(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
次のステップA〜Fを含む評価方法で評価して、ギラツキ指数が3.0以下かつバラツキ幅が1.1以下である保護フィルムを、面内が複数の画素で区分された発光体を備えた表示装置に用いることを特徴とする保護フィルムの使用方法:
ステップA:発光体を点灯した状態で撮影手段により保護フィルムを介して発光体を撮影してカラー画像データを得るステップ、
ステップB:ステップAで取得した前記カラー画像データに対しフーリエ変換し、フーリエ変換後のデータから前記画素の配列に相当する周波数成分を除去した後、逆フーリエ変換を施すステップ、
ステップC:ステップBで得た逆フーリエ変換後の画像データの各画素のRBG値の標準偏差値を算出し、その平均値を式1により算出するステップ、
Y=(XR+XG+XB)/3 (式1)
式1中、Yは平均値、XR、XG、XBはそれぞれR値、G値及びB値の標準偏差値を表す。
ステップD:前記発光体に前記保護フィルムを配置しないで前記ステップA〜Cを実行し、式2により、RGB値の標準偏差値の平均値を参照値として算出するステップ、
Yref=(XRref+XGref+XBref)/3 (式2)
式2中、Yrefは参照値、XRref、XGref、XBrefはそれぞれR値、G値及びB値の標準偏差値を表す。
ステップE:ステップCで算出したRBG値の標準偏差値の平均値とステップDで算出した前記参照値とのずれ量を式3により算出し、このずれ量Sをギラツキ指数として算出するステップ、
S=(Y−Yref) (式3)、
および
ステップF:ステップCで算出したRGB値の標準偏差の差を、式4により、バラツキ幅Dとして算出するステップ、
D=Xmax−Xmin (式4)
式4中、XmaxはXR、XG、XBの最大値、XminはXR、XG、XBの最小値を表す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
保護フィルムと発光体との組み合わせによって発生するギラツキは、組み合わせる発光体によって程度が異なるため、特許文献1のように保護フィルムだけを改良してもあらゆる表示装置のギラツキ発生を抑制することはできない。
【0009】
また、特許文献2および3は、ギラツキの有無や程度を評価することを開示しているが、発光体と保護フィルムとの組み合わせにおいて、ギラツキ防止を実現するための具体的な構成は開示していない。また、特許文献2および3に記載された評価方法は、撮像画像から得たデータの輝度値を分析することを基本としている。しかし、輝度値による評価は、高精細化した表示装置では必ずしも目視による結果と一致しない。
【0010】
本発明の目的は、所定のギラツキ評価方法を用いて決定したギラツキ指数およびバラツキ幅を所定の範囲にすることにより、発光体と保護フィルムとを組み合わせた表示装置においてギラツキを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の表示装置は、面内が複数の画素で区分された発光体と、当該発光体の光出射面上に配置される保護フィルムとを備え、次のステップA〜Fを含む評価方法で評価したときのギラツキ指数が3.0以下かつバラツキ幅が1.1以下である:
ステップA:発光体を点灯した状態で撮影手段により保護フィルムを介して発光体を撮影してカラー画像データを得るステップ、
ステップB:ステップAで取得した前記カラー画像データに対しフーリエ変換し、フーリエ変換後のデータから前記画素の配列に相当する周波数成分を除去した後、逆フーリエ変換を施すステップ、
ステップC:ステップBで得たデータの
RGB値の標準偏差値及びその平均値を算出するステップ、
ステップD:前記発光体に前記保護フィルムを配置しないで前記ステップA〜Dを実行し、
RGB値の標準偏差値の平均値を参照値として算出するステップ、
ステップE:ステップCで算出した
RGB値の標準偏差値の平均値とステップDで算出した前記参照値とのずれ量をギラツキ指数として算出するステップ、および
ステップF:ステップCで算出したRGB値の標準偏差の差をバラツキ幅として算出するステップ。
【0012】
また、本発明の表示装置の一つの態様によれば、発光体は、面内を区分する画素の密度が300ピクセル/インチ(PPI)以上である。
【0013】
また、本発明の表示装置の一つの態様によれば、保護フィルムが、マット剤とバインダー樹脂とを含み表面に凹凸を有する凹凸層を備える。
【0014】
また、本発明の表示装置の一つの態様によれば、保護フィルムの凹凸層が、マット剤をバインダー樹脂100重量部に対し0.5〜15重量部含有する。
【0015】
また、本発明の保護フィルムは、面内が複数の画素で区分され、面内を区分する画素の密度が300ピクセル/インチ(PPI)以上の発光体と、当該発光体の光出射面上に配置される保護フィルムとを備えた表示装置に用いられ、次のステップA〜Fを含む評価方法(「ギラツキ評価方法」という)で評価したときのギラツキ指数が3.0以下かつバラツキ幅が1.1以下である:
