(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加圧系は、前記燃料の消費に伴う前記重心の位置の移動量が低減されるように決定された圧力分布で前記燃料タンクを加圧するように構成される請求項1記載の燃料供給システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係る燃料供給システム、燃料供給方法及び航空機について添付図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
(構成及び機能)
図1は本発明の第1の実施形態に係る燃料供給システムを備えた航空機の構成図である。
【0017】
燃料供給システム1は、航空機2に備えられる装置である。燃料供給システム1は、燃料を蓄えるための燃料タンク3と、燃料を燃料タンク3から排出させる加圧系4とを備えている。
【0018】
燃料タンク3は、航空機2用の可撓性を有するブラダタンクである。ブラダタンクは、航空燃料と接触しても劣化しない合成ゴム等の弾性体で構成される。
図1は、航空機2が小型無人機である場合の例を示している。小型無人機に使用されるブラダタンクは、概ね円筒状の構造を有する胴体の内部に設置される。通常、ブラダタンク内の燃料を使い切ることはなく、必ず燃料が残留する。このため、小型無人機に使用されるブラダタンクは通常交換されず、ブラダタンクに燃料が補充される。
【0019】
もちろん、燃料タンク3を固定翼機等の小型又は大型有人機に搭載してもよい。燃料タンク3を大型機に搭載する場合には、主翼の内部に燃料タンク3を搭載することもできる。
【0020】
加圧系4は、燃料タンク3を外部から加圧することによって、燃料を燃料タンク3から排出させるためのシステムである。特に、加圧系4は、燃料タンク3を搭載する航空機2の機体の重心Gの位置に応じて決定された圧力分布で燃料タンク3を加圧するように構成されている。
【0021】
航空機2の飛行中には、燃料の消費に伴う機体の重心Gの移動を低減させることが重要である。例えば、胴体の内部にブラダタンクを収納した小型無人機の場合であれば、燃料の減少によって重心Gが下方に移動し、機体が傾いてしまう恐れがある。
【0022】
そこで、加圧系4は、燃料の消費に伴う航空機2の機体の重心Gの位置の移動量が低減されるように決定された圧力分布で燃料タンク3を加圧するように構成される。具体的には、航空機2の重心Gの位置から離れた位置では高い圧力で燃料タンク3を加圧する一方、航空機2の重心Gの位置に近い位置では低い圧力で燃料タンク3を加圧するようにすることができる。
【0023】
そうすると、燃料は航空機2の重心Gの位置から離れた部分から減っていくことになる。このため、燃料が減っても、燃料の重心の位置を、できるだけ航空機2の重心Gの位置の近傍に留めておくことができる。その結果、燃料の消費に伴う航空機2の重心Gの位置の移動量を低減させることができる。
【0024】
そのために、加圧系4は、複数の加圧機構5を有する。そして、加圧系4は、複数の加圧機構5を用いて燃料タンク3の異なる部分を異なる圧力で加圧するように構成される。
【0025】
例えば、少なくとも2種類の圧力で燃料タンク3を加圧する場合であれば、燃料タンク3の第1の部分が第1の圧力で加圧機構5により加圧される一方、燃料タンク3の、第1の部分と異なる第2の部分が第1の圧力よりも低い第2の圧力で別の加圧機構5により加圧される。この場合、燃料の消費に伴う航空機2の重心Gの移動量を低減させるためには、航空機2の機体の重心Gの位置から第2の部分よりも離れた位置にある第1の部分を高い第1の圧力で加圧する一方、航空機2の機体の重心Gの位置から第1の部分よりも近い位置にある第2の部分を第1の圧力よりも低い第2の圧力で加圧することが必要である。
【0026】
すなわち、第1の圧力及び第2の圧力を付加する燃料タンク3の第1の部分及び第2の部分は、燃料タンク3を搭載する航空機2の重心Gの位置からの距離に基づいて決定することができる。具体的には、燃料タンク3の第1の部分の重心Gからの距離が燃料タンク3の第2の部分の重心Gからの距離よりも大きくなるように、燃料タンク3の第1の部分及び第2の部分を決定することができる。尚、航空機2の重心Gは、例えば、燃料タンク3に燃料を充填させた状態における重心としても良いし、平均的な量の燃料を燃料タンク3に充填させた状態における重心としても良い。
【0027】
このように、燃料タンク3に、機体の重心Gからの距離に基づいて優先順位が高い部分を決定し、機体の重心Gからの距離が遠い部分ほど、高い圧力で優先的に加圧するように複数の加圧機構5を設計することができる。
【0028】
具体例として、
図1に示すように航空機2が小型無人機であれば、燃料タンク3は、機体の重心Gと重なる胴体内の位置に配置される。このため、加圧系4を、機体の重心Gから離れた燃料タンク3の両側の第1の部分を相対的に高い第1の圧力で加圧する一方、機体の重心Gに近い燃料タンク3の中央の第2の部分を第1の圧力よりも相対的に低い第2の圧力で加圧するように構成することができる。
【0029】
