(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706081
(24)【登録日】2020年5月19日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】永久磁石消弧手段を備えた開閉装置
(51)【国際特許分類】
H01H 9/44 20060101AFI20200525BHJP
H01H 9/46 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
H01H9/44 A
H01H9/46
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-9471(P2016-9471)
(22)【出願日】2016年1月21日
(65)【公開番号】特開2016-146333(P2016-146333A)
(43)【公開日】2016年8月12日
【審査請求日】2018年10月12日
(31)【優先権主張番号】10 2015 000 796.3
(32)【優先日】2015年1月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514122166
【氏名又は名称】シャルトバウ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001346
【氏名又は名称】特許業務法人 松原・村木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト クラリク
【審査官】
関 信之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0145675(US,A1)
【文献】
特開2008−078120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/44
H01H 9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの接点と、当該接点に関連づけられたアークブロー装置とを備え、前記アークブロー装置は、ブロー磁界を発生させるための少なくとも一つのブロー磁石(2.1,2.2)を備え、前記ブロー磁界は、前記接点の開放時に発生する、スイッチアーク(3.1,3.2)が前記接点から吹き消されるようにする性質を有する開閉装置(1)において、
前記ブロー磁界は、第1磁界領域と、当該第1磁界領域に隣接して配置された第2磁界領域とを含み、前記第1磁界領域の磁力線は、前記第2磁界領域の磁力線とは反対方向を向いており、前記ブロー磁界は、前記第1磁界領域と前記第2磁界領域とを互いに接続する遷移領域をさらに含み、前記第1磁界領域および前記第2磁界領域からそれぞれ出る前記磁力線の前記遷移領域における向きが、前記接点に向かって揃うことで、前記遷移領域における前記スイッチアーク(3.1,3.2)が、電流の向きに依存して、前記接点から出て前記第1磁界領域または前記第2磁界領域のいずれかへと向かい、そこで、いずれの場合も前記接点から遠ざかる同じ方向にブローされ、
前記開閉装置(1)は、消弧装置(5.1,5.2,5.3)をさらに備え、当該消弧装置(5.1,5.2,5.3)は、前記スイッチアーク(3.1,3.2)が、電流の向きにかかわらず、前記アークブロー装置を介して前記消弧装置(5.1,5.2,5.3)内にブローされるように配置され、
前記アークブロー装置は、第1横磁極板(6.1)と、第2横磁極板(6.2)と、間に挟まった中央磁極板(6.3)とを備え、前記第1磁界領域は、前記第1横磁極板(6.1)と前記中央磁極板(6.3)との間に形成され、前記第2磁界領域は前記第2横磁極板(6.2)と前記中央磁極板(6.3)との間に形成され、
前記第1横磁極板(6.1)は少なくとも一つの第1ブロー磁石(2.1)に関連づけられ、前記第2横磁極板(6.2)は少なくとも一つの第2ブロー磁石(2.2)に関連づけられ、前記第1ブロー磁石(2.1)および前記第2ブロー磁石(2.2)は、逆極性であり、前記ブロー磁石(2.1,2.2)は永久磁石であり、
前記開閉装置(1)は第1接点および第2接点を備え、前記第1接点は第1アークブロー装置に関連づけられ、前記第2接点は第2アークブロー装置に関連づけられ、前記第1接点は第1固定コンタクト(7.1)および第1可動コンタクト(9.1)を備え、前記第2接点は第2固定コンタクト(7.2)および第2可動コンタクト(9.2)を備え、前記第1可動コンタクト(9.1)および前記第2可動コンタクト(9.2)は、共通のコンタクトブリッジ(10)の両端部に配置され、前記第1固定コンタクト(7.1)は少なくとも一つの第1アーク案内板(11)と関連づけられ、前記第2固定コンタクト(7.2)は少なくとも一つの第2アーク案内板(12)と関連づけられ、前記第1アーク案内板(11)および前記第2アーク案内板(12)は前記各固定コンタクト(7.1,7.2)と前記消弧装置(5.1,5.2)の間を延びて前記各固定コンタクト(7.1,7.2)に導電接続されている、またさらに、第3アーク案内板(13)および第4アーク案内板(14)が設けられ、前記第3アーク案内板(13)および前記第4アーク案内板(14)は、それぞれ、前記第1可動コンタクト(9.1)から前記第2可動コンタクト(9.2)までアーチ状に延びて前記第3アーク案内板(13)および前記第4アーク案内板(14)が前記コンタクトブリッジ(10)とともに、それぞれ、略閉ループを形成しており、前記第1アークブロー装置および前記第2アークブロー装置の前記中央磁極板(6.3)が、それぞれ前記第3アーク案内板(13)および前記第4アーク案内板(14)の間に配置されている
ことを特徴とする開閉装置(1)。
【請求項2】
前記第1磁界領域は第1チャネル(4.1)と関連づけられ、前記第2磁界領域は第2チャネル(4.2)と関連づけられ、前記第1チャネル(4.1)および前記第2チャネル(4.2)は平行に延びて隣接配置されており、前記第1チャネル(4.1)はその縦延長方向を横切って前記第1磁界領域の磁力線が透過するとともに、前記第2チャネル(4.2)はその縦延長方向を横切って前記第2磁界領域の磁力線が透過することを特徴とする請求項1に記載の開閉装置(1)。
