特許第6706114号(P6706114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706114
(24)【登録日】2020年5月19日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
   F24C3/12 G
   F24C3/12 V
   F24C3/12 S
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-61897(P2016-61897)
(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公開番号】特開2017-172925(P2017-172925A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】都合 修
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−135016(JP,U)
【文献】 特開2007−287465(JP,A)
【文献】 特開平09−096445(JP,A)
【文献】 特開2012−007765(JP,A)
【文献】 特開2000−088242(JP,A)
【文献】 特開2015−207464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を入れた調理容器を加熱する加熱手段と、前記調理容器の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段の検出温度が予め設定された目標温度となるように前記加熱手段の加熱量を増減させる加熱制御手段とを備え、
前記加熱手段は、最小加熱量から最大加熱量までの加熱量範囲を複数段に分割した各加熱量レベル毎に加熱量を調節することが可能とされ、
前記加熱制御手段は、前記目標温度に基づいて各加熱量レベル毎に対応する温度範囲を設定し、前記温度検出手段の検出温度が現在の加熱量レベルに対応する温度範囲の上限値を超えたとき加熱量レベルを小さくし、前記温度検出手段の検出温度が現在の加熱量レベルに対応する温度範囲の下限値を下回ったとき加熱量レベルを大きくする加熱調理器であって、
使用者の操作により加熱量レベルの設定が可能となる操作摘みと、該操作摘みの操作量に対応して各加熱量レベルを示す複数のポジション表示部と、各ポジション表示部に設けられて複数色の光を選択的に発光可能な発光素子と、各発光素子の発光を制御する発光素子制御手段とを備え、
前記ポジション表示部の数は、前記加熱量レベルの数より少なく、前記ポジション表示部が1つにつき複数の加熱量レベルを示すように構成され、
前記発光素子制御手段は、使用者が操作により設定した加熱量レベルを示すポジション表示部の発光素子を点灯と点滅とを選択的に用いて発光状態とし、前記加熱制御手段により加熱量レベルが変更されたときには、使用者が設定した加熱量レベルを示すポジション表示部の発光素子の前記発光状態を維持して、前記加熱制御手段が変更した加熱量レベルを示すポジション表示部の発光素子を、使用者が設定した加熱量レベルを示すポジション表示部の発光素子と異なる色で発光させることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記各加熱量レベルの前記温度範囲は、互いに隣接する加熱量レベル間で一部が重なり合っていることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱手段による調理容器の加熱量を調理容器の温度に応じて自動的に調節する機能を有する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の加熱調理器として、コンロバーナを加熱手段として備えるガスコンロ、誘導加熱(IH)部を加熱手段として備える電磁調理器、或いは、ニクロム線ヒータを加熱手段として備える電気コンロ等が挙げられる。
【0003】
そして、例えば、ガスコンロにおいては、コンロバーナ(加熱手段)によって加熱された鍋等の調理容器の底部の温度を検出する鍋底温度センサ(温度検出手段)を備え、鍋底温度センサの検出温度に応じて、コンロバーナの火力(加熱量)を弱火と強火の2段で切り替え調節することにより、調理容器の加熱温度を所定の温度範囲に維持しようとするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、加熱量を大小2段で切り替え調節しても、内部に被加熱物を収容した調理容器の温度(鍋底温度センサの検出温度)を所定の温度範囲に維持することは困難であり、目標温度に対する調理容器の温度の変動幅が大きくなる不都合があった。
