特許第6706029号(P6706029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706029
(24)【登録日】2020年5月19日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】脱穀装置
(51)【国際特許分類】
   A01F 12/32 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
   A01F12/32 C
   A01F12/32 A
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-95573(P2015-95573)
(22)【出願日】2015年5月8日
(65)【公開番号】特開2016-208911(P2016-208911A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(74)【代理人】
【識別番号】100166659
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 和也
(72)【発明者】
【氏名】梅林 竜司
(72)【発明者】
【氏名】木村 敦
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−014330(JP,A)
【文献】 特開平07−264927(JP,A)
【文献】 特開平11−178431(JP,A)
【文献】 特開2000−139190(JP,A)
【文献】 特開2007−020419(JP,A)
【文献】 実開昭55−008363(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第1543717(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 12/18 − 12/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動選別によって脱穀処理された処理物の選別を行う揺動選別体(31)と、
処理物を選別する選別風を起風する送風ファン(34)とを備え、
前記揺動選別体(31)は、前側に配置されたグレンパン(38)と、該グレンパン(38)の後方に配置されて処理物を選別漏下させるチャフシーブ(39)と、該チャフシーブ(39)の下方側に配置されるグレンシーブ(42)とを有し、
該グレンパン(38)の上面には、処理物を後方搬送する搬送面(38a)を形成し、該搬送面(38a)側に上記選別風を流動させる構造とした脱穀装置において、
前記揺動選別体(31)が配置された選別室(22)に、揺動選別体(31)の前方下側に配置されて、下方からグレンシーブ(42)及びチャフシーブ(39)側に向けて選別風を送風する唐箕ファン(32)を設け、
前記送風ファン(34)は、該唐箕ファン(32)とは別に、前記グレンパン(38)の前方に配置されて、前記搬送面(38a)側に選別風を送風するように構成され、
前記送風ファン(34)から搬送面(38a)側への流動経路の途中に、着脱可能な調整部材(52,54,56)を設け、該調整部材(52,54,56)の着脱によって、搬送面(38a)側に流動する選別風の風量を調整するか、或いは選別風の有無を切換える構造とし、
前記調整部材(52,54,56)の着脱によって、前記送風ファン(34)からグレンパン(38)側に送風される選別風の一部、或いは全部を、前記グレンシーブ(42)側に流動させることにより、グレンパン(38)側に流動する選別風の風量を調整するか、或いは選別風の有無を切換える構造とした
脱穀装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレンパンの上面側に選別風を流動させる脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
