(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1外壁パネルと上記第1外壁パネルの鉛直下側に配された第2外壁パネルとの間の横目地に取付けられる止水部材と、上記止水部材と対向するように上記横目地に取付けられ、上記横目地に取付けられた状態において上記横目地を屋外側から覆う見切り部材と、を備えた横目地止水構造体であって、
上記止水部材には、上記第2外壁パネルの鉛直上側の面に載置されるベース部、および上記止水部材が上記横目地に取付けられた状態において、上記第1外壁パネルの屋内側壁面における鉛直下側の端部と対向するように鉛直上側に向けて立ち上がり、弾性体で形成された立ち上げ部が設けられており、
上記ベース部の鉛直上側の面には、上記見切り部材を上記横目地に固定するための突起部が、鉛直上側に向けて突出しており、
上記見切り部材には、弾性体で形成された固定リップ部が、上記見切り部材の鉛直下側の面から延伸しており、
上記固定リップ部の先端が、上記見切り部材が上記横目地に取付けられた状態において、上記突起部に掛かることを特徴とする横目地止水構造体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、
図7の(a)に示すシーリング材が経年劣化等により破断した場合、当該破断箇所として、
図7の(b)および(c)に示すように、外壁パネルとシーリング材との接触箇所に生じた隙間から、雨水等は浸入する。そして、浸入した雨水等は、さらにシーリング材の下地材側の隙間に浸入することとなる。ここで、
図7の(a)に示すシーリング材は排水可能な構造にはなっていないことから、シーリング材の下地材側の隙間に浸入した雨水等は、
図7の(d)に示すように、EPDM製のスポンジで止水し切れずに漏水する可能性があった。一方、特許文献1に開示された水切り構造、特許文献2に開示された目地構造ともに排水可能な構造になっているものの、以下のような問題点があった。
【0006】
すなわち、特許文献1の水切り構造を構成する支持部材は、建物躯体に固定された取付部材に対してビスで固定されることにより、横目地に取付けられる構造になっている。したがって、支持部材を横目地に屋外側から屋内側に向けて挿入して取付けることができないという問題点があった。また、特許文献2の目地構造を構成する2次止水部材は、下側外壁面材と下側パネルフレームとの間に嵌合される嵌合部を有している。したがって、上側外壁面材と下側外壁面材とが予め組付けられている場合、2次止水部材を横目地に屋外側から屋内側に向けて挿入する際に嵌合部が邪魔になり、2次止水部材の取付けが困難になるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記の各問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、横目地に装着する止水構造体について、横目地への取付容易性、特に止水部材の容易な取付けを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る止水部材は、第1外壁パネルと、上記第1外壁パネルの鉛直下側に配された第2外壁パネルとの間の横目地に取付けられる止水部材であって、上記第2外壁パネルの鉛直上側の面に載置されるベース部を備えており、上記ベース部には、上記止水部材が上記横目地に取付けられた状態において、上記第1外壁パネルの屋内側壁面における鉛直下側の端部と対向するように、鉛直上側に向けて立ち上がり、弾性体で形成された立ち上げ部が設けられている。
【0009】
上記構成によれば、本発明に係る止水部材を横目地に屋内側から屋外側に向けて挿入する際、弾性体で形成された立ち上げ部が柔軟に撓むことから、当該挿入が容易になる。また、立ち上げ部は、当該立ち上げ部が横目地の屋内側の開口部から抜け出した時点で自動的に、挿入前と同様に鉛直上側に向けて立ち上がり、第1外壁パネルの屋内側壁面における鉛直下側の端部と対向するように配置される。したがって、止水部材の横目地への挿入後に、立ち上げ部を上記のように立ち上げるための作業を別途行う必要はない。それゆえ、横目地への取付けが容易な止水部材を実現することができる。