複数の加圧機構5を用いて燃料タンク3の異なる部分を異なる圧力で加圧する場合、燃料タンク3の構造を、複数のサブタンク6を連結した構造とすることができる。この場合、複数の加圧機構5を用いて複数のサブタンク6をそれぞれサブタンク6ごとに決定された圧力で加圧することができる。すなわち、燃料タンク3を複数のサブタンク6に分割すれば、異なる圧力が負荷される燃料タンク3の複数の部分を互いに分離することが可能となる。しかも、各加圧機構5による加圧方向を規制することが容易となる。
【0030】
また、燃料タンク3の構造を、複数のサブタンク6を連結した構造とする場合、燃料の排出口7を、複数のサブタンク6のうちの1つにのみ設けることがエンジン8への燃料の供給系統の構成を簡易にする観点から好適である。特に、ロケット型の小型無人機の場合、エンジン8の数は1つである。このため、燃料タンク3の排出口7の数を1つにすれば、単一の供給管を用いて合流点を設けずに燃料タンク3とエンジン8とを連結することができる。もちろん、航空機2が複数のエンジン8を備える場合であっても、エンジン8ごとに燃料タンク3が搭載される場合であれば、同様に燃料タンク3の排出口7の数を1つにすることによって燃料の配管構造を簡易にすることができる。
【0031】
逆に、サブタンク6ごとに排出口7を設けてもよい。その場合には、複数のサブタンク6に連結される燃料の供給管同士が互いに連結されることになる。また、サブタンク6ごとに排出口7を設ける場合には、サブタンク6同士を連結することが必ずしも必要ではない。
【0032】
図1に示す例では、燃料タンク3が、第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cの3つのサブタンク6を航空機2の進行方向に並べた構造を有している。すなわち、第2のサブタンク6Bが航空機2の重心Gと重なる位置に配置され、第1のサブタンク6A及び第3のサブタンク6Cが第2のサブタンク6Bの両側に配置されている。そして、中央の第2のサブタンク6Bにのみ排出口7が設けられている。燃料は重力によって下方に溜まるため、排出口7は第2のサブタンク6Bの底面に形成されている。
【0033】
第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cは、それぞれケーシング9内に設置することが加圧機構5による各サブタンク6の加圧方向を規制する観点から現実的である。各サブタンク6の形状は任意であるが、航空機2の胴体に各サブタンク6を収納する場合であれば、例えば、胴体の形状に合わせて航空機2の前後方向を長さ方向とする概ね円柱状の形状とすることができる。従って、ケーシング9の形状もサブタンク6にフィットする形状とすることが合理的である。
【0034】
但し、ケーシング9には、加圧機構5でサブタンク6の上面側を加圧するための開口部を設けることが必要である。従って、ケーシング9は、例えば、上面側が開放される一方、下面側が円筒状の一部となった形状を有する剛体で構成することができる。ケーシング9の素材としては、複合材、アルミニウム又は樹脂等の軽くて必要な強度を有する材料を用いることができる。
【0035】
第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cに共通の1つの排出口7を設ける場合、第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cを互いに排出口7に近い下方の位置で連結することが必要である。そこで、ケーシング9に孔又はスリットを設けてサブタンク6同士を連結することができる。
【0036】
ケーシング9にスリットを形成する場合には、スリットを通る平坦な流路でサブタンク6同士を連結することができる。一方、ケーシング9に貫通孔を形成する場合には、
図1に例示されるように、サブタンク6同士を配管10で連結することができる。従って、燃料タンク3は、複数のサブタンク6が繋がった特殊な形状を有するブラダタンクとして製作しても良いし、単純な形状を有する複数のブラダタンクに連結口を形成して配管10で連結することによって製作してもよい。
【0037】
サブタンク6同士を配管10で連結する場合のように、サブタンク6間における流路が狭い場合には、各サブタンク6に燃料の補充口11を設けることが現実的である。但し、サブタンク6間における流路が十分に広く、サブタンク6間における流路を利用して燃料を補充できる場合には、複数のサブタンク6に共通の補充口11を設けるようにしてもよい。燃料の補充口11は、加圧機構5との干渉がないサブタンク6の上方の位置に設けることができる。
【0038】
ケーシング9の開口部からサブタンク6の上面を加圧する加圧機構5には、ばねやゴム等の弾性体12を用いることができる。すなわち、加圧系4は、複数の弾性体12を用いて燃料タンク3の各サブタンク6それぞれを異なる圧力で加圧するように構成することができる。弾性体12の材質は任意であるが、鉛等の毒性を有する物質やマグネシウム等の可燃性を有する物質を弾性体12の素材として使用することは不適切である。
【0039】
