(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6705958
(24)【登録日】2020年5月19日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】繊維ロッド結束具及び繊維ロッド結束方法
(51)【国際特許分類】
E04C 5/20 20060101AFI20200525BHJP
E04C 5/07 20060101ALI20200525BHJP
E04G 21/12 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
E04C5/20
E04C5/07
E04G21/12 105E
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-82708(P2019-82708)
(22)【出願日】2019年4月24日
【審査請求日】2019年9月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392012836
【氏名又は名称】株式会社泉の台開発
(73)【特許権者】
【識別番号】596106700
【氏名又は名称】ウーブンナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100195327
【弁理士】
【氏名又は名称】森 博
(74)【代理人】
【識別番号】100168930
【弁理士】
【氏名又は名称】大坪 勤
(73)【特許権者】
【識別番号】591040236
【氏名又は名称】石川県
(74)【代理人】
【識別番号】100195327
【弁理士】
【氏名又は名称】森 博
(72)【発明者】
【氏名】新保 善正
(72)【発明者】
【氏名】西 弘三
(72)【発明者】
【氏名】森 大介
(72)【発明者】
【氏名】奥村 航
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 裕之
【審査官】
土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−174753(JP,A)
【文献】
特開2003−171919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 5/00−5/20
E04G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも異なる2本の第一繊維ロッド及び第二繊維ロッドを結束する繊維ロッド結束具であって、
前記第一繊維ロッドを被覆し、熱収縮可能な樹脂または樹脂組成物からなる筒状の第一被覆部と、
前記第二繊維ロッドを被覆し、熱収縮可能な樹脂または樹脂組成物からなる筒状の第二被覆部と、
を備え、
前記第二被覆部は、前記第一被覆部の長手方向と交差する方向または直角方向に延在するよう、前記第一被覆部と一体化して形成され、
前記第一被覆部は、側面長手方向が開口した第一開口部を有し、
前記第二被覆部は、側面長手方向が開口した第二開口部と、前記第一開口部を構成する一対の開口縁に連続して当該第二被覆部に形成された一対の開口縁により構成される第三開口部とを有することを特徴とする繊維ロッド結束具。
【請求項2】
前記繊維ロッドが、炭素繊維ロッドである請求項1に記載の繊維ロッド結束具。
【請求項3】
前記第一被覆部及び前記第二被覆部は、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物によって構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維ロッド結束具。
【請求項4】
前記第一被覆部及び前記第二被覆部は、熱硬化性樹脂または熱硬化性樹脂組成物によって構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維ロッド結束具。
【請求項5】
少なくとも異なる2本の第一繊維ロッド及び第二繊維ロッドを、それぞれ熱収縮可能な樹脂または樹脂組成物からなる筒状の第一被覆部及び第二被覆部を用いて結束する繊維ロッド結束方法であって、
前記第二被覆部は、前記第一被覆部の長手方向と交差する方向または直角方向に延在するよう、前記第一被覆部と一体化して形成され、
前記第一被覆部は、側面長手方向が開口した第一開口部を有し、
前記第二被覆部は、側面長手方向が開口した第二開口部と、前記第一開口部を構成する一対の開口縁に連続して当該第二被覆部に形成された一対の開口縁により構成される第三開口部とを有し、
前記繊維ロッド結束方法は、
前記第一繊維ロッドを、前記第一開口部及び前記第三開口部を開いて被覆する第一被覆工程と、
前記第二繊維ロッドを、前記第二開口部を開いて被覆する第二の被覆工程と、
