(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2のスイッチは、さらに、第4の動作モードにおいて、前記デプリーションモードトランジスタの前記第1のチャネルと、前記エンハンスメントモードトランジスタの前記第2のチャネルとを介して、反対方向に電流を伝導するようにさらに構成され、
前記第4の動作モードにおいて、前記エンハンスメントモードトランジスタの前記第2のゲートは、前記エンハンスメントモードトランジスタの前記第2のソースに対して、前記エンハンスメントモードトランジスタの前記しきい値電圧よりも高い電圧にバイアスされることを特徴とする請求項1又は2に記載のハーフブリッジ。
前記エンハンスメントモードトランジスタは、前記デプリーションモードトランジスタのしきい値電圧の大きさ以上の電圧をブロックするように構成される、請求項6に記載のハーフブリッジ。
前記ハーフブリッジは、前記第4の動作モードで動作している間は、前記第3の動作モードで動作している間よりも低い電力動作モードで動作する、請求項3に記載のハーフブリッジ。
前記第1のスイッチをオフバイアスに変更するステップと、前記エンハンスメントモードトランジスタをオンバイアスに変更するステップとの間の時間が、高電圧源から接地への貫通電流を防止するのに十分である、請求項10に記載の方法。
前記デプリーションモードトランジスタは、寄生ダイオードを欠いており、すべての電流は、前記デプリーションモードトランジスタの前記第1のチャネルを通って前記第2の方向に流れる、請求項13に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
ブリッジ回路は、様々な用途で用いられている。モータ駆動のための典型的な3相ブリッジ回路を
図1に示す。回路10内の3つのハーフブリッジ15、25、35は、それぞれ2つのスイッチ(61〜66)を含み、これらは、一方向の電流を阻止でき、及び両方向に電流を流すことができる。電力回路で一般的に用いられているトランジスタ(41〜46)は、生来的に、逆方向に電流を流すことができないので、回路10の各スイッチ61〜66のトランジスタ(41〜46)は、環流ダイオード(freewheeling diode)51〜56に逆並列(anti-parallel)に接続されている。トランジスタ41〜46は、それぞれ、オフ状態にバイアスされたとき、回路10のハイ電圧(high voltage:HV)源と少なくとも同じ大きさの電圧を阻止することができ、ダイオード51〜56は、それぞれ、逆バイアスされたとき、回路10のハイ電圧(HV)源と少なくとも同じ大きさの電圧を阻止することができる。ダイオード51〜56は、良好なスイッチング特性を有し、スイッチングの間の過渡電流を最小化することが理想的であり、したがって、ショットキーダイオードが広く用いられている。トランジスタ41〜46は、エンハンス型(通常オフ、V
th>0)、すなわち、Eモード素子であってもよく、デプレション型(通常オン、V
th<0)、すなわち、Dモード素子であってもよい。電力回路では、通常、素子又は他の回路要素へのダメージを回避するために、偶発的にオンになることを防止するよう、エンハンス型素子が使用される。ノード17、18、19は、全て、誘導負荷、すなわち、誘導成分、例えば、モータコイル(
図1には示していない。)を介して、互いに接続されている。
【0003】
図2aは、
図1の全3相モータドライブ(full 3-phase motor drive)のハーフブリッジ15を、ノード17とノード18との間のモータの巻線(誘導成分21)、及びモータ電流が供給されるスイッチ64と共に示している。この電力の位相では、トランジスタ44は、継続的にオンであり(V
gs44>V
th)、トランジスタ42は、継続的にオフであり(V
gs42<V
th、すなわち、エンハンス型トランジスタが使用されている場合、V
gs42=0V)、トランジスタ41は、パルス幅変調(PWM)信号によって変調され、所望のモータ電流が得られる。
図2bは、
図2aの図の簡略化されたバージョンであり、トランジスタ41がバイアスされてオンになっている間の電流27の経路を示している。このバイアスでは、モータ電流は、トランジスタ41、44を流れ、一方、トランジスタ42がオフにバイアスされ、及びダイオード52が逆バイアスされるので、スイッチ62には電流が流れない。
図2cでは、トランジスタ41がオフにバイアスされている間、電流は、トランジスタ41又はダイオード51を流れず、したがって、モータ電流は、ダイオード52を流れる。この動作の部分の間、誘導成分21は、ノード17の電圧を、ダイオード52を導通させるために十分な負の値にする。
