特許第6706049号(P6706049)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706049
(24)【登録日】2020年5月19日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】海流発電機
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/26 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
   F03B13/26
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-219284(P2015-219284)
(22)【出願日】2015年11月9日
(65)【公開番号】特開2016-94939(P2016-94939A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2018年10月11日
(31)【優先権主張番号】103139027
(32)【優先日】2014年11月11日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】515179303
【氏名又は名称】▲黄▼ 國彰
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 國彰
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05027735(US,A)
【文献】 特開昭54−107086(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/142338(WO,A1)
【文献】 米国特許第04159427(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 13/00−13/26
F03B 17/00−17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水面に浮くことができるように構成されている水面構造体と、
前記水面構造体の周辺に取り付けられ、水面下に配置されて海流を受けて作動することができるように構成されているタービンと、
前記水面構造体に設置され、前記タービンの作動に連動して発電できるように前記タービンと連接されている発電装置と、
前記水面構造体から空へ延伸するように設置されている帆と、を有するように構成されており、
前記水面構造体は、水面に浮くことができるように構成されている本体と、前記本体から少なくとも両側へ前記水面と略平行して延伸し且つ水面上にあるように構成されている取付けフレームとを有し、
前記タービンは、前記水面と略平行する所定の縦方向における前記本体の前記両側にある前記取付けフレームにそれぞれ少なくとも1つ取り付けられており、且つ、前記水面と略直交する上下方向に沿って延伸し、且つ回転可能に設けられている回転軸と、前記回転軸から前記水面と略平行する方向へ延伸し、前記回転軸と共に回転できるように前記回転軸に設置されている羽根モジュールと、を有するように構成されており、
前記帆は、前記取付けフレームの前記本体の前記両側にそれぞれ少なくとも1つ設置されていることを特徴とする海流発電機。
【請求項2】
前記取付けフレームは、前記所定の横方向に沿って形成されている複数の第1の横棒と、前記水面と略平行であり、且つ前記所定の横方向と略直交する所定の縦方向に沿って形成され、前記第1の横棒に固定されている複数の第1の縦棒と、
前記第1の横棒より水面に近く位置し、前記所定の横方向に沿って形成されている複数の第2の横棒と、前記所定の縦方向に沿って形成され、前記第2の横棒に固定されている複数の第2の縦棒と、
前記第1の横棒と前記第1の縦棒とが互いに固定されている部分と、前記第2の横棒と前記第2の縦棒とが互いに固定されている部分とを連結するように前記上下方向に沿って形成されている複数の連結棒と、を有するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の海流発電機。
【請求項3】
前記帆は、前記水面と略直交する上下方向に沿って前記水面構造体から上方へ延伸する支持棒と、前記支持棒に設置されて風により推進力を得ることができる帆本体と、を有するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の海流発電機。