前記第一被覆部及び前記第二被覆部を熱収縮させる熱収縮工程と、
を含むことを特徴とする繊維ロッド結束方法。
【請求項6】
前記第一被覆部及び前記第二被覆部が熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物によって構成され、前記第一被覆部及び前記第二被覆部を加熱することによって、前記第一被覆部及び前記第二被覆部を熱収縮させて前記第一繊維ロッド及び前記第二繊維ロッドを結束する請求項5に記載の繊維ロッド結束方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維ロッド結束具及び繊維ロッド結束方法に関する。より詳しくは、本発明は、コンクリート等の強化に用いられる補強筋として使用される繊維ロッドの結束に好適な結束具および結束方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンクリート中に補強筋を埋設し、コンクリートの補強が行なわれている。補強筋は、
図8及び
図9に示すように、複数の縦筋の筋材50Aと複数の横筋の筋材50Bとを筋材を格子状に一体化した補強筋100が広く使用され、複数の筋材50A、50Bを交差させた交差部Cを結束して固定化している。特に建築や土木分野では、鉄筋コンクリート、すなわち筋材として鉄筋を使用した補強筋をコンクリートの内部に配し、コンクリートと鉄とを組み合わせることによって強度や耐久性を向上させたものが建材として一般的に用いられている。
【0003】
このような鉄筋コンクリートにおいて、補強筋を構成する2本の鉄筋を結束させるための各種発明がなされてきた(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1には、鉄筋コンクリート構造の鉄筋の交差部または分岐部において鉄筋同士を接合するための鉄筋接合部構造であり、複数本の結束線を交差部または分岐部で重なった鉄筋に巻き付け、端部同士を捩じって縛ることにより、平板状または棒状に束ねられた結束線で鉄筋同士を固縛し、かつ、結束線束の各結束線間の隙間等に金属接着剤を注入し、硬化した金属接着剤により、結束線同士、結束線束と鉄筋、鉄筋同士を一体化してなる技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、結合される複数の鉄筋が配置されるループ部と、該ループ部に複数の鉄筋が配置された状態で捻り合わせることにより該鉄筋どうしを結合させる結束線を使用して鉄筋、鉄筋同士を一体化してなる技術が開示されている。
【0005】
鉄筋は重量(比重)が大きいため、高層ビルなど単位面積当たりの重量負荷が大きくなる構造物に使用する場合、鉄筋自体の重量を保持できるよう設計する必要があり、設計上の制約やコスト高の一因となっている。また、鉄筋をコンクリートへの筋材として使用した場合には、長い年月を経るとコンクリートの構成成分であるセメントが外部からの水等と反応して腐食し強度を失う等の問題があった。このような背景から、鉄筋の代替物として、引張強度や弾性係数等の機械的性能、酸やアルカリに対する耐食性に優れ、軽量な炭素繊維やバサルト繊維等を使用した強化繊維ロッドを筋材として使用する試みがなされている(例えば、特許文献3,4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−13548号公報
【特許文献2】特開2008−121187号公報
【特許文献3】特開2012−136814号公報
【特許文献4】特開2012−251378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、筋材としての繊維ロッドは、引張強度は優れるものの、剪断強度が鉄筋と比較して高くない。そのため、筋材として繊維ロッドを使用した補強筋の形成に上記従来の鉄筋に使用される金属製結束線をそのまま使用すると、結束線によって繊維ロッドを構成する繊維の一部が切断され強度が低下する問題があった。また、長期の使用により、金属製結束線自体が腐食・膨張して、コンクリートにひび割れ等が生じ、その結果として繊維ロッドの結合力も低下するという問題があった。このように、繊維ロッドを筋材として使用した補強筋において、異なる2本の繊維ロッドを結束させるための技術については検討されていなかった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、異なる2本の繊維ロッドを簡易に且つ強固に結束させることが可能な繊維ロッド結束具及び繊維ロッド結束方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係る繊維ロッド結束具は、以下の構成を有する。
