【文献】
J.Catanese III,D.Cooke,C.Maas, and L. Pruitt,Mechanical Properties of Medical Grade Expanded Polytetrafluoroethylene: The Effects of Internodal Distance, Density, and Displacement Rate,Journal of Biomedical Materials Research,米国,2002年 7月31日,Vol.48, No.2,p.187−192
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の埋込型装置において、前記フルオロポリマーから成る導管は血管狭窄症を有するかそのリスクのある成人患者に埋め込まれるように構成されている、埋込型装置。
【背景技術】
【0002】
肺動脈閉鎖を伴うファロー四徴症、総動脈幹症、肺動脈弁狭窄を伴う大血管転位、先天性大動脈弁狭窄/閉鎖不全、およびかかる症状の異型を含む、多くの先天性心疾患の治療において右室流出路(Right Ventricle Outflow Tract:RVOT)再建のための導管選択が課題となっている。1980年代初期に凍結保存法が発明され、特に様々なサイズの移植片を利用できるようになったことから、導管としてのホモグラフト(同種移植片)がRVOT再建手技を行う医師に選ばれるようになっている。かかるホモグラフトは多くの場合、ダクロン(登録商標)の導管に装着されたステントを有しグルタルアルデヒド処置がなされたブタ大動脈弁によるヘテログラフト(異種移植片)の代わりとして使用できる。ただしホモグラフトでも、狭窄、収縮、石灰化、不全症のため特に若い患者で導管の置換が必要となる可能性があることが長期的な研究で実証されている。
【0003】
最近ではRVOT再建でゼノグラフト(異種移植片)設計の評価が行われている。かかるゼノグラフトの非限定的例では、グルタルアルデヒド固定ブタ大動脈弁および基部、ならびに静脈弁を含むウシ頸静脈のグルタルアルデヒド固定セグメントを含む。ブタ大動脈弁の解剖学的形状はRVOT手技で有用な場合もあるが、かかるゼノグラフトが小児に埋め込まれる場合には狭窄と石灰化の問題が残ることがある。同様に、ウシ頸静脈の使用後には遠位吻合における早期線維性皮形成や導管の著しい膨張や逆流が起こることがある。このためアログラフト(異系移植片)とゼノグラフトは、特に非常に若い患者における乏しい血行力学的性能と再発性狭窄/不全症のため、RVOT手技の移植片として不適切な場合がある。結果的に、小児患者が成人に達するまでに多数のRVOT手術が必要となる可能性がある。
【0004】
埋込型人工(非生物由来)弁は置換術の回数が生物由来の弁より少なくすむ場合がある。ただしかかる人工弁は、特に肺血流に配置される場合に、大がかりな抗凝固療法が必要となる場合がある。また、小児/新生児用の移植人工弁は、集中的な生物工学研究に基づいて弁を特注設計する必要があるため、限られる場合がある。したがって、特に若い患者のための耐久性に優れる弁付き導管が求められていることは理解できるであろう。
【0005】
小児RVOT再建のための延伸ポリテトラフルオロエチレン(expanded polytetrafluoroethylene:ePTFE)弁付き導管は、医師の手術経験に基づく、または非拡張型導管のコンピュータ最適化ルーチンの結果に基づく、弁設計を含む。
【0006】
かかる非拡張型導管は優れた機能性と血栓、狭窄、および石灰化に対する耐性を提供できる。ただし、非拡張型導管は患者が成長する過程の解剖学的構造の変化に対応できない場合がある。小児患者の身体が成長し、導管または弁付き導管が患者の成長に伴う解剖学的変化や生理的変化に対応できないと、狭窄やその他の合併症のため、埋め込み済み心臓弁の置換が必要になる可能性がある。
【0007】
長期の開存性と機能的弁を有し血栓形成を防ぐ小児患者のための右室流出路(Right Ventriclar Outflow Tract:RVOT)再建用導管は、今のところ存在しないと思われる。抗血栓性材料と最適な弁設計で良好な初期成果を達成できる。しかし、若年層の小児患者はすぐに埋め込まれた導管が適しないように大きくなり、再手術や置換が必要となる場合がある。患者の成長に対応するため組織工学に基づく導
管または弁付き導管がこれまで提案されているが、これらの解決策は多大な時間と費用を要し、長期的な機能性は殆ど実証されていない。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許第5,443,499号明細書
(特許文献2) 米国特許出願公開第2005/0240262号明細書
(特許文献3) 米国特許出願公開第2010/0023120号明細書
(特許文献4) 国際公開第2013/019756号
(特許文献5) 米国特許出願公開第2005/0137682号明細書
【発明を実施するための形態】
【0013】
本方法を説明する前に、本発明が説明する特定のシステム、方法論、またはプロトコルに限定されず、システム、方法論、またはプロトコルを変えることができることを理解されたい。また、ここで使われる用語が専ら特定の実施形態を説明することを目的としており、本開示の範囲を限定するものではなく、本開示の範囲が専ら添付の特許請求の範囲によって限定されることを理解されたい。
【0014】
本開示における用語「塑性変形材」は、変形力がかかると形、サイズ、または形およびサイズの両方を変えることができ、且つ変形力が除去されても当初の形、サイズ、または形およびサイズの両方を完全には回復しない材料を意味する。
【0015】
本開示における用語「弾性材」は、変形力がかかると形、サイズ、または形およびサイズの両方を変えることができ、且つ変形力が除去されると当初の形、サイズ、または形およびサイズの両方を回復する材料を意味する。
【0016】
本開示における用語「変形力」は、或る材料にかけられたときに、当該材料の形、サイズ、または形およびサイズの両方の変化をもたらす力を意味する。
【0017】
