御装置において、前記自転車のパラメータは、前記自転車のクランクの回転速度を含む。
上記第14側面に従えば、自転車のクランクの回転速度によって変速比が変化したか否かを適切に判定することができる。
【0019】
本発明の第15側面に従う自転車用制御装置の一形態は、自転車の推進をアシストするモータを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記自転車の変速比を変更する変速機が変速動作を実行する場合、前記モータの出力を低下させ、予め定める期間が経過するよりも前に、前記変速動作が完了または前記変速比が変化した場合は、前記予め定める期間が経過するよりも前に、前記モータの出力を低下させる制御を終了し、前記予め定める期間が経過しても、前記変速動作または前記変速比の変更が完了しない場合には、前記モータの出力を低下させる制御を終了する。
上記第15側面に従えば、常に予め定める期間が経過したときにモータの出力を低下させる場合と比較して、変速機が動作する場合におけるモータの出力を適切に低下させることができる。
【0020】
前記第15側面に従う第16側面の自転車用制御装置において、前記予め定める期間は、変速すべき前記変速比に応じて個別に設定されている。
上記第16側面に従えば、変速比に応じた時間でモータの出力を低下させることができる。
【0021】
前記第7〜第16側面のいずれか一つに従う第17側
面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記自転車のクランクの回転速度に基づいて、前記変速比が変化したか否かを判定する。
上記第17側面に従えば、自転車のクランクの回転速度によって変速比が変化したか否かを適切に判定することができる。
【0022】
前記第17側面に従う第18側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記自転車のクランクに入力される人力駆動力が所定の値以上のときにのみ、前記自転車のクランクの回転速度に基づく判定に応じた制御を実行する。
上記第18側面に従えば、変速比を正確に判定しやすい場合にのみ自転車のクランクの回転速度に基づく判定に応じた制御が実行できる。
【0023】
前記第1〜第18側面のいずれか一つに従う第19側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記変速機に前記変速動作を実行させる電動アクチュエータを制御する。
上記第1
9側面に従えば、電動アクチュエータを制御することによって変速機を動作させることができる。
【0024】
前記第19側面に従う第20側面の自転車用制御装置において、前記制御部は、前記自転車のクランクの回転角度が所定の範囲にあるときに前記変速機を動作させ、前記所定の範囲は、前記自転車のクランクの上死点または下死点を含む。
上記第20側面に従えば、人力駆動力の小さいクランクの上死点または下死点を含む範囲で変速機を動作させることができる。
【0025】
本発明の第21側面に従う自転車の制御方法の一形態は、自転車の推進をアシストするモータを制御する自転車の制御方法であって、前記自転車の変速比を変更する変速機が変速動作を実行する場合、前記モータの出力を制限値以下に低下させ、前記変速動作の後における前記変速機の動作状態、および、前記変速機が前記変速動作を実行することによって変化する前記自転車のパラメータの少なくとも一方に応じて、前記変速機が前記変速動作を実行する場合における前記モータの出力の前記制限値および前記モータの出力を低下させる時間の少なくとも一方を変更する。
上記第21側面に従えば、変速機の動作状態、および、変速機が変速動作を実行することによって変化する自転車のパラメータに関わらず一律の制御を行う場合と比較して、変速機が動作する場合におけるモータの出力を適切に低下させることができる。
【0026】
本発明の第22側面に従う自転車の制御方法の一形態は、自転車の推進をアシストするモータを制御する自転車の制御方法であって、前記自転車の変速比を変更する変速機が変速動作を実行する場合、前記モータの出力を低下させ、予め定める期間が経過するよりも前に、前記変速動作が完了または前記変速比が変化した場合は、前記予め定める期間が経過するよりも前に、前記モータの出力を低下させる制御を終了し、前記予め定める期間が経過しても、前記変速動作または前記変速比の変更が完了しない場合には、前記モータの出力を低下させる制御を終了する。
上記第22側面に従えば、常に予め定める期間が経過したときにモータの出力を低下させる場合と比較して、変速機が動作する場合におけるモータの出力を適切に低下させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本自転車用制御装置および自転車の制御方法によれば、変速機が動作する場合においてモータの出力を適切に低下させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1実施形態)
図1を参照して、第1の実施形態の自転車用制御装置および自転車用制御システムを搭載する自転車について説明する。
自転車10は、駆動機構12および自転車用制御システム20を備える。
駆動機構12は、クランク12Aおよびペダル12Dを含む。クランク12Aは、クランク軸12Bおよびクランクアーム12Cを含む。駆動機構12は、ペダル12Dに加えられた人力駆動力を後輪(図示略)に伝達する。駆動機構12は、例えば、チェーン、ベルト、またはシャフト(いずれも図示略)を介して、クランク12Aの回転を後輪に伝達するように構成される。駆動機構12は、クランク軸12Bにワンウェイクラッチ(図示略)を介して結合されるフロント回転体12Eを含む。ワンウェイクラッチは、クランク12Aが前転した場合に、フロント回転体12Eを前転させ、クランク12Aが後転した場合に、フロント回転体12Eを後転させないように構成される。フロント回転体12Eは、スプロケット、プーリーまたはベベルギア(いずれも図示略)を含む。フロント回転体12Eは、クランク軸12Bにワンウェイクラッチを介さずに結合してもよい。
【0030】
自転車用制御システム20は、自転車用制御装置50と、変速機22と、モータ24とを含む。一例では、自転車用制御システム20は、操作部26、電動アクチュエータ28、モータ24の駆動回路30、バッテリ32、トルクセンサ34、および、クランク回転センサ36、車速センサ38、および、変速状態検出装置40をさらに含む。
