(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6705877
(24)【登録日】2020年5月18日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】時計用エスケープバルブ
(51)【国際特許分類】
G04B 37/10 20060101AFI20200525BHJP
G04B 37/08 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
G04B37/10 R
G04B37/08 A
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-202523(P2018-202523)
(22)【出願日】2018年10月29日
(65)【公開番号】特開2019-86515(P2019-86515A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2018年10月29日
(31)【優先権主張番号】17200597.7
(32)【優先日】2017年11月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・ポドヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・べブレ
【審査官】
吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−47896(JP,A)
【文献】
特開平11−52071(JP,A)
【文献】
特開平11−52072(JP,A)
【文献】
特開平6−27254(JP,A)
【文献】
特開昭55−82980(JP,A)
【文献】
米国特許第9639060(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 37/00−37/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計(22)、特に潜水時計用のエスケープバルブ(1a、1b、1c、1d)であって、前記バルブ(1a、1b、1c、1d)が開構成にあるときに前記時計のケース内部と流体連通するように構成された出口チャネルを備えて、余分な流体(F)、特にガス状流体を排出するエスケープバルブにおいて、前記バルブ(1a、1b、1c、1d)は、
− 前記時計(22)の前記ケース内に固定されるように意図されたチューブ(3a、3b、3c、3d)、
− カバー(4)と、前記チューブ(3a、3b、3c、3d)に対して様々な軸沿い位置に配置されるように適応している軸沿いスカート(5)とを備えているバルブヘッド(2a、2b、2c、2d)、
− 前記チューブ(3a、3b、3c、3d)内に設けられた流体管(10)の内部に構成された、前記バルブヘッド(2a、2b、2c、2d)から離れている圧力制御モジュール(6a、6b)、
− 前記バルブヘッド(2a、2b、2c、2d)および前記チューブ(3a、3b、3c、3d)に画成された、ねじ締めによる軸方向の案内要素であって、前記バルブヘッド(2a、2b、2c、2d)が前記チューブ(3a、3b、3c、3d)に対して前記様々な軸沿い位置に移動するのを制御する役割の一端を担う、軸方向の案内要素(15)
を備え、
前記エスケープバルブ(1a、1b、1c、1d)は、前記バルブヘッド(2a、2b、2c、2d)と前記チューブ(3a、3b、3c、3d)との結合が離れるのを防止する阻止要素(12a、12b)を備え、前記阻止要素(12a、12b)は、前記チューブ(3a、3b、3c、3d)の外壁または内壁(18a、18b)および前記バルブヘッド(2a、2b、2c、2d)に含まれる、
エスケープバルブ。
【請求項2】
前記阻止要素(12a)は、前記チューブ(3a、3b、3d)の前記流体管(10)の前記内壁(18b)に含まれる当接部(17a)と、前記バルブヘッド(2a、2b、2d)が前記チューブ(3a、3b、3d)に対して移動するときに前記当接部(17a)と協働するように意図され、特に前記バルブヘッド(2a、2b、2d)と前記チューブ(3a、3b、3d)との結合が離れるのを防止するように意図された、前記バルブヘッド(2a、2b、2d)の行程を制御する手段(17b)とを備えていることを特徴とする、請求項1に記載のバルブ(1a、1b、1d)。
【請求項3】
前記バルブヘッド(2a、2b、2d)の行程を制御する前記手段(17b)は、前記バルブヘッド(2a、2b、2d)の中央接続要素(16)の内壁(19a)に機械的に接続されることによって前記バルブヘッド(2a、2b、2d)の本体に挿入される要素であることを特徴とする、請求項2に記載のバルブ(1a、1b、1d)。
