(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6705898
(24)【登録日】2020年5月18日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】ファスナーストリンガー取付構造
(51)【国際特許分類】
A41D 1/06 20060101AFI20200525BHJP
A41D 1/14 20060101ALI20200525BHJP
A44B 19/34 20060101ALI20200525BHJP
A41D 27/00 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
A41D1/06 502F
A41D1/14 Z
A44B19/34
A41D27/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-527270(P2018-527270)
(86)(22)【出願日】2016年7月11日
(86)【国際出願番号】JP2016070461
(87)【国際公開番号】WO2018011866
(87)【国際公開日】20180118
【審査請求日】2018年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】512164919
【氏名又は名称】株式会社ゴタリオ
(73)【特許権者】
【識別番号】000006828
【氏名又は名称】YKK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥越 典子
(72)【発明者】
【氏名】松井 昭司
(72)【発明者】
【氏名】益田 尚
【審査官】
西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3184077(JP,U)
【文献】
特開2000−303298(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/007411(WO,A1)
【文献】
米国特許第04251913(US,A)
【文献】
特開2003−073906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 1/06 − 1/16
A41D 27/00 − 27/28
A44B 19/00 − 19/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々に取り付けられたファスナーストリンガー(11,12)により開閉自在に構成された上側生地(P3)及び下側生地(P2)のうちの前記下側生地(P2)におけるファスナーストリンガー取付構造であって、
前記下側生地(P2)は、スライドファスナー(10)が取り付けられる被縫製物品の本体の外周面の少なくとも一部を構成する生地から裁断なく繋がる生地であり、
前記下側生地(P2)の端部(P23)よりも前記ファスナーストリンガー(11)のファスナーエレメント(E)が内側となるように、前記ファスナーストリンガー(11)のファスナーテープ(T)が前記下側生地(P2)の上側の面に縫い糸(S1)により縫い付けられ、
前記縫い糸(S1)における前記ファスナーテープ(T)よりも上側に位置する部分が、前記ファスナーテープ(T)の上側の面と接触していることを特徴とするファスナーストリンガー取付構造。
【請求項2】
前記ファスナーストリンガー(11)の前記ファスナーテープ(T)は、1シームにより前記下側生地(P2)に縫い付けられていることを特徴とする請求項1に記載のファスナーストリンガー取付構造。
【請求項3】
前記ファスナーテープ(T)のテープ幅(W1)が3mm〜10mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のファスナーストリンガー取付構造。
【請求項4】
前記上側生地(P3)の控え量(W2)が3mm〜12mmであり、
前記上側生地(P3)により前記下側生地(P2)に縫い付けられた前記ファスナーストリンガー(11)が完全に覆われることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のファスナーストリンガー取付構造。
【請求項5】
前記ファスナーテープ(T)が編みテープであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のファスナーストリンガー取付構造。
【請求項6】
前記縫い糸(S1)は、2枚又は3枚の前記下側生地(P2)を貫通していることを特徴とする請求項1又は2に記載のファスナーストリンガー取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ズボン(パンツ)の前開き、スカートの開き部分、ズボンの裾スリット開き部分、セーター類の開き部分、カバン類の開き部分、靴やブーツ類の開き部分に取り付けられるスライドファスナーのファスナーストリンガー取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、
