特許第6705961号(P6705961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6705961
(24)【登録日】2020年5月19日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】自動開閉扉の監視装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/74 20150101AFI20200525BHJP
【FI】
   E05F15/74
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-164105(P2015-164105)
(22)【出願日】2015年8月21日
(65)【公開番号】特開2016-44547(P2016-44547A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2018年6月26日
(31)【優先権主張番号】特願2014-169123(P2014-169123)
(32)【優先日】2014年8月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】317006258
【氏名又は名称】オプテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 啓
(72)【発明者】
【氏名】今西 修
(72)【発明者】
【氏名】木田 匡哉
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/084745(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01939832(EP,A1)
【文献】 特開2013−227829(JP,A)
【文献】 特開2003−091756(JP,A)
【文献】 特開2002−216269(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3150910(JP,U)
【文献】 特開2007−183845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00−15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動開閉扉に追加設置される、自動開閉扉の監視装置であって、
前記自動開閉扉の外側面またはその周辺に取り付けられる筐体と、
前記筐体内に設けられた少なくとも1つのセンサユニットであって、それぞれ前記自動開閉扉の異常の徴候を検知するためのセンサを有するセンサユニットと、
前記筐体内に設けられた処理ユニットであって、
前記センサそれぞれの検知情報を処理する処理部、および
前記処理部によって処理された検知情報を送信する通信部を有する処理ユニットとを備えた監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の監視装置において、
前記筐体は、前記自動開閉扉およびそれに付随する装置を取り外したり分解したりすることなく前記自動開閉扉の外側面またはその周辺に取り付けられるものである、監視装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の監視装置において、
前記自動開閉扉の支持部材には、前記自動開閉扉の開閉制御のために物体を検知する物体検出装置が支持されており、前記処理ユニットの前記処理部には、前記物体検出装置による物体検知情報が入力される、監視装置。
【請求項4】
請求項に記載の監視装置において、
前記処理部は、前記センサユニットの前記センサそれぞれの検知情報を処理する際に、前記物体検知情報を使用する、監視装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一項に記載の監視装置において、
前記処理ユニットの前記処理部に、前記自動開閉扉のドアコントローラによる扉開閉情報が入力される、監視装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の監視装置において、
前記センサが、加速度センサ、振動センサ、温度センサ、湿度センサ、音センサ、照度センサおよびジャイロセンサからなる一群から選ばれる、監視装置。
【請求項7】
自動開閉扉の開閉に用いられる物体検出装置によって実現された監視装置であって、
前記自動開閉扉の支持部材に支持される筐体と、
前記筐体内に設けられた物体検出センサであって、検知エリアの物体に応じた検知信号を発生させる物体検出センサと、
前記筐体内に設けられ、前記検知信号に基づいて物体を検出する物体検出処理ユニットであって、
前記物体検出センサが発生させた前記検知信号のレベルから物体を検出して物体検知情報を処理する物体検出処理部、
前記物体検出処理部が物体を検出すると前記自動開閉扉のドアコントローラに物体検知信号を出力する物体検知信号出力部、および