【0031】
変速機22および電動アクチュエータ28は、変速装置Sを構成する。変速機22は、自転車10の変速比rを変更する。電動アクチュエータ28は、変速機22に変速動作を実行させる。変速機22は、自転車10の変速比rを段階的に変更可能である。一例では、変速機22は、クランク軸12Bに入力された回転を変速して後輪に伝達する。この場合、変速機22は、内装変速機を含む。内装変速機は、クランク軸12Bまわり、または、後輪の車軸のハブに設けられる。内装変速機は、クランク12Aとフロント回転体12Eとの間の動力伝達経路に設けられてもよい。別の例では、変速機22は、複数のフロントスプロケットまたは複数のリアスプロケットの間でチェーンを掛け替えることによって、クランク軸12Bに入力された回転を変速させて後輪に伝達させる。この場合、変速機22は、外装変速機(ディレイラ)を含む。外装変速機は、複数のフロントスプロケット(図示略)間でチェーンを掛け替えるフロント外装変速機、および、複数のリアスプロケット(図示略)間でチェーンを掛け替えるリア外装変速機の少なくとも一方を含む。電動アクチュエータ28は、電動モータを含む。変速機22は、電動アクチュエータ28が駆動されることにより、変速動作を行って自転車10の変速比rを段階的に変更する。変速機22が内装変速機である場合、変速動作は変速機22の内部の遊星歯車機構を構成する歯車の連結状態を変更する動作を含む。変速機22が外装変速機である場合、変速動作はスプロケット間におけるチェーンの掛け替えの動作を含む。内装変速機は、CVT(Continuously Variable Transmission)機構を含んでいてもよい。一例では、CVT機構は、入力体、出力体、および、伝達体を含む遊星機構によって構成され、伝達体が回転させられることによって変速比rが連続的に変更される。変速装置Sは、変速機22および電動アクチュエータ28以外の構成を含んでいてもよい。
【0032】
モータ24および駆動回路30は、アシスト装置Aを構成する。駆動回路30は、バッテリ32からモータ24に供給される電力を制御する。モータ24は、自転車10の推進をアシストする。モータ24は、電気モータを含む。モータ24は、ペダル12Dから後輪までの人力駆動力の伝達経路、または、前輪(図示略)に回転を伝達するように設けられる。モータ24は、自転車10のフレーム(図示略)、後輪、または前輪に設けられる。一例では、モータ24は、クランク軸12Bからフロント回転体12Eまでの動力伝達経路に結合される。モータ24とクランク軸12Bとの間の動力伝達経路には、クランク軸12Bを自転車10が前進する方向に回転させた場合にクランクの回転力によってモータ24が回転しないようにワンウェイクラッチ(図示略)が設けられるのが好ましい。アシスト装置Aは、モータ24および駆動回路30以外の構成を含んでいてもよく、例えばモータ24の回転を減速して出力する減速機を含んでいてもよい。
【0033】
操作部26は、ライダーが操作可能である。操作部26は、自転車10のハンドルバー(図示略)に取り付けられる。操作部26は、自転車用制御装置50の制御部52と通信可能である。操作部26は、制御部52と有線または無線によって通信可能に接続されている。操作部26は、例えばPLC(Power Line Communication)によって制御部52と通信可能である。ライダーによって操作部26が操作されることによって、操作部26は、制御部52に出力信号を送信する。出力信号は、変速ステージを変更するための信号を含む。出力信号は、自転車10の変速比rを大きくするシフトアップ信号、または、自転車10の変速比rを小さくするシフトダウン信号を含む。操作部26は、たとえば操作部材と、操作部材の動きを検出するセンサと、センサの出力信号に応じて、制御部52と通信を行う電気回路とを含む(いずれも図示略)。
【0034】
バッテリ32は、1または複数のバッテリセルを含む。バッテリセルは、充電池を含む。バッテリ32は、自転車10に搭載され、バッテリ32と有線で電気的に接続されている他の電気部品(例えば、モータ24、電動アクチュエータ28、および、自転車用制御装置50)に電力を供給する。
【0035】
トルクセンサ34は、人力駆動力TAに応じた信号を出力する。トルクセンサ34は、クランク軸12Bに与えられる人力駆動力TAを検出する。トルクセンサ34は、クランク軸12Bからフロント回転体12Eまでの間に設けられてもよく、クランク軸12Bまたはフロント回転体12Eに設けられてもよく、クランクアーム12Cまたはペダル12Dに設けられてもよい。トルクセンサ34は、例えば、歪センサ、磁歪センサ、光学センサ、および、圧力センサなどを用いて実現することができ、クランクアーム12Cまたはペダル12Dに加えられる人力駆動力TAに応じた信号を出力するセンサであれば、いずれのセンサを採用することもできる。
【0036】
クランク回転センサ36は、クランクの回転角度CAを検出する。クランク回転センサ36は、自転車10のフレーム(図示略)またはアシスト装置Aのハウジング(図示略)に取り付けられる。クランク回転センサ36は、第1の磁石M1の磁界を検出する第1の素子36Aと、第2の磁石M2との位置関係に応じた信号を出力する第2の素子36Bとを含む。第1の磁石M1は、クランク軸12Bまたはクランクアーム12Cに設けられ、クランク軸12Bに同軸に配置される。第1の磁石M1は、環状の磁石であって、周方向に複数の磁極が交互に並んで配置されている。第1の素子36Aは、フレームに対するクランク12Aの回転角度を検出する。第1の素子36Aは、クランク12Aが1回転するとき、360度を同極の磁極の数で割った角度を1周期とした信号を出力する。クランク回転センサ36が検出可能なクランク12Aの回転角度の最小値は、180度以下であり、好ましくは15度であり、さらに好ましくは、6度である。第2の磁石M2は、クランク軸12Bまたはクランクアーム12Cに設けられる。第2の素子36Bは、フレームに対するクランク12Aの基準角度(例えば、クランク12Aの上死点または下死点)を検出する。第2の素子36Bは、クランク軸12Bの1回転を1周期とした信号を出力する。
【0037】