本開示における用語「降伏強度」は、或る材料にかけられたときに、当該材料の形、サイズ、または形およびサイズの両方の回復不能な変化をもたらす最小の変形力を意味する。
【0018】
本開示における用語「極限引張強度」は、或る材料にかけられたときに、当該材料の破断または破損をもたらす最小の変形力を意味する。
【0019】
本開示における用語「解剖学的適合性」または「解剖学的に適合性の」は、或る材料または構造物が埋め込まれた患者の中で(患者の成長によって生じる)解剖学的構造の変化に応じてサイズ、形、またはサイズおよび形を変える能力を意味する。
【0020】
本開示における用語「生理学的適合性」または「生理学的に適合性の」は、材料または構造物が通常の生理的条件下でその構造的完全性を維持する能力を意味する。生理学的に適合性の材料または装置は、当該材料または装置が通常の生理的条件下で拡張して当初の形に戻る十分な弾性を呈する。例えば循環系に組み込まれるよう設計された生理学的に適合性の装置は、通常の生理的条件下で健全な血管と同様の弾性を呈する。
【0021】
本発明の種々実施形態は、生理的条件下で生理学的に適合性であるばかりでなく、非生理的条件下で塑性変形でき、半径方向および/または長手方向に拡張できる埋込型導管を対象とする。かかる変形は、導管が患者のニーズに応じて拡張することを可能にする。例えばかかる埋込型導管は、小児患者や若年患者に埋め込まれる際に、患者の年齢、サイズ、または身体的条件に合致する第1の生理学的に適切な半径を有する。患者が成長するにつれ、例えばバルーンカテーテルを使用して十分な半径方向力をかけて埋込型導管の半径を拡大でき、これにより埋込型導管は変形して第2の生理学的に適切な半径を呈する。あるいは患者が成長するにつれ、患者の成長に伴う解剖学的および/または生理学的力によって埋込型導管の半径はより大きい生理学的に適切な半径まで拡大することができる。安定的に拡張した後、導管は生理的条件下で生理学的に適合性であり続ける。拡張可能導管は変形して患者とともに拡張または拡大できるため、患者のニーズの変化に応じて導管を置換する侵襲的な手術の必要性は減る。
【0022】
ここで開示する拡張可能導管は、機能を果たさなくなったり不適当になった埋め込み済みのホモグラフトやその他の導管の置換に役立てることもできる。開示する導管のさらなる用途は、心臓の他の部分を、またはより一般的には身体の他の部分を、含む、小児および成人疾患の治療に関わる用途を含む。さらなる用途の例は、小児左室流出路(LVOT)病状の治療に関わる手技やフォンタン/クロイツァー手技での使用をさらに含む。また、獣医学の目的でヒト以外の動物にかかる拡張可能導管を利用できることは理解できるであろう。
【0023】
種々実施形態の拡張可能導管は、何らかの条件下では塑性変形でき別の条件下では弾性となる1つ以上の生体適合性ポリマーを、少なくとも部分的に形成することができる。
【0024】
具体的に述べると、導管は何らかの生理的条件下で弾性となることがある。典型的な血流は、ストレスのかかる条件下で、または激しい活動のときに、約0.02MPaまでの圧力を血管にかける。かかる条件下では血流の増大に対応するため血管の自然な弾性によって血管が半径方向に拡張する。血管はより低い定常状態圧力下で通常の直径に戻る。種々実施形態の拡張可能導管はこれと同様の弾性を呈する。例えばいくつかの実施形態において、導管は、約0.0001MPa〜約0.02MPa、約0.0001MPa〜約0.015MPa、約0.0001MPa〜約0.004MPaの圧力で、あるいはこれらの例示的範囲に含まれるいずれかの単独圧力または範囲で、伸びる。
【0025】
かかる実施形態の導管は、上述した圧力より大きい非生理的圧力で変形する。したがって、患者のニーズが変化するにつれ、例えば自然な血流によって生じる圧力を超える圧力をかけることにより、かかる導管を拡大させることができる。かかる実施形態において、上述した圧力で伸びる拡張可能導管は、バルーンカテーテルやその他の装置を用いて半径方向に変形させることができる。種々の実施形態において、かかる導管は、例えば約0.05MPa〜約2.5MPa、約0.3MPa〜2.5MPa、約0.1MPa〜4MPaの圧力(または降伏強度)で、あるいはこれらの例示的範囲に含まれるいずれかの範囲または単独圧力で、塑性変形する。ここで開示する特定の降伏強度値は限定的なものとして解釈するべきではなく、拡張可能導管のいくつかの実施形態が約4MPaを上回る降伏強度値を有する拡張可能導管を含むことは理解できるであろう。そのように大きい降伏強度値を有する導管は、約4MPaを上回る半径方向圧力をかけることができるバルーンカテーテル等の拡張装置と併せて使用すると有用である。
【0026】
いくつかの特定の実施形態において、導管は何らかの生理的条件下で拡張するための降伏強度を呈する。例えばいくつかの実施形態において、拡張可能導管は約0.004MPa〜約0.02MPa、約0.015MPa〜0.04MPaの降伏強度を、あるいはこれらの例示的範囲に含まれるいずれかの範囲または単独降伏強度を、呈する。かかる圧力が生理的条件下で達成されることは滅多にないため、かかる導管は埋め込まれた後にゆっくり拡張でき、このゆっくりとした拡張により導管は患者の成長に伴い拡張できるため、バルーンカテーテルやその他の装置を用いた人手による拡張の必要性は減る。
【0027】
上述した各実施形態において、導管は、約2.5MPa、3.0MPa、4.0MPa、または5.0MPaを上回る極限引張強度を通常呈する。かかる極限引張強度は、生理的条件下で、または変形圧力下で、導管が破裂しないことを保証する。いくつかの代替実施形態において、導管は、その降伏強度より約1MPa大きい極限引張強度を呈する。かかる導管の非限定的例は、約0.02MPaの降伏強度と約1.0MPaを上回る極限引張強度とを有する導管、約0.3MPaの降伏強度と約1.3MPaを上回る極限引張強度とを有する導管、約1.0MPaの降伏強度と約2.0MPaを上回る極限引張強度とを有する導管、約2.5MPaの降伏強度と約3.5MPaを上回る極限引張強度とを有する導管、および約4MPaの降伏強度と約5MPaを上回る極限引張強度とを有する導管を含む。
