特許第6705790号(P6705790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許67057903次元の物体を付加製造するための少なくとも一つの付加製造装置の動作を制御する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6705790
(24)【登録日】2020年5月18日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】3次元の物体を付加製造するための少なくとも一つの付加製造装置の動作を制御する方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/386 20170101AFI20200525BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20200525BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20200525BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20200525BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20200525BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   B29C64/386
   B33Y30/00
   B29C64/153
   B33Y50/00
   B22F3/105
   B22F3/16
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-218207(P2017-218207)
(22)【出願日】2017年11月13日
(65)【公開番号】特開2019-22973(P2019-22973A)
(43)【公開日】2019年2月14日
【審査請求日】2017年11月13日
(31)【優先権主張番号】17182656.3
(32)【優先日】2017年7月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506154834
【氏名又は名称】ツェーエル・シュッツレヒツフェアヴァルトゥングス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ヘルツォーク
(72)【発明者】
【氏名】フローリアーン・ベックマン
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・リッペルト
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・ヘッツェル
【審査官】 國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−229311(JP,A)
【文献】 特開2012−158089(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/063665(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 −64/40
B22F 1/00 − 8/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギービームによって固化することができる粉末状の造形材料層を連続して層ごとに選択的に照射および固化することによって3次元の物体を付加製造するための少なくとも一つの付加製造装置(1)の動作を制御する方法であって、この方法が、
−エネルギービームによって固化することができる粉末状の造形材料層を連続して層ごとに選択的に照射および固化することによって3次元の物体を付加製造するための少なくとも一つの付加製造装置(1)または前記少なくとも一つの付加製造装置(1)の少なくとも一つの機能ユニット(2〜7)の前記動作を認証する少なくとも一つの認証パラメータを含む認証データ(AD)を、外部データ供給源(10)から供給するステップと、
−前記認証データ(AD)を前記外部データ供給源(10)から前記少なくとも一つの付加製造装置(1)の制御ユニット(8)へ伝送するステップであって、前記制御ユニット(8)が、前記付加製造装置(1)または前記付加製造装置(1)の前記少なくとも一つの機能ユニット(2〜7)の動作を割り当て、制御するように構成されるステップと、
−前記伝送された認証データ(AD)に基づいて動作させることが認証された、前記付加製造装置(1)または前記付加製造装置(1)の前記少なくとも一つの機能ユニット(2〜7)の動作を制御するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記認証パラメータが、物体認証パラメータであるか、または物体認証パラメータを含み、前記物体認証パラメータが、前記付加製造装置(1)による付加製造のために使用することが認証された少なくとも一つの物体パラメータを指す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物体認証パラメータが、
−付加製造することが認証された3次元の物体の概略的な種類、および/または
−付加製造することが認証された3次元の物体の幾何学的特性、および/または
−前記認証された3次元の物体を何個製造することが最小もしくは最大で認証されたかを示す製造数であって、付加製造することが認証された3次元の物体の最小もしくは最大の製造数を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記認証パラメータが、造形材料認証パラメータであるか、または造形材料認証パラメータを含み、前記造形材料認証パラメータが、前記少なくとも一つの付加製造装置(1)による付加製造のために使用することが認証された少なくとも一つの造形材料パラメータを指す、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記造形材料認証パラメータが、
−使用することが認証された造形材料の少なくとも一つの化学パラメータ、および/または
−使用することが認証された造形材料の少なくとも一つの物理パラメータ、および/または
−使用することが認証された造形材料の少なくとも一つの粒子パラメータを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記認証パラメータが、プロセス認証パラメータであるか、またはプロセス認証パラメータを含み、前記プロセス認証パラメータが、前記少なくとも一つの付加製造装置(1)による付加製造のために使用することが認証された少なくとも一つのプロセスパラメータを指す、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記プロセス認証パラメータが、