【請求項4】
前記当接部(17a)は、前記チューブ(3a、3d)の前記流体管(10)の前記内壁(18b)と一体に形成されることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載のバルブ(1a、1d)。
【請求項5】
前記当接部(17a)は、前記チューブ(3b)の前記流体管(10)の前記内壁(18b)に固定されたインサート(39)に含まれることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載のバルブ(1b)。
【請求項6】
前記阻止要素(12b)は、前記チューブ(3c)の前記外壁(18a)および前記バルブヘッド(2c)の前記軸沿いスカート(5)に含まれることを特徴とする、請求項1に記載のバルブ(1c)。
【請求項7】
前記阻止要素(12b)は、環状保持リング(17c)および円形肩部(17d)を含み、前記肩部(17d)には支持面が設けられ、前記リング(17c)は前記支持面に対して当接するようになることを特徴とする、請求項1または請求項6に記載のバルブ(1c)。
【請求項8】
前記保持リング(17c)は、
− 前記円形肩部(17d)が前記チューブ(3c)の前記外壁(18a)に含まれている場合、前記軸沿いスカート(5)に画成された相補形の溝(41)に含まれる、または
− 前記円形肩部(17d)が前記軸沿いスカート(5)に含まれている場合、前記チューブ(3c)の前記外壁(18a)に画成された相補形の溝に含まれる
ことを特徴とする、請求項7に記載のバルブ(1c)。
【請求項9】
前記軸方向の案内要素(15)は、第1の案内領域および第2の案内領域(11a、11b)を含み、前記領域はそれぞれ、前記バルブヘッド(2a、2c、2d)の前記カバー(4)に含まれる中央接続要素(16)の外壁(19b)、および前記チューブ(3a、3c、3d)の前記流体管(10)の前記内壁(18b)、特に前記管(10)の上区画(13a)に全体的または部分的に画成されることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれかに記載のバルブ(1a、1c、1d)。
【請求項10】
前記軸方向の案内要素(15)は、第1の案内領域および第2の案内領域(11a、11b)を含み、前記領域はそれぞれ、前記バルブヘッド(2b)の前記カバー(4)に含まれる中央接続要素(16)の外壁(19b)、および前記チューブ(3b)の前記流体管(10)の前記内壁(18b)、特に前記管(10)の上区画(13a)に固定されたインサート(39)に全体的または部分的に画成されることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれかに記載のバルブ(1b)。
【請求項11】
前記第1の案内領域および第2の案内領域(11a、11b)は、前記バルブ(1a、1b、1c、1d)が開構成または閉構成になるようにねじ締めすることによって係合するように適応していることを特徴とする、請求項9または10のいずれかに記載のバルブ(1a、1b、1c、1d)。
【請求項12】
前記圧力制御モジュール(6a)は、ピストン(7)および弾性部材(8)を備え、前記ピストン(7)は、前記チューブ(3a、3b、3c)の前記流体管(10)の内部に収容され、前記弾性部材(8)は、前記ピストン(7)と協働するめたに前記流体管(10)内に配置され、前記ピストン(7)は、前記ケース内部の圧力の変化に応じて軸方向に動くように構成されることを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれかに記載のバルブ(1a、1b、1c)。
【請求項13】
前記圧力制御モジュール(6b)は、第1の固定部品と第2の固定部品(37a、37b)との間で前記流体管(10)内に位置しているシーリング要素(14)を備え、前記シーリング要素(14)は、膜を含み、前記膜は、ガスに対して透過性で、前記ケース内部の圧力が所定の値を超えたときに前記ケースの内部から外部への流体連通を達成し、前記ケース外部から前記ケース内部に流れる液体に対して不透過性であるように構成されることを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれかに記載のバルブ(1d)。
【請求項14】