前記物体検出処理部によって処理された物体検知情報を送信する通信部を有する物体検出処理ユニットとを備え
前記物体検出処理ユニットの前記物体検出処理部に、前記自動開閉扉のドアコントローラによる扉開閉情報が入力される、監視装置。
【請求項8】
自動開閉扉に追加設置される、自動開閉扉の監視装置であって、
前記自動開閉扉の外側面またはその周辺に取り付けられる筐体と、
前記筐体内に設けられた少なくとも1つのセンサユニットであって、それぞれセンサを有するセンサユニットと、
前記筐体内に設けられた処理ユニットであって、
前記センサそれぞれの検知情報を処理する処理部、および
前記処理部によって処理された検知情報を送信する通信部を有する処理ユニットとを備え
前記処理ユニットの前記処理部に、前記自動開閉扉のドアコントローラによる扉開閉情報が入力される、監視装置。
【請求項9】
請求項5,請求項7または請求項8に記載の監視装置において、
前記扉開閉情報が、自動開閉扉の時系列での開放および閉鎖の状況を示す情報である、監視装置。
【請求項10】
自動開閉扉に追加設置され、前記自動開閉扉を監視する監視装置であって、
前記自動開閉扉の外側面またはその周辺に取り付けられる筐体と、
検知情報を送信する通信部を有する処理ユニットとを備えた監視装置。
【請求項11】
請求項10に記載の監視装置において、さらに、
前記筐体内に設けられた少なくとも1つのセンサユニットであって、それぞれ前記自動開閉扉の異常の徴候を検知するためのセンサを有するセンサユニットと、
前記センサそれぞれの検知情報を処理する処理部とを備えた監視装置。
【請求項12】
請求項11に記載の監視装置において、
前記処理部が、前記自動開閉扉の運用状況の情報を処理する監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドアや自動シャッタなどの自動開閉扉を監視する監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動ドアのような自動開閉扉の異常の発生を直ちに検知したり、異常の発生を予測したりするために、自動開閉扉には様々なセンサが取り付けられている。そして、これらセンサによる検知情報を管理センタにおいて遠隔監視するものがある(特許文献1)。この構成によれば、遠隔監視を行うことで、異常の発生を早期に予測することができる上に、自動開閉扉の保守に要する費用を低減できる。
【0003】
このような提案があるものの、設置済の自動開閉扉は、一般的に、現場での監視にとどまり、管理センタでの遠隔監視までは行われていない。また、設置済の自動開閉扉には、異常の発生の予測に必要なセンサによる監視さえも行われていないものがある。
【0004】
そこで、異常の発生の予測に必要なセンサによる監視が行われていない設置済の自動開閉扉や、センサによる監視が行われていても遠隔監視が行われていない設置済の自動開閉扉を、遠隔監視の対象にすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−068287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載の自動開閉扉では、センサが自動開閉扉本体に組み込まれている。これは、設置済の自動開閉扉を上記特許文献1が提案する遠隔監視の対象にすることが困難であることを意味する。
【0007】
そこで、本発明は、設置済みの自動開閉扉であっても容易に遠隔監視の対象にできる、自動開閉扉の監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一構成に係る自動開閉扉の監視装置は、
自動開閉扉の外側面またはその周辺に取り付けられる筐体と、
前記筐体内に設けられた少なくとも1つのセンサユニットであって、それぞれセンサを有するセンサユニットと、
前記筐体内に設けられた処理ユニットであって、
前記センサそれぞれの検知情報を処理する処理部、および
前記処理部によって処理された検知情報を送信する通信部を有する処理ユニットとを備える。
【0009】
ここで、「自動開閉扉」とは、ドアコントローラによって制御されて自動で開閉する扉のことである。自動開閉扉は、例えば自動ドアや自動シャッタである。
【0010】
この構成によれば、内部にセンサユニットが設けられ、自動開閉扉の外側面またはその周辺に取り付けられる筐体を監視装置が備えるため、設置済みの自動開閉扉にこの監視装置を追加設置できる。つまり、運用中にセンサによる監視を行っていなかった自動開閉扉を、容易に監視の対象にすることができる。特に、検知情報を送信する通信部を処理ユニットが有するため、自動開閉扉を遠隔監視の対象にすることができる。
【0011】
好ましい実施形態において、前記自動開閉扉の支持部材には、前記自動開閉扉の開閉制御のために物体を検知する物体検出装置が支持されており、前記処理ユニットの前記処理部には、前記物体検出装置による物体検知情報が入力される。この構成によれば、物体検知情報も通信部から外部装置に送信可能となる。そのため、管理サーバなどで物体検知情報つまり物体検知の履歴を蓄積できる。