−使用することが認証されたエネルギービームの少なくとも一つのエネルギービームパラメータと、
−エネルギービームをいくつ使用することが最小または最大で認証されたかを示す、使用することが認証された認証エネルギービームの最小数または最大数と、
−使用することが認証された少なくとも一つの造形材料塗布パラメータと、
−使用することが認証されたプロセスチャンバおよび/または少なくとも一つの粉末モジュールの少なくとも一つの周囲パラメータとを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記認証パラメータが、装置状態認証パラメータであるか、または装置状態認証パラメータを含み、前記装置状態認証パラメータが、前記付加製造装置(1)または前記付加製造装置(1)の少なくとも一つの機能ユニット(2〜7)の動作を認証するために満たす必要のある前記付加製造装置(1)または前記付加製造装置(1)の少なくとも一つの機能ユニット(2〜7)の少なくとも一つの検査状態、保守状態、または調整状態、対応状態を指す、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記認証パラメータが、造形時間認証パラメータおよび/もしくは造形位置認証パラメータであるか、または造形時間認証パラメータおよび/もしくは造形位置認証パラメータを含み、前記造形時間認証パラメータおよび/または造形位置認証パラメータが、前記少なくとも一つの付加製造装置(1)または前記付加製造装置(1)の前記少なくとも一つの機能ユニット(2〜7)の動作が認証された少なくとも一つの時間および/または位置を指す、請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
前記認証パラメータが、ユーザ認証パラメータであるか、またはユーザ認証パラメータを含み、前記ユーザ認証パラメータが、前記付加製造装置(1)または前記付加製造装置(1)の少なくとも一つの機能ユニット(2〜7)を動作させることが認証された少なくとも一人のユーザの少なくとも一つのユーザパラメータを指す、請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
前記ユーザ認証パラメータが、前記少なくとも一つの付加製造装置(1)または前記付加製造装置(1)の少なくとも一つの機能ユニット(2〜7)を動作させようとするユーザの教育度および/または地位および/または個人データを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ユーザ認証パラメータが、ログイン・インターフェースにおける前記付加製造装置(1)の潜在的なユーザのログイン手続き中に承認される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記付加製造装置(1)の認証された造形プロセス中に使用される前記認証データ(AD)を指定する認証データ情報(ADI)が生成され、前記認証データ情報(ADI)が、マーカ、たとえば通し番号、バーコードとして、前記認証された付加製造装置(1)により製造された3次元の物体に提供される、請求項1〜12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
前記認証データ(AD)が、符号化された形式で供給される、請求項1〜13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
特有の付加製造プロセスに対する前記認証データ(AD)が、少なくとも一つの3次元の物体が付加造形された前記特有の付加製造プロセスの完了後に削除され、かつ/または前記認証データが、前記少なくとも一つの付加製造装置(1)のユーザによりアクセスされ得ない、請求項1〜14のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
前記認証データ(AD)が、動作させるべき前記付加製造装置(1)の所有者、動作させるべき前記付加製造装置(1)の操作者、動作させるべき前記付加製造装置(1)の製造者、または動作させるべき前記付加製造装置(1)の認証された販売者から供給される、請求項1〜15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
エネルギービームによって固化することができる粉末状の造形材料層を連続して層ごとに選択的に照射および固化することによって3次元の物体を付加製造するための付加製造装置(1)であって、
−外部データ供給源(10)から供給された、前記付加製造装置(1)または前記付加製造装置(1)の少なくとも一つの機能ユニット(2〜7)の動作を認証する少なくとも一つの認証パラメータを含む伝送された認証データ(AD)を処理し、
−前記受け取った認証データ(AD)に基づいて割り当てられ動作させることが認証された、前記付加製造装置(1)または前記付加製造装置(1)の前記少なくとも一つの機能ユニット(2〜7)の動作を制御するように構成された制御ユニット(8)を備える付加製造装置(1)。
【請求項18】
少なくとも一つの外部データ供給源(10)と、互いから遠隔に位置し、エネルギービームによって固化することができる粉末状の造形材料層を連続して層ごとに選択的に照射および固化することによって3次元の物体を付加製造するための複数の付加製造装置(1)とを備えた付加製造ネットワーク(9)であって、各付加製造装置(1)が、
−前記外部データ供給源(10)から供給された、前記付加製造装置(1)または前記付加製造装置(1)の少なくとも一つの機能ユニット(2〜7)の動作を認証する少なくとも一つの認証パラメータを含む伝送された認証データ(AD)を処理し、
−前記受け取った認証データ(AD)に基づいて割り当てられ動作させることが認証された、前記付加製造装置(1)または前記付加製造装置(1)の前記少なくとも一つの機能ユニット(2〜7)の動作を制御するように構成された制御ユニット(8)を備える、付加製造ネットワーク(9)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギービームによって固化することができる粉末状の造形材料層を連続して層ごとに選択的に照射および固化することによって3次元の物体を付加製造する(additively manufacturing)ための少なくとも一つの付加製造装置の動作を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元の物体を付加製造するための付加製造装置を動作させることは、所望の特性を有する物体が得られるように、複数のパラメータ、たとえばプロセスパラメータを完全に制御しなければならないため、難しい可能性がある。いくつかの産業、たとえば自動車産業、航空機産業、および医療産業では、付加製造された物体に対する高品質の標準および各付加製造プロセスの完全な文書化が求められている。これは特に、互いから遠隔に位置し、たとえば遠隔の付加製造現場、すなわち建物、町、国、大陸などの異なる場所に位置することのある付加製造現場に配置される複数の付加製造装置を含む付加製造ネットワークに当てはまる。