【請求項3】
前記中央磁極板(6.3)は、前記接点に対面する少なくとも一方の第1端部において、前記第1横磁極板(6.1)及び前記第2横磁極板(6.2)よりも短いことを特徴とする請求項1に記載の開閉装置(1)。
【請求項4】
前記2枚の横磁極板(6.1,6.2)は前記接点と横に隣接して延び、前記接点が前記第1横磁極板(6.1)の第1の端部と前記第2横磁極板(6.2)の第1の端部との間に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の開閉装置(1)。
【請求項5】
前記中央磁極板(6.3)は、その第1端部の反対側に位置する第2端部においても、前記2枚の横磁極板(6.1,6.2)よりも短いことを特徴とする請求項3または4に記載の開閉装置(1)。
【請求項6】
前記第1アークブロー装置の前記第1ブロー磁石(2.1)と前記第2アークブロー装置の前記第1ブロー磁石(2.1)とが、前記第3アーク案内板(13)および前記コンタクトブリッジ(10)によって形成されるループ内に配置され、前記第1アークブロー装置の前記第2ブロー磁石(2.2)と前記第2アークブロー装置の前記第2ブロー磁石(2.2)とが、前記第4アーク案内板(14)および前記コンタクトブリッジ(10)によって形成されるループ内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の開閉装置(1)。
【請求項7】
前記第1アークブロー装置および前記第2アークブロー装置の前記中央磁極板(6.3)が電気的に絶縁されるように外装されていることを特徴とする請求項1に記載の開閉装置(1)。
【請求項8】
請求項2に記載の開閉装置(1)において、前記消弧装置(5.1,5.2,5.3)は、第1消弧装置(5.1)および第2消弧装置(5.2)を有し、前記第1消弧装置(5.1)および前記第2消弧装置(5.2)は、前記第1アークブロー装置の前記第1チャネル(4.1)および前記第2チャネル(4.2)が前記第1消弧装置(5.1)に連通する一方で前記第2アークブロー装置の前記第1チャネル(4.1)および前記第2チャネル(4.2)が前記第2消弧装置(5.2)に連通するように、前記開閉装置(1)のケーシングの両端の側部に配置されていることを特徴とする開閉装置(1)。
【請求項9】
第3消弧装置(5.3)が前記ケーシングの前記両端の側部を接続する前記ケーシングの上側部にさらに配置されていて、前記第1アークブロー装置および前記第2アークブロー装置の前記第1チャネル(4.1)および前記第2チャネル(4.2)も前記第3消弧装置に(5.3)に連通するよう構成されていることを特徴とする請求項8に記載の開閉装置(1)。
【請求項10】
前記消弧装置(5.1,5.2,5.3)は、完全に取り外し可能で、前記2つのアークブロー装置とともに取り外すことも可能であることを特徴とする請求項8または9に記載の開閉装置(1)。
【請求項11】
前記コンタクトブリッジ(10)は、電気絶縁材料からなるコンタクトキャリア(27)上に配置され、当該コンタクトキャリア(27)は、前記第1接点および前記第2接点の間を横切って、該開閉装置(1)の前記ケーシングの内法を端から端まで延在することを特徴とする請求項8または9に記載の開閉装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の前提部に記載の開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な開閉装置は、少なくとも一つの接点と、当該接点に関連づけられたアークブロー装置とを備えている。アークブロー装置は、ブロー磁界を発生させるための少なくとも一つのブロー磁石を備えている。ブロー磁界には、接点の開放時に発生するスイッチアークが、接点から吹き消されるようにする性質がある。
【0003】
一般的な開閉装置は、たとえば、欧州特許出願公開第2230678号(A2)明細書によって知られている。これは、耐アーク性接触子であり、そのアークブロー装置は、電気的に駆動される吹消しコイルとともに永久磁石も備えている。磁気ブローを生じる吹消しコイルを使用することは、通常、開閉装置が、比較的重く、大きく、製造費用がかさむものであることを意味する。また、アークに対するブローの効果は、電流強度に依存し、これによって臨界電流範囲が生じる。スイッチングの瞬間に吹消しコイルを起動するには、追加の費用が必要である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、この一般的なタイプの開閉装置において、シンプルで安価な構成で、電流の向きにかかわらず確実に消弧ができるものを提供することである。
【0005】
この目的は、独立請求項1の特徴によって達成される。これによって、前記ブロー磁界が、第1磁界領域と、当該第1磁界領域に隣接して配置された第2磁界領域とを含み、前記第1磁界領域の磁力線が、前記第2磁界領域の磁力線とは反対方向を向いており、前記ブロー磁界が、前記第1磁界領域と前記第2磁界領域とを互いに接続する遷移領域をさらに含み、前記第1磁界領域および前記第2磁界領域からそれぞれ出る前記磁力線の前記遷移領域における向きが、前記接点に向かって揃うことで、前記遷移領域における前記スイッチアークが、電流の向きに依存して、前記接点から出て前記第1磁界領域または前記第2磁界領域のいずれかへと向かい、そこで、いずれの場合も前記接点から遠ざかる同じ方向にブローされるとき、一般的な開閉装置に対する本発明による解決手段が提供される。
【0006】
本発明による解決手段は、スイッチアークが電流の向きにかかわらず常に開閉装置のケーシングから出て同じ方向にブローされることで、スイッチアークの消弧に必要な消弧装置が一つだけであるというメリットを提供する。ここでは、純粋に永久磁石的にブロー磁界を形成することができるので、重く高価な吹消しコイルを完全に不要とすることができる。したがって、本発明による開閉装置は、非常にコンパクトである。スイッチアークは、したがって、ブロー磁界の遷移領域の中央で発生するので、電流の向きによって、第1磁界領域の中に、または、第2磁界領域の中に、向かうよう方向づけされる。磁力線は、好ましくは180°の角度で扇形に広がった形状の、遷移領域内にある。第2磁界領域を第1磁界領域の鏡像となるように形成すると、特にシンプルな構成が得られる。