揺動選別によって脱穀処理された処理物の選別を行う揺動選別体と、処理物を選別する選別風を起風する送風ファンとを備え、前記揺動選別体は、前側に配置されたグレンパンと、該グレンパンの後方に配置されて処理物を選別漏下させるチャフシーブと、該チャフシーブの下方側に配置されるグレンシーブとを有し、該グレンパンの上面には、処理物を後方搬送する搬送面を形成し、該搬送面側に上記選別風を流動させる構造とした特許文献1に記載の脱穀装置が従来公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−289383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献の脱穀装置では、グレンパンの上面側に選別風を送ることによって、選別能力を向上させることができるものであるが、グレンパン上の選別風の強弱等を調整するために、送風ファンからの選別風が吐出される吐出口を排藁量に応じて開閉可能に構成したり、送風ファンの駆動数を変更可能に構成したりすることによって、選別風の風量を調整する風力調整手段を別途に設ける必要があり、コストが高くなるという課題があった。
【0005】
本発明では、グレンパンの上面側に選別風を送風して選別能力を向上させる脱穀装置において、グレンパンの上面側に送風される選別風の風量の有無の切換えや、該選別風の強弱の切換えを簡易且つ安価に構成できる脱穀装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため揺動選別によって脱穀処理された処理物の選別を行う揺動選別体31と、処理物を選別する選別風を起風する送風ファン34とを備え、前記揺動選別体31は、前側に配置されたグレンパン38と、該グレンパン38の後方に配置されて処理物を選別漏下させるチャフシーブ39と、該チャフシーブ39の下方側に配置されるグレンシーブ42とを有し、該グレンパン38の上面には、処理物を後方搬送する搬送面38aを形成し、該搬送面38a側に上記選別風を流動させる構造とした脱穀装置において、前記揺動選別体31が配置された選別室22に、揺動選別体31の前方下側に配置されて、下方からグレンシーブ42及びチャフシーブ39側に向けて選別風を送風する唐箕ファン32を設け、前記送風ファン34は、該唐箕ファン32とは別に、前記グレンパン38の前方に配置されて、前記搬送面38a側に選別風を送風するように構成され、前記送風ファン34から搬送面38a側への流動経路の途中に、着脱可能な調整部材52,54,56を設け、該調整部材52,54,56の着脱によって、搬送面38a側に流動する選別風の風量を調整するか、或いは選別風の有無を切換える構造とし、前記調整部材52,54,56の着脱によって、前記送風ファン34からグレンパン38側に送風される選別風の一部、或いは全部を、前記グレンシーブ42側に流動させることにより、グレンパン38側に流動する選別風の風量を調整するか、或いは選別風の有無を切換える構造としたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、前記調整部材の着脱によって、グレンパンの上面側に送風される選別風の風量の調整、或いは選別風の有無を切換えることができるため、藁屑の発生が多い材料の場合はグレンパン側への選別風を強くし、揺動選別の早い段階で藁屑を飛ばして効率良く揺動選別を行える一方、飛び易くて機外飛散が発生し易い材料の場合はグレンパン側への選別風を弱く、或いは無くし、穀粒の機外飛散を防止することができる。また、送風ファンの回転数を操作したり、選別風の吐出口を排藁量に応じて自動的に開閉したりする選別風調整手段を別途に設ける構成と比較して、構成が簡易になるとともに、コストも低く抑えることができる。
【0008】
また、前記調整部材52,54,56の着脱によって、前記送風ファンからグレンパン38側に送風される選別風の一部、或いは全部を、前記グレンシーブ42側に流動させることにより、グレンパン38側に流動する選別風の風量を調整するか、或いは選別風の有無を切換える構造としたものとよれば、より簡易な構成で前記選別風の送風先や風量の切換えを行うことができるため汎用性が向上するとともに、コストもより低く抑えることができる。また、選別風のグレンパン側への選別風を弱めるために分流した選別風を機外飛散に影響のないグレンシーブ側の選別能力向上に利用できるため、収穫物に応じて効率的な選別作業をすることができる。
【0009】