【0003】
特に、それぞれの付加製造ネットワークが互いから遠隔に位置する複数の付加製造装置を含む場合、品質および文書化の要求を各付加製造現場で満たすことができることを保証しなければならない。たとえば自動車産業、航空機産業、および医療産業に対するそれぞれの付加製造ネットワークの一部分の操作者、所有者、または製造者は、付加製造ネットワークの各付加製造装置が、設定された物体パラメータ、設定されたプロセスパラメータ、設定された造形材料パラメータなどで動作することを保証しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、3次元の物体を付加製造するための少なくとも一つの付加製造装置を動作させてそれぞれの装置の動作の完全な制御を可能にする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の3次元の物体を付加製造するための少なくとも一つの付加製造装置の動作を制御する方法によって実現される。従属請求項は、請求項1に記載の方法の可能な実施形態に関する。
【0006】
本明細書に記載する方法は、エネルギービーム、すなわち典型的には電子ビームまたはレーザビームによって固化することができる粉末状の造形材料層を連続して層ごとに選択的に照射および固化することによって3次元の物体(「物体」)、たとえば技術的な部品または部品アセンブリを付加製造するための少なくとも一つの付加製造装置の動作を制御することを指す。選択的レーザ焼結装置(「SLS装置」)、選択的レーザ融解装置(「SLM装置」)、または選択的電子ビーム融解装置(「SEBM装置」)として実施することができるそれぞれの付加製造装置は、たとえば、互いから遠隔に位置し、たとえば遠隔の付加製造現場、すなわち建物、町、国、大陸などの異なる場所に位置することのある付加製造現場に配置される複数の付加製造装置を含む付加製造ネットワークの一部分とすることができる。したがって、この方法はまた、異なる付加製造現場、すなわち建物、町、国、大陸などの異なる場所に位置する付加製造現場に配置されることのある複数の付加製造装置の動作を制御すること、またはそれぞれの付加製造ネットワークの動作を制御することを指すこともできる。
【0007】
この方法の以下の説明から明らかになるように、少なくとも一つの付加製造装置の動作を制御することはまた、付加製造装置の少なくとも一つのハードウェアおよび/またはソフトウェアにより実施される機能ユニット、たとえば付加製造装置のプロセスパラメータを設定する(中央)制御ユニット、付加製造装置の造形領域内に造形材料層を塗布する造形材料塗布ユニット、付加製造装置の造形領域内の造形材料層を少なくとも一つのエネルギービームで選択的に照射し、それによって選択的に固化する照射ユニット、特に付加製造装置のプロセスチャンバを流れるプロセスガス流を生じさせる流動ユニット、造形材料および/または付加製造装置の壁部分もしくは粉末モジュール、たとえば投与モジュール、造形モジュール、溢流モジュールの壁部分に焼き戻し(テンパリング;冷却および/または加熱)を施す焼き戻しユニット、造形された物体を周囲の造形材料から取り出す取り出しユニット、付加製造装置の造形材料を処理する造形材料処理ユニットなどの動作を制御することを含むことができる。各機能ユニットは、それぞれの機能ユニットのそれぞれの全体的な機能・一般的な機能の従属機能(サブ機能)を実施することが可能な複数のサブユニットを備えることができる。
【0008】
この方法の第1のステップによれば、少なくとも一つの付加製造装置または少なくとも前記一つの装置の少なくとも一つの機能ユニットの動作を認証する少なくとも一つの認証パラメータを含む認証データが、外部データ供給源によって/から供給される。したがって、付加製造装置および/またはその少なくとも一つの機能ユニットの動作は、認証データおよびそのそれぞれの認証パラメータによってそれぞれ認証されたときのみ可能になる。これはまた、付加製造装置および/またはその少なくとも一つの機能ユニットの動作の変更、特に少なくとも動作パラメータの変更が、認証データおよびそのそれぞれの認証パラメータによってそれぞれ認証されたときのみ可能になることを意味する。したがって、認証データは、付加製造装置および/またはその少なくとも一つの機能ユニットの動作を制御するための認証された制御データであると理解することができる。したがって、認証パラメータは、付加製造装置および/またはその少なくとも一つの機能ユニットの動作を制御するための認証された制御パラメータであると理解することができる。認証データおよび/または認証パラメータは、たとえば所有者、操作者、製造者によって、事前定義または事前設定することができる。典型的には、事前定義または事前設定された認証パラメータは、第3者がさらに修正することはできない。
【0009】
典型的には、外部データ供給源は、動作が制御されるべき付加製造装置またはその機能ユニットの一部を形成しない。外部データ供給源は、認証された実体、たとえば動作させるべき付加製造装置の操作者、動作させるべき付加製造装置の所有者、動作させるべき付加製造装置の製造者、および/もしくは動作させるべき付加製造装置の製造者によって認証された販売者に位置することができ、かつ/またはそれぞれ操作者、所有者、製造者、もしくは販売者に割り当てることができる。したがって、認証データは、動作させるべき付加製造装置の操作者、所有者、製造者、または販売者から供給することができる。したがって、外部データ供給源は、動作が制御されるべき付加製造装置および/または機能ユニットから遠隔に位置することができる。
【0010】
外部データ供給源はまた、いずれの場合も、それぞれの認証データを作成/生成、たとえばプログラミングしてから、それぞれの認証データを付加製造装置またはそのそれぞれの機能ユニットへ供給、すなわち典型的には伝送することが可能とすることができる。
【0011】
この方法の第2のステップによれば、認証データは、外部供給源から少なくとも一つの付加製造装置の制御ユニットへ伝送される。ハードウェアおよび/またはソフトウェアにより実施される制御ユニットは、付加製造装置またはその少なくとも一つの機能ユニットの動作を制御するように構成される。制御ユニットは、伝送された認証データを処理して、付加製造装置および/またはその少なくとも一つの機能ユニットの動作を制御するための認証された制御データを生成するように構成される。認証データの伝送は、典型的には、外部データ供給源および付加製造装置の制御ユニットに割り当てられまたは組み込まれた適当な送受信デバイス、すなわちデータを伝送および/または受信するように構成されたデバイスによって実行される。伝送は、それぞれ任意の通信規格、プロトコル、ネットワークに基づいて、符号化する必要がある場合、任意の有線または無線の伝送技術に基づいて行うことができる。
