特許第6706135号(P6706135)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706135
(24)【登録日】2020年5月19日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/00 20200101AFI20200525BHJP
   D06F 17/10 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   D06F39/00 Z
   D06F17/10 C
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-91067(P2016-91067)
(22)【出願日】2016年4月28日
(65)【公開番号】特開2017-196270(P2017-196270A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 具典
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−329594(JP,A)
【文献】 特開2001−087587(JP,A)
【文献】 特開2011−088979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 17/10
D06F 39/00−39/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯水を溜めることが可能な水槽と、
前記水槽内に回転可能に設けられた洗濯槽と、
給水径路を通して前記洗濯槽内に給水する給水装置と、
前記給水径路に設けられウルトラファインバブルを発生させるファインバブル発生装置と、
前記洗濯水に対して超音波を照射可能な超音波発生装置とを備え、
前記洗濯槽の底部には、ポンプ羽根を有するパルセータが設けられてポンプ室が構成されると共に、該ポンプ室の洗濯水を前記洗濯槽上部まで揚水して吐出する通水路が設けられ、
前記超音波発生装置は、前記水槽の底部であって、前記ポンプ室の下方に設けられており、
少なくとも洗い行程において、前記ファインバブル発生装置により発生したウルトラファインバブルを含む洗濯水に、前記超音波発生装置により超音波を照射する洗濯機。
【請求項2】
洗濯水を溜めることが可能な水槽と、
前記水槽内に回転可能に設けられた洗濯槽と、
給水径路を通して前記洗濯槽内に給水する給水装置と、
前記給水径路に設けられウルトラファインバブルを発生させるファインバブル発生装置と、
前記洗濯水に対して超音波を照射可能な超音波発生装置と、
前記水槽内底部の洗濯水を吸込んで該水槽の上部から供給する循環水路と、
前記循環水路内を循環させるための循環ポンプとを備え、
前記超音波発生装置は、前記循環水路に設けられており、
少なくとも洗い行程において、前記ファインバブル発生装置により発生したウルトラファインバブルを含む洗濯水に、前記超音波発生装置により超音波を照射する洗濯機。
【請求項3】
前記超音波発生装置は、前記循環水路のうち、前記循環ポンプの出口側に設けられている請求項2記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水中に形成される例えば直径が数十nm〜数百nmのファインバブル(ウルトラファインバブル(ナノバブル)又はマイクロバブル)が注目されてきており、多数のファインバブルを含んだファインバブル水を洗浄用途に用いることが考えられている。例えば特許文献1には、ディスプレイ基板を洗浄する際に、純水等の液体にファインバブルを含ませたファインバブル水を使用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−73848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
衣類を洗濯する洗濯機にも、ファインバブル水を用いることが考えられるが、洗濯機に適用するにあたって、優れた洗浄性を得ることが要望される。