【0028】
そのような降伏強度と極限引張強度の組み合わせを特徴とする材料から作られる導管は、縫合糸を用いて血管構造内に埋め込むことができる。導管の追加的強度特性が縫合糸の保持力に関係することは理解できるであろう。いくつかの非限定的例において、縫合糸の保持力は50重量グラム(約0.5N)にほぼ等しいか50重量グラムを上回る。いくつかの代替非限定的例において、縫合糸の保持力は80重量グラム(約0.8N)にほぼ等しいか80重量グラムを上回る。
【0029】
上に開示した降伏強度と極限引張強度とを有する導管の実施形態は、圧縮または拡張できる。かかる圧縮または拡張は、半径方向寸法に沿って、または長手方向寸法に沿って、もたらすことができる。いくつかの例において、導管は、その初期拡張前半径から約20%〜約200%の半径方向拡張率を呈する。かかる半径方向拡張率の例は、初期拡張前半径から約20%、約40%、約50%、約100%、約150%、および約200%、ならびにこれらの値のいずれか2値間の範囲(末端を含む)を含むがこれらに限定されない。いくつかの例において、導管は、初期圧縮前半径の約33%〜約83%の半径方向圧縮率を呈する。かかる半径方向圧縮率の例は、初期圧縮前半径の約33%、約40%、約45%、約50%、約60%、約70%、約80%、および約83%、ならびにこれらの値のいずれか2値間の範囲(末端を含む)を含むがこれらに限定されない。いくつかの代替例において、導管は、初期拡張前長さから約5%〜約500%の長手方向拡張率を呈する。かかる長手方向拡張率の例は、初期拡張前長さから約5%、約10%、約50%、約100%、約150%、約200%、約300%、約400%、および約500%、ならびにこれらの値のいずれか2値間の範囲(末端を含む)を、含むがこれらに限定されない。いくつかの追加的例において、導管は初期圧縮前長さの約33%〜約91%の長手方向圧縮率を呈する。かかる長手方向圧縮率の例は、初期圧縮前長さの約33%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、および約91%、ならびにこれらの値のいずれか2値間の範囲(末端を含む)を、含むがこれらに限定されない。
【0030】
かかる弾性と可塑性とを有する上に開示した導管の実施形態は、特定の材料、材料の組み合わせ、形、サイズ、または製造方法に限定され得ない。かかる導管の非限定的例は、下に開示する他の有用な特性を含む。上述した特性は当技術で利用可能な何らかの手段を用いて達成できる。例えばいくつかの実施形態において、例えば約0.05MPa〜約2.5MPa、約0.1MPa〜約2.0MPa、約0.1MPa〜約1.5MPaの降伏強度を、あるいはこれらの例示的範囲に含まれるいずれかの範囲または単独圧力の降伏強度を、有する材料から、導管を製造できる。
【0031】
いくつかの実施形態において、拡張可能導管は1若しくはそれ以上の生体適合材から成り得、いくつかの実施形態において、生体適合材はフルオロポリマーであってもよい。かかる生体適合材の非限定的例は、ポリテトラフルオロエチレン、延伸ポリテトラフルオロエチレン(expanded polytetrafluoroethylene:ePTFE)、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、および/またはこれらの材料の組み合わせを含む。かかる生体適合ポリマーはまた、高分子網目に形成されるノード間の平均距離を表すモード間距離(IND)によって特徴付けられる。いくつかの例において、拡張可能導管に使われる生体適合材は約10μm〜約40μmのノード間距離を有している。いくつかの代替実施形態において、生体適合材は200μm未満のノード間距離を有している。かかるノード間距離の例は、約20μm、約40μm、約60μm、約80μm、約100μm、約120μm、約140μm、約160μm、約180μm、約200μm、およびこれらの値のいずれか2値間の範囲(末端を含む)を含むがこれらに限定されない。
【0032】
種々の実施形態において、かかる材料は約2
mg/mm
3未満の密度を有している。いくつかの例において、材料は約0.2
mg/mm
3〜約2
mg/mm
3の密度を有している。いくつかの代替例において、材料は約0.2
mg/mm
3〜約0.5
mg/mm
3の密度を有している。かかる材料密度の例は、約0.2
mg/mm
3、約0.4
mg/mm
3、約0.6
mg/mm
3、約0.8
mg/mm
3、約1.0
mg/mm
3、約1.5
mg/mm
3、約2.0
mg/mm
3、およびこれらの値のいずれか2値間の範囲(末端を含む)を含むがこれらに限定されない。
【0033】
いくつかの実施形態において、拡張可能導管は、有用な生物医学的特性を有する材料が塗装されたポリマーで作ることができる。いくつかの追加的実施形態において、導管には生物活性塗装を採り入れることができる。かかる生物活性塗装の非限定的例は1若しくはそれ以上の抗凝固材を含む。抗凝固材の非限定的例は、クマリン、ヘパリン、ヘパリン派生物、Xa因子阻害剤、直接トロンビン阻害剤、ヘメンチン、焼結多孔性チタンミクロスフェア、および/またはこれらの材料の組み合わせを含む。
【0034】
いくつかの追加的実施形態において、拡張可能導管は物理的に前処理された材料から作ることができる。材料の物理的前処理は熱による長手方向の機械的圧縮を含む。さらに、前処理工程では追加の材料を加えることができる。かかる前処理済み材料から作られる導管の降伏強度は拡張された導管の最終的な長さまたは半径に左右される。例えば、本来の材料の長さまたは半径(圧縮/加熱前の材料の長さまたは半径)まで長手方向か半径方向に拡張された導管は、本来の材料の降伏強度をかなり下回る降伏強度を有することがある。一例として、導管の本来の材料は約10MPaの降伏強度を有し、かかる前処理済み材料を有する導管は、材料の本来の長さまたは半径あたりまで拡張する場合に約1MPaの降伏強度を有する。
【0035】
