特許第6706035号(P6706035)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706035
(24)【登録日】2020年5月19日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】燃料供給システム
(51)【国際特許分類】
   B60S 5/02 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
   B60S5/02
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-141459(P2015-141459)
(22)【出願日】2015年7月15日
(65)【公開番号】特開2017-24433(P2017-24433A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】川井田 尚
【審査官】 鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−194864(JP,A)
【文献】 実開昭56−138095(JP,U)
【文献】 特開昭60−148762(JP,A)
【文献】 特開昭61−191456(JP,A)
【文献】 特開平3−198189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被燃料供給体への燃料供給が行われる燃料供給エリアと、前記燃料供給エリアへの進入口と、を有する燃料供給所に設けられる燃料供給システムであって、
前記燃料供給エリアに設けられ、前記被燃料供給体に燃料を供給する燃料供給装置と、
前記進入口に設けられ、前記被燃料供給体の前記燃料供給エリアへの進入を規制する進入規制手段と、
前記燃料供給所内にある機器と、
係員が携帯可能であり、前記燃料供給エリア内で前記機器と通信可能となる端末機と、
前記機器と前記端末機とが通信可能になった場合に、前記進入規制手段による進入規制を解除する進入規制解除手段と、を有する
ことを特徴とする燃料供給システム。
【請求項2】
前記進入口に設けられ、前記進入規制手段により進入規制された前記被燃料供給体を検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果に基づいて、前記被燃料供給体の到来を前記端末機へ報知する報知手段と、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料供給システム。
【請求項3】
前記進入口に設けられ、前記被燃料供給体へ係員の燃料供給所内の存在状況を報知する係員存在報知手段を備えてなり、
前記進入規制手段により前記被燃料供給体の前記燃料供給エリアへの進入を規制している場合には、前記係員存在報知手段により、係員の燃料供給所内の存在状況を報知させることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料供給システム。
【請求項4】
前記燃料供給装置に設けられ、前記被燃料供給体に供給する燃料の種類及び供給量の少なくとも一方の設定入力を受け付ける設定手段を有し、
前記報知手段は、前記進入規制手段による前記被燃料供給体の進入規制中に前記設定手段が操作された場合に、異常が発生したことを報知する
ことを特徴とする請求項2に記載の燃料供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストア等の店舗が併設されている店舗併設型給油所において、顧客の円滑な流れや経営効率化を図るために、給油領域で併設店舗の営業案内を顧客に報知等する給油所内情報システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−196290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したような店舗併設型燃料供給所において、燃料供給所のスタッフが店舗の店員を兼ねている場合には、スタッフが燃料供給エリアを離れて店舗内で顧客対応等する間、燃料供給エリアが無人になることがある。
【0005】