【0007】
本発明の有利な実施形態が、従属請求項の主題である。
【0008】
本発明の好ましい一実施形態において、前記第1磁界領域は第1チャネルと関連づけられ、前記第2磁界領域は第2チャネルと関連づけられ、前記第1チャネルおよび前記第2チャネルは平行に延びて隣接配置されており、前記第1チャネルは、その縦延長方向を横切って前記第1磁界領域の磁力線が透過するとともに、前記第2チャネルは、その縦延長方向を横切って前記第2磁界領域の磁力線が透過するものである。
【0009】
チャネルを設けることによって、スイッチアークを、確実に、接点から遠ざかる方向にブローさせることができる。
【0010】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、開閉装置は、消弧装置をさらに備え、当該消弧装置は、前記スイッチアークが、電流の向きにかかわらず、前記アークブロー装置を介して前記消弧装置内にブローされるように配置されている。これにより、確実なアークの消弧が安価なやり方で達成される。
【0011】
本発明のさらなる特に好ましい実施形態において、前記アークブロー装置は、第1横磁極板と、第2横磁極板と、間に挟まった中央磁極板とを備え、前記第1磁界領域は、前記第1横磁極板と前記中央磁極板との間に形成され、前記第2磁界領域は前記第2横磁極板と前記中央磁極板との間に形成されている。この実施形態においては、ブロー磁界が精確かつシンプルなやり方で生成可能である。さらに、この実施形態では、特にコンパクトで構造的に有利な解決手段が可能である。第1磁界領域において、そして、第2磁界領域において、前記磁力線は、実質的に磁極板に直交するように延びている。前記したチャネルは、それぞれ、横磁極板と中央磁極板との間を延びている。磁極板は、好ましくは、前記チャネルの側壁を形成する。
【0012】
本発明のさらなる特に好ましい実施形態において、前記第1横磁極板は少なくとも一つの第1ブロー磁石に関連づけられ、前記第2横磁極板は少なくとも一つの第2ブロー磁石に関連づけられ、前記第1ブロー磁石および前記第2ブロー磁石は、逆極性である。第1ブロー磁石および第2ブロー磁石は、それぞれ、好ましくは、横磁極板と前記中央磁極板との間に配置されている。さらに、第1ブロー磁石は、好ましくは、前記第1横磁極板と直接接触しており、第2ブロー磁石は、好ましくは、前記第2横磁極板と直接接触している。
【0013】
本発明の他の同様に特に好ましい実施形態において、前記中央磁極板は、前記接点に対面する少なくとも一方の第1端部において、前記2枚の横磁極板よりも短い。これにより、遷移領域の磁力線の、特に有利な扇形に広がるかたちが達成される。ここで、前記2枚の横磁極板が前記接点と横に隣接して延び、前記接点が前記第1横磁極板の第1の端部と前記第2磁極板(6.2)の第1の端部との間に配置されるようにすると特に有利である。このように、スイッチアークが、その形成後、確実に、電流の向きに依存して、第1磁界領域の中へ、あるいは、第2磁界領域の中へ、と方向づけられるようになることが確実になる。さらに好ましくは、前記中央磁極板は、その第1端部の反対側に位置する第2端部においても、前記2枚の横磁極板よりも短い。これにより、スイッチアークが、消弧装置に入る前に再び中央に、いわば中央磁極板の対称面内に、向かうよう方向づけられる。それによって、消弧装置は、特にコンパクトに設計可能である。
【0014】
本発明の他の特に好ましい実施形態において、前記接点は、固定コンタクトと可動コンタクトとを有し、第1アーク案内板および第2アーク案内板が当該固定コンタクトと関連づけられ、前記第1アーク案内板および前記第2アーク案内板がそれぞれ前記接点と前記消弧装置との間を延びて前記固定コンタクトに導電接続され、第3アーク案内板および第4アーク案内板が前記可動コンタクトと関連づけられ、前記第3アーク案内板および前記第4アーク案内板もそれぞれ前記接点と前記消弧装置との間を延び、前記第3アーク案内板および前記第4アーク案内板がそれぞれ前記可動コンタクトから離間配置され、前記第1アーク案内板および前記第3アーク案内板が前記第1磁界領域と関連づけられたアーク案内板の第1のペアを組み、前記第2アーク案内板および前記第4アーク案内板が前記第2磁界領域と関連づけられたアーク案内板の第2のペアを組み、前記第1のペアおよび前記第2のペアに属するアーク案内板は、スイッチアークが、消弧装置内にアークブロー装置を介してブローされると、前記第1アーク案内板と前記第3アーク案内板との間、もしくは、前記第2アーク案内板と前記第4アーク案内板との間を張り渡して引き伸ばされるように、前記接点からそれぞれ拡がっている。スイッチアークは、この実施形態においては、引き伸ばされることによって、消弧が極めてシンプル化されている。第3アーク案内板および第4アーク案内板は可動コンタクトには接続されていない。したがって、開閉装置の動かない部材にシンプルな態様で取り付けることができる。そのため、可動コンタクトに接続されているため接点の開閉時に加速されることが必要とされる部分の大きさ(mass)が非常に小さくなる。したがって、可動コンタクトの駆動部を寸法の小さいものとすることができる。スイッチアークを可動コンタクトから第3アーク案内板または第4アーク案内板にわたってスパークさせることができるようにするためには、第3アーク案内板または第4アーク案内板のそれぞれと可動コンタクトとの間の間隔がほんのわずかとなるようにすれば有利である。もっとも、第1アーク案内板または第2アーク案内板は、好ましくは、固定コンタクトに固定的に接続されており、さらに好ましくは、固定コンタクトと一体に形成されている。このように、製造し装着しなければならない部材はほんの少なくてよい。これによって、開閉装置の構造がシンプルかつ安価に保たれる。
【0015】