【0012】
さらに好ましい実施形態において、前記処理部は、前記センサユニットの前記センサそれぞれの検知情報を処理する際に、前記物体検知情報を使用する。この構成によれば、センサの検知情報を処理する際に、物体検知情報が使用されるため、センサ検知情報の処理において、物体検知情報に基づいて推定される自動開閉扉の動作を考慮することができる。そのため、自動開閉扉の動作に起因した変化がセンサ検知信号に現れても、この変化に基づいて異常発生と判定されることはない。したがって、異常の誤検知が防止される。
【0013】
好ましい実施形態において、前記処理ユニットの前記処理部に、前記自動開閉扉のドアコントローラによる扉開閉情報が入力される。この構成によれば、物体検知情報も通信部から外部装置に送信可能となる。そのため、管理サーバなどで扉開閉情報つまり自動扉の開閉の履歴を蓄積できる。
【0014】
好ましくは、前記センサが、加速度センサ、振動センサ、温度センサ、湿度センサ、音センサ、照度センサおよびジャイロセンサからなる一群から選ばれる。
【0015】
本発明の一構成に係る物体検出装置は、自動開閉扉の開閉に用いられる物体検出装置によって実現された監視装置であって、
前記自動開閉扉の支持部材に支持される筐体と、
前記筐体内に設けられた物体検出センサであって、検知エリアの物体に応じた検知信号を発生させる物体検出センサと、
前記筐体内に設けられ、前記検知信号に基づいて物体を検出する物体検出処理ユニットであって、
前記物体検出センサが発生させた前記検知信号のレベルから物体を検出して物体検知情報を処理する物体検出処理部、
前記物体検出処理部が物体を検出すると前記自動開閉扉のドアコントローラに物体検知信号を出力する物体検知信号出力部、および
前記物体検出処理部によって処理された物体検知情報を送信する通信部を有する物体検出処理ユニットとを備える。
【0016】
この構成によれば、内部に物体検出処理ユニットが設けられ、自動開閉扉の支持部材に支持される筐体を、物体検出装置によって実現された監視装置が備えるため、この監視装置を容易に設置できる。そして、物体検知情報を送信する通信部を物体検出処理ユニットが有するため、自動開閉扉を遠隔監視の対象にすることができる。
【0017】
好ましい実施形態において、前記物体検出処理ユニットの前記物体検出処理部に、前記自動開閉扉のドアコントローラによる扉開閉情報が入力される。この構成によれば、物体検知情報も通信部から外部装置に送信可能となる。そのため、管理サーバなどで扉開閉情報つまり自動扉の開閉の履歴を蓄積できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係る、自動開閉扉の監視装置を示す図であって、(a)は当該監視装置の斜視図であり、(b)は当該監視装置が取り付けられた自動開閉扉の正面図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る、自動開閉扉の監視装置を含む監視システムのブロック図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係る、自動開閉扉の監視装置を含む監視システムのブロック図である。
図4図3の監視装置が取り付けられた自動開閉扉の正面図である。
図5】本発明の第3の実施形態に係る、自動開閉扉の監視装置が取り付けられた自動開閉扉の正面図である。
図6図5の監視装置を含む監視システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第1の実施形態に係る、自動開閉扉の監視装置について図面に基づいて説明する。
図1(a)に示すように、本監視装置1は略直方体形状の筐体2を有する。筐体2内には、少なくとも1つのセンサユニット3(図示ではセンサユニット3は2つ)および処理ユニット4が配置されている。監視装置1のこれら構成要素の詳細については後述する。
【0020】
筐体2は、第1の面21と、この第1の面に背向する第2の面23とを有する。第1の面21には、板状の磁石50が貼着されている。
【0021】
図1(b)に示すように、筐体2は、スライド式の自動ドア30の外側面の上部分の一箇所31に取り付けられる。自動ドア30が磁石を吸着する材料を含む場合には、上記箇所31に直接に監視装置1の磁石50が吸着される。そうでない場合には、当該箇所31に磁石を吸着するマグネットシート(図示せず)が貼着され、そのマグネットシートに監視装置1の磁石50が吸着される。
【0022】