図1に示すように、燃料タンク3が重心Gと重なる第2のサブタンク6Bと、両側の第1のサブタンク6A及び第3のサブタンク6Cで構成される場合には、機体の重心Gから離れた第1のサブタンク6A及び第3のサブタンク6Cを相対的に高い第1の圧力で加圧する第1の部分に決定する一方、第2のサブタンク6Bを相対的に低い第2の圧力で加圧する第2の部分に決定することができる。
【0040】
そして、第1のばね定数を有する第1の弾性体12Aを用いて燃料タンク3の第1の部分として決定された第1のサブタンク6A及び第3のサブタンク6Cに対して相対的に高い第1の圧力で加圧することができる。一方、第1のばね定数よりも小さい第2のばね定数を有する第2の弾性体12Bを用いて燃料タンク3の第2の部分として決定された中央の第2のサブタンク6Bに対して第1の圧力よりも低い第2の圧力で加圧することができる。つまり、加圧の優先順位が高い燃料タンク3の部分に対応する弾性体12のばね定数を、加圧の優先順位が低い燃料タンク3の部分に対応する弾性体12のばね定数よりも大きくすることができる。
【0041】
これにより、航空機2の重心Gから離れた第1のサブタンク6A及び第3のサブタンク6Cを、それぞればね定数が相対的に大きい第1の弾性体12Aで先に潰す一方、航空機2の重心Gに近い中央の第2のサブタンク6Bを、ばね定数が相対的に小さい第2の弾性体12Bで最後に潰すことができる。その結果、燃料の消費に伴う燃料タンク3の重心の移動量及び航空機2の重心Gの移動量を低減させることができる。
【0042】
弾性体12が押し当てられる各サブタンク6の上面は、概ね円柱の側面と同様な曲面となっている。このため、
図1に示すように各弾性体12の端部に押当て板13を設け、押当て板13を各サブタンク6の上面に押し当てるようにしてもよい。
【0043】
各弾性体12のばね定数は、実際の試験で経験的に決定することができる。或いは、シミュレーションで各弾性体12のばね定数を決定することもできる。シミュレーションでばね定数を決定する場合には、例えば、ばね定数をパラメータとして航空機2の重心Gの移動量を最小化する最適化計算によって最適なばね定数を求めることができる。最適なばね定数を求めるための最適化計算には、各サブタンク6のサイズ及び形状、各弾性体12と各サブタンク6の接触面積、航空機2の重心Gの移動量の許容範囲、各サブタンク6の連結部分の構造等を用いることができる。
【0044】
以上のような燃料供給システム1は、燃料の消費に伴う航空機2の重心Gの移動量が低減されるように、燃料タンク3の異なる部分を異なる圧力で加圧できるようにしたものである。そのために、燃料タンク3を複数のサブタンク6に分割し、サブタンク6ごとに優先順位を設けて弾性体12で加圧できるようにしたものである。
【0045】
(効果)
このため、燃料供給システム1によれば、燃料の消費に伴う航空機2の重心Gの移動量を低減することができる。また、燃料タンク3を加圧するために弾性体12を用いることによって、加圧用の外気や排気を取り込むシステムを不要にすることができる。その結果、燃料タンク3の構造を簡易にすることができる。更に、燃料タンク3を複数のサブタンク6に分割し、共通の排出口7を設けるようにすれば、サブタンク6ごとに所望の圧力で加圧する一方、燃料タンク3とエンジン8との間における燃料の配管系統を簡素化することができる。
【0046】
(第2の実施形態)
図2は本発明の第2の実施形態に係る燃料供給システムを備えた航空機の構成図である。
【0047】
図2に示された第2の実施形態における燃料供給システム1Aでは、燃料タンク3を加圧するために弾性体12に代わりにエアを用いた点と、燃料タンク3に負荷される圧力分布を調節できるようにした点が第1の実施形態における燃料供給システム1と相違する。第2の実施形態における燃料供給システム1Aの他の構成及び作用については第1の実施形態における燃料供給システム1と実質的に異ならないため同一の構成又は対応する構成については同符号を付して説明を省略する。
【0048】
第2の実施形態における燃料供給システム1Aの加圧系4は、複数の加圧機構5Aに加えて、エア抽気管20及びエアコンプレッサ21を有する。また、燃料供給システム1Aには、必要に応じて圧力調節系22を設けることができる。
【0049】
燃料供給システム1Aの各加圧機構5Aは、加圧容器23、エア供給口24、供給エア制御弁25、エア排出口26及び排出エア制御弁27を有する。各加圧容器23の内部には、サブタンク6が収納される。
【0050】
エア抽気管20は、燃料タンク3を構成する複数のサブタンク6を加圧するためのエアを取り込むための配管である。燃料タンク3を加圧するためのエアとしては、外気の他、エンジン8における燃焼前の圧縮エアが挙げられる。従って、燃料タンク3を加圧するためのエアとして外気を用いる場合には、エア抽気管20の一端が外気を取り込むことが可能な位置に配置される。一方、燃料タンク3を加圧するためのエアとしてエンジン8における燃焼前の圧縮エアを用いる場合には、エア抽気管20の一端が燃焼前の圧縮エアを取り込むことが可能な位置に配置される。
【0051】