そこで、ファインバブル水を用いることができるものにあって、優れた洗浄性を得ることができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の洗濯機は、洗濯水を溜めることが可能な水槽と、前記水槽内に回転可能に設けられた洗濯槽と、給水径路を通して前記洗濯槽内に給水する給水装置と、前記給水径路に設けられウルトラファインバブルを発生させるファインバブル発生装置と、前記洗濯水に対して超音波を照射可能な超音波発生装置とを備え、前記洗濯槽の底部には、ポンプ羽根を有するパルセータが設けられてポンプ室が構成されると共に、該ポンプ室の洗濯水を前記洗濯槽上部まで揚水して吐出する通水路が設けられ、前記超音波発生装置は、前記水槽の底部であって、前記ポンプ室の下方に設けられており、少なくとも洗い行程において、前記ファインバブル発生装置により発生したウルトラファインバブルを含む洗濯水に、前記超音波発生装置により超音波を照射する。
【0006】
尚、実施形態におけるファインバブル発生装置は、直径が50nm〜1μm程度のウルトラファインバブルを含んだ微細な気泡を発生させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態を示すもので、洗濯機の構成を概略的に示す縦断正面図
図2】第2給水弁部分の構成を概略的に示す縦断面図
図3】第2の実施形態を示すもので、洗濯機の構成を概略的に示す縦断正面図
図4】第3の実施形態を示すもので、洗濯機の構成を概略的に示す縦断正面図
図5】第4の実施形態を示すもので、洗濯機の構成を概略的に示す縦断正面図
図6】第5の実施形態を示すもので、洗濯機の構成を概略的に示す縦断正面図
図7】第6の実施形態を示すもので、第2給水弁部分の構成を概略的に示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)第1の実施形態
以下、いわゆる縦軸型の洗濯機に適用した第1の実施形態について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る洗濯機1の全体構成を概略的に示しており、この洗濯機1は、例えば鋼板から全体として矩形箱状に構成された外箱2の上部に、合成樹脂製のトップカバー3を備えている。前記外箱2内には、洗濯水を溜めることが可能な水槽4が、周知構成の弾性吊持機構(図示せず)により弾性的に吊り下げ支持されて設けられている。尚、図示はしないが、水槽4の底部には、排水口が形成され、この排水口に、排水弁を備えた排水路が接続されている。
【0009】
前記水槽4内には、脱水槽を兼用する縦軸型の洗濯槽5が回転可能に設けられている。この洗濯槽5は、有底円筒状をなし、その周壁部には、図示しない多数個の脱水孔が形成されている。この洗濯槽5の上端部には、例えば液体封入形の回転バランサ6が取付けられている。また、洗濯槽5の内底部には、パルセータ7が配設されている。洗濯槽5内には、図示しない衣類が収容されるようになっており、衣類の洗い、すすぎ、脱水等の行程からなる洗濯運転が行われる。
【0010】
本実施形態では、洗濯槽5の内底部には、前記パルセータ7が配置される円形の凹状領域が設けられ、前記パルセータ7との間にポンプ室8が形成されるようになっている。このとき、前記パルセータ7は、表面(上面)に回転水流生成用の凸部7aを有する円盤状をなし、また、その盤面を上下に貫通するように複数個の通水孔(図示せず)が形成されている。また、このパルセータ7の裏面には、複数枚のポンプ羽根9が一体に設けられている。このポンプ羽根9は、中心部から放射方向(半径方向)に延びる薄板状をなしている。前記ポンプ室8の外周部の、角度が120度間隔離れた3箇所に、流出口8a(2個のみ図示)が設けられている。
【0011】
そして、前記洗濯槽5の側壁部には、各流出口8aから上方に延びるようにして、洗濯水を前記ポンプ室8から揚水するための3個(2個のみ図示)の通水路10が設けられている。これら通水路10は、洗濯槽5内の上部の回転バランサ6の下方に吐出口10aを有している。これにて、ポンプ室8におけるパルセータ7つまりポンプ羽根9の回転により、洗濯槽5内の洗濯水(後述する、洗剤が溶けたファインバブル水、或いはすすぎ用の水)が、ポンプ室8の3つの流出口8aから外周方向に向けて吐出される。さらに、その洗濯水が通水路10内を上昇(揚水)し、吐出口10aから洗濯槽5内に吐出(散水)される。
【0012】