前記バルブは、前記チューブ(3a、3b、3c、3d)に対する前記バルブヘッド(2a、2b、2c、2d)の軸沿い位置、特に前記バルブヘッド(2a、2b、2c、2d)の第1の軸沿い位置または第2の軸沿い位置を示す視覚表示器(38)を備えていることを特徴とする、請求項1から請求項13のいずれかに記載のバルブ(1a、1b、1c、1d)。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれかに記載のバルブ(1a、1b、1c、1d)を備えている時計(22)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計用のエスケープバルブに関し、特に腕時計、さらに詳細には、スキューバダイビングを意図した腕時計用のエスケープバルブに関する。本発明は、前記バルブを備えている時計にも関する。
【背景技術】
【0002】
エスケープバルブは、ヘリウムバルブとも呼ばれ、ダイバーがヘリウムおよび酸素を含む気体混合物を吸入する飽和潜水として知られる潜水過程で、時計ケースに浸透したヘリウムを排出するために特定の潜水時計内に存在するものである。これによってダイバーは、ベルの中または水面下のステーションの中に数日にわたって残ることが可能になる。この期間の間、ヘリウムは時計の中に浸透することがある。そのようなバルブがなければ、ヘリウムの浸透によって内部圧力が過剰になり、減圧段階のときに時計に損傷が起こることがあり、例えば押し出されたり割れたりしたガラス蓋が損なわれることがある。
【0003】
先行技術では、手動のヘリウムバルブが知られ、このバルブは、中央部の中に押し込まれるかねじ締めされるチューブに竜頭がねじ締めされる要領でバルブヘッドなどのシーリング要素を締める/弛めることで簡単に動作する。このようなバルブは通常、バルブヘッドに接続しているピストンを備え、このピストンは、シール材に圧力をかけるように適応していると同時に、時計ケース内部の圧力を調節するようにバネと協働する。
【0004】
しかしながら、このような手動バルブの主な欠点の1つは、これらのバルブが開口構成にあってバルブヘッドが弛んでいるときに、時計ケースのシーリングが劣化する可能性がある点にある。実際、そのような構成では、衝撃によって生じうる径方向または略径方向の力がバルブヘッドに印加されると直ちに、その影響でピストンのずれが生じてピストンがシール材にかけている圧力の低下を招き、それによって時計ケースのシーリングが損なわれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の1つの目的は、ピストンがバルブヘッドから離れているが、バルブヘッドとチューブとの結合を確実にする手段を設け、そのようなバルブヘッドは締める/弛める動作過程で簡単に操作される、バルブを提供することによって先行技術の欠点に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明は、時計、特に潜水時計用のエスケープバルブであって、このバルブが開構成にあるときに前記時計のケース内部と流体連通するように構成された出口チャネルを備えて、余分な流体、特にガス状流体を排出するエスケープバルブにおいて、前記バルブは、
− 時計のケース内に固定されるように意図されたチューブ、
− カバーと、前記チューブに対して様々な軸沿い位置に配置されるように適応している軸沿いスカートとを備えているバルブヘッド、
− チューブ内に設けられた流体管の内部に構成された、バルブヘッドから離れている圧力制御モジュール、
− バルブヘッドおよびチューブに画成された、ねじ締めによる軸方向の案内要素であって、バルブヘッドがチューブに対して様々な軸沿い位置に移動するのを制御する役割の一端を担う、軸方向の案内要素
を備え、
前記エスケープバルブは、バルブヘッドと前記チューブとの結合が離れるのを防止する阻止要素を備え、前記阻止要素は、チューブの内壁または外壁およびバルブヘッドに含まれる、
エスケープバルブに関する。
【0007】
これらの際立った特徴があることにより、特にバルブヘッドに対する径方向または略径方向の力の印加に関連する作用がなくなり、それによって、バルブのシーリングおよびそれに伴い時計ケースのシーリングが損なわれる危険性がなくなる。
【0008】
その他の実施形態では、
− 阻止要素は、前記チューブの流体管の内壁に含まれる当接部と、バルブヘッドがチューブに対して移動するときに前記当接部と協働するように意図され、特にバルブヘッドと前記チューブとの結合が離れるのを防止するように意図された、バルブヘッドの行程を制御する手段とを備え、
− バルブヘッドの行程を制御する手段は、このバルブヘッドの本体に挿入される要素であり、バルブヘッドの中央接続要素の内壁に機械的に接続され、
− 当接部は、前記チューブの流体管の内壁と一体に形成され、
− 当接部は、前記チューブの流体管の内壁に固定されたインサートに含まれ、