なお、揺動選別体が配置された選別室に、揺動選別体31の前方下側に配置されて、下方からグレンシーブ42及びチャフシーブ39側に向けて選別風を送風する唐箕ファンを備え、前記送風ファンは、該唐箕ファンとは別に、前記グレンパンの前方に配置されて前記搬送面側に選別風を送風する補助ファンであるものによれば、前記補助ファンによって、グレンパンの上面側に選別風を安定して送ることができるため、選別能力がより安定・向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の脱穀装置を適用した汎用コンバインの左側面図である。
図2】脱穀装置を示した側断面図である。
図3】選別部の構成を示した要部側面図である。
図4】(A)は、上部切換板に通風板を設置した状態を示した揺動選別体の前方斜視図であり、(B)は、下部切換板に通風板を設置した状態を示した揺動選別体の前方斜視図である。
図5】(A)乃至(C)は、切換機構によって切換えられる補助ファンからの選別風の導風状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の脱穀装置を適用した汎用コンバインの左側面図であり、図2は、脱穀装置を示した側断面図であり、図3は、選別部の構成を示した要部側面図である。図より、本汎用コンバインは、走行部である左右一対のクローラ式走行装置1,1に支持された走行機体2と、該走行機体2の前方に昇降可能に連結されて圃場の穀稈の刈取作業を行う刈取部3とを備えている。
【0012】
前記走行機体2には、オペレータが乗込んで操向操作を行う操縦部4を刈取部3の真後ろ側近傍における右寄り位置に設け、該操縦部4の後方斜め左側に前記刈取部3で刈取られた穀稈の脱穀作業等を行う脱穀装置6を設置し、操縦部4の後方且つ脱穀装置6右側に脱穀装置6で脱穀された処理物である穀粒を収納するグレンタンク7を配置し、脱穀装置6の後方に脱穀後の藁屑等を排出する排出部8が設けられている。
【0013】
前記刈取部3は、刈取った穀稈を脱穀装置側に搬送するフィーダ9と、該フィーダ9の前端側に連結されて前方側に延びる刈取フレーム11と、該刈取フレーム11の前端側に設けた左右一対のデバイダ12と、該刈取フレーム11の基礎部となる後端部の上方側から前方に向って延出している左右一対の支持アーム13と、該左右の支持アーム13の延出端の間に、回転自在に架設支持された掻込リール14とを備えている。
【0014】
左右一方側(図示する例では左側)の支持アーム13と刈取フレーム11との間には、伸縮によって前記掻込リール14を刈取部3の本体に対して昇降させるリールシリンダ16を設置し、左右他方側の支持アーム13には、掻込リール14に動力を伝動する伝動ケース17が設けられている。すなわち、掻込リール14は、刈取部3の本体側に対して昇降作動されるとともに、伝動ケース17から伝動される動力によって自身の軸回りに回転駆動される。
【0015】
該構成の刈取部3によれば、圃場の穀稈を、前記左右のデバイダ12の間である刈取側と、該刈取側の左右両外側である非刈取側とに分草し、該刈取側の植立穀稈は、前記掻込リール14によって刈取部側に掻込まれながらデバイダ12の後方に備えたレシプロ式の刈刃(図示しない)によって穀稈の根元側から刈取られる。これにより刈取られた穀稈は、刈取フレーム11側の搬送オーガ(図示しない)により前記フィーダ9の前端側へ送られ、該フィーダ9に搬送された穀稈がフィーダ9の内部に備えた搬送コンベヤ18によって後方側に搬送される。フィーダ9の後端側に搬送された刈取穀稈は、前記脱穀装置6の上部前端側に送られる。
【0016】
前記脱穀装置6は、該脱穀装置6の上側であって前記フィーダ9から搬送される刈取穀稈の脱穀作業を行う脱穀部21と、脱穀装置6の下側であって前記脱穀部21により脱穀された処理物を穀粒と藁屑等の排塵物とに選別する選別部22とから構成されている。
【0017】
前記脱穀部21は、前記フィーダ9の後端側から刈取穀稈の全部が投入される扱室23と、該扱室23の前後方向全体に亘って形成された前後方向の扱胴回転軸24回りに回転駆動自在に設けられて、前端側が漏斗型となる円筒状の扱胴26と、該扱胴26の下方であって、扱胴26の形状に沿って背面視で中央が窪んだ円弧状をしている受網27とを備えている。