【0012】
この方法の第3のステップによれば、付加製造装置および/またはその少なくとも一つの機能ユニットの動作は、伝送された認証データに基づいて制御される。このようにして、付加製造装置および/またはその機能ユニットの動作は、それぞれ認証データおよび認証パラメータによって認証された場合のみ可能になるため、付加製造装置および/またはその機能ユニットの動作を制御することができる。認証データおよび認証パラメータはそれぞれ、遠隔位置から供給することができるため、操作者、所有者、製造者、販売者、または任意の他の認証された人物もしくは実体は、付加製造装置の動作を遠隔位置から制御および文書化することが可能である。上述したように、付加製造装置および/またはその少なくとも一つの機能ユニットの動作、ならびに動作の変更、すなわち特に少なくとも動作パラメータの変更は、これらが認証データによって認証されたときのみ可能になる。
【0013】
したがって、たとえば自動車産業、航空機産業、および医療産業向けの互いから遠隔に位置する複数の付加製造装置を含む付加製造ネットワークの操作者、所有者、製造者、販売者、または一部分の製造者は、各付加製造現場において適切な品質および文書化を保証することができる。それぞれの付加製造ネットワークの操作者、所有者、製造者、販売者はまた、付加製造ネットワークの各付加製造装置が、たとえば設定された物体パラメータ、設定されたプロセスパラメータ、設定された造形材料パラメータ、設定された人員などで動作されることまたは動作されたことを文書化することが可能である。それぞれの認証データによって、操作者、所有者、製造者、販売者はまた、特有の造形作業を、それぞれの造形作業を処理するように動作させることが認証された特有の付加製造装置(のみ)に割り当てることができる。
【0014】
それぞれの認証パラメータは、物体認証パラメータとすることができ、または物体認証パラメータを含むことができる。物体認証パラメータは、少なくとも一つの付加製造装置または付加製造ネットワークの少なくとも一つの特有の付加製造装置による付加製造のために使用することが認証された少なくとも一つの3次元の物体および/または少なくとも一つの物体パラメータを指すことができる。
【0015】
それぞれの物体認証パラメータは、それぞれ少なくとも一つの付加製造装置または特有の付加製造装置により付加製造することが認証された物体の概略的な種類を含んだり/記載・記述したりすることができる。したがって、物体認証パラメータは、それぞれの付加製造装置によってのみ製造することができる物体の特有の種類を認証することができる。一例として、物体認証パラメータは、技術的構成要素の特定の種類、たとえばクランプの特定のタイプを認証することができ、その結果、この種類の技術的構成要素だけが認証され、したがって、それだけがそれぞれの付加製造装置により製造することができる。この例示的なケースでは、他のタイプの技術的構成要素、たとえば他のクランプ、または非技術的構成要素、たとえば宝飾品、は認証されず、したがってそれぞれの付加製造装置により製造することはできない。
【0016】
それぞれの物体認証パラメータは、追加または別法として、少なくとも一つの付加製造装置により付加製造することが概して認証された少なくとも一つの物体の幾何学的特性、すなわち構造的および/または機能的な特性を含んだり/記載・記述したりすることができる。したがって、物体認証パラメータは、それぞれの付加製造装置により製造することが認証された物体の特有の幾何学的特性を認証することができる。一例として、物体認証パラメータは、特有の幾何学的形状、たとえばそれぞれの付加製造装置により製造することが認証された物体または物体の一部分の、底面の形状、長さ、幅、高さ、を認証することができ、その結果、この特有の幾何学的形状の物体だけが認証され、したがって、それだけがそれぞれの付加製造装置により製造することができる。この例示的なケースでは、他の幾何学的形状を有する物体は認証されず、したがってそれぞれの付加製造装置により製造することはできない。
【0017】
それぞれの物体認証パラメータは、追加または別法として、少なくとも一つの付加製造装置により付加製造することが概して認証された物体の最小または最大の製造数を含んだり/記載・記述したりすることができる。最小または最大の製造数は、認証された物体を何個製造することが最小または最大で認証されたかを示すことができる。したがって、物体認証パラメータは、それぞれの付加製造装置により製造することが認証された物体の最小または最大の個数を認証することができる。一例として、物体認証パラメータは、それぞれの付加製造装置により製造することが認証された特有の物体の9個という最大数を認証することができ、その結果、それぞれの物体の9個の量だけが認証され、したがって、9個の量だけがそれぞれの付加製造装置により製造することができる。この例示的なケースでは、それぞれの物体の10個以上は認証されず、したがって、10個以上はそれぞれの付加製造装置により製造することはできない。
【0018】
それぞれの認証パラメータは、追加または別法として、造形材料認証パラメータとすることができ、または造形材料認証パラメータを含むことができる。造形材料認証パラメータは、少なくとも一つの付加製造装置または付加製造ネットワークの少なくとも一つの特有の付加製造装置により付加製造するために使用することが認証された少なくとも一つの造形材料および/または少なくとも一つの造形材料パラメータを指すことができる。
【0019】
それぞれの造形材料認証パラメータは、付加製造のために使用することが認証された造形材料の少なくとも一つの化学パラメータを含んだり/記載・記述したりすることができる。したがって、造形材料認証パラメータは、使用することが認証された造形材料の特有の化学パラメータ、たとえば化学組成および/または化学反応性を認証することができる。一例として、造形材料認証パラメータは、特有の鉄ベースの金属合金を認証することができ、その結果、この鉄ベースの金属合金のみを付加製造のために使用することができる。この例示的なケースでは、他の化学組成を有する造形材料は認証されず、したがって付加製造のために使用することはできない。造形材料の化学パラメータの、場合により必要とされる検出は、それぞれの付加製造装置の制御ユニットに割り当てることができる適当な検出/判定/感知ユニットによって得ることができる。
【0020】
それぞれの造形材料認証パラメータは、追加または別法として、付加製造のために使用することが認証された造形材料の少なくとも一つの物理パラメータを含んだり/記載・記述したりすることができる。したがって、造形材料認証パラメータは、使用することが認証された造形材料の特有の物理的特性、たとえば密度、湿度、磁性、温度を認証することができる。一例として、造形材料認証パラメータは、造形材料の特有の温度を認証することができ、その結果、それぞれの温度を有する造形材料のみを付加製造のために使用することができる。この例示的なケースでは、他の温度、すなわち典型的にはより低い温度を有する造形材料は認証されず、したがって付加製造のために使用することはできない。造形材料の物理パラメータの場合により必要とされる検出は、それぞれの付加製造装置の制御ユニットに割り当てることができる適当な検出/判定/感知ユニットによって得ることができる。