本発明のさらなる特に好ましい実施形態において、開閉装置は、第1接点および第2接点を有し、これら第1接点および第2接点の可動コンタクトは、共通のコンタクトブリッジ上に配置されており、第1接点側の第3アーク案内板および第4アーク案内板は、第2接点側の第3アーク案内板および第4アーク案内板に、電気的に接続されている。この実施形態では、シンプルな態様で、確実に、スイッチアークをアーク案内板上にスパークさせ、方向づけ、それによってそれぞれ作用を受けたアーク案内板の間を、対応する消弧装置内に向かって延伸させる。
【0016】
特に好ましくは、第1接点側の第3アーク案内板は、第1の導電接続により、第2接点側の第3アーク案内板または第4アーク案内板に導電接続され、第1接点側の第4アーク案内板は、第2の導電接続により、第2接点側のそれぞれ他の第3アーク案内板または第4アーク案内板に導電接続され、第1の導電接続と第2の導電接続との間には、第3の導電接続が存在し、その第3の導電接続に好ましくは一方向の電流通流のみを許可するダイオードが設けられているものとされている。この実施形態において、本発明による開閉装置は、DC駆動だけでなく、AC駆動にも適合可能である。開閉装置にAC電圧を印加する場合であっても、スイッチアークは確実に消弧される。スイッチアークが、たとえば正の半波の間に、第1接点側で発生した場合には、第1磁界領域に向かう各極性をもつものとなり、そこで電流は、とりわけ第1接点側のスイッチアークとダイオードと第2接点側のスイッチアークとを介して流れる。正の半波完了後は、ダイオードが逆方向の電流を妨げるので、もはや電流は流れない。再凝固が起こり、スイッチアークは崩壊する。第3の導電接続は、第1の導電接続と第2の導電接続との間の任意の点に形成することができる。たとえば、第3の導電接続を、第1接点側の第3アーク案内板と第4アーク案内板との間に設けることができる。第1接点および第2接点で第3アーク案内板と第4アーク案内板とが互いに並列に接続される場合、構成の煩雑さが特に低減される。これは、第1接点側の第3アーク案内板が反対側に配置された第2接点側の第3アーク案内板に導電接続され、第1接点側の第4アーク案内板が反対側に配置された第2接点側の第4アーク案内板に導電接続されていることを意味する。第3アーク案内板および第4アーク案内板は、ブロー磁界の極性を対応させて変更することで、2つの接点に接続することができるが、互いにクロスさせて接続することもできる。
【0017】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、開閉装置は、第1接点と、隣接配置された第2接点とを備え、第1接点側の中央磁極板と第2接点側の中央磁極板が、異なる磁気極性を有している。2つの接点におけるブロー磁界がこれによって最適化されている。第1接点側の中央磁極板は、ここでは、好ましくは、第2接点の中央磁極板と面一となるよう揃えられている。
【0018】
本発明のさらなる特に好ましい実施形態において、一ないし複数のブロー磁石は、永久磁石のみからなる。本発明のこの開閉装置は、それによって、構造が特にシンプルになり、製造費用が抑制される。永久磁石を希土類磁石とすれば、コンパクトな設計をさらに最適化することができる。
【0019】
本発明のさらなる特に好ましい実施形態によれば、開閉装置は第1接点および第2接点を備え、前記第1接点は第1アークブロー装置に関連づけられ、前記第2接点は第2アークブロー装置に関連づけられ、前記第1接点は第1固定コンタクトおよび第1可動コンタクトを備え、前記第2接点は第2固定コンタクトおよび第2可動コンタクトを備え、前記第1可動コンタクトおよび前記第2可動コンタクトは、共通のコンタクトブリッジの両端部に配置され、前記第1固定コンタクトは少なくとも一つの第1アーク案内板と関連づけられ、前記第2固定コンタクトは少なくとも一つの第2アーク案内板と関連づけられ、前記第1アーク案内板および前記第2アーク案内板は前記各固定コンタクトと前記消弧装置の間を延びて前記各固定コンタクトに導電接続されている、またさらに、第3アーク案内板および第4アーク案内板が設けられ、前記第3アーク案内板および前記第4アーク案内板は、それぞれ、前記第1可動コンタクトから前記第2可動コンタクトまでアーチ状に延びて前記第3アーク案内板および前記第4アーク案内板が前記コンタクトブリッジとともに、それぞれ、略閉ループを形成しており、前記第1アークブロー装置および前記第2アークブロー装置の前記中央磁極板が、それぞれ前記第3アーク案内板および前記第4アーク案内板の間に配置されている。
【0020】
この実施形態は、特に構造がシンプルなので、安価に製造可能である。同時に、この実施形態は、DC駆動の場合でもAC駆動の場合でもともに特に高い消弧能力を実現する。第1アークブロー装置および第2アークブロー装置は、実質的に互いに鏡面対称となるよう構成されている。本実施形態において、第1アークブロー装置の磁極板の磁気極性は、したがって、第2アークブロー装置の磁極板の磁気極性と一致する。第3アーク案内板および第4アーク案内板の端部は、それぞれコンタクトブリッジの端部からわずかに離間配置されていて、コンタクトブリッジが第3アーク案内板および第4アーク案内板に対して移動可能になっている。アークが接点から吹き消されるとき、アークの足がコンタクトブリッジからそれぞれ第3アーク案内板または第4アーク案内板上にかかるようにスパークする。コンタクトブリッジを固定コンタクトの上方に配置すると特に有利な構成が得られる。第1アーク案内板および第2アーク案内板は、好ましくは、各中央磁極板の下方に配置されていて、それぞれ、対応するアークブロー装置の第1チャネルの上および平行する第2チャネルの上を幅方向に延びている。これらは、それぞれ、好ましくは、固定コンタクトを対応するターミナルコンタクトに接続する。コンタクトブリッジの角部は、好ましくは、耐用寿命を延ばすため、丸めておく。
【0021】