【0004】
現在、大電力ブリッジ回路では、通常、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(insulated gate bipolar transistor:IGBT)が使用され、小電力用途では、MOSFETとも呼ばれるシリコンMOSトランジスタが使用されている。従来のIGBTは、生来的に、一方向のみに導通し、したがって、IGBTを有するスイッチの適切な動作のためには、環流ダイオードが必要である。標準的なMOSトランジスタは、生来的に逆並列寄生ダイオード(anti-parallel parasitic diode)を含む。
図3aに示すように、MOS素子50のゲート及びソースが同じ電圧でバイアスされ、ドレインが、例えば、トランジスタ41がオフのときにトランジスタ42で生じるようなより低い電圧でバイアスされると(
図2c)、寄生ダイオード60は、真性MOSトランジスタ71がオンになることを阻止する。したがって、逆方向電流37の経路は、寄生ダイオード60を通る。寄生ダイオード60は、スイッチング特性が生来的に劣っているため、MOS素子50がオン又はオフに切り替えられると、寄生ダイオード60では、過渡電流が大きくなる。
【0005】
寄生ダイオード60がオンになることを完全に防止するために、
図3bに示すような3部品ソリューション(3-component solution)が採用されることが多い。
図3bでは、スイッチにダイオード69を追加して、寄生ダイオード60に如何なる電流も流れないようにし、及び
図3bに示す方向、すなわち、MOS素子50のソース側からドレイン側に電流が流れる間、その電流を流すショットキーダイオード68を追加している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
様々な図面における同様の参照符号は、同様の要素を指示している。
【0013】
図4は、6つのスイッチのそれぞれが単一トランジスタ素子(81〜86)を含むブリッジ回路の概略図を示している。トランジスタ81〜86は、閾値電圧V
th>0のエンハンス型素子であってもよく、閾値電圧V
th<0のデプレション型素子であってもよい。大電力用途では、閾値電圧が可能な限り大きく、例えば、V
th>2V又はV
th>3Vであり、0バイアスにおけるソースからドレインへの内部障壁が高く(例えば、0.5〜2eV)、アクセス領域導電率が高く(例えば、シート抵抗<750Ω/square)、降伏電圧が高く(600/1200V)、オン抵抗が低い(600/1200Vのそれぞれについて、5mΩ−cm
2未満/10mΩ−cm
2未満)エンハンス型素子を用いることが望ましい。ゲート電圧V
gs81〜V
gs86は、それぞれ、ゲート駆動回路によって個別に制御される。素子81〜86のそれぞれは、グラウンドに最も近い端子の電圧がDCハイ電圧源に最も近い端子の電圧より低くなったときに、電流が流れることを阻止することできる。幾つかの実施の形態では、これらの素子は、両方向の電流を阻止することができる。また、素子81〜86のそれぞれは、同じ導通経路/チャネルを介して、電流を両方向に流すことができる。ノード17、18、19は、全て、誘導負荷、すなわち、誘導成分、例えば、モータコイル(
図4には示していない。)を介して、互いに接続されている。
【0014】
図5a及び
図5bは、上述した要件を満たすエンハンス型素子を含むブリッジ回路のための
図4の回路の3個のハーフブリッジの1つの動作を示している。ここでは、例示的に、素子が閾値電圧V
th=2Vを有すると仮定する。素子84は、例えば、V
gs84>V
th、例えば、V
gs84=5Vに設定することによって継続的にオンにバイアスされる。素子82は、例えば、V
gs82<V
th、例えば、V
gs82=0Vに設定することによって継続的にオフにバイアスされる。
図5aに示すように、例えば、V
gs81>V
th、例えば、V
gs81=5Vに設定することによって、素子81がオンにバイアスされている間、素子81、誘導成分(モータコイル)21及び素子84を通る電流経路27を電流が流れる。この間、ノード17の電圧は、素子82のソースの電圧より高いが、ハイ電圧源から回路へのハイ電圧(HV)値を超えることはない。素子82は、オフにバイアスされ、したがって、ここに印加される電圧V
aを阻止し、ここで、V
aは、ノード17の電圧である。ここで用いる「電圧を阻止する」という表現は、通常の導通の間に、トランジスタに電圧が印加されたとき、無視できない電流、例えば、動作電流の0.001倍より大きな電流がトランジスタを流れることを防ぐトランジスタの能力を意味する。換言すれば、トランジスタに印加される電圧をトランジスタが阻止している間は、通常の導通の間にトランジスタを流れる総電流は、動作電流の0.001倍を超えない。
