(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンズ部の周囲に配置されるオートフォーカス用コイル部と、前記オートフォーカス用コイル部に対して径方向に離間して配置されるオートフォーカス用マグネット部と、前記オートフォーカス用マグネット部を含むオートフォーカス固定部に対して前記オートフォーカス用コイル部を含むオートフォーカス可動部を光軸方向に移動可能に支持するオートフォーカス用支持部材と、を有し、前記オートフォーカス用コイル部と前記オートフォーカス用マグネット部とで構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して自動的にピント合わせを行うオートフォーカス用駆動部と、
前記オートフォーカス用駆動部に配置される振れ補正用マグネット部と、前記振れ補正用マグネット部に対して光軸方向に離間して配置される振れ補正用コイル部と、前記振れ補正用コイル部を含む振れ補正固定部に対して前記振れ補正用マグネット部を含む振れ補正可動部を光軸直交面内で揺動可能に支持する振れ補正用支持部材と、を有し、前記振れ補正用コイル部と前記振れ補正用マグネット部で構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して振れ補正を行う振れ補正用駆動部と、を備え、
前記振れ補正用支持部材は、一対の給電用サスペンションワイヤーと、一対の信号用サスペンションワイヤーと、で構成され、前記振れ補正固定部と前記オートフォーカス固定部を連結し、
前記オートフォーカス可動部は、位置検出用磁石を有し、
前記オートフォーカス固定部は、前記一対の給電用サスペンションワイヤーに接続される一対のオートフォーカス用電源ラインと、前記一対の信号用サスペンションワイヤーに接続される一対の信号ラインと、前記オートフォーカス用電源ライン及び前記信号ラインを介して前記給電用サスペンションワイヤー及び前記信号用サスペンションワイヤーと電気的に接続されるオートフォーカス用制御部と、前記オートフォーカス用制御部と前記オートフォーカス用コイル部を電気的に接続するコイル用電源ラインと、を有し、
前記オートフォーカス用制御部は、前記位置検出用磁石に対向して配置され磁界の変化に基づいて前記オートフォーカス可動部の光軸方向における位置を検出するホール素子と、前記信号用サスペンションワイヤーを介して供給される制御信号及び前記ホール素子の検出結果に基づいて前記オートフォーカス用コイル部の通電電流を制御するコイル制御部と、前記ホール素子及び前記コイル制御部が実装されるオートフォーカス用回路基板と、を有し、
前記オートフォーカス用電源ライン、前記信号ライン及び前記コイル用電源ラインは、前記オートフォーカス固定部における光軸方向受光側の同一平面上に、互いに接触しないように配置されていることを特徴とするレンズ駆動装置。
前記オートフォーカス固定部は、矩形状の枠体、前記枠体の4辺に沿って前記オートフォーカス用マグネット部を保持するマグネット保持部、及び前記オートフォーカス用制御部が配置される収容部を有するマグネットホルダーを含み、
前記オートフォーカス可動部は、筒状のレンズ収容部及び前記オートフォーカス用コイル部が巻線されるコイル巻線部を有するレンズホルダーを含み、
前記レンズホルダーは、前記オートフォーカス用コイル部が前記オートフォーカス用マグネット部と対向するように、前記マグネットホルダーの内側に配置され、
前記オートフォーカス用電源ライン、前記信号ライン及び前記コイル用電源ラインは、全体として前記枠体と同等の形状を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係るカメラモジュールAを搭載するスマートフォンM(カメラ搭載装置)を示す図である。
図1AはスマートフォンMの正面図であり、
図1BはスマートフォンMの背面図である。
【0018】
スマートフォンMは、例えば背面カメラOCとして、カメラモジュールAを搭載する。カメラモジュールAは、AF機能及びOIS機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うとともに、撮影時に生じる振れ(振動)を光学的に補正して像ぶれのない画像を撮影することができる。
【0019】
図2は、カメラモジュールAの外観斜視図である。
図3、
図4は、カメラモジュールAの分解斜視図である。
図3は上方斜視図であり、
図4は下方斜視図である。
図2〜4に示すように、本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。カメラモジュールAは、スマートフォンMで実際に撮影が行われる場合に、X方向が上下方向(又は左右方向)、Y方向が左右方向(又は上下方向)、Z方向が前後方向となるように搭載される。すなわち、Z方向が光軸方向であり、図中上側が光軸方向受光側(「マクロ位置側)ともいう)、下側が光軸方向結像側(「無限遠位置側」ともいう)となる。また、Z軸に直交するX方向及びY方向を「光軸直交方向」と称する。
【0020】
カメラモジュールAは、AF機能及びOIS機能を実現するレンズ駆動装置1、円筒形状のレンズバレルにレンズが収容されてなるレンズ部(図示略)、レンズ部により結像された被写体像を撮像する撮像部(図示略)、及び全体を覆うカバー2等を備える。
【0021】
カバー2は、光軸方向から見た平面視で正方形状の有蓋四角筒体であり、上面に円形の開口2aを有する。この開口2aからレンズ部(図示略)が外部に臨む。カバー2は、レンズ駆動装置1のOIS固定部20のベース21(
図13、
図14参照)に固定される。
【0022】
撮像部(図示略)は、撮像素子(図示略)を有し、レンズ駆動装置1の光軸方向結像側に配置される。撮像素子(図示略)は、例えばCCD(charge-coupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等により構成される。撮像素子(図示略)は、レンズ部(図示略)により結像された被写体像を撮像する。