【0010】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る止水部材において、上記立ち上げ部は、一部において薄肉に形成されており、上記薄肉に形成された部位が、上記止水部材を上記横目地に屋外側から屋内側に向けて挿入する際に、上記立ち上げ部における他の部位よりも撓み易くなっており、上記挿入する際における上記立ち上げ部の所望の屈曲性を担保するための屈曲部として機能することが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、立ち上げ部の一部において薄肉の屈曲部が形成されていることから、本発明に係る止水部材を横目地に屋外側から屋内側に向けて挿入する際、立ち上げ部が全体的に撓むとともに、屈曲部を起点として屈曲する。それゆえ、本発明に係る止水部材の横目地への挿入がさらに容易になることから、横目地への取付けがさらに容易な止水部材を実現することができる。
【0012】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る止水部材において、上記屈曲部は、上記止水部材が上記横目地に取付けられた状態において、上記第1外壁パネルにおける上記第2外壁パネルとの対向面よりも、鉛直下側に形成されていることが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、本発明に係る止水部材を横目地に屋内側から屋外側に向けて挿入する際、屈曲部が対向面よりも鉛直上側に形成されている場合よりも、立ち上げ部の屈曲によって、ベース部に向かって倒れ込む立ち上げ部の部位が増える。したがって、立ち上げ部をベース部に向かってより倒れ込ませることができることから、本発明に係る止水部材の横目地への挿入がさらに容易になり、ひいては横目地への取付けがさらに容易になる。
【0014】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る止水部材において、上記立ち上げ部の先端部は、上記立ち上げ部における上記先端部以外の部位よりも厚肉になっていることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、先端部の肉厚と、先端部以外の部位の肉厚とが同一の場合よりも、先端部における先端面の面積が大きくなる。したがって、ユーザが先端部の先端面を押圧し易くなることから、本発明に係る止水部材を横目地に屋内側から屋外側に向けて挿入する際、立ち上げ部の先端部が屋外側を向くように当該立ち上げ部を撓ませることにより、先端部の先端面を押圧して、立ち上げ部を横目地の屋内側に容易に押込むことができる。当該押込みの際、ベース部11も立ち上げ部に追従して横目地の屋内側に押込まれることから、本発明に係る止水部材の横目地への挿入がさらに容易になり、ひいては横目地への取付けがさらに容易になる。
【0016】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る止水部材において、上記立ち上げ部の先端部は、上記止水部材が上記横目地に取付けられた状態において、上記第1外壁パネルの屋内側壁面に当接することが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、第1外壁パネルの屋内側壁面が立ち上げ部の先端部によってシールされることから、例えば、第1外壁パネル・第2外壁パネルとこれらよりも屋内側に配置された下地材との隙間に浸入した雨水等が、横目地の屋内側の開口部から横目地内部に浸入することを効果的に防止することができる。
【0018】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る横目地止水構造体は、第1外壁パネルと上記第1外壁パネルの鉛直下側に配された第2外壁パネルとの間の横目地に取付けられる止水部材と、上記止水部材と対向するように上記横目地に取付けられ、上記横目地に取付けられた状態において上記横目地を屋外側から覆う見切り部材と、を備えた横目地止水構造体であって、上記止水部材には、上記第2外壁パネルの鉛直上側の面に載置されるベース部、および上記止水部材が上記横目地に取付けられた状態において、上記第1外壁パネルの屋内側壁面における鉛直下側の端部と対向するように鉛直上側に向けて立ち上がり、弾性体で形成された立ち上げ部が設けられており、上記ベース部の鉛直上側の面には、上記見切り部材を上記横目地に固定するための突起部が、鉛直上側に向けて突出しており、上記見切り部材には、弾性体で形成された固定リップ部が、上記見切り部材の鉛直下側の面から延伸しており、上記固定リップ部の先端が、上記見切り部材が上記横目地に取付けられた状態において、上記突起部に掛かる。