<1> 少なくとも異なる2本の第一繊維ロッド及び第二繊維ロッドを結束する繊維ロッド結束具であって、前記第一繊維ロッドを被覆し、熱収縮可能な樹脂または樹脂組成物からなる筒状の第一被覆部と、前記第二繊維ロッドを被覆し、熱収縮可能な樹脂または樹脂組成物からなる筒状の第二被覆部と、を備え
、前記第二被覆部は、前記第一被覆部の長手方向と交差する方向または直角方向に延在するよう、前記第一被覆部と一体化して形成され、前記第一被覆部は、側面長手方向が開口した第一開口部を有し、前記第二被覆部は、側面長手方向が開口した第二開口部と、前記第一開口部を構成する一対の開口縁に連続して前記第二被覆部に形成された一対の開口縁により構成される第三開口部とを有する繊維ロッド結束具。
<2>
前記繊維ロッドが、炭素繊維ロッドである<1>から<3>のいずれかに記載の繊維ロッド結束具。
<3>
前記第一被覆部及び前記第二被覆部は、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物によって構成されることを特徴とする<1>または<2>に記載の繊維ロッド結束具。
<4>
前記第一被覆部及び前記第二被覆部は、熱硬化性樹脂または熱硬化性樹脂組成物によって構成されることを特徴とする<1>または<2>に記載の繊維ロッド結束具。
【0010】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る繊維ロッド結束方法は、以下の構成を有する。
<5> 少なくとも異なる2本の第一繊維ロッド及び第二繊維ロッドを、
熱収縮可能な樹脂または樹脂組成物からなる筒状の第一被覆部及び第二被覆部を用いて結束する繊維ロッド結束方法であって、
前記第二被覆部は、前記第一被覆部の長手方向と交差する方向または直角方向に延在するよう、前記第一被覆部と一体化して形成され、前記第一被覆部は、側面長手方向が開口した第一開口部を有し、前記第二被覆部は、側面長手方向が開口した第二開口部と、前記第一開口部を構成する一対の開口縁に連続して当該第二被覆部に形成された一対の開口縁により構成される第三開口部とを有し、前記繊維ロッド結束方法は、前記第一繊維ロッドを、
前記第一開口部及び前記第三開口部を開いて被覆する第一被覆工程と、前記第二繊維ロッドを、
前記第二開口部を開いて被覆する第二の被覆工程と、前記第一被覆部及び前記第二被覆部を熱収縮させる熱収縮工程と、を含む繊維ロッド結束方法。
<6> 前記第一被覆部及び前記第二被覆部が熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物によって構成され、前記第一被覆部及び前記第二被覆部を加熱することによって、前記第一被覆部及び前記第二被覆部を熱収縮させて前記第一繊維ロッド及び前記第二繊維ロッドを結束する
<5>に記載の繊維ロッド結束方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、異なる2本の繊維ロッドを簡易に且つ強固に結束させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る炭素繊維ロッドの一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る高強力繊維複合材の一例を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る高強力繊維複合材の一例を示す断面図である。
【
図4】本実施形態に係る繊維ロッド結束具の第一例を示す図である。
【
図5】第一例に係る繊維ロッド結束具の使用例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る繊維ロッド結束具の第二例を示す図である。
【
図7】第二例に係る繊維ロッド結束具の使用例を示す図である。
【
図8】補強用筋材の構成及び構造を説明するための平面図である。
【
図9】補強用筋材の構成及び構造を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、本発明の結束具の使用対象となる繊維ロッドの一例として炭素繊維を原料として形成される炭素繊維ロッドを例に挙げて説明を行うが、繊維ロッドとしては本実施形態に示す炭素繊維ロッドに限定されない。
【0014】
[炭素繊維ロッドの一例]
図1は、本実施形態に係る炭素繊維ロッドの一例を示す図である。
図2は、本実施形態に係る高強力繊維複合材の一例を示す斜視図である。
図3は、本実施形態に係る高強力繊維複合材の一例を示す断面図である。
【0015】
まず
図1を用いて繊維ロッドの一例である炭素繊維ロッド5について説明する。