【0023】
図5、
図6は、レンズ駆動装置1の分解斜視図である。
図5は上方斜視図であり、
図6は下方斜視図である。
図5、
図6に示すように、レンズ駆動装置1は、OIS可動部10、OIS固定部20、及びOIS用支持部材30等を備える。
【0024】
OIS可動部10は、OIS用ボイスコイルモーターを構成するOIS用マグネット部を有し、振れ補正時にXY平面内に揺動する部分である。OIS固定部20は、OIS用ボイスコイルモーターを構成するOIS用コイル部を有し、OIS用支持部材30を介してOIS可動部10を支持する部分である。すなわち、レンズ駆動装置1のOIS用駆動部には、ムービングマグネット方式が採用されている。OIS可動部10は、AF用駆動部(AF可動部11及びAF固定部12、
図7、
図8参照)を含む。
【0025】
OIS可動部10は、OIS固定部20に対して光軸方向受光側に離間して配置され、OIS用支持部材30によってOIS固定部20と連結される。具体的には、OIS用支持部材30は、Z方向に沿って延在する4本のサスペンションワイヤーで構成される(以下「サスペンションワイヤー30」と称する)。サスペンションワイヤー30の一端(上端)はOIS可動部10(上側弾性支持部材13、
図7、
図8参照)に固定され、他端(下端)はOIS固定部20(コイル基板23、
図13、
図14参照)に固定される。OIS可動部10は、サスペンションワイヤー30によって、XY平面内で揺動可能に支持される。
【0026】
本実施の形態では、4本のサスペンションワイヤー30のうち、サスペンションワイヤー31A、31Bは制御IC161(
図11参照)に制御信号を伝達する信号経路として使用され、サスペンションワイヤー32A、32Bは制御IC161の給電経路として使用される(以下「信号用サスペンションワイヤー31A、31B」、「給電用サスペンションワイヤー32A、32B」と称する)。
【0027】
図7、
図8は、OIS可動部10の分解斜視図である。
図7は上方斜視図であり、
図8は下方斜視図である。
図7、
図8に示すように、OIS可動部10は、AF可動部11、AF固定部12、AF用支持部材13、14、AF用電源ライン171、172、及び信号ライン173、174等を備える。
【0028】
AF可動部11は、AF用ボイスコイルモーターを構成するAF用コイル部112を有し、ピント合わせ時に光軸方向に移動する部分である。AF固定部12は、マグネット部122(AF用マグネット部)を有し、AF用支持部材13、14を介してAF可動部11を支持する部分である。すなわち、レンズ駆動装置1のAF用駆動部には、ムービングコイル方式が採用されている。
【0029】
AF可動部11は、AF固定部12に対して径方向内側に離間して配置され、AF用支持部材13、14によってAF固定部12と連結される。AF用支持部材13は、AF固定部12に対してAF可動部11を上側で支持する上側弾性支持部材であり(以下「上側弾性支持部材13」と称する)、AF用支持部材14は、AF固定部12に対してAF可動部11を下側で支持する下側弾性支持部材である(以下「下側弾性支持部材14」と称する)。
【0030】
AF可動部11は、レンズホルダー111、AF用コイル部112、及び位置検出用磁石15A、15Bを有する。
【0031】
レンズホルダー111は、筒状のレンズ収容部111a、及びレンズ収容部111aから径方向外側に突出する平面視で略八角形状のフランジ部111b、111cを有する。フランジ部111b、111cで挟まれる部分(以下「コイル巻線部」と称する)に、AF用コイル部112が巻線される。フランジ部111bの上面は、AF可動部11の光軸方向受光側への移動を規制するための被係止部となる。
【0032】
レンズ収容部111aの内周面は、接着剤が塗布される溝を有することが好ましい。
図9、
図10は、レンズ収容部111aの内周面に配置される溝の一例を示す図である。
図9Aは、レンズホルダー収容部111aを上方から見た図であり、
図9Bは、
図9AのIX−IX矢視断面図である。
図10Aは、レンズホルダー収容部111aを上方から見た図であり、
図10Bは、
図10AのX−X矢視断面図である。
【0033】
図9では、レンズ収容部111aの内周面において、周方向に等間隔で8箇所に、光軸方向に沿う溝D1が形成されている。溝D1は、レンズホルダー収容部111aの上部から下部にわたって貫通する。
図10では、レンズ収容部111aの内周面において、周方向に等間隔で4箇所に、光軸方向に沿う溝D2が形成されている。溝D2は、レンズホルダー収容部111aの上部にだけ形成される。溝の形態は、塗布された接着剤を保持できればよく、
図9、
図10に示すものに限定されない。
【0034】
OIS可動部10はサスペンションワイヤー30によって支持されるため、レンズ収容部111aにレンズ部(図示略)を螺合により装着する方法では、サスペンションワイヤー30が損傷する虞があり、好ましくない。本実施の形態では、レンズ収容部111aの内周面に、レンズ部(図示略)が接着により固定されるのでサスペンションワイヤー30が損傷する虞はなく、また、レンズ収容部111aの内周面が溝を有しており、この溝によって適量の接着剤が保持されるので、レンズホルダー111とレンズ部との接着強度が向上する。
【0035】
レンズホルダー111は、レンズ収容部111aの上部外周において、X方向及びY方向(以下「十字方向」と称する)を45°回転した方向(以下「対角方向」と称する)と交差する4つの部分に、上側弾性支持部材13を固定するための上バネ固定部111dを有する。レンズホルダー111は、レンズ収容部111aの外周に沿って、第1のストッパー部111hを有する。第1のストッパー部111hの下面がAF可動部11の光軸方向結像側への移動を規制するための被係止部となる。
【0036】