クランク回転センサ36は、第1の素子36Aおよび第2の素子36Bに代えて、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成されてもよい。この場合、第1の磁石M1および第2の磁石M2に代えて、その周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石を、クランク軸12Bと同軸にクランク軸12Bに設ける。磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを用いることによって、1つのセンサで、クランクの回転速度Nおよびクランク12Aの回転角度を検出することができ、構成および組立を簡略化することができる。クランク回転センサ36は、クランクの回転角度CAに加えて、クランクの回転速度Nを検出することもできる。クランクの回転速度Nは、第1の素子36Aの出力、第2の素子36Bの出力、および、磁気センサの出力のいずれを用いて検出してもよい。
【0038】
車速センサ38は、車輪の回転速度Vを検出する。車速センサ38は、有線または無線によって制御部52と電気的に接続されている。車速センサ38は、フレームのチェーンステイ(図示略)に取り付けられる。車速センサ38は、後輪に取り付けられる磁石(図示略)と車速センサ38との相対位置の変化に応じた信号を制御部52に出力する。車速センサ38は、リードスイッチを構成する磁性体リード、または、ホール素子を含むことが好ましい。
【0039】
変速状態検出装置40は、変速機22の動作状態を検出する。一例では、変速状態検出装置40は、変速比rの変更にともなって移動する変速機22の移動部(図示略)の位置、または電動アクチュエータ28の動作部(図示略)の位置を検出する。電動アクチュエータ28は、減速機を含んで構成されていてもよく、変速状態検出装置40が検出する動作部は減速機の一部に含まれていてもよい。
【0040】
自転車用制御装置50は、制御部52を含む。一例では、自転車用制御装置50は、記憶部54をさらに含むことが好ましい。
制御部52は、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部52は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御部52は、さらにタイマを含む。記憶部54には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部54は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。
【0041】
制御部52は、電動アクチュエータ28を制御する。制御部52は、クランク12Aの回転角度CAが所定の範囲にあるときに変速機22を動作させる。所定の範囲は、クランク12Aの上死点または下死点を含む。変速動作は、第1の変速動作と、第1の変速動作の後に実行される第2の変速動作とを含む。第2の変速動作は、第1の変速動作の後に実行される全ての変速動作を含む。所定の範囲は、クランク12Aの上死点を含む場合、上死点の+45度から上死点の−45度までの角度範囲に選ばれることが好ましく、上死点から+20度から上死点の−20度までの角度範囲に選ばれることがさらに好ましい。所定の範囲は、クランク12Aの下死点を含む場合、下死点から+45度から下死点の−45度までの角度範囲に選ばれることが好ましく、下死点から+20度から下死点の−20度までの角度範囲に選ばれることがさらに好ましい。
【0042】
制御部52は、モータ24を制御する。制御部52は、人力駆動力TAに応じてモータ出力TMを制御する。制御部52は、変速機22が変速動作を実行する場合、モータ出力TMを低下させる。制御部52は、変速機22が変速動作を実行する場合、モータ出力TMを制限値DTM以下に低下させる。制御部52は、1または複数回の変速動作(第1の変速動作)の結果に応じて、次回以降の変速動作(第2の変速動作)に関する制御内容を変更するか否かを決定する。変更される制御内容は、変速動作を実行する場合におけるモータ出力TMの制限値DTMおよびモータ出力TMを低下させる第1の時間SAの少なくとも一方を含む。記憶部54には、変速動作を実行する場合におけるモータ出力TMの制限値DTMに関する情報と、第1の時間SAに関する情報とが記憶されている。記憶部54には、さらにモータ出力TMの基準値TMAに関する情報が記憶されている。記憶部54は、自転車用制御装置50の出荷時および設定の初期化時等には、制限値DTMを基準値TMAとして記憶し、第1の時間SAとして予め定める時間を記憶している。この状態で制御部52が変速動作を実行する場合には、制御部52は、予め定める時間の間、モータ出力TMが基準値TMAとなるようにモータ24を制御する。基準値TMAは、人力駆動力TAに応じて設定されていてもよい。例えば、人力駆動力TAが、駆動力TA1未満の場合には基準値TMAを第1の基準値TMA1とし、駆動力TA1以上の場合には基準値TMAを第2の基準値TMA2とする。第1の基準値TMA1は、第2の基準値TMA2よりも小さい。
【0043】
制御部52は、変速動作における変速機22の動作状態、および、変速機22が変速動作を実行することによって変化する自転車10のパラメータの少なくとも一方に応じて、制限値DTMおよび第1の時間SAの少なくとも一方を変更可能である。制御部52は、第1の変速動作における変速機22の動作状態、および、変速機22が変速動作を実行することによって変化する自転車10のパラメータの少なくとも一方に応じて、第2の変速動作を実行する場合における制限値DTMおよび第1の時間SAの少なくとも一方を、第1の変速動作を実行する場合における制限値DTMおよび第1の時間SAの少なくとも一方と異ならせる。自転車10のパラメータは、クランクの回転速度Nを含む。制御部52は、変速状態検出装置40の出力に基づいて検出された変速機22の動作状態、および、クランクの回転速度Nと、各変速ステージに対応する変速比r(基準変速比Tr)の情報とに基づいて演算されるクランクの推定回転速度NAとの少なくとも一方に応じて、変速比rの変更が適切に行われたかまたは適切に行われなかったかを判定する。記憶部54には、各変速ステージに対応する変速機22の状態に関する情報と、各変速ステージに対応する変速比r(基準変速比Tr)に関する情報との少なくとも一方が記憶される。制御部52は、変速状態検出装置40の出力に基づいて検出された変速機22の動作状態が、目標の変速ステージに対応する変速機22の動作状態と一致したとき、変速動作が完了したと判定可能である。制御部52は、クランクの回転速度Nが、ステップS23で取得された変速前のクランクの回転速度Nと目標の変速ステージに対応する変速比rとから演算される推定のクランクの回転速度Nと一致したとき、変速動作が完了し、変速比rが変更されたと判定可能である。制御部52は、変速比rの変更が適切に実行されたか否かの判定結果に基づいて、制限値DTMおよび第1の時間SAの少なくとも一方を変更可能である。