【0018】
該構成により、フィーダ9によって扱室に全稈投入された刈取穀稈は、回転駆動される扱胴26によって扱降し処理(脱穀処理)されて排藁となり、該排藁は扱室23後方の排出部8から機外へと排出される。その一方で、扱胴26によって扱降ろされた処理物は、籾などの穀粒と屑藁等とを含んでおり、受網27で受止められるとともに下方側に漏下することで、選別部22側に導入される。
【0019】
前記選別部22は、前記受網27から漏下した処理物を揺動選別する揺動選別体31と、該揺動選別体31の前方下側に配置されて後方上側に向けて選別風を送風する唐箕ファン32と、選別後の排塵物を機外へ排出する二番選別ファン33と、揺動選別体31の前方側に配置された補助ファン(送風ファン)34と、該唐箕ファン32等によって選別された1番物である穀粒を回収する1番ラセン36と、2番物を回収する2番ラセン37とを備えている。
【0020】
上記揺動選別体31は、受網27側から落下してきた処理物を上面側で受止めて後方側に移送する搬送面38aが形成されたグレンパン38と、グレンパン38の後方に配置されてグレンパン38によって移送されてきた処理物を選別落下させる複数のフィン39aから構成されるチャフシーブ39と、チャフシーブ39の後方に配置されて処理物に含まれた長い藁等を後方搬送するとともに処理物に含まれた短い藁や穀粒等を前述の2番物として下方落下させるストローラック41とが、一対の板フレーム43,43間に設けられて構成されている。
【0021】
また、該揺動選別体31は、上記チャフシーブ39の下方側に、チャフシーブ39から漏下してくる処理物を受止めて選別落下させるグレンシーブ(選別網)42と、該グレンシーブ42の後方側に配置されたチャフシーブ30と、該チャフシーブ30の後方に配置されたストローラック35とが設けられている。なお、該グレンパン38の上方側には、前後長の短い上部グレンパン44が設けられている。これにより、該揺動選別体31は、上下方向3段階で処理物を揺動選別するように構成されている。
【0022】
該グレンパン38の搬送面38aは、搬送下流側(移送側、下流側)である後方に向かって緩やかに上方傾斜してから急激に下降する山面と、平らなフラット面とを、搬送側に向って交互に配することにより構成され、全体として波状をなしている。グレンパン38を前後動させると、その反動によって、前部又はフラット面に留まった処理物が、山面を乗越えて下流側のフラット面に移動する。すなわち、揺動選別体31を前後動させることにより、処理物が順次後方に搬送されていく。
【0023】
同様の構成の搬送面38aは、前記上部グレンパン44と、グレンシーブ42の前部側にも成形されている(搬送面44a,42a)。なお、グレンパン38の上面側に形成される搬送面38aは、上記構成に限られず、後方に向かって下方傾斜する平板(山面を設けずフラット面のみ)等によって構成しても良い。
【0024】
上記補助ファン34は、揺動選別体31の前方側に配置され、後方下側に向かって段状に形成される揺動選別体31の前面側と、唐箕ファン32を収容する唐箕ケース32Aから後方に向けて下方傾斜された流路板40との間に形成される流動経路を介して、該補助ファン34で起風される選別風を揺動選別体31内に送るように構成されている。
【0025】
前記上部グレンパン44と、グレンパン38の間には、揺動選別体31の前面側に設けた上部開口部51から選別風が送風される上側流路が形成され、前記グレンパン44と、グレンシーブ42の間には、揺動選別体31の前面側に設けた下部開口部53から選別風が送風される下側流路が形成されており、揺動選別体31の前部側に構成された切換機構によって、前記補助ファン34により送られる選別風を、上下の各流路に送ることができるように構成されている。このとき、該上部開口部51の上方側には、上部グレンパン44が張出すように配置され、下部開口部53の上方側には、グレンパン38が張出すように配置されており、処理物が上部開口部51(下部開口部53)から下方に落下することを効率的に防止できる。
【0026】