ステップA:発光体を点灯した状態で撮影手段により保護フィルムを介して発光体を撮影してカラー画像データを得るステップ、
ステップB:ステップAで取得した前記カラー画像データに対しフーリエ変換し、フーリエ変換後のデータから前記画素の配列に相当する周波数成分を除去した後、逆フーリエ変換を施すステップ、
ステップC:ステップBで得たデータの
RGB値の標準偏差値及びその平均値を算出するステップ、
ステップD:前記発光体に前記保護フィルムを配置しないで前記ステップA〜Cを実行し、
RGB値の標準偏差値の平均値を参照値として算出するステップ、
ステップE:ステップCで算出した
RGB値の標準偏差値の平均値とステップDで算出した前記参照値とのずれ量をギラツキ指数として算出するステップ、および
ステップF:ステップCで算出したRGB値の標準偏差の差をバラツキ幅として算出するステップ。
また、本発明の、面内が複数の画素で区分された発光体と保護フィルムとを備えた表示装置を作製する方法は、
前記発光体の光出射面上に前記保護フィルムを配置するステップと、
ギラツキ評価方法を行うステップと、を含み、
前記保護フィルムを配置するステップは、前記保護フィルムとして、前記ギラツキ評価方法のステップで評価したときのギラツキ指数が3.0以下かつバラツキ幅が1.1以下である保護フィルムを用いる。
また、本発明の保護フィルムを使用する方法は、ギラツキ評価方法で評価して、ギラツキ指数が3.0以下かつバラツキ幅が1.1以下である保護フィルムを、面内が複数の画素で区分された発光体を備えた表示装置に用いる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、所定のギラツキ評価方法を用いて決定したギラツキ指数およびバラツキ幅を所定の範囲にすることにより、発光体と保護フィルムとを組み合わせた表示装置においてギラツキを防止する表示装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の表示装置の実施の形態について説明する。
【0019】
本実施形態の表示装置24は、発光体23と、保護フィルム1とを備え、所定のギラツキ評価方法により測定されたギラツキ指数が3.0以下かつバラツキ幅が1.1以下のものである。
【0020】
まず、本実施形態の表示装置の構成について説明する。
【0021】
本実施形態の表示装置24は、基本的に、
図1に示すように、発光体23と保護フィルム1とを備える。表示装置24において、保護フィルム1は、例えば、発光体23の表面に、凹凸層2を表面(表示画面の観察者の観察する側10)にして配置される。
【0022】
表示装置の他の実施形態の例として、
図2から
図5に示すように、表示装置24は、表面部材22を含んで構成することができ、保護フィルム1は表面部材22に設けられる。
【0023】
表面部材22としては、例えば、保護板22a、タッチパネル22b、偏光板22c、およびこれらの2以上の組み合わせが挙げられる。本実施形態では、これら表面部材22(22a,22b,22c)の少なくとも一部に、保護フィルム1を含む。
【0024】
保護板22aは、例えばアクリル樹脂板に代表される透明樹脂板などで構成することができる。保護板22aの厚みは、通常0.1〜2.0mm程度である。
【0025】
タッチパネル22bの方式は特に限定されず、例えば、抵抗膜式タッチパネル、静電容量式タッチパネルなどで構成することができる。
【0026】
例えば、表面部材22が保護板22a、タッチパネル22b、または偏光
板22cの場合、
図2に示すように、発光体23の光出射面上であり、表面部材22(22a、22b、22c)の表面側に、保護フィルム1を積層することにより表示装置24を構成してもよい。
【0027】
また、
図3に示すように、例えば、表面部材22が保護板22aまたはタッチパネル22bの場合、表面部材22(22a、22b)の背面側に、保護フィルム1を積層することにより表示装置24を構成することもできる。この場合、保護フィルム1の凹凸層2が発光体23に対面するように保護フィルム1は配置される。
【0028】
また、
図4に示すように、保護フィルム1の厚みを大きくできる場合、保護フィルム1自体を、保護板22aとして、発光体23上に設けることにより表示装置24aを構成してもよい。
【0029】
また、
図5に示すように、保護フィルム1自体を、タッチパネル22bの最表面、中間(不図示)、最背面(不図示)の部材として用いることにより表示装置24bを構成してもよい。
【0030】
発光体23は、ドットマトリクス表示方式の画面構成を備えるものであり、縦横に多数並べた画素により画像を表示する機能を有し、このような発光体23としては、例えば、液晶表示装置、プラズマ表示装置、EL表示装置、ブラウン管表示装置、およびLED表示装置があげられる。
【0031】
