特許第6705955号(P6705955)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6705955
(24)【登録日】2020年5月19日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】破壊装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 33/00 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
   G11B33/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-179425(P2019-179425)
(22)【出願日】2019年9月30日
【審査請求日】2019年12月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503174763
【氏名又は名称】株式会社創朋
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】樫原 富雄
(72)【発明者】
【氏名】原科 勝
(72)【発明者】
【氏名】樫原 陽一郎
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−010706(JP,A)
【文献】 特開昭53−024194(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/095010(WO,A1)
【文献】 特開2008−108343(JP,A)
【文献】 特開2004−071057(JP,A)
【文献】 特開2017−162085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状や大きさが異なる複数種類の記憶装置を破壊可能な破壊装置であって、
前記記憶装置の種類に応じた支持板が着脱可能に装着される支持板装着部と、
前記支持板とで前記記憶装置を挟んで圧壊する前記記憶装置の種類に応じた圧壊部材が着脱可能に装着される圧壊部材装着部と、
前記支持板装着部に装着された支持板を検出可能な支持板検出部と、
前記圧壊部材装着部に装着された圧壊部材を検出可能な圧壊部材検出部と、
前記支持板検出部が検出した支持板と前記圧壊部材検出部が検出した圧壊部材とが、同一種類の前記記憶装置に対応しているか否かを判定し、同一種類の前記記憶装置に対応していると判定した場合には前記記憶装置を圧壊させる圧壊処理を実行させる制御部と、
を備える、破壊装置。
【請求項2】
前記支持板検出部は、前記支持板に設けられ、前記記憶装置の種類に応じて形態が異なる被検出部を検出する検出センサを含み、
前記圧壊部材検出部は、前記圧壊部材に設けられ、前記記憶装置の種類に応じて形態が異なる被検出部を検出する検出センサを含む、
請求項1に記載の破壊装置。
【請求項3】
前記支持板検出部は、前記支持板に付され、前記記憶装置の種類に応じて異なる識別コードを読み取る読み取り部を含み、
前記圧壊部材検出部は、前記圧壊部材に付され、前記圧壊部材の種類に応じて異なる識別コードを読み取る読み取り部を含む、
請求項1に記載の破壊装置。
【請求項4】
前記支持板装着部及び前記圧壊部材装着部を覆うカバーと、
前記支持板装着部に対して前記支持板を着脱するために前記カバーに設けられた第1開口を塞ぐ開閉可能な第1開閉部材と、
前記圧壊部材装着部に対して前記圧壊部材を着脱するために前記カバーに設けられた第2開口を塞ぐ開閉可能な第2開閉部材と、を更に備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の破壊装置。
【請求項5】
前記支持板の記憶装置を支持する支持凹部の底面に、前記圧壊部材と協働して前記記憶装置を圧壊する圧壊部が設けられている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の破壊装置。
【請求項6】
前記支持板検出部は、第1記憶装置を支持する第1凹部を有する第1支持板と、第1記憶装置とは形状や大きさが異なる第2記憶装置を支持する第2凹部を有する第2支持板とを検出し、
前記圧壊部材検出部は、前記第1支持板とで前記第1記憶装置を挟んで圧壊する第1圧壊部材と、前記第1圧壊部材とは形態が異なり前記第2支持板とで前記第2記憶装置を挟んで圧壊する第2圧壊部材とを検出し、
前記制御部は、前記第1支持板及び前記第1圧壊部材が装着されていると判定した場合、又は前記第2支持板及び前記第2圧壊部材が装着されていると判定した場合に、前記圧壊処理を実行させる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の破壊装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置を破壊可能な破壊装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク等の記憶装置には機密情報が記憶されているため、情報漏洩を防止する観点から、廃棄される記憶装置を物理的に圧壊する破壊装置が利用されている(下記の特許文献1を参照)。破壊装置は、ハードディスクを支持するトレイと、トレイとの間でハードディスクを挟んで圧壊する圧壊工具とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−10706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ハードディスク以外にSSD(Solid State Drive)等の様々な記憶装置が利用されており、一台の破壊装置で複数種類の記憶装置を破壊することが求められている。