【請求項4】
前記取付けフレームは、各前記第1の横棒と各前記第1の縦棒と各前記第2の横棒と各前記第2の縦棒とにより、略直方体状になっている取付け空間が複数画成されており、
各前記タービンは、前記取付けフレームにおいて画成される前記取付け空間に取付けられていると共に、それぞれ対応している前記取付け空間を画成する2本の前記第1の縦棒の間で前記所定の横方向に沿って延伸するように配置されている第1の横取付け棒と、
前記第1の横取付け棒に対応して、対応している前記取付け空間を画成する2本の前記第1の横棒の間で前記所定の縦方向に沿って延伸するように配置されていると共に、前記第1の横取付け棒と交叉して、該交叉した箇所において互いに固定されている第1の縦取付け棒と、
対応している前記取付け空間を画成する2本の前記第2の縦棒の間で前記所定の横方向に沿って延伸するように配置されている第2の横取付け棒と、
前記第1の縦取付け棒に対応して、対応している前記取付け空間を画成する2本の前記第2の横棒の間で前記所定の縦方向に沿って延伸するように配置されていると共に、前記第2の横取付け棒と交叉して、該交叉した箇所において互いに固定されている第2の縦取付け棒と、を更に有し、
前記タービンの前記回転軸は、前記第1の横取付け棒と前記第1の縦取付け棒とが互いに固定されている部分と、前記第2の横取付け棒と前記第2の縦取付け棒とが互いに固定されている部分とにおいて回転可能に支承されていると共に水面下まで延伸し、且つ前記第1の横取付け棒と前記第1の縦取付け棒と前記第2の横取付け棒と前記第2の縦取付け棒とにより保持されるよう設置されており、
前記羽根モジュールは、前記回転軸の前記取付けフレームより下方にある部分に設置されていることを特徴とする請求項に記載の海流発電機。
【請求項5】
前記所定の縦方向における前記水面構造体の一側に設置され、前記所定の横方向と略平行な回転軸を持つ補助タービンを更に有することを特徴とする請求項から請求項いずれか一項に記載の海流発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発電機に関し、特には海流発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
海流発電機は、海流による海水の流れの運動エネルギーを羽根車の回転を介して電気エネルギーに変換させて発電させるために海中に設置される発電機であり、二酸化炭素を排出しないため、環境負荷が極めて小さく、また、風力発電や太陽光発電のように天候に左右されないため、発電源として比較的安定しているという利点を有する発電手段である。
【0003】
海流発電機は、海流がほとんど海岸から離れた場所を流れるので、海岸に係留することができず、例えば特許文献1に記載されている海流発電機のように、錨を海底に沈めて係留するのものが多い。
【0004】
しかし、海流の量や速度が大きいと、錨が海流に流されて、海流発電機が当初に設置された場所から遥かに離れる恐れがある。更に、錨が海底に届かないほど水深が深い場所では、錨で係留することができず、海流発電機が設置できないという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾実用新案公告第M434122号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題点に鑑みて、本発明は、海に安定して設置できる海流発電機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明は、水面に浮くことができるように構成されている水面構造体と、前記水面構造体の周辺に取り付けられ、水面下に配置されて海流を受けて作動することができるように構成されているタービンと、前記水面構造体に設置され、前記タービンの作動に連動して発電できるように前記タービンと連接されている発電装置と、前記水面構造体から空へ延伸するように設置されている帆と、を有するように構成されていることを特徴とする海流発電機を提供する。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成によれば、本発明の海流発電機は、帆で風を受けて、海流の力による海流発電機に対する推進力に抵抗できる推進力が生じるので、海流に流されず、一定の範囲内に留めることができ、また、錨での係留ができない場所でも、安定して設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の海流発電機の第1の実施形態を示す上視図である。