【0021】
それぞれの造形材料認証パラメータは、追加または別法として、付加製造のために使用することが認証された造形材料の少なくとも一つの粒子/微粒子パラメータを含んだり/記載・記述したりすることができる。したがって、造形材料認証パラメータは、使用することが認証された造形材料の特有の粒子/微粒子パラメータ、たとえば粒形、最小粒径、最大粒径、粒径分布を認証することができる。一例として、造形材料認証パラメータは、特有の粒径分布を認証することができ、その結果、それぞれの粒径分布の造形材料を付加製造のために使用することができる。この例示的なケースでは、他の粒径分布を有する造形材料は認証されず、したがって付加製造のために使用することはできない。造形材料の粒径パラメータの、場合により必要とされる検出は、それぞれの付加製造装置の制御ユニットに割り当てることができる適当な検出/判定/感知ユニットによって得ることができる。
【0022】
それぞれの認証パラメータは、追加または別法として、プロセス認証パラメータとすることができるし、またはプロセス認証パラメータを含むことができる。プロセス認証パラメータは、少なくとも一つの付加製造装置または付加製造ネットワークの少なくとも一つの特有の付加製造装置による付加製造のために使用することが認証された少なくとも一つのプロセスパラメータを指すことができる。
【0023】
それぞれのプロセス認証パラメータは、付加製造のために使用することが認証されたエネルギービームの少なくとも一つのエネルギービーム・パラメータを含んだり/記載・記述したりすることができる。したがって、プロセス認証パラメータは、使用することが認証されたエネルギービームの特有のエネルギービーム・パラメータ、たとえばエネルギービーム強度、造形材料層に対する運動プロファイル、造形材料層に沿った速度を認証することができる。一例として、エネルギービーム・パラメータは、エネルギービームの特有のエネルギービーム強度を認証することができ、その結果、それぞれのエネルギービーム強度のエネルギービームのみを付加製造のために使用することができる。この例示的なケースでは、他のエネルギービーム強度を有するエネルギービームは認証されず、したがって付加製造のために使用することはできない。エネルギービームのエネルギービーム強度の、場合により必要とされる検出は、それぞれの付加製造装置の制御ユニットに割り当てることができる適当な検出/判定/感知ユニットによって得ることができる。
【0024】
それぞれのプロセス認証パラメータは、追加または別法として、付加製造のために使用することが認証されたエネルギービームの最小または最大数を含んだり/記載・記述したりすることができる。最小または最大数は、エネルギービームを最小または最大でいくつ使用することが認証されたかを示す。したがって、プロセス認証パラメータは、使用することが認証されたエネルギービームの最小または最大数を認証することができる。一例として、プロセス認証パラメータは、二つのエネルギービームという最小数を使用することを認証することができ、その結果、少なくとも二つのエネルギービームの量だけが認証され、したがって使用することができる。この例示的なケースでは、二つ未満のエネルギービームは認証されず、したがって使用することはできない。
【0025】
それぞれのプロセス認証パラメータは、追加または別法として、付加製造のために使用することが認証された少なくとも一つの造形材料塗布パラメータ、たとえば造形領域に対する粉末塗布ユニットの(層の厚さを画定する)隙間、造形領域に対する粉末塗布ユニットの運動プロファイル、造形領域に対する粉末塗布ユニットの速度を含んだり/記載・記述したりすることができる。一例として、造形材料塗布パラメータは、造形領域に対する粉末塗布ユニット、特にブレード状の粉末塗布デバイスの特有の隙間を認証することができ、その結果、それぞれの隙間を有する粉末塗布ユニットのみを付加製造のために使用することができる。この例示的なケースでは、他の隙間を有する粉末塗布ユニットは認証されず、したがって付加製造のために使用することはできない。造形材料塗布パラメータの、場合により必要とされる検出は、それぞれの付加製造装置の制御ユニットに割り当てることができる適当な検出/判定/感知ユニットによって得ることができる。
【0026】
それぞれのプロセス認証パラメータは、追加または別法として、付加製造のために使用することが認証された付加製造装置のプロセスチャンバおよび/または少なくとも一つの粉末モジュールの少なくとも一つの周囲パラメータを含んだり/記載・記述したりすることができる。したがって、周囲パラメータは、使用することが認証されたプロセスチャンバおよび/または少なくとも一つの粉末モジュールの特有の周囲パラメータ、たとえば不活性雰囲気、湿度、温度、圧力を認証することができる。一例として、周囲パラメータは、付加製造装置のプロセスチャンバ内の特有の(不活性)雰囲気または(不活性)プロセスガスを認証することができ、その結果、それぞれの(不活性)雰囲気または(不活性)プロセスガスのみを付加製造のために使用することができる。この例示的なケースでは、他の(不活性)雰囲気または(不活性)プロセスガスは認証されず、したがって付加製造のために使用することはできない。周囲パラメータの、場合により必要とされる検出は、それぞれの付加製造装置の制御ユニットに割り当てることができる適当な検出/判定/感知ユニットによって得ることができる。
【0027】
それぞれの認証パラメータは、追加または別法として、装置状態認証パラメータとすることができるし、または装置状態認証パラメータを含むことができる。装置状態認証パラメータは、動作を認証するために満たす必要のある付加製造装置またはその少なくとも一つの機能ユニットの少なくとも一つの検査状態、保守状態、または調整状態・対応状態を指すことができる。したがって、それぞれの検査状態、保守状態、または調整状態・対応状態が満たされた場合のみ、付加製造装置またはそのそれぞれの機能ユニットの動作を認証することができる。一例として、それぞれの検査状態、保守状態、または調整状態・対応状態は、照射ユニットのそれぞれの検査状態、保守状態、または調整状態・対応状態を指すことができる。
【0028】
それぞれの認証パラメータは、追加または別法として、時間および/もしくは位置認証パラメータとすることができるし、または時間および/もしくは位置認証パラメータを含むことができる。時間および/または位置認証パラメータは、少なくとも一つの付加製造装置またはその少なくとも一つの機能ユニットの動作が認証された少なくとも一つの時間もしくは時間間隔および/または位置を指すことができる。したがって、それぞれたとえば特定の時間、日、月、年などの特定の時間もしくは特定の時間間隔、および/またはたとえば特定の建物、町、国、大陸内の特定の位置もしくは製造現場のみで、付加製造装置またはその機能ユニットの動作を認証することができる。一例として、特有の国の特有の地域内の製造工場(製造プラント)の正規の作業時間中のみ、装置の動作を認証することができる。