特に好ましい実施形態によれば、第1アークブロー装置の第1ブロー磁石と第2アークブロー装置の第1ブロー磁石とが、第3アーク案内板およびコンタクトブリッジによって形成されるループ内に配置されていて、第1アークブロー装置の第2ブロー磁石と第2アークブロー装置の第2ブロー磁石とが、第4アーク案内板およびコンタクトブリッジによって形成されるループ内に配置されている。これにより、ブロー磁石をシンプルな方法でアークから保護している。セラミック等でできたブロー磁石用保護カバーは不要となる。
【0022】
さらなる好ましい実施形態において、第1アークブロー装置および第2アークブロー装置の中央磁極板は、電気的に絶縁されるように外装されている。外装(sheath)は、適切なプラスチックまたはセラミックでつくることができる。
【0023】
この実施形態のさらなる好ましい開発形態によれば、消弧装置は、第1消弧装置および第2消弧装置を有し、第1消弧装置および第2消弧装置は、第1アークブロー装置の第1チャネルおよび第2チャネルが第1消弧装置に連通する一方で第2アークブロー装置の第1チャネルおよび第2チャネルが第2消弧装置に連通するように、開閉装置のケーシングの両端の側部に配置されている。特に好ましくは、第3消弧装置がケーシングの両端の側部を接続する上側部にさらに配置されていて、第1アークブロー装置および第2アークブロー装置の第1チャネルおよび第2チャネルもこの第3消弧装置に連通している。その結果、消弧能力を必要であればさらに高くすることができる。消弧装置の間に配置されているケーシングの部分は、適切な銅板により、必要に応じアークから保護することが可能であるが、消弧装置を、前記2つのアークブロー装置とともに、メンテナンスのために、開閉装置のケーシングから完全に取り外し可能として、シンプルな方法で、固定コンタクトおよびコンタクトブリッジへの遮られないアクセスを可能にすればより有利である。開閉装置の駆動部は、前記2つの固定コンタクトの下方に配置するとよい。
【0024】
有利な実施形態によれば、消弧装置はそれぞれ、積み重ねられた複数の消弧部材を備えている。消弧部材は、セラミックで作ることができる。この目的のための消弧部材は、接点または第3アーク案内板および第4アーク案内板にそれぞれ対向しており、それぞれ、少なくとも2つの複数の楔形フランクを備えている。各消弧部材の楔形フランクは、各後続消弧部材の楔形フランクを補完して、それぞれが前記2つのチャネルのうちの一方と関連づけられる2つのV字形溝を形成する。電流の流れる方向により、それぞれのアークブロー装置の第1チャネルまたは第2チャネルのいずれかを通って前記2つのV字形溝のうちの一方の中へブローされる。消弧装置はそれぞれ外側に向く複数の開口を備え、スイッチアークによって生成されるプラズマが開閉装置のケーシングから逸出できるようになっている。開口は、好ましくは、消弧部材の各溝によって形成されている。
【0025】
さらに好ましい実施形態によれば、コンタクトブリッジは、電気絶縁材料からなるコンタクトキャリア上に配置され、当該コンタクトキャリアは、開閉装置のケーシングの内法を端から端まで第1接点および第2接点の間を横切って延在するものとすればスイッチング容量をさらに増やすことができる。コンタクトキャリアは、アークにより生成されるプラズマに対してラビリンスシール型のバリアが形成されるように、ハウジングの対応する溝の中へ両側で入り込むようにするのが非常に好ましい。個々の高負荷がスイッチされる際に開閉装置の駆動部のヨーク板上に閃光アークが起こったときにアークにより生成されるプラズマのせいで生ずるおそれのある接地事故を防ぐために、ベロー(bellows)を、さらに、コンタクトキャリアの下方に配置することができる。
【0026】
開閉装置は、非常に好ましくは、接触子である。
【0027】
本発明は、さらに開閉装置のためのアークブロー装置を提供する。
【0028】
本発明の諸実施形態について、図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明による開閉装置を第1実施形態によりケースを開いた状態で示す斜視図である。
【
図2】
図1に示した本発明による開閉装置の断面平面図である。
【
図3】
図1および
図2に示した開閉装置を、接点を開いた直後に、
図1の視点から見た図である。
【
図4】
図3において電流の流れる方向を逆転させた状態を表す図である。
【
図5】第2実施形態による本発明の開閉装置を示す斜視図である。
【
図6】
図5の本発明による開閉器を、
図5の切断線VIで切った断面図(側断面図)である。
【
図7】
図5の本発明による開閉器を、
図5の切断線VIIで切った断面図(縦断面図)である。
【
図8】
図5の本発明による開閉器を、
図5の切断線VIIIで切った断面図(断面平面図)である。
【
図9】
図5〜8の本発明による開閉器の消弧装置の消弧部材を示す図である。
【
図10】
図5〜8の本発明による開閉器の消弧装置の他の消弧部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
下記の実施形態を通じて、同様の部材は同じ符号で示すものとする。図面に含まれる符号に係る対応する詳細な説明がない場合、前後の図面の説明が参照される。
【0031】
図1は、本発明による開閉装置1の斜視図である。開閉装置は単極接触子である。はっきり見やすいように、開閉装置のケーシングはさまざまな他の部材(その一部は
図2に示されている)とともに、図示していない。
図2は、断面平面図である。断面は、
図1に示す部材2.1および2.2の軸線を通って延びる面である。
【0032】
接触子1は、2つの固定コンタクト7.1,7.2を備え、各固定コンタクトは、対応するターミナルコンタクト8.1,8.2に電気的に接続されている。2つの固定コンタクト7.1,7.2は、コンタクトブリッジ10によって互いに電気的に接続されている。コンタクトブリッジ10は、電磁駆動部19のアーマチュアにより作動され、2つの可動コンタクト9.1,9.2を備えている。コンタクトを閉じると、第1可動コンタクト9.1が移動して第1固定コンタクト7.1に当接する。第2可動コンタクト9.2は第2固定コンタクト7.2に接触する。上述のように、接触子1のケーシングは図示していない。図面において、電磁駆動部が取り付けられている開閉装置のシャーシ20のみが示されている。
【0033】