レンズホルダー111は、4つの上バネ固定部111dのうちの対角に位置する2つの上バネ固定部111dから径方向外側に突出する絡げ部111eを有する。レンズホルダー111は、絡げ部111eが配置されていない2つの上バネ固定部111dに、位置検出用磁石15A、15Bを収容する磁石収容部111fを有する。また、レンズホルダー111は、フランジ部111cの下面において、十字方向と交差する4つの部分に、下側弾性支持部材14を固定するための下バネ固定部111gを有する。
【0037】
AF用コイル部112は、ピント合わせ時に通電される空芯コイルであり、レンズホルダー111のコイル巻線部の外周面に巻線される。AF用コイル部112の両端は、レンズホルダー111の絡げ部111e、111eに絡げられる。AF用コイル部112の通電電流は制御IC161(
図11参照)によって制御される。
【0038】
位置検出用磁石15A、15Bは、レンズホルダー111の磁石収容部111fに配置される。AF用制御部に対応する側に配置される位置検出用磁石15A(以下「第1の位置検出用磁石15A」と称する)が、実際にAF可動部11の位置検出に用いられる。他方の位置検出用磁石15B(以下「第2の位置検出用磁石15B」と称する)は、AF可動部11の位置検出には用いられないダミー磁石である。第2の位置検出用磁石15Bは、AF可動部11に作用する磁力をバランスさせ、AF可動部11の姿勢を安定させるために配置される。すなわち、第2の位置検出用磁石15Bを配置しない場合、マグネット部122が発生する磁界によってAF可動部11に片寄った磁力が作用し、AF可動部11の姿勢が不安定となるので、第2の位置検出用磁石15Bを配置することにより、これを防止している。
【0039】
AF固定部12は、マグネットホルダー121、マグネット部122、及びAF用制御部16を有する。
【0040】
マグネットホルダー121は、正方形状の上部枠体121a、及び上部枠体121aの四隅に垂設される脚部121bを有する。4つの脚部121bは、それぞれ、上部枠体121aの4辺に沿ってマグネット部122を保持するマグネット保持部121cを有する。また、脚部121bは、それぞれ、径方向内側に円弧状に凹むワイヤー挿通部121dを有する。ワイヤー挿通部121dに、サスペンションワイヤー30が配置される(
図5、
図6参照)。ワイヤー挿通部121dを設けることにより、OIS可動部10が揺動する際に、サスペンションワイヤー30とマグネットホルダー121が干渉するのを回避することができる。
【0041】
マグネットホルダー121は、上部に、径方向内側に張り出す第2のストッパー部121eを有する。マグネットホルダー121は、レンズホルダー111のレンズ収容部111a、上バネ固定部111d、絡げ部111e、第1のストッパー部111hに対応する部分が切り欠かれた開口を有する。AF可動部11は、マグネットホルダー121の上面よりも光軸方向受光側に移動することができる。AF可動部11が光軸方向受光側に移動するときに、レンズホルダー111のフランジ部111bに第2のストッパー部121eが当接することにより、AF可動部11の光軸方向受光側への移動が規制される。
【0042】
また、第2のストッパー部121eの上面には、上側弾性支持部材13のアーム部131c、131f、132c、132f(
図12参照)が載置される。第2のストッパー部121eには、ダンパー収容部121jが配置される。
【0043】
マグネットホルダー121は、脚部121bの下面に、下側弾性支持部材14を固定するための下バネ固定部121fを有する。マグネットホルダー121は、上部の四隅に、上側弾性支持部材13を固定するための上バネ固定部121hを有する。
【0044】
上バネ固定部121hの角部121iは、マグネットホルダー121の上面(上側弾性支持部材13が取り付けられる面)よりも下側に凹んで形成され、上側弾性支持部材13を取り付けたときに、隙間が形成されるようになっている(以下「「ダンパー配置部121i」と称する)。ダンパー配置部121iの頂角部は外側に延出し、円弧状に切り欠かれている。ダンパー配置部121iの円弧状に切り欠かれている部分は、ワイヤー挿通部121dに連通する。
【0045】
また、マグネットホルダー121は、一つの脚部121bに、AF用制御部16を収容するためのIC収容部121gを有する。
【0046】
マグネット部122は、4つの直方体状の永久磁石122A〜122Dを有する。永久磁石122A〜122Dは、マグネットホルダー121のマグネット保持部121cに、接着により固定される。永久磁石122A〜122Dは、AF用コイル部112に径方向に横切る磁界が形成されるように着磁される。例えば、永久磁石122A〜122Dは、内周側がN極、外周側がS極に着磁される。
【0047】
マグネット部122及びAF用コイル部112によって、AF用ボイスコイルモーターが構成される。本実施の形態では、マグネット部122は、AF用マグネット部とOIS用マグネット部を兼用する。
【0048】
AF用制御部16は、マグネットホルダー121のIC収容部121gに配置される。
図11は、AF用制御部16の構成を示す拡大図である。AF用制御部16は、制御IC161、制御IC161が実装されるAF用回路基板162、及びコンデンサー(符号略)を有する。制御IC161は、ホール効果を利用して磁界の変化を検出するホール素子(図示略)を内蔵し、Z位置検出部として機能する。制御IC161は、ホール素子(図示略)の検出方向が光軸方向と一致するように配置される。制御IC161は、主として第1の位置検出用磁石15Aによる磁界の変化を検出する。これにより、光軸方向におけるAF可動部11の位置が検出される。
【0049】
また、制御IC161は、AF用コイル部112の通電電流を制御するコイル制御部(図示略)を有する。制御IC161は、AF用コイル部112に電気的に接続され、信号用サスペンションワイヤー31A、31B及び信号ライン173、174を介して供給される制御信号及びホール素子による検出結果に基づいて、AF用コイル部112の通電電流を制御する。