具体的に、該切換機構は、補助ファン34の選別風をグレンパン38の上面側(上側流路)と、グレンシーブ42の上面側(下側流路)の両方へ送風する分流状態と、補助ファン34の選別風をグレンシーブ42の上面側(下側流路)にのみ送風する下部送風状態と、補助ファン34の選別風をグレンパン38の上面側(上側流路)にのみ送風する上部送風状態とに切換えることができるように構成されている。該切換機構の詳細な構成については後述する。
【0027】
上記構成により、選別部22側に導入された処理物は、揺動選別体31によって揺動選別され、唐箕ファン32や補助ファン34等によって起風される選別風によって穀粒と藁屑等とに選別される。詳しくは、揺動選別体31から漏下した処理物は、唐箕ファン32によりグレンシーブ42及びチャフシーブ39側に向けて送風された選別風の影響を殆ど受けずに選別部22の前後方向中央(1番ラセン36)よりも若干前方に落下して前記1番ラセン36によって回収される1番物と、選別風の影響を若干受けて1番ラセン36よりも後方に落下して前記2番ラセン37によって回収される2番物とに風選され、藁屑等は上記選別風によって排出部8側に飛ばされる。
【0028】
前記1番物は、1番ラセン36及び揚穀装置46によって搬送され、穀粒としてグレンタンク7内に収容される。2番物は、2番ラセン37及び還元装置47によって、選別部22における揺動選別体31の上方側に再び還元され、風選が行われる。
【0029】
次に、図3乃至図5に基づき、前記切換機構について説明する。
図4(A)は、上部切換板に通風板を設置した状態を示した揺動選別体の前方斜視図であり、図4(B)は、下部切換板に通風板を設置した状態を示した揺動選別体の前方斜視図であり、図5(A)乃至(C)は、切換機構によって切換えられる補助ファンからの選別風の導風状態を示した図である。
【0030】
前記切換機構は、前記グレンパン38の上下で段状に形成された前記揺動選別体31の前面側に構成されている。具体的には、前記上部開口部51の開閉を切換える上部切換板(調整部材)52と、前記下部開口部53の開閉を切換える下部切換板(調整部材)54と、補助ファン34からの選別風を下部切換板54側へ至る流動経路を遮蔽する遮蔽板(調整部材)56とを備え、各切換用の部材を揺動選別体31の前部側に着脱することによって、補助ファン34からグレンパン38側に送風される選別風を導風し、該選別風の送風先を切換えることができるように構成されている。
【0031】
前記上部切換板52は、前記グレンパン38の前面側に着脱可能な構成でボルト固定される板状部材であって、枠状に形成されて枠内側を網状部52aで覆うことにより補助ファン34からの選別風を通過させる上部通風板52A(図4(A)参照)と、補助ファン34からの選別風を遮蔽する上部遮蔽板52B(図4(B)参照)との何れか一方を選択して、揺動選別体31の上部開口部51に取付けられるように構成されている。これにより、グレンパン38の上面側に選別風を流動させるか否かの切換えを行うことができる。なお、該網状部52aは、選別風が通過する構成であれば良い。
【0032】
また、該上部切換板52は、グレンパン38の前端側から前方上方側に向かって傾斜し、その上端側が、前記上部グレンパン44の前方側に設けた左右一対の上部ボルト固定部57,57にボルト固定されるとともに、下端側が、グレンパン38の前端側に沿って水平方向に屈曲形成されてグレンパンの前側に設けた左右一対の中部ボルト固定部58,58でボルト固定されることによって、上部開口部51に着脱自在となるよう構成されている。
【0033】
前記下部切換板54は、前記グレンシーブ42の前面側に着脱可能な構成でボルト固定される板状部材であって、板状に形成されて枠内側を網状部54aで覆うことによって補助ファン34からの選別風を通過させる下部通風板54A(図4(B)参照)と、補助ファン34からの選別風を遮蔽する下部遮蔽板54B(図5(A)参照)との何れか一方を選択して、揺動選別体31の下部開口部53に取付けられるように構成されている。
【0034】
また、該下部切換板54は、グレンシーブ42の前端側から前方上方側に向って傾斜し、グレンシーブ42の前方側と、グレンパン38の中途部下方側とにそれぞれ左右一対設けられた下部ボルト固定部59,59,59,59にボルト固定(計4箇所)されることによって、下部開口部53に着脱自在となるよう構成されている。
【0035】