また、前記水槽4の外底部には、周知構成の駆動機構11が配設されている。詳しい図示及び説明は省略するが、この駆動機構11は、例えばアウタロータ形のDC三相ブラシレスモータからなる洗濯機モータを備えると共に、その洗濯機モータの駆動力を前記パルセータ7又は洗濯槽5に選択的に伝達するクラッチ機構等を備えている。洗濯機モータ及びクラッチ機構は、図示しない制御装置により制御され、洗い時及びためすすぎ時には洗濯槽5の固定(停止)状態で、洗濯機モータの駆動力をパルセータ7に伝達してパルセータ7を低速で直接正逆回転駆動する。また、脱水すすぎ時や脱水時等には、クラッチ機構は、洗濯機モータの駆動力を洗濯槽5に伝達し、洗濯槽5(及びパルセータ7)を一方向に高速で回転駆動するようになっている。
【0013】
前記トップカバー3には、前記水槽4(洗濯槽5)内に給水を行う給水装置12が設けられる。本実施形態では、この給水装置12は、給水径路13や、後述する3個の給水弁等を備えている。前記給水径路13は、水道等の給水源に接続されるホース接続口14、このホース接続口14から3本に分岐して延びる第1径路15、第2径路16、第3経路17、注水ケース18、注水ケース18の出口部である注水口19から構成される。注水ケース18内には、洗剤が収容される洗剤収容部18aと、柔軟剤等が収容される柔軟剤収容部18bとが設けられている。この注水ケース18の洗剤収容部18aが、洗剤投入部として機能する。
【0014】
前記第1径路15及び第2径路16は、そのうち洗剤収容部18aに接続され、第3経路17は、柔軟剤収容部18bに接続されている。そして、前記第1径路15には、メイン用の第1給水弁20が設けられ、第2径路16にはファインバブル用の第2給水弁21が設けられ、第3径路17には、柔軟剤用の第3給水弁22が設けられている。これら給水弁20、21、22は、後述する図2にも示すように、電磁的に開閉動作する開閉弁からなり、前記制御装置により制御される。
【0015】
これにて、メイン用の第1給水弁20が開放されると、給水源からの水が第1径路15を通って注水ケース18の洗剤収容部18aに流れ、洗剤が収容されている場合にはその洗剤を溶かしながら注水口19から排出され、水槽4内に注水される。また、ファインバブル用の第2給水弁21が開放されると、給水源からの水が第2径路16を通って注水ケース18の洗剤収容部18aに流れ、洗剤が収容されている場合にはその洗剤を溶かしながら注水口19から排出され、水槽4内に注水される。
【0016】
更に、柔軟剤用の第3給水弁22が開放されると、給水源からの水が第3径路17を通って注水ケース18の柔軟剤収容部18bに流れ、柔軟剤が収容されている場合にはその柔軟剤を溶かしながら注水口19から排出され、水槽4内に注水される。尚、図示はしないが、このトップカバー3には、衣類の出入口、その出入口を開閉する蓋、操作パネル等も設けられている。
【0017】
さて、本実施形態では、前記給水径路13のうち第2径路16部分、この場合、前記第2給水弁21の下流側である出口部に組込まれるようにして、後述するファインバブル発生装置としてのバブル発生ユニット23が設けられている。
【0018】
これと共に、本実施形態では、水槽4内の洗濯水に超音波を照射して超音波振動させるための超音波発生装置24が設けられている。この超音波発生装置24は、圧電素子により超音波振動する超音波振動子及び前記圧電素子に高周波電圧を印加する給電回路を備えた周知構成を備え、水槽4の底部であり、前記ポンプ室8の下方に位置して設けられている。この超音波発生装置24は、前記制御装置により制御され、例えば15MHzの超音波を出力する。
【0019】
ここで、前記バブル発生ユニット23について述べる。図2は、上記第2の給水弁21部分を示している。この第2給水弁21は、ボディ21aの図で右側に位置する入口部25と、図で下側に位置する出口部26とをつなぐ中空状の弁室21bを有すると共に、その弁室21b内で前記出口部26側の弁座26aに対して接離することにより出口部26を開閉するダイヤフラム弁27、そのダイヤフラム弁27を駆動するソレノイドからなる弁駆動機構28を備えて構成されている。尚、前記第1の給水弁20や第3の給水弁22も、以上述べた基本的構成に関して、第2の給水弁21と同等の構成を備えている。
【0020】