【0050】
AF用回路基板162は、電源出力端子162a、162f、電源入力端子162b、162e、及び信号入力端子162c、162dを有する。電源出力端子162a、162fは上側弾性支持部材13(上側板バネ131、132)に接続され、電源入力端子162b、162eはAF用電源ライン171、172に接続され、信号入力端子162c、162dは信号ライン173、174に接続される。
【0051】
上側弾性支持部材13、AF用電源ライン171、172及び信号ライン173、174は、例えばベリリウム銅、ニッケル銅、ステンレス等で形成される。
図12は、上側弾性支持部材13、AF用電源ライン171、172及び信号ライン173、174の構成を示す平面図である。
図12Aは、上側弾性支持部材13、AF用電源ライン171、172及び信号ライン173、174をAF可動部11及びAF固定部12に取り付ける前の状態を示し、
図12Bは、取り付けた後の状態を示す。
【0052】
図12に示すように、上側弾性支持部材13、AF用電源ライン171、172、信号ライン173、174は、全体として平面視で正方形状、すなわちマグネットホルダー121の上部枠体121aと同等の形状を有し、上部枠体121a上に互いに接触しないように配線される。上側弾性支持部材13は、マグネットホルダー121とレンズホルダー111を連結するため、AF用電源ライン171、172及び信号ライン173、174の内側に配置される。上側板バネ131、132、AF用電源ライン171、172及び信号ライン173、174は、例えば一枚の板金をエッチング加工することにより形成される。
【0053】
上側弾性支持部材13は、AF固定部12に対してAF可動部11を弾性支持する上側板バネ131、132である。上側板バネ131、132は、AF用コイル部112に給電するためのコイル用電源ラインとして機能する。AF用電源ライン171、172は、給電用サスペンションワイヤー32B、32Aに接続され、AF用制御部16(制御IC161)に給電する。信号ライン173、174は、信号用サスペンションワイヤー31B、31Aに接続され、AF用制御部16(制御IC161)に制御信号を供給する。
【0054】
上側板バネ131は、2つのバネ部131A、131Bを有する。バネ部131Aは、レンズホルダー111に固定されるレンズホルダー固定部131a、マグネットホルダー121に固定されるマグネットホルダー固定部131b、及びレンズホルダー固定部131aとマグネットホルダー固定部131bを連結するアーム部131cを有する。同様に、バネ部131Bは、レンズホルダー固定部131d、マグネットホルダー固定部131e、及びアーム部131fを有する。レンズホルダー固定部131a、131dは、レンズホルダー111のレンズ収容部111aに沿って連結されている。
【0055】
レンズホルダー固定部131a、131dの固定穴(符号略)が、レンズホルダー111の上バネ固定部111dの位置決めボス(符号略)に挿嵌されることにより、レンズホルダー111に対して上側板バネ131が位置決めされ、固定される。また、マグネットホルダー固定部131b、131eの固定穴(符号略)が、マグネットホルダー121の上バネ固定部121eの位置決めボス(符号略)に挿嵌されることにより、マグネットホルダー121に対して上側板バネ131が位置決めされ、固定される。
【0056】
アーム部131c、131fは、湾曲形状を有し、AF可動部11が移動するときに弾性変形する。上側板バネ131は、アーム部131c、131fのそれぞれから分岐して延在するダンパー固定部131j、131kを有する。ダンパー固定部131j、131kは、マグネットホルダー121のダンパー収容部121jに配置され、ダンパー材によって埋め込まれる。
【0057】
上側板バネ131は、マグネットホルダー固定部131bからX方向に沿う一方の周縁に向かって延在する補助固定部131gを有する。補助固定部131gは、マグネットホルダー121の上面に配置され、マグネットホルダー121に対する上側板バネ131の固定状態を補強する。
【0058】
上側板バネ131は、マグネットホルダー固定部131eからAF用回路基板162に向かって延在する端子接続部131hを有する。端子接続部131hは、AF用制御部16の電源出力端子162aに接続される。上側板バネ131は、レンズホルダー固定部131a、131dの連結部分から分岐して延在するコイル接続部131iを有する。コイル接続部131iの先端部は、U字形状を有する。コイル接続部131iは、AF用コイル部112の一端部と、半田付けにより接続される。すなわち、AF用制御部16とAF用コイル部112は、上側板バネ131を介して電気的に接続される。
【0059】
上側板バネ132は、基本的な構造は上側板バネ131と同様である。すなわち、上側板バネ132は、2つのバネ部132A、132Bを有する。バネ部132A、132Bは、レンズホルダー固定部132a、132d、マグネットホルダー固定部132b、132e、及びアーム部132c、132fを有する。レンズホルダー固定部132a、132dは、レンズホルダー111のレンズ収容部111aに沿って連結されている。
【0060】
レンズホルダー固定部132a、132dの固定穴(符号略)が、レンズホルダー111の上バネ固定部111dの位置決めボス(符号略)に挿嵌されることにより、レンズホルダー111に対して上側板バネ132が位置決めされ、固定される。また、マグネットホルダー固定部132b、132eの固定穴(符号略)が、マグネットホルダー121の上バネ固定部121eの位置決めボス(符号略)に挿嵌されることにより、マグネットホルダー121に対して上側板バネ132が位置決めされ、固定される。
【0061】