【0044】
制御部52は、変速機22が第1の変速動作を実行し、予め定める期間SX内に、第1の変速動作が完了しない、または、変速比rが変化しなければ、変速機22が第2の変速動作を実行する場合に、変速機22が第1の変速動作を実行するときよりも、制限値DTMの減少および第1の時間SAの増加の少なくとも一方を行う。一例では、予め定める期間SXは、第1の変速動作が開始された時刻またはモータ出力TMの制限が開始された時刻から、クランク12Aが所定の角度まで回転した時刻までの期間であってもよい。所定の角度は、180度以下に選ばれ、たとえば90度以下に選ばれる。所定の角度は、20度以上に選ばれ、好ましくは30度以上に選ばれる。
【0045】
制御部52は、変速機22が第1の変速動作を実行し、モータ出力TMを所定値TMXまで低下させていない状態で、予め定める期間SX内に、第1の変速動作が完了しない、または、変速比rが変化しなければ、変速機22が第2の変速動作を実行する場合に、変速機22が第1の変速動作を実行する場合よりも、制限値DTMを減少させる。変速機22が第1の変速動作を実行し、モータ出力TMを所定値TMXまで低下させた状態で、予め定める期間SX内に、第1の変速動作が完了しない、または、変速比rが変化しなければ、変速機22が第2の変速動作を実行する場合に、変速機22が第1の変速動作を実行する場合よりも、第1の時間SAを増加させる。制御部52は、第1の変速動作を実行して、予め定める期間SX内に、第1の変速動作が完了しない、または、変速比rが変化しなければ、モータ出力TMが所定値TMXに低下するまでは、制限値DTMを段階的に低下させる。制御部52は、モータ出力TMが所定値TMXに低下するまで制限値DTMが低下されると、始めて第1の時間SAを増加させる。所定値TMXは、例えば「0」が選ばれる。
【0046】
制御部52は、変速機22が第1の変速動作を実行し、予め定める期間SX内に、第1の変速動作が完了しない、または、変速比rが変化しなかった回数が第1の回数に到達すると、変速機22が第2の変速動作を実行する場合に、変速機22が第1の変速動作を実行する場合よりも、制限値DTMの減少および第1の時間SAの増加の少なくとも一方を行う。
【0047】
制御部52は、変速機22が第1の変速動作を実行し、予め定める期間SX内に、第1の変速動作が完了、または、変速比rが変化すると、変速機22が第2の変速動作を実行する場合に、変速機22が第1の変速動作を実行する場合よりも、制限値DTMの増加および第1の時間SAの減少の少なくとも一方を行う。
【0048】
制御部52は、変速機22が第1の変速動作を実行し、第1の時間SAが所定値SYよりも長い状態で、予め定める期間SX内に、第1の変速動作が完了、または、変速比rが変化した場合、第2の変速動作を実行する場合に、変速機22が第1の変速動作を実行する場合よりも、第1の時間SAを減少させる。制御部52は、変速機22が第1の変速動作を実行するとき、第1の時間SAが所定値SY以下の状態で、予め定める期間SX内に、第1の変速動作が完了、または、変速比rが変化した場合、変速機22が第2の変速動作を実行する場合に、変速機22が第1の変速動作を実行する場合よりも、制限値DTMを増加させる。制御部52は、第1の変速動作を実行して予め定める期間SX内に、第1の変速動作が完了、または、変速比rが変化すると、第1の時間SAが所定値SYよりも長い状態の場合には第1の時間SAを段階的に減少させる。制御部52は、第1の時間SAが所定値SYに達すると、始めてモータ出力TMの制限値DTMを増加させる。
【0049】
制御部52は、変速機22が第1の変速動作を実行し、予め定める期間SX内に、第1の変速動作が完了、または、変速比rが変化した回数が第2の回数に到達すると、変速機22が第2の変速動作を実行する場合に、変速機22が第1の変速動作を実行する場合よりも、制限値DTMの増加および第1の時間SAの減少の少なくとも一方を行う。
【0050】
制御部52は、クランク12Aに入力される人力駆動力TAが所定の値TAX以上のときにのみ、クランクの回転速度Nに基づく判定に応じた制御を実行する。変速状態検出装置40の出力によって変速動作の完了のみを判定する場合には、人力駆動力TAが所定の値TAX未満の場合であっても、第2の変速を実行する場合のモータ出力TMおよび第1の時間SAの少なくとも一方を変更してもよい。
【0051】
制御部52は、操作部26からの出力信号を変速要求として受け取る。制御部52は、変速機22とモータ24とを、変速要求に応じて制御する。記憶部54には、変速要求に応じて変更される目標の変速ステージに関する情報が記憶されている。制御部52は、目標の変速ステージに関する情報が更新されると、更新された情報に対応する変速ステージとなるように変速機22を制御する。具体的には、制御部52は、シフトアップ信号を含む出力信号を変速要求として受信した場合、記憶部54に記憶される目標の変速ステージに関する情報を、変速比rが現在よりも大きくなる変速ステージに対応する情報に変更する第1の処理を実行する。制御部52は、シフトダウン信号を含む出力信号を変速要求として受信した場合、記憶部54に記憶される目標の変速ステージに関する情報を、変速比rが現在よりも小さくなる変速ステージに対応する情報に変更する第1の処理を実行する。制御部52は、第1の処理によって更新された目標の変速ステージに関する情報に応じて、変速機22およびモータ24を制御する第2の処理を実行する。
【0052】
図2を参照して、第1の処理について説明する。制御部52は、自転車用制御装置50の電源がオンになっている間、所定周期ごとに第1の処理を実行する。