前記遮蔽板56は、前記グレンパン38の前面側に着脱可能な構成でボルト固定される板状部材であって、補助ファン34からの選別風が流動する流動経路の中途部を遮断するように、グレンパン38(揺動選別体31)の前方側に向けて張出すように取付けられることによって、補助ファン34からの選別風を前記上側流路に導風することができるように構成されている。また、該遮蔽板56を取外すことによって、補助ファン34からの選別風を前記下側流路へ送風できる。
【0036】
また、該遮蔽板56は、前後方向に延びる板状部材であって、その後端側が、上部切換板52とともに前記中段ボルト固定部58,58に共締めされ、その左右両端側が、上方に屈曲形成されて前記板フレーム43,43の前端側に設けたフレーム側ボルト固定部61,61にボルト固定(計4箇所)されることによって、着脱自在に構成されている。
【0037】
上記構成の切換機構は、前記上部開口部51に上部通風板52Aをボルト固定し、前記下部開口部53に下部通風板54Aをボルト固定し、前記遮蔽板56を取外すことにより、補助ファン34からの選別風をグレンパン38の上面側と、グレンシーブ42の上面側の両方へ送風する分流状態に切換えることができる(図5(A)参照)。
【0038】
該構成の分流状態によれば、揺動選別体31の上側流路のチャフシーブ39上の処理物と、下側流路のグレンシーブ42上の処理物とを補助ファン34からの選別風によって風選し、揺動選別体31(グレンシーブ42)側から漏下した処理物を唐箕ファン32からのより強い選別風によって風選することで、上下方向の段部で均一に選別できるため、選別性能が向上する。
【0039】
また、該切換機構は、前記上部開口部51に上部遮蔽板52Bをボルト固定し、前記下部開口部53に下部通風板53Aをボルト固定し、前記遮蔽板56を取外すことにより、補助ファン34からの選別風をグレンシーブ42側にのみ送風する下部送風状態に切換えることができる(図5(B)参照)。
【0040】
該構成の下部送風状態によれば、特に、処理物のろ過量が少なくなる品種の場合に、揺動選別体31のチャフシーブ39上に選別風が送風されることを防止し、チャフシーブ39の処理物がある程度揺動選別され、グレンシーブ42上に落下したものを選別風によって風選できるため、チャフシーブ39上に残っている処理物が必要以上に機外に飛散されることを効率的に防止できる。すなわち、該下部送風状態と、上記分流状態では、グレンパン38側に送風される補助ファン32からの選別風を遮断する(弱める)にあたり、上記選別風を切換機構によって機外飛散に影響を及ぼさない前記下側流路(グレンシーブ42)側に導風し、選別能力を向上に利用できる。
【0041】
さらに、該切換機構は、前記上部開口部51に上部通風板52Aをボルト固定し、前記下部開口部53に下部遮蔽板53Bをボルト固定し、前記遮蔽板56をボルト固定することにより、補助ファン34からの選別風をグレンパン38側にのみ送風する上部送風状態に切換えることができる(図5(C)参照)。
【0042】
該構成の上部送風状態によれば、補助ファン34からの選別風を、遮蔽板56によって上側流路に導風することによって、グレンパン38及びチャフシーブ39側に送風される選別風を強くすることができる。このため、特に、チャフシーブ39からのろ過量が多い品種を選別する場合に、脱穀処理された処理物を早い段階で補助ファン34からの選別風で一気に風選できるため、選別効率が向上する。
【0043】
上述の切換機構の構成によれば、各種穀稈の刈取作業を行うことのできる汎用コンバインによって、刈取(脱穀・選別)作業がされる穀稈の種類に応じて、揺動選別体31の上側流路と下側流路に送風される選別風の有無と強弱を切換えることによって、選別能力を適したものに適宜変更することができる。また、上記選別風の有無又は強弱の切換を上部切換板52と、下部切換板54と、遮蔽板56の着脱によって行うため、コストを低く抑えることができる。
【符号の説明】
【0044】
22 選別部(選別室)
31 揺動選別体
32 唐箕ファン
34 補助ファン(送風ファン)
38 グレンパン
38a 搬送面
39 チャフシーブ
42 グレンシーブ
52 上部切換板(調整部材)
54 下部切換板(調整部材)
56 遮蔽板(調整部材)
図1
図2
図3
図4
図5