【0005】
そこで、加熱手段においては、最小加熱量から最大加熱量までの加熱量範囲を複数段に分割した各加熱量レベル毎に加熱量を調節することを可能とする。そして、加熱手段を制御するとき、検出温度が上昇している場合に、検出温度と目標温度との温度差の減少に応じて加熱量レベルを複数段小さくし、検出温度が下降している場合は、検出温度と目標温度との温度差の増加に応じて加熱量レベルを複数段大きくすることが考えられる。
【0006】
これによれば、調理容器の温度上昇により検出温度が目標温度に近づくときには、検出温度と目標温度との差が小さくなるに従い加熱量レベルを複数段小さくして所謂オーバーシュートを最小限に抑えることができ、調理容器の温度低下により検出温度が目標温度から遠くなるときには、検出温度と目標温度との差が大きくなるに従い加熱量レベルを複数段大きくして所謂アンダーシュートを最小限に抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−123429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記の方法で所謂オーバーシュートとアンダーシュートと抑えるようにした場合、調理容器における温度が上昇しているか下降しているかを判断しなければならず、その制御が複雑となる。
【0009】
上記の点に鑑み、本発明は、加熱手段による調理容器の加熱量を自動調節するとき、簡単な制御で調理容器から検出される温度の変動幅を小さく抑えることができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明は、被調理物を入れた調理容器を加熱する加熱手段と、前記調理容器の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段の検出温度が予め設定された目標温度となるように前記加熱手段の加熱量を増減させる加熱制御手段とを備え、前記加熱手段は、最小加熱量から最大加熱量までの加熱量範囲を複数段に分割した各加熱量レベル毎に加熱量を調節することが可能とされ、前記加熱制御手段は、前記目標温度に基づいて各加熱量レベル毎に対応する温度範囲を設定し、前記温度検出手段の検出温度が現在の加熱量レベルに対応する温度範囲の上限値を超えたとき加熱量レベルを小さくし、前記温度検出手段の検出温度が現在の加熱量レベルに対応する温度範囲の下限値を下回ったとき加熱量レベルを大きくする加熱調理器であって、使用者の操作により加熱量レベルの設定が可能となる操作摘みと、該操作摘みの操作量に対応して各加熱量レベルを示す複数のポジション表示部と、各ポジション表示部に設けられて複数色の光を選択的に発光可能な発光素子と、各発光素子の発光を制御する発光素子制御手段とを備え、前記ポジション表示部の数は、前記加熱量レベルの数より少なく、前記ポジション表示部が1つにつき複数の加熱量レベルを示すように構成され、前記発光素子制御手段は、使用者が操作により設定した加熱量レベルを示すポジション表示部の発光素子を点灯と点滅とを選択的に用いて発光状態とし、前記加熱制御手段により加熱量レベルが変更されたときには、使用者が設定した加熱量レベルを示すポジション表示部の発光素子の前記発光状態を維持して、前記加熱制御手段が変更した加熱量レベルを示すポジション表示部の発光素子を、使用者が設定した加熱量レベルを示すポジション表示部の発光素子と異なる色で発光させることを特徴とする。
【0011】
加熱手段が被調理物を入れた調理容器の加熱を開始すると、加熱制御手段は、温度検出手段の検出温度が目標温度となるように加熱手段の加熱量を自動で調節する。加熱手段が加熱を開始した初期段階では、温度検出手段の検出温度が目標温度より低いから、加熱制御手段は、加熱手段に対して加熱量レベルを大きくする制御を行う。この間、加熱制御手段は、検出温度の変化に応じて検出温度と目標温度との差を算出する。
【0012】
そして、調理容器の温度上昇により検出温度が目標温度に近づくと、検出温度と目標温度との差が小さくなる。これに伴い、加熱制御手段は、所定の温度差毎に検出温度と目標温度との温度差の減少に応じて加熱量レベルを小さくする制御を行う。
【0013】
また、検出温度が目標温度を超えた後に、検出温度が上昇から下降に転じて検出温度が目標温度を下回ると、加熱制御手段は、検出温度の過剰な低下を抑えるように加熱手段の加熱量を自動で調節する。この間、加熱制御手段は、検出温度の変化に応じて検出温度と目標温度との差を算出する。そして、調理容器の温度低下により、検出温度が目標温度から離れると、検出温度と目標温度との差が大きくなるので、加熱制御手段は、加熱量レベルを大きくする制御を行う。
【0014】