【0015】
図5bは、例えば、V
gs81<V
th、例えば、V
gs81=0Vに設定することによって、素子81がオフにされている間の電流経路27を示している。この間、モータ電流は、素子82のチャネル、誘導成分(モータコイル)21及び素子84を流れる。電流がこの方向に素子82を流れる場合、素子82のゲート端子及びソース端子は、何れも0Vであるので、素子82は、事実上、ダイオードとして機能し、これを「ダイオードモード」と呼ぶ。すなわち、素子82のゲートにバイアスされている電圧が素子82の閾値電圧以下であっても、素子82は、
図5bに示す方向に電流を導通し、したがって、素子82は、逆環流ダイオード(reverse free-wheeling diode)を備える従来のトランジスタと同様に動作する。ノード17の電圧V
aは、負であり、素子82のソース電圧を下回る閾値電圧(V
th)に略々等しく、この場合、素子81は、電圧HV+V
thを阻止する。なお、一方向の電流/電圧の阻止及び反対の方向のダイオード動作は、同じ素子(82)で達成される。
【0016】
素子82は、能動スイッチング素子として使用でき、
図5c及び
図5dに示すように、誘導成分(モータコイル)21を介して反対の方向に電流を流すことができる。素子82がオンの場合(
図5c)、電流27は、素子82を流れ、素子81は、電圧HV−V
aを阻止し、素子82がオフの場合(
図5d)、素子81は、ダイオードモードで動作して環流電流を流し、素子82は、電圧HV+V
thを阻止する。このように、全体の回路素子81〜86は、逆並列環流ダイオード(
図1の61〜66)を有する従来の単方向のトランジスタと同様に機能する。
【0017】
ダイオードモードで動作するとき、電流レベル及び素子81〜86の閾値電圧(
図4参照)によっては、素子における電力散逸が許容できないほどに大きくなる。この場合、
図6に示す形状のゲート信号を適用することによって、よりパワーが小さい動作モードを達成してもよい。例えば、素子81が
図5a及び
図5bに示すように切り替えられると、素子82が環流電流を流している(素子81がオフである)間、素子82のゲートは、ハイに駆動され、素子82のドレイン−ソース電圧は、単にオン状態抵抗(Rds−on)×モータ電流になる。ハイ電圧源(HV)からグラウンドへの貫通電流を回避するために、素子81をオフにする時点と、素子82をオンにする時点との間、及び再び素子82をオフにする時点と、素子81をオンにする時点との間に、ある程度の不動作時間を設ける必要がある。
図6では、この不動作時間を「A」の符号で示している。これらの不動作時間の間、素子82は、上述したダイオードモードで動作する。これは、スイッチングサイクルの全体に比べると短時間であるので、電力散逸は、深刻ではない。時間「B」は、素子82の支配的な損失係数を提供し、これは素子82が完全にエンハンスされたときの小電力モードに対応している。
【0018】
図4に戻って説明すると、素子81〜86のダイオードモードの動作は、常に、インダクタ電流のための電流経路を提供する。過渡電流及び実際のインピーダンスを考慮しても、回路は、所望の動作を行う。例えば、素子81〜86のゲート−ドレイン容量及びゲート駆動回路のソース抵抗がゼロではない場合、ノード17におけるスルーレートが高いと、V
aの立ち下がり時間の間、素子82のゲートの電位がグラウンド以下になる。この結果は、単純であり、V
aは、誘導成分21によって理想的なケースより低い電圧に駆動されるが、素子82は、導通する。
【0019】
素子81〜86は、実質的な電流、例えば、少なくとも、トランジスタが使用されている回路の最大動作電流と同じ大きさの電流を、同じプライマリチャネル(primary channel)を介して両方向に流すことができ、及び実質的な電圧、例えば、回路DCハイ電圧HVより大きい電圧を少なくとも一方向に阻止することができる如何なるトランジスタであってもよい。各素子は、少なくとも一方向において、少なくともゼロボルトと、HVより大きい電圧、例えば、HV+1V、HV+5V又はHV+10Vとの間にある電圧を阻止することができなければならない。HVの値、したがって、素子が阻止できる必要がある電圧の範囲は、回路用途毎に異なる。例えば、ある小電力用途では、HVは、10Vであり、素子は、それぞれ、少なくとも0Vと10Vの間の電圧を阻止できればよく、及び10Vより大きい電圧、例えば、11V、20V又は30Vの電圧を阻止してもよい。ある大電力用途では、HVは、1000Vであり、したがって、素子は、それぞれ、少なくとも0Vと1000Vとの間の全ての電圧を阻止し、及び1000Vより大きい電圧、例えば、1100V、1150V又は1200Vの電圧を阻止してもよい。このように、十分な大きさの電圧を阻止することができる適切なトランジスタの選択は、回路の用途に依存する。十分な量の電流を阻止できるトランジスタでは、素子のプライマリチャネル又はプライマリチャネル以外の他の部分から少量の電流が漏れてもよい。但し、トランジスタは、通常の動作の間にトランジスタを流れる最大電流の大きな割合、例えば、最大電流の90%以上、95%以上、99%以上又は99.9%以上の十分な量の電流を阻止できてもよい。