【0019】
上記構成によれば、止水部材を横目地に屋内側から屋外側に向けて挿入する際、弾性体で形成された立ち上げ部が柔軟に撓むことから、当該挿入が容易になる。また、見切り部材を横目地に屋内側から屋外側に向けて挿入する際、弾性体で形成された固定リップ部が柔軟に撓むことから、当該挿入が容易になる。それゆえ、横目地への取付けが容易な横目地止水構造体を実現することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、横目地への取付けが容易な止水部材および横目地止水構造体を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<横目地止水構造体の構造>
まず、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る横目地止水構造体30の構造について説明する。
図1は、横目地止水構造体30の概略構成を示す断面図である。なお、以下の説明では、便宜上、鉛直上側を上方、鉛直下側を下方、紙面に向かって右側を右方、紙面に向かって左側を左方とする。また、右方が屋内側であり、左方が屋外側である。
【0023】
横目地止水構造体30は、下地材3に固定された上側外壁パネル(第1外壁パネル)1と下側外壁パネル(第2外壁パネル)2との間の横目地Mに取付けることによって、横目地Mへの雨水等の浸入を防止する。また、横目地止水構造体30は、横目地Mの内部に浸入した雨水等を屋外に排出する。横目地止水構造体30は、
図1に示すように、止水部材10および見切り部材20を備えている。なお、下地材3は、柱、梁、フレームまたは壁等で構成される。
【0024】
(止水部材)
止水部材10は、横目地Mの内部に浸入した雨水等を屋外に排水するとともに、見切り部材20に設けられた固定リップ部23(詳細については後述)と相まって、見切り部材20を横目地Mに固定する役割を果たす。止水部材10は、
図1に示すように、ベース部11と立ち上げ部12とを備えている。ベース部11は、例えば金属または硬質樹脂等で形成されている。立ち上げ部12は、例えば、天然ゴム、IR(イソプレンゴム)またはCR(クロロプレンゴム)を主体とするゴム材料、または様々な熱可塑性エストラマー、ウレタン、PVC(ポリ塩化ビニル)、その他軟質樹脂といったゴム様弾性体で形成されている。なお、本明細書において、ゴム材料またはゴム様弾性体を総称して「弾性体」と記載する。
【0025】
ベース部11は、下側外壁パネル2の上面(鉛直上側の面)2aに載置される。ベース部11の上面における横目地M内に配置された部分は、横目地Mの内部に浸入した雨水等を屋外側に排水するために、屋内側から屋外側へ向けて下方向に連続して傾斜している。また、ベース部11の下面は、ユーザが、止水部材10を横目地Mに屋外側から屋内側に向けて挿入し易いように、かつベース部11が横目地Mに安定的に固定されるために、面一となっている。
【0026】
なお、ベース部11の上面に上述のような傾斜を設けることは必須ではない。しかし、雨水等の屋外への排水を考慮すれば、上述のような傾斜が設けられているのが好ましい。また、ベース部11の下面も面一である必要はない。換言すれば、ベース部11の下面は、ユーザによる横目地Mへの屋外側から屋内側に向けての挿入が容易であり、かつ、止水部材10が下側外壁パネル2の上面2aに載置された状態において、止水部材10が横目地Mに安定的に固定されるような形状であればよい。
【0027】
また、ベース部11の屋外側端部からは、見切り部材20に設けられた固定リップ部23の先端23aに掛かる突起部11aが、上方向に突出している。また、突起部11aは、ベース部11の長手方向(紙面向かって垂直方向)に沿って壁状に形成されている。この突起部11aに固定リップ部23の先端23aが掛かるとともに、取付基部22(具体的には、2つの当接リップ部22aおよび止水スポンジ22b;取付基部22の詳細については後述)が上側外壁パネル1の下面1aに当接することによって、見切り部材20が横目地Mに固定される。