これらの記憶装置の大きさや形状はそれぞれ異なり、記憶装置に応じて装着されるトレイ及び圧壊工具も異なる。このため、破壊する記憶装置に対して、装着されるトレイ及び圧壊工具の組み合わせが適切でない場合には、記憶装置の破壊時にトレイや圧壊工具が損傷するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、一台の破壊装置で複数種類の記憶装置を適切に破壊することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様においては、形状や大きさが異なる複数種類の記憶装置を破壊可能な破壊装置であって、前記記憶装置の種類に応じた支持板が着脱可能に装着される支持板装着部と、前記支持板とで前記記憶装置を挟んで圧壊する前記記憶装置の種類に応じた圧壊部材が着脱可能に装着される圧壊部材装着部と、前記支持板装着部に装着された支持板を検出可能な支持板検出部と、前記圧壊部材装着部に装着された圧壊部材を検出可能な圧壊部材検出部と、前記支持板検出部が検出した支持板と前記圧壊部材検出部が検出した圧壊部材とが、同一種類の前記記憶装置に対応しているか否かを判定し、同一種類の前記記憶装置に対応していると判定した場合には前記記憶装置を圧壊させる圧壊処理を実行させる制御部と、を備える、破壊装置を提供する。
【0007】
また、前記支持板検出部は、前記支持板に設けられ、前記記憶装置の種類に応じて形態が異なる被検出部を検出する検出センサを含み、前記圧壊部材検出部は、前記圧壊部材に設けられ、前記記憶装置の種類に応じて形態が異なる被検出部を検出する検出センサを含むこととしてもよい。
【0008】
また、前記支持板検出部は、前記支持板に付され、前記記憶装置の種類に応じて異なる識別コードを読み取る読み取り部を含み、前記圧壊部材検出部は、前記圧壊部材に付され、前記圧壊部材の種類に応じて異なる識別コードを読み取る読み取り部を含むこととしてもよい。
【0009】
また、前記破壊装置は、前記支持板装着部及び前記圧壊部材装着部を覆うカバーと、前記支持板装着部に対して前記支持板を着脱するために前記カバーに設けられた第1開口を塞ぐ開閉可能な第1開閉部材と、前記圧壊部材装着部に対して前記圧壊部材を着脱するために前記カバーに設けられた第2開口を塞ぐ開閉可能な第2開閉部材と、を更に備えることとしてもよい。
【0010】
また、前記支持板の記憶装置を支持する支持凹部の底面に、前記圧壊部材と協働して前記記憶装置を圧壊する圧壊部が設けられていることとしてもよい。
【0011】
また、前記支持板検出部は、第1記憶装置を支持する第1凹部を有する第1支持板と、第1記憶装置とは形状や大きさが異なる第2記憶装置を支持する第2凹部を有する第2支持板とを検出し、前記圧壊部材検出部は、前記第1支持板とで前記第1記憶装置を挟んで圧壊する第1圧壊部材と、前記第1圧壊部材とは形態が異なり前記第2支持板とで前記第2記憶装置を挟んで圧壊する第2圧壊部材とを検出し、前記制御部は、前記第1支持板及び前記第1圧壊部材が装着されていると判定した場合、又は前記第2支持板及び前記第2圧壊部材が装着されていると判定した場合に、前記圧壊処理を実行させることとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、一台の破壊装置で複数種類の記憶装置を適切に破壊できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態に係る破壊装置1の外観図である。
図2】本体部10を示す模式図である。
図3】トレイ200の構成を説明するための模式図である。
図4】トレイ210の構成を説明するための模式図である。
図5】圧壊工具300の構成を説明するための模式図である。
図6】圧壊工具310の構成を説明するための模式図である。
図7】記憶装置100の破壊の形態を説明するための模式図である。
図8】記憶装置110の破壊の形態を説明するための模式図である。
図9】破壊装置1の機能構成を説明するためのブロック図である。
図10】トレイ200及び圧壊工具300の変形例を説明するための模式図である。
図11】トレイ210及び圧壊工具310の変形例を説明するための模式図である。
図12】トレイ220及び圧壊工具320の構成を説明するための模式図である。
図13】破壊装置1による圧壊処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<破壊装置の構成>
本発明の一の実施形態に係る記憶装置の破壊装置1について、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、一実施形態に係る破壊装置1の外観図である。図2は、本体部10を示す模式図である。なお、図1(a)には、前面側から見た破壊装置1が示され、図1(b)には、背面側から見た破壊装置1が示されている。
【0016】
破壊装置1は、記憶装置を物理的に破壊する装置である。破壊装置1は、図1及び図2に示すように、本体部10と、カバー20と、テーブル30と、昇降機構40と、プッシャー板50と、圧縮バネ60と、工具装着部70とを有する。破壊装置1は、テーブル30にトレイ200を介して載置された、形状や大きさが異なる複数種類の記憶装置(ここでは、記憶装置100)を、工具装着部70に装着された圧壊工具300で圧壊する装置である。記憶装置100は、例えばハードディスクドライブ(以下、単にハードディスクと呼ぶ)である。
【0017】