本実施形態では、第2の給水弁21の出口部26部分に位置して、ベンチュリ管の原理を利用したバブル発生ユニット23が、ボディ21aに組込まれた形態で設けられている。このバブル発生ユニット23は、例えば合成樹脂から軸方向を図で上下方向とした円柱状をなし、図で上下方向に延びる流路29が形成されている。流路29は、バブル発生ユニット23の上下両端端面で開口し、図で上端側の開口部が流入口29aとされ、図で下端側の開口部が流出口29bとされている。
【0021】
そして、前記流路29の中間部に、流路断面積が最も小さくなる絞り部29cが形成されている。流路29は、流入口29aから絞り部29cまでの間が、次第に流路断面積が小さくなっていくテーパ状に構成され、絞り部29cから流出口29bまでの間が、次第に流路断面積が大きくなっていくテーパ状に構成されている。更に、バブル発生ユニット23には、絞り部29cの流路を更に狭めるようにして、4個の突出部30(2個のみ図示)が設けられている。これら突出部30は、90度間隔で絞り部29cの外周側から内側に凸となるように設けられ、これによって、絞り部29cの断面が十文字(×字)のスリット状となっている。
【0022】
このようなバブル発生ユニット23においては、第2の給水弁21の開放によって水が流入口29aから流路29内に流入すると、絞り部29cまで流路断面積が絞られることによって、流体力学のいわゆるベンチュリ効果により、流速が高められて、圧力が急激に低下される。これにより、水中に溶存している空気を微細な気泡として多量に析出させることができる。
【0023】
本実施形態のバブル発生ユニット23により、直径が50nm〜1μm程度のウルトラファインバブル、及び、直径が1μm〜数百μm程度のマイクロバブルを含んだファインバブルを多量に発生させることができる。このようにバブル発生ユニット23を通ることによって、多量のファインバブルを含んだ水(以下、ファインバブル水と称する)が、流出口29bから流出され、第2径路16を通って注水ケース18(洗剤収容部18a)に流入し、洗剤が投入されて注水口19から水槽4内に注水される。尚、このバブル発生ユニット23に関しては、本出願人の先の出願に係る、特願2014−129097号に詳しい。
【0024】
このとき、次の作用説明で述べるように、制御装置は、主としてそのソフトウエア構成により、洗い行程開始時の給水時において、第2給水弁21を開放させて(第1給水弁20及び第3給水弁2は閉塞)、バブル発生ユニット23を通してファインバブル水を供給する。これにて、ファインバブル水に洗剤が溶け込んだ洗濯水が、水槽4(洗濯槽5)内に溜められて洗い行程が実行される。そして、制御装置は、洗い行程においては、前記超音波発生装置24を駆動させ、洗濯水に超音波を照射させるようになっている。尚、洗い行程後のすすぎ行程等においては、第1給水弁20を用いて給水が行われ、最終のためすすぎ行程においては、第3給水弁22を開放させて、柔軟剤が溶け込んだ水が水槽4内に供給されるようになっている。
【0025】
次に、上記構成の洗濯機1の作用について述べる。洗濯運転を開始するにあたっては、ユーザは、洗濯槽5内に洗濯する衣類を収容すると共に、注水ケース18の洗剤収容部18aに所要量の洗剤を収容させておいた上で、操作パネルにて開始操作を行う。すると、制御装置は、洗い、すすぎ、脱水などの行程からなる洗濯運転を自動で実行するのであるが、上記したように、まず洗い行程開始時の給水時においては、第2給水弁21を開放し、水道などの給水源からの水を、第2径路16を通して注水ケース18の洗剤収容部18aに供給する。
【0026】
この第2給水弁21の開放によって、水はバブル発生ユニット23を通り、その際に多量のファインバブルが発生してファインバブル水となって注水ケース18に供給される。そして、ファインバブル水が、洗剤収容部18aの洗剤を溶かしながら流れ、注水口19から水槽4内に注水される。水槽4内の所定水位の給水が行われると、第2給水弁21が閉塞され、洗い行程が開始される。この洗い行程では、パルセータ7が正逆回転駆動されると共に、超音波発生装置24が動作される。超音波発生装置24の動作により、水槽4内の洗濯水、特にポンプ室8内の洗濯水に超音波が照射される。
【0027】