エアコンプレッサ21は、エア抽気管20によって抽気されたエアの圧力が燃料タンク3を加圧するために不十分である場合において必要に応じて設けられる。エアコンプレッサ21では、エア抽気管20によって抽気されたエアの圧力が、燃料タンク3を加圧するために必要な圧力まで昇圧される。
【0052】
エアコンプレッサ21の出力側と連結されるエア抽気管20は分岐して各加圧容器23に取付けられたエア供給口24と連結される。各エア供給口24には、供給エア制御弁25が設けられ、加圧容器23内へのエアの流量を制御することができる。一方、各加圧容器23には、エア排出口26が取付けられる。各エア排出口26には、排出エア制御弁27が設けられ、加圧容器23から排出されるエアの流量を制御することができる。
【0053】
このため、各加圧容器23に取付けられた供給エア制御弁25及び排出エア制御弁27の少なくとも一方の開度を調節することによって、エアの流入量と排出量との差によって定まる各加圧容器23内におけるエアの圧力を加圧容器23間で変えることができる。これにより、複数のサブタンク6を所望の圧力で独立して加圧することが可能となる。すなわち、剛体である加圧容器23と可撓性を有するサブタンク6との間における空隙に流入させたエアの圧力を加圧容器23間で変えることによって、複数のサブタンク6を異なる圧力で加圧することができる。
【0054】
図2に示すように、燃料タンク3が重心Gと重なる第2のサブタンク6Bと、両側の第1のサブタンク6A及び第3のサブタンク6Cで構成される場合には、機体の重心Gから離れた第1のサブタンク6A及び第3のサブタンク6Cを相対的に高い第1の圧力で加圧する第1の部分に決定する一方、第2のサブタンク6Bを相対的に低い第2の圧力で加圧する第2の部分に決定することができる。
【0055】
従って、供給エア制御弁25及び排出エア制御弁27の少なくとも一方の開度を調節することによって、第1の量のエアを用いて燃料タンク3の第1の部分として決定された第1のサブタンク6A及び第3のサブタンク6Cに対して相対的に高い第1の圧力で加圧することができる。一方、第1の量よりも少ない第2の量のエアを用いて燃料タンク3の第2の部分として決定された中央の第2のサブタンク6Bに対して第1の圧力よりも低い第2の圧力で加圧することができる。つまり、加圧の優先順位が高い燃料タンク3の部分へのエアの供給量を、加圧の優先順位が低い燃料タンク3の部分へのエアの供給量よりも大きくすることができる。
【0056】
これにより、航空機2の重心Gから離れた第1のサブタンク6A及び第3のサブタンク6Cを、それぞれ相対的に多い第1の量のエアで先に潰す一方、航空機2の重心Gに近い中央の第2のサブタンク6Bを、相対的に少ない第2の量のエアで最後に潰すことができる。その結果、燃料の消費に伴う燃料タンク3の重心の移動量及び航空機2の重心Gの移動量を低減させることができる。
【0057】
複数のサブタンク6をそれぞれ加圧容器23に収納する場合においても、複数のサブタンク6を互いに連結することによって単一の排出口7から燃料をエンジン8に供給することが可能となる。その場合には、加圧容器23に貫通孔又はスリットが設けられ、加圧容器23の貫通孔又はスリットを通る配管10等の流路によって複数のサブタンク6を互いに連結することができる。但し、加圧容器23の貫通孔又はスリットと、複数のサブタンク6を連結する流路との間にエアが漏れるような空隙を形成しないことが、各加圧容器23内における圧力をより高精度に制御する観点から重要である。
【0058】
供給エア制御弁25及び排出エア制御弁27の開度は、航空機2の飛行前に予め調整しておき、飛行中には開度を固定してもよい。但し、航空機2の飛行中において供給エア制御弁25及び排出エア制御弁27の少なくとも一方の開度を可変制御すれば、航空機2の重心Gの移動量を低減させるためにより適切な圧力分布で燃料タンク3を加圧することが可能となる。
【0059】
そこで、供給エア制御弁25及び排出エア制御弁27の少なくとも一方の開度を制御することによって燃料タンク3に負荷される圧力分布を調整する圧力調節系22を設けることができる。圧力調節系22は、供給エア制御弁25及び排出エア制御弁27の少なくとも一方の開度を制御するための制御信号を生成し、生成した制御信号を供給エア制御弁25及び排出エア制御弁27の少なくとも一方に供給するシステムである。制御信号はエア信号又は電気信号として生成することができる。
【0060】
圧力調節系22のうち、電気信号を処理する構成要素は電気回路で構成することができる。特に、デジタル情報の処理を行う構成要素は、コンピュータにプログラムを読込ませた電子回路で構成することができる。一方、圧力調節系22のうち、エア信号を処理する構成要素はエア回路で構成することができる。
【0061】
燃料の消費に伴ってサブタンク6内の燃料の量が減少すると、サブタンク6のサイズが減少する。従って、各加圧容器23内へのエアの供給量と各加圧容器23からのエアの排出量との差が一定である場合には、各加圧容器23におけるエアの圧力が燃料の消費に伴って減少することになる。
【0062】