制御部52は、ステップS11において、変速要求を受け取った否かを判定する。制御部52は、変速要求を受け取った場合、ステップS12において記憶部54に記憶されている目標の変速ステージに関する情報を更新し、所定周期後に再びステップS11の処理を実行する。制御部52は、ステップS11において変速要求を受け取っていない場合、所定周期後に再びステップS11の処理を実行する。
【0053】
図3を参照して、第2の処理について説明する。制御部52は、自転車用制御装置50の電源がオンになっている間、所定周期ごとに第2の処理を実行する。
制御部52は、ステップS21において現在の変速ステージを検出し、ステップS22に移行する。現在の変速ステージは、変速状態検出装置40によって検出されてもよく、クランクの回転速度Nおよび車輪の回転速度Vに基づいて演算される変速比rから検出されてもよい。制御部52は、ステップS22において目標の変速ステージと現在の変速ステージとが一致しているか否かを判定する。具体的には、制御部52は、
図2に示す第1の処理において更新された目標の変速ステージと、変速状態検出装置40によって検出される変速機22の動作状態に対応する変速ステージとを比較する。制御部52は、目標の変速ステージと現在の変速ステージとが一致している場合、処理を終了する。制御部52は、目標の変速ステージと現在の変速ステージとが異なっている場合、ステップS23に移行する。
【0054】
制御部52は、ステップS23において、現在のクランクの回転速度Nを取得して、ステップS24に移行する。制御部52は、ステップS24において、クランクの回転角度CAが第1の角度CA1に達したか否かを判定する。第1の角度CA1は、所定の範囲のうち、クランク12Aの正回転方向の上流側の端に対応する。制御部52は、第1の角度CA1に達するまでステップS24の判定を繰り返す。制御部52は、ステップS24において第1の角度CA1に達したと判定した場合、ステップS25においてモータ出力TMの制限を開始し、ステップS26に移行する。制御部52は、ステップS2
5において、モータ出力TMが、記憶部54に記憶されている制限値DTMとなるようにモータ24を制御する。制御部52は、ステップS26において記憶部54に記憶されている目標の変速ステージまで変速比rが変更されるように変速機22の変速動作を開始する。
【0055】
次に、制御部52は、ステップS27において第1の時間SAが経過したか否かを判定する。具体的には、制御部52は、ステップS27においてモータ出力TMの制限を開始してからの時間が第1の時間SA以上になったか否かを判定する。制御部
52は、第1の時間SAが経過するまでステップS27の判定を繰り返す。制御部52は、第1の時間SAが経過したと判定した場合、ステップS28においてモータ出力TMの制限を終了し、ステップS29においてモータ出力TMの制限値DTMおよび第1の時間SAに関する学習処理のサブルーチンを実行し、本処理を終了する。
【0056】
図4および
図5を参照して、学習処理について説明する。
図4に示されるとおり、制御部52は、ステップS31においてクランク12Aの推定回転速度NAを演算し、ステップS32に移行する。推定回転速度NAは、ステップS23で取得したクランクの回転速度Nに、ステップS12で更新された目標の変速ステージに対応する変速比rを乗算することによって演算される。制御部52は、ステップS32において、人力駆動力TAが所定の値TAX以上か否かを判定する。
【0057】
制御部52は、人力駆動力TAが所定の値TA
X未満の場合、ステップS33においてクランク12Aの回転量DCが所定の量DCA以上か否か、および第2の時間SBが経過したか否かを判定する。例えば
図3のステップS28においてモータ出力TMの制限を終了してからの時間が第2の時間SB以上になったとき、第2の時間SBが経過したと判定する。第2の時間SBは、例えば、自転車10が所定の車速で走行している場合にクランク12Aの回転量DCが所定の量DCA以上になるまでに十分な時間と対応する。制御部52は、クランク12Aの回転量DCが所定の量DCA未満のとき、再びステップS32の判定処理を実行する。制御部52は、クランク12Aの回転量DCが所定の量DCA以上の場合は、本処理を終了する。クランク12Aの回転量DCは、例えば
図3のステップS28においてモータ出力TMの制限を終了してからのクランクの回転角度CAの変化量である。ライダーがクランクの回転速度Nを意図的に低下させたり、ペダリングを停止したりすると、人力駆動力TAが所定の値TA
X未満となりやすい。人力駆動力TAが所定の値TA
X未満、かつ、クランク12Aの回転量DCが所定の量DCA以上の場合は、変速動作の実行後にクランク12Aが十分に回転しているにも関わらず人力駆動力TAが十分に上昇していないため、変速が適切に行われたか否かの判定が正確に行えないとして処理を終了する。また人力駆動力TAが所定の値TA
X未満、かつ、クランク12Aの回転量DCが所定の量DCA未満で、第2の時間SBが経過している場合にも、変速が適切に行われたか否かの判定が正確に行えないとして処理を終了する。ライダーがクランクの回転速度Nを意図的に低下させると、車輪の回転速度Vがクランク12Aの回転速度Nに変速比rを乗算した以上の値となりやすいため、変速が適切に行われたか否かの判定が困難となる。
【0058】
制御部52は、ステップS32において人力駆動力TAが所定の値TAX以上と判定した場合、ステップS34においてステップS31で演算した推定回転速度NAとクランクの回転速度Nとを比較し、推定回転速度NAとクランクの回転速度Nとが一致する場合には、変速が適切に行われたと判定できるので、ステップS35に移行する。ステップS34において、変速状態検出装置40によって検出された変速機22の状態が、目標の変速ステージと対応する状態であったときに、変速が適切に行われたとして、ステップS35に移行するようにしてもよい。制御部52は、ステップS35において、変速が適切に行われたことを示す成功判定情報を記憶部54に記憶し、ステップS36に移行する。
【0059】
制御部52は、ステップS36において、記憶部54に記憶されている成功判定情報から、変速が適切に行われた回数が第2の回数以上か否かを判定する。本実施形態は、変速が適切に行われた回数を、適切変速回数と記載する。制御部52は、適切変速回数が第2の回数未満の場合、処理を終了する。制御部52は、適切変速回数が第2の回数以上の場合、ステップS37において第1の時間SAが所定値SY以下か否かを判定する。制御部52は、第1の時間SAが所定値SY以下の場合には、ステップS38に移行する。