【0020】
これらの基準を満たす素子の具体例は、あらゆる材料系の金属半導体電界効果トランジスタ(metal-semiconductor field effect transistor:MESFET)、あらゆる材料系の接合形電界効果トランジスタ(junction field effect transistor:JFET)、例えば、電流開口縦型電子トランジスタ(current aperture vertical electron transistor:CAVET)等の縦型素子を含むあらゆる材料系の高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor:HEMT又はHFET)、並びに例えば、分極ドープ電界効果トランジスタ(polarization-doped field effect transistor:POLFET)等のチャネル電荷が3次元的に分布する素子である。HEMT及びMESFETのための一般的な材料系には、Ga
xAl
yIn
1−x−yN
mAs
nP
1−m−n又はIII−V材料、例えば、III−N材料、III−As材料及びIII−P材料が含まれる。JFETのための一般的な材料には、III−V材料、SiC、及びSi、すなわち実質的に炭素を含まないシリコンが含まれる。幾つかの実施の形態では、素子は、エンハンス型素子であり(閾値電圧V
th>0)、他の実施の形態では、素子は、デプレション型素子である(V
th<0)。
【0021】
幾つかの実施の形態では、素子81〜86は、閾値電圧は、可能な限り大きく、例えば、V
th>2V又はV
th>3Vであり、0バイアスにおけるソースからドレインへの内部障壁が高く(例えば、0.5〜2eV)、アクセス領域導電率が高く(例えば、シート抵抗<750Ω/square)、降伏電圧が高く(600/1200V)、オン抵抗が低い(600/1200Vのそれぞれについて、5mΩ−cm
2未満/10mΩ−cm
2未満)エンハンス型III族窒化物(III−N)素子から形成される。幾つかの実施の形態では、素子は、例えば、2007年9月17日に出願された米国特許出願番号11/856,687号、及び2008年11月26日に出願された米国特許出願番号12/324,574号に開示されている窒素面III−N HEMT(nitrogen-face III-N HEMT)であり、これらの文献は、引用によって本願に援用される。また、素子は、SiN等のサーフェスパッシベーション層、傾斜フィールドプレート等のフィールドプレート及びゲートの下の絶縁体の何れを含んでいてもよい。他の実施の形態では、素子は、SiC JFETから形成される。
【0022】
幾つかの実施の形態では、
図4の素子81〜86の何れか又は全てに代えて、
図7に示すような素子91が、ハーフブリッジ又はブリッジ回路で用いられる。素子91は、例えば、III−N Eモードトランジスタである低電圧Eモードトランジスタ92を含み、低電圧Eモードトランジスタ92は、ここに示すように、例えば、III−N Dモードトランジスタである高電圧Dモードトランジスタ90に接続されている。幾つかの実施の形態では、Eモードトランジスタ92は、窒素面III−N素子であり、Dモードトランジスタ90は、III面III−N素子である。Eモードトランジスタ92が何れかの方向に電流を流す場合、実質的に全ての電流がトランジスタ92の同じプライマリ素子チャネルを流れる。Dモードトランジスタ90のゲートは、Eモードトランジスタ92のソースに電気的に接続されており、Dモードトランジスタ90のソースは、Eモードトランジスタ92のドレインに電気的に接続されている。幾つかの実施の形態では、Dモードトランジスタ90のゲートは、Eモードトランジスタ92のソースに直接的には接続されない。これに代えて、Dモードトランジスタ90のゲート及びEモードトランジスタ92のソースは、それぞれ、コンデンサの反対端に電気的に接続される。