このような場合に、無人となった燃料供給エリアに車両が進入し、店舗内のスタッフが気付かない間に燃料供給装置が勝手に操作される可能性があり、安全上及び防犯上の問題が発生する虞があった。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、店舗併設型燃料供給所における安全性及び防犯性を向上させることが可能な燃料供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、被燃料供給体への燃料供給が行われる燃料供給エリアと、前記燃料供給エリアへの進入口と、を有する燃料供給所に設けられる燃料供給システムであって、前記燃料供給エリアに設けられ、前記被燃料供給体に燃料を供給する燃料供給装置と、前記進入口に設けられ、前記被燃料供給体の前記燃料供給エリアへの進入を規制する進入規制手段と、前記燃料供給所内にある機器と、係員が携帯可能であり、前記燃料供給エリア内で前記機器と通信可能となる端末機と、前記機器と前記端末機とが通信可能になった場合に、前記進入規制手段による進入規制を解除する進入規制解除手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、店舗併設型燃料供給所における安全性及び防犯性を向上させることが可能な燃料供給システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態における燃料供給所を例示する図である。
図2】実施形態における燃料供給システムの構成を例示する図である。
図3】実施形態における誘導表示装置を例示する図である。
図4】実施形態における誘導表示装置の表示画面を例示する図である。
図5】実施形態における燃料設定装置を例示する図である。
図6】実施形態における燃料供給装置を例示する図である。
図7】実施形態における燃料供給装置の操作部を例示する図である。
図8】実施形態における進入規制処理のフローチャートを例示する図である。
図9】実施形態における進入規制解除処理のフローチャートを例示する図である。
図10】実施形態における誘導表示装置の表示画面を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
<燃料供給所>
図1は、実施形態における燃料供給所10を例示する図である。
【0012】
図1に示すように、燃料供給所10は、被燃料供給体である車両に燃料を供給する燃料供給エリア100と、例えばコンビニエンスストア等の店舗210が設けられている店舗エリア200とを有する。
【0013】
燃料供給エリア100には、進入口101、出口103、アイランド105及び事務所110が設けられている。
【0014】
進入口101は、道路に面した位置に設けられている。燃料供給所10で燃料供給を行う車両は、道路から進入口101を通って燃料供給エリア100に進入する。進入口101には、検知手段としての車両検知装置130a、進入規制手段としての進入規制装置140a、誘導表示装置150、第1設定手段としての燃料設定装置160が設けられている。
【0015】
車両検知装置130aは、例えば赤外線センサ等を有し、進入口101に進入してきた車両を検知する。進入規制装置140aは、昇降可能に設けられているゲートバー141aを有し、進入口101から燃料供給エリア100への車両の進入を規制する。誘導表示装置150は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置を有し、進入口101に進入してきた車両の運転者に対して各種案内を表示する。燃料設定装置160は、進入規制装置140aによって燃料供給エリア100への進入が規制された車両の運転者から、車両に供給する燃料の種類及び供給量の設定を受け付ける。なお、車両検知装置130a、進入規制装置140a、誘導表示装置150及び燃料設定装置160のうち2つ以上が一体化された1つの装置として構成されてもよい。
【0016】
出口103には、車両検知装置130b、進入規制装置140bが設けられている。車両検知装置130bは、例えば赤外線センサ等を有し、道路から燃料供給エリア100に進入しようとする車両を検知する。進入規制装置140bは、昇降可能に設けられているゲートバー141bを有し、道路から燃料供給エリア100への車両の進入を規制する。
【0017】
アイランド105には、燃料供給装置170が設置されている。進入口101から燃料供給エリア100に進入した車両は、アイランド105付近に設けられている停車エリア107に停車し、燃料供給装置170から燃料の供給を行う。また、本実施形態では、2箇所に設けられているアイランド105の一方に、進入規制設定装置190が設けられている。進入規制設定装置190は、燃料供給所10のスタッフから、燃料供給エリア100への車両の進入規制又は規制解除の設定操作を受け付ける。進入規制設定装置190は、例えばパスワード入力等により操作者が燃料供給所10のスタッフであることを確認する手段を有し、操作者がスタッフであることが確認された場合に進入規制又は規制解除の設定操作が可能になる。