【0060】
制御部52は、ステップS38において、モータ出力TMの制限値DTMを演算する。具体的には、制御部52は、現在の制限値DTMに、予め定められている値を加算する。次に、制御部52は、ステップS39において制限値DTMのリミット処理を実行する。具体的には、制御部52は、ステップS38において演算された制限値DTMが所定値DTX1以上の場合、制限値DTMを所定値DTX1に制限する。制限値DTMを、所定値DTX1以下に制限することによって、モータ出力TMが大きい状態で変速してしまうことを抑制することができる。次に、制御部52は、ステップS40において、ステップS38で演算された制限値DTM、または、ステップS39においてリミット処理された場合には所定値DTX1を新たな制限値DTMに更新し、適切変速回数を初期化して処理を終了する。
【0061】
制御部52は、ステップS37において、第1の時間SAが所定値SYより長いと判定した場合、ステップS41に移行し、第1の時間SAを演算する。具体的には、制御部52は、現在の第1の時間SAから予め定められている値を減算する。次に、制御部52は、ステップS42において第1の時間SAのリミット処理を実行する。具体的には、制御部52は、ステップS41において演算された第1の時間SAが所定値SY以下の場合、第1の時間SAを所定値SYに制限する。次に、制御部52は、ステップS43においてステップS41で演算された第1の時間SA、または、ステップS42においてリミット処理された場合には所定値SYを新たな第1の時間SAに更新し、適切変速回数に関する情報を初期化して処理を終了する。
【0062】
制御部52は、ステップS34において推定回転速度NAとクランクの回転速度Nとが一致していない場合には、
図5のステップS44に移行し、ステップS4
4においてクランク12Aの回転量DCが所定の量DCA以上か否かを判定する。制御部52は、クランク12Aの回転量DCが所定の量DCA未満のとき、再び
図4のステップS32の判定処理を実行する。制御部52は、クランク12Aの回転量DCが所定の量DCA以上の場合は、ステップS45に移行する。
【0063】
制御部52は、ステップS34において推定回転速度NAとクランクの回転速度Nとが一致せず、ステップS44においてクランク12Aの回転量DCが所定の量DCA以上と判定した場合は、変速が適切に行われていないと判定できるので、ステップS45に移行する。ステップS34において、変速状態検出装置40によって検出された変速機22の状態が、目標の変速ステージと対応しない状態であったときに、変速が適切に行われていないとしてステップS45に移行するようにしてもよい。制御部52は、ステップS45において、変速が適切に行われていないことを示す失敗判定情報を記憶部54に記憶し、ステップS46に移行する。
【0064】
制御部52は、ステップS46において、記憶部54に記憶されている失敗判定情報から、変速が適切に行われていない回数が第1の回数以上か否かを判定する。本実施形態は、変速が適切に行われていない回数を、不適切変速回数と記載する。制御部52は、不適切変速回数が第1の回数未満の場合、処理を終了する。制御部52は、不適切変速回数が第1の回数以上の場合、ステップS47において制限値DTMが所定値DTX2以下か否かを判定する。制御部52は、制限値DTMが所定値DTX2以下の場合には、ステップS48に移行する。所定値DTX2は、例えば「0」に選ばれる。
【0065】
制御部52は、ステップS48において第1の時間SAを演算する。具体的には、制御部52は、現在の第1の時間SAに予め定められている値を加算する。次に、制御部52は、ステップS49において第1の時間SAのリミット処理を実行する。具体的には、制御部52は、ステップS48において演算された第1の時間SAが上限値SC以上の場合、第1の時間SAを上限値SCに制限する。次に、制御部52は、ステップS50においてステップS48で演算された第1の時間SA、または、ステップS49においてリミット処理された場合には上限値SCを新たな第1の時間SAに更新し、不適切変速回数に関する情報を初期化して処理を終了する。
【0066】
制御部52は、ステップS47において、制限値DTMが所定値DTX2より大きいと判定した場合、ステップS51において、モータ出力TMの制限値DTMを演算する。具体的には、制御部52は、現在の制限値DTMから予め定められている値を減算する。次に、制御部52は、ステップS52において制限値DTMのリミット処理を実行する。具体的には、制御部52は、ステップS51において演算された制限値DTMが所定値DTX2以下の場合、制限値DTMを所定値DTX
2に限定する。制限値DTMが「0」に設定される場合、第1の時間SAにおいてモータ出力TMは「0」となる。次に、ステップS53において制御部52は、ステップS51で演算された制限値DTM、または、ステップS53においてリミット処理された場合には所定値DTX2を新たな制限値DTMとして更新し、不適切変速回数に関する情報を初期化して処理を終了する。
【0067】
(第2実施形態)
図1および
図6を参照して、第2実施形態の自転車用制御装置50について説明する。第2実施形態において第1実施形態と共通する部分については、第1実施形態と同一の符号を付す。第2実施形態では、第1実施形態と第2の処理の内容が異なるのみであり、第1の処理および構成は同様であるので、同様の部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0068】
制御部52は、変速機22が変速動作を実行する場合、モータ24の出力を低下させ、予め定める期間SZが経過するよりも前に、変速動作が完了または変速比rが変化した場合は、予め定める期間SZが経過するよりも前に、モータ24の出力を低下させる制御を終了する。制御部52は、予め定める期間SZが経過しても、変速動作または変速比rの変更が完了しない場合には、モータ24の出力を低下させる制御を終了する。予め定める期間SZは、変速すべき変速比に応じて個別に設定されている。予め定める期間SZは、記憶部54に記憶されている。予め定める期間SZは、タイマを用いて測定されるものであってもよく、クランクの回転角度CAに基づいて測定されるものであってもよい。