− 阻止要素は、チューブの外壁およびバルブヘッドの軸沿いスカートに含まれ、
− 阻止要素は、環状保持リングおよび円形肩部を含み、前記肩部には支持面が設けられ、前記リングはこの支持面に対して当接するようになり、
− 円形肩部がチューブの外壁に含まれている場合、保持リングは軸沿いスカートに画成された相補形の溝に含まれ、
− 円形肩部が軸沿いスカートに含まれている場合、保持リングはチューブの外壁に画成された相補形の溝に含まれ、
− 軸方向の案内要素は、第1の案内領域および第2の案内領域を含み、該領域はそれぞれ、バルブヘッドのカバーに含まれる中央接続要素、およびチューブの流体管の内壁、特にこの管の上区画に全体的または部分的に画成され、
− 軸方向の案内要素は、第1の案内領域および第2の案内領域を含み、該領域はそれぞれ、バルブヘッドのカバーに含まれる中央接続要素、および前記チューブの流体管の内壁に固定されたインサートに全体的または部分的に画成され、
− 第1の案内領域および第2の案内領域は、前記バルブが開構成または閉構成になるようにねじ締めすることによって係合するように適応し、
− 圧力制御モジュールは、ピストンおよび弾性部材を備え、前記ピストンは、チューブの流体管の内部に収容され、弾性部材は、ピストンと協働するめたに前記流体管内に配置され、前記ピストンは、ケース内部の圧力の変化に応じて軸方向に動くように構成され、
− 圧力制御モジュールは、第1の固定要素と第2の固定要素との間で流体管内に位置しているシーリング要素を備え、前記シーリング要素は、膜を含み、該膜は、ガスに対して透過性で、前記内圧が所定の値を超えたときにケースの内部から外部への流体連通を達成し、ケース外部からケース内部に向かって流れる液体に対して不透過性であるように構成され、
− バルブは、チューブに対するバルブヘッドの軸沿い位置、特にこのバルブヘッドの第1の軸沿い位置または第2の軸沿い位置を示す視覚表示器を備えている。
【0009】
本発明は、このようなエスケープバルブを備えている時計も提供する。
【0010】
本発明のその他の際立った特徴および利点は、単なる非限定的な例として挙げ、添付の図面を参照して記載している本発明の実施形態を熟読することで理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】閉構成にある時計ケースのケース中央部に取り付け可能で、ピストンを有する圧力制御モジュールを備えている、本発明の第1の実施形態によるエスケープバルブの半断面図である。
【
図2】
図1とほぼ同じ図であり、本発明の第1の実施形態によるエスケープバルブが開構成にある図である。
【
図3】開構成にある時計ケースのケース中央部に取り付け可能で、ピストンを有する圧力制御モジュールを備えている、本発明の第2の実施形態によるエスケープバルブの半断面図である。
【
図4】閉構成にある時計ケースのケース中央部に取り付け可能で、ピストンを有する圧力制御モジュールを備えている、本発明の第3の実施形態によるエスケープバルブの断面図である。
【
図5】
図4とほぼ同じ図であり、本発明の第3の実施形態によるエスケープバルブが開構成にある図である。
【
図6】閉構成にある時計ケースの中央部に取り付け可能で、膜を含むシーリング要素を有する圧力制御モジュールを備えている、本発明の第4の実施形態によるエスケープバルブの半断面図である。
【
図7】
図6とほぼ同じ図であり、本発明の第4の実施形態によるエスケープバルブが開構成にある図である。
【
図8】
図5に示したエスケープバルブの断面図であり、エスケープバルブの中を流体が通って排出パイプを流れている、本発明の第3の実施形態による図である。
【
図9】このようなエスケープバルブを備えている時計を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、
図9に示した時計22のケース内に存在する、好ましくはヘリウムなどのガス状流体Fの余剰分を排出することを可能にするバルブに関する。このようなバルブは、時計22、特に潜水時計用のヘリウムバルブあるいはエスケープバルブとも呼ばれる。このバルブは、図面には一般参照符号1a、1b、1c、1dで表記されている。
【0013】
図1〜
図8に示したエスケープバルブ1a〜1dの4つの実施形態では、このバルブ1a〜1dは、時計ケースのケース中央部20にねじ締めするか押し込むことによってこのケースに固定するように意図されたチューブ3a、3b、3c、3dを備えている。このチューブ3a〜3dがケース中央部にねじ締めされる場合、チューブは、このケース中央部20に含まれる下部に画成されたねじ切り領域21を有する。このチューブ3a〜3dは、その中間部分に、溝が設けられた隆起部を有し、この溝にOリング23が収容され、Oリングは、ケース中央部20の辺りでチューブのシーリングを確実にする。図示した例では、チューブ3a〜3dは、ケース中央部20の上に出ている部分で終端され、この部分はバルブヘッド2a、2b、2c、2dで覆われるように意図されている。一変形実施形態によれば、チューブ3a〜3dはケース中央部20に埋め込まれてもよいことは自明である。