【0018】
事務所110は、燃料供給エリア100の一角に設けられている。事務所110内には、燃料供給エリア100に設けられている各種装置を管理する管理装置、燃料供給エリア100内を監視する監視モニタ、料金の精算を行う清算機等が設けられている。
【0019】
店舗エリア200は、燃料供給エリア100に隣接して設けられている。店舗エリア200には、例えばコンビニエンスストア等の店舗210が設けられている。店舗210内には、燃料供給エリア100の進入口101への車両の到来等をスタッフに報知する報知機等が設けられている。
【0020】
本実施形態における燃料供給所10は上記した構成を有し、燃料供給エリア100において車両への燃料供給が行われ、店舗エリア200内の店舗210において各種商品の売買が行われる。燃料供給所10のスタッフは、燃料供給エリア100における車両への燃料供給作業や、店舗エリア200における店舗210内での顧客対応等を行う。
【0021】
なお、燃料供給所10の構成は、本実施形態において例示される構成に限られるものではない。例えば、進入口101及び出口103は、それぞれ車両の出入りが可能な出入口であってもよく、それぞれ複数設けられてもよい。また、進入規制装置140a,140bは、進入口101又は出口103から燃料供給エリア100への車両の進入を規制可能であればよく、例えば昇降するチェーンや柵等、ゲートバー141a,141bとは異なる手段で進入を規制してもよい。
【0022】
燃料供給エリア100におけるアイランド105の数及び配置等の構成は、図1に例示される構成に限られるものではない。アイランド105は、1箇所又は3箇所以上に設けられてもよい。また、進入規制設定装置190は、燃料供給エリア100内であれば、例えば事務所110の内部等、アイランド105以外に設けられてもよく、複数箇所に設けられてもよい。さらに、燃料供給エリア100と店舗エリア200とは、離れた位置に設けられていてもよい。
【0023】
<燃料供給システム>
図2は、実施形態における燃料供給システム20の構成を例示する図である。
【0024】
図2に示すように、燃料供給システム20は、事務所110内に設けられている管理装置120、車両検知装置130(130a,130b)、進入規制装置140(140a,140b)、誘導表示装置150、燃料設定装置160、燃料供給装置170、進入規制設定装置190、店舗210に設けられている報知手段としての報知機220を含む。各装置は、無線又は有線によって接続され、装置間で相互に通信可能になっている。
【0025】
管理装置120は、進入規制制御部121、報知部122、異常検出部123、燃料供給制御部124、給油許可ボタン125、精算機126を有する。管理装置120は、例えばCPU,ROM,RAM等を含んで構成され、CPUがRAMと協働してROMに記憶されているプログラムを実行することで、各部の機能が実現される。
【0026】
進入規制制御部121は、燃料供給所10のスタッフが進入規制設定装置190に設定した内容に応じて、進入規制装置140a,140b、誘導表示装置150及び燃料設定装置160を制御する。
【0027】
例えば、燃料供給所10のスタッフは、店舗エリア200の店舗210に行く必要があり、燃料供給エリア100が無人になる場合には、進入規制設定装置190に、燃料供給エリア100への車両の進入を規制するように設定する。
【0028】
このように車両の進入規制が設定されると、進入規制制御部121は、ゲートバー141aを降ろすように進入規制装置140aを制御し、進入口101から燃料供給エリア100への車両の進入を規制する。また、進入規制中に車両検知装置130aが進入口101に来た車両を検知すると、進入規制制御部121は、車両の運転手を誘導するように、誘導表示装置150の表示部151に各種案内を表示させる。さらに、進入規制制御部121は、車両の運転手から燃料の種類及び供給量の設定を受け付けるように、燃料設定装置160を制御する。
【0029】
報知部122は、進入規制中に車両検知装置130aが進入口101に来た車両を検知すると、店舗210の報知機220を介して、燃料供給エリア100の進入口101に車両が到来したことをスタッフに報知する。また、報知部122は、異常検出部123によって、進入規制中、つまり車両が停車エリア107に停車中でないにも関わらず、燃料供給装置170が操作される等の異常が検出された場合に、店舗210の報知機220を介して、燃料供給エリア100において異常が発生したことをスタッフに報知する。
【0030】