【0028】
なお、突起部11aがベース部11の屋外側端部に設けられることは必須ではなく、見切り部材20の化粧部21(詳細については後述)が横目地Mの内部に配置されないように、ベース部11の上面から突出していればよい。また、突起部11aに、見切り部材20の固定リップ部23に形成された排水流路23bの形成位置・個数に対応する切り欠き形状の突起部側排水流路(不図示)を形成してもよい。このような突起部側排水流路を形成することで、固定リップ部23の排水流路23bから流れ出た雨水等を屋外に排水し易くすることができる。
【0029】
さらに、ベース部11の屋内側端部の端面は、止水部材10が横目地Mに取付けられた状態において、下地材3の屋外側壁面3aに当接する。このように、ベース部11の屋内側端部の端面が下地材3の屋外側壁面3aに当接することにより、ユーザが、止水部材10を横目地Mに屋外側から屋内側に向けて挿入した際、止水部材10の位置決めを容易に行えるとともに、止水部材10の横目地Mへの固定がより確実になる。なお、止水部材10が横目地Mに取付けられた状態において、ベース部11の屋内側端部の端面が下地材3の屋外側壁面3aに当接することは必須ではない。すなわち、止水部材10が横目地Mに取付けられた状態において、ベース部11の屋内側端部と下地材3との間に隙間が形成されていてもよい。
【0030】
また、ベース部11の屋内側端部には、当該ベース部11の長手方向に切り欠き形状の通気経路11bが複数形成されている。通気経路11bは、上側外壁パネル1・下側外壁パネル2と下地材3との間に形成された通気層において通気を妨げないように、あるいは通気層の上方から浸入した雨水等を下方に排水するための空間である。なお、通気経路11bの形状・個数については、止水部材10の位置決め・横目地Mへの固定に影響を及ぼさない範囲内であれば、任意に設計することができる。
【0031】
横目地止水構造体30が横目地Mに取付けられた状態において形成される、(i)下側外壁パネル2の上面2a、(ii)ベース部11の上面および屋外側の端面、(iii)見切り部材20における化粧部21の屋内側の面、(iv)取付基部22の下面並びに(v)固定リップ部23の屋外側の面で囲まれた空間は、雨水等を屋外に排水するための排水空間として機能する。なお、前記の排水空間には排水流路23bも含まれる。
【0032】
立ち上げ部12は、ベース部11の上面から鉛直上側に向けて立ち上がっている略平板形状の部位であり、ベース部11の長手方向に沿って形成されている。また、立ち上げ部12は、止水部材10が横目地Mに取付けられた状態において、上側外壁パネル1の屋内側壁面1bの下端部(鉛直下側の端部)と対向するような、鉛直方向の長さおよびベース部11上の配置位置となっている。上述のような立ち上げ部12の鉛直方向の長さ・ベース部11上の配置位置とすることで、上側外壁パネル1・下側外壁パネル2と下地材3との間に形成された通気層の上方から浸入した雨水等が、横目地Mの屋内側の開口部を通じて横目地Mに浸入するのを防ぐ。あるいは、見切り部材20の取付基部22と、上側外壁パネル1との隙間から浸入してきた雨水等が、さらに上記の通気層に浸入するのを防ぐ。
【0033】
また、立ち上げ部12の先端部12aは、立ち上げ部12における先端部12a以外の部位よりも厚肉になっているとともに、止水部材10が横目地Mに取付けられた状態において、当該先端部12aの屋外側の端面が上側外壁パネル1の屋内側壁面1bに当接する。立ち上げ部12の先端部12aの形状・大きさを上述のようにすることで、上側外壁パネル1の屋内側壁面1bが立ち上げ部12の先端部12aによってシールされ、通気層から横目地Mへの雨水等の浸入をより確実に防止することができる。さらに、止水部材10を横目地Mに挿入する場合、立ち上げ部12の先端部12aが屋外側を向くように撓ませるが、先端部12aの先端面が広くなっていることにより、当該挿入の際に、ユーザが立ち上げ部12を屋内側に押込み易くなる。
【0034】