図2】上記第1の実施形態に係る海流発電機を示す側視図である。
図3】上記第1の実施形態に係る海流発電機を示す後視図である。
図4】上記第1の実施形態に係る海流発電機の一部を示す側視図である。
図5】上記第1の実施形態に係る海流発電機の一部を示す上視図である。
図6】本発明の海流発電機の第2の実施形態を示す上視図である。
図7】本発明の海流発電機の第3の実施形態を示す上視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では各図面を参照しながら、本発明の各実施形態について詳しく説明する。
【0011】
図1は本発明の海流発電機の第1の実施形態を示す上視図であり、図2はその側視図である。
【0012】
本発明の海流発電機の第1の実施形態は、図1に示されるように、水面に浮くことができるように構成されている水面構造体1と、水面構造体1の周辺に取り付けられ、水面下に配置されて海流を受けて作動することができるように構成されているタービン2と、水面構造体1に設置され、タービン2の作動に連動して発電できるようにタービン2と連接されている発電装置3と、水面構造体1から空へ(即ち水面から離れる方向に)延伸するように設置されている帆4と、を有するように構成されている。
【0013】
水面構造体1は、水面に浮くことができるように構成されている本体11と、本体11から少なくとも本体11の両側へ水面と略平行に延伸し且つ水面上にあるように構成されている取付けフレーム12とを有している。なお、ここでいう本体11の両側とは、後述する所定の縦方向Bにおける両側である。
【0014】
取付けフレーム12は、図1及び図2に示されるように、複数の第1の横棒13と、複数の第1の縦棒14と、複数の第2の横棒15と、複数の第2の縦棒16と、複数の連結棒17と、を有するように構成されている。
【0015】
複数の第1の横棒13は、水面と略平行する所定の横方向Aに沿って形成されている。
【0016】
複数の第1の縦棒14は、水面と略平行であり、且つ所定の横方向Aと略直交する所定の縦方向Bに沿って形成され、第1の横棒13に固定されている。
【0017】
複数の第2の横棒15は、第1の横棒13より水面に近く位置し、所定の横方向Aに沿って形成されている。
【0018】
複数の第2の縦棒16は、所定の縦方向Bに沿って形成され、第2の横棒15に固定されている。
【0019】
複数の連接棒17は、第1の横棒13と第1の縦棒14とが互いに固定されている部分と、第2の横棒15と第2の縦棒16とが互いに固定されている部分とを連結するように前記水面と略直交する上下方向に沿って形成されている。
【0020】
各第1の横棒13と各第1の縦棒14と各第2の横棒と各第2の縦棒16とにより、略直方体状になっている取付け空間19が複数画成されている。
【0021】
また、第1の横棒13と第1の縦棒14とが互いに固定されている部分は、帆4が取り付けられる帆取付け部18とする。
【0022】
複数の連結棒17の設置により、取付けフレーム12の構造強度が向上できる。また、連結棒17の数は必要な強度に応じて調整することができる。
【0023】
この実施形態において、水面構造体1の本体11は、所定の縦方向Bに船首船尾方向を有するように設けられた船体であって、船体の所定の縦方向Bにおける一端部に構成されている船首111と、前記一端部の反対端部に構成されている船尾112と、を有している。本体11として用いる船体は、廃棄された船を使用しても良く、廃棄された船は、例えば、商船、特殊用途船、漁船、艦艇などが挙げられる。
【0024】
図4は本実施形態に係る海流発電機の一部を示す側視図であり、図5はその上視図である。
【0025】
タービン2は、図4及び図5に示されるように、軸受け21と、回転軸22と、羽根モジュール23と、第1の横取付け棒51と、第1の縦取付け棒53と、第2の横取付け棒52と、第2の縦取付け棒54と、を有するように構成されている。
【0026】
回転軸22は、水面と略直交する上下方向に沿って延伸し、且つ回転可能に軸受け21に取付けられている。
【0027】
羽根モジュール23は、回転軸22から水面と略平行する方向へ延伸して回転軸22と共に回転できるように設置されている。
【0028】
第1の横取付け棒51は、取付けフレーム12において画成される取付け空間19に取付けられていると共に、それぞれ対応している取付け空間19を画成する2本の第1の縦棒14の間で所定の横方向Aに沿って延伸するように配置されている。