図6に発光体23の一例として液晶表示装置の構造を示す。発光体23は、例えば、LCDパネル84において、Xドライバ(データドライバ)81からの配線とYドライバ(アドレスドライバ)82からの配線とを用いて、格子状に形成された複数の画素85(ピクセル:Pixel)を有する。画素ピッチ83の大きさにより精細度(PPI(pixels per inch))が決定される。
高精細化が進むと、ギラツキ発生が顕著なため、PPIの低い発光体23より、高精細化により高いPPIを有する発光体23はギラツキ問題が深刻である。そのため、本発明は、高いPPIを有する発光体を使用した表示装置に好適に適用される。具体的には100PPI以上、200PPI以上、250PPI以上、300PPI以上、または325PPI以上の画素を有する発光体23を対象とする。
【0032】
次に、表示装置24に用いる本実施形態の保護フィルム1の概要を説明する。
保護フィルム1は、ギラツキ防止機能を有するものであり、さらに、保護フィルム1の配置によっては、防眩機能またはニュートンリング防止機能を含むことができる。
【0033】
図7の(a)から(c)に示すように、保護フィルム1は、凹凸層2を含む。凹凸層2は、支持体5上の一方の面に積層されてもよく(
図7(a))、支持体5の両面に積層されてもよく(
図7(b))、凹凸層2単層(
図7の(c))でもよい。
また、支持体5上の一方の面に凹凸層2が積層される場合(
図7(a))は、支持体5の凹凸層2とは反対の面に、バックコート層、帯電防止層、または粘着層(不図示)を設けてもよい。あるいは、凹凸層2単層(
図7の(c))の凹凸面とは反対の面にバックコート層、帯電防止層、または粘着層(不図示)を設けてもよい。凹凸層2は、バインダー樹脂4とマット剤3から形成される。あるいはサンドブラスト方式、エンボス加工方式、型を用いた賦形方式、エッチング方式などの粗面化方式で形成される。詳細は後述する。
【0034】
次に、上記構成の表示装置のギラツキ指数およびバラツキ幅を決定するためのギラツキ評価方法を
図8を参照して説明する。ギラツキ評価方法は、主に、発光体23を点灯した状態で撮影手段により保護フィルム1を介して発光体23を撮影してカラー画像データを得るステップA(
図8のS1)と、ステップAで取得したカラー画像データに対しフーリエ変換し、フーリエ変換後のデータから画素の配列に相当する周波数成分を除去した後、逆フーリエ変換を施すステップB(
図8のS2)と、ステップBで得たデータの
RGB値の標準偏差値及びその平均値を算出するステップC(
図8のS3)と、発光体23に保護フィルム1を配置しないでステップAからステップCを実行し、
RGB値の標準偏差値の平均値を参照値として算出するステップD(
図8のS4)と、ステップCで算出した
RGB値の標準偏差値の平均値とステップDで算出した上記参照値とのずれ量をギラツキ指数として算出するステップE(
図8のS5)と、ステップCで算出したRGB値の標準偏差の差をバラツキ幅として算出するステップF(
図8のS6)とを含む。
【0035】
このようなギラツキ評価方法は、例えば、
図9に示すギラツキ評価装置60を用いて測定することができる。ギラツキ評価装置60は、主に、表示装置24に表示される画像をカラー撮像する撮影手段61と、撮像して得られたカラー画像を処理してギラツキ指数等を算出する画像データ処理手段63とを備える。必要に応じて、ギラツキ評価装置は、画像データ処理手段63により処理された画像を表示する画像表示手段64をさらに備えることができる。
【0036】
さらに、ステップAからステップFについて詳しく述べる。
【0037】
(ステップA)
図9に示すように、撮影手段61の下部には、発光体23の発光面の垂直位置で撮影できるように表示装置24が静置される。下記に説明するRGBの標準偏差の平均値の参照値(Y
ref)を取得する以外は、表示装置24は、凹凸層2を表面(撮影手段61側)にして発光体23の光出射面上に保護フィルム1が配置されている。
【0038】
保護フィルム1を有する表示装置24において、発光体23の光源(図示せず)から均一な単一色を生じさせる。例えば、光源の光量を最大として、表示色を16進数表示で“#FFFFFF”と設定し、白色表示を行うことができる。続いて、光源からの単一色によって発光体23が表示する画像を撮影手段61で、保護フィルム1を介してカラー撮影し、カラー画像データを取得していく。なお、その際、撮影手段61の解像度が、発光体23の解像度より細かいことが好ましい。
【0039】
(ステップB)
次に、画像データ処理手段63は、撮影手段61が取得したカラー画像データから任意の測色領域を取り出す。測色領域として、例えば、500ピクセル×500ピクセルの測色領域を取り出すことができる。取り出した領域に対して、画像データ処理手段63により、2次元フーリエ変換処理を行う。この処理によって、2次元のフーリエスペクトルを得ることができる。続いて、画像データ処理手段63は、得られたそれぞれの2次元のフーリエスペクトルから発光体23に表示される画像の画素により生じる規則的な周期成分である高周波成分を除去する。