そこで、燃料の消費に起因する各加圧容器23におけるエアの圧力の低下が抑制されるように、圧力調節系22により、供給エア制御弁25及び排出エア制御弁27の少なくとも一方の開度を制御することができる。更に、サブタンク6のサイズ及びサブタンク6内に残留する燃料の量が変化しても、航空機2の重心Gの移動量を低減させ、かつエンジン8に向けて適切な流量の燃料を供給するために適切な圧力がサブタンク6に負荷されるように、圧力調節系22により、供給エア制御弁25及び排出エア制御弁27の少なくとも一方の開度を制御することもできる。
【0063】
燃料の消費に起因する各加圧容器23におけるエアの圧力の低下を抑制するためには、燃料の消費量が増加するにつれて供給エア制御弁25の開度を徐々に大きくすることによって各加圧容器23内へのエアの供給量を増加させる制御及び燃料の消費量が増加するにつれて排出エア制御弁27の開度を徐々に小さくすることによって各加圧容器23からのエアの排出量を減少させる制御の少なくとも一方を行えばよい。
【0064】
供給エア制御弁25及び排出エア制御弁27の少なくとも一方の開度の制御は、試験やシミュレーションを行うことによって予め作成した制御プログラムによって圧力調節系22により行うことができる。すなわち、供給エア制御弁25及び排出エア制御弁27の少なくとも一方の開度の時間変化を予め決定しておき、開度を時間的に変化させる制御を行うことができる。例えば、航空機2の飛行時間をパラメータとして供給エア制御弁25の開度を徐々に大きくする制御や排出エア制御弁27の開度を徐々に小さくする制御を行うことができる。この場合、制御アルゴリズムが非常に簡易となる。
【0065】
或いは、各加圧容器23内における圧力をより高精度に制御するために、燃料の消費量又は燃料の残量を測定し、測定して得られた燃料の消費量又は燃料の残量に基づいて各加圧容器23内における圧力を制御することもできる。また、各加圧容器23内における圧力を測定し、圧力の測定値を圧力の制御値に近づけるフィードバック制御やフィードフォワード制御を行うこともできる。
【0066】
燃料の消費量又は残量に基づく圧力制御を行う場合には、燃料の消費量又は残量を測定するために必要なセンサが設けられる。また、各加圧容器23内における圧力のフィードバック制御又はフィードフォワード制御を行う場合には、各加圧容器23内における圧力を測定するために必要なセンサが設けられる。
【0067】
図3は、
図2に示す圧力調節系22による圧力の制御方法の一例を説明する図である。
【0068】
図3は、燃料タンク3の各部に燃料の流量計30A、30B、30C及びエアの圧力計31A、31B、31Cを取付け、流量計30A、30B、30C及び圧力計31A、31B、31Cの測定値に基づいて供給エア制御弁25及び排出エア制御弁27の開度を圧力調節系22が制御する場合の例を示している。
【0069】
より具体的には、第1のサブタンク6Aと第2のサブタンク6Bとの間における燃料の流路、第3のサブタンク6Cと第2のサブタンク6Bとの間における燃料の流路及び第2のサブタンク6Bの排出口7からエンジン8に向かう燃料の流路に、それぞれ流量計30A、30B、30Cが取付けられる。従って、第1のサブタンク6Aから排出され、第2のサブタンク6Bに流入する燃料の流量、第3のサブタンク6Cから排出され、第2のサブタンク6Bに流入する燃料の流量及び第2のサブタンク6Bから排出される燃料の流量を計測することができる。
【0070】
更に、第1のサブタンク6Aと加圧容器23との間におけるエアの圧力を測定するための圧力計31A、第2のサブタンク6Bと加圧容器23との間におけるエアの圧力を測定するための圧力計31B及び第3のサブタンク6Cと加圧容器23との間におけるエアの圧力を測定するための圧力計31Cが取付けられる。従って、第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cに負荷されるエアの圧力をそれぞれ計測することができる。
【0071】
各流量計30A、30B、30Cにより計測された燃料の流量の検出値及び各圧力計31A、31B、31Cにより計測された圧力の検出値は、それぞれ検出信号として圧力調節系22に出力される。
【0072】
流量計30A、30B、30Cによって第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cからの燃料の排出量及び第2のサブタンク6Bへの燃料の流入量が計測できれば、第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6C内における燃料の使用量及び残量を求めることができる。このため、圧力調節系22において、第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6C内における燃料の使用量又は残量に基づいて、第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cに負荷するべきエアの圧力の制御値を決定することができる。
【0073】