異常検出部123は、進入規制中に燃料供給装置170の設定部171で燃料の種類や供給量等が操作された場合に、燃料供給エリア100において異常が発生したものと判断する。
【0031】
燃料供給制御部124は、進入口101で燃料供給エリア100への進入が規制された車両の運転者によって燃料設定装置160に設定された燃料の種類及び供給量を、燃料供給装置170の燃料供給部183に設定する。
【0032】
店舗210に設けられている報知機220は、例えば音声を出力するスピーカや、画像を表示するディスプレイを備える。報知機220は、管理装置120の報知部122から送信される信号に基づいて音声を出力したり画像を表示したりすることで、進入規制中における進入口101に車両が来たことや、異常が検出されたことを、店舗210内のスタッフに報知する。なお、報知機220は、例えば燃料供給所10のスタッフが携帯可能な携帯端末等であってもよい。
【0033】
店舗210内で報知機220からの音声や画像等によって、燃料供給エリア100の進入口101に車両が到来したことを認識したスタッフは、店舗210から燃料供給エリア100に移動し、進入規制設定装置190を操作して車両の進入規制を解除する。
【0034】
車両の進入規制が解除されると、進入規制制御部121は、進入規制装置140aのゲートバー141aを上げるように進入規制装置140aを制御し、車両が進入口101から燃料供給エリア100に進入できるようにする。
【0035】
燃料供給システム20は、上記した構成を有し、進入規制設定装置190において進入規制するように設定された場合には、進入口101を閉鎖して燃料供給エリア100への車両の進入を規制する。また、進入規制中における進入口101への車両の到来や異常発生をスタッフに報知する。さらに、進入規制設定装置190において進入規制を解除するように設定された場合には、進入口101を開放して燃料供給エリア100に車両が進入できるようにする。
【0036】
燃料供給所10のスタッフは、店舗210に行く必要があり燃料供給エリア100が無人になる場合には、燃料供給システム20により車両の燃料供給エリア100への進入を規制することで、燃料供給所10の安全性及び防犯性を高めることができる。
【0037】
<誘導表示装置>
図3は、実施形態における誘導表示装置150を例示する図である。
【0038】
図3に示すように、誘導表示装置150は、表示部151を有する。表示部151は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置であり、進入口101において進入が規制されている車両の運転手に対して各種案内を表示する。
【0039】
図4は、実施形態における誘導表示装置150の表示画面を例示する図である。
【0040】
誘導表示装置150の表示部151は、例えば図4(A)に示す画像を表示し、進入規制中の進入口101に入ってきた車両の運転手に、車両の停止と、燃料設定装置160で車両に供給する燃料の種類及び供給量を設定するように案内する。
【0041】
また、表示部151は、燃料供給エリア100に進入口が複数設けられている場合には、例えば図4(B)に示す画像を表示し、車両を別の進入口に誘導する。さらに、表示部151は、燃料供給所10の休業日には、「本日は休業です」という案内を表示してもよい。
【0042】
<燃料設定装置>
図5は、実施形態における燃料設定装置160を例示する図である。
【0043】
図5に示すように、燃料設定装置160は、燃料の種類及び供給量の設定を受け付ける燃料設定部161を有し、誘導表示装置150の近くに設置される。
【0044】
燃料設定部161は、燃料種類選択ボタン162、供給量選択ボタン163を有する。進入規制装置140aによって進入が規制されて進入口101で停車した運転手は、誘導表示装置150に表示される案内にしたがって、燃料設定装置160の各ボタンを押下することで、車両に供給する燃料の種類及び供給量を設定できる。
【0045】
燃料設定装置160において燃料の種類及び供給量が設定されると、管理装置120の燃料供給制御部124が、設定内容に基づいて燃料供給装置170の燃料供給部183を制御する。
【0046】
即ち、燃料供給を受けようとする車両の運転手は、停車エリア107に車両を移動させた際、改めて燃料の種類及び供給量の設定等といった燃料供給前の設定作業を行うことなく、燃料供給装置170のノズル掛けから給油ノズル172を取り外して車両の給油口に挿入し、給油ノズルを操作して燃料供給作業を直ちに行うことができる。
【0047】
このように、燃料供給エリア100への進入が規制された車両の運転手は、進入口101での停車中に燃料の種類や供給量を予め設定できるため、燃料供給エリア100に進入後に速やかに燃料供給を行うことが可能になる。