いくつかの実施形態において、拡張可能導管は複数の材料から成る。例えば導管は、第1の降伏強度と第1の極限引張強度とを有する材料から成り、第2の降伏強度および/または第2の極限引張強度を有する第2の材料を含浸させる。一追加的非限定的例において、導管は、共に織り合わされた2若しくはそれ以上の弾性または塑性変形材から作ることができる。
【0036】
拡張可能導管が2つ以上の材料層を含む実施形態において、多層導管の各層は同じ材料から成る。別の実施形態において、多層導管の各層は異なる材料から成る。さらなる実施形態において、多層導管の各層は異なる機械的特性によって特徴付けられる材料から成る。例えば、多層導管の内層は第1の降伏強度と第1の極限引張強度とを有する材料を含み得、外層は第2の降伏強度および/または第2の極限引張強度を有する第2の材料を含む。第1の降伏強度は、第2の降伏強度を上回る場合があり、または第2の降伏強度にほぼ等しい場合があり、または第2の降伏強度を下回る場合がある。第1の極限引張強度は、第2の極限引張強度を上回る場合があり、または第2の極限引張強度にほぼ等しい場合があり、または第2の極限引張強度を下回る場合がある。代わりに、内層は弾性材か塑性変形材を含み得、外層は非弾性材か壊れやすい材を含む。
【0037】
複数の層から成る導管は、複数の層の材料特性によって決まる拡張性能を有する。例えば生分解性の外層と弾性または塑性変形可能な内層から成る導管は、その中を流れる流体の力によって拡張できるが、拡張できるのは外層が分解した後に限る。別の一例において、非弾性か壊れやすい外層と弾性または塑性変形可能な内層を有する導管は、例えば挿入された拡張装置によって十分な力が内部にかかって外層を破裂させ、内層が拡張できる状態になるまでは、拡張しない状態を保つことができる。
【0038】
導管の材料、配合、および/または機械的特性が導管の長手方向寸法にわたって一定であることは理解できるであろう。代わりに、導管の材料、配合、および/または機械的特性は、導管の全長に沿って、あるいは導管の全長の一部に沿って、変化してもよい。複数の枝路を有する導管は、枝路と導管の主円筒形管とで異なる機械的特性を有することができる。
【0039】
いくつかの例において、導管は概ね円筒形の管を形成する。いくつかの別の例において、導管は枝路を含むより複雑な幾何学的形状を有する。いくつかの例において、導管は導管の全長の一部に沿って主円筒形管を形成し、2若しくはそれ以上の管状部分に枝分かれする。いくつかの代替例において、導管は導管の全長に沿って主円筒形管を形成し、主円筒形管から管状部分が延出する。「円筒形管」から成るものとして開示される導管が円筒形管の長手方向軸沿いにいくつもの湾曲、捻じれ、またはその他の変形を含むことは理解できるであろう。
【0040】
導管は一般的にどのようなサイズや形であってもよく、約2mm以上、約20mm未満の拡張前内径を有する。かかる拡張前内径の例は、約2mm、約4mm、約6mm、約8mm、約10mm、約15mm、約20mm、およびこれらの値のいずれか2値間の範囲(末端を含む)を含むがこれらに限定されない。いくつかの別の例において、導管は約4mm以上、約14mm未満の拡張前内径を有する。かかる拡張前内径の例は、約4mm、約6mm、約8mm、約10mm、約12mm、約14mm、およびこれらの値のいずれか2値間の範囲(末端を含む)を含むがこれらに限定されない。拡張後の導管は約8mm以上、約24mm未満の内径を有する。いくつかの別の例において、拡張後の導管は約4mm以上、約34mm未満の内径を有する。かかる拡張後内径の例は、約4mm、約6mm、約8mm、約10mm、約15mm、約20mm、約25mm、約30mm、約34mm、およびこれらの値のいずれか2値間の範囲(末端を含む)を含むがこれらに限定されない。いくつかの例において、拡張可能導管は約0.01mm〜約2mmの厚さを有する塑性変形材から作ることができる。いくつかの例において、導管は約10μm以上、約2000μm未満の肉厚を有する。別の非限定的例において、導管は約100μm〜約1000μmの肉厚を有する。かかる導管肉厚の例は、約10μm、約20μm、約50μm、約100μm、約200μm、約500μm、約1000μm、約2000μm、およびこれらの値のいずれか2値間の範囲(末端を含む)を含むがこれらに限定されない。
【0041】
いくつかの代替実施形態において、拡張可能導管の機械的特性は、長手方向寸法と半径方向寸法とでほぼ等しい場合があり、あるいは長手方向寸法と半径方向寸法とで異なる場合がある。一例において、拡張可能導管は長手方向寸法沿いに0.2MPaを上回る第1の降伏強度と半径方向寸法沿いに0.2MPaを上回る第2の降伏強度とを有していてもよい。一代替例において、導管の長手方向寸法における第1の降伏強度は約10MPaを上回る場合があり、導管の半径方向寸法における第2の降伏強度は約2.75MPaを上回る場合がある。
【0042】
いくつかの実施形態において、上述した導管は追加の部品を含む。例えばいくつかの実施形態において、導管は、導管を構成する材料に取り付けられたステントを、または導管を構成する材料に封入されたステントを、含み得、あるいは内層がステントを含み得、外層が弾性または塑性変形材を含む。さらに別の一例において、導管は生分解性の外層と弾性または塑性変形可能な内層から成る。いくつかのさらなる例において、多層拡張可能導管は織り材を有する第1の内層と織り材を有する第2の外層とを含む。内層を成す織り材が外層を成す織り材と同じであってもよいことは理解できるであろう。代わりに、内層を成す織り材が外層を成す織り材と異なる場合もある。
【0043】
様々な材料から成り様々な機械的特性を有する導管を上に開示したが、弁構造を有する導管(これ以降、弁付き導管と称する)にもかかる材料および特性を等しく当てはめることができることは理解できるであろう。弁構造に加え、かかる埋込型導管は1若しくはそれ以上の洞隆起形状を含む。いくつかの例において、弁付き導管は、弁構造を基準にして近位(流れの上流)部分に1若しくはそれ以上の洞隆起を含む。代わりに、弁付き導管は、弁構造を基準にして遠位(流れの下流)部分に1若しくはそれ以上の洞隆起を含む。弁付き導管に含まれるかかる洞隆起形状は、導管の少なくとも一部分に熱および/または圧力をかけることで作ることができる。さらに、複数の層から成る弁付き導管が最も内側の層に連結された弁構造を有することは理解できるであろう。かかる弁付き導管は獣医学を目的とする動物での埋め込みにも利用できる。