なお、止水部材10の横目地Mへの挿入時における、立ち上げ部12の押込み易さのみを考慮するのであれば、立ち上げ部12の先端部12aの肉厚を、上側外壁パネル1の屋内側壁面1bに当接する程度まで厚肉にする必要はない。また、立ち上げ部12において、先端部12aとその他の部位との肉厚が同じであっても横目地Mへの雨水等の浸入をある程度防止できることから、先端部12aをその他の部位よりも厚肉にすることは必須ではない。
【0035】
さらに、立ち上げ部12における、根元付近の部位および上下方向の中間部位は、これらの部位以外の部位よりも薄肉に形成されている。具体的には、上記の根元付近の部位および上下方向の中間部位には、それぞれ、屋内側および屋外側に略同じ大きさ・深さの窪みが形成されている。また、上記の上下方向の中間部位は、止水部材10が横目地Mに取付けられた状態において、上側外壁パネル1の下面1aよりも鉛直下側に形成されている。
【0036】
これら薄肉に形成された部位は、止水部材10を横目地Mに屋外側から屋内側に向けて挿入する際に、立ち上げ部12における他の部位よりも撓み易くなっており、当該挿入する際における立ち上げ部12の所望の屈曲性を担保するための屈曲部12bとして機能する。立ち上げ部12にこのような屈曲部12bを形成することにより、止水部材10が、横目地Mに屋外側から屋内側に向けてより挿入し易くなる。
【0037】
なお、屈曲部12bの個数・形成位置・形状については、上述の場合に限定されない。屈曲部12bは、止水部材10を横目地Mに屋外側から屋内側に向けてより挿入し易くするための部位であることから、その個数は1つであってもよいし、立ち上げ部12に屈曲部12bが形成されていなくてもよい。また、屈曲部12bの形成位置についても、任意に設計することができる。ただし、横目地Mへの挿入時における立ち上げ部12全体の撓み易さの点では、屈曲部12bは、止水部材10が横目地Mに取付けられた状態において、上側外壁パネル1の下面1aよりも鉛直下側に形成されているのが好ましい。さらには、少なくとも立ち上げ部12の根元付近に屈曲部12bが形成されているのがより好ましい。また、屈曲部12bの形状についても、任意に設計することができる。ただし、止水部材10の横目地Mへの挿入時において、立ち上げ部12全体を屋外側により撓ませ易くするには、少なくとも立ち上げ部12における屋外側の面の一部を窪ませるのが好ましい。
【0038】
換言すれば、止水部材10を、横目地Mに屋外側から屋内側に向けてより挿入し易くするためには、立ち上げ部12がその一部において薄肉に形成されていればよい。
【0039】
(見切り部材)
見切り部材20は、止水部材10と対向するように横目地Mに取付けられることによって、横目地Mの屋外側から雨水等が浸入することを防止するものであり、
図1に示すように、化粧部21と取付基部22とが連なって形成されている。化粧部21および取付基部22は、例えば弾性体または硬質樹脂等で形成されている。
【0040】
化粧部21は、平板形状の部位であり、横目地Mを屋外から視認できないようにするために横目地Mの屋外側の開口部を覆っている。また、化粧部21の屋外側の面は、例えば硬質樹脂等によって被覆されている。
【0041】
取付基部22は、上側外壁パネル1の下面(第1外壁パネルにおける第2外壁パネルとの対向面)1aと対向するように配置される平板形状の部位であり、取付基部22の上面における屋外側端面および屋内側端面には、それぞれ上側外壁パネル1の下面1aに当接するヒレ形状の当接リップ部22aが設けられている。また、当該2つの当接リップ部22aの間には、防水層としてのEPDM(エチレン・プロピレンジエンモノマー)を主体とする止水スポンジ22bが取り付けられており、当該止水スポンジ22bも上側外壁パネル1の下面1aに当接する。このように、2つの当接リップ部22aおよび止水スポンジ22bが、上側外壁パネル1の下面1aに当接することにより、取付基部22と上側外壁パネル1との隙間から雨水等が浸入することを防止する。
【0042】
なお、2つの当接リップ部22aを設けることなく、かつ止水スポンジ22bを取り付けることなく、取付基部22の上面を上側外壁パネル1の下面1aに直接当接させてもよい。
【0043】
また、取付基部22の屋内側端部には、見切り部材20を横目地Mに固定するための固定リップ部23が、見切り部材20の長手方向(紙面向かって垂直方向)に沿って複数設けられている。具体的には、