本体部10は、破壊装置1の骨格部であり、カバー20に覆われている。本体部10は、図2に示すようにフレーム構造を成している。本体部10は、図2に示すように、ツールブロック11と、ベースブロック13と、ベースプレート14と、左フレーム15と、右フレーム16と、サポート板18とを有する。
【0018】
ツールブロック11は、直方体形状の固定ブロックであり、本体部10の上部に位置する。ベースブロック13は、ツールブロック11と同様に直方体形状のブロックであり、本体部10の下部に位置している。ベースブロック13は、ベースプレート14に固定されている。また、ベースブロック13及びツールブロック11は、それぞれ左フレーム15及び右フレーム16にボルトで連結されている。サポート板18は、左フレーム15の下部とベースブロック13に接触するように設けられており、本体部10のフレーム構造を補強するための部材である。
【0019】
カバー20は、本体部10を覆っている。カバー20は、図1に示すように、挿入口21と、開閉部材22と、開閉部材23と、電源スイッチ24とを有する。
挿入口21は、カバー20の前面に設けられている。挿入口21は、記憶装置100を支持するトレイ200をテーブル30に対して着脱するための矩形状の開口である。
【0020】
開閉部材22は、カバー20の前面に開閉可能に設けられている。開閉部材22は、挿入口21を塞ぐ閉位置と、挿入口21を開放する開位置(図1(a)に示す位置)との間で回動する。開閉部材22が開状態に位置する際に、記憶装置100を支持するトレイ200を挿入口21から挿入したり、トレイ200を取り出したりする。開閉部材22が閉位置に位置する際に、記憶装置100の圧壊が行われる。
【0021】
開閉部材23は、カバー20の上面に開閉可能に設けられている。開閉部材23が開状態に位置する際に、圧壊工具300が上面開口(不図示)から挿入されたり、圧壊工具300が取り出されたりする。開閉部材23が閉位置(上面開口を塞ぐ位置)に位置する際に、圧壊工具300が記憶装置100を圧壊する。なお、本実施形態では、挿入口21が第1開口に該当する。上面開口が第2開口に該当する。
【0022】
電源スイッチ24は、破壊装置1の背面に設けられている。また、破壊装置1の背面には、電源コードの差込口25が設けられている。
【0023】
テーブル30は、記憶装置100を支持するトレイ200が着脱可能に装着される支持板装着部である。具体的には、記憶装置100を支持する支持板であるトレイ200が、テーブル30に着脱可能に装着される。テーブル30は、一対のガイド板32と、突き当てピン34(図3参照)とを有する。一対のガイド板32は、テーブル30の両側に設けられており、装着されるトレイ200をガイドする。突き当てピン34は、テーブル30の奥側の中央部に設けられており、記憶装置100の長手方向の位置決めを行う。
【0024】
作業者は、記憶装置100が載置されたトレイ200を挿入口21から挿入してテーブル30上に装着する。テーブル30は、昇降機構40の油圧シリンダー42に連結されており、待機位置と圧壊位置との間で上昇又は下降する。テーブル30が待機位置に位置する際に、記憶装置100を支持しているトレイ200が装着される。
【0025】
図3は、トレイ200の構成を説明するための模式図である。図3(a)にトレイ200が示され、図3(b)に記憶装置100が載置されたトレイ200が示されている。トレイ200は、矩形の平板状に形成されている。トレイ200は、支持凹部202と、位置決め用切り欠き204とを有する。なお、トレイ200の側面201は、後述するトレイ検出部によって検出される被検出部である。
【0026】
支持凹部202は、記憶装置100の外形とほぼ同じ大きさに形成されており、記憶装置100を支持する。記憶装置100は、支持凹部202に嵌め込まれてトレイ200にセットされる。このため、支持凹部202にセットされた記憶装置100が、トレイ200に対してずれることを防止できる。
【0027】
位置決め用切り欠き204は、ここでは、トレイ200の長手方向一端側を切り欠いた部分である。トレイ200のテーブル30への装着時に位置決め用切り欠き204が突き当てピン34に接触することで、トレイ200が装着方向において位置決めされる。
【0028】
テーブル30には、上述した記憶装置100(具体的には、ハードディスク)を支持するトレイ200以外のトレイが着脱可能に装着可能である。具体的には、テーブル30には、記憶装置の種類に応じたトレイが装着される。以下では、図4を参照しながら、記憶装置110を支持するトレイ210の構成について説明する。記憶装置110は、ここでは、ハードディスクよりも小型のSSD(Solid State Drive)である。本実施形態では、記憶装置100が第1記憶装置に該当し、記憶装置110が第2記憶装置に該当する。記憶装置110は、記憶装置100とは形状や大きさが異なる。
【0029】
図4は、トレイ210の構成を説明するための模式図である。図4(a)にトレイ210が示され、図4(b)に記憶装置110が載置されたトレイ210が示されている。トレイ210は、トレイ200と同様に、矩形の平板状に形成されている。トレイ210は、支持凹部212と、位置決め用切り欠き214と、圧壊部216と、被検出用切り欠き218とを有する。なお、トレイ210の側面211は、後述するトレイ検出部によって検出される被検出部である。
【0030】
支持凹部212は、記憶装置110の外形とほぼ同じ大きさに形成されており、記憶装置110を支持する。記憶装置110は、支持凹部212に嵌め込まれてトレイ210にセットされる。記憶装置110よりも大きい記憶装置100は、支持凹部212にセットできない。なお、本実施形態では、支持凹部202が記憶装置100を支持する第1凹部に該当し、支持凹部212が記憶装置110を支持する第2凹部に該当する。