前記パルセータ7の正逆回転により、洗濯槽5内に回転水流が生成されて洗濯水中で衣類が回転すると共に、衣類が凸部7aに対する接触による摩擦力を受けるようになる。さらに、パルセータ7のポンプ羽根9の作用により、ポンプ室8内の洗濯水が通水路10を上昇(揚水)され、吐出口10aから洗濯槽5内に吐出されて衣類に上方から注がれる。所定時間の洗い行程が終了すると、パルセータ7及び超音波発生装置24が停止され、水槽4からの排水が行われた後、すすぎや脱水の行程が実行される。これらすすぎや脱水の行程では、第2給水弁21は使用されず、また超音波発生装置24は動作されない。
【0028】
ここで、上記ファインバブルは、液体中例えば水中で、不規則な運動を生ずるブラウン運動を起こし、その速度は浮上速度よりも速いため、長時間に渡って液体中に止まる性質を有する。そして、ファインバブルの表面はマイナスに帯電しているため、洗濯水に含まれている塊りとなっていた洗剤分(界面活性剤)をばらすようにしながら吸着し、洗剤の分散性を向上させる役割を果たす。ファインバブル同士は反発し合い、結合することがない。また、そのように洗剤分を吸着したファインバブルは、衣類の繊維の隙間(例えば10μm)中に容易に入り込み、効率よく洗剤を衣類の内部に運んで汚れをはがすことができ、その汚れの衣類への再付着を抑制する。
【0029】
この場合、バブル発生ユニット23によりファインバブル水とされた後に、そのファインバブル水に洗剤が投入されるように構成されているので、ファインバブル濃度が高い状態の洗濯水中に、洗剤を効果的に分散させることができる。尚、それとは逆に、洗剤を水に投入した後にファインバブルを発生させる場合には、洗濯水が過剰に泡立ってしまって微細なファインバブルを十分に発生させることができなくなり、ファインバブル濃度が低下してしまう虞がある。
【0030】
上記のようなファインバブルの機能により、無数のファインバブルが含まれたファインバブル水に洗剤を溶かした洗濯水を用いて洗い行程を行うことにより、優れた洗浄作用を得ることができる。そして、それに加えて、洗い行程では、超音波発生装置24により、洗濯水に例えば15MHzの超音波が照射されることにより、洗濯水中のファインバブルがはじけるようになり、その破裂の際に発生するエネルギー(衝撃波)によって衣類から汚れを引きはがしたり、更に洗剤分を細かく分散させて汚れに作用させたりする作用を呈する。
【0031】
これと共に、超音波によるキャビテーションによって、洗濯水中に新たな微細なファインバブルを発生させることができ、洗濯水に含まれるファインバブルの量を確保し、ファインバブルの減少に伴う洗浄性の低下を抑制することができる。このとき、ポンプ室8において超音波を照射した状態の洗濯水が、通水路10を通して水槽4上部において吐出されるようになる。洗濯槽5の上部に存在する衣類にも、超音波を照射したファインバブル水をかけることができ、より効果的となる。
【0032】
以上のように、本実施形態によれば、ファインバブル水を用いて洗い行程を実行できるものにあって、単純にファインバブル水を用いたものに比べて、衣類の繊維からの汚れの除去能力をより一層高めることができ、優れた洗浄性を得ることができるという効果を奏する。
【0033】
特に本実施形態では、超音波発生装置24を水槽4の底部に設けるようにしたので、水槽4内の洗濯水の水位が低水位の場合でも、超音波を確実に照射することが可能となり、パルセータ7の機械力との相乗効果により、洗浄性を高めることができる。また、ファインバブルを発生させるための装置として、コンパクトなバブル発生ユニット23を採用すると共に、バブル発生ユニット23を、給水装置12内の第2給水弁21の下流側に設けるようにしたので、ファインバブルを発生させるための装置を自由度高くコンパクトに配置することができるといった利点も得ることができる。
【0034】
(2)第2、第3の実施形態
図3は、第2の実施形態に係る洗濯機41の構成を概略的に示している。尚、以下に述べる各実施形態においては、上記第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して新たな説明を省略することとし、上記第1の実施形態と異なる点について説明する。この第2の実施形態の洗濯機41が上記第1の実施形態と異なるところは、トップカバー3に設けられる給水装置42の構成、並びに洗剤投入部43の構成にある。
【0035】