図7に示すように、ズボンPの前開きP1には、その前開きP1を開閉するスライドファスナー10が取り付けられている。そして、このスライドファスナー10は、
図8に示すように、一対のストリンガー11,12を備え、一方のファスナーストリンガー11がズボンPの下前身頃(下側生地)P2の側縁部P21に縫着され、他方のファスナーストリンガー12がズボンPの上前身頃(上側生地)P3の側縁部P31に縫着されている。なお、
図8中の符号Tはファスナーテープであり、符号Eはファスナーエレメントである。
【0003】
そして、一方のファスナーストリンガー11は、下前身頃P2の側縁部P21とフライF1との間に配置され、1シームの縫い糸S1により下前身頃P2の側縁部P21及びフライF1に縫い付けられている。また、下前身頃P2の側縁部P21は下面側に折り返される折返し部P22を有する。また、フライF1は、表裏の布地F11,F12からなり、表裏の布地F11,F12は、その一側縁部がそれぞれ内側に折り返され、その折返し部が1シームの縫い糸S2により互いに縫い付けられると共に、その他側縁部が1シームの縫い糸S3により互いに縫い付けられている。従って、下前身頃P2側のファスナーストリンガー取付構造は、生地が5枚重ね合された構造になっている。なお、上記フライF1とは、スライドファスナーより内側の衣服などの生地や肌がスライドファスナーに噛み込まれないようにするためのものである。
【0004】
また、下前身頃P2を側縁部P21で折り返してファスナーテープTの上側に重ねて縫製する理由は、ファスナーテープTの見せ幅(露出幅)を小さくすることで、スリムな見栄えとしたり、ファスナーテープTが縫目から浮いてばたつくのを抑えるためである。すなわち、通常、汎用のスライドファスナーは、ファスナーを取り付ける生地と重ねて縫製することを前提としているため、そのテープ幅は12mm〜15mmあるいはそれ以上となるように余裕をもって作成されているため、前述のように重ねて縫製することが必然となっていた。なお、本明細書においてファスナーのテープ幅とは、
図8にW0として記載のように、一方のファスナーストリンガー11における、ファスナーテープのエレメント側の側縁端部とエレメントの無い側の側縁端部の距離のことである。
【0005】
また、他方のファスナーストリンガー12は、上前身頃P3の下面側に生地片F2を介して2シームの縫い糸S4により縫い付けられている。生地片F2は、上前身頃P3の下面側に1シームの縫い糸S5,S6により縫い付けられている。また、上前身頃P3の側縁部P31は下面側に折り返される折返し部P32を有する。また、生地片F2は上面側に折り返される折返し部F21を有する。従って、上前身頃P3側のファスナーストリンガー取付構造は、生地が3枚重ね合された構造になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来のファスナーストリンガー取付構造では、下前身頃P2側は生地が5枚重ね合せられる構造であるため、下前身頃P2の側縁部P21の周辺が厚くなってしまい、ズボンPの綺麗なシルエットが得られず、また、ズボンPの着用感が低くなってしまっていた。また、縫製箇所が多いため、ズボンPの製造コストが増大してしまっていた。また、下前身頃P2の折返し部P22の端縁、一方のファスナーストリンガー11のファスナーテープTの端縁、及びフライF1の布地F11,F12の端縁が幅方向で同じ位置に配置されるため、生地量の変化が大きく、ズボンPの綺麗なシルエットを得ることができなかった。さらに、上記各端縁にはオーバーロックが施されているので、生地の重なり枚数以上に側縁部P21の厚さが増していた。
【0007】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、下前身頃の側縁部における重ね合せ生地数を減らして、ズボンの綺麗なシルエットが得られ、また、ズボンの着用感を向上することができ、さらに、ズボンの製造コストを低減することができるファスナーストリンガー取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1)各々に取り付けられたファスナーストリンガーにより開閉自在に構成された上側生地及び下側生地のうちの下側生地におけるファスナーストリンガー取付構造であって、
下側生地は、スライドファスナーが取り付けられる被縫製物品の本体の外周面の少なくとも一部を構成する生地から裁断なく繋がる生地であり、下側生地の端部よりもファスナーストリンガーのファスナーエレメントが内側となるように、ファスナーストリンガーのファスナーテープが下側生地の上側の面に縫い糸により縫い付けられ、縫い糸におけるファスナーテープよりも上側に位置する部分が、ファスナーテープの上側の面と接触していることを特徴とするファスナーストリンガー取付構造。
(2)ファスナーストリンガーのファスナーテープは、1シームにより下側生地に縫い付けられていることを特徴とする(1)に記載のファスナーストリンガー取付構造。
(3)ファスナーテープのテープ幅が3mm〜10mmであることを特徴とする(1)又は(2)に記載のファスナーストリンガー取付構造。