【0031】
位置決め用切り欠き214は、ここでは、トレイ210の長手方向一端側を切り欠いた部分である。トレイ210の装着時に位置決め用切り欠き214が突き当てピン34に接触することで、トレイ210が装着方向において位置決めされる。
【0032】
圧壊部216は、記憶装置110を物理的に破壊するための部分である。圧壊部216は、ここでは先端が尖った凸部216aであり、支持凹部212の底面上に設けられている。凸部216aは、トレイ210の長手方向に沿って連続して設けられている。凸部216aは、支持凹部212の底面に、所定間隔で複数設けられている。複数の凸部216aの先端は、トレイ210に載置された記憶装置110に接している。
【0033】
被検出用切り欠き218は、テーブル30に装着されたトレイ210を識別するための被検出部である。前述したトレイ200には、トレイ210とは異なり被検出用切り欠きが設けられていない(すなわち、トレイ200の側面201とトレイ210の側面211の形態が異なる)ので、被検出用切り欠き218を検出することで、トレイ200とトレイ210を識別できる。
【0034】
上記のように、テーブル30には、記憶装置100、110の種類に応じたトレイ200、210が着脱可能に装着される。例えば、作業者は、記憶装置100を破壊する場合には、記憶装置100がセットされたトレイ200をテーブル30に装着し、記憶装置110を破壊する場合には、記憶装置110がセットされたトレイ210をテーブル30に装着する。
【0035】
昇降機構40は、テーブル30を昇降するための機構である。昇降機構40は、図2に示すように、油圧シリンダー42を有する。油圧シリンダー42は、油圧ポンプ(不図示)によってシリンダー内のピストンを上下動する構成となっている。ピストンが上下動することで、テーブル30が昇降する。なお、上記ではテーブル30を昇降させるために油圧シリンダー42が設けられていることとしたが、これに限定されず、他の動力源であってもよい。
【0036】
プッシャー板50は、テーブル30に対向する対向板である。具体的には、図2に示すように、プッシャー板50は、記憶装置100を挟んでテーブル30と対向している。プッシャー板50は、ガイド軸55を介して、ツールブロック11に取り付けられている。ガイド軸55は、ツールブロック11の貫通孔11a内を上下動可能に設けられている。プッシャー板50には、圧壊工具300が挿通可能な貫通穴51が設けられている。
【0037】
圧縮バネ60は、プッシャー板50とツールブロック11の間に設けられており、プッシャー板50を付勢している付勢部材である。すなわち、圧縮バネ60は、プッシャー板50を下降方向へ向かって付勢している。圧縮バネ60の上端部は、ツールブロック11の穴部に挿入されている。
【0038】
工具装着部70は、ここではツールブロック11に設けられており、圧壊工具300が着脱可能に装着される部分である。具体的には、トレイ200に支持された記憶装置100を圧壊する圧壊工具300が、工具装着部70に着脱可能に装着される。
【0039】
図5は、圧壊工具300の構成を説明するための模式図である。図5(a)に圧壊工具300の平面図が示され、図5(b)に圧壊工具300の右側面図が示され、図5(c)に圧壊工具300の正面図が示されている。圧壊工具300は、基部302と、圧壊部304と、延出部306とを有する。
【0040】
基部302は、圧壊工具300のベースとなる部分である。基部302は、直方体状に形成されている。基部302は、圧壊工具300が工具装着部70にスライドしながら装着される際に、工具装着部70に係合される。
【0041】
圧壊部304は、基部302から下方へ突出して刃先部分を構成している。具体的には、圧壊部304は、基部302の下面から突出している。圧壊部304は、基部302の下面に所定間隔で複数(ここでは4個)設けられている。圧壊部304は、テーパー状に形成された先端部304aを有する。先端部304aが、記憶装置100の内部に入り込み圧壊する。
【0042】
延出部306は、基部302の長手方向の一端面から延出している部分である。延出部306の幅は、基部302の幅よりも小さい。延出部306の側面306aは、後述する工具検出部によって検出される被検出部である。
【0043】
ところで、工具装着部70には、記憶装置100(ハードディスク)を圧壊するための圧壊工具300以外に、記憶装置110(SSD)を圧壊するための圧壊工具310が着脱可能に装着される。本実施形態では、圧壊工具300が第1圧壊部材に該当し、圧壊工具310が第2圧壊部材に該当する。圧壊工具310の形態は、圧壊工具300の形態とは異なる。
【0044】
図6は、圧壊工具310の構成を説明するための模式図である。図6(a)に圧壊工具310の平面図が示され、図6(b)に圧壊工具310の右側面図が示され、図6(c)に圧壊工具310の正面図が示されている。圧壊工具310は、基部312と、圧壊部314と、延出部316と、切り欠き318とを有する。
【0045】
基部312は、圧壊工具310のベースとなる部分である。基部312は、直方体状に形成されている。基部312は、圧壊工具310が工具装着部70に装着される際に、工具装着部70に係合される。
【0046】
圧壊部314は、基部312から下方へ突出しており、記憶装置110を物理的に圧壊する機能を有する。圧壊部314は、ここでは先端が尖った凸部314aを有する。凸部314aは、基部312の下面に設けられている。凸部314aは、圧壊工具310の長手方向に沿って連続して設けられている。凸部314aは、基部312の下面に、所定間隔で複数設けられている。このような凸部314aを設けることで、記憶装置110であるSSDの内部のチップをより確実に破断できる。