即ち、前記給水装置42は、やはり、水道等の給水源に接続されるホース接続口14、このホース接続口14から3本に分岐して延びる第1径路15、第2径路16、第3経路17を有する給水径路13を備える。第1径路15には、メイン用の第1給水弁20が設けられ、第2径路16には、ファインバブル用の第2給水弁21が設けられ、第3径路17には、柔軟剤用の第3給水弁22が設けられている。第1径路15は、注水口19に直接接続されており、第3径路17は、柔軟剤収容ケース44を介して注水口19に接続されている。
【0036】
これに対し、第2径路16の出口部は、水槽4と洗濯槽5との隙間の上方に配置されている。これと共に、第2径路16の途中部(第2給水弁21よりも下流側)に、ファインバブル発生装置としてのバブル発生ユニット23が設けられている。そして本実施形態では、洗濯槽5の内壁部に、上下方向に延び上下両端部が開口した管状の洗剤供給部43が設けられており、その上端の口部が洗剤投入口43aとされている。尚、水槽4の底部には、超音波発生装置24が設けられている。
【0037】
この第2の実施形態においては、洗濯運転を行う際には、ユーザは、洗剤投入口43aから所要量の洗剤を投入しておく。すると、洗剤は、洗剤供給部43を通って、洗濯槽5の底部に衣類と接しない状態で収容される。洗い行程時の給水が開始されると、第2給水弁21が開放され、第2径路16を通る水が、バブル発生ユニット23を通り、その際に多量のファインバブルが発生してファインバブル水となる。そのファインバブル水が、第2径路16の出口から水槽4内に注水され、水槽4底部の洗剤が溶けて洗濯水となる。また、洗い行程が開始されると、超音波発生装置24により、水槽4内の洗濯水に超音波が照射される。
【0038】
このような第2の実施形態においても、洗い行程において、バブル発生ユニット23により発生したファインバブルを含む洗濯水に、超音波発生装置24により超音波を照射する構成としたので、ファインバブル水を用いることができるものにあって、衣類の繊維からの汚れの除去能力をより一層高めることができ、優れた洗浄性を得ることができる等の、上記第1の実施形態と同様の優れた効果を奏する。
【0039】
図4は、第3の実施形態を示すものである。この第3の実施形態に係る洗濯機51が上記第1の実施形態と異なる点は、超音波発生装置24を、水槽4の底部のうち、ポンプ室8の下方ではなく、水槽4の側壁部に設けた構成にある。このような構成であっても、洗い行程において、バブル発生ユニット23により発生したファインバブルを含む洗濯水に、超音波発生装置24により超音波を照射することにより、ファインバブル水を用いることができるものにあって、衣類の繊維からの汚れの除去能力をより一層高めることができ、優れた洗浄性を得ることができるという優れた効果を奏する。
【0040】
(3)第4〜第6の実施形態、その他の実施形態
図5は、第4の実施形態に係る洗濯機61の構成を示している。この第4の実施形態の洗濯機61が、上記第1の実施形態と異なるところは、水槽4の外側に、水槽4の底部の洗濯水を吸込んで、水槽4の上部から洗濯槽5内に供給(注水)する管状の循環水路62を設けた点にある。尚、循環水路62を設けたことに伴い、ポンプ羽根9のない形態のパルセータ65が採用され、ポンプ室8や通水路10を省略したものとされている。
【0041】
前記循環水路62は、吸込み側端部が、水槽4の外底部に接続され、側方に延びた後、水槽4の外側を上方へ延び、吐出側の上端部が洗濯槽5の上方に配置されている。この循環水路62の途中部には、洗濯水を循環させるための循環ポンプ63が設けられ、この循環ポンプ63の上流側に位置して、超音波発生装置64が設けられている。
【0042】
この構成においては、ファインバブル水に洗剤が溶け込んだ洗濯水が水槽内に供給され、洗い行程が開始されると、循環ポンプ63が駆動されることにより、水槽4内の洗濯水が、水槽4底部から循環水路62に吸込まれ、循環水路62を水槽4の上部まで運ばれ、洗濯槽5に対し上方から注水するといった循環が行われる。その際に、洗濯水が超音波発生装置64を通ることで、洗濯水に超音波が照射される。
【0043】
このような第4の実施形態によれば、洗い行程において、バブル発生ユニット23により発生したファインバブルを含む洗濯水に、超音波発生装置64により超音波を照射する構成としたので、ファインバブル水を用いることができるものにあって、衣類の繊維からの汚れの除去能力をより一層高めることができ、優れた洗浄性を得ることができる等の、上記第1の実施形態と同様の優れた効果を奏する。特に本実施形態では、循環水路62を通る際の洗濯水に超音波を照射することにより、水槽4(洗濯槽5)上部に存在する衣類にも、超音波を照射したファインバブル水をかけることができ、より効果的となる。