【0069】
図6を参照して、第2の処理について説明する。制御部52は、自転車用制御装置50の電源がオンになっている間、所定周期ごとに第2の処理を実行する。
制御部52は、ステップS21において現在の変速ステージを検出し、ステップS22に移行する。制御部52は、ステップS22において目標の変速ステージと現在の変速ステージとが一致しているか否かを判定する。制御部52は、目標の変速ステージと現在の変速ステージとが一致している場合、処理を終了する。制御部52は、目標の変速ステージと現在の変速ステージとが異なっている場合、ステップS23に移行する。
【0070】
制御部52は、ステップS23において、現在のクランクの回転速度Nを取得して、ステップS24に移行する。制御部52は、ステップS24において、クランクの回転角度CAが第1の角度CA1に達したか否かを判定する。制御部52は、第1の角度CA1に達するまでステップS24の判定を繰り返す。制御部52は、ステップS24において第1の角度CA1に達したと判定した場合、ステップS25においてモータ出力TMの制限を開始し、ステップS26に移行する。制御部52は、ステップS26において、モータ出力TMが、記憶部54に記憶されている制限値DTMとなるようにモータ24を制御する。制御部52は、ステップS26においてステップS23において設定した目標の変速ステージまで変速比rが変更されるように変速機22の変速動作を開始する。
【0071】
次に、制御部52は、ステップS61に移行し、適切な変速が行われたか否かを判定する。制御部52は、変速状態検出装置40の出力に基づいて検出された変速機22の動作状態が、目標の変速ステージに対応する変速機22の動作状態と一致したとき、適切な変速が行われたと判定可能である。制御部52は、クランクの回転速度Nが、ステップS23で取得された変速前のクランクの回転速度Nと目標の変速ステージに対応する変速比rとから演算される推定のクランクの回転速度Nと一致したとき、適切な変速が行われたと判定可能である。制御部52は、適切な変速が行われていないと判定した場合は、ステップS62に進み、予め定める期間SZが経過したか否かを判定する。制御部52は、例えば、ステップS26によって変速機22の変速動作を開始した時刻からの経過時間が予め定める期間SZ以上の場合、予め定める期間SZが経過したと判定する。制御部52は、予め定める期間SZが経過していない場合、再びステップS61の判定を実行する。制御部52は、ステップS62において、予め定める期間SZが経過したと判定した場合は、ステップS63において変速動作を終了し、ステップS28においてモータ出力TMの制限を終了する。この場合、変速が完了していない状態で予め定める期間SZが経過した場合、変速動作が中断される。予め定める期間SZは、第1の変速動作が開始された時刻またはモータ出力TMの制限が開始された時刻から、クランク12Aが所定の角度まで回転した時刻までの期間であってもよい。所定の角度は、180度以下に選ばれ、たとえば90度以下に選ばれる。所定の角度は、20度以上に選ばれ、好ましくは30度以上に選ばれる。
【0072】
制御部52は、ステップS61において、適切な変速が行われたと判定した場合は、ステップS28においてモータ出力TMの制限を終了する。この場合、予め定める期間SZよりも前に、モータ出力TMの制限が終了する。
【0073】
(変形例)
上記各実施形態に関する説明は、本発明に従う自転車用制御装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う自転車用制御装置は、例えば以下に示される上記各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、各実施形態の形態と共通する部分については、各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0074】
・第1変形例の自転車用制御装置50は、第1実施形態の
図4および
図5に示す学習処理から、ステップS44〜S53に示す各ステップを省略してもよい。この場合、制御部52は、ステップS34で否定判定の場合には、処理を終了する。
【0075】
・第2変形例の自転車用制御装置50は、第1実施形態の
図4および
図5に示す学習処理から、ステップS35〜ステップS43の各ステップを省略してもよい。この場合、制御部52は、ステップS34で肯定判定の場合には、処理を終了する。
【0076】
・第3変形例の自転車用制御装置50は、各実施形態および各変形例のステップS34およびステップS61において、記憶部54に記憶される目標の変速ステージに対応する変速比rと、現在のクランクの回転速度Nに対する車輪の回転速度Vの比率とが一致したとき、制御部52は、変速が適切に行われたと判定して次のステップに移行可能である。制御部52は、変速比rの変更が適切に行われたか否かの判定結果に基づいて制限値DTMおよび第1の時間SAの少なくとも一方を変更可能である。この場合、第1の実施形態およびステップS31を含む各変形例において、ステップS31は省略してもよい。
【0077】
・第4変形例の自転車用制御装置50は、各実施形態および各変形例において、目標の変速ステージに関する情報を、目標の変速比rに関する情報に置き換えてもよい。制御部52は、ステップS21において現在の変速比rを検出し、ステップS22に移行する。現在の変速比rは、クランクの回転速度Nおよび車輪の回転速度Vに基づいて演算される。制御部52は、ステップS22において目標の変速比rと現在の変速比rとが一致しているか否かを判定する。具体的には、制御部52は、
図2に示す第1の処理において更新された目標の変速ステージと対応する変速比rに関する情報と、クランクの回転速度Nに対する車輪の回転速度Vの比率によって演算される変速比rとを比較する。制御部52は、ステップS22において目標の変速比rと現在の変速比rとが一致している場合、処理を終了する。制御部52は、ステップS22において目標の変速比rと現在の変速比rとが異なっている場合、ステップS23に移行する。制御部52は、ステップS26においてステップS23において設定した目標の変速比rまで変速比rが変更されるように変速機22の変速動作を開始する。