【0044】
図1は、非限定的な一例に従い動物またはヒトに埋め込むことができる拡張可能弁付き導管の断面図を示すものである。拡張可能弁付き導管は合成材で作られた導管110と弁構造120とを含む。弁構造120は、導管110内に収容された1若しくはそれ以上の小葉素子125a、125bを含む。1若しくはそれ以上の小葉素子125a、125bの各々は、動くことができる1若しくはそれ以上の自由縁と導管110と機械的に連絡した1若しくはそれ以上の縁とを有していてもよい。いくつかの非限定的例において、導管110と機械的に連絡する縁は導管の内面に貼り付けられる。
【0045】
図2Aおよび2Bは拡張可能弁付き導管の一例の断面図を示すものである。
図2Aは開放状態の弁付き導管を示している。
図2Bは閉鎖状態の弁付き導管を示しており、この状態では開放間隙面積を残しつつ、弁の開放オリフィス面積の殆どは閉ざされている。
【0046】
図2Aおよび2Bはいずれも弁構造220を含む導管210を図示している。
図2Aおよび2Bに描かれた非限定的例において、弁構造220は2つの小葉225aおよび225bから成る。弁構造220の代替実施形態が1つの小葉を、3つの小葉を、または任意数の小葉を、含むことは理解できるであろう。
図2Aは開放状態の弁付き導管を示しており、この状態で弁小葉225aおよび225bはある程度の距離で分離されているほか、流体が流れる力によって少なくとも部分的には導管210の内面に寄り添う。開放状態で弁小葉225aおよび225bは小葉225aおよび225b間に開放オリフィス面積を設けるよう配置され、開放オリフィス面積は導管210の断面積とほぼ同じオリフィス面積を有している。
【0047】
図2Bは閉鎖状態の弁付き導管を示している。閉鎖状態で弁小葉225a'および225b'は互いに接近する。いくつかの非限定的実施形態において、弁小葉225a'および225b'は縁と縁とで互いに寄り添う。いくつかの別の非限定的実施形態において、弁小葉225a'および225b'は少なくとも部分的には互いに重なり合う。いくつかの別の非限定的実施形態において、弁小葉225a'および225b'は半球形になり、あるいは部分的に半球形になる。
図2Bは弁構造220に関わる別の特徴を図示している。かかる追加的特徴は、弁小葉225a'および225b'の少なくとも一部を繋ぎ合わせる交連230と、少なくとも1つの小葉(225a'、225b'または両方)の少なくとも1つの自由縁と導管210の内面の間の間隙235とを含む。
【0048】
一般的に、弁付き導管に組み込まれる弁構造は、塑性変形材、弾性材、非変形材、またはこれらの混合物を含み、ただしこれらに限定されない、導管を構成する材料と同じ材料で作ることができる。いくつかの例において、弁構造は、導管と同じ材料から成り得、導管と同じ機械的特性を有する。いくつかの別の例において、弁構造は導管と同じ材料から成るが、導管の機械的特性とは異なる機械的特性を有する。いくつかの追加的例において、弁構造は導管の材料とは異なる材料から成る。一例において、導管、弁構造、または導管および弁構造の両方は、抗凝固材が塗装されたポリマーから作ることができる。いくつかの追加的例において、導管、弁構造、または導管および弁構造の両方には、生物活性塗装を採り入れることができる。
【0049】
別の実施形態において、弁付き導管は第1の導管層と第2の導管層とを有する導管を含み得、第1の導管層は第2の導管層の外面と物理的に連絡する内面を有し、弁構造は第2の導管層の中に配置される。かかる多層弁付き導管の一例として、第1の導管層は約0.1MPa〜約4MPaの降伏強度を有する第1の塑性変形材から成り得、第2の導管層は第1の層と同じ塑性変形材から成る。一代替例において、多層弁付き導管は、約0.1MPa〜約4MPaの降伏強度を有する第1の塑性変形材を有する第1の導管層と、第1の材料とは異なる第2の材料から成る第2の導管層とから成る。さらに別の一例において、弁付き導管は織り材から成る第1の導管層と織り材から成る第2の導管層とを有し得、あるいは第1の導管層と第2の導管層は両方とも織り材から成る。多層弁付き導管のいくつかの実施形態において、第1の導管層は生分解性であってもよい。多層弁付き導管のいくつかの代替実施形態において、第1の導管層は非塑性変形材を含む。さらに別の実施形態において、多層弁付き導管は第2の導管層の一部としてステントを含む。
【0050】
導管の全寿命を通じて拡張を含む弁の適正機能を確実に維持するため、様々な導管拡張段階における様々な位置で種々弁小葉設計の幾何学的形状を正確且つ精密に再現できるコンピュータ最適化ルーチンをここで開示する。計算流体力学を用いて生理的流動条件下で小葉の幾何学的形状を再現できる。かかるシミュレーションに基づき、導管の全寿命を通じて心室拡張期に逆流を最小限に抑え心室収縮期に開放オリフィス面積を最大限に確保する最適な小葉を設計できる。
【0051】
弁付き導管に組み込まれる弁構造は、計算装置に組み込まれたモデリング/最適化アルゴリズムに少なくとも部分的には基づいて設計できる。かかるアルゴリズムを利用することで、導管が半径方向に拡大する際の弁付き導管内での流体流動に関する1若しくはそれ以上の合格基準を満たす弁構造を設計できる。一例において、モデリング/最適化アルゴリズムには導管を必要とする実際の患者の身体データを使用できる。これらのモデリング/最適化アルゴリズムは計算流体力学(Computational Fluid Dynamics:CFD)、固体力学モデリング、およびその他の最適化ルーチンを含む。合格基準は、導管が半径方向に拡大し導管内で弁構造の位置が変化する際の流体の乱流、逆流、および弁構造を通る流体流動のその他の動的パラメータを含む。弁付き導管の構造要素に関わるさらなるパラメータは、開放時の弁構造オリフィス面積、開放弁構造での流体体積流量、および弁構造小葉と導管内面との物理的接触に関する尺度を含む。
【0052】