自動ドア30は、その上端部が無目(支持部材)33によって支持されている。この無目33の外側面には、物体検出装置60が取り付けられている。物体検出装置60は、例えば能動型物体検出センサ61と、プロセッサ(図示せず)およびメモリ(図示せず)を有する物体検出処理ユニット62とを含む。能動型物体検出センサ61は、検出エリアに向けて送信器から赤外線のような物体検出用の検知線を送信して、受信器により物体で反射した検知線を受けて受信信号を発生させる。物体検出処理ユニット62は、この受信信号が設定レベルを超えることにより人体のような物体を検出する。この物体検出装置60の物体検知情報に基づいて、ドアコントローラ70が自動ドア30を制御する。
【0023】
図2に示すように、監視装置1は、後述する外部装置5と共に、監視システム100に含まれる。監視装置1は、複数のセンサユニット3、および処理ユニット4を備える。センサユニット3はそれぞれ、1つのセンサ3aおよび1つの通信部3bを有する。処理ユニット4は、内部通信部41、処理部42、記憶部43および外部通信部44を有する。
【0024】
各センサユニット3のセンサ3aとしては、例えば、加速度センサ、振動センサ、温度センサ、湿度センサ、音センサ、照度センサおよびジャイロセンサなどが挙げられる。ただし、各センサ3aの種類は異なる。そのため、監視装置1は、センサユニット3の数に等しい種類のセンサを有する。
【0025】
センサ3aが加速度センサまたは振動センサの場合、センサ3aの検知情報に基づいて、自動ドア30の開閉時間の測定、自動ドア30の駆動機構であるモータ(図示せず)やベルト(図示せず)などの劣化による異常振動の検知、ならびに自動ドア30の物体への衝突の検知が可能となる。
【0026】
センサ3aの検知情報の処理の際には、物体検出装置60による物体検知情報が使用される。例えば、物体検出装置60が物体を検知した場合にのみ自動ドア30の開閉が行われていると判定して、その場合にのみ自動ドア30の開閉時間を測定してもよい。その一方、物体検出装置60が物体を検知していないにも関わらず振動が検知されれば、異常振動が発生していると判定される。
【0027】
センサ3aが温度センサの場合、センサ3aの検知情報に基づいて、季節ごとのドア運用(例えば、自動ドア30が、夏には全開されるのに対して冬には半開に留める運用)の自動設定、物体検出装置60の能動型物体検出センサの誤検知を防止するための雪モードのような非通常モードへの自動切替え、ならびに自動ドア30の駆動機構であるモータ(図示せず)やベルト(図示せず)などの摩擦による、それら付近における発熱異常の検知が可能となる。
【0028】
センサ3aが湿度センサの場合、物体検出装置60の能動型物体検出センサ61の誤検知を防止するための雨モードのような非通常モードへの自動切替えが可能となる。
【0029】
センサ3aが音センサの場合、自動ドア30の摩擦によって発生する音から異常の検知が可能となる。
【0030】
センサ3aが照度センサの場合、自動ドア30が設けられた建物への夜間における不正侵入などの検知が可能となる。
【0031】
センサ3aが加速度センサまたは振動センサ以外の場合であっても、好ましくは、センサ3aの検知情報の処理の際には物体検出装置60による物体検知情報が使用される。自動ドア30が、開状態、閉状態または開閉移行状態のいずれの状態であるかに応じて、センサ3aの検知情報は変わり得る。したがって、自動ドア30がいかなる状態にあるかを考慮してセンサ3aの検知情報を処理することは有意である。
【0032】
各センサユニット3の通信部3bと、処理ユニット4の内部通信部41とは、好ましくは有線で、所定の通信プロトコルによってデータを送受信する。これにより、各センサ3aの検知情報が処理ユニット4に入力される。処理ユニット4の内部通信部41は、また、物体検出装置60との間で、有線または無線により所定のプロトコルに従ってデータを送受信する。これにより、物体検出装置60からの物体検知情報が処理ユニット4に入力される。
【0033】
処理ユニット4に入力される各検知情報は、処理部42を介して記憶部43に蓄積される。そして、蓄積された検知情報は処理部42で処理されて外部通信部44を介して処理ユニット4から送出される。
【0034】
外部通信部44は、無線によりインターネットのようなネットワークと通信するための通信機能を備える。この外部通信部44の通信相手は、管理サーバおよび/または操作端末からなる外部装置5である。管理サーバは、ウェブサーバからなり、複数の監視装置1から情報を取得して、複数の自動ドア30の遠隔監視を一括して行う。外部通信部44は、定期的に管理サーバにセンサ3aによる検知情報および/または物体検出装置60による物体検知情報を送信してもよい。これにより、管理サーバには、センサ3aによる検知および/または物体検出装置60による物体検知の履歴が蓄積される。操作端末は、専用のアプリケーションがインストールされた、いわゆるスマートフォンやコンピュータからなる。操作端末は、操作者が操作し、記憶部43に蓄積された検知情報を抽出する。これら管理サーバおよび操作端末によって、自動ドア30の維持管理が容易になる。
【0035】
上述のように、処理ユニット4に入力される検知情報は記憶部43に記憶される。しかし、この検知情報に、異常を明らかに示す情報が存在すると処理部42が判断すると、処理部42は、直ちに異常の発生を管理サーバに報知する。