本発明においては、加熱制御手段により、各加熱量レベルに対応する温度範囲が目標温度に基づいて設定される。加熱制御手段は、検出温度が現在の加熱量レベルに対応する温度範囲内であれば、現在の加熱量レベルを維持する。
【0015】
一方、検出温度が現在の加熱量レベルに対応する温度範囲を超えた場合には加熱量レベルを小さくして温度上昇を抑え、検出温度が現在の加熱量レベルに対応する温度範囲を下回った場合には加熱量レベルを小さくして温度低下を抑える。
【0016】
このように、各加熱量レベルに対応する温度範囲を用いて加熱量レベルの変更を判断することにより、検出温度が上昇しているか下降しているかを判断することが不要となり、制御が簡単となる。
【0017】
ところで、互いに隣接する加熱量レベル間の境界の温度が同じであると、温度の小刻みな変動の影響を受けて、互いに隣接する加熱量レベル間で細かく切り換ってしまう所謂ハンチング現象が生じるおそれがある。
【0018】
そこで、本発明において、前記各加熱量レベルの前記温度範囲は、互いに隣接する加熱量レベル間で一部が重なり合っていることが好ましい。これによれば、互いに隣接する加熱量レベル間の境界に温度範囲が設けられ、隣接する一方の加熱量レベルから他方の加熱量レベルに変更される温度と、他方の加熱量レベルから一方の加熱量レベルに変更される温度とが異なる温度となる。従って、例えば、一旦大きく変更された加熱量レベルは、重なり合った部分の温度を経て低下するまで小さい加熱量レベルに変更されることがないので、ハンチング現象を防止することができる。
【0020】
本発明の加熱調理器は、上述した通り、加熱制御手段により調理容器の温度が目標温度となるように加熱量の自動調節が行われる。一方、本発明の加熱調理器は、使用者が操作摘みを操作することによっても加熱量レベルの設定が可能となっている。このため、調理容器の加熱開始したとき、操作摘みによって使用者が設定した加熱量レベルが、加熱制御手段により変更されてしまうことが生じる。これによって、使用者が手動で設定したものとは異なる加熱量で調理容器の加熱が行われるため、使用者に対して違和感を与えることになる。
【0021】
そこで、前記発光素子制御手段により、先ず、使用者が設定した加熱量レベルを示すポジション表示部の発光素子を発光させた状態を維持する。その後、加熱制御手段が加熱量レベルを変更したときには、発光素子制御手段は、この時変更された加熱量レベルを示すポジション表示部の発光素子を、使用者が設定した加熱量レベルを示すポジション表示部の発光素子と異なる色で発光させる。これによれば、使用者は、手動で設定した加熱量レベルと、自動で変更された加熱量レベルを視覚的に確認することができ、使用者の違和感を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態であるガスコンロの要部の構成を模式的に示す図。
図2】各火力レベル毎に設定された温度範囲を示す説明図。
図3】火力制御部による作動を示すフローチャート。
図4図3の作動の一部の作動を説明するフローチャート。
図5】操作摘みを示す図。
図6】操作摘みのポジション表示部の発光形態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態においては、加熱調理器として図1に示すガスコンロ1を採用している。図1に示すように、ガスコンロ1は、コンロバーナ2(加熱手段)と、コンロバーナ2を制御するコントローラ3と、使用者が操作することによりコントローラ3に対して所望の指示や各種設定を行うスイッチ群(図示しない)からなる操作パネル4とを備えている。
【0024】
コンロバーナ2の中心部には鍋底温度センサ7(温度検出手段)が設けられている。鍋底温度センサ7は、五徳8に鍋9(調理容器)が載置されたときに鍋9の底部に当接し、コンロバーナ2により加熱される鍋9の底部の検出温度を示す信号を出力する。
【0025】
コンロバーナ2は、押し操作と回転操作が可能な操作摘み10により点火操作、火力調節、及び消火操作が行われる。即ち、操作摘み10を押し操作することにより、コンロバーナ2が点火し又は消火する。また、操作摘み10を回転操作することにより、コンロバーナ2の火力(加熱量)レベルの調節(コンロバーナ2への燃料ガスの供給流量の調節)を行うことができるようになっている。なお、本実施形態のコンロバーナ2においては、その火力レベル(加熱量レベル)が9段階(最小火力レベル「1」〜最大火力レベル「9」)に調節可能となっている。
【0026】
コンロバーナ2にはガス供給管11を介して燃料ガスが供給される。ガス供給管11には、ガス供給管11を開閉する元電磁弁12とガス供給管11を流通する燃料ガスの流量を調節する流量調節弁13とが設けられている。