一実施形態では、心臓弁構造での拡張期逆流の低減や有効オリフィス面積と全体的な心臓弁構造機能の改善にモデリングおよび/または最適化計算を役立てることができる。一非限定的実施形態において、心臓弁小葉構造モデリングプログラムは、幾何学的パラメータと固体力学原理に少なくとも部分的には基づいて、1若しくはそれ以上の心臓弁小葉構造モデルを予測的に生成する。別の一非限定的実施形態では、1若しくはそれ以上の流体流動分析法で1若しくはそれ以上の立体心臓弁小葉構造モデルを分析できる。例えば
図3Aは立体機械的シミュレーションアルゴリズムによって生成された心臓弁小葉のメッシュ構造モデルを示すものであり、
図3Bは
図3Aのメッシュ構造から構築された立体モデルを示すものである。
【0053】
かかる流体流動分析法の非限定的例は、流体構造連成(Fluid−Structure Interaction:FSI)シミュレーションと計算流体力学(Computational Fluid Dynamics:CFD)シミュレーションを含む。一非限定的実施形態において、心臓弁小葉構造モデルを生成する対話型最適化法は、(1)1若しくはそれ以上の幾何学的パラメータを含む1組のパラメータに基づいて心臓弁小葉構造モデルを計算することと、(2)1若しくはそれ以上の流体流動分析法に少なくとも部分的には基づいて心臓弁小葉構造モデルの性能を分析することと、(3)1若しくはそれ以上の流体流動分析法で計算したデータに従って性能費用関数を計算することと、(4)弁の性能費用関数の値を最小限に抑える形で1若しくはそれ以上の心臓弁小葉構造モデリングパラメータを変えることとを含む。
【0054】
心臓弁小葉構造の形および/または寸法の計算に使える数学的モデリングおよび/または最適化計算は、計算流体力学(Computational Fluid Dynamics:CFD)、固体力学モデリング、流体/構造連成(Fluid/Structure Interaction:FSI)モデリング、および血流最適化アルゴリズムを含むがこれらに限定されない。CFDモデルに基づく計算は、心臓弁構造の導管部分の曲率による血流速度の差を明らかにすることができる。
図4はかかる血流速度シミュレーションの一例を示している。例えば血流モデルは、小さい曲率半径を有する導管内の血流とは対照的に、大きい曲率半径を有する導管の軸沿いに多量の血流を示すことがある。例えばCFDモデルは、心臓弁小葉構造の下方小葉が閉鎖段階で動かなくなって血栓が形成される可能性があることから、湾曲した導管の底部に心臓弁小葉構造を設けるべきではないことを提案するデータを提供することがある。
【0055】
数学的計算および/または最適化計算は、例えば1若しくはそれ以上の計算装置を用いて遂行できる。かかる計算装置は、中央演算処理装置、数値アクセラレータ、スタティックおよび/またはダイナミックメモリー、データ記憶装置、データ入力装置、データ出力装置、通信インターフェース、および視覚表示装置のいずれか1若しくはそれ以上を含むがこれらに限定されない。かかる計算には単一の計算装置が使われることがあるが、例えば共有ネットワークやクラウド構成で複数の計算装置が使われることもある。1若しくはそれ以上の計算装置が独立して作動することもあれば協調的に作動することもあることは理解できるであろう。加えて、1若しくはそれ以上のユーザー間の通信と1若しくはそれ以上の計算装置間の通信は、キーボード、マウス、トラックボール、スタイラス、音声認識システム、および/またはタッチパッド表示装置を含み、ただしこれらに限定されない、1若しくはそれ以上の入力インターフェース装置を介して行うことができる。加えて、1若しくはそれ以上の計算装置は、視覚表示装置、プリンタ、および/またはオーディオインターフェースを含み、ただしこれらに限定されない、1若しくはそれ以上の出力インターフェース装置によって、1若しくはそれ以上のユーザーへ出力情報を提供できる。計算装置間のデータ通信は、これに限定されるものではないがシリアルインターフェース、パラレルインターフェース、Ethernet(登録商標)インターフェース、無線インターフェース、および/または光インターフェースを含む、1若しくはそれ以上の計算システム通信インターフェースを介して行うことができる。計算装置間の、または計算装置とユーザー間の、さらなる通信は、これに限定されるものではないがパーソナルエリアネットワーク(BlueTooth(登録商標)等)、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、および/または衛星ネットワークを含む、1若しくはそれ以上の計算システム通信プロトコルを介して遂行できる。
【0056】
図5は、塑性変形材から成る埋込型弁付き導管を設計する一方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【0057】
まず、受容患者の解剖学的構造や生理機能に関するデータを含む弁付き導管のモデリングパラメータが固体力学モデリングアルゴリズムに提供される(500)。かかる解剖学的および/または生理学的データは、弁付き導管内の弁構造にかかる圧力、弁付き導管内での流体流速、および弁付き導管が取り付けられる血管構造の物理的測定値を含む。弁付き導管の初期半径方向寸法がともに提供されてもよい(505)。さらに、塑性変形材の拡張率に関するデータがモデルへ提供される。かかるデータは、塑性変形材の降伏強度、極限引張強度、弾性率、およびその他の機械的特性を含む。加えて、予想される患者の解剖学的構造成長の度合いや、患者の成長に応じた患者の生理機能の変化が判断される。予想される患者成長の情報と弁付き導管材の塑性変形能に関するデータを用いて、弁付き導管の望ましい拡張量が推定される。かかる拡張率データは導管の1若しくはそれ以上の拡張値としてモデリングソフトウェアへ提供される(510)。
【0058】