図7の素子91は、Eモードトランジスタ92と同じ閾値電圧を有する単一高電圧Eモードトランジスタと同様に動作する。すなわち、ノード97に対してノード96に印加される入力電圧信号によって、ノード94において出力信号が生成され、この出力信号は、Eモードトランジスタのソースに対してEモードトランジスタのゲートに入力電圧信号が印加されたときにEモードトランジスタのドレイン端子において生成される出力信号と同じである。ここでは、単一トランジスタの3つの端子について用いる用語と同様に、ノード97、96、94をそれぞれ素子91のソース、ゲート、ドレインと呼ぶ。素子91が阻止モードにある場合、以下に説明するように、電圧の大部分は、Dモードトランジスタ90によって阻止され、Eモードトランジスタ92によって阻止されるのは、僅かな部分のみである。素子91が何れかの方向に電流を流す場合、実質的に全ての電流がEモードトランジスタ92のチャネル及びDモードトランジスタ90のチャネルの両方を流れる。
【0023】
図7の素子91は、以下のように動作する。ノード94がノード97より高い電位に保持されているとき、ノード97に対してノード96に十分な正の電圧(すなわち、Eモードトランジスタ92の閾値電圧より高い電圧)が印加されると、ノード94からノード97に電流が流れ、この電流は、Eモードトランジスタ92のチャネル及びDモードトランジスタ90のチャネルの両方を流れる。ノード97に対するノード96の電圧が、Eモードトランジスタ92の閾値電圧より低い値、例えば、0Vに切り替えられると、素子91は、阻止モードになり、ノード97とノード94との間の電圧を阻止し、素子91には電流が流れなくなる。そして、ノード94の電圧が、同じ電圧に保持されているノード97、96の電圧より低い値に切り替えられると、素子91は、ダイオードモードに切り替わり、全ての実質的な電流がEモードトランジスタ92のチャネル及びDモードトランジスタ90のチャネルの両方を流れる。ノード97に対してノード94にハイ電圧(HV)が印加され、ノード96がノード97に対して0Vにバイアスされると、Eモードトランジスタ92は、|V
th90|に略々等しい又はこれより僅かに大きい電圧を阻止する。ここで、|V
th90|は、Dモードトランジスタ90の閾値電圧の大きさである。V
th90の値は、約−5〜−10Vであってもよい。したがって、ノード95の電圧は、|V
th90|に略々等しく又はこれより僅かに大きくなり、したがって、Dモードトランジスタ90は、オフ状態になり、HVから|V
th90|を減算した値に略々等しい電圧を阻止し、すなわち、Dモードトランジスタ90は、実質的な電圧を阻止する。ノード97に対してノード94に正の電圧が印加され、ノード96がEモードトランジスタ92の閾値電圧V
th92より大きい電圧、例えば、2*V
th92でバイアスされると、Eモードトランジスタ92のチャネル及びDモードトランジスタ90のチャネルの両方を介して、ノード94からノード97に電流が流れ、Eモードトランジスタ92に亘る電圧降下V
Fは、例えば、約0.2V未満等、|V
th90|より遙かに小さくなる。これらの条件下では、ノード97に対するノード95の電圧は、V
Fになり、Dモードトランジスタ90のゲート−ソース電圧V
GS90は、略々−V
Fになる。
【0024】
Dモードトランジスタ90は、例えば、少なくとも600V、又は少なくとも1200V、又は回路用途に必要な他の適切な阻止電圧である大きな電圧を阻止することができる高電圧素子であってもよい。Dモードトランジスタは、少なくとも、実質的な電圧、例えば、上述のように、素子91が阻止モードにある場合、回路DCハイ電圧HVより大きい電圧を阻止することができる。更に、アセンブリがオン状態にあるとき、Dモードトランジスタ90が使用されている回路の用途にとって十分に小さい導通損失で、ノード94からノード97に電流を流すように、Dモードトランジスタ90の閾値電圧V
th90は、−V
Fより十分小さい。すなわち、回路用途に対して、導通損失が大きくなり過ぎないように、Dモードトランジスタ90のゲート−ソース電圧は、V
th90より十分大きい。例えば、V
th90は、−3V、−5V又は−7V以下であってもよく、Dモードトランジスタ90のゲート−ソース電圧V
GS90が略々−V
Fであるとき、Dモードトランジスタ90は、7W未満の導通損失で、10A以上の電流を流すことができる。
【0025】
Eモードトランジスタ92は、少なくとも、|V
th90|より大きい電圧を阻止でき、ここで|V
th90|は、Dモードトランジスタ90の閾値電圧の大きさである。幾つかの実施の形態では、Eモードトランジスタ92は、約2*|V