【0027】
また、コンロバーナ2の近傍には、コンロバーナ2に点火するための点火電極14と、コンロバーナ2の燃焼状態を検出する熱電対15とが設けられている。
【0028】
コントローラ3は、図示しないメモリに保持されたガスコンロ1の制御用プログラムを実行することによって、ガスコンロ1の作動を制御する。
【0029】
コントローラ3は、図1に示すように、火力制御部16(加熱制御手段)と、ポジション表示制御部17(発光素子制御手段)とを機能として備えている。火力制御部16は、更に、温度範囲設定部18と、火力レベル選択部19とを機能として備えている。
【0030】
コントローラ3には、コンロバーナ2の操作摘み10の操作信号、鍋底温度センサ7の検出温度を示す信号、及び熱電対15の炎検出を示す信号等が入力される。
【0031】
コントローラ3は、各機能に対応する制御信号を出力することにより、ガス供給管11の元電磁弁12、流量調節弁13、点火電極14等の作動を制御する。
【0032】
流量調節弁13は、比例弁又は流量切換弁が採用され、ステッピングモータ21により駆動される図示しない弁体によりガス供給管11のガス流量を変更する電動弁である。コントローラ3は、ステッピングモータ21を介して流量調節弁13の開度を変更することにより、コンロバーナ2の火力レベルを切換える。
【0033】
コントローラ3の火力制御部16は、操作摘み10の操作信号に基づいてコンロバーナ2の燃焼運転を行いつつ、鍋底温度センサ7の検出温度に基づいて過熱を防止すべく火力レベルを自動調節する。
【0034】
以下、具体的に説明すると、本実施形態のガスコンロ1では、火力レベル選択部19が、9段階(最小火力レベル「1」〜最大火力レベル「9」)のうち、火力レベル「1」「イ」「ロ」「ハ」「9」を用いて温調制御を行う。なお、火力レベル「イ」「ロ」「ハ」は、適宜設定される火力レベルであり、火力レベルの大小関係は「イ」<「ロ」<「ハ」となっている。
【0035】
また、火力制御部16の温度範囲設定部18は、本実施形態においては、各火力レベルの使用判断時の閾値を目標温度から−5℃間隔で設定する。即ち、例えば、目標温度が260℃であるとき、温度範囲設定部18は、図2に示すように、火力レベル「9」に対応する制御のための温度範囲(以下、制御温度範囲)を235℃未満、火力レベル「ハ」に対応する制御温度範囲を235℃〜240℃、火力レベル「ロ」に対応する制御温度範囲を240℃〜245℃、火力レベル「イ」に対応する制御温度範囲を245℃〜250℃、火力レベル「1」に対応する制御温度範囲を250℃以上に夫々設定する。
【0036】
更に本実施形態においては、各加熱量レベル毎に対応する制御温度範囲を設定しただけでなく、図2に示すように、使用する火力レベル「1」「イ」「ロ」「ハ」「9」での隣接する火力レベル間に、温度範囲の重なり部分を設けることにより、細かい温度変化の影響を受けて隣接する火力レベルが細かく切り換ってしまう所謂ハンチング現象を防止することができる。
【0037】
ここで、温調制御における火力レベルの選択について説明する。先ず、図3に示すように、使用者が操作摘み10を操作してコンロバーナ2に点火されることにより、火力制御部16がSTEP1でこのときの点火を検出すると、STEP2へ進んで温度範囲設定部18が目標温度に基づいて閾値を設定する。このとき、点火時の点火火力は火力レベル「ロ」とされる。また、本実施形態においては、目標温度を260℃とし、この目標温度から−5℃間隔で閾値を設定する。
【0038】
更にSTEP3に進むと、温度範囲設定部18が前述したように各火力レベル「1」「イ」「ロ」「ハ」「9」の夫々に対応する制御温度範囲(図2参照)を設定し、STEP4で火力レベル選択部19により鍋底温度センサ7の検出温度に応じた火力レベルの選択(変更)が行われる(この処理は後述する)。そして、STEP5で消火が検出されるまで、STEP4の処理が繰り返される。
【0039】
STEP4の処理(火力レベルの選択処理)について説明すれば、図4に示すように、STEP6で火力制御部16は鍋底温度センサ7による温度検出を行い、STEP7以降、火力レベル選択部19の作動により火力レベルの選択(変更)とその火力レベルによるコンロバーナ2の制御が行われる。
【0040】
概要を説明すると、STEP7〜STEP10では現在の火力レベルを判断し、STEP11〜STEP18では検出温度Trと各火力レベルに対応する制御温度範囲とを比較して必要に応じて火力レベルを変更し、STEP19〜STEP26における各条件に応じた処理が行われる。
【0041】