【0048】
<燃料供給装置>
図6は、実施形態における燃料供給装置170を例示する図である。
【0049】
図6に示すように、燃料供給装置170は、第2設定手段としての設定部171、給油ノズル172、給油ホース173、ノズル掛け174、車両に供給された燃料の料金や供給量等を表示する燃料表示部175を有する。
【0050】
給油ノズル172、給油ホース173及びノズル掛け174は、燃料供給装置170において車両に供給可能な燃料(本実施形態では、ハイオクガソリン、レギュラーガソリン、軽油の3種類)ごとに設けられている。
【0051】
給油ノズル172は、不使用時にはノズル掛け174に係止されるように収納され、使用時にノズル掛け174から取り出されて車両の燃料タンクの供給口に挿入される。給油ノズル172は、燃料供給経路に連通されている給油ホース173に接続されている。給油ホース173が接続されている燃料供給経路には、図示しない流量計、電磁弁、ポンプ等が設けられ、各機器は燃料供給部183と接続されている。
【0052】
ここで、ノズル掛け174には、給油ノズル172がノズル掛け174に掛けられている状態か、あるいは取り外されている状態かを検知するためのノズルスイッチ(図示せず)が設けられている。燃料供給部183は、当該ノズルスイッチからの出力に基づいて給油ノズル172がノズル掛け174から取り外されたことを検知した場合には、燃料供給制御部124に給油要求信号を送信する。
【0053】
また、給油要求信号を受信した燃料供給制御部124は、管理装置120に設けられて燃料供給装置170に対して燃料供給を許可する際に操作される給油許可ボタン125がスタッフにより操作されたことをもって、給油要求信号を出力した燃料供給部183に対応する燃料供給装置170のポンプに駆動信号を送信し、給油ノズル172を用いた燃料供給を行えるようにする。
【0054】
そして、ノズルスイッチからの出力に基づいて燃料供給を終えて給油ノズル172がノズル掛け174に戻されたことが検知されると、燃料供給制御部124は、燃料供給部183を介してポンプに停止信号を送信する。停止信号に応じてポンプが停止することで、給油ノズル172を用いた燃料供給ができなくなる。
【0055】
図7は、実施形態における燃料供給装置170の設定部171を例示する図である。
【0056】
図7に示すように、設定部171は、静電気除去シート176、燃料種類選択ボタン177、供給量選択ボタン178、インターホン179、レシート発行部181を有する。
【0057】
車両の運転者は、燃料種類選択ボタン177及び供給量選択ボタン178を選択して押下することで、車両に供給する燃料の種類及び供給量を設定できる。運転者は、各設定を行った後、静電気除去シートに触れて静電気を除去し、給油ノズル172を車両の供給口に差し込んで燃料を供給する。
【0058】
運転者は、操作等について不明な点がある場合には、インターホン179から事務所110内にいるスタッフに問い合わせ等できる。燃料供給が完了すると、レシート発行部181からレシートが発行され、運転者は発行されたレシートを受け取り、事務所110に行って精算機126を用いて料金を清算する。なお、車両への燃料供給は、燃料供給所10のスタッフが行ってもよい。
【0059】
ここで、進入規制装置140aによる燃料供給エリア100への進入規制中に設定部171の燃料種類選択ボタン177及び供給量選択ボタン178が操作されると、設定部171から管理装置120の異常検出部123に操作信号が送信される。異常検出部123は、進入規制中にも関わらず設定部171が操作されたことから異常が発生したものと判断し、報知部122に報知機220から異常が発生したことをスタッフに報知させる。
【0060】
燃料供給所10のスタッフは、報知機220による報知内容に応じて、店舗210から燃料供給エリア100に向かって侵入者等の有無等を確認できる。このように、進入規制中に燃料供給装置170の設定部171が操作された場合には、店舗210にいるスタッフに異常が発生したことが報知されることで、燃料供給所10における安全性及び防犯性が向上する。
【0061】
<進入規制処理>
図8は、実施形態における進入規制処理のフローチャートを例示する図である。
【0062】
ステップS101にて、燃料供給所10のスタッフによって燃料供給エリア100への車両の進入を規制するように進入規制設定装置190が設定されると、ステップS102にて、進入規制制御部121が、進入規制装置140aを制御して進入口101を閉鎖する。具体的には、進入規制制御部121は、進入規制装置140aを制御してゲートバー141aを降ろし、進入口101から燃料供給エリア100への車両の進入を規制する。