th90|の電圧を阻止することができる。高電圧DモードIII−Nトランジスタ、例えばIII−N HEMT又はSiC JFET等をDモードトランジスタ90として使用することができる。高電圧DモードIII−Nトランジスタの典型的な閾値電圧は、約−5〜−10Vであるので、Eモードトランジスタ92は、約10〜20V以上の電圧を阻止することができるものであるとよい。幾つかの実施の形態では、Eモードトランジスタ92は、III−N HEMT等のIII−Nトランジスタである。他の実施の形態では、Eモードトランジスタ92は、SiC JFET等のSiCトランジスタである。
【0026】
図4のブリッジ回路の素子81〜86に代わって
図7の素子91が使用される場合、回路は以下のように動作する。素子91が素子81〜86に代わって使用される場合、素子81〜86を素子81’〜86’と記す。幾つかの実施の形態では、素子81’〜86’の全ては、互いに同じである。これの素子が全く同じではない場合であっても、これらの素子のそれぞれは、0より大きい閾値電圧を有する。
図5a及び
図5bに示すスイッチングシーケンスを参照して説明すると、素子81’、84’のゲート−ソース電圧がEモードトランジスタ92の閾値電圧より高く、素子82’のゲート−ソース電圧が0V等、Eモードトランジスタ92の閾値電圧より低いとき、ハイ電圧源からグラウンドに、素子81’のトランジスタのチャネル及び素子84’のトランジスタのチャネルの両方を介して電流が流れる。素子82’は、電圧V
aを阻止する。ここで、V
aは、上述と同様、ノード17の電圧である。
図5bに示すように、素子81’がオフに切り替えられると、誘導成分21は、ノード17の電圧であるV
aを負の値にし、このとき、素子81’は、HVからV
aを減算した電圧を阻止する。これにより、素子82’は、ダイオードモードで動作し、素子82’を介して、グラウンドからノード17に電流が流れる。素子82’を流れる実質的に全ての電流は、Eモードトランジスタ92のチャネル及びDモードトランジスタ90のチャネルの両方を介して流れる。ブリッジ回路が
図5cに示す条件下で動作する場合、すなわち、電流が誘導成分を介してノード18からノード17に流れる場合、素子81’は、オフに切り替えられ、素子82’のゲート−ソース電圧は、Eモードトランジスタ92の閾値電圧より高くされ、電流は、素子82’を介して、ノード17からグラウンドに流れる。素子82’を流れる実質的に全ての電流は、Eモードトランジスタ92のチャネル及びDモードトランジスタ90のチャネルの両方を介して流れる。
【0027】
このように、
図5aに示す動作モードでは、素子の82’内のDモードトランジスタは、実質的な電圧を阻止し、
図5bに示す動作モードでは、素子82’のDモードトランジスタは、自らのチャネルを介して、ソースからドレインに実質的な電流を流し、
図5cに示す動作モードでは、素子82’のDモードトランジスタは、自らのチャネルを介して、ドレインからソースに実質的な電流を流す。
【0028】
図7に戻って説明すると、素子91がダイオードモードで動作する場合、ノード95の電圧は、ノード97の電圧より低い必要がある。したがって、Dモードトランジスタ90のゲートは、Dモードトランジスタ90のソースよりより高い電圧にあり、Dモードトランジスタ90のチャネルは、エンハンスされる。但し、素子81’〜86’がダイオードモードで動作するとき、電流レベル及びEモードトランジスタ92の閾値電圧によっては、Eモードトランジスタ92における電力散逸が許容できないほどに大きくなることがある。この場合、
図6に示す形状のゲート信号を適用することによって、よりパワーが小さい動作モードを達成できる。例えば、素子81’が
図5a及び
図5bに示すように切り替えられると、素子82’が環流電流を流している(素子81’がオフである)間に、素子82’のゲートは、ハイに駆動され、素子82’のドレイン−ソース電圧は、単に素子82’の実効オン状態抵抗(Rds−on)×モータ電流になる。ハイ電圧源(HV)からグラウンドへの貫通電流を回避するために、素子81’をオフにする時点と、素子82’をオンにする時点との間、及び再び素子82’をオフにする時点と、素子81’をオンにする時点との間に、ある程度の不動作時間を設ける必要がある。
図6では、この不動作時間を「A」の符号で示している。これらの不動作時間の間、素子82’は、上述したダイオードモードで動作する。これは、スイッチングサイクルの全体に比べると短時間であるので、電力散逸は、深刻ではない。時間「B」は、素子82の支配的な損失係数を提供し、これは素子82が完全にエンハンスされたときの小電力モードに対応している。
【0029】
幾つかの実施の形態では、
図4の素子81〜86の何れか又は全てに代えて、