例えば、現在の火力レベル「ハ」であるときSTEP8でSTEP12に進み、STEP12で鍋底温度センサ7の検出温度Tr(STEP6で得た温度)が240℃以上であると判断されれば、STEP20で火力レベルを「ロ」に変更する。STEP13で検出温度Trが230℃未満であると判断された場合には、STEP21で火力レベルを「9」に変更する。これで火力レベルの選択は終了するが、図3のSTEP5へ進むので、消火が検出されるまで、図4のSTEP6への移行が繰り返される。このように、火力制御部16は、鍋底温度センサ7の検出温度Trが上昇しているか下降しているかを判定することなく最適な火力レベルを選択することができる。
【0042】
そして以上の制御によれば、火力制御部16により、検出温度Trが高くなる(目標温度に近づく)に従って火力レベルを小さくして鍋9(調理容器)の温度の上昇を早期に遅延させ、検出温度Trが低くなる(目標温度から遠くなる)に従って火力レベルを大きくして鍋9(調理容器)の温度の低下を早期に遅延させるので、目標温度に対する鍋9(調理容器)の温度の変動幅を小さくすることができる。
【0043】
ところで、本実施形態のコントローラ3によれば、検出温度が目標温度の近傍にあるとき、火力レベルが自動で切り換わるが、使用者が手動で設定した火力レベルと異なる火力レベルでコンロバーナ2が燃焼制御されると、使用者が戸惑いを感じたり、故障と勘違いするおそれがある。
【0044】
そこで、本実施形態においては、図5に示すように、操作摘み10の周囲に、発光素子による複数のポジション表示部10a,10b,10c,10d,10eを設け、各ポジション表示部10a,10b,10c,10d,10eの発光形態により火力レベルを表示できるようにしている。なお、当該発光素子は2色の光を選択的に発光することができるものが採用されている。
【0045】
各ポジション表示部10a,10b,10c,10d,10eは操作摘み10の所定の回転角度(操作量)毎に設けられており、図1に示すように、コントローラ3のポジション表示制御部17により制御される。
【0046】
ポジション表示制御部17は、火力レベル「1」〜火力レベル「9」の9段階を5つのポジション表示部10a,10b,10c,10d,10eを用いて表示する。各ポジション表示部10a,10b,10c,10d,10eにおける発光形態は、図6に示すように、火力レベル「1」、「3」、「5」、「7」、「9」を示す場合には点灯状態とし、火力レベル「2」、「4」、「6」、「8」を示す場合には点滅状態とする。
【0047】
そして、ポジション表示制御部17は、使用者が手動で設定した火力レベル(予め設定されている点火時の火力レベルも含む)を示すポジション表示部の発光素子を青色にて発光させた状態を維持し、火力制御部16が自動で変更した火力レベルを示すポジション表示部の発光素子を赤色にて発光させる。
【0048】
これによれば、使用者が手動で設定した火力レベルと火力制御部16が自動で変更した火力レベルとが明確に判別でき、使用者が戸惑いを感じたり、故障と勘違いすることが防止できる。
【0049】
なお、本実施形態においては、温度範囲設定部18により各火力レベルに対応する制御温度範囲を、目標温度と直接比較することが可能な実温度で設定した例を示したが、これ以外に、各火力レベルに対応する温度範囲は、目標温度との差の値を用いて比較するようにしてもよい。即ち、具体的には、火力制御部16の温度範囲設定部18が、各火力レベルの使用判断時の閾値を目標温度から−5℃間隔で設定する場合、火力レベル「9」に対応する温度差範囲は目標温度の−30℃より大、火力レベル「ハ」に対応する温度差範囲は目標温度の−20℃〜−25℃、火力レベル「ロ」に対応する温度差範囲は目標温度の−15℃〜−20℃、火力レベル「イ」に対応する温度差範囲は目標温度の−10℃〜−15℃、火力レベル「1」に対応する温度差範囲を目標温度の−5℃以下に夫々設定するようにしてもよい。
【0050】
また、本実施形態においては、ガスコンロ1について説明したが、本発明は、ガスコンロ1に限るものではなく、例えば、電磁調理器や電気コンロにも採用できる。電磁調理器や電気コンロの場合には、上述したようなコンロバーナ2に対する火力の制御に替えて、誘導加熱部やニクロム線ヒータに対する供給電力を制御することで、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0051】
1…ガスコンロ(加熱調理器)、2…コンロバーナ(加熱手段)、7…鍋底温度センサ(温度検出手段)、9…鍋(調理容器)、10…操作摘み、10a,10b,10c,10d,10e…ポジション表示部、16…火力制御部(加熱制御手段)、17…ポジション表示制御部(発光素子制御手段)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6