例えば、燃料の使用量が増加し、燃料の残量が減少する程、第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cに負荷するべきエアの圧力の制御値を増加させることができる。或いは、燃料の使用量及び残量に関わらず、第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cに負荷されるエアの圧力の制御値を一定に設定することもできる。
【0074】
エアの圧力の制御値は、第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cにおける燃料の使用量又は残量を直接パラメータとして設定してもよいし、第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cの燃料の最大容量と残量との差又は比をパラメータとして設定してもよい。
【0075】
一方、圧力調節系22では、各圧力計31A、31B、31Cから第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cに実際に負荷されている圧力の計測値を取得することができる。
【0076】
第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cに負荷されるエアの圧力の制御値が設定され、かつ第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cに負荷されている圧力の計測値が取得されると、第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cをそれぞれ収納する加圧容器23内に供給すべきエアの流量を設定することができる。すなわち、各サブタンク6に負荷されるべきエアの圧力の制御値と、圧力の計測値との差が小さくなるようにエアの供給量を設定することができる。
【0077】
第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cをそれぞれ収納する加圧容器23内に供給すべきエアの流量が設定されると、供給エア制御弁25の開度の制御値及び排出エア制御弁27の開度の制御値を、それぞれ設定することができる。具体的には、ある加圧容器23内における圧力を増加させる場合であれば、対応する供給エア制御弁25の開度が大きくなる一方、排出エア制御弁27の開度が小さくなるように、供給エア制御弁25及び排出エア制御弁27の制御信号を生成することができる。
【0078】
圧力調節系22において生成された各制御信号は、電気信号又はエア信号として供給エア制御弁25及び排出エア制御弁27に出力される。すなわち、圧力調節系22からの制御信号によって供給エア制御弁25の開度及び排出エア制御弁27の開度がそれぞれ制御される。その結果、第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cをそれぞれ収納する加圧容器23内における圧力を、目標値に近づけることができる。例えば、燃料の消費量が増加する程、供給エア制御弁25の開度を大きくする一方、排出エア制御弁27の開度を小さくし、各加圧容器23内における圧力を一定又は増加させることができる。
【0079】
尚、
図3に示す例では、各加圧容器23内における圧力をフィードバック制御又はフィードフォワード制御の対象としたが、第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6C内における燃料の圧力をフィードバック制御又はフィードフォワード制御の対象としてもよい。また、第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6C内における燃料の使用量又は残量の代わりに第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6C内における燃料の圧力に基づいて圧力の制御値を決定するようにしてもよい。その場合には、第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6C内における燃料の圧力を計測するための圧力計が設けられる。
【0080】
このように、第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cに負荷されている圧力、第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6C内における燃料の圧力及び第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6C内における燃料の残量又は使用量の少なくとも1つを直接又は間接的に測定し、測定値に基づいて、圧力調節系22により第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cに負荷される圧力の制御値を可変設定することができる。
【0081】
以上のような第2の実施形態における燃料供給システム1Aによれば、第1の実施形態における燃料供給システム1の効果と同様な効果に加え、航空機2の飛行中に燃料タンク3に負荷される圧力分布を調節することができるという効果が得られる。
【0082】
(変形例)