【0029】
それぞれの認証パラメータは、追加または別法として、ユーザ認証パラメータとすることができるし、またはユーザ認証パラメータを含むことができる。ユーザ認証パラメータは、少なくとも一つの付加製造装置またはこの装置の少なくとも一つの機能ユニットを動作させることが認証された少なくとも一人のユーザの少なくとも一つのユーザパラメータを指すことができる。
【0030】
それぞれのユーザ認証パラメータは、少なくとも一つの付加製造装置を動作させようとするユーザの教育度および/または地位および/または個人データ、たとえば年齢、性別、年功などを含んだり/記載・記述したりすることができる。したがって、ユーザ認証パラメータは、付加製造装置および/またはその機能ユニットを動作させることが認証された特有のユーザ、たとえば従業員を認証することができる。一例として、特定の教育度および年功のユーザだけが、付加製造装置を動作させること、たとえば造形作業を開始、変更、承認することを認証され得、その結果、それぞれのユーザだけが装置を動作させることができる。この例示的なケースでは、他のユーザは認証されず、したがって、他のユーザは装置を動作させることはできない。
【0031】
ユーザ認証パラメータは、たとえば付加製造装置のログイン・インターフェースにおける付加製造装置の潜在的なユーザのログイン手続き中に承認することができる。ログイン手続きは、ユーザ識別手段、たとえばIDカード、ユーザの生物測定のための特徴、たとえば指紋、網膜などの検出、たとえば走査を含むことができる。ログイン手続きの成功には、少なくとも一つのユーザ認証パラメータの承認を必要とすることができる。
【0032】
認証された付加製造プロセス中に使用される認証データを指定する認証データ情報は、付加製造装置において/または付加製造装置により生成することができる。生成された認証データ情報は、マーカ、たとえば通し番号、幾何学的マーカ、バーコード、QRコードなどとして、認証された付加製造装置によって製造された物体に提供することができる。このようにして、すべての関連情報、すなわち特に認証された付加製造プロセス中に使用される認証データを、認証された付加製造装置によって製造された物体上に「記憶」/「記載」することができるため、付加製造プロセスの文書化を確実に実現することができる。それぞれのマーカは、付加造形することができる。
【0033】
認証データを認証されていないアクセスから保護するために、認証データは、それぞれ少なくとも一つの物体が付加造形された特有の付加製造プロセスまたは特有の造形作業の完了後に削除することができる。追加または別法として、認証データは、特有の付加製造プロセスの完了後に外部データ供給源へ送り返すことができる。さらに追加または別法として、認証データは、付加製造装置のユーザがアクセスできないように処理することができる。
【0034】
本発明はさらに、エネルギービームによって固化することができる粉末状の造形材料層を連続して層ごとに選択的に照射および固化することによって3次元の物体を付加製造するための付加製造装置に関する。付加製造装置は、外部データ供給源から供給された、付加製造装置または付加製造装置の少なくとも一つの機能ユニットの動作を認証する少なくとも一つの認証パラメータを含む伝送された認証データを処理し、受け取った認証データに基づいて、付加製造装置または付加製造装置の少なくとも一つの機能ユニットの動作を制御するように構成された制御ユニットを備える。
【0035】
本発明はさらに、少なくとも一つの外部データ供給源と、互いから遠隔に位置し、エネルギービームによって固化することができる粉末状の造形材料層を連続して層ごとに選択的に照射および固化することによって3次元の物体を付加製造するための複数の付加製造装置とを含む付加製造ネットワークに関する。各付加製造装置は、外部データ供給源から供給された、付加製造装置または付加製造装置の少なくとも一つの機能ユニットの動作を認証する少なくとも一つの認証パラメータを含む伝送された認証データを処理し、この受け取った認証データに基づいて、付加製造装置(1)または付加製造装置(1)の少なくとも一つの機能ユニットの動作を制御するように構成された制御ユニットを備える。
【0036】
付加製造装置と付加製造ネットワークはどちらも、本明細書に記載する方法を実行することが可能である。したがって、この方法に関するすべての記載・注釈は、付加製造装置および付加製造ネットワークにも同様に当てはまる。
【0037】
本発明の例示的な実施形態について、図に関して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】付加製造装置の原理図である。
図2】付加製造ネットワークの原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、付加製造装置1の原理図である。付加製造装置1は、エネルギービーム、たとえば電子ビームまたはレーザビームによって固化することができる粉末状の造形材料層を連続して層ごとに選択的に照射および固化することによって3次元の物体を付加製造するように構成される。
【実施例】
【0040】
付加製造装置1は、複数のハードウェアおよび/またはソフトウェアにより実施される機能ユニット2〜7、たとえば付加製造装置1の造形領域内に造形材料層を塗布する造形材料塗布ユニット2、付加製造装置1の造形領域内の造形材料層を少なくとも一つのエネルギービームで選択的に照射し、それによって選択的に固化する照射ユニット3、特に付加製造装置1のプロセスチャンバを流れるプロセスガス流を生じさせる流動ユニット4、造形材料および/または付加製造装置1の壁部分もしくは粉末モジュールの壁部分に焼き戻し(冷却および/または加熱)を施す焼き戻しユニット5、造形された物体を周囲の造形材料から取り出す取り出しユニット6、付加製造装置1の造形材料を処理する造形材料処理ユニット7などを含む。
【0041】
各機能ユニット2〜7の動作は、付加製造装置1のハードウェアおよび/またはソフトウェアにより実施する中央制御ユニット8によって制御することができる。中央制御ユニットはまた、付加製造装置1の機能ユニットと見なすこともできる。
【0042】
図2は、付加製造ネットワーク9の原理図である。付加製造ネットワーク9は、互いから遠隔に位置し、たとえば遠隔の付加製造現場、すなわち建物、町、国、大陸などの異なる場所に位置することのある付加製造現場に配置される複数の付加製造装置1を含む。
【0043】
図1の付加製造装置1と図2の付加製造ネットワーク9はどちらも、少なくとも一つの付加製造装置1の動作を制御する方法を実行することが可能である。この方法の例示的な実施形態について、以下に説明する。
【0044】