【0040】
このような処理を行うことで、2次元のフーリエスペクトルから、画素同士の隙間や配線から生じる特定のパターン(格子状パターン等)を取り除くことができる。また、従来のように輝線のある周波数のみを除去するギラツキ評価方法に比べて、高精度な評価が行える。
【0041】
その後、画像データ処理手段63は、高周波成分が除去された2次元のフーリエスペクトルに対し、逆フーリエ変換処理を行う。このような処理を行うことで、評価に余分な特定のパターンが取り除かれた状態の画像を取得できる。
【0042】
(ステップC)
続いて、本実施形態では、逆フーリエ変換処理により得られた画像データに対し、画像データ処理手段63においてデータ処理を行う。このデータ処理は、ギラツキ評価値の算出を行うデータ処理である。
【0043】
データ処理の流れとしては、まず、逆フーリエ変換処理した画像データから、各画素(ピクセル)のR値、G値、B値、およびR値の標準偏差、G値の標準偏差、B値の標準偏差を算出する。
次に、算出されたRGB標準偏差の値からRGBの標準偏差値の平均値を算出する。各RGBの標準偏差値をX
R、X
G、X
Bとすると、RGBの標準偏差値の平均値(Y)は以下の式を用いて算出できる。
[数1]
Y=(X
R+X
G+X
B)/3 (式1)
【0044】
(ステップD)
保護フィルム1が発光体23の光出射面上に配置されていない表示装置24において、上記ステップAからステップCを実行し、各画素(ピクセル)のR値、G値、B値、およびR値の標準偏差、G値の標準偏差、B値の標準偏差を算出する。算出されたRGB標準偏差の値からRGBの標準偏差値の平均値を参照値として算出する。各RGBの標準偏差値をX
Rref、X
Gref、X
Brefとすると、RGBの標準偏差値の平均値である参照値(Y
ref)は次のとおりである。
[数2]
Y
ref=(X
Rref+X
Gref+X
Bref)/3 (式2)
【0045】
(ステップE)
ステップCで算出したRGBの標準偏差値の平均値(Y)とステップDで算出したRGBの標準偏差値の平均値の参照値(Y
ref)とのずれ量をギラツキ指数(S)として算出する。例えば、ギラツキ指数(S)は、次の式に示すようにYとY
refとの差を算出することにより得られる。
[数3]
S=Y―Y
ref (式3)
【0046】
ギラツキ指数(S)は、保護フィルム1が無い表示装置24と保護フィルム1を有する表示装置24と比較して、RGB各画素の発光のバラツキ具合がどの程度一致しているかを示す指標となる。
したがって、保護フィルム1を有する表示装置24のY値と保護フィルム1を除いた表示装置24のY
ref値との差分の値が大きいほどギラツキ度合いが大きく、小さいほどギラツキ度合いが小さいという評価値となる。
【0047】
本実施形態の表示装置24は、上述したギラツキ評価方法により測定されたギラツキ指数が、3.0以下、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下である。ギラツキ指数を3.0以下にすることにより、多様なPPIを有する発光体23を用いた表示装置24でもギラツキを防ぐことができる。
【0048】
(ステップF)
次に、ステップCから算出されたRGB値の標準偏差を用いてRGB値の標準偏差の差をバラツキ幅(D)として算出する。バラツキ幅は、同一面内においてRGB各画素の発光のばらつき具合を示す指標であるため、バラツキ幅を決定することにより、ギラツキ評価の精度をあげることができる。
具体的には、ステップCにおいて算出されたRGB値の各標準偏差X
R、X
G、X
Bのうち最大値をX
max、最小値をX
minとする場合、最大値(X
max)と最小値(X
min)との差分をバラツキ幅(D)として算出する。例えば、バラツキ幅(D)は次の式を用いて算出することができる。
[数4]
D=X
max−X
min (式4)
【0049】
本実施形態の表示装置24は、バラツキ幅(D)が1.1以下、好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.5以下である。1.1以下にすることにより、目視でのギラツキ評価と比較して、ギラツキ評価の精度をあげることができる。
【0050】
上述した評価方法では、色を表す指標として、RGB表色系を用いて説明したが、XYZ表色系を用いても良い。
【0051】
なお、評価装置60が画像表示手段64を備える場合(
図9参照)、ステップBで取得した画像を出力先の画像表示手段64に表示することにより、画像表示手段64上で、目視により色度・輝度のばらつきを確認することができる。
【0052】
上述した、ギラツキ防止効果などを得るための保護フィルム1の具体的な構成を説明する。保護フィルム1の主な構成要素である凹凸層2は、バインダー樹脂4とマット剤3を含む(