最初に規定した弁構造に関する物理的パラメータもモデリングソフトウェアへ提供される。かかる物理的パラメータは導管の長さと導管の肉厚を含むがこれらに限定されない。弁構造の物理的寸法に関するさらなる物理的パラメータがモデリングソフトウェアへ提供される。かかる物理的寸法のいくつかの例は、弁構造を構成する弁小葉の形とサイズに関係する。弁小葉の物理的パラメータの非限定的例は、洞縁形状、洞縁周長、ファン縁形状、ファン縁周長、高さ、ファン構造高さ、基線幅、および交連長さのいずれか1若しくはそれ以上を含む。弁構造モデリング計算はその後、最初に規定した弁付き導管の物理的特性と機械的特性に関する初期弁付き導管の当初数学モデルを作成する。
【0059】
その後、初期弁付き導管における流体流動の特性を判断するため、初期弁付き導管を表す当初モデルが流体流動シミュレーションアルゴリズムで使用される。その後、流体速度プロファイル、流体圧プロファイル、および流体体積流量プロファイルを含み、ただしこれらに限定されない、1若しくはそれ以上の当初流体流動指標が流体流動シミュレーションアルゴリズムによって計算される(515)。患者の解剖学的および/または生理学的データ、最初に提案された導管の半径方向寸法、および弁構造に関する物理的指標に加え、材料の1若しくはそれ以上の塑性変形特性もかかる流体流動シミュレーションアルゴリズムで使用される。
【0060】
当初流体流動指標が計算(515)された後には、少なくとも第2の弁付き導管を表す少なくとも第2の数学モデルを提供するため、初期弁付き導管を表す当初数学モデルが改変される。少なくとも第2の弁付き導管モデルは、これに限定されるものではないが、導管の半径方向寸法、弁小葉の物理的パラメータ、材料の拡張値、および材料の可塑性に関する1若しくはそれ以上の尺度を含む(材料の応力または歪み特性の変化等)様々な点で初期弁付き導管モデルと異なる可能性がある。その後、弁付き導管の少なくとも第2のモデルに基づき、流体流動シミュレーションアルゴリズムによって1若しくはそれ以上の第2の流体流動指標が計算される(520)。
【0061】
流体流動シミュレーションアルゴリズムがさらなる弁付き導管モデルに順次適用され得、後続のモデルが先行の弁付き導管から何らかの形で変化した後続の弁付き導管を表すことは理解できるであろう。例えば、導管の半径方向寸法だけが異なる一連の弁付き導管モデルが作成される。かかる一連のモデルは、患者が成長し、患者の成長に合わせて導管が拡張する過程で生じる埋め込み済み弁付き導管の半径方向の変化を表す。時間の経過に沿った弁付き導管の半径方向寸法の変化は、後続の導管構成に関わる流体流動指標の変化として流体流動シミュレーションアルゴリズムによって再現される。
【0062】
当初流体流動指標と少なくとも第2の流体流動指標とを含む一連の流体流動指標が得られたら、変形指標が計算される(525)。変形指標は、流体流動指標の算術平均、流体流動指標の幾何平均、流体流動指標の調和平均、または流体流動指標の加重平均を含み、ただしこれらに限定されない、いくつもの方法で多数の流体流動指標から計算される。流体流動指標の加重平均は、何らかの加重係数でそれぞれ加重された流体流動指標の和として計算される。非限定的な一例では、流動効率指標から、または半径方向寸法等の1組の特性を有する弁付き導管構造を流れる流体流動の効率性に関する費用関数から、加重係数が導き出される。効率性は、流体流速、流動時の弁構造内の開放面積、または逆流の度合いに依拠している。
【0063】
最適化計算が完了し、計算した変形指標が合格値以上であれば、初期弁付き導管モデルへ提供された導管と弁構造の物理的特性を使用し、塑性変形材から弁付き導管が製造される(530)。かかる合格値のいくつかの非限定的例は、逆流比、開放オリフィス面積、および小葉/壁接触率のいずれか1若しくはそれ以上の計算値を含む。逆流比により、開放状態の弁における流体の前方への流れに対する閉鎖状態の弁における流体の後方への流れの比を見積ることができる。開放オリフィス面積は、弁構造が開放姿勢のときに弁構造によって塞がれない導管内腔の断面積の割合で計算される。導管開存性のさらなる尺度は、(総小葉面積と比較した)導管内面と接触する弁構造小葉の割合を含む。合格値のいくつかの例は、約30%以下の逆流比、約80%以上の開放オリフィス面積、または約15%未満の小葉/壁接触値を含む。
【0064】
塑性変形材から作られた埋込型弁付き導管は患者の成長に伴い拡張して、ある程度長期の治療を提供できる場合もあるが、新生児サイズから完全な成人サイズへ至る患者を支援するにあたって1つの塑性変形弁付き導管では不十分な場合もある。そのような場合には、最初の弁付き導管を、中間の患者年齢から完全な成人にかけて拡張できる第2の弁付き導管に、置き換える必要があるかもしれない。塑性変形弁付き導管は原位置で置換でき、元の弁付き導管を摘出して第2の弁付き導管に置き換える必要はない。
【0065】
図6は、埋め込み済みの第1の拡張可能弁付き導管を第2の拡張可能弁付き導管に置換する場合に使用できる一方法のフローチャートである。
【0066】
上で開示したように、第1の拡張可能弁付き導管は患者がある程度の期間にわたって成長した後に患者を支援できなくなる場合がある。非限定的な一例において、導管は、弁構造が血流を効率よく調整できなくなる程度まで半径方向に拡大する場合がある。弁構造の非効率性が明らかになった時点で、第1の弁付き導管は完全に拡張した状態まで拡張していないかもしれない。そのような状況下では、第2の弁付き導管を第1の弁付き導管の中に導入し、第2の弁付き導管を原位置で拡張することにより、第1の弁付き導管を第2の弁付き導管に置換できる。具体的に述べると、バルーンカテーテル等の拡張装置が血管系の中に導入され得、拡張装置は第1の弁付き導管の内面に接触する(600)。その後、第1の弁付き導管の中で拡張装置が拡張され(610)、第1の弁付き導管の少なくとも一部分を半径方向に拡大する。その後、拡張された第1の弁付き導管の少なくとも一部分の中に第2の弁付き導管が導入される(620)。第2の弁付き導管は、第1の弁付き導管が拡張されているときに第1の弁付き導管の拡張に使っている拡張装置を使って導入される。第2の弁付き導管は別の装置を使って導入されてもよい。第2の弁付き導管が配置されると、導管内で流体の流れを調整できる弁構造を提供するため、第2の弁付き導管も拡張される(630)。
【実施例】
【0067】
実施例1:埋込型導管に使用できる第1の塑性変形材