コンタクトが開くと、第1固定コンタクト7.1と第1可動コンタクト9.1との間、および、第2固定コンタクト7.2と第2可動コンタクト9.2との間で、それぞれスイッチアークが発生する。
【0034】
開閉装置がスイッチアークの形成が原因で損傷するのを防ぐためは、スイッチアークをコンタクト領域から離れるように方向づけて、消弧しなければならない。第1固定コンタクト7.1と第1可動コンタクト9.1の組み合わせを、以後の記載では第1接点と呼ぶ。第2コンタクト7.2と第2可動コンタクト9.2の組み合わせを、第2接点と呼ぶ。開閉装置は、スイッチアークを接点から遠ざけるようにブローするため2つの接点のそれぞれに対しアークブロー装置を備えている。2つのアークブロー装置は、それぞれ、消弧装置5.1,5.2と関連づけられている。消弧装置は、
図2に模式的に示してあるが、公知の態様で、複数の消弧板ないしセラミック消弧部材を有するものとすることができる。
【0035】
アークブロー装置の構成について、まず、第1固定コンタクト7.1および第1可動コンタクト9.1からなる第1接点について説明する。アークブロー装置により生成するブロー磁界は、本発明による開閉装置においては、永久磁石の態様でのみ生成される。電動の吹消しコイルは必要とされていない。したがって、使用されるのは2つの永久磁石2.1,2.2のみである。2つの永久磁石2.1,2.2はそれぞれ、第1接点と、該第1接点と関連づけられている消弧装置5.1との間に配置されている。ここで、第1永久磁石2.1は、スイッチの図示せぬケーシングの側壁に配置された第1横磁極板6.1と直接接触している。第2永久磁石2.2は、同様に、ケーシングの反対側に配置された(はっきり見やすいよう
図1には図示していない)第2横磁極板6.2と直接接触している。中央磁極板6.3は2つの横磁極板6.1,6.2の間に配置され、2つの横磁極板6.1,6.2に平行に延びているが、これも
図1には図示していない。2つの永久磁石と中央磁極板6.3との間には、それぞれ、磁気バック鉄が配置されている。バック鉄は永久磁石と共に、円筒形状をしている。
図2から、両部材がそれぞれ保護カバー21にくるんであることが明らかである。
【0036】
2つの永久磁石2.1,2.2は、極性が逆である。S極は、第1磁極板6.1の外側、そして第2磁極板6.2の外側に、それぞれ配置されている。共通のN極が、中央磁極板6.3に配置されている。逆極性とすることで、第2横磁極板6.2(右側)と中央磁極板6.3との間に形成される磁界が、第1磁極板6.1(左側)と中央磁極板6.3との間に形成される磁界と正反対の向きとなるという効果がある。この事実は、
図2に示されている磁力線23からも明らかである。
【0037】
磁極板は、その間に、ともに第1接点から消弧装置5.1に延びる2つのチャネルを画成する。ここで、第1チャネル4.1は、第1横磁極板6.1と中央磁極板6.3との間にある。第2チャネル4.2は、第2横磁極板と中央磁極板6.3との間にある。2つのチャネルは、それぞれ、それらの縦延長方向を横切って2つの逆極性の磁界のうちの一方が透過する。
図2からわかるように、2つの横磁極板6.1,6.2は、接点の横に隣接して延びており、中央磁極板6.3は、やや短く接点の手前に端部がある。これによって、接点に、ブロー磁界の遷移領域が生じる。固定コンタクト7.1もしくは可動コンタクト9.1のそれぞれ中央付近では、チャネル4.1および4.2内の2つの磁界の磁力線に垂直な方向に磁力線が延びている。磁力線は、遷移領域においては、180°の角度にひろがった疑似扇状をなしている。これにより、チャネル4.1内の磁界の向きは、遷移領域においては、反転して、ついにはチャネル4.2内の磁界の向きに対応する向きになる。
【0038】
第1ターミナルコンタクト8.1が電圧源の正極に接続されている場合、コンタクトが開いたときに、第1接点でスイッチアーク3.1が生ずると、
図2のブロー磁界によって、まず、右側に偏倚し、次いで第2横磁極板6.2と中央磁極板6.3との間のチャネル4.2内に入る。この場合のスイッチアーク3.1の移動方向が、矢印24で図示されている。第1ターミナルコンタクト8.1が電圧源の負極に接続されている場合、スイッチアークは、まず反対方向である左側に偏倚する。そして、矢印25で図示されている経路に沿って第1横磁極板6.1と中央磁極板6.3との間のチャネル4.1内に入る。このどちらの場合においても、スイッチアークは、続いて、ブロー磁界により消弧装置5.1内に追い込まれる。中央磁極板6.3は、反対側、すなわち消弧装置5.1に対向する側においても、2つの横磁極板6.1,6.2よりやや短くなっている。それによって、消弧装置5.1直前のブロー磁界も、スイッチアークを消弧装置5.1の中央に方向づける遷移領域を含むことになる。これによって、消弧装置5.1がコンパクトに保つことができる。
【0039】
第2固定接点7.2および第2可動接点9.2によって形成される第2接点においても、第1接点側のアークブロー装置と同じ構造のアークブロー装置が設けられている。唯一の有意な相違点は、2つの永久磁石2.1,2.2が反対向きになっていることである。第2接点においては、したがって、中央磁極板6.3がS極をなす。2つの横磁極板6.1,6.2は、それぞれ、磁界のN極を形成する。したがって、第1ターミナルコンタクト8.1が正極に接続され、第2ターミナルコンタクト8.2が電圧源の負極に接続されると、第2接点側で発生するスイッチアーク3.2は、まず左側に偏倚し、左側の横磁極板6.1と中央磁極板6.3との間のチャネル内に入る。逆電圧の場合は、スイッチアーク3.2は、第2接点側で右側に偏倚し、したがって、右側の横磁極板6.2と中央磁極板6.3との間のチャネル内に入る。
【0040】
いくつかのいわゆるアーク案内板が、第1にスイッチアークを方向づけるために、そして第2にそれを消弧装置内に向かって延伸させるように設けられていることが、