図8に示すような素子111が、ハーフブリッジ又はブリッジ回路で用いられる。素子111は、Eモードトランジスタ92が、ここでは、Si MOSトランジスタ103と呼ぶシリコン(Si)ベースの縦型Si MOS電界効果トランジスタ(FET)等の低電圧Eモードトランジスタに置換されている点を除いて、
図7の素子91と同様である。幾つかの実施の形態では、低電圧Eモードトランジスタは、SiC JFET又はSiC MOSFETである。Si MOSトランジスタ103は、
図7のEモードトランジスタ92と同じ電圧阻止要求を有する。すなわちSi MOSトランジスタ103は、少なくとも、|V
th90|より大きい電圧を阻止でき、ここで|V
th90|は、Dモードトランジスタ90の閾値電圧の大きさである。幾つかの実施の形態でSi MOSトランジスタ103は、約2*|V
th90|の電圧を阻止することができる。高電圧DモードIII−NトランジスタをDモードトランジスタ90として使用することができる。高電圧DモードIII−Nトランジスタの典型的な閾値電圧は、約−5〜−10Vであるので、Si MOSトランジスタ103は、約10〜20V以上の電圧を阻止することができるものであるとよい。
【0030】
図8に示すように、Si MOSトランジスタは、生来的に、真性トランジスタ102に逆並列の寄生ダイオード101を含む。Si MOSトランジスタ103は、素子111が阻止モードにあるとき、及び標準の順方向導通モードの間(すなわち、ノード94からノード97に電流が流れるとき)、Eモードトランジスタ92と同様に動作する。すなわち、ノード97に対してノード94にハイ電圧HVが印加され、素子111が阻止モードになるようにSi MOSトランジスタ103のゲート−ソース電圧が閾値以下になると、Si MOSトランジスタ103は、|V
th90|に略々等しい又はこれより僅かに大きい電圧を阻止し、ハイ電圧の残りは、Dモードトランジスタ90によって阻止され、すなわち、Dモードトランジスタ90は、実質的な電圧を阻止する。ノード94の電圧がノード97の電圧より高く、Si MOSトランジスタ103のゲート−ソース電圧が閾値を超えている場合、素子111は、標準の順方向導通モードになり、ノード94からノード97に電流が流れる。実質的に全ての電流がSi MOSトランジスタ103のチャネル及びDモードトランジスタ90のチャネルを介して流れる。ノード95とノード97との間の電位差は、0Vと|V
th90|との間にあり、ここで、V
th90は、Dモードトランジスタ90の閾値電圧である。この動作モードでは、寄生ダイオード101が逆バイアスされ、|V
th90|より低い電圧を阻止する。
【0031】
素子111がダイオードモードのとき、Si MOSトランジスタ103の動作は、Eモードトランジスタ92とは異なる。素子111がダイオードモードで動作している場合、ノード94の電圧は、ノード97の電圧より低く、Si MOSトランジスタ103のゲート−ソース電圧は、閾値を下回り、ノード97からノード94に電流が流れる。これらの条件下では、ノード95の電圧は、ノード97の電圧より低い必要がある。順方向にバイアスされた寄生ダイオード101は、オンになり、真性トランジスタ102がオンになることを防ぐ。したがって、素子111がダイオードモードにある場合、Si MOSトランジスタ103を流れる電流の大部分は、Si MOSトランジスタ103のチャネルではなく、寄生ダイオード102を流れる。但し、素子111がダイオードモードにあるときも、Dモードトランジスタ90のチャネルには、実質的に全ての電流が流れる。
【0032】
素子111がダイオードモードで動作する場合、ノード95の電圧は、ノード97の電圧より低い必要がある。したがって、Dモードトランジスタ90のゲートは、Dモードトランジスタ90のソースよりより高い電圧にあり、Dモードトランジスタ90のチャネルは、エンハンスされる。素子111がダイオードモードで動作するとき、電流レベル及び寄生ダイオード101の順方向導通特性によっては、寄生ダイオード101における電力散逸が許容できないほどに大きくなることがある。この場合、
図6に示す形状のゲート信号を適用することによって、よりパワーが小さい動作モードを達成できる。
図4のブリッジ回路について、素子81〜86のそれぞれを素子111に置き換えた具体例を検討する。この具体例では、ブリッジ回路内の素子を素子81”〜86”と呼ぶ。素子81”が