この方法の第1のステップによれば、少なくとも一つの付加製造装置1またはその少なくとも一つの機能ユニット2〜7の動作を認証する認証パラメータを含む認証データADが、外部データ供給源10によって/または外部データ供給源10から供給される。したがって、それぞれの付加製造装置1および/またはその少なくとも一つの機能ユニット2〜7の動作は、それぞれ認証データADおよびそのそれぞれの認証パラメータによって認証されたときのみ可能になる。これはまた、付加製造装置1および/またはその機能ユニット2〜7の動作の変更、特に少なくとも動作パラメータの変更が、それぞれ認証データADおよびそのそれぞれの認証パラメータによって認証されたときのみ可能になることを意味する。したがって、認証データADは、付加製造装置1および/またはその少なくとも一つの機能ユニット2〜7の動作を制御するための認証された制御データであると理解することができる。したがって、認証パラメータは、付加製造装置1および/またはその機能ユニット2〜7の動作を制御するための認証された制御パラメータであると理解することができる。認証データADおよび/または認証パラメータは、たとえば所有者、操作者、製造者によって、事前定義または事前設定することができる。典型的には、事前定義または事前設定された認証パラメータは、第3者がさらに修正することはできない。
【0045】
図から明らかなように、外部データ供給源10は、付加製造装置1またはその機能ユニット2〜7の一部を形成しない。外部データ供給源10は、動作させるべき付加製造装置1の認証された実体、たとえば操作者、所有者、製造者、販売者、に位置することができる。したがって、認証データADは、動作させるべき付加製造装置1の操作者、所有者、製造者、または販売者から供給することができる。したがって、外部データ供給源10は、動作が制御されるべき付加製造装置1および/または機能ユニット2〜7から遠隔に位置する。
【0046】
この方法の第2のステップによれば、認証データADは、外部供給源10から少なくとも一つの付加製造装置1の制御ユニット8へ伝送される。上述したように、それぞれの制御ユニット8は、それぞれの付加製造装置1またはその少なくとも一つの機能ユニット2〜7の動作を制御するように構成される。制御ユニット8は、伝送された認証データADを処理して、付加製造装置1および/またはその少なくとも一つの機能ユニット2〜7の動作を制御するための認証された制御データを生成するように構成される。認証データADの伝送(矢印11で示す)は、外部データ供給源10および付加製造装置1の制御ユニット8に割り当てられるかまたは組み込まれた適当な送受信デバイス、すなわちデータを伝送および/または受信するように構成されたデバイスによって実行することができる。伝送は、それぞれ任意の通信規格、プロトコル、ネットワークに基づいて、符号化する必要がある場合、任意の有線または無線の伝送技術に基づいて行うことができる。
【0047】
この方法の第3のステップによれば、少なくとも一つの付加製造装置1および/またはその少なくとも一つの機能ユニット2〜7の動作は、伝送された認証データADに基づいて制御される。このようにして、付加製造装置1および/またはその機能ユニット2〜7の動作は、それぞれ認証データADおよび認証パラメータによって認証された場合のみ可能になるため、付加製造装置1および/またはその機能ユニット2〜7の動作を制御することができる。認証データADおよび認証パラメータはそれぞれ、遠隔位置から供給することができるため、操作者、所有者、製造者、販売者、または任意の他の認証された人物もしくは実体は、付加製造装置1の動作を遠隔位置から制御および文書化することが可能である。
【0048】
したがって、たとえば自動車産業、航空機産業、および医療産業向けの付加製造ネットワーク9の操作者、所有者、製造者、販売者、または一部分の製造者は、各付加製造現場において適切な品質および文書化を保証することができる。それぞれの付加製造ネットワーク9の操作者、所有者、製造者、販売者はまた、付加製造ネットワーク9の各付加製造装置1が、たとえば設定された物体パラメータ、設定されたプロセスパラメータ、設定された造形材料パラメータ、設定された人員などで動作されることまたは動作されたことを文書化することが可能である。それぞれの認証データADによって、操作者、所有者、製造者、販売者はまた、特有の造形作業を、それぞれの造形作業を処理するように動作させること(のみ)が認証された特有の付加製造装置1に割り当てることができる。
【0049】
それぞれの認証パラメータは、物体認証パラメータとすることができるし、または物体認証パラメータを含むことができる。物体認証パラメータは、たとえば付加製造ネットワーク9の特有の付加製造装置1により付加製造することが認証された少なくとも一つの3次元の物体および/または少なくとも一つの物体パラメータを指すこと・関連することができる。
【0050】
それぞれの物体認証パラメータは、特有の付加製造装置1により付加製造することが認証された物体の概略的な種類を含んだり/記載・記述したりすることができる。したがって、物体認証パラメータは、それぞれの付加製造装置1によってのみ製造することができる物体の特有の種類を認証することができる。
【0051】
それぞれの物体認証パラメータは、追加または別法として、特有の付加製造装置1により付加製造することが概して認証された少なくとも一つの物体の幾何学的特性、すなわち構造的および/または機能的な特性を含んだり/記載・記述したりすることができる。したがって、物体認証パラメータは、それぞれの付加製造装置1により製造することが認証された物体の特有の幾何学的特性を認証することができる。
【0052】
それぞれの物体認証パラメータは、追加または別法として、特有の付加製造装置1により付加製造することが概して認証された物体の最小または最大の製造数を含んだり/記載・記述したりすることができる。最小または最大の製造数は、認証された物体を何個製造することが最小または最大で認証されたかを示すことができる。したがって、物体認証パラメータは、それぞれの付加製造装置により製造することが認証された物体の最小または最大の個数を認証することができる。
【0053】
それぞれの認証パラメータは、追加または別法として、造形材料認証パラメータとすることができるし、または造形材料認証パラメータを含むことができる。造形材料認証パラメータは、たとえば付加製造ネットワーク9の特有の付加製造装置1による付加製造のために使用することが認証された少なくとも一つの造形材料および/または少なくとも一つの造形材料パラメータを指すことができる。
【0054】
それぞれの造形材料認証パラメータは、付加製造のために使用することが認証された造形材料の少なくとも一つの化学パラメータを含んだり/記載・記述したりすることができる。したがって、造形材料認証パラメータは、使用することが認証された造形材料の特有の化学パラメータ、たとえば化学組成および/または化学反応性を認証することができる。
【0055】