図1から明らかである。アーク案内板の配置は、以下、まずは第1接点について説明する。第1固定コンタクト7.1は、第1アーク案内板11.1と第2アーク案内板12.1とを備える。2つのアーク案内板は、反対側に配置されている第1可動コンタクト9.1と、すなわち、第3アーク案内板13.1および第4アーク案内板14.1とも関連付けられている。第3アーク案内板13.1および第4アーク案内板14.1は、それぞれ、可動コンタクト9.1もしくはコンタクトブリッジ10には接続されていないが、開閉装置内にしっかりと装着されている。したがって、第3アーク案内板13.1とコンタクトブリッジ10との間、および、第4アーク案内板14.1とコンタクトブリッジ10との間には、それぞれ、隙間22が存在している。第1アーク案内板11.1は、第3アーク案内板13.1とともに、第1横磁極板6.1と中央磁極板6.3との間の第1チャネル4.1と関連づけられている一対のアーク案内板を構成する。同様に、第2アーク案内板12.1は、第4アーク案内板14.1とともに、第2横磁極板6.2と中央磁極板6.3との間の第2チャネル4.2と関連づけられている一対のアーク案内板を構成する。一対のアーク案内板の2つのアーク案内板は、スイッチアークを消弧装置内に向けて延伸させるように、接点側から末広がりに延びている
【0041】
対応するアーク案内板は、第2接点側にも設けられていて、第1接点側の第3アーク案内板13.1および第4アーク案内板14.1が、それぞれ、第2接点側の第3アーク案内板13.2および第4アーク案内板14.2のそれぞれに電気的に接続されている。このことは、第1接点側の第3アーク案内板13.1が、電気接続15を介して、第2接点側の第3アーク案内板13.2に電気的に接続されているということを意味する。同様に、第1接点側の第4アーク案内板14.1は、電気接続16を介して、第2接点側の第4アーク案内板14.2に電気的に接続されている。追加的に、第1接点側の第3アーク案内板13.1および第4アーク案内板14.1の間には、一方向の電流通流のみを許可するダイオード18が設けられた電気接続17がある。なお、ダイオードは、接触子をAC適用例に使用する場合にのみ必要となるものであることに留意されたい。第2固定コンタクト7.2は、2つのアーク案内板11.2および12.2に接続されている。ここで、第2接点側のアーク案内板11.2は、第1アーク案内板を構成する。アーク案内板12.2は、第2アーク案内板を構成する。
【0042】
以下、アーク案内板および各電気接続線の作用形態についてより詳細に説明する。第1ターミナルコンタクト8.1が正極に接続され、第2ターミナルコンタクト8.2が電圧源の負極に接続されているとき、第1接点側で発生するスイッチアーク3.1が第2横磁極板6.2と中央磁極板6.3との間の第2チャネル4.2内に入る。スイッチアーク3.1が発生した時点で、後者は、第1固定コンタクト7.1と、コンタクトブリッジ10上に配置されている第1可動コンタクト9.1との間に存在する。チャネル4.2に入ることを可能にするためには、スイッチアークは、コンタクトブリッジ10から第4アーク案内板14.1までスパークするのでなければならない。ここで、電流は、第1固定コンタクト7.1から、第2アーク案内板12.1、第1スイッチアーク3.1、第4アーク案内板14.1、電気接続線17、第3アーク案内板13.1、電気接続線15、第2接点側の第3アーク案内板13.2、第2スイッチアーク3.2、および第2接点側の第1アーク案内板11.2を経由して、第2固定コンタクト7.2まで流れる。この場合が、
図3に図示されている。
【0043】
逆電圧が印加されると、
図4に示されているような事態が発生する。ここで、電流は、第2固定コンタクト7.2から、第2接点側の第2アーク案内板12.2、第2スイッチアーク3.2、第4アーク案内板14.2、電気接続線16、第3アーク案内板14.1、電気接続線17、第3アーク案内板13.1、第1スイッチアーク3.1、第1接点側の第1アーク案内板11.1を経由して、第1固定コンタクト7.1まで流れる。どちらの場合も、第1スイッチアーク3.1および第2スイッチアーク3.2は、このように、アーク案内板によって延伸され、最終的には、対応する消弧装置で消弧される。
【0044】
第1接点側の第3アーク案内板13.1および第4アーク案内板14.1の間の電気接続線17にダイオード18を使用することにより、本発明の開閉装置は、AC駆動の場合にも適合するものとなる。正の半波の間にスイッチアーク3.1および3.2が発生した場合、
図3に示した状態が、最初に生ずる。電源周波数が50Hzとすると、正の半波の持続時間は、10msである。したがって、スイッチアークがコンタクトブリッジからそれぞれのアーク案内板上にスパークするのに充分な時間がある。負の半波への遷移は、ダイオード18を使用することで簡単に防ぐことができる。もはや電流の流れる向きが反転するおそれはない。再凝固が起こることによって、スイッチアークが負の半波において再点火するおそれはない。スイッチアークが負の半波の間に発生した場合にも同じことがあてはまる。この場合、
図4に示されているような状況が、まず発生する。ここでも、再凝固が再び起こり、アークの再点火が防止される。
【0045】
図5〜8に、本発明の開閉装置1の第2実施形態を示す。構成は、基本的に、
図1〜4の開閉装置の構成に対応している。同じ部材は、同じ符号で示している。
図1〜4の第1実施形態との相違について、本質的なところを以下に説明する。
【0046】
図6に示すように、コンタクトブリッジ10が、第1実施形態とは異なり、2つの固定コンタクト7.1および7.2の上方に、2つの可動コンタクト9.1および9.2を備えている。電磁駆動部19は、第1実施形態と同様に、2つの接点の下方に配置されている。このようにすることで、ケーシングの上部を、メンテナンスのため完全に取り外すことが可能になり、コンタクトへの自由なアクセスが可能になるという利点がある。上部ケーシング部分は、
図5に示すラッチ26によってロックされている。
【0047】
第2実施形態による開閉装置も、2つの接点を備えている。第1接点7.1/9.1は、第1アークブロー装置に関連づけられており、第2接点7.2/9.2は、第2アークブロー装置に関連づけられている。第1アークブロー装置は、
図8のイメージの下半分に示されており、第2アークブロー装置は、