アーム部132c、132fは、湾曲形状を有し、AF可動部11が移動するときに弾性変形する。上側板バネ132は、アーム部132c、132fのそれぞれから分岐して延在するダンパー固定部132j、132kを有する。ダンパー固定部132j、132kは、マグネットホルダー121のダンパー収容部121jに配置され、ダンパー材によって埋め込まれる。
【0062】
上側板バネ132は、マグネットホルダー固定部132bからX方向に沿う一方の周縁を形成しつつマグネットホルダー固定部132eに向かって延在する補助固定部132gを有する。補助固定部132gは、マグネットホルダー121の上面に配置され、マグネットホルダー121に対する上側板バネ132の固定状態を補強する。
【0063】
上側板バネ132は、マグネットホルダー固定部132eからAF用回路基板162に向かって延在する端子接続部132hを有する。端子接続部132hは、AF用制御部16の電源出力端子162fに接続される。上側板バネ132は、レンズホルダー固定部132a、132dの連結部分から分岐して延在するコイル接続部132iを有する。コイル接続部132iの先端部は、U字形状を有する。コイル接続部132iは、AF用コイル部112の他端部と、半田付けにより接続される。すなわち、AF用制御部16とAF用コイル部112は、上側板バネ132を介して電気的に接続される。
【0064】
AF用電源ライン171、172は、マグネットホルダー固定部171a、172a、ワイヤー接続部171c、172c、及び端子接続部171d、172dを有する。
【0065】
AF用電源ライン171、172は、マグネットホルダー固定部171a、172aの固定穴(符号略)がマグネットホルダー121の上バネ固定部121hの位置決めボス(符号略)に挿嵌されることにより、マグネットホルダー121に対して位置決めされ、固定される。
【0066】
ワイヤー接続部171c、172cは、給電用サスペンションワイヤー32B、32A(
図5、
図6参照)に接続される。ワイヤー接続部171c、172cは、リンク部171b、172bによってマグネットホルダー固定部171aと連結される。端子接続部171d、172dは、マグネットホルダー固定部171a、172aからAF用回路基板162に向かって延在し、AF用制御部16の電源入力端子162b、162eに接続される。
【0067】
信号ライン173、174は、マグネットホルダー固定部173a、174a、ワイヤー接続部173c、174c、及び端子接続部173d、174dを有する。
【0068】
信号ライン173、174は、マグネットホルダー固定部173aの固定穴(符号略)がマグネットホルダー121の上バネ固定部121hの位置決めボス(符号略)に挿嵌されることにより、マグネットホルダー11に対して位置決めされ、固定される。
【0069】
ワイヤー接続部173c、174cは、信号用サスペンションワイヤー31B、31A(
図5、
図6参照)に接続される。ワイヤー接続部173c、174cは、リンク部173b、174bによってマグネットホルダー固定部173aと連結される。端子接続部173d、174dは、マグネットホルダー固定部173a、174aからAF用回路基板162に向かって延在し、AF用制御部16の信号入力端子162c、162dに接続される。
【0070】
AF用電源ライン171、172及び信号ライン173、174において、リンク部171b、172b、173b、174bは、マグネットホルダー固定部171a、172a、173a、174aから角部に向かって延在する2つの第1リンク(符号略)と、第1リンクの合流部分から内側に屈曲する第2リンク(符号略)を有する。第2リンクの先端に、ワイヤー接続部171c、172c、173c、174cが配置される。すなわち、マグネットホルダー固定部171a、172a、173a、174aとワイヤー接続部171c、172c、173c、174cの間に介在するリンク部171b、172b、173b、174bは、リンク長を確保しつつ多関節化されている。
【0071】
これにより、振れ補正を行う際にリンク部171b、172b、173b、174bに生じる応力が緩和されるので、チルト特性が向上するとともに、落下等の衝撃に対する耐性が向上する。
【0072】
上側弾性支持部材13において、上側板バネ131、132のダンパー固定部131j、131k、132j、132kは、マグネットホルダー121のダンパー収容部121jに配置され、ダンパー材によって埋め込まれる。また、AF用電源ライン171、172及び信号ライン173、174において、ワイヤー接続部171c、172c、173c、174cと、マグネットホルダー121のダンパー配置部121iの間には隙間が形成され、この隙間にはサスペンションワイヤー30を取り囲むようにダンパー材が配置される。ダンパー材が上側弾性支持部材13とマグネットホルダー121との間に介在することとなる。
【0073】
上側弾性支持部材13とマグネットホルダー121との間にダンパー材(図示略)を介在させることにより、不要共振(高次の共振モード)の発生が抑制されるので、動作の安定性を確保することができる。ダンパー材は、ディスペンサーを使用して容易に塗布することができる。ダンパー材としては、例えば紫外線硬化性のシリコーンゲルを適用できる。
【0074】
下側弾性支持部材14は、上側弾性支持部材13と同様に、例えばベリリウム銅、ニッケル銅、ステンレス等からなる板バネであり(以下「下側板バネ14」と称する)、全体として平面視で正方形状を有する。下側板バネ14は、AF固定部12(マグネットホルダー121)とAF可動部11(レンズホルダー111)とを弾性的に接続する。下側板バネ14は、エッチング加工により成形される。
【0075】