第1の実施形態においても、弾性体12としてガススプリングを使用すれば、ガススプリングの内圧を調節することによって弾性体12のばね定数を制御することができる。従って、第1の実施形態においても、第2の実施形態と同様な圧力分布の制御が可能である。また、弾性体12として単純なばねを使用する場合であっても、伸縮機構の先端に弾性体12を連結し、伸縮機構の伸縮量を制御するようにすれば、弾性体12のばね定数を可変制御することが可能となる。
【0083】
図4は、複数の弾性体12で第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cで構成される燃料タンク3に圧力を与える場合において、各弾性体12のばね定数を可変制御できるようにした場合の例を示す図である。尚、
図4において
図1に示す構成要素と同一又は対応する構成要素については同符号を付して説明を省略する。
【0084】
図4に示すように、燃料供給システム1Bの加圧系4に備えられる各加圧機構5Bを、伸縮機構40の先端に連結された弾性体12で構成することができる。そして、伸縮機構40の先端に連結された弾性体12で第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cをそれぞれ加圧することができる。
【0085】
伸縮機構40には、シリンダ機構、ボールネジ或いはラックアンドピニオン等を利用した伸縮可能な任意の機構を用いることができる。各伸縮機構40の伸縮量は、圧力調節系22Aによって制御できるように構成されている。各伸縮機構40の伸縮量を変えれば、弾性体12の長さが変化するため、弾性体12のばね定数を可変制御することができる。従って、2種類以上の異なる圧力で第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cを加圧する場合であっても、同一のばね定数を有する弾性体12を使用することができる。
【0086】
具体的には、航空機2の重心Gから離れた第1のサブタンク6A及び第3のサブタンク6Cを、それぞればね定数が相対的に大きくなるように伸縮量を相対的に長くした伸縮機構40の先端に取付けられた第1の弾性体12Aで先に潰す一方、航空機2の重心Gに近い中央の第2のサブタンク6Bを、ばね定数が相対的に小さくなるように伸縮量を相対的に短くした伸縮機構40の先端に取付けられた第2の弾性体12Bで最後に潰すことができる。その結果、燃料の消費に伴う燃料タンク3の重心の移動量及び航空機2の重心Gの移動量を低減させることができる。
【0087】
このように、
図4に示すような構造を有する加圧機構5Bで燃料タンク3を加圧する場合や弾性体12としてガススプリングを使用する場合には、弾性体12の弾性力を測定するためのセンサ等の必要なセンサを設けることによって、航空機2の飛行中に燃料タンク3に負荷される圧力分布を圧力調節系22Aによって調節することができる。
【0088】
すなわち、弾性体12の弾性力又は第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6C内における燃料の圧力をターゲットとするフィードバック制御やフィードフォワード制御を行うことができる。また、弾性体12の弾性力の制御値又は伸縮機構40の伸縮量の制御値を、第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6C内における燃料の圧力、残量又は使用量に基づいて可変設定することができる。
【0089】
これにより、燃料が消費される程、第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cに負荷される圧力を増加させる制御が可能となる。或いは、燃料が消費されても第1のサブタンク6A、第2のサブタンク6B及び第3のサブタンク6Cに負荷される圧力を一定に維持する制御が可能となる。
【0090】
(第3の実施形態)
図5は本発明の第3の実施形態に係る燃料供給システムを備えた航空機の構成図である。
【0091】
図5に示された第3の実施形態における燃料供給システム1Cでは、燃料タンク3を加圧するための弾性体12の配置及び燃料タンク3の構造が第1の実施形態における燃料供給システム1と相違する。第3の実施形態における燃料供給システム1Cの他の構成及び作用については第1の実施形態における燃料供給システム1と実質的に異ならないため同一の構成又は対応する構成については同符号を付して説明を省略する。
【0092】
第3の実施形態における燃料供給システム1Cの加圧系4に備えられる複数の加圧機構5Cは、それぞれ弾性体12で構成される。但し、弾性体12が燃料タンク3に負荷する弾性力の向きが、燃料タンク3が搭載される航空機2の胴体等の構造体の上下方向とは異なる向きとなるように各弾性体12が配置される。すなわち、燃料タンク3に弾性力を負荷する弾性体12の向きを、航空機2の構造体の上下方向に限らず所望の向きにすることができる。従って、弾性体12の向きを、航空機2の機体の重心Gの位置に向かう向きにすることができる。
【0093】
これにより、燃料タンク3内における燃料の消費に伴う航空機2の重心Gの移動量を簡易な構造で低減させることができる。