【0047】
延出部316は、基部312の長手方向の一端面から延出している部分である。延出部316の幅は、基部312の幅よりも小さい。延出部316の側面316aは、後述する工具検出部によって検出される被検出部である。
【0048】
切り欠き318は、工具装着部70に装着された圧壊工具310を識別するための部分である。切り欠き318は、ここでは延出部316の側面316aを切り欠いた部分である。前述した圧壊工具300の延出部306には、切り欠きが設けられていない(すなわち、延出部206と延出部306の形態が異なる)ので、切り欠き318を検出することで、圧壊工具300と圧壊工具310を識別できる。
【0049】
上記のように、工具装着部70には、記憶装置100、110の種類に応じた圧壊工具300、310が着脱可能に装着される。例えば、作業者は、記憶装置100を破壊する場合には、圧壊工具300を工具装着部70に装着し、記憶装置110を破壊する場合には、圧壊工具310を工具装着部70に装着する。
【0050】
ここで、トレイ200、210にセットされた記憶装置100、110の圧壊工具300、310による破壊の形態について、図7及び図8を参照しながら説明する。
【0051】
図7は、記憶装置100の破壊の形態を説明するための模式図である。図7(a)にはテーブル30が待機位置に位置する状態が示され、図7(b)にはテーブル30が圧壊位置に位置する状態が示されている。ここでは、テーブル30が待機位置に位置する際に、記憶装置100がセットされたトレイ200が、テーブル30に装着されているものとする。図7(a)に示す待機位置に位置するテーブル30は、圧壊位置へ上昇する。テーブル30の上昇中に、プッシャー板50(図2)がトレイ200とで記憶装置100を挟む状態となる。その後、テーブル30が更に上昇すると、図7(b)に示すように、圧壊部304が記憶装置100の内部に入り込んで記憶装置100を破壊する。例えば、圧壊部304は、記憶装置100であるハードディスクのプラッタ102(図3)に孔を形成したり変形させたりする。
【0052】
図8は、記憶装置110の破壊の形態を説明するための模式図である。図8(a)にはテーブル30が待機位置に位置する状態が示され、図8(b)にはテーブル30が圧壊位置に位置する状態が示されている。ここでは、テーブル30が待機位置に位置する際に、記憶装置110がセットされたトレイ210が、テーブル30に装着されているものとする。図8(a)に示す待機位置に位置するテーブル30は、圧壊位置へ上昇する。テーブル30の上昇中に、プッシャー板50(図2)がトレイ210(具体的には、圧壊部216)とで記憶装置110を挟む状態となる。その後、テーブル30が更に上昇すると、図8(b)に示すように、圧壊部314と圧壊部216が協働して記憶装置110を変形して圧壊する。例えば、圧壊部314と圧壊部216が、記憶装置110であるSSDをギザギザ形状に変形させることで、SSD内部のチップを破断する。なお、圧壊部314と圧壊部216が所定ピッチだけずれて配置されているため、記憶装置110が図8(b)に示す形状に変形しやすくなる。
【0053】
上述した構成の破壊装置1は、作業者によって持ち運ばれる。例えば、作業者は、サーバが設置されたデータセンター等に破壊装置1を持って行って、データセンター内の記憶装置100、110を破壊する。なお、破壊装置1には、作業者が持ち運ぶ際に把持するための取っ手5(図1)が装置の両側に設けられている。
【0054】
ところで、記憶装置100を破壊するためには、トレイ200及び圧壊工具300を装着させ、記憶装置110を破壊するためには、トレイ210及び圧壊工具310を装着させることが必要である。しかし、作業者が、破壊する記憶装置に適さないトレイ及び圧壊工具を装着するおそれがある。例えば、記憶装置100を破壊しようとした際に、誤ってトレイ200及び圧壊工具310の組み合わせが装着されるおそれがある。特に、テーブル30及び工具装着部70はカバー20によって覆われるので、作業者は目視で装着されたトレイ及び圧壊工具を確認し難い。そして、トレイ200と圧壊工具310が装着された場合には、テーブル30が圧壊位置へ上昇する際に、正しい組み合わせではないトレイ200と圧壊工具310が機械的に干渉し損傷するおそれがある。
【0055】
これに対して、本実施形態の破壊装置1は、詳細は後述するが、装着されたトレイ200、210及び圧壊工具300、310を識別する構成を有する。これにより、誤った組み合わせで装着されたトレイ200、210及び圧壊工具300、310が干渉して損傷することを防止できる。
【0056】
<トレイ及び圧壊工具の識別構成>
装着されたトレイ200、210及び圧壊工具300、310を識別するための構成について、図9を参照しながら説明する。
【0057】
図9は、破壊装置1の機能構成を説明するためのブロック図である。破壊装置1は、図9に示すように、テーブル検出部80と、トレイ検出部81と、工具検出部82と、開閉検出部83と、モータ駆動部84と、操作部85と、表示部86と、制御装置90とを有する。
【0058】
テーブル検出部80は、テーブル30の位置を検出する。すなわち、テーブル検出部80は、テーブル30が昇降する際のテーブル30の位置を検出する。例えば、テーブル検出部80は、テーブル30の待機位置及び圧壊位置を検出する。テーブル検出部80は、待機位置及び圧壊位置の各々の位置を検出するセンサを有する。
【0059】
トレイ検出部81は、テーブル30に装着されたトレイ200(又はトレイ210)を検出可能な支持板検出部である。トレイ検出部81は、記憶装置100を支持するトレイ200と、記憶装置110を支持するトレイ210とを検出する。