図7参照)。バインダー樹脂4としては、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等があげられる。
【0053】
なお、凹凸層2は、硬化性組成物(硬化性樹脂前駆体)の硬化物で構成されており、マット剤3に起因した凸部を表面に複数個備える。ここで、硬化物とは、硬化主剤としての硬化型樹脂とともに、該硬化型樹脂の硬化に必要な、重合開始剤や、重合促進剤(紫外線増感剤など)、硬化剤などの硬化助剤をも含む概念で用いる。
【0054】
電離放射線硬化型樹脂としては、電離放射線(紫外線若しくは電子線)の照射により架橋硬化するものが用いられる。このようなものとしては、光カチオン重合可能な光カチオン重合性樹脂、光ラジカル重合可能な光重合性プレポリマー若しくは光重合性モノマーなどの1種又は2種以上を混合したものを使用することができる。
【0055】
光カチオン重合性樹脂としては、ビスフェノール系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂やビニルエーテル系樹脂などが挙げられる。
【0056】
光重合性プレポリマーとしては、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有し、架橋硬化することにより3次元網目構造となるアクリル系プレポリマーが特に好ましく使用される。このアクリル系プレポリマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート、ポリフルオロアルキルアクリレート、シリコーンアクリレート等が使用できる。さらにこれらのアクリル系プレポリマーは単独でも使用可能であるが、架橋硬化性を向上させ機能層の硬度をより向上させるために、光重合性モノマーを加えることが好ましい。
【0057】
光重合性モノマーとしては、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート等の単官能アクリルモノマー、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート等の2官能アクリルモノマー、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の多官能アクリルモノマー等の1種若しくは2種以上が使用される。
【0058】
電離放射線硬化型樹脂は、上述した光カチオン重合性樹脂、光重合性プレポリマー若しくは光重合性モノマーの他、紫外線照射によって硬化させる場合には、光重合開始剤や紫外線増感剤などの硬化助剤を含有させることが好ましい。光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類などの光ラジカル重合開始剤や、オニウム塩類、スルホン酸エステル、有機金属錯体などの光カチオン重合開始剤が挙げられる。紫外線増感剤としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィンなどが挙げられる。
【0059】
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合障害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどが挙げられる。
【0060】
また、電離放射線硬化型樹脂として、電離放射線硬化型有機無機ハイブリッド樹脂を用いてもよい。電離放射線硬化型有機無機ハイブリッド樹脂(以下単に「有機無機ハイブリッド樹脂」と略記することもある。)とは、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)で代表される昔からの複合体と異なり、有機物と無機物の混ざり方が緊密であり、また分散状態が分子レベルかそれに近いもので、電離放射線の照射により、無機成分と有機成分とが反応して、被膜を形成することができるものである。
【0061】
有機無機ハイブリッド樹脂中の無機成分としては、シリカ、チタニア等の金属酸化物が挙げられるが、好ましくはシリカである。シリカとしては、表面に光重合反応性を有する感光性基が導入された反応性シリカが挙げられる。有機無機ハイブリッド樹脂中での無機成分の含有率は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%であって、好ましくは65重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
【0062】
有機無機ハイブリッド樹脂中の有機成分としては、前記無機成分(好ましくは反応性シリカ)と重合可能な重合性不飽和基を有する化合物(例えば、分子中に2個以上の重合性不飽和基を有する多価不飽和有機化合物、または分子中に1個の重合性不飽和基を有する単価不飽和有機化合物等)が挙げられる。
【0063】