図5a、5bに示すように切り替えられると、素子82”が環流電流を流している(素子81”がオフである)間、素子82”のゲートは、ハイに駆動される。これにより、素子82”のSiトランジスタ103を流れる電流は、寄生ダイオード101ではなく、主に、エンハンスされた真性トランジスタ102を介して流れるようになり、Siトランジスタ103のドレイン−ソース電圧は、単にSiトランジスタ103の実効オン状態抵抗(Rds−on)×電流になる。ハイ電圧源(HV)からグラウンドへの貫通電流を回避するために、素子81”をオフにする時点と、素子82”をオンにする時点との間、及び再び素子82”をオフにする時点と、素子81”をオンにする時点との間に、ある程度の不動作時間を設ける必要がある。
図6では、この不動作時間を「A」の符号で示している。これらの不動作時間の間、素子82”は、上述したダイオードモードで動作し、電流は、主に寄生ダイオード101を介して、Siトランジスタ103を流れる。
【0033】
幾つかの実施の形態では、
図4の素子81〜86の何れか又は全てに代えて、
図9に示すような素子112が、ハーフブリッジ又はブリッジ回路で用いられる。素子112は、
図8の素子111と同様であるが、寄生ダイオード101に並列に接続された低電圧低オン抵抗ダイオード104を備える。ダイオード104は、Si MOSトランジスタ103と同じ電圧阻止要求を有する。すなわちダイオード104は、少なくとも、|V
th90|より大きい電圧を阻止できる。ここで|V
th90|は、Dモードトランジスタ90の閾値電圧の大きさである。幾つかの実施の形態では、ダイオード104は、約2*|V
th90|の電圧を阻止することができる。高電圧DモードIII−NトランジスタをDモードトランジスタ90として使用することができる。高電圧DモードIII−Nトランジスタの典型的な閾値電圧は、約−5〜−10Vであるので、ダイオード104は、約10〜20V以上の電圧を阻止することができるものであるとよい。低電圧素子、例えば、低電圧ダイオード又はトランジスタは、高電圧回路内のDC電源によって供給される600V又は1200V等の高電圧を阻止することができない。幾つかの実施の形態では、低電圧ダイオード又は低電圧トランジスタが阻止できる最大電圧は、約40V、30V、20V又は10Vである。更に、ダイオード104のターンオン電圧(turn-on voltage)は、寄生ダイオード101より低い。この結果、素子112がダイオードモードでバイアスされると、電流は、寄生ダイオード101ではなく、主にダイオード104を介して流れる。ダイオード104のために用いることができるダイオード、例えば、低電圧ショットキーダイオードのスイッチング損失及び導通損失は、寄生ダイオード101より小さくすることができる。この結果、素子の動作の間の導通損失及びスイッチング損失は、素子111より素子112の方が小さい。
【0034】
素子112がダイオードモードで動作するとき、電流レベル及びダイオード104の順方向導通特性によっては、ダイオード104における電力散逸が許容できないほどに大きくなることがある。この場合は、上述と同様、
図6に示す形状のゲート信号を適用することによって、よりパワーが小さい動作モードを達成できる。素子112のゲートがハイに駆動され、素子112が環流電流を流すと、電流は、ダイオード104ではなく、主に、エンハンスされた真性トランジスタ102を介して流れるようになり、Si MOSトランジスタ103のドレイン−ソース電圧は、単にSiトランジスタ103の実効オン状態抵抗(Rds−on)×電流になる。
【0035】
図9の素子112は、ダイオードを含むが、ダイオードは、回路DC電圧HVの全てを阻止する必要はなく、|V
th90|より僅かに大きい電圧を阻止できればよい。したがって、低電圧ダイオードを用いることができる。低電圧ダイオードは、高電圧ダイオードよりスイッチング損失及び導通損失が小さくなるように作成できるので、このような構成は、ブリッジ回路に通常含まれている高電圧ダイオードを用いるより望ましい場合がある。したがって、高電圧ダイオードを用いるハーフブリッジ及びブリッジ回路に比べて、回路の電力損失を低減できる。
【0036】
本発明の多くの実施の形態について説明した。但し、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変形例を想到できることは明らかである。例えば、ハーフブリッジは、単一トランジスタを用い、ダイオードを有さない第1のスイッチと、トランジスタ及びダイオードを有する第2のスイッチとを備えていてもよい。幾つかの実施の形態では、ハーフブリッジは、2つのトランジスタから構成され、ダイオードを含んでいない。幾つかの実施の形態では、電流は、ハーフブリッジから、インダクタを介して、他のハーフブリッジのトランジスタに流れるのではなく、インダクタから、コンデンサ等の他の電気部品に、若しくは接地端子又はDC電源に流れてもよい。したがって、他の実施の形態も特許請求の範囲に含まれる。