【0060】
トレイ検出部81は、トレイ200、210に設けられた被検出部を検出する。例えば、トレイ検出部81は、トレイ200がテーブル30に装着されるとトレイ200の側面201を検出し、トレイ210がテーブル30に装着されるとトレイ210の側面211を検出する。すなわち、トレイ検出部81は、トレイ200、210の有無を検出する。また、トレイ検出部81は、トレイ210の側面211に形成された切り欠き218を検出する。一方で、トレイ200の側面201には切り欠きが設けられていないので、トレイ検出部81は、トレイ200、210を識別して検出する。トレイ検出部81は、検出センサとして、例えば反射型のフォトセンサを有する。検出センサは、トレイ200、210の有無を検出する有無検出センサと、トレイ200、210を識別して検出する識別検出センサとを含む。
【0061】
工具検出部82は、工具装着部70に装着された圧壊工具300(又は圧壊工具310)を検出可能な圧壊部材検出部である。工具検出部82は、圧壊工具300と圧壊工具310を検出する。
【0062】
工具検出部82は、圧壊工具300、310に設けられた被検出部を検出する。例えば、工具検出部82は、圧壊工具300が工具装着部70に装着されると延出部306の側面306aを検出し、圧壊工具310が工具装着部70に装着されると延出部316の側面316aを検出する。すなわち、工具検出部82は、圧壊工具300、310の有無を検出する。また、工具検出部82は、圧壊工具310の側面316aに形成された切り欠き318を検出する。一方で、圧壊工具300の側面301には切り欠きが設けられていないので、工具検出部82は、圧壊工具300、310を識別して検出する。工具検出部82は、検出センサとして、例えば反射型のフォトセンサを有する。検出センサは、圧壊工具300、310の有無を検出する有無検出センサと、圧壊工具300、310を識別して検出する識別検出センサとを含む。
【0063】
開閉検出部83は、カバー20の開閉部材22、23(図1)の開閉状態を検出する。例えば、開閉検出部83は、開閉部材22が閉位置に位置すると、開閉部材22の閉状態を検出する。同様に、開閉検出部83は、開閉部材23が閉位置に位置すると、開閉部材23の閉位置を検出する。
【0064】
モータ駆動部84は、昇降機構40の油圧ポンプの油圧モータを駆動させる。モータ駆動部84は、油圧モータを駆動させることで、油圧シリンダー42(図1)内のピストンが上下動する。これにより、テーブル30が、昇降する。
【0065】
操作部85は、破壊装置1に関する様々な入力操作を受け付ける部分である。操作部85は、破壊装置1による圧壊処理を実行させるための操作を受け付ける。例えば、操作部85に設けられた開始ボタンが作業者によって押下されると、操作部85は、圧壊処理の実行を受け付ける。操作部85は、例えば表示部86に表示されたタッチパネルであってもよい。
【0066】
表示部86は、例えばカバー20の上面に設けられたディスプレイであり、破壊装置1の状態や動作等に関する情報を表示する。表示部86は、圧壊処理が完了すると、作業者が認識できるように圧壊処理の完了の旨を表示する。また、表示部86は、トレイ200、210と圧壊工具300、310が適切に装着されていない場合には、エラーを表示する。これにより、作業者は、トレイ200、210及び圧壊工具300、310が正しい組み合わせで装着されていないことを容易に把握できる。
【0067】
制御装置90は、破壊装置1の全体の動作を制御する。例えば、制御装置90は、記憶装置100、110の圧壊処理時の動作を制御する。制御装置90は、記憶部92と、制御部94とを有する。
【0068】
記憶部92は、例えばROM及びRAM等により構成され、制御装置90を機能させるための各種プログラムや各種データを記憶する。記憶部92は、例えば、記憶装置100、110毎の圧壊回数を記憶する。すなわち、記憶部92は、トレイ200、210及び圧壊工具300、310の使用回数を記憶する。これにより、トレイ200、210及び圧壊工具300、310の交換時期を管理できる。
【0069】
制御部94は、例えばCPUにより構成される。制御部94は、記憶部92に記憶されている各種プログラムを実行することにより、制御装置90に係る機能を統括的に制御する。例えば、制御部94は、後述する圧壊処理を実行する。
【0070】
制御部94は、トレイ検出部81が検出したトレイ200、210と工具検出部82が検出した圧壊工具300、310とが、同一種類の記憶装置100、110に対応しているか否かを判定する判定処理を行う。例えば、制御部94は、トレイ200及び圧壊工具300が検出された場合、又はトレイ210及び圧壊工具310が検出された場合には、同一種類の記憶装置100、110に対応して組み合わせが正しいと判定する。一方で、制御部94は、トレイ200及び圧壊工具310が検出された場合、又はトレイ210及び圧壊工具300が検出された場合には、組み合わせが正しくないと判定する。
【0071】
制御部94は、判定処理においてトレイ200、210及び圧壊工具300、310が同一種類の記憶装置100、110に対応していると判定した場合には、記憶装置100、110を圧壊させる圧壊処理を実行させる。すなわち、制御部94は、トレイ200、210及び圧壊工具300、31の組み合わせが正しい場合(すなわち、トレイ200及び圧壊工具300が装着されていると判定した場合、又はトレイ210及び圧壊工具310が装着されていると判定した場合)、圧壊処理を実行させる。
【0072】