図1に示す炭素繊維ロッド5は、炭素繊維を原料として形成される棒状物である。この炭素繊維ロッド5は、芯となる高強力繊維複合材51aと、当該高強力繊維複合材51aを取り囲む6本の高強力繊維複合材51bとが撚り合わされたストランド構造を有するものである。なお、以下の説明において、高強力繊維複合材51a、51bのいずれか一方を指す場合には、単に「高強力繊維複合材51」ともいう。炭素繊維ロッド5の長さは、目的とする補強筋の大きさに応じて適宜決定されるが、通常、1m〜数十m程度である。
【0016】
図2及び
図3に示すように、高強力繊維複合材51は、数千本から数十万本の高強力繊維糸52(ここでは炭素繊維糸)が束ねられて無撚り、もしくはゆるく撚りがかかった高強力繊維束53と、高強力繊維束53の周囲面に被覆され、高強力繊維糸52がばらばらにならないように拘束する拘束繊維54(特に
図3参照)とが母材樹脂(不図示)により一体化して固化されたものである。高強力繊維糸52としては、PAN系、ピッチ系等のいずれの炭素繊維糸も使用できる。高強力繊維束53の外径は、使用される高強力繊維糸52の太さ、本数によって決定され、通常、1mmから100mm程度である。
【0017】
拘束繊維54は、例えばポリアミド(ナイロン等)、ビニロン、ポリアクリル、ポリプロピレン、塩化ビニル、アラミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール等の合成繊維や、再生繊維、天然繊維等が使用される。また、母材樹脂は、例えば、熱可塑エポキシ樹脂(フェノキシ樹脂)、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、PPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK樹脂(ポリエーテルエーテルケトン)、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が使用される。
【0018】
以上、本実施形態に係る例に示す結束対象の繊維ロッドとして、炭素繊維ロッドの一例によって説明したが、本発明における結束対象は、当該炭素繊維ロッドに限定されるものではなく、他の構成の繊維ロッドであってもよい。例えば、本実施形態では、高強力繊維複合材51a、51bとからなるストランド構造の炭素繊維ロッド5を使用しているが、炭素繊維ロッドはストランド構造でなくてもよい。また例えば、炭素繊維ロッドとして、引用文献3(特開2012−136814号公報)に開示されているように、芯となる炭素繊維からなる高強力繊維複合材51aを内層とし、この周囲に中間層と、外層に保護層とを設けた繊維ロッドを使用していてもよい。
【0019】
また、炭素繊維を原料とした炭素繊維ロッドに限定されるものではなく、本発明の目的を損なわない限り、その他の繊維を原料とした繊維ロッドであってもよい。例えば、炭素繊維以外の繊維として、例えばバサルト繊維、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維、PPS(ポリフェニレンサルファイド)繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維、PVA(ポリビニルアルコール)繊維等を原料として形成される繊維ロッドを使用してもよい。また、繊維ロッドで使用される上記繊維(炭素繊維含む)は、1種類でも良いし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
また、本発明の結束具は、繊維ロッド以外の筋材にも使用することもできる。繊維ロッド以外の筋材としては、例えば、鉄筋や竹筋が挙げられる。
【0021】
[繊維ロッド結束具の第一例]
図4は、本実施形態に係る繊維ロッド結束具の第一例を示す図である。本実施形態の繊維ロッド結束具は、繊維ロッドを直交させた補強筋に対して好適に使用される。例えば、本実施形態の繊維ロッド結束具は、
図8,9で示した複数の筋材50A(第一繊維ロッドに相当)と、これに直交する複数の筋材50B(第二繊維ロッドに相当)を格子状に一体化した補強筋100における交差部Cの結束に好適に使用される。
【0022】
図4に示す繊維ロッド結束具1は、第一被覆部2、第二被覆部3を有する構成である。第一被覆部2及び第二被覆部3は、熱収縮可能な樹脂(熱収縮性樹脂)によって形成され、本実施形態では熱可塑性樹脂を使用している。熱可塑性樹脂は熱硬化性樹脂と比較して熱収縮性が高く、結束対象である繊維ロッドをより強く結束固定できるという利点がある。また、加熱により可塑性が得られるので、繊維ロッドを結束固定した後でも再度加熱することによって、取り外すことが可能である。熱収縮可能な熱可塑性樹脂としては、アルカリに対する耐久性の観点から、ナイロン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、熱可塑エポキシ樹脂(フェノキシ樹脂)、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、レゾルシノール樹脂が好適である。使用される熱可塑性樹脂は、必要とされる熱収縮性が得られる限り複数の樹脂の共重合体や混合物であってもよい。また、熱可塑性樹脂の中に例えば、熱収縮を阻害しない程度に繊維が短い短繊維炭素繊維、ガラス繊維、セルロースナノフアイバー(CNF)、バサルト繊維等を混合させて、強度を向上させた樹脂組成物(熱可塑性樹脂組成物)として用いてもよい。