下側板バネ14(下側弾性支持部材)は、4つのバネ部141〜144を有する。バネ部141は、レンズホルダー111に固定されるレンズホルダー固定部141a、レンズホルダー固定部141aから90°回転した位置に配置されマグネットホルダー121に固定されるマグネットホルダー固定部141b、及びレンズホルダー固定部141aとマグネットホルダー固定部141bを連結するアーム部141cを有する。バネ部142〜144も同様の構成を有する。
【0076】
レンズホルダー固定部141a〜144aは、隣り合うレンズホルダー固定部同士が連結されており、全体として、レンズホルダー111の下バネ固定部111gに対応する形状を有する。レンズホルダー固定部141a〜144aの固定穴が、レンズホルダー111の下バネ固定部111gの位置決めボスに挿嵌されることにより、レンズホルダー111に対して下側板バネ14が位置決めされ、固定される。
【0077】
マグネットホルダー固定部141b〜144bは、マグネットホルダー121の下バネ固定部121fに対応する形状を有する。マグネットホルダー固定部141b〜144bの固定穴が、下バネ固定部121eの位置決めボスに挿嵌されることにより、マグネットホルダー121に対して下側板バネ14が位置決めされ、固定される。
【0078】
OIS可動部10において、マグネットホルダー121には、AF用制御部16(制御IC161及びAF用回路基板162)、上側弾性支持部材13、AF用電源ライン171、172及び信号ライン173、174が取り付けられる。
【0079】
このとき、上側板バネ131、132の端子接続部131h、132hは、AF用回路基板162の電源出力端子162a、162fにはんだ付けされ、電気的に接続される。AF用電源ライン171、172の端子接続部171d、172dは、AF用回路基板162の電源入力端子162b、162eにはんだ付けされ、電気的に接続される。信号ライン173、174の端子接続部173d、174dは、AF用回路基板162の信号入力端子162c、162dにはんだ付けされ、電気的に接続される。
【0080】
レンズホルダー111には、AF用コイル部112、位置検出用磁石15A、15B、及び下側板バネ14が取り付けられる。この状態で、レンズホルダー111が光軸方向結像側からマグネットホルダー121に挿嵌される。すなわち、レンズホルダー111は、AF用コイル部112がマグネット部122と対向するように、マグネットホルダー121の内側に配置される。そして、上側板バネ131、132がレンズホルダー111に取り付けられ、下側板バネ14がマグネットホルダー121に取り付けられる。また、マグネットホルダー121に、マグネット部122が取り付けられる。
【0081】
このとき、上側板バネ131のコイル接続部131iは、レンズホルダー111の一方の絡げ部111eに絡げられたAF用コイル部112の一端部にはんだ付けされ、電気的に接続される。同様に、上側板バネ132のコイル接続部132iは、レンズホルダー111の他方の絡げ部111eに絡げられたAF用コイル部112の他端部にはんだ付けされ、電気的に接続される。
【0082】
図13、
図14は、OIS固定部20の分解斜視図である。
図13は上方斜視図であり、
図14は下方斜視図である。
図13、14に示すように、OIS固定部20は、ベース21、センサー基板22、コイル基板23、及びXY位置検出部24等を備える。
【0083】
ベース21は、平面視で正方形状の部材であり、中央に円形の開口21aを有する。ベース21は、開口21aの周縁部において、コイル基板23の位置決め穴23c及びセンサー基板22の位置決め穴22bと対応する位置に位置決めボス21bを有する。
【0084】
ベース21は、周縁部において、センサー基板22の制御端子22cと対応する位置に凹部21cを有する。凹部21cは、下方に向かって外側に拡がるテーパー形状を有する。また、ベース21は、開口210aの周縁部において、ホール素子24A、24Bを収容するホール素子収容部21d、センサー基板22の電源端子22dを収容する端子収容部21eを有する。
【0085】
コイル基板23は、ベース21と同様に平面視で正方形状の基板であり、中央に円形の開口23aを有する。コイル基板23は、四隅に、切欠部23bを有する。また、コイル基板23は、開口23aの周縁部において、対角方向と交差する2箇所に、位置決め穴23cを有する。
【0086】
コイル基板23は、光軸方向においてマグネット部122と対向する位置にOIS用コイル部231を有する。OIS用コイル部231は、永久磁石122A〜122Dに対応する4つのOISコイル231A〜231Dを有する。OISコイル231A〜231Dのそれぞれの長辺部分を、永久磁石122A〜122Dの底面から放射される磁界がZ方向に横切るように、OISコイル231A〜231D及び永久磁石122A〜122Dの大きさや配置が設定される。マグネット部122とOIS用コイル部231とで、OIS用ボイスコイルモーターが構成される。
【0087】
センサー基板22は、ベース21と同様に平面視で正方形状の基板であり、中央に円形の開口22aを有する。センサー基板22は、開口22aの周縁部において、コイル基板23の位置決め穴23cと対応する位置に位置決め穴22bを有する。センサー基板22は、Y方向に沿う2辺に、それぞれ下方に屈曲して形成される端子22cを有する。端子22cは、撮像部(図示略)と電気的に接続される。
【0088】
センサー基板22は、開口22aの内周縁部の対角方向と交差する2箇所に、OIS用コイル部231に給電するための電源端子22dを有する。センサー基板22は、四隅に、サスペンションワイヤー30の他端(下端)が挿入されるワイヤー固定穴22eを有する。
【0089】
また、センサー基板22は、OIS可動部10(AF用制御部16)及びOIS用コイル部231に給電するための電源ライン(図示略)、XY位置検出部24A、24Bから出力される検出信号用の信号ライン(図示略)、OIS可動部10におけるオートフォーカス動作を制御するための制御信号用の信号ライン(図示略)を含む配線パターンを有する。センサー基板22の裏面には、XY平面におけるOIS可動部10の位置を検出するXY位置検出部24A、24Bが配置される。