【0063】
ステップS103にて、車両検知装置130aが進入口101に入って来た車両を検知すると、ステップS104にて後述する進入規制解除処理が実行される。
【0064】
また、ステップS105にて、燃料供給エリア100への進入規制中に、燃料供給装置170の設定部171が操作されると、異常検出部123が燃料供給エリア100において異常が発生したと判断し、ステップS106に進む。ステップS106では、管理装置120の報知部122が、報知機220に音声を出力させたり画像を表示させたりすることで、店舗210にいるスタッフに異常が発生したことを報知し、処理を終了する。
【0065】
また、異常検出部123は、設定部171が操作された場合だけではなく、例えば、ノズルスイッチからの出力に基づいて給油ノズル172がノズル掛け174から取り外されたことを検知した場合に異常が発生したと判断してもよい。
【0066】
図9は、実施形態における進入規制解除処理のフローチャートを例示する図である。
【0067】
燃料供給エリア100への進入規制中に、車両検知装置130aが進入口101に入って来た車両を検知すると、図9に示す進入規制解除処理が実行される。進入規制解除処理では、まずステップS201にて、管理装置120の報知部122が、報知機220に音声を出力させたり画像を表示させたりすることで、店舗210にいるスタッフに進入口101への車両の到来を報知する。
【0068】
次にステップS202では、進入規制制御部121が、誘導表示装置150の表示部151に図4(A)に示す画像を表示させ、車両の運転手に燃料の種類及び供給量を設定させるように誘導する。運転手は、誘導表示装置150に表示される内容にしたがって、燃料設定装置160の各ボタンを押下し、車両に供給する燃料の種類及び供給量を設定する。続いてステップS203にて、管理装置120の燃料供給制御部124が、運転者による燃料設定装置160の操作内容に応じて、燃料供給装置170の燃料供給部183に燃料の種類及び供給量を設定する。
【0069】
ステップS204では、進入規制制御部121が、誘導表示装置150の表示部151に、例えば図10(A)に示す画像を表示させ、車両の運転手に進入口101で待機するように案内する。
【0070】
ステップS205において、車両の到来が報知されたスタッフが、店舗210から燃料供給エリア100に移動し、進入規制設定装置190を操作して燃料供給エリア100への車両の進入規制を解除すると、ステップS206に進む。
【0071】
ステップS206では、進入規制制御部121が、進入規制装置140aを制御してゲートバー141aを上げて進入口101を開放する。次にステップS207にて、進入規制制御部121が、誘導表示装置150の表示部151に、例えば図10(B)に示す画像を表示させ、スタッフの到着を知らせると共に、車両の運転手にアイランド105近くの停車エリア107まで進むように案内する。運転手は、燃料供給エリア100内に進入して停車エリア107で停車し、燃料供給装置170の給油ノズル172をノズル掛け174から取り外して車両の供給口に挿入して燃料供給を行う。運転手は、進入口101の燃料設定装置160において燃料の種類及び供給量を設定しているため、燃料供給装置170の設定部171において各設定操作を行う必要が無く、速やかに燃料供給を行うことができる。
【0072】
なお、上記実施形態では、ゲートバー141aが上がって進入口101が開放された後は、何れの停車エリア107に停車するかは車両の運転手が選択できるようになっているが、運転手に停車エリア107の選択を迷わせることがないように、例えば、各燃料供給装置170に案内灯などの車両誘導機器を設け、この車両誘導機器を作動させることで車両を所定の停車エリア107に誘導してもよい。
【0073】
次に、給油ノズル172がノズル掛け174から取り外されると、燃料供給制御部124は、燃料供給エリア100への新たな他の車両の進入を阻止すべく、進入規制制御部121を介してゲート下降指示信号を進入規制装置140aに出力する。ゲート下降指示信号が入力された進入規制装置140aは、ゲートバー141aを下降駆動させる。これにより進入規制が解除された車両に続いて他の車両が燃料供給エリア100へ進入するのを防止できる。
【0074】