【0023】
また、熱収縮性樹脂として熱可塑性樹脂に代えて、熱収縮可能な熱硬化性樹脂を使用してもよい。熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂と比較して耐熱性、硬さ等に優れ、樹脂組成の大幅な変更が可能であり、補強材としての利用域が大きい等の利点がある。熱収縮可能な熱硬化性樹脂として、好適には、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂は、必要とされる熱収縮性が得られる限り複数の樹脂の共重合体や混合物であってもよい。また、熱硬化性樹脂の中に例えば、熱収縮を阻害しない程度に繊維が短い短繊維炭素繊維、ガラス繊維、セルロースナノフアイバー(CNF)、バサルト繊維等を混合させて、強度を向上させた樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)として用いてもよい。
【0024】
第一被覆部2と第二被覆部3とは同一の樹脂(樹脂組成物)であってもよく、それぞれ異なった樹脂(樹脂組成物)であってもよいが、通常、同一の樹脂(樹脂組成物)が用いられる。
【0025】
第一被覆部2は、円筒状の筒状体であって側面長手方向に開口した一対の開口縁21、22により構成される開口部23が形成されている。この第一被覆部2の筒状部分の内径は、前述の炭素繊維ロッド5の外径よりもやや長く構成されており、この第一被覆部2は炭素繊維ロッド5を被覆することができる。この第一被覆部2の略中央には、第一被覆部2の長手方向と直角方向に延在する第二被覆部3が一体化して形成されている。
【0026】
第二被覆部3は、円筒状の筒状体であって側面長手方向に開口した一対の開口縁31、32により構成される開口部33が形成されている。この第二被覆部3は、第一被覆部2の開口縁21、22に連続する開口縁34、35を有する。この第二被覆部3の内径は、前述の第一被覆部2と同様に炭素繊維ロッド5の外径よりもやや長く構成されており、この第二被覆部3は炭素繊維ロッド5を被覆することができる。
【0027】
以上に示すように、第一の例に係る繊維ロッド結束具1は、互いに直角方向に延在する第一被覆部2と第二被覆部3とが一体化して形成されたものであり、直交する異なる2本の炭素繊維ロッド5を被覆することができる。なお、繊維ロッド結束具1を構成する第一被覆部2と第二被覆部3の大きさ(長さ、厚み等)は、必要とされる結束力が得られる限りにおいて任意であり、結束対象である繊維ロッドの材質、太さ、長さ等を考慮して適宜決定すればよい。また、第一被覆部2と第二被覆部3とは互いに交差する方向に延在するものであれば、直角方向に延在するものに限定されるものでない。
【0028】
図5は、第一例に係る繊維ロッド結束具の使用例を示す図である。以下、
図5を用いて第一例に係る繊維ロッド結束具1の使用例について説明する。
【0029】
まず
図5(a)に示すように、手作業等に第一被覆部2の開口部23を開き、第一の炭素繊維ロッド5Aを第一被覆部2により被覆する。次に
図5(b)に示すように、手作業等により第二被覆部3の開口部33を開き、第二の炭素繊維ロッド5Bを第二被覆部3により被覆する。なお、第一の炭素繊維ロッド5A及び第二の炭素繊維ロッド5Bは、前述の炭素繊維ロッド5に相当する。
【0030】
続いて、
図5(a)及び
図5(b)に示す工程により第一の炭素繊維ロッド5A及び第二の炭素繊維ロッド5Bを被覆した繊維ロッド結束具1を加熱する。
この加熱過程において繊維ロッド結束具1が熱収縮することによって、第一被覆部2及び第二被覆部3がそれぞれ第一の炭素繊維ロッド5A、第二の炭素繊維ロッド5Bに固着し、その結果、繊維ロッド結束具1は第一の炭素繊維ロッド5Aと第二の炭素繊維ロッド5Bとを結束固定する。
【0031】
この場合の加熱条件は、第一被覆部2、第二被覆部3を構成する熱収縮性樹脂(または樹脂組成物)が収縮し、繊維ロッドを結束固定できる温度、時間になるように、熱収縮性樹脂(または樹脂組成物)の種類や第一被覆部2、第二被覆部3の長さや厚み等に応じて適宜決定される。加熱方法は特に限定はなく、例えば、ドライヤー等の従来公知の加熱器具、乾燥器具を用いて加熱すればよい。
【0032】
以上に示すように、本第一例に係る繊維ロッド結束具1によれば、直交する異なる2本の炭素繊維ロッド5A、5Bを簡易且つ強固に結束固定させることができる。なお、第一被覆部2及び第二被覆部3の形状や両被覆部がなす角度(本第一例では直角)は、