【0014】
図1〜
図5に示したエスケープバルブ1a、1b、1cの第1の実施形態、第2の実施形態および第3の実施形態では、チューブ3a、3b、3cは流体管10を含んでいる。この流体管10には、この管10の上区画13aを下区画13bから仕切る内支持面24が設けられ、下区画13bは、ケース内部に接続する通路を有する。この支持面24は、インサートであってもよいし(
図1、2に示している)、あるいはチューブ3a、3b、3cの内壁18bと一体に形成されてもよい(
図3、4、5に示している)ことに注意すべきである。
【0015】
バルブ1a〜1dの様々な実施形態では、バルブヘッド2a〜2dは、全体的に筒状の本体である。このバルブヘッド2a〜2dは、このバルブヘッド2a〜2dの回転軸A周りに回転対称であるカバー4および軸沿いスカート5を含んでいる。このカバー4および軸沿いスカート5は、バルブヘッド2a〜2dにキャビティ25を画成する。
【0016】
このバルブヘッド2a〜2dでは、カバー4は中央接続要素16を有し、中央接続要素は、このカバー4の内面から突出して、このキャビティ25内を軸Aの方向に軸沿いに延びている。したがって、この構成では、このような中央接続要素16は、カバー4と一体であり、好ましくは軸Aに対して垂直な横断面を有し、この部分は円形である。バルブ1a、1b、1dの第1の実施形態、第2の実施形態および第4の実施形態に関連する
図1〜
図3、
図6および
図7では、この中央接続要素16は、バルブヘッド2a、2b、2d内にこのバルブヘッド2a、2b、2dの行程を制御する手段17bを設置するように意図した、中空筒状の形状である中央ブッシングを形成してよい。バルブヘッド2a、2b、2dの行程を制御するこのような手段17bは、このバルブヘッド2a、2b、2dの本体の中に挿入される要素である。この制御手段17bは、その一方の端部辺りに、例えばねじ締めによって、中央接続要素16の内壁19aに機械的に接続される。
【0017】
エスケープバルブ1a〜1dは、さらに、このエスケープバルブ1a〜1dのシーリングを確実にするように、バルブヘッド2a〜2dの軸沿いスカート5とチューブ3a〜3dとの間に介在するシール材26を含んでいる。この状況では、このシール材26はOリングである。このエスケープバルブ1a、1dの第1の実施形態および第4の実施形態に関連する
図1、
図2、
図6および
図7では、このシール材26は、バルブヘッド2a、2dの軸沿いスカート5の内壁に対して位置決めされたスペーサ29と保持リング28との間で軸方向に維持される。この環状保持リング28は、これに合致する形状の溝42に例えば押し込むことによって固定され、溝は、チューブ3a、3dの外壁18aの方を向いている軸沿いスカート5の底部に向かって位置している。一変形例によれば、スペーサ29および/または保持リング28は、軸沿いスカート5と一体であってよい。エスケープバルブ2bの第2の実施形態に関連する
図3では、このような接合材26は、軸沿いスカート5に作られた溝に配置される。エスケープバルブ1cの第3の実施形態に関連する
図4および
図5では、このようなシール材26は、軸沿いスカート5に作られた円形肩部40と環状保持リング28との間に配置される。
【0018】
これらの様々な実施形態では、エスケープバルブ1a〜1dが
図1、
図4および
図6に示した閉構成にあるとき、シール材26は、シーリング特性ができる限り最良になるようにチューブ3a〜3dの隆起部30によって過度に圧縮される。
【0019】
このバルブ1a〜1dでは、バルブヘッド2a〜2dは、第1の軸沿い位置および第2の軸沿い位置に構成されてよい。さらに詳細には、
図1、
図4および
図6に示した第1の軸沿い位置では、バルブ1a〜1dは、そのとき閉構成にあり、流体Fがエスケープバルブ1a〜1dに一切流れないようにバルブヘッド2a〜2dはチューブ3a〜3dの流体管10を気密に閉鎖している状態である。
図2、
図3、
図5、
図7および
図8に示した第2の軸沿い位置では、バルブ1a〜1dは開構成にあり、バルブヘッド2a〜2dがこの流体管10を閉塞しなくなった状態である。
【0020】