図8のイメージの上半分に配置されている。第1アークブロー装置および第2アークブロー装置は、実質的に互いに鏡面対称となるように構成されている。したがって、この実施形態において、第1アークブロー装置の磁極板6.1,6.2,6.3の磁気極性は、第2アークブロー装置の磁極板6.1,6.2,6.3の磁気極性と一致する。
【0048】
開閉装置1の消弧装置は、ケーシングの反対側に第1消弧装置5.1および第2消弧装置5.2を備えている。第1消弧装置5.1は、第1接点7.1/9.1と関連づけられている。第1接点と関連づけられている第1アークブロー装置の第1チャネル4.1および第2チャネル4.2は、それぞれ、第1消弧装置5.1に連通している。第2消弧装置5.2は、第2接点7.2/9.2と関連づけられている。第2接点と関連づけられている第2アークブロー装置の第1チャネル4.1および第2チャネル4.2は、それぞれ、第2消弧装置5.2に連通している。第3消弧装置5.3が、さらにケーシングの上側に配置されており、第1アークブロー装置および第2アークブロー装置の第1チャネルおよび第2チャネルも第3消弧装置5.3に連通している。消弧能力が、必要に応じて、第3消弧装置によって引き上げられる。ケーシングの、消弧装置の間に配置されている部分は、適切な銅板32によって、アークから保護することができる。3つの消弧装置5.1,5.2,5.3はすべて、それぞれ、互い違いに積み重ねた複数の消弧部材29および30を備えている。消弧部材は、セラミックからなる。接点に対向する端部において、それらは、少なくとも2つの楔形フランクを備えており、
図9に示す第1消弧部材29の楔形フランクは、後続の第2消弧部材30の楔形フランクを補完して、それぞれが2つのチャネル4.1および4.2のうちの一方と関連づけられる2つのV字形溝を形成している。第2消弧部材30が
図10に示されており、形成されるV字形溝が
図11に示されている。電流の流れる方向により、アークは、各アークブロー装置の第1チャネル4.1または第2チャネル4.2のいずれかを通って2つのV字形溝のうちの一方の中にブローされる。
【0049】
第1固定コンタクト7.1は、第1アーク案内板11と関連づけられており、第2固定コンタクト7.2は、第2アーク案内板12と関連づけられている。第1アーク案内板11および第2アーク案内板12は、それぞれの固定コンタクト7.1または7.2とそれぞれ関連付けられている消弧装置5.1または5.2との間を延在している。これらは、それぞれ、各固定コンタクト7.1または7.2を、各関連付けられているターミナルコンタクト8.1または8.2と接続している。第1アーク案内板11および第2アーク案内板12は、それぞれの中央磁極板6.3の下方に配置されており、それらは、それぞれ、幅方向において、第1チャネル4.2を覆うとともに、関連付けられたアークブロー装置の平行な第2チャネル4.2をも覆うように延在している。さらに、第3アーク案内板13および第4アーク案内板14が設けられている。第3アーク案内板13および第4アーク案内板14は、それぞれ、第1可動コンタクト9.1から第2可動コンタクト9.2までアーチ状に延びて、第3アーク案内板13および第4アーク案内板14がコンタクトブリッジ10とともに、それぞれ、略閉ループを形成している。
図6に示すように、第1アークブロー装置および第2アークブロー装置の中央磁極板6.3は、それぞれ、第3アーク案内板13と第4アーク案内板14との間に配置されている。第3アーク案内板13は、
図6の表現において、2つの中央磁極板6.3の背後に配置されており、したがって、この図では、破線で示している。
【0050】
第3アーク案内板13および第4アーク案内板14の端部は、それぞれ、コンタクトブリッジ10が第3および第4アーク案内板に対して移動可能となるよう、コンタクトブリッジ10の端部からわずかに離間配置されている。スイッチアークは、アークが接点から吹き消されるとき、スイッチアークの足がコンタクトブリッジからそれぞれ第3または第4アーク案内板上にかかるようにスパークする。コンタクトブリッジの角部は、好ましくは、耐用寿命を延ばすため、丸めてある。
【0051】
第1アークブロー装置の第1ブロー磁石2.1および第2アークブロー装置の第1ブロー磁石2.1は、第3アーク案内板13およびコンタクトブリッジ10によって形成されるループ内に配置され、第1アークブロー装置の第2ブロー磁石2.2と第2アークブロー装置の第2ブロー磁石2.2とが、第4アーク案内板14およびコンタクトブリッジ10によって形成されるループ内に配置されている。それによって、ブロー磁石が、シンプルな方法で、アークから保護される。セラミック等からなるブロー磁石用保護カバーは必要ない。
【0052】
第1アークブロー装置および第2アークブロー装置の中央磁極板6.3は、電気的に絶縁されるように外装されている。コンタクトブリッジ10は、電気絶縁材料からなるコンタクトキャリア27上に配置されている。
図7に示すように、コンタクトキャリア27は、開閉装置のケーシングの内法を端から端まで第1接点および第2接点の間を横切って延在している。コンタクトキャリアは、アークにより生成されるプラズマに対してラビリンスシール型のバリアが形成されるように、ハウジングの対応する溝の中へ両側で入り込んでいる。個々の高負荷がスイッチされる際に開閉装置の駆動部のヨーク板上に閃光アークが起こったときにアークにより生成されるプラズマのせいで生ずるおそれのある接地事故を防ぐために、ベロー(bellows)28が、さらに、コンタクトキャリア27の下方に配置されている。
【0053】
図5〜8に示す第2実施形態において、接点7.1/9.1および7.2/9.2で発生する2つのスイッチアーク3.1および3.2は、
図8において、電流の流れる方向によって、まず、ともに右側に、または、ともに左側に偏倚させ、それから、個々の消弧装置5.1または5.2内に、そして続いて第3消弧装置5.3にも、ブローされる。したがって、電流の流れる方向によって、スイッチアーク3.1および3.2は、チャネル4.1、または、
図6に示すように、チャネル4.2を経由して、消弧装置内に追い込まれる。