それぞれの造形材料認証パラメータは、追加または別法として、付加製造のために使用することが認証された造形材料の少なくとも一つの物理パラメータを含んだり/記載・記述したりすることができる。したがって、造形材料認証パラメータは、使用することが認証された造形材料の特有の物理的特性、たとえば密度、湿度、磁性、温度を認証することができる。
【0056】
それぞれの造形材料認証パラメータは、追加または別法として、付加製造のために使用することが認証された造形材料の少なくとも一つの粒子/微粒子パラメータを含んだり/記載・記述したりすることができる。したがって、造形材料認証パラメータは、使用することが認証された造形材料の特有の粒子/微粒子パラメータ、たとえば粒形、最小粒径、最大粒径、粒径分布を認証することができる。
【0057】
それぞれの認証パラメータは、追加または別法として、プロセス認証パラメータとすることができるし、またはプロセス認証パラメータを含むことができる。プロセス認証パラメータは、たとえば付加製造ネットワーク9の、特有の付加製造装置1による付加製造のために使用することが認証された少なくとも一つのプロセスパラメータを指すことができる。
【0058】
それぞれのプロセス認証パラメータは、付加製造のために使用することが認証されたエネルギービームの少なくとも一つのエネルギービーム・パラメータを含んだり/記載・記述したりすることができる。したがって、プロセス認証パラメータは、使用することが認証されたエネルギービームの特有のエネルギービーム・パラメータ、たとえばエネルギービーム強度、造形材料層に対する運動プロファイル、造形材料層に沿った速度、を認証することができる。
【0059】
それぞれのプロセス認証パラメータは、追加または別法として、付加製造のために使用することが認証されたエネルギービームの最小または最大数を含んだり/記載・記述したりすることができる。最小または最大数は、エネルギービームを最小または最大でいくつ使用することが認証されたかを示す。したがって、プロセス認証パラメータは、使用することが認証されたエネルギービームの最小または最大数を認証することができる。
【0060】
それぞれのプロセス認証パラメータは、追加または別法として、付加製造のために使用することが認証された少なくとも一つの造形材料塗布パラメータ、たとえば造形領域に対する粉末塗布ユニットの(層の厚さを画定する)隙間、造形領域に対する粉末塗布ユニットの運動プロファイル、造形領域に対する粉末塗布ユニットの速度を含んだり/記載・記述したりすることができる。
【0061】
それぞれのプロセス認証パラメータは、追加または別法として、付加製造のために使用することが認証された付加製造装置1のプロセスチャンバおよび/または少なくとも一つの粉末モジュール、たとえば投与モジュール、造形モジュール、溢流モジュール、の少なくとも一つの周囲パラメータを含んだり/記載・記述したりすることができる。したがって、周囲パラメータは、使用することが認証されたプロセスチャンバおよび/または少なくとも一つの粉末モジュールの特有の周囲パラメータ、たとえば不活性雰囲気、湿度、温度、圧力、を認証することができる。
【0062】
それぞれの認証パラメータは、追加または別法として、装置状態認証パラメータとすることができるし、または装置状態認証パラメータを含むことができる。装置状態認証パラメータは、動作を認証するために満たす必要のある付加製造装置1またはその少なくとも一つの機能ユニット2〜7の少なくとも一つの検査状態、保守状態、または調整状態・対応状態を指すことができる。したがって、それぞれの検査状態、保守状態、または調整状態・対応状態が満たされた場合のみ、付加製造装置1またはそのそれぞれの機能ユニット2〜7の動作を認証することができる。
【0063】
それぞれの認証パラメータは、追加または別法として、時間および/もしくは位置認証パラメータとすることができるし、または時間および/もしくは位置認証パラメータを含むことができる。時間および/または位置認証パラメータは、付加製造装置1またはその少なくとも一つの機能ユニット2〜7の動作が認証された少なくとも一つの時間もしくは時間間隔および/または位置を指すこと・関連することができる。したがって、それぞれ、たとえば特定の時間、日、月、年などの特定の時間もしくは特定の時間間隔で、および/またはたとえば特定の建物、町、国、大陸内の特定の位置もしくは製造現場のみで、付加製造装置1またはその機能ユニット2〜7の動作を認証することができる。
【0064】
それぞれの認証パラメータは、追加または別法として、ユーザ認証パラメータとすることができるし、またはユーザ認証パラメータを含むことができる。ユーザ認証パラメータは、付加製造装置1またはその少なくとも一つの機能ユニット2〜7を動作させることが認証された少なくとも一人のユーザの少なくとも一つのユーザパラメータを指すこと・関連することができる。
【0065】
それぞれのユーザ認証パラメータは、少なくとも一つの付加製造装置1を動作させようとするユーザの教育度および/または地位および/または個人データ、たとえば年齢、性別、年功などを含んだり/記載・記述したりすることができる。したがって、ユーザ認証パラメータは、少なくとも一つの付加製造装置および/またはその機能ユニットを動作させることが認証された特有のユーザ、たとえば従業員、を認証することができる。
【0066】
ユーザ認証パラメータは、たとえばそれぞれの付加製造装置1のログイン・インターフェースにおける付加製造装置1の潜在的なユーザのログイン手続き中に承認することができる。ログイン手続きは、ユーザ識別手段、たとえばIDカード、ユーザの生物測定のための特徴、たとえば指紋、網膜などの検出、たとえば走査、を含むことができる。ログイン手続きの成功には、少なくとも一つのユーザ認証パラメータの承認を必要とすることができる。
【0067】
認証された付加製造プロセス中に使用される認証データADを指定する認証データ情報ADIは、各付加製造装置1で生成することができる。生成された認証データ情報ADIは、マーカ、たとえば通し番号、幾何学的マーカ、バーコード、QRコードなどとして、認証された付加製造装置1によって製造された物体に提供することができる。このようにして、すべての関連情報、すなわち特に認証された付加製造プロセス中に使用される認証データを、認証された付加製造装置によって製造された物体上に「記憶」/「記載」することができるため、付加製造プロセスの文書化を確実に実現することができる。それぞれのマーカは、付加造形することができる。
【0068】
認証データADを認証されていないアクセスから保護するために、認証データADは、それぞれ少なくとも一つの物体が付加造形された特有の付加製造プロセスまたは特有の造形作業の完了後に削除することができる。追加または別法として、認証データADは、特有の付加製造プロセスの完了後に外部データ供給源10へ送り返すことができる。さらに追加または別法として、認証データADは、付加製造装置1のユーザがアクセスできないように処理することができる。
図1
図2