エスケープバルブ1a〜1dは、軸方向の案内要素15も備えており、この案内要素は、チューブ3a〜3dに対するバルブヘッド2a〜2dの軸方向の移動を制御して、このヘッド2a〜2dを一方の軸沿い位置またはもう一方の軸沿い位置に構成できるようにする。これらの案内要素15は、第1の案内領域および第2の案内領域11a、11bを含み、該領域はそれぞれ、バルブヘッド2a〜2dのカバー4に含まれる中央接続要素16の外壁19b、およびチューブ3a〜3dの流体管10の内壁18bに全体的または部分的に画成される。第1の実施形態、第2の実施形態および第3の実施形態では、この第2の案内領域11bは、流体管10の上区画13aの内壁18bに含まれる。第2の実施形態では、この第2の案内領域11bは、流体管10の内壁18bに固定されたインサート39に含まれることに特に注意すべきである。この第1の案内領域および第2の案内領域11a、11bの各々は、前記バルブ1a〜1dが開構成または閉構成にある間はバルブヘッド2a〜2dがチューブ3a〜3dと常に係合している状態にするねじ山を含んでいる。この状況では、エスケープバルブ1a〜1dは、バルブヘッド2a〜2dのねじを弛めて閉構成から開構成になったことによってパラメータ化されてよく、開構成から閉構成に移るには逆の動作を実施する必要がある。
【0021】
このエスケープバルブ1a〜1dは、特にバルブヘッド2a〜2dが第2の軸沿い位置にあるときに、バルブヘッド2a〜2dとチューブ3a〜3dとの結合が離れるのを防止する阻止要素12a、12bも備えている。このバルブ1a〜1dでは、阻止要素12a、12bは、チューブ3a〜3dの外壁または内壁18a、18bにもバルブヘッド2a〜2dにも含まれる。
【0022】
さらに詳細には、第1の実施形態、第2の実施形態および第4の実施形態では、阻止要素12aは当接部17aを含み、これは「バルブヘッドの行程を限定する当接部」としても知られている。この当接部17aは、チューブ3a、3b、3dの流体管10の内壁18bに含まれる。これらの阻止要素12aは、前述したようにバルブヘッド2a、2b、2dの行程を制御する手段17bも含み、この手段は、バルブヘッド2a、2b、2dがチューブ3a、3b、3dに対して移動するときに第2の軸沿い位置にあるように当接部17aと協働してバルブ1a、1b、1dを開構成にパラメータ化することも意図されている。第1の実施形態および第4の実施形態では、この当接部17aは、チューブ3a、3dの流体管10の内壁18bと一体に形成される(
図1、
図2、
図6および
図7に示している)、あるいは第2の実施形態のように、この流体管10の内壁18bに固定されているインサート39に含まれてもよく、インサートは第2の案内領域11b(
図3に示している)も含んでいることに注意すべきである。
【0023】
図4および
図5に示したこのエスケープバルブの第3の実施形態では、阻止要素12bは、環状保持リング17cおよび円形肩部17dを含んでいる。このリング17cは、本質的に長方形の横断面を有し、好ましくは軸沿いスカート5に画成された相補形の溝41に含まれる。この溝41は、好ましくは軸沿いスカート5の中央部に位置している。一方、円形肩部17dは、チューブ3cの外壁18aに含まれ、支持面を含み、リング17cはこの支持面に対して当接する状態になってよい。この実施形態の一変形例では、リング17cは、チューブ3aの外壁18aに画成された相補形の溝および軸沿いスカート5に画成された円形肩部17dに含まれてよい。
【0024】
これらの実施形態では、このようなエスケープバルブ1a〜1dは、バルブ1a〜1dが開構成にあるときにケース内部と流体連通して余分な流体Fを排出するように構成された出口チャネルを含んでいる。この出口チャネルは、チューブ3a〜3dに画成された流体管10と、このチューブ3a〜3dの外壁18aとバルブヘッド2a〜2dの軸沿いスカート5の内壁との間に含まれる流体通路とを含んでいる。この出口チャネルは、チューブ3a〜3dの下部に画成された開口辺りに含まれる入口31aと、軸沿いスカート5の底部の内壁とチューブ3a〜3dの外壁18aとの間に含まれる出口31bとを有する。
【0025】
さらに、これらの実施形態では、エスケープバルブ1a〜1dは、バルブヘッド2a〜2dから離れている圧力制御モジュール6a、6bも備えている。特に、第1の実施形態、第2の実施形態および第3の実施形態では、エスケープバルブ1a、1b、1cの圧力制御モジュール6aは、ピストン7、弾性部材8およびピストン7の作動手段を備えている。この圧力制御モジュール6aでは、ピストン7は、チューブ3a、3b、3cに画成された流体管10に収容される。このピストン7は、このチューブ3a、3b、3c内で摺動するように取り付けられ、本質的に筒状であり、2つの部分32a、32bを有する。第1の部分32aは、チューブ3a、3b、3cの流体管10の上区画13aに配置されるピストンのヘッドを含み、ピストン7がこの管10内を移動する行程でこのピストンの案内に寄与するために、この区画13aの内壁18bと協働するように適応している。一方、第2の部分32bは、内支持面24に設けられた中央開口部と流体管10の下区画13bの両方に位置付けられる。ピストン7のこの第2の部分32bは、ピストン7の作動手段9を受け入れるように意図された自由端を含んでいる。