熱硬化性樹脂としては、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、フラン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、グアナミン系樹脂、ケトン系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。これらは単独でも使用可能であるが、架橋性、架橋硬化塗膜の硬度をより向上させるためには、硬化剤を加えることが望ましい。
【0064】
硬化剤としては、ポリイソシアネート、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、カルボン酸などの化合物を、適合する樹脂に合わせて適宜使用することができる。
【0065】
熱可塑性樹脂としては、ABS樹脂、ノルボルネン樹脂、シリコーン系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、スルフォン系樹脂、イミド系樹脂、フッ素系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ナイロン系樹脂、ゴム系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0066】
なお、バインダー樹脂4として、電離放射線硬化型樹脂、熱硬化性樹脂、および熱可塑性樹脂から選択される一以上の樹脂を用いることもできる。電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮を和らげる観点から、バインダー樹脂4として、電離放射線硬化型樹脂とその他の樹脂とを組み合わせた複合樹脂が好ましい。
【0067】
本実施形態では、バインダー樹脂4として、電離放射線硬化型樹脂と熱可塑性樹脂とを組み合わせた複合樹脂が好ましい。その場合、電離放射線硬化型樹脂の含有量は、60重量%以上、好ましくは70%重量以上、より好ましくは80%重量以上である。電離放射線硬化型樹脂が多いほうが、耐擦傷性が良好になる。また、熱可塑性樹脂を混合することにより、電離放射線硬化型樹脂のみの場合と比べて、ギラツキを抑制することができる。
【0068】
マット剤3としては、無機粒子(例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、シリカ、カオリン、クレー、タルクなど)や、樹脂粒子(例えば、アクリル樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、エポキシ樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子など)が挙げられる。中でも、取扱い性や、表面形状の制御のしやすさの観点から、球形の微粒子が好ましい。また、樹脂粒子は、樹脂分と屈折率差を近づけやすく、スパークルの発生を防止しやすいとともに、透明性を阻害しづらい点で好適である。
【0069】
マット剤3の平均粒子径は、発光体23との関係によってまたは凹凸層2の厚みによって異なるため一概にはいえないが、0.5μm以上、好ましくは0.8μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは2μm以上であって、8μm以下、好ましくは6μm以下、より好ましくは4μm以下とする。マット剤3の平均粒子径を8μm以下とすることによりスパークルの誘発を防止しやすくでき、平均粒子径を0.5μm以上とすることにより防眩性やニュートンリング防止性を発現させやすくできる。
また、マット剤3の粒子径が小さくなると、発光体23のPPIが大きくなった場合にギラツキが発生しにくい傾向にあるため、マット剤3の平均粒子径は小さいほうがよく、平均粒子径を4μm以下にすることが好ましい。
【0070】
マット剤3は、平均粒子径が異なる複数のマット剤の組み合わせで構成することができる。平均粒子径が異なるマット剤を含める場合は、例えば、平均粒子径は、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは15nm以上であって、好ましくは500nm未満、より好ましくは300nm以下、さらに好ましくは200nm以下とする。平均粒子径が異なる複数のマット剤を組み合わせて用いることにより、スパークルの発現を抑制しやすい。
【0071】
マット剤3の含有量は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.5重量部以上、好ましくは1.0重量部以上、より好ましくは2.0重量部以上であって、15重量部以下、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5.0重量部以下、さらに好ましくは4.0重量部以下とする。樹脂分100重量部に対する含有量を15重量部以下とすることによりスパークルの誘発を防止しやすくでき、含有量を0.5重量部以上とすることにより防眩性やニュートンリング防止性を発現させやすくできる。なお、2種(第1のマット剤、第2のマット剤)を組み合わせて用いる場合、全マット剤中での、第1のマット剤と第2のマット剤の重量比率は、100:0〜20:80であることが好ましい。