(4)上側生地の控え量が3mm〜12mmであり、上側生地により下側生地に縫い付けられたファスナーストリンガーが完全に覆われることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載のファスナーストリンガー取付構造。
(5)ファスナーテープが編みテープであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載のファスナーストリンガー取付構造。
(6)縫い糸は、2枚又は3枚の下側生地を貫通していることを特徴とする(1)又は(2)に記載のファスナーストリンガー取付構造。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、
下側生地は、スライドファスナーが取り付けられる被縫製物品の本体の外周面の少なくとも一部を構成する生地から裁断なく繋がる生地であり、下側生地の端部よりもファスナーストリンガーのファスナーエレメントが内側となるように、ファスナーストリンガーのファスナーテープが下側生地の上側の面に縫い糸により縫い付けられ、縫い糸におけるファスナーテープよりも上側に位置する部分が、ファスナーテープの上側の面と接触している
。このため、下側生地の側縁部における重ね合せ生地数を従来よりも減らすことができる。従って、ズボンの綺麗なシルエットが得られ、また、ズボンの着用感を向上することができる。さらに、縫製箇所を減らすことができるので、ズボンの製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係るファスナーストリンガー取付構造の一実施形態が採用されたズボンの前開き周辺の正面図である。
【
図2】
図1に示すスライドファスナーの周辺の断面図である。
【
図3】
図2に示す下前身頃側のファスナーストリンガー取付構造の第1変形例を説明する断面図である。
【
図4】
図2に示す下前身頃側のファスナーストリンガー取付構造の第2変形例を説明する断面図である。
【
図5】
図2に示す上前身頃側のファスナーストリンガー取付構造の第1変形例を説明する断面図である。
【
図6】
図2に示す上前身頃側のファスナーストリンガー取付構造の第2変形例を説明する断面図である。
【
図7】従来のファスナーストリンガー取付構造を説明するためのズボンの前開き周辺の正面図である。
【
図8】
図7に示すスライドファスナーの周辺の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るファスナーストリンガー取付構造の一実施形態が採用されたズボンについて、図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
本実施形態のファスナーストリンガー取付構造が採用されたズボンPは、
図1及び
図2に示すように、前開きP1を有する下前身頃(下側生地)P2及び上前身頃(上側生地)P3と、その前開きP1を開閉するスライドファスナー10と、を備える。なお、本実施形態において、下側とは、ファスナーが閉じた状態でファスナーよりも収納物側と定義し、その反対側を上側と定義する(
図2の矢印の記載を参照)。なお、収納物とは、ファスナーによって閉じ込めようとする対象物であり、例えば、ズボンの場合は体であるし、カバンの場合はカバン収納物であるし、ブーツの場合は足のことである。また、外側とは、ファスナーのテープ幅方向において、ファスナーの一方のファスナーエレメントEから見て他方のファスナーエレメントEに噛合する方向側(ファスナーが閉じる方向側。)と定義し、その反対側を内側と定義する。
図2の矢印に記載のとおり、下前身頃P2の内側とは、上前身頃P3から見ると外側ということになる。また、
図2のテープ幅W1の幅方向のことを単に幅方向とも言う。
なお、本明細書において、上側生地、下側生地とは、ファスナーが取り付けられる被縫製物品の本体(ズボン、鞄、靴など)の外周面の少なくとも一部を構成する生地のから裁断なく繋がる生地のことを意味し、
図7、
図8の従来技術に記載のフライF1のような本体の外周面を構成しない補助的な生地や裏生地は含まない。
【0013】
スライドファスナー10は、
図2に示すように、一対のファスナーストリンガー11,12を備え、一方のファスナーストリンガー11がズボンPの下前身頃P2の側縁部P21に縫着され、他方のファスナーストリンガー12がズボンPの上前身頃P3の側縁部P31に縫着されている。一対のファスナーストリンガー11,12は、ファスナーテープTと、ファスナーテープTの側縁部に取り付けられるファスナーエレメントEと、をそれぞれ備える。このため、一対のファスナーストリンガー11,12により、下前身頃P2及び上前身頃P3は開閉自在に構成されている。
【0014】
下前身頃P2の側縁部P21は、下面側に折り返される折返し部P22を有する。そして、下前身頃P2の外側端部P23よりもファスナーストリンガー11のファスナーエレメントEが内側となるように、ファスナーストリンガー11のファスナーテープTが、下前身頃P2の側縁部P21の上側の面に1シームの縫い糸S1により縫い付けられている。