【0026】
このような作動手段9は、流体Fと接触するように意図されている。作動手段は、この作動手段をピストン7の第2の部分32bの自由端に確実に装着できる接続部品33を備えている。この接続部品33は、筒状であってよく、内壁にねじ山を切った部分を含んでいてよく、その部分は、ピストン7の第2の部分32bのこの自由端の雌ねじを切った部分にねじ締めされる。この作動手段9は、支持面34を有し、ケースから来る流体Fはこの支持面に圧力をかけようとする。この支持面34は、出口チャネルの入口31aを部分的または完全にふさぐように適応している。
【0027】
この圧力制御モジュール6aでは、弾性部材8、例えば螺旋型の圧縮バネは、チューブ3a、3b、3cの流体管10の下区画13b内に配置されることによって、ピストン7の第2の部分32bが中を通るように適応している。この下区画13bで、バネは第1の端部および第2の端部を有し、両端部は、内支持面24と支持面34と平行であってよい作動手段9の支え面35とにそれぞれ当接している。この下区画13bでは、バネは、内支持面24と支え面35との間で軸方向に圧縮されるように取り付けられ、それによってピストンのヘッド32aは、エスケープバルブ1a、1b、1cのシーリングを確実にするようにOリング36を内支持面24に対して圧迫できる。
【0028】
そのため、この構成では、ケース内部に過剰な圧力があれば、流体F、この特定の場合ではガス状のヘリウムは、作動手段9の支持面34と接触する。支持面34にかかる圧力がエスケープバルブ1a、1b、1cを作動させる閾値圧力以上であるかぎり、作動手段9は、ピストン7をバネの弾性戻り力に対抗して移動させ、それによってバネを変形させ、流体Fを下区画13bから上区画13aに向けて支持面24の中央開口部を介して通過させて、この流体Fを出口チャネルの出口31bから排出する。エスケープバルブ1a、1b、1cの作動/起動を引き起こすこの閾値圧力は、バルブ1a、1b、1cを使用する条件に適応してよく、この適応は、圧力バネの剛性を選択することによって、かつ/またはピストン7の作動手段9の支持面34の表面の寸法の構成によって実現される。
【0029】
この構成では、ピストン7のヘッドを形成しているこのピストンの第1の部分32aの上部は、前記上部に対向して配置された制御手段17bの自由端27の一部の形状(くぼみ)と相補形状(例えば正方形)であってよく、それによって一時的に回転状態で固定されることができ、かつこのようなバルブ1a、1b、1cの組み立て過程でエスケープバルブ1a、1b、1cにこの制御手段17bとピストン7とを組み立てやすくなることに注意すべきである。
【0030】
図6および
図7に示した第4の実施形態では、圧力制御モジュール6bは、排出パイプの入口31aの近辺あるいは内部のいずれかで流体管10内に位置しているシーリング要素14を備えている。このシーリング要素14は、この流体管10内に配置されてこの流体管をふさぐ。このシーリング要素14は、第1の固定部品と第2の固定部品37a、37bとの間に介在する膜14を含み、両固定要素はシーリング要素を流体管10の内壁18bに接続する。換言すれば、この膜14は、この2つの固定部品37a、37bの間に挟まれる。このような膜は、
− ガスに対して透過性で、ケース内部の圧力が所定の値を超えたときにケース内部から外部への流体連通を達成し、
− ケース外部からケース内部に向かって流れる液体に対して不透過性である
ように構成される。
【0031】
そのため、この構成では、ケース内部に過剰な圧力があれば、流体F、この特定の場合ではガス状ヘリウムは、ガス透過性の膜14と接触し、それによって流体Fはこの膜を通り抜け、流体管10および出口チャネルの流体通路を流れてケース外部に排出されることができる。この膜があることにより、液体が停止し、ケースのシーリングが確保されることに注意すべきである。さらに、このような膜は、水に対して不透過性でガスに対して透過性であるポリマー製のフィルムからなる。典型的には、フィルムポリマーはガスに対して多孔性の基板に支持される。有利には、この膜は、ゴア株式会社が品番「Acoustic vent GAW331」として販売する膜であってよい。