【0029】
第1の縦取付け棒53は、第1の横取付け棒51に対応して、対応している取付け空間19を画成する2本の第1の横棒13の間で所定の縦方向Bに沿って延伸するように配置されていると共に、第1の横取付け棒51と交叉して、該交叉する箇所において互いに固定されている。
【0030】
第2の横取付け棒52は、対応している取付け空間19を画成する2本の第2の縦棒16の間で所定の横方向Aに沿って延伸するように配置されている。
【0031】
第2の縦取付け棒54は、第1の縦取付け棒51に対応して、対応している取付け空間19を画成する2本の第2の横棒15の間で所定の縦方向Bに沿って延伸するように配置されていると共に、第2の横取付け棒52と交叉して、該交叉する箇所において互いに固定されている。
【0032】
また、第1の横取付け棒51と第1の縦取付け棒53とが互いに固定されている部分はタービン2が取り付けられる第1のタービン取付け部55とし、第2の横取付け棒52と第2の縦取付け棒54とが互いに固定されている部分はタービン2が取り付けられる第2のタービン取付け部56とする。
【0033】
軸受け21は、第1のタービン取付け部55と第2のタービン取付け部56とそれぞれに設置されている。なお、2つ以上の軸受け21を設置することもできる。
【0034】
そして、水面構造体1の本体11の前記両側にある取付けフレーム12の取付け空間19内にタービン2がそれぞれ少なくとも1つ取り付けられている。
【0035】
図3は本実施形態に係る海流発電機を示す後視図である。
【0036】
この実施形態において、水面構造体1の本体11の前記両側それぞれに、タービン2が4つずつ取付けられていて、各タービン2が複数の羽根モジュール23を有する。回転軸22は、第1のタービン取付け部55に設置されている軸受け21と、第2のタービン取付け部56に設置されている軸受け21とに支承されていると共に水面下まで延伸し、且つ軸受け21を介して第1の横取付け棒51と第1の縦取付け棒53と第2の横取付け棒52と第2の縦取付け棒54とにより保持されるように設置されている。羽根モジュール23は、3つの羽根部231を有し、回転軸22の取付けフレーム12より下方にある部分に取り外し可能に設置されている。
【0037】
羽根モジュール23としては、従来の風力発電機や海流発電機などに用いる羽根モジュールを使用することができ、例えば、図3及び図4に示される羽根モジュールを使用することができる。
【0038】
図4に示される羽根モジュール23は、複数の格子が形成されている板状の格子枠232と、格子枠232の一面が面する第1の方向へ揺動可能に、格子枠の複数の格子それぞれに設置されている羽根233と、を有するように構成される羽根部231を備えている。更に、格子枠232には、格子枠232の回転軸22に設置する端部の反対側の端部から前記第1の方向へ突起するように形成されている周縁板234を有している。
【0039】
図4に示される羽根モジュール23を使用する場合は、回転軸22の一側で海流が格子枠232の前記一面に当たると、羽根233が海流の力により押されて格子枠232及び回転軸22と共に回転され、回転軸22の他側で海流が格子枠232の前記一面の反対面に当たると、羽根233が海流の力により前記第1の方向へ揺動することで格子枠232に開口が生じ、海流がその開口を通過できるので、前記回転への抗力を大幅に減少できる。更に、前記第1の方向へ突起するように形成されている周縁板234により、海流を格子枠232の範囲内に集中することができて、前記回転を促す力を向上することができる。
【0040】
また、図3に示される羽根モジュール23は、開口が1つの面を構成するように同一の第1の方向に向かって並べられた複数の椀によって構成されている羽根233を有するように構成される羽根部231を備えている。更に、羽根233には、羽根233の回転軸22に設置する端部の反対側の端部から前記第1の方向へ突起するように形成されている周縁板234を有している。
【0041】
図3に示される羽根モジュール23を使用する場合は、海流が羽根233の椀の開口が構成する面に当たると、羽根233が海流の力により押されて回転軸22と共に回転される。
【0042】
更に、前記第1の方向へ突起するように形成されている周縁板234により、海流を格子枠232の範囲内に集中することができて、前記回転を促す力を向上することができる。
【0043】