図5に示す例では、概ね円柱状の燃料タンク3が小型無人機の胴体の内部に搭載されている。このため、加圧系4の構造が、燃料タンク3の両側の端面を2つの弾性体12によって左右から概ね水平方向に加圧する構造となっている。そのため、2つの弾性体12の伸縮方向を規制し、かつ概ね円柱状の燃料タンク3を収納するための円筒状の剛体のケーシング50の内部に2つの弾性体12及び燃料タンク3が配置されている。
【0094】
図5に示す例の場合には、燃料タンク3を必ずしも複数のサブタンク6に分割する必要がない。但し、燃料タンク3が搭載される航空機2の構造体の構造によっては、燃料タンク3を複数のサブタンク6に分割し、サブタンク6ごとに所望の方向から弾性体12で加圧するようにしてもよい。
【0095】
燃料タンク3を複数のサブタンク6に分割するか否かを問わず、燃料タンク3の加圧方向は任意である。例えば、斜め下方に向かって燃料タンク3を加圧するようにしてもよい。すなわち、燃料タンク3が搭載される航空機2の主翼や胴体等の構造体の上下方向と異なる向きで燃料タンク3を加圧することができる。この場合、燃料タンク3を収納するケーシングの底面に垂直でない向きで燃料タンク3が加圧されることになる。
【0096】
もちろん、
図4に示すように伸縮機構40の先端に連結された弾性体12で燃料タンク3を加圧するようにしてもよい。或いは、第2の実施形態のように、エアで燃料タンク3を加圧するようにしてもよい。従って、航空機2の飛行中に燃料タンク3に負荷される圧力分布の可変制御を行うことも可能である。エアで燃料タンク3を所定の向きで加圧する場合には、エアが所定の向きで燃料タンク3に圧力を負荷するように燃料タンク3を収納する加圧容器の構造を設計すればよい。
【0097】
以上の第3の実施形態における燃料供給システム1Cは、加圧系4に備えられる複数の加圧機構5Cによる燃料タンク3の各加圧方向を、それぞれ燃料の消費に伴う航空機2の重心Gの移動量が低減されるように決定したものである。すなわち、加圧系4により、燃料タンク3に負荷される圧力分布を、異なる方向から負荷される複数の一様な圧力分布としたものである。このため、第3の実施形態における燃料供給システム1Cによれば、非常に簡易な構成で燃料の消費に伴う航空機2の重心Gの移動量を低減することができる。
【0098】
(第4の実施形態)
図6は本発明の第4の実施形態に係る燃料供給システムを備えた航空機の構成図である。
【0099】
図6に示された第4の実施形態における燃料供給システム1Dでは、単一の加圧機構5Dで燃料タンク3を加圧するようにした点が第3の実施形態における燃料供給システム1Cと相違する。第4の実施形態における燃料供給システム1Dの他の構成及び作用については第3の実施形態における燃料供給システム1Cと実質的に異ならないため同一の構成又は対応する構成については同符号を付して説明を省略する。
【0100】
加圧系4による燃料タンク3の加圧方向を任意に決定する場合には、
図6に示すように、単一の加圧機構5Dで燃料タンク3を一方向に加圧することもできる。例えば、航空機2の左右の主翼の内部にそれぞれ燃料タンク3が搭載される場合には、航空機2の重心が胴体の内部となる。そのような場合には、各主翼内に搭載された燃料タンク3を、単一の加圧機構5Dで胴体側に向かって加圧することができる。これにより、燃料タンク3内における燃料の消費に伴う航空機2の重心Gの移動量を簡易な構造で低減させることができる。
【0101】
尚、
図6に示す例では、加圧機構5Dとして単純な弾性体12が用いられているが、
図4に示すように伸縮機構40の先端に連結された弾性体12やエアを用いて燃料タンク3を加圧するようにしてもよい。従って、第4の実施形態においても、航空機2の飛行中に燃料タンク3に負荷される圧力分布の可変制御を行うことが可能である。
【0102】
以上のような第4の実施形態における燃料供給システム1Dは、加圧系4に備えられる単一の加圧機構5Dによる燃料タンク3の加圧方向を、燃料の消費に伴う航空機2の重心Gの移動量が低減されるように決定したものである。すなわち、加圧系4により、燃料タンク3に負荷される圧力分布を、一方向から負荷される一様な圧力分布としたものである。このため、第4の実施形態における燃料供給システム1Dによれば、非常に簡易な構成で燃料の消費に伴う航空機2の重心Gの移動量を低減することができる。
【0103】
(他の実施形態)
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
【0104】
例えば、上述した各実施形態では、燃料タンク3を弾性体12又はエアで加圧する場合について説明したが、油圧で燃料タンク3を加圧するようにしてもよい。特に、車輪や翼等の構造体を油圧で駆動させる油圧系を備えた航空機の場合には、当該油圧系で燃料タンク3を加圧することができる。
【0105】
また、各実施形態における特徴を互いに組合わせることもできる。
また、上述した各実施形態では、燃料の消費に伴う航空機2の機体の重心位置の移動量を低減する場合を例に説明したが、飛行中において機体の重心位置を適切な位置に意図的に移動させる制御を行うようにしてもよい。