一方で、制御部94は、判定処理においてトレイ200、210及び圧壊工具300、310が同一種類の記憶装置100、110に対応していない(すなわち、トレイ200、210及び圧壊工具300、31の組み合わせが正しくない)と判定した場合には、記憶装置100、110の圧壊処理を実行させない。これにより、正しい組み合わせではないトレイ200、210及び圧壊工具300、310を使用することに起因してトレイ200、210及び圧壊工具300、310が干渉して損傷することを防止できる。また、制御部94は、トレイ200、210及び圧壊工具300、31の組み合わせが正しくない場合には、表示部86に、トレイ200、210及び圧壊工具300、310が正しく装着されていない旨のエラー表示を行わせる。
【0073】
上述したトレイ200、210及び圧壊工具300、310の判定処理は、操作部85が実行操作を受け付けると、行われる。例えば、制御部94は、作業者が操作部85の開始ボタンを押下すると、トレイ200、210及び圧壊工具300、310の判定処理を行う。具体的には、制御部94は、作業者が開閉部材22、23をそれぞれ閉位置に位置した状態で、操作部85の開始ボタンを押下すると、トレイ200、210及び圧壊工具300、310の判定処理を行う。ただし、上記に限定されず、例えば、制御部94は、作業者が開閉部材22、23をそれぞれ閉位置に位置すると、判定処理を行ってもよい。上記のように、開閉部材22、23が閉位置に位置すると判定処理を行うため、作業者は、記憶装置の圧壊を行う前に装着されたトレイ及び圧壊工具を目視できず、正しい組み合わせで装着されたかを確認できない。このため、上述した判定処理及び圧壊処理を行うことで、誤ったトレイ及び圧壊工具が装着された状態で記憶装置を破壊することを防止できる。
【0074】
(変形例)
上記では、トレイ検出部81は、トレイ210の切り欠き218を検出することで、トレイ200とトレイ210を識別していた。同様に、工具検出部82は、圧壊工具310の切り欠き318を検出することで、圧壊工具300と圧壊工具310を識別していた。しかし、トレイ200、210と圧壊工具300、310の識別方法は、これに限定されず、例えば図10及び図11に示す識別コードを読み取ることで識別してもよい。
【0075】
図10は、トレイ200及び圧壊工具300の変形例を説明するための模式図である。トレイ200には、図10(a)に示すように識別コード209が付されている。識別コード209は、トレイ200を特定する情報を記憶したバーコードであり、トレイ200の側面201に付されている。圧壊工具300には、図10(b)に示すように識別コード309が付されている。識別コード309は、圧壊工具300を特定する情報を記憶したバーコードであり、圧壊工具300の延出部306の側面306aに付されている。
【0076】
図11は、トレイ210及び圧壊工具310の変形例を説明するための模式図である。トレイ210の側面には、図11(a)に示すように識別コード219が付されている。識別コード219は、トレイ210を特定する情報を記憶したバーコードであり、トレイ200の識別コード209とは異なる。識別コード219が付されていることで、側面211に切り欠きが設けられていない。圧壊工具310の延出部306の側面306aには、図11(b)に示すように識別コード319が付されている。識別コード319は、圧壊工具310を特定する情報を記憶したバーコードであり、圧壊工具300の識別コード309と異なる。識別コード319が付されていることで、延出部316の側面316aに切り欠きが設けられていない。
【0077】
トレイ検出部81は、トレイ200、210の種類に応じて異なる識別コード209、219を読み取る読み取り部を含む。読み取り部は、例えばレーザ式のバーコードリーダーである。トレイ検出部81は、識別コード209、219を読み取ることで、装着されたトレイを識別できる。
【0078】
工具検出部82は、圧壊工具300、310の種類に応じて異なる識別コード309、319を読み取る読み取り部を含む。読み取り部は、例えばレーザ式のバーコードリーダーである。工具検出部82は、識別コード309、319を読み取ることで、装着された圧壊工具を識別できる。
【0079】
上記では、破壊装置1は、ハードディスクである記憶装置100と、SSDである記憶装置110を破壊することとして説明したが、これに限定されず、破壊装置1は、他の種類の記憶装置120も破壊可能である。記憶装置120は、例えば磁気テープ(所謂LTO(Linear Tape Open))である。記憶装置120を破壊するためには、トレイ200、210とは異なるトレイ220と、圧壊工具300、310とは異なる圧壊工具320が用いられる。
【0080】
図12は、トレイ220及び圧壊工具320の構成を説明するための模式図である。磁気テープである記憶装置120は、SSDである記憶装置110よりも大きい。トレイ220には、図12(a)に示すように、記憶装置120を支持する。トレイ220は、図11(a)に示すトレイ210と似た構造であり、トレイ220の側面221には、トレイ220を特定するための識別コード229が付されている。圧壊工具320は、図12(b)に示す構造を成しており、図11(b)に示す圧壊工具310と似た構造となっている。圧壊工具320には、識別コード329が付されている。一方で、圧壊工具320の圧壊部324の形状及び数は、圧壊工具310の圧壊部314の形状及び数と異なる。
【0081】
トレイ検出部81は、トレイ220の識別コード229を読み取り可能であり、工具検出部82は、圧壊工具320の識別コード329を読み取り可能である。これにより、トレイ200、210、220と、圧壊工具300、310、320をそれぞれ適切に識別できる。