【0015】
縫い糸S1は、一方のファスナーストリンガー11のファスナーテープT、下前身頃P2の側縁部P21、及び下前身頃P2の折返し部P22の合計3枚の生地を貫通している。また、縫い糸S1は、そのファスナーテープTよりも上側に位置する部分が、ファスナーテープTの上側の面と接触している。また、下前身頃P2の折返し部P22の端縁及び一方のファスナーストリンガー11のファスナーテープTの端縁が幅方向で異なる位置に配置されている。
【0016】
上前身頃P3の側縁部P31は、下面側に折り返される折返し部P32を有する。そして、上前身頃P3の外側端部P33よりもファスナーストリンガー12のファスナーエレメントEが内側となるように、ファスナーストリンガー12のファスナーテープTが、上前身頃P3の折返し部P32の下側の面に1シームの縫い糸S2により縫い付けられている。また、折返し部P32の内側端部は、1シームの縫い糸S3により上前身頃P3の側縁部P31の下側の面に縫い付けられている。
【0017】
縫い糸S2は、他方のファスナーストリンガー12のファスナーテープT、上前身頃P3の折返し部P32、及び上前身頃P3の側縁部P31の合計3枚の生地を貫通している。また、縫い糸S2は、そのファスナーテープTよりも下側に位置する部分が、ファスナーテープTの下側の面と接触している。また、上前身頃P3の折返し部P32の端縁及び他方のファスナーストリンガー12のファスナーテープTの端縁が幅方向で異なる位置に配置されている。
【0018】
そして、このように構成されたファスナーストリンガー取付構造では、下前身頃P2の側縁部P21における重ね合せ生地数を従来の5枚から3枚に減らすことができる。このため、ファスナーストリンガー縫着部分の生地の重なり合い減らし、ファスナーストリンガー周辺の凸凹を減らすことができるので、ズボンPの綺麗なシルエットが得られると共に、ズボンPの着用感を向上することができる。また、下前身頃P2の側縁部P21の縫製箇所を、従来の2ないし3シームから1シームに減らすことができるため、ズボンPの製造コストを低減することができる。また、上前身頃P3の側縁部P31の縫製箇所を、従来の4シームから2シームに減らすことができるため、ズボンPの製造コストを低減することができる。
【0019】
また、本実施形態では、一対のファスナーストリンガー11,12のファスナーテープTは、従来のファスナーテープよりも細幅である。具体的には、ファスナーテープTのテープ幅W1(
図2参照)は、3mm〜10mmである。このため、ファスナーテープTを縫い付けるための縫い糸を1シームにすることができるので、従来と比較して縫製箇所を減らすことができる。また、ファスナーテープTは、織テープでもよく、編テープが更に好ましい。なぜなら、従来の汎用のファスナーテープ(10mmよりも広幅なもの)を裁断して3mm〜10mmの細幅とする場合、織テープは裁断部から糸がほつれやすい(糸がほどけて抜けやすい)傾向にあるが、編テープは、その編組織の特性上、裁断部での糸のほつれがテープ全体に広がることがないからである。なお、従来幅のファスナーテープでは、1シームの縫い糸で縫い付けた場合、縫い糸の両側のファスナーテープの浮きが大きくなってしまうため、2シームの縫い糸で縫い付ける必要が生じてしまう。
【0020】
さらに、ファスナーテープTが細幅であるため、下前身頃P2側の一方のファスナーストリンガー11の上を覆う上前身頃P3の控え量W2を少なくすることができる。具体的には、上前身頃P3の控え量W2は、3mm〜12mmである(
図2参照)。このため、ズボンPのシルエットを更に綺麗にすることができると共に、ズボンPの着用感を更に向上することができる。そして、下前身頃P2に縫い付けられた一方のファスナーストリンガー11は、上前身頃P3により完全に覆われる。なお、上前身頃P3の控え量W2とは、上前身頃P3の外側端部P33からファスナーエレメントEの外側端部までの生地長さのことである。また、従来幅のファスナーテープを使用する場合、ファスナーテープを覆い隠すために控え量を従来のテープ幅に合わせて大きくする必要が生じてしまう。
【0021】
以上説明したように、本実施形態のファスナーストリンガー取付構造によれば、下前身頃P2の外側端部P23よりもファスナーストリンガー11のファスナーエレメントEが内側となるように、ファスナーストリンガー11のファスナーテープTが、下前身頃P2の側縁部P21の上側の面に縫い糸S1により縫い付けられ、縫い糸S1におけるファスナーテープTよりも上側に位置する部分が、ファスナーテープTの上側の面と接触しているため、下前身頃P2の側縁部P21における重ね合せ生地数を従来よりも減らすことができる。従って、ズボンPの綺麗なシルエットが得られ、また、ズボンPの着用感を向上することができる。また、生地数を減らすことができるので、ズボンPを軽量化することができる。さらに、縫製箇所を減らすことができるので、ズボンPの製造コストを低減することができる。
【0022】