図1に示すように、見切り部材20が横目地Mに取付けられた状態において固定リップ部23の先端23aが屋内側を向くように、取付基部22の屋内側端部の下面(見切り部材の鉛直下側の面)から延伸している。
【0044】
固定リップ部23は、上述の弾性体(ゴム材料またはゴム様弾性体)で形成されている。また、見切り部材20が横目地Mに取付けられた状態において、固定リップ部23の先端23aが後述する止水部材10の突起部11aに掛かることにより、見切り部材20が横目地Mに弾性的に固定される。
【0045】
したがって、上側外壁パネル1の鉛直方向の位置が変化した場合でも、固定リップ部23によって見切り部材20が横目地Mに弾性的に固定されていることから、取付基部22と上側外壁パネル1との間に隙間が生じるのを防ぐことができる。また、固定リップ部23は、上述の弾性体で形成されていることから、ユーザが、見切り部材20を横目地Mに屋外側から屋内側に挿入する際に柔軟に撓んで邪魔にならず、かつ固定リップ部23の先端23aを突起部11aに容易に掛けることができる。
【0046】
さらに、互いに隣り合う2つの固定リップ部23の間の空間は、雨水等を屋内側から屋外側に排水するための排水流路23bとして機能する。なお、排水流路23bの個数および大きさは、固定リップ部23による見切り部材20の固定に影響を及ぼさない範囲内であれば、任意に設計することができる。
【0047】
また、取付基部22の内部には、当該取付基部22の剛性を高くし、見切り部材20の横目地への固定力を向上させるための芯材24が埋め込まれている。芯材24は、平板形状の部材における長手方向(紙面向かって垂直方向)の2つの外縁を、それぞれ折り返すことによって成形されており、鉄をはじめとする各種金属または硬質樹脂等の材料で形成されている。
【0048】
本実施形態では、芯材24について、
図1に示すように、屋外側の外縁は芯材24の下方から当該芯材24の中央に向けて折り返されており、屋内側の外縁は芯材24の上方から当該芯材24の中央に向けて折り返されている。しかし、芯材24における長手方向の外縁の折り返しについては、上述の場合に限定されない。例えば、屋外側の外縁の折り返しと、屋内側の外縁の折り返しとが、上述の場合と逆になっていてもよい。また、上記外縁の折り返しは、取付基部22の剛性をより高めるための成形であることから、芯材24に上記外縁の折り返しがあることは必須ではない。さらには、取付基部22の内部に芯材24が埋め込まれていなくても見切り部材20の横目地Mへの固定は可能であることから、取付基部22の内部に芯材24が埋め込まれていること自体も必須ではない。
【0049】
<横目地止水構造体の組付け手順>
次に、
図2および
図3を参照して、本発明の一実施形態に係る横目地止水構造体30の組付け手順について説明する。
図2の(a)〜(c)は、横目地止水構造体30の組付け手順の一例を示す概略図である。
図3の(a)〜(c)は、横目地止水構造体30の組付け手順の他の例を示す概略図である。
【0050】
(止水部材を先付けする場合)
(1) まず、
図2の(a)に示すように、止水部材10のベース部11を下側外壁パネル2の上面2aに載置する。当該載置の際、ベース部11における屋内側端部の端面を下地材3の屋外側壁面3aに当接させる。
【0051】
(2) 次に、
図2の(b)に示すように、上側外壁パネル1を下側外壁パネル2の上方に設置する。当該設置の際、立ち上げ部12における先端部12aの屋外側の端面を、上側外壁パネル1の屋内側壁面1bに当接させる。
【0052】
(3) 次に、
図2の(c)に示すように、見切り部材20を横目地Mに屋外側から屋内側に向けて挿入することにより、見切り部材20を横目地Mに取付ける。具体的には、見切り部材20における固定リップ部23の先端23aが屋外側を向くように、当該固定リップ部23を撓ませつつ(固定リップ部23と止水部材10におけるベース部11の屋外側端部とが、互いに干渉しないようにするため)、見切り部材20における取付基部22の屋内側端部を横目地Mの屋内側に差し込む。この時、取付基部22の当接リップ部22aおよび止水スポンジ22bを、上側外壁パネル1の下面1aに当接させる。
【0053】