【0082】
<破壊装置の動作例>
圧壊処理を行う際の破壊装置1の動作例について、図13を参照しながら説明する。
【0083】
図13は、破壊装置1による圧壊処理の流れを説明するためのフローチャートである。ここでは、作業者が、記憶装置100を支持するトレイ200をテーブル30に装着し、記憶装置100を圧壊するための圧壊工具300を工具装着部70に装着し、開閉部材22及び開閉部材23を閉位置に位置させたものとする。
【0084】
本フローチャートは、作業者が、操作部85の開始ボタンを押下したところから開始される(ステップS102)。まず、制御部94は、トレイと圧壊工具が装着されたか否かを判定する(ステップS104)。ここでは、トレイ検出部81がトレイ200を検出し、工具検出部82が圧壊工具300を検出する。このため、制御部94は、トレイ200及び圧壊工具300が装着されていると判定し(ステップS104:Yes)、装着されたトレイ200及び圧壊工具300の組み合わせが正しいか否かを判定する(ステップS106)。
【0085】
トレイ200及び圧壊工具300は記憶装置100の圧壊用に用いられるので、制御部94は、正しい組み合わせだと判定する(ステップS106:Yes)。すると、制御部94は、モータ駆動部84を動作させて、待機位置に位置するテーブル30を圧壊位置に上昇させる(ステップS108)。これにより、トレイ200に支持された記憶装置100も、テーブル30と共に上昇する。
【0086】
次に、制御部94は、テーブル検出部80によって、テーブル30が圧壊位置に達したか否かを判定する(ステップS110)。テーブル30が圧壊位置に達したと判定した場合には(ステップS110:Yes)、制御部94は、モータ駆動部84を動作させて、テーブル30に対して所定時間加圧した状態を保持する(ステップS112)。この際、プッシャー板50とトレイ200で挟持された記憶装置100が、圧壊工具300によって圧壊される。
【0087】
所定時間経過すると、制御部94は、モータ駆動部84を動作させて、圧壊位置に位置するテーブル30を下降させる(ステップS114)。これにより、圧壊された記憶装置100も、テーブル30と共に下降する。
【0088】
次に、制御部94は、テーブル検出部80によって、テーブル30が待機位置に達したか否かを判定する(ステップS116)。テーブル30が待機位置に達したと判定した場合には(ステップS116:Yes)、制御部94は、記憶装置100の圧壊が終了したことを表示部86に表示させる(ステップS118)。これにより、作業者は、記憶装置100の圧壊が適切に行われたことを認識できる。
【0089】
一方で、ステップS104でトレイや圧壊工具が装着されていないと判定された場合(No)や、ステップS106で装着されたトレイ及び圧壊工具の組み合わせが正しくないと判定された場合(No)、制御部94は、記憶装置100の圧壊を行わず、表示部86にエラー表示を行わせる(ステップS120)。これにより、作業者は、トレイ及び圧壊工具が正しく装着されていないことを認識し、正しい組み合わせのトレイ及び圧壊工具を改めて装着しようと試みる。
【0090】
<本実施形態における効果>
上述した実施形態の破壊装置1は、テーブル30に装着されたトレイ(ここでは、記憶装置100、110を支持しているトレイ200、210)と、工具装着部70に装着された圧壊工具(ここでは、圧壊工具300、310)とを検出する。そして、破壊装置1は、装着されたトレイ及び圧壊工具の組み合わせが正しいかの判定処理を行い、組み合わせが正しいと判定された場合に記憶装置の圧壊処理を行う。すなわち、破壊装置1は、トレイ200及び圧壊工具300が装着されたと判定された場合には、トレイ200に支持された記憶装置100を圧壊し、トレイ210及び圧壊工具310が装着されたと判定された場合には、トレイ210に支持された記憶装置110を圧壊する。
【0091】
上記の構成によれば、作業者が誤った組み合わせのトレイ及び圧壊工具を装着した場合(例えば、トレイ200及び圧壊工具310を装着した場合)、圧壊処理が行われない。このため、誤った組み合わせのトレイ及び圧壊工具で圧壊処理を行うことに起因してトレイ及び圧壊工具が干渉して損傷することを防止できる。この結果、一台の破壊装置1で、複数種類の記憶装置100、110を適切に破壊することが可能となる。
【0092】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0093】
1 破壊装置
20 カバー
22、23 開閉部材
30 テーブル
70 工具装着部
81 トレイ検出部
82 工具検出部
85 操作部
94 制御部
100、110 記憶装置
200、210 トレイ
216 圧壊部
300、310 圧壊工具

【要約】
【課題】一台の破壊装置で複数種類の記憶装置を適切に破壊する。
【解決手段】形状や大きさが異なる複数種類の記憶装置を破壊可能な破壊装置1は、記憶装置の種類に応じたトレイが着脱可能に装着されるテーブルと、トレイとで記憶装置を挟んで圧壊する記憶装置の種類に応じた圧壊工具が着脱可能に装着される工具装着部と、テーブルに装着されたトレイを検出可能なトレイ検出部81と、工具装着部に装着された圧壊工具を検出可能な工具検出部82と、トレイ検出部81が検出したトレイと工具検出部82が検出した圧壊工具とが、同一種類の記憶装置に対応しているか否かを判定し、同一種類の記憶装置に対応していると判定した場合には記憶装置を圧壊させる圧壊処理を実行させる制御部94とを備える。
【選択図】図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13