本発明の海流発電機の羽根モジュール23は、二種類以上の羽根モジュールを組み合わせてもよく、この実施形態においては、図2に示されるように、6つの図4に示される羽根モジュール23と2つの図3に示される羽根モジュール23とを使用している。
【0044】
そして、水面構造体1を安定して水面に浮かせるために、図1において、水面構造体1の本体11の両側それぞれに取り付けられている4つのタービン2は、互いに反対の方向で回転するように配置されている。この実施形態において、水面構造体1の本体11の右側の取付けフレーム12に取り付けられている4つのタービン2は、時計回りで回転するように構成され、水面構造体1の本体11の左側の取付けフレーム12に取り付けられている4つのタービン2は、反時計回りで回転するように構成されている。
【0045】
また、この実施形態の海流発電機を使用する際に、船首111の向かう方向を、海流が船首111から船尾112へ流れるように調整する。船尾112により近いタービン2は、より深くに延伸するように構成されている(図2参照)。この構成により、タービン2の海流から受ける流水圧が船首111側から船尾112側に向かって段々と増えるようになるので、船首111の向きを安定して維持することができる。
【0046】
発電装置3は、図1及び図3に示されるように、軸心32と、タービン2の回転軸22の回転を発電装置3の軸心32に伝動するように、両端が軸心32及び回転軸22それぞれに配置構成されている伝動部31を有し、水面構造体1の本体11に設置されている。この実施形態において、水面構造体1の本体11の前記両側それぞれに4つずつ取付けられて、合わせて8つのタービン2それぞれに対応して、8つの発電装置3が水面構造体1の本体11に設置されている。
【0047】
伝動部31は、公知の回転を伝動できる伝動構造を使用でき、例えば、ローラーチェーンとスプロケットとにより構成する伝動構造やフラットベルトとプーリーとにより構成する伝動構造を使用することができる。
【0048】
タービン2の回転軸22の回転が伝動部31を介して発電装置3の軸心32に伝動することにより、軸心32が回転されて発電装置3が発電する。
【0049】
帆4は、図1図3に示されるように、水面構造体1から水面と略直交する上下方向に沿って上方へ延伸する支持棒41と、支持棒41に設置されて風により推進力を得ることができる帆本体42と、を有するように構成され、そして、等間隔に所定の縦方向Bに沿って本体11に設置され、取付けフレーム12の本体11の前記両側にそれぞれ少なくとも1つ設置されている。
【0050】
取付けフレーム12に設置されている帆4は、その支持棒41が取付けフレーム12の連結棒17に連接するように帆取付け部18に設置されている。なお、支持棒41と連結棒17とは、一体に形成することもできる。
【0051】
帆4の操縦方法は一般の帆船と同じく、例えば、風が船尾112から吹く際には、帆本体42を風が吹く方向と略直交するように展開すると、船首111の向く方向への推進力が生じて船が前進する。また、帆本体42が船首111側に湾曲するように支持棒41に展開されるので、帆本体42の船首111側における風の経路長が船尾112側における風の経路長より長くなり、ベルヌーイの定理により推進力が得られて船が前進する。
【0052】
この実施形態において、一番右側及び一番左側の帆4の帆本体42は、幅が上から下へ段々広くなる三角形のものを使用している。そのようにすると、タービン2と共に船体を安定させることができる。
【0053】
この実施形態の海流発電機を使用する際には、船首111の向く方向を、海流が船首111から船尾112へ流れるように調整するので、海流発電機が海流を受けてその力により船尾112側への推進力が生じるが、その際に、帆4を調整すれば船尾112への推進力に対抗する船首111側への推進力が得られるので、海流発電機を一定の範囲内に保つことができる。
【0054】
つまり、風により帆4で発生する推進力が、海流により水面構造体1およびタービン2で発生する推進力と拮抗することで、つまり両方の推進力の合力が0に近くなることで、海流発電機がほぼ静止状態になることが望ましい。但し、該合力が0にならなくても、海流発電機の移動が緩やかになるので、移動範囲を一定の範囲内に留めることができる。
【0055】
海流による推進力が風による推進力より大きい際には、一部の羽根モジュール23を取り外して、海流を受ける部分を減らして推進力を減少させ、前記合力を調整することができる。取り外した羽根モジュール23は、メタセンターを維持するために本体に放置される。これで、本体11の片側で海流による推進力が減ることにより、海流発電機を引っ繰り返すように働く偶力が生じることを防止できる。