【0072】
なお、本例におけるマット剤の「平均粒子径」及び「粒子径分布の変動係数」は、コールターカウンター法によって測定した値である。コールターカウンター法とは、溶液中に分散しているマット剤粒子の数及び大きさを、電気的に測定する方法であって、粒子を電解液中に分散させ、吸引力を使って電気が流れている細孔に粒子を通過させる際に、粒子の体積分だけ電解液が置換され、抵抗が増加し、粒子の体積に比例した電圧パルスを測定する方法である。従って、この電圧パルスの高さと数とを電気的に測定することにより、粒子数と個々の粒子体積を測定して、粒子径及び粒子径分布を求めるものである。
【0073】
硬化性組成物中には、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの添加剤を添加してもよい。
【0074】
支持体5を設ける場合には、支持体5としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、アクリルなどの材質で形成された透明フィルムが挙げられる。これらの中でも、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエチレンテレフタレートフィルムが、機械的強度や寸法安定性に優れる点で好ましい。また、支持体5の表面にコロナ放電処理を施したり、易接着層を設けることによって光学機能層12との接着性を向上させたものも好適に用いられる。支持体5の厚みとしては、発光体23の関係によって異なるが、一般には12〜250μmであり、好ましくは25〜200μmである。この場合、凹凸層2を形成する塗膜の厚みは、1〜20μm、好ましくは2〜10μmである。
【0075】
上述した実施形態では、凹凸層2の凹凸を形成する方法を粒子含有樹脂のコート方式として説明したが、これに限定されず、例えば、サンドブラスト方式、エンボス加工方式、型を用いた賦形方式や、エッチング方式などの粗面化方式などが挙げられる。
本実施形態では、凹凸層2は、上述した本実施形態の硬化性組成物を、支持体5上に塗布、乾燥、電離放射線照射することにより硬化させ、これにより形成することができる。
【0076】
保護フィルム1の全光線透過率(JIS K7361−1:1997)は、85%以上が好ましく、より好ましくは88%以上である。全光線透過率を85%以上にすることにより、画像の視認性低下を防ぐことができる。
保護フィルム1のへーズ(JIS K7136:2000)は、ギラツキおよび映り込み防止を考慮するとヘーズは大きいほうが好ましいが、保護フィルム1の用途との関係により透明度が必要である場合には、30%以下、好ましくは20%以下である。ヘーズを30%以下にすることにより、画像の視認性低下を防ぐことができる。
【0077】
保護フィルム1の凹凸層2の算術平均粗さRa(JIS B0601:2001)は、0.03μm以上、好ましくは、0.05μm以上であって、0.30μm以下、好ましくは、0.25μm以下である。Raを0.03μm以上とすることによりブロッキングやニュートンリングを防止することができる。0.30μm以下にすることにより、ギラツキを防止することができる。
【0078】
このような保護フィルム1は発光体23を備えた表示装置24に使用することができる。すなわち、本実施形態の保護フィルム1の使用方法は、上述したステップA〜Fを含む評価方法で評価して、ギラツキ指数が3.0以下かつバラツキ幅が1.1以下である保護フィルムを、面内が複数の画素で区分された発光体を備えた表示装置24に用いる。
つまり、保護フィルム1を使用して、面内が複数の画素で区分された発光体23と、保護フィルム1とを備えた表示装置24を作製できる。
上述した実施形態により、任意のPPIを有する発光体23と保護フィルム1との組み合わせにおいて、ギラツキを防止した表示装置を提供できる。
また、上述した実施形態のギラツキ評価方法を用いることにより定量的にギラツキを評価できるため、観察者の視力や感性に影響されない客観的な評価に基づくギラツキ防止効果を有する表示装置を提供できる。
【実施例】
【0079】
以下、本発明の実施形態をより具体化した実験例を挙げ、さらに詳細に説明する。なお、本実験例において「部」、「%」は、特に示さない限り重量基準である。
【0080】
1.保護フィルム
<保護フィルム1および2>
厚み125μmの透明ポリエステルフィルム(コスモシャインA4350:東洋紡績社)の両方の面に、下記処方の保護フィルム1または2の凹凸層用塗布液を塗布、乾燥、紫外線照射し、厚み3μmの凹凸層を形成し、保護フィルム1および2を得た。
【0081】
<保護フィルム3>
保護フィルムとしてKIMOTO社製KBフィルムG50(基材厚み125μm)を用いた。
【0082】
<保護フィルム4>