図4に示す形状や角度に限定されるものではない。
【0033】
[繊維ロッド結束具の第二例]
図6は、本実施形態に係る繊維ロッド結束具の第二例を示す図である。
【0034】
図6に示す繊維ロッド結束具1Aは、第一被覆部2A、第二被覆部3Aを有する構成である。この繊維ロッド結束具1Aは、前述の繊維ロッド結束具1と同様の樹脂材料によって形成される。
【0035】
第一被覆部2Aは、円筒状の筒状体であって側面長手方向に開口した一対の開口縁21A、22Aにより構成される開口部23Aが形成されている。この第一被覆部2Aの内径は、前述の炭素繊維ロッド5の外径よりもやや長く構成されており、この第一被覆部2Aは炭素繊維ロッド5を外側から被覆することができる。この第一被覆部2は、第一被覆部2Aの長手方向と平行方向に延在する第二被覆部3Aと一体化して形成されている。
【0036】
第二被覆部3Aは、円筒状の筒状体であって側面長手方向に開口した一対の開口縁31A、32Aにより構成される開口部33Aが形成されている。この第二被覆部3Aの内径は、前述の第一被覆部2Aと同様に炭素繊維ロッド5の外径よりもやや長く構成されており、この第二被覆部3Aは炭素繊維ロッド5を被覆することができる。
【0037】
以上に示すように、第二の例に係る繊維ロッド結束具1Aは、平行方向に延在する第一被覆部2Aと第二被覆部3Aとが一体化して形成されたものであり、分岐する異なる2本の炭素繊維ロッド5を被覆することができる。なお、繊維ロッド結束具1Aを構成する第一被覆部2Aと第二被覆部3Aの大きさ(長さ、厚み等)は、必要とされる結束力が得られる限りにおいて任意であり、結束対象である繊維ロッドの材質、太さ、長さ等を考慮して適宜決定すればよい。
【0038】
図7は、第二例に係る繊維ロッド結束具の使用例を示す図である。以下、
図7を用いて第二例に係る繊維ロッド結束具1Aの使用例について説明する。
【0039】
図7に示すように、手作業等に第一被覆部2Aの開口部23Aを開き、第一の炭素繊維ロッド5Cを第一被覆部2Aにより被覆するとともに、手作業等により第二被覆部3Aの開口部33Aを開き、第二の炭素繊維ロッド5Dを第二被覆部3Aにより被覆する。なお、第一の炭素繊維ロッド5C及び第二の炭素繊維ロッド5Dは、前述の炭素繊維ロッド5に相当するが、説明の便宜上、第二の炭素繊維ロッド5Dは途中で折曲した態様にて示している。
【0040】
続いて、
図7に示す工程により第一の炭素繊維ロッド5C及び第二の炭素繊維ロッド5Dを被覆した繊維ロッド結束具1Aを加熱する。この加熱過程において繊維ロッド結束具1Aが熱収縮することによって、第一被覆部2A及び第二被覆部3Aがそれぞれ第一の炭素繊維ロッド5C、第二の炭素繊維ロッド5Dに固着し、その結果、繊維ロッド結束具1Aは第一の炭素繊維ロッド5Cと第二の炭素繊維ロッド5Dとを結束固定する。
【0041】
この場合の加熱条件は、第一被覆部2、第二被覆部3を有する構成する熱収縮性樹脂(または樹脂組成物)が収縮し、繊維ロッドを結束固定できる温度、時間になるように、熱収縮性樹脂(または樹脂組成物)の種類や第一被覆部2、第二被覆部3の長さや厚み等に応じて適宜決定される。加熱方法は特に限定はなく、例えば、ドライヤー等の従来公知の加熱器具、乾燥器具を用いて加熱すればよい。
【0042】
以上に示すように、本第二例に係る繊維ロッド結束具1Aによれば、分岐する異なる2本の炭素繊維ロッド5C、5Dを簡易且つ強固に結束固定させることができる。なお、第一被覆部2A及び第二被覆部3Aの形状は、
図6に示す形状に限定されるものではない。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例を示したものであり、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0044】
1、1A 繊維ロッド結束具
2、2A 第一被覆部
3、3A 第二被覆部
5 炭素繊維ロッド
5A、5C 第一炭素繊維ロッド
5B、5D 第二炭素繊維ロッド
50A 筋材(縦筋)
50B 筋材(横筋)
100 格子状の補強筋
C 交差部
【要約】
【課題】異なる2本の繊維ロッドを簡易に且つ強固に結束させることが可能な繊維ロッド結束具及び繊維ロッド結束方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る繊維ロッド結束具は、少なくとも異なる2本の第一繊維ロッド及び第二繊維ロッドを結束する繊維ロッド結束具であって、第一繊維ロッドを被覆し、熱収縮可能な樹脂または樹脂組成物からなる筒状の第一被覆部と、第二繊維ロッドを被覆し、熱収縮可能な樹脂または樹脂組成物からなる筒状の第二被覆部と、を備えたことを特徴とするものである。
【選択図】
図4