また、本実施形態のファスナーストリンガー取付構造によれば、一対のファスナーストリンガー11,12のファスナーテープTが、従来のファスナーテープよりも細幅に設定されているため、上前身頃P3の控え量W2を少なくすることができる。これにより、ズボンPのシルエットを更に綺麗にすることができると共に、ズボンPの着用感を更に向上することができる。
【0023】
また、本実施形態のファスナーストリンガー取付構造によれば、下前身頃P2の折返し部P22の端縁及び一方のファスナーストリンガー11のファスナーテープTの端縁が幅方向で異なる位置に配置されるため、下前身頃P2の側縁部P21における生地量の変化を小さくすることができる。これにより、ズボンPのシルエットを更に綺麗にすることができると共に、ズボンPの着用感を更に向上することができる。
【0024】
次に、
図3を参照して、下前身頃側のファスナーストリンガー取付構造の第1変形例について説明する。
【0025】
本変形例では、
図3に示すように、下前身頃P2の側縁部P21は、下面側に折り返される折返し部P22を有し、側縁部P21の下面側に生地片F3が設けられている。生地片F3は、上面側に折り返される折返し部F31を有する。そして、ファスナーストリンガー11のファスナーテープTが、下前身頃P2の側縁部P21の上側の面に1シームの縫い糸S1により縫い付けられている。縫い糸S1は、ファスナーストリンガー11のファスナーテープT、下前身頃P2の側縁部P21、及び生地片F3の合計3枚の生地を貫通している。また、下前身頃P2の折返し部P22及び生地片F3の折返し部F31が、1シームの縫い糸S2により互いに縫い付けられている。
【0026】
次に、
図4を参照して、下前身頃側のファスナーストリンガー取付構造の第2変形例について説明する。
【0027】
本変形例では、
図4に示すように、下前身頃P2の側縁部P21は、折返し部を有しておらず、側縁部P21の生地端縁が下前身頃P2の外側端部P23となっている。そして、ファスナーストリンガー11のファスナーテープTが、下前身頃P2の側縁部P21の上側の面に1シームの縫い糸S1により縫い付けられている。縫い糸S1は、ファスナーストリンガー11のファスナーテープT及び下前身頃P2の側縁部P21の合計2枚の生地を貫通している。
【0028】
次に、
図5を参照して、上前身頃側のファスナーストリンガー取付構造の第1変形例について説明する。なお、本変形例のファスナーストリンガー取付構造は、
図8に示す従来の上前身頃側のファスナーストリンガー取付構造とほぼ同じ構造である。
【0029】
本変形例では、
図5に示すように、上前身頃P3の側縁部P31は、下面側に折り返される折返し部P32を有し、側縁部P31の下面側に生地片F2が設けられている。生地片F2は、上面側に折り返される折返し部F21を有する。そして、ファスナーストリンガー12のファスナーテープTが、生地片F2の下側の面に1シームの縫い糸S4により縫い付けられている。縫い糸S4は、ファスナーストリンガー12のファスナーテープT、生地片F2、及び上前身頃P3の側縁部P31の合計3枚の生地を貫通している。また、上前身頃P3の折返し部P32及び生地片F2の折返し部F21が、1シームの縫い糸S5により互いに縫い付けられている。また、生地片F2の内側端部は、1シームの縫い糸S6により上前身頃P3の側縁部P31の下側の面に縫い付けられている。
【0030】
次に、
図6を参照して、上前身頃側のファスナーストリンガー取付構造の第2変形例について説明する。
本変形例では、
図6に示すように、上前身頃P3の側縁部P31は、折返し部を有しておらず、側縁部P31の生地端縁が上前身頃P3の外側端部P33となっている。そして、ファスナーストリンガー12のファスナーテープTが、上前身頃P3の側縁部P31の下側の面に1シームの縫い糸S4により縫い付けられている。縫い糸S4は、ファスナーストリンガー12のファスナーテープT及び上前身頃P3の側縁部P31の合計2枚の生地を貫通している。
【0031】
なお、本発明は上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、
図2〜
図6に示す下前身頃側及び上前身頃側のファスナーストリンガー取付構造の組み合わせに制限はなく、その組み合わせは自由である。
また、上記実施形態では、本発明をズボン(パンツ)の前開きに適用した場合を例示したが、これに限定されず、スカートの開き部分、ズボンの裾スリット開き部分、セーター類の開き部分、カバン類の開き部分、靴類の開き部分などに本発明を適用してもよい。
また、上記実施形態の各縫い糸の縫い方は本縫い及び千鳥縫いが好ましい。特に、千鳥縫いの場合は、ファスナーテープ端の浮きを押さえる様に片側の針を生地に落として縫うことができるというメリットがある。
【符号の説明】
【0032】
P ズボン
P1 前開き
P2 下前身頃(下側生地)
P23 下前身頃の外側端部
P3 上前身頃(上側生地)
10 スライドファスナー
11 一方のファスナーストリンガー
12 他方のファスナーストリンガー
T ファスナーテープ
E ファスナーエレメント
S1 縫い糸
W1 ファスナーテープのテープ幅
W2 上前身頃の控え量