保護フィルムとしてKIMOTO社製KBフィルムG90VC(基材厚み125μm)を用いた。
【0083】
<保護フィルム5および6>
厚み125μmの透明ポリエステルフィルム(コスモシャインA4350:東洋紡績社)の一方の面に、下記処方の保護フィルム5または6の凹凸層用塗布液を塗布、乾燥、紫外線照射し、厚み3μmの凹凸層を形成し、保護フィルム5および6を得た。
【0084】
<保護フィルム7>
透明ポリエステルフィルムの両方の面に保護フィルム6の凹凸層用塗布液を塗布した以外は保護フィルム6と同様の方法で作成した。
【0085】
保護フィルムの処方
保護フィルム1、2、5、6の凹凸層用塗布液の処方を次の表に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
保護フィルム1、2、5、6の凹凸層用塗布液に使用した材料の入手先を次に示す。
【0088】
【表2】
【0089】
2.表示装置の作製
保護フィルム1から7を163PPIの発光体(光源LED)の表示画面の上面(発光体の光出射面上)に配置して表示装置とした(実験例1から7)。保護フィルムは凹凸層が表面になるように配置した。なお、後述する参照値(Y
ref)を取得するために、保護フィルム1〜7を取り除いた表示装置(発光体)を用意した。326PPIの発光体(光源LED)についても同様に表示装置を作製した(実験例10から16)。また、264PPIの発光体(光源LED)についても、保護フィルムとして保護フィルム4および7を用いた以外は同様に表示装置を作製した(実験例8および9)。
【0090】
3.ギラツキ指数およびバラツキ幅の測定
上記に説明した保護フィルムを有する表示装置を静置し、表示装置(発光体)内部に設けられている光源を、光量を最大として、表示色を16進数表示で“#FFFFFF”と設定し、白色表示させた。
表示装置の発光面と垂直な位置になるように、表示装置の上部からギラツキ評価装置(池上通信機(株)、カメラ:RTC−21、画素数:QXGA(2048*1536画素)、レンズ:FUJIFILM TF25−DA(25mm))を用いて、保護フィルムを介して表示された画像をカラー撮影した。撮影測定は暗室下で行った。
【0091】
撮影して取得した画像から、500ピクセル×500ピクセルの領域を取り出し、フーリエ変換および逆フーリエ変換処理を行った。処理した画像から各ピクセルのR値、G値、B値、およびR値、G値、B値の標準偏差(X
R、X
G、X
B)を算出した。
上述した式1を用いて、算出したR値、G値、B値の標準偏差(X
R、X
G、X
B)からそれらの平均値(Y)を算出した。
【0092】
また、保護フィルムを取り除いた表示装置についても、上記に説明したように撮影し、測色領域(500ピクセル×500ピクセル)を取り出し、フーリエ変換等の処理を行った。処理した画像から各ピクセルのR値、G値、B値、およびR値、G値、B値の標準偏差(X
R、X
G、X
B)を算出した。上述した式2を用いて、保護フィルムを取り除いた表示装置のR値、G値、B値の標準偏差の平均値である参照値(Y
ref)を算出した。
【0093】
次に、上述した式3を用いて、YとY
refとの差をギラツキ指数(S)として算出した。
【0094】
さらに、保護フィルムを有する表示装置について算出されたX
R、X
G、X
Bのうち最大値のものから最小値のものを減算することにより(上述した式4参照)、RGB値の標準偏差の差をバラツキ幅(D)として算出した。
【0095】
<測定条件>
・測定距離:測定面からカメラレンズまでの位置が30cm
・測定角度:発光面に対して垂直
【0096】
4.目視によるギラツキの評価
上述したギラツキ指数およびバラツキ幅の測定に用いた表示装置の表示画面の全面をグリーン表示にした上で、目視で液晶表示画面の観察を行った。その結果スパークルが僅かに視認できるが支障がなかったものを「○」、スパークルをはっきりと視認でき支障があったものを「×」とした。
【0097】
5.結果
【0098】
【表3】
【0099】
【表4】
【0100】
【表5】
【0101】
5.総評
表3から5に示す結果からわかるように、ギラツキ指数3.23未満かつバラツキ幅1.15未満の表示装置は目視評価で「○」であった。
したがって、ギラツキ指数を3.0以下かつバラツキ幅を1.1以下となる保護フィルムを用いることにより、任意のPPIを有する表示装置であってもギラツキ防止性に優れた表示装置が提供されることがわかった。
また、実験例1から4と実験例10から13との結果を比較してわかるように、保護フィルム1から4は、163PPIの表示装置では目視評価が「○」であったが、326PPIの表示装置では「×」であった。この結果は、特定のPPIの表示装置でギラツキが防止できても、高精細化が進んだ、高いPPIの表示装置ではギラツキが抑えられないことを示した。したがって、ギラツキ評価は保護フィルムと発光体とを組み合わせて評価することが重要であることがわかった。