【0036】
次に、再度図1(b)を参照して本実施形態に係る監視装置1の取付けについて説明する。
ここで、監視装置1が取り付けられる前の自動ドア30には、自動ドア30の運用状況や異常の徴候などを検知できるセンサが一切取り付けられていないとする。ただし、物体検出装置60が無目33に取り付けられており、ドアコントローラ70によって自動ドア30の開閉は制御されて自動ドア30は稼動している。自動ドア30は監視されておらず、異常の徴候が捉えられないため、突然に異常が発生する可能性が高い。
【0037】
このような自動ドア30に対して、作業者は、磁石を吸着できる自動ドア30の一箇所31に、監視装置1の磁石50を接触させることで取り付ける。この後、作業者は、監視装置1の図示しない電源ボタンを操作して、監視装置1を動作させる。監視装置1が動作すると、図2の各センサユニット3のセンサ3aがそれぞれ検知を行う。そして、処理部42が検知情報を処理し、検知情報を記憶部43に記憶する。処理部42は、検知情報が異常を明らかに示す場合には、外部通信部44を介して、外部装置5である管理サーバに異常を報知する。処理部42は、また、記憶部43に記憶した検知情報を定期的に管理サーバに送信する。これに加えて、操作端末を携帯した操作者が記憶部43に蓄積された検知情報から所望の情報を抽出することができる。
【0038】
以上説明したように監視装置1の筐体2が自動ドア30またはその周辺に容易に取り付けられることで、自動ドア30の維持管理が極めて容易になる。すなわち、監視装置1が取得する検知情報に基づいて、異常の徴候が捉えられて、突然に異常が発生することをほぼ防止することができる。また、筐体2を自動ドアに取り付けるだけで、設置済の自動ドアであっても容易に監視の対象にすることができる。
【0039】
ただし、筐体2は、自動ドア30に取り付けられる必要はなく、自動ドアに関して必要な検知を行うことができるのであれば、自動ドア30の周辺に取り付けられてもよい。
【0040】
また、筐体2は、磁石50以外の手段によって自動ドア30に取り付けられてもよい。例えば、磁石の代わりに両面テープやビス止めによって筐体2が自動ドア30またはその周辺に取り付けられてもよい。すなわち、自動ドア30およびそれに付随する装置(ドアコントローラ70など)を取り外したり分解したりすることなく容易に取り付けられる手段によって筐体2を自動ドア30に取り付けるのが好ましい。
【0041】
次に、本発明の第2の実施形態に係る、自動開閉扉の監視装置について説明する。なお、本実施形態において、第1の実施形態に関して説明した構成要素と共通する構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0042】
図3に示すように、本発明の第2の実施形態に係る監視装置1Aは、後述する外部装置5と共に、監視システム100Aに含まれる。本監視装置1Aが第1の実施形態に係る監視装置と異なる点は、処理ユニット4の内部通信部41が、ドアコントローラ70との間で、有線または無線により所定のプロトコルに従ってデータを送受信する。これにより、ドアコントローラ70からの扉開閉情報が処理ユニット4に入力される。このため、記憶部43には、扉開閉情報も蓄積される。なお、扉開閉情報は自動ドア30の時系列での開放および閉鎖の状況を示す情報である。
【0043】
このようにして、本実施形態においては、記憶部43に、センサ検知情報、物体検知情報および扉開閉情報が蓄積される。そして、蓄積されたこれら情報は処理部42で処理されて外部通信部44を介して処理ユニット4から送出される。外部装置5である管理サーバでは、扉開閉情報も取得できるため、自動ドア30の運用状況も監視することができる。
【0044】
次に、図4を参照して本実施形態に係る監視装置1Aの取付けについて説明する。
【0045】
ここで、監視装置1Aが取り付けられるよりも以前の自動ドア30には、物体検出装置60に加えて加速度センサ71が取り付けられているとする。具体的には、物体検出装置60は無目33に取り付けられており、ドアコントローラ70によって自動ドア30の開閉は制御されて自動ドア30は稼動している。自動ドア30の稼動中、ドアコントローラ70に設けられた加速度センサ71も検知を実行しており、この加速度センサ71の検知情報は、ドアコントローラ70内の記憶装置(図示せず)に蓄積されている。この検知情報は、自動ドア30の点検時や異常が発生した後に精査される。しかし、検知情報がリアルタイムで処理されるわけではないため、異常の徴候は捉え難く、突然に異常が発生する可能性が存在する。
【0046】
このような自動ドア30に対して、第1の実施形態と同様に、監視装置1Aを取り付けて動作させる。これにより、加速度センサ71の検知情報が監視装置1Aに、例えば定期的に提供される。そのため、監視装置1Aの処理ユニット4で異常の徴候が捉えられて、突然に異常が発生することをほぼ防止することができる。なお、監視装置1Aを取り付けると、同一種類のセンサ(本例では加速度センサ)が2つ自動ドア30に取り付けられることになる場合がある。しかし、これらセンサは自動ドアの同一箇所に配置されるわけではないため、元々取り付けられていたセンサ71の検知情報も役に立ち得る。