次に、固定リップ部23の先端23aを、止水部材10におけるベース部11の突起部11aに掛けつつ、見切り部材20の化粧部21が横目地Mの屋外側の開口部付近に配置されるように見切り部材20の位置決めを行うことにより、組付けは完了する。なお、固定リップ部23は、上述の弾性体で形成されていることから、組付け後の固定リップ部23は、組付け前よりも撓んだ状態となる。
【0054】
(止水部材を後付けする場合)
(1) まず、止水部材10を横目地Mに屋外側から屋内側に向けて挿入することにより、止水部材10を横目地Mに取付ける。具体的には、
図3の(a)に示すように、止水部材10における立ち上げ部12の先端部12aが屋外側を向くように2つの屈曲部12bを撓ませることで、立ち上げ部12全体を撓ませつつ、止水部材10におけるベース部11の屋内側端部を横目地Mの屋内側に差し込む。そして、当該差し込みの後、屋外側を向いている先端部12aの先端面をユーザの指等で押圧することにより、ベース部11の屋内側端部の端面が下地材3の屋外側壁面3aに当接するまで、立ち上げ部12を横目地Mの屋内側に押込む。この押込みに追従して、ベース部11も横目地Mの屋内側に押込まれる。
【0055】
(2) 次に、ユーザによる立ち上げ部12の押込みによって、当該立ち上げ部12の先端部12aが横目地Mの屋内側の開口部から通気層に抜け出すことにより、立ち上げ部12の形状が差し込み前の状態に復元する。また、立ち上げ部12の先端部12aが通気層に抜け出した時点で、ベース部11の屋内側端部の端面が下地材3の屋外側壁面3aに当接するとともに、先端部12aの屋外側の端面が上側外壁パネル1の屋内側壁面1bに当接する。これにより、止水部材10の下側外壁パネル2への載置および位置決めが完了する。
【0056】
(3) 次に、
図3の(c)に示すように、見切り部材20を横目地Mに屋外側から屋内側に向けて挿入することにより、見切り部材20を横目地Mに取付ける。この手順の詳細については、上述した止水部材10を先付けする場合と同様であるため、その説明を省略する(
図2の(c)参照)。
【0057】
<横目地止水構造体の変形例>
次に、
図4〜
図6を参照して、本発明に係る横目地止水構造体の変形例について説明する。なお、説明の便宜上、上述の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図4は、横目地止水構造体31の概略構成を示す断面図である。
図5の(a)〜(c)は、横目地止水構造体31の組付け手順の一例を示す概略図である。
図6の(a)〜(c)は、横目地止水構造体31の組付け手順の他の例を示す概略図である。
【0058】
横目地止水構造体31は、見切り部材20に代えて見切り部材40が構成要素となっている点において、本発明の一実施形態に係る横目地止水構造体30と異なる。
【0059】
(横目地止水構造体の変形例の構造)
図4に示すように、横目地止水構造体31は、止水部材10および見切り部材40を備えている。また、見切り部材40には、取付基部22と固定リップ部23とを接続する接続部41が設けられている(見切り部材40における他の構成については、見切り部材20と同様である)。
【0060】
接続部41は、上述の弾性体(ゴム材料またはゴム様弾性体)で形成されており、取付基部22の屋外側端部と固定リップ部23の端部とを連結している。見切り部材20が横目地Mに取付けられた状態において、接続部41が撓むことにより生じる反力が、取付基部22を上側外壁パネル1に押し付ける働きをするとともに、固定リップ部23および止水部材10のベース部11を下側外壁パネル2に押し付ける働きをする。したがって、接続部41は、見切り部材40および止水部材10の横目地Mへの固定を確実にする役割を果たす。なお、成形材料として用いられる弾性体としては、例えば固定リップ部23と同一の材料であってもよいし、異なっていてもよい。
【0061】