【0090】
位置検出部24A、24Bは、例えばホール効果を利用して磁界を検出するホール素子である(以下「ホール素子24A、24B」と称する)。ホール素子24A、24Bは、センサー基板22の下面の隣接する2辺において、それぞれの略中央に配置される。マグネット部122によって形成される磁界を、ホール素子24A、24Bで検出することにより、XY平面におけるOIS可動部10の位置を特定することができる。なお、マグネット部122とは別に、位置検出用磁石をOIS可動部10に配置するようにしてもよい。
【0091】
OIS固定部20において、コイル基板23とセンサー基板22は、はんだ付けにより接着される。これにより、OIS用コイル部231とセンサー基板22の電源ライン(図示略)が電気的に接続される。
【0092】
ベース21の位置決めボス21bにOIS用コイル基板23の位置決め穴23c及びセンサー基板22の位置決め穴22bが挿嵌され、OIS用コイル基板23及びセンサー基板22がベース21に載置される。センサー基板22の端子22cがベース21の凹部21cに係合されることにより、OIS用コイル基板23及びセンサー基板22がベース21に固定される。
【0093】
レンズ駆動装置1においては、信号用サスペンションワイヤー31A、31Bの一端が、それぞれ、信号ライン174、173のワイヤー接続部174c、173cに挿通され、はんだ付けにより固定される。給電用サスペンションワイヤー32A、32Bの一端が、それぞれ、AF用電源ライン172、171のワイヤー接続部172c、171cに挿通され、はんだ付けにより固定される。これにより、サスペンションワイヤー30と、AF用電源ライン171、172及び信号ライン173、174が電気的に接続される。
【0094】
サスペンションワイヤー30の他端(下端)は、センサー基板22のワイヤー固定穴22eに挿通され、はんだ付けにより固定される。これにより、サスペンションワイヤー30とセンサー基板22の電源ライン及び信号ラインが電気的に接続される。すなわち、サスペンションワイヤー30と上側弾性支持部材13を介して、AF用制御部16への給電及び動作制御が可能となる。
【0095】
レンズ駆動装置1において振れ補正を行う場合には、OIS用コイル部231への通電が行われる。具体的には、OIS用駆動部では、カメラモジュールAの振れが相殺されるように、振れ検出部(図示略、例えばジャイロセンサー)からの検出信号に基づいて、OIS用コイル部231の通電電流が制御される。このとき、XY位置検出部24A、24Bの検出結果をフィードバックすることで、OIS可動部10の揺動を正確に制御することができる。
【0096】
OIS用コイル部231に通電すると、マグネット部122の磁界とOIS用コイル部231に流れる電流との相互作用により、OIS用コイル部231にローレンツ力が生じる(フレミング左手の法則)。ローレンツ力の方向は、OIS用コイル部231の長辺部分における磁界の方向(Z方向)と電流の方向(X方向又はY方向)に直交する方向(Y方向又はX方向)である。OIS用コイル部231は固定されているので、マグネット部122に反力が働く。この反力がOIS用ボイスコイルモーターの駆動力となり、マグネット部122を有するOIS可動部10がXY平面内で揺動し、振れ補正が行われる。
【0097】
レンズ駆動装置1において自動ピント合わせを行う場合には、AF用コイル部112への通電が行われる。AF用コイル部112における通電電流は、AF用制御部16(制御IC161)によって制御される。具体的には、制御IC161は、サスペンションワイヤー31A、31B及び信号ライン174、173を介して供給される制御信号及び制御IC161に内蔵されているホール素子(図示略)による検出結果に基づいて、AF用コイル部112への通電電流を制御する。
【0098】
AF用コイル部112に通電すると、マグネット部122の磁界とAF用コイル部112に流れる電流との相互作用により、AF用コイル部112にローレンツ力が生じる。ローレンツ力の方向は、磁界の方向(X方向又はY方向)とAF用コイル部112に流れる電流の方向(Y方向又はX方向)に直交する方向(Z方向)である。マグネット部122は固定されているので、AF用コイル部112に反力が働く。この反力がAF用ボイスコイルモーターの駆動力となり、AF用コイル部112を有するAF可動部11が光軸方向に移動し、ピント合わせが行われる。
【0099】
レンズ駆動装置1のAF用駆動部16においては、制御IC161に内蔵されるホール素子の検出信号に基づいて、クローズドループ制御が行われる。クローズドループ制御方式によれば、ボイスコイルモーターのヒステリシス特性を考慮する必要がなく、またAF可動部11の位置が安定したことを直接的に検出できる。さらには、像面検出方式の自動ピント合わせにも対応できる。したがって、応答性能が高く、自動ピント合わせ動作の高速化を図ることができる。
【0100】
ここで、ピント合わせを行わない無通電時には、AF可動部11は、上側板バネ131、132及び下側板バネ14によって、無限遠位置とマクロ位置との間に吊られた状態(以下「基準状態」と称する)となる。すなわち、OIS可動部10において、AF可動部11(レンズホルダー111)は、上側板バネ131、132及び下側板バネ14によって、AF固定部12(マグネットホルダー121)に対して位置決めされた状態で、Z方向両側に変位可能に弾性支持される。
【0101】
ピント合わせを行うときには、AF可動部11を基準状態からマクロ位置側へ移動させるか、無限遠位置側に移動させるかに応じて、電流の向きが制御される。また、AF可動部11の移動距離に応じて、電流の大きさが制御される。
【0102】