【0044】
図6は、第5の実施形態に係る洗濯機71の構成を示しており、上記第4の実施形態の洗濯機61と異なる点は、循環水路62を設けたものにあって、超音波発生装置72を、循環水路62のうち、循環ポンプ63の出口側(下流側)に設けた構成にある。これによれば、上記第4の実施形態と同等の効果を得ることができる。そして、超音波を照射したファインバブル水が循環ポンプ63を通る構成の場合には、循環ポンプ63に悪影響を与える虞が考えられるが、そのような不具合を未然に防止しながら、超音波を照射したファインバブル水を、循環水路62を通して水槽4(洗濯槽5)の上部から供給することができる。
【0045】
図7は、第6の実施形態を示すもので、この第6の実施形態が上記第1の実施形態と異なる点は、第2給水弁81部分の構成にある。即ち、本実施形態では、ファインバブル発生装置としてのバブル発生ユニット82が、第2給水弁81のボディ81aの入口部83部分に組込まれている。第2給水弁81は、第1の実施形態の第2給水弁21と同様に、ボディ21aの図で右側に位置する入口部83と、図で下側に位置する出口部26とをつなぐ中空状の弁室21bを有すると共に、その弁室21b内で出口部26側の弁座26aに対して接離することにより出口部26を開閉するダイヤフラム弁27、そのダイヤフラム弁27を駆動するソレノイド等の弁駆動機構28を備えて構成されている。
【0046】
そして、バブル発生ユニット82は、上記第1の実施形態のバブル発生ユニット23と同様にベンチュリ管の原理を利用したもので、やはり、図で右端側の流入口84aから左端の流出口84bまで延びる流路84が形成され、流路84の中間部に、流路断面積が最も小さくなる絞り部84cが形成されている。流路84は、流入口84aから絞り部84cまでの間が、次第に流路断面積が小さくなっていくテーパ状に構成され、絞り部84cから流出口84bまでの間が、次第に流路断面積が大きくなっていくテーパ状に構成されている。絞り部84cの流路を更に狭めるようにして、4個の突出部85(2個のみ図示)が設けられている。尚、バブル発生ユニット82の流入口84aの外側には、流入口84aの流路調整用の弁体86が設けられている。
【0047】
かかる構成においても、洗い行程開始時の給水時において、第2給水弁81が開放されることにより、水が流路84内を流れることによって水中に溶存している空気を微細な気泡として多量に析出させることができ、バブル発生ユニット82を通してファインバブル水を水槽4(洗濯槽5)内に供給することができる。この場合も、バブル発生ユニット82をコンパクトに配置することが可能となる。
【0048】
尚、上記した各実施形態に限定されるものではなく、図示は省略するが、例えば次のような拡張、変更も可能である。即ち、複数の給水径路に夫々給水弁を設ける構成としたが、第1径路と第2径路との切替えを1個の切替弁によって行う構成としても良い。ファインバブル発生装置の構成や、設ける位置としても、様々な変更が可能である。洗い行程に加えてすすぎ行程においてもファインバブル水を用いるようにしても良い。
【0049】
その他、縦軸型の洗濯機に限らず、ドラム式の洗濯機や二槽式洗濯機など洗濯機全般に適用することができ、また、縦軸型であっても水槽には貯水せず、その内側の洗濯槽にのみ貯水するタイプの洗濯機にも適用可能であり、更には、超音波発生装置の構成や設ける位置、更には洗剤投入部の構成や給水装置の全体構成等についても、様々な変更が可能である等、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【符号の説明】
【0050】
図面中、1、41、51、61、71は洗濯機、4は水槽、5は洗濯槽、7、65はパルセータ、8はポンプ室、9はポンプ羽根、10は通水路、12、42は給水装置、13は給水径路、18aは洗剤収容部(洗剤投入部)、21、81は第2給水弁、23、82はバブル発生ユニット(ファインバブル発生装置)、24、64、72は超音波発生装置、43は洗剤投入部、62は循環水路、63は循環ポンプを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7