ここで、取付基部22の下面、固定リップ部23の屋外側の面および接続部41の屋内側の面で囲まれた空間は、横目地Mの内部に浸入した雨水等を屋外に排水するための排水空間42となることから、当該排水空間42はなるべく広く形成されていることが好ましい。したがって、例えば、見切り部材40が横目地Mに取付けられる前の状態において、接続部41の形状が固定リップ部23側に凸となるように湾曲した形状となっている場合、見切り部材40が横目地Mに取付けられると接続部41が固定リップ部23側に凸となるように大きく撓んでしまい、上記の空間が非常に狭くなる。以上のことから、接続部41の形状は、見切り部材40が横目地Mに取付けられる前の状態において、化粧部21側に凸となるように若干湾曲した形状となっている。
【0062】
接続部41の形状を上述のようにすることで、
図4に示すように、見切り部材40が横目地Mに取付けられた状態においても排水空間42を広く確保することができ、当該排水空間42内に浸入した雨水等が滞留することなく、屋外に円滑に排水される。
【0063】
また、接続部41には、雨水等を屋内側から屋外側に排水するための切り欠き形状の排水流路41aが、接続部41の長手方向(紙面向かって垂直方向)に沿って複数形成されている。なお、排水流路41aの個数・大きさ・形状は、互いに隣り合う2つの固定リップ部23の間に形成された排水流路23bの個数・大きさ・形状に対応させてもよいし、排水流路41aの個数等を排水流路23bの個数等と異ならせてもよい。換言すれば、排水流路41aの個数等は、雨水等の排水に影響を及ぼさない範囲内であれば、任意に設計することができる。
【0064】
なお、図示しないものの、本発明に係る止水部材の実施形態についても、上述の止水部材10のみならず、例えば立ち上げ部の形状がヒレ形状であったり、あるいは立ち上げ部の肉厚が根元から先端まで同一であったり、様々なバリエーションが想定される。
【0065】
上述のように、見切り部材40に接続部41が設けられていることによって、見切り部材40および止水部材10の横目地Mへの固定がより確実になる。それゆえ、横目地止水構造体31は、横目地Mへの取付けの容易性を確保しつつ、より確実な横目地Mへの固定を実現している。
【0066】
(止水部材を先付けする場合における、横目地止水構造体の変形例の組付け手順)
(1) まず、
図5の(a)に示すように、止水部材10の下側外壁パネル2への載置・位置決めを行う。次に、
図5の(b)に示すように、上側外壁パネル1の設置・立ち上げ部12の先端部12aの上側外壁パネル1への当接を行う。これらの手順については、上述した、止水部材10を先付けする場合における横目地止水構造体30の組付け手順(
図2の(a)および(b)参照)と同様である。
【0067】
(2) 次に、
図5の(c)に示すように、見切り部材40を横目地Mに屋外側から屋内側に向けて挿入することにより、見切り部材40を横目地Mに取付ける。具体的には、見切り部材40における固定リップ部23の先端23aが屋外側を向くように当該固定リップ部23を撓ませると同時に、接続部41を化粧部21に向けて凸となるように撓ませる。そして、この状態を維持しつつ、見切り部材40における取付基部22の屋内側端部を横目地Mの屋内側に差し込む。この時、取付基部22の当接リップ部22aおよび止水スポンジ22bを、上側外壁パネル1の下面1aに当接させる。
【0068】
次に、固定リップ部23の先端23aを、止水部材10におけるベース部11の突起部11aに掛けつつ、見切り部材40の化粧部21が横目地Mの屋外側の開口部付近に配置されるように見切り部材20の位置決めを行うことにより、組付けは完了する。
【0069】
(止水部材を後付けする場合における、横目地止水構造体の変形例の組付け手順)
(1) まず、
図6の(a)に示すように、止水部材10を横目地Mに屋外側から屋内側に向けて挿入する。次に、
図6の(b)に示すように、止水部材10の下側外壁パネル2への載置・位置決めを行う。これらの手順については、上述した、止水部材10を後付けする場合における横目地止水構造体30の組付け手順(
図3の(a)および(b)参照)と同様である。
【0070】
(2) 次に、
図6の(c)に示すように、見切り部材40を横目地Mに屋外側から屋内側に向けて挿入することにより、見切り部材40を横目地Mに取付ける。この手順については、上述した、止水部材10を先付けする場合における横目地止水構造体31の組付け手順(
図5の(c)参照)と同様である。
【0071】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。