【0047】
第1および第2の実施形態において、センサは、加速度センサ、振動センサ、温度センサ、湿度センサ、音センサまたは照度センサに限らず、自動開閉扉の監視に有用なものであればいかなるセンサであってもよい。
【0048】
次に、本発明の第3の実施形態に係る、自動開閉扉の監視装置について説明する。なお、本実施形態において、第1および第2の実施形態に関して説明した構成要素と共通する構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0049】
図5に示すように、本実施形態に係る監視装置1Bは、物体検出装置60Aによって実現されている。物体検出装置60Aは無目33の外側面に取り付けられている。
【0050】
図6に示すように、物体検出装置60Aによって実現される監視装置1Bは、検出エリアに向けて物体検出用の検知線を送信して、物体で反射した検知線を受けて受信信号を発生させる物体検出センサ61と、前記受信信号が設定レベルを超えることにより物体を検出する物体検出処理ユニット64とを備える。物体検出センサ61は、例えば能動型赤外線方式(AIR)センサである。物体検出センサ61は、検出エリアに向けて赤外線のような物体検出用の検知線を送信する投光部61aと、検出エリア内の物体で反射した検知線を受信して受信信号を発生させる受光部61bとを有する。
【0051】
物体検出処理ユニット64は、内部通信部41、物体検出処理部64a、記憶部43および外部通信部44を有する。内部通信部41は、物体検出センサ61とデータを送受信する。内部通信部41は、また、ドアコントローラ70との間でデータを送受信する。物体検出処理部64aは、物体検出センサ61が発生させた受信信号が設定レベルを超えることにより物体を検出して物体検知信号を処理する。物体検出装置60Aは、また、物体検出処理部64aが物体を検出すると自動開閉扉30のドアコントローラ70に内部通信部41を介して物体検知信号を出力する物体検知信号出力部63を有する。
【0052】
次に、本実施形態に係る監視装置1Bの動作について説明する。
監視システム100Bの運用中、つまり自動ドア30の稼動中においては、物体検出センサ61の投光部61aが検知線である赤外線を投光して、物体検出センサ61の受光部61bが赤外線を受光して受信信号を発生させる。受信信号が設定レベルを超えることにより、物体検出処理部64aが物体を検出して物体検知信号を処理する。この物体検知信号から得られる物体検知情報が、記憶部43に蓄積される。そして、蓄積された物体検知情報は、物体検出処理部64aで処理されて外部通信部44を介して物体検出処理ユニット64から送出される。
【0053】
物体検知信号出力部63が、処理部42Aが物体を検出すると自動開閉扉30のドアコントローラ70に内部通信部41を介して物体検知信号を出力する。これにより、検知エリア内に物体が存在する場合には自動ドア30が開放される。
【0054】
本実施形態においても、第2の実施形態と同様に、物体検出処理ユニット64の内部通信部41が、ドアコントローラ70との間でデータを送受信する。これにより、ドアコントローラ70からの扉開閉情報が処理ユニット64に入力される。このため、記憶部43には、扉開閉情報も蓄積される。
【0055】
このようにして、本実施形態においては、記憶部43に、物体検知情報および扉開閉情報が蓄積される。そして、蓄積されたこれら情報は物体検出処理部64aで処理されて外部通信部44を介して物体検出処理ユニット64から送出される。外部装置5である管理サーバでは、物体検知情報と扉開閉情報を取得できるため、自動ドア30が正常に動作していることを確認することができる。すなわち、物体検知と自動扉開閉の動作とは連動するべきであるが、連動していることをこの点を物体検知情報と扉開閉情報とを照合して確認できる。
【0056】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。
【0057】
例えば、上記各実施形態では、物体検出ユニット60の物体検出センサ61として、AIR(能動型赤外線)方式のセンサについて説明したが、これに限定されるものではない。物体検出センサは、この他に、TOF(飛行時間計測)方式のセンサ、レーザセンサ、PIR(受動型赤外線)方式のセンサ、またはMW(マイクロウェーブ)センサなどであってもよい。また、これらに限定されるわけではなく、物体を検出できればいかなる方式のセンサであってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 監視装置
2 筐体
3 センサユニット
4 処理ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6