【0056】
例えば台風による風力の急激な変化により帆4及び羽根モジュール23を調整しても前記合力が大きすぎる場合は、本発明の海流発電機の水面構造体とする船のエンジンで、本発明の海流発電機を他の場所へ移動すれば良い。
【0057】
本発明は風力により海流発電機の位置を安定させる海流発電機なので、風向と海流の方向とが、互いに正反対の方向に向かっている時期や場所に使用することが好適である。
【0058】
なお、本発明の海流発電機は、水深が浅い場所に設置する場合に錨で係留することができ、また、海岸に近い場所に設置する場合にロープで海岸に係留することもできる。
【0059】
図6は本発明の海流発電機の第2の実施形態を示す上視図である。
【0060】
本発明の海流発電機の第2の実施形態は、上記第1の実施形態と類似する構成を有するので、ここでは詳しい説明を省略し、その相違点のみを説明する。
【0061】
本発明の第2の実施形態は、図6に示されるように、水面構造体1の本体11の前記両側それぞれに、船首111から船尾112に向かって段々と大きくなるように構成された3つのタービン2が取付けられている。
【0062】
タービン2は、第1の横取付け棒51と第1の縦取付け棒53の代わりにX字状に構成されている第1のタービン取付けフレームを有し、第2の横取付け棒52と第2の縦取付け棒54との代わりに第2のタービン取付けフレームを有している。
【0063】
また、所定の方向における水面構造体1の一側に設置され、所定の横方向Aと略平行な回転軸61と、回転軸61と共に回転できるように設置されている羽根モジュール62と、を持つ補助タービン6を更に有する。この実施形態において、補助タービン6は船尾112に設置されている。
【0064】
上記の構成によれば、3つのタービン2を船首111側から船尾112側に向かって段々と大きくなるように構成したこと及びタービン6を設置したことにより、水面構造体1の本体11を海流が船首111から船尾112へ流動するように調整すれば、船尾112に近いタービン2も充分な海流の量を受けることができ、発電効率を向上できるだけでなく、船首111の向き方向を更に安定させることができる。
【0065】
図7は本発明の海流発電機の第3の実施形態を示す上視図である。
【0066】
本発明の海流発電機の第3の実施形態は、上記第2の実施形態と類似する構成を有するので、ここでは詳しい説明を省略し、その相違点のみを説明する。
【0067】
本発明の第3の実施形態は、図7に示されるように、3つの第2の実施形態の海流発電機が、それぞれの取付けフレーム12を互いに接続することにより構成されている海流発電機である。図7において後方の2つの水面構造体1の本体11の間の取付けフレーム12には、2つの設置部57と、設置部57の周辺の取付けフレーム12に取り付けられている複数のタービン2と複数のタービン2の作動に連動して発電できるようにタービン2それぞれと連接され、2つの設置部57それぞれに設置されている複数の発電装置3を有している。
【0068】
上記の構成によれば、互いに繋がった複数の水面構造体1を有することにより、海流発電機が傾きにくくなり、安定性を向上できる。
【0069】
なお、本実施形態に、第1の実施形態の海流発電機を使用することもでき、3つ以上の第1または第2の実施形態の海流発電機を接続して構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の海流発電機は、海流を利用して発電できる。特に、海流が強い場所や水深が深い場所で使用することに好適である。
【符号の説明】
【0071】
A 所定の横方向
B 所定の縦方向
1 水面構造体
11 本体
111 船首
112 船尾
12 取付けフレーム
13 第1の横棒
14 第1の縦棒
15 第2の横棒
16 第2の縦棒
17 連結棒
18 帆取付け部
19 取付け空間
2 タービン
21 軸受け
22 回転軸
23 羽根モジュール
231 羽根部
232 格子枠
233 羽根
234 周縁板
51 第1の横取付け棒
53 第1の縦取付け棒
52 第2の横取付け棒
54 第2の縦取付け棒
55 第1のタービン取付け部
56 第2のタービン取付け部
57 設置部
3 発電装置
31 伝動部
32 軸心
4 帆
41 支持棒
42 帆本体
6 補助タービン
61 回転軸
62 羽根モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7