ピント合わせ時にAF可動部11が無限遠位置側へ移動する場合、レンズホルダー111の第1のストッパー部111hの下面がマグネット部122の上面に近づき、最終的に当接する。すなわち、レンズホルダー111の第1のストッパー部111hの下面とマグネット部122の上面によって、無限遠位置側への移動が規制される。
【0103】
一方、ピント合わせ時にAF可動部11がマクロ位置側へ移動する場合、レンズホルダー111のフランジ部111bの上面がマグネットホルダー121の第2のストッパー部121eの下面に近づき、最終的に当接する。すなわち、レンズホルダー111のフランジ部111bの上面とマグネットホルダー121の第2のストッパー部121eの下面によって、マクロ位置側への移動が規制される。
【0104】
このように、レンズ駆動装置1は、レンズ部(図示略)の周囲に配置されるAF用コイル部112と、AF用コイル部122に対して径方向に離間して配置されるマグネット部122(AF用マグネット部)と、マグネット部122を含むAF固定部12に対してAF用コイル部112を含むAF可動部11を光軸方向に移動可能に支持するAF用支持部材13(上側板バネ131、132)と、を有し、AF用コイル部112とAF用マグネット部122とで構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して自動的にピント合わせを行うオートフォーカス用駆動部を備える。レンズ駆動装置1は、AF用駆動部に配置されるマグネット部122(振れ補正用マグネット部)と、マグネット部122に対して光軸方向に離間して配置されるOIS用コイル部231と、OIS用コイル部231を含むOIS固定部20に対してマグネット部122を含むOIS可動部10を光軸直交面内で揺動可能に支持するOIS用支持部材30と、を有し、OIS用コイル部231とマグネット部122で構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して振れ補正を行う振れ補正用駆動部を備える。OIS用支持部材30は、一対の給電用サスペンションワイヤー32A、32Bと、一対の信号用サスペンションワイヤー31A、31Bと、で構成され、OIS固定部20(センサー基板22)とAF固定部12(マグネットホルダー121)を連結する。AF可動部11は、位置検出用磁石15Aを有する。AF固定部12は、一対の給電用サスペンションワイヤー32A、32Bに接続される一対のAF用電源ライン172、171と、一対の信号用サスペンションワイヤー31A、31Bに接続される一対の信号ライン174、173と、AF用電源ライン172、171及び信号ライン174、173を介して給電用サスペンションワイヤー32A、32B及び信号用サスペンションワイヤー31A、31Bと電気的に接続されるAF用制御部16と、AF用制御部16とAF用コイル部112を電気的に接続する上側板バネ131、132(コイル用電源ライン)と、を有する。AF用制御部16は、位置検出用磁石15Aに対向して配置され磁界の変化に基づいてAF可動部11の光軸方向における位置を検出するホール素子(図示略)と、信号用サスペンションワイヤー31A、31Bを介して供給される制御信号及びホール素子の検出結果に基づいてAF用コイル部112の通電電流を制御するコイル制御部と、ホール素子及びコイル制御部が実装されるAF用回路基板162と、を有する。
【0105】
レンズ駆動装置1によれば、AF用制御部16がZ位置検出部(ホール素子)とコイル制御部を有し、Z位置検出部の検出結果に基づくクローズドループ制御がAF用制御部16内で完結するので、4本のサスペンションワイヤー31A、31B、32A、32Bによって、AF用制御部16への給電及び制御信号の供給を行うだけでよい。したがって、AF用コイル部及び位置検出部の駆動に用いられるOIS用支持部材の構成を簡素化できるとともに、AF用駆動部の信頼性を向上することができる。
【0106】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0107】
例えば、実施の形態では、一つの制御IC161がホール素子とコイル制御部を内蔵する場合について説明したが、ホール素子とコイル制御部は、別々のICとしてAF用回路基板162に実装されてもよい。
【0108】
また例えば、AF用制御部16からAF用コイル部112への給電経路となるコイル用電源ラインを、上側板バネ131、132とは別に設けてもよい。ただし、構造が複雑になるため、上側板バネ131、132をコイル用電源ラインとして機能させるのが好ましい。
【0109】
実施の形態では、カメラモジュールAを備えるカメラ搭載装置の一例として、カメラ付き携帯端末であるスマートフォンを挙げて説明したが、本発明は、情報機器または輸送機器であるカメラ搭載装置に適用できる。情報機器であるカメラ搭載装置とは、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する制御部を有する情報機器であり、例えばカメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)を含む。また、輸送機器であるカメラ搭載装置とは、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像を処理する制御部を有する輸送機器であり、例えば自動車を含む。
【0110】
図15は、車載用カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Vを示す図である。
図15Aは自動車Vの正面図であり、
図15Bは自動車Vの後方斜視図である。自動車Vは、車載用カメラモジュールVCとして、実施の形態で説明したカメラモジュールAを搭載する。
図15に示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用等として使用される。
【0111】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。