なお、ここでは、他の車両が燃料供給エリア100に進入するためにゲートバー141aを下げるタイミングを給油ノズル172がノズル掛け174から取り外された時としているが、当該タイミングはこれに限られるものではない。例えば、車両への燃料供給が開始された時(より具体的には、車両への燃料供給量を計測するための流量計による燃料供給量が0を超えた時)であってもよい。また、燃料供給エリア100に燃料供給を受けようとする車両が存在することを検出する車両検知センサが設けられている場合には、この車両検知センサが車両を検知した時であってもよい。
【0075】
また、車両への燃料供給を終えて給油ノズル172がノズル掛け174に戻されると、燃料供給制御部124は、燃料供給を終えた車両が燃料供給エリア100から退出できるように、進入規制制御部121を介してゲート上昇指示信号を進入規制装置140bに出力する。ゲート上昇指示信号が入力された進入規制装置140bは、ゲートバー141bを上昇駆動させる。これにより、進入規制装置140bのゲートバー141bが上がり、燃料供給を終えた車両は燃料供給エリア100から退出できる。
【0076】
また、ここでは、燃料供給を終えた車両が燃料供給エリア100から退出できるようにゲートバー141bを上げるタイミングを、給油ノズル172がノズル掛け174に戻された時としたが、当該タイミングはこれに限られるものではない。例えば、車両への燃料供給が終了した時(より具体的には、車両への燃料供給量を計測するための流量計による燃料供給量の増加が停止した時)であってもよい。また、燃料供給を受けた車両の運転手が精算機126で燃料供給に基づく料金の精算を終了した時であってもよい。
【0077】
以上で説明したように、本実施形態に係る燃料供給システム20では、燃料供給所10のスタッフが店舗210に行く必要があり燃料供給エリア100を無人とする場合に、進入口101から燃料供給エリア100への進入を規制できる。無人となった燃料供給エリア100への進入を規制することで、燃料供給装置170が勝手に操作されてしまうことを防止し、燃料供給所10における安全性及び防犯性を高めることができる。
【0078】
進入口101に車両が来たことをスタッフに報知するだけでは、燃料供給エリア100への車両の進入を規制できず、スタッフが監視していない状態で燃料供給装置170が操作可能であり、燃料供給所10の安全性及び防犯性を向上させることは難しい。しかし、本実施形態に係る燃料供給システム20では、無人となった燃料供給エリア100への車両の進入を規制することで、燃料供給所10における安全性及び防犯性が向上する。
【0079】
また、進入規制中に燃料供給装置170の設定部171が操作された場合には、報知機220からスタッフに異常が発生したことが報知されるため、燃料供給エリア100の安全を確保すると共に、犯罪等の発生を防止できる。
【0080】
進入口101において燃料供給エリア100への進入が規制された車両の運転手は、進入口101において燃料設定装置160を操作して、車両に供給する燃料の種類や供給量を設定できる。したがって、運転手は、進入規制解除後に、燃料供給エリア100に進入して燃料供給装置170から速やかに燃料供給を行うことができる。
【0081】
なお、上記した実施形態では、燃料供給装置170がガソリン等の油液を供給する構成を例示したが、燃料供給装置170が液化ガスや気体燃料等を供給するように構成されてもよい。
【0082】
上記実施形態では、燃料供給エリア100への車両の進入規制の解除は、燃料供給所のスタッフが進入規制設定装置190を操作してゲートバー141aを上げることにより行っているが、これに限られるものではない。例えば、スタッフに燃料供給エリア100内で管理装置120等の他の機器と通信可能となる携帯端末を所持させ、スタッフが燃料供給エリア100内に移動して来た時に、他の機器がスタッフが所持する携帯端末と通信可能となったことに基づいて、ゲートバー141aを上げて、燃料供給エリア100への車両の進入規制を解除してもよい。
【0083】
以上、実施形態に係る燃料供給システムについて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【符号の説明】
【0084】
10 燃料供給所
20 燃料供給システム
100 燃料供給エリア
101 進入口
124 燃料供給制御部(制御手段)
130a,130b 車両検知装置(検知手段)
140a,140b 進入規制装置(進入規制手段)
160 燃料設定装置(第1設定手段)
170 燃料供給装置
171 設定部(第2設定手段)
190 進入規制設定装置(進入規制解除手段)
200 店舗エリア
210 店舗
220 報知機(報知手段)
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図10