図7Aは塑性変形可能な埋込型導管の製造に使用できる第1の塑性変形材の応力/歪み曲線を示すものである。この材料は約2.1MPaの平均降伏強度と約5MPaの極限引張強度とを有する。この材料はまた、約5.9MPaの平均弾性率によって特徴付けられる、降伏強度より低い弾性変形を示している。この材料は、弾性変形モードから塑性変形モードに遷移する応力/歪み曲線部分において、降伏応力点で元の長さから平均36%の伸長を示している。弾性変形能に対し、塑性変形能を示す応力/歪み曲線の範囲が広いため、かかる材料は成長する解剖学的構造のニーズに合わせて拡張できる塑性変形導管に有利に使用できる。
【0068】
実施例2:埋込型導管に使用できる第2の塑性変形材
図7Bは塑性変形可能な埋込型導管の製造に使用できる第2の塑性変形材の応力/歪み曲線を示すものである。この材料は約1.7MPaの平均降伏強度と約5.5MPaの極限引張強度とを示している。この材料はまた、約7.4MPaの平均弾性率によって特徴付けられる、降伏強度より低い弾性変形領域を有している。この材料は、弾性変形モードから塑性変形モードに遷移する応力/歪み曲線部分において、降伏応力点で元の長さから平均24%の伸長を示している。弾性変形能に対し、塑性変形能を示す応力/歪み曲線の範囲が広いため、かかる材料は成長する解剖学的構造のニーズに合わせて拡張できる塑性変形導管に有利に使用できる。
【0069】
本開示は、種々の態様を例証することを目的に本願で説明した特定の実施形態に限定されない。当業者に明白であるように、本開示の精神と範囲から逸脱することなく数多くの修正や変更を施すことができる。本開示で列挙されている方法および装置に加えて、本開示の範囲内にある機能的に同等の方法および装置は、前記の説明から当業者に明白となるであろう。かかる修正や変更は添付の特許請求の範囲内にある。本開示は添付の請求項の用語とかかる請求項の同等物の範囲によってのみ限定される。本開示で使われている用語が限定を意図とするものではなく、専ら特定の実施形態を説明することを目的とすることも理解されたい。
【0070】
本開示で使われている概ね全ての複数形および/または単数形の用語について、当業者なら、文脈および/または用途に応じて、複数形を単数形に、および/または単数形を複数形に、適切に解釈できる。本開示には明確化のために様々な単数/複数形順列が明記されことがある。本開示で使われている用語が、特に添付の特許請求の範囲(例えば添付の特許請求の範囲の本文)に使われている用語が、概して「開放的」な用語を意図するものであることは当業者によって理解されるであろう(例えば用語「including(〜を含む)」は「including but not limited to(〜を含みただしこれに限定されない)」と解釈すべきであり、用語「having(を有する)」は「having at least(少なくとも〜を有する)」と解釈すべきであり、「includes」は「includes but is not limited to(〜を含むがこれに限定されない)」と解釈すべきである)。
【0071】
さらに、導入されるクレーム記述の特定の数が意図される場合は、かかる意図が当該クレーム中に明確に記述され、かかる記述がない場合は、かかる意図も存在しないことは、当業者によって理解されるであろう。理解を促すため、例えばこの後に続く添付の特許請求の範囲では「at least one(少なくとも1つの)」や「one or more(1若しくはそれ以上の)」といった導入句を使ってクレーム記述を導入することがある。ただし、このような句の使用は、たとえ同一のクレーム内に導入句「one or more(1若しくはそれ以上の)」または「at least one(少なくとも1つの)」と不定冠詞「a」または「an」の両方が含まれる場合でも、不定冠詞「a」または「an」によるクレーム記述の導入が、かかる導入されるクレーム記述を含む特定のクレームをかかる記述を1つだけ含む実施形態に限定することを示唆するものとして解釈すべきではない(例えば「a」および/または「an」は「at least one(少なくとも1つの)」または「one or more(1若しくはそれ以上の)」を意味すると解釈すべきである)。定冠詞を使ってクレーム記述を導入する場合にも同様のことが当てはまる。さらに、導入されるクレーム記述の特定の数が明確に記述されている場合でも、かかる記述が少なくとも記述された数を意味するものとして解釈すべきであることは、当業者によって理解されるであろう(例えば、他に修飾語のない「2つの記述」という記述は、少なくとも2つの記述を、または2つ以上の記述を、意味する)。さらに、2つ以上の選択可能な用語を提示する事実上全ての離接語および/または離接句が、説明文内であろうと、特許請求の範囲内であろうと、または図面内であろうと、それらの用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、またはそれらの用語の両方を含む可能性を意図するものとして理解するべきであることは、当業者によって理解されるであろう。例えば、「A or B(AまたはB)」という句は、「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むものとして理解されるであろう。
【0072】
当業者によって理解されるように、書面による明細を提供する等、あらゆる目的のため本開示に開示される範囲は、当該範囲の部分範囲と部分範囲の組み合わせをも含む。また、当業者によって理解されるように、「up to(まで)」、「at least(少なくとも)」等の文言は記述された数を含み、且つ上述した部分範囲に細分化できる範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は個々の要素を含む。
【0073】
以上を踏まえ、本開示の種々実施形態が例証の目的で説明されたこと、本開示の範囲と精神から逸脱することなく様々な修正を施すことができることは、理解されるであろう。開示された種々実施形態は限定を意図するものではなく、真の範囲と精神は以降の請求項によって示される。