【0078】
・第5変形例の自転車用制御装置50は、第1実施形態および第1〜第4変形例の第1の変速動作において変速比rを小さくする場合、第2の変速動作は、第1の変速動作の後に実行され、変速比rが小さくなるように変更する全ての変速動作を含むようにしてもよい。また、第1の変速動作において変速比rを大きくする場合、第2の変速動作は、第1の変速動作の後に実行され、変速比rが大きくなるように変更する全ての変速動作を含むようにしてもよい。この場合、変速比rを大きくする場合に変速が適切に行われた回数、変速比rを大きくする場合に変速が適切に行われなかった回数、変速比rを大きくする場合の第1の時間SA、および、変速比rを大きくする場合の制限値DTMと、変速比rを小さくする場合に変速が適切に行われた回数、変速比rを小さくする場合に変速が適切に行われなかった回数、変速比rを小さくする場合の第1の時間SA、および、変速比rを小さくする場合の制限値DTMとは区別されて記憶部54に記憶される。
【0079】
・第6変形例の自転車用制御装置50は、第1実施形態および第1〜第4変形例の第1の変速動作において、変速機22が変速比rを第1の変速比r1から第2の変速比r2に変更する場合、第2の変速動作は、第1の変速動作の後に実行され、変速機22が変速比rを第1の変速比r1から第2の変速比r2に変更する全ての変速動作を含む。この場合、変速比rを変更する場合に変速が適切に行われた回数、変速比rを変更する場合に変速が適切に行われなかった回数、第1の時間SA、および、制限値DTMは、変更前の変速比rと変更後の変速比rとの組み合わせごとに区別されて記憶部54に記憶される。
【0080】
・第7変形例の自転車用制御装置50は、第1実施形態の学習処理および第2変形例を含まない各変形例の学習処理において、ステップS35およびステップS36の各処理を省略してもよい。この場合、制御部52は、
図4のステップS34で肯定判定した場合には、ステップS37に移る。この場合、1回の変速が適切に行われたと判定されることによって、次回以降の変速動作における制限値DTMおよび第1の時間SAの少なくとも一方が変更される。
【0081】
・第1実施形態の学習処理および第1変形例を含まない各変形例の学習処理において、ステップS45およびステップS46の各処理を省略してもよい。この場合、制御部52は、
図5のステップS46で肯定判定した場合には、ステップS47に移る。この場合、1回の変速が適切に行われなかったと判定されることによって、次回以降の変速動作における制限値DTMおよび第1の時間SAの少なくとも一方が変更される。
【0082】
・第1実施形態の学習処理および第2変形例を含まない各変形例の学習処理において、
図4のステップS37、および、S41〜S43を省略して、第1の時間SAを変更しない構成とすることもできる。この場合、制御部52は、ステップS36で肯定判定した場合、ステップS38に移る。第1実施形態の学習処理および第2変形例を含まない各変形例の学習処理において、ステップS37〜S40を省略して、制限値DTMを変更しない構成とすることもできる。この場合、制御部52は、ステップS36で肯定判定した場合、ステップS41に移る。
【0083】
・第1実施形態の学習処理および第1変形例を含まない各変形例の学習処理において、
図5のステップS47、および、S51〜S53を省略して、制限値DTMを変更しない構成とすることもできる。この場合、制御部52は、ステップS46で肯定判定した場合、ステップS48に移る。第1実施形態の学習処理および第1変形例を含まない各変形例の学習処理において、ステップS47〜S50を省略して、第1の時間SAを変更しない構成とすることもできる。この場合、制御部52は、ステップS46で肯定判定した場合、ステップS51に移る。
【0084】
・第1実施形態の学習処理、およびステップS38〜S40、および、ステップS41〜S43を含む各変形例の学習処理において、変速が適切に行われた場合には、制限値DTMと第1の時間SAの両方を変更するようにしてもよい。制御部52は、
図4のステップS36において肯定判定した場合と、ステップS35およびステップS36が省略されている変形例ではステップS34において肯定判定した場合とにおいて、ステップS37の判定処理を省略してステップS38〜S40、および、ステップS41〜S43の処理を実行する。
【0085】
・第1実施形態の学習処理、およびステップS48〜S50、および、ステップS51〜S53を含む各変形例の学習処理において、変速が適切に行われなかった場合には、制限値DTMと第1の時間SAの両方を変更するようにしてもよい。制御部52は、
図5のステップS46において肯定判定した場合と、ステップS45およびステップS46が省略されている変形例ではステップS44において肯定判定した場合とにおいて、ステップS47の判定処理を省略してステップS48〜S50、および、ステップS51〜S53の処理を実行する。
【0086】
・各実施形態の第2の処理において、モータ出力TMの制限を開始するよりも前に変速機22の変速動作を開始させてもよい。また、モータ出力TMの制限と変速機22の変速動作の開始を同時に行うようにしてもよい。
【0087】
・各実施形態の第2の処理において、ステップS24の処理を省略してもよい。この場合、制御部52は、ステップS22において目標の変速ステージと現在の変速ステージとが一致しないと判定した場合には、直ちにモータ出力TMの制限と変速機22の変速動作とを開始させるようにしてもよい。
【0088】
・自転車10に搭載される1または複数のセンサに応じて、制御部52が自動で変速機22を制御して変速を実行するオート変速において、第2の処理が実行されてもよい。自転車10に搭載される1または複数のセンサは、トルクセンサ、車速センサ、ケイデンスセンサ、の少なくとも1つを含む。制御部52は、自転車10に搭載される1または複数のセンサからの信号と、記憶部54に記憶されるオート変速用の制御プログラムに応じて、変速要求があるか否かを判断する。
【0089】
・変速機22を手動で変速動作させるものに変更してもよい。この場合、操作部26と変速機22とはケーブルで接続される。制御部52は、操作部26の操作を検出する検出部の出力に応じて、変速要求を設定し、モータ24を制御する。