【0032】
このように、これらの様々な実施形態では、このバルブ1a〜1dの圧力制御モジュール6a、6bによって、例えばダイバーが水面に戻ることで起こる時計ケース内部の圧力の変化を調節することが可能になる。
【0033】
このほか、バルブ1a〜1dは、チューブ3a〜3dに対するバルブヘッド2a〜2dの軸沿い位置、特にこのバルブヘッド2a〜2dの第1の軸沿い位置または第2の軸沿い位置を示す視覚表示器38を備えていてよい。このような視覚表示器38は、バルブ1bの第2の実施形態に関する
図3に示している。この視覚表示器38は、チューブ3bの外壁18aに画成された相補形のハウジングに配置されるリングであってよい。この視覚表示器38は、このチューブ3bの外壁18aの色およびバルブヘッド2bの色とは異なる色であることが好ましく、軸沿いスカート5の底部に覆われるように/底部による覆いがなくなるようにこの外壁18aに位置している。そのため、このような視覚表示器38は、バルブヘッド2bが第1の軸沿い位置にあるときにこの軸沿いスカート5の底部に隠れるようになり、かつバルブヘッド2bがこの第1の位置とは異なる軸沿い位置にあるとき、特に第2の軸沿い位置にあるときに、軸沿いスカート5のこの底部による覆いが完全にまたは部分的になくなることによって見えるようになる。
【0034】
図2、
図3、
図5、
図7および
図8を参照すると、チューブ3a〜3dのねじを弛めるためにバルブヘッド2a〜2dに力を印加することによってエスケープバルブ1a〜1dが閉構成から開構成にパラメータ化されるとき、このバルブ1a〜1dの出口チャネルは、そのときケース内部と流体連通している状態になる。この状況では、バルブヘッド2a〜2dは、阻止要素12a、12bおよび/または軸方向の案内要素15があることによって特に径方向に固定され保持される。この構成では、余分な流体Fは、その際に出口チャネルを介して排出される。この余分な流体Fのこの排出について、
図4、
図5および
図8に示したバルブ1cの実施形態を例として以下に説明する。さらに詳細には、
図8では、この排出過程で、この余分な流体Fは、ケースから出て、チューブ3cの下部に画成された開口部に含まれる入口31aの辺りでバルブ1cに、符号45aの矢印の方向に進入する。次にこの流体Fは、作動手段9の支持面34に圧力をかけて弾性部材8を圧縮し、それによってピストン7を持ち上げる。この構成では、次に流体Fは、この管10の下区画13bを符号45bの矢印の方向に流れてから、内支持面24に設けられた中央開口部を通って上区画13aに進入する。続いて、この流体Fは、符号45cおよび45dの矢印の方向に向かって上区画13aを出て、このチューブ3cの外壁18aとバルブヘッド2cの軸沿いスカート5の内壁との間に含まれる流体通路を通って、軸沿いスカート5の底部の内壁とチューブ3cの外壁18aとの間に含まれるこの出口チャネルの出口31bまで流れる。
【0035】
有利には、このようなエスケープバルブ1a〜1dのシーリングは、バルブヘッド2a〜2dが圧力制御モジュール6a、6bから離れていて、それによってシーリング要素14またはピストン7の軸沿い位置に影響を及ぼさずにこのバルブヘッド2a〜2dを操作するという点で改良されている。実際、先行技術のバルブは、バルブヘッドの操作過程でピストンの軸沿い位置に変化が起こることが多く、この流体の圧力が閾値圧力より低いとしても、流体Fの漏れの原因となる。
【符号の説明】
【0036】
1a、1b、1c、1d バルブ
2a、2b、2c、2d バルブヘッド
3a、3b、3c、3d チューブ
4 カバー
5 軸沿いスカート
6a、6b 圧力制御モジュール
7 ピストン
8 弾性部材
9 作動手段
10 流体管
11a 第1の案内領域
11b 第2の案内領域
12a、12b 阻止要素
13a 流体管の上区画
13b 流体管の下区画
14 シーリング要素
14 膜
15 案内要素
16 中央接続要素
17a 当接部
17b バルブヘッドの行程を制御する手段
17c 保持リング
17d 円形肩部
18a 外壁
18b 内壁
19a 内壁
19b 外壁
20 ケース中央部
21 ねじ切り領域
22 時計
23 Oリング
24 内支持面
25 キャビティ
26 シール材
27 自由端
28 保持リング
29 スペーサ
30 隆起部
31a 出口チャネルの入口
31b 出口チャネルの出口
32a ピストンの第1の部分
32b ピストンの第2の部分
33 接続部品
34 支持面
35 支え面
36 Oリング
37a 第1の固定部品
37b 第2の固定部品
38 視覚表示器
39 インサート
40 円形肩部
41、42 溝
45a、45b、45c、45d 矢印
A 回転軸
F 流体