特許第6706225号(P6706225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6706225小断面ケーソン橋脚における鋼管シャフト内部へのコンクリート充填方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706225
(24)【登録日】2020年5月19日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】小断面ケーソン橋脚における鋼管シャフト内部へのコンクリート充填方法
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/02 20060101AFI20200525BHJP
   E02D 23/00 20060101ALI20200525BHJP
   E02D 27/32 20060101ALI20200525BHJP
【FI】
   E01D19/02
   E02D23/00 B
   E02D23/00 Z
   E02D27/32 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-126215(P2017-126215)
(22)【出願日】2017年6月28日
(65)【公開番号】特開2019-7302(P2019-7302A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2019年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】303056368
【氏名又は名称】東急建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】前田 欣昌
(72)【発明者】
【氏名】篠原 寛
(72)【発明者】
【氏名】一安 勝印
(72)【発明者】
【氏名】樋口 春樹
【審査官】 田島 拳士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平4−277249(JP,A)
【文献】 特開平7−197473(JP,A)
【文献】 特開平5−311745(JP,A)
【文献】 特開平6−146305(JP,A)
【文献】 特開2010−150818(JP,A)
【文献】 特開2003−041598(JP,A)
【文献】 特開2001−295469(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0196341(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 19/02
E02D 23/00−23/16
E02D 27/32−27/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小断面ケーソン橋脚における鋼管シャフト内部へのコンクリート充填方法であって、
前記鋼管シャフトの内壁に沿って断熱層を形成し、
前記断熱層より内側にコンクリートを充填することを特徴とする、小断面ケーソン橋脚における鋼管シャフト内部へのコンクリート充填方法。
【請求項2】
請求項1に記載の小断面ケーソン橋脚における鋼管シャフト内部へのコンクリート充填方法において、
前記断熱層はコンクリート製であることを特徴とする、小断面ケーソン橋脚における鋼管シャフト内部へのコンクリート充填方法。
【請求項3】
請求項1に記載の小断面ケーソン橋脚における鋼管シャフト内部へのコンクリート充填方法において、
前記断熱層は断熱材からなることを特徴とする、小断面ケーソン橋脚における鋼管シャフト内部でのコンクリート充填方法。
【請求項4】
請求項1に記載の小断面ケーソン橋脚における鋼管シャフト内部へのコンクリート充填方法において、
前記断熱層は空気層とし、
前記空気層より内側にコンクリートを充填した後、前記空気層にコンクリートを充填することを特徴とする、小断面ケーソン橋脚における鋼管シャフト内部へのコンクリート充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小断面ケーソン工法で構築したケーソン橋脚の鋼管シャフト内部へのコンクリート充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ケーソンの断面寸法が小さい小断面ケーソンにおいて、機械化掘削を行う工法(スリムケーソン工法)が広く行われている。
小断面ケーソンは、図4に示すように、掘削部に人が出入りするためのマンロックと、資機材や土砂を搬出入するためのマテリアルロックを一体化したペアロックを内部に配置する。そして、ペアロックの上部に配置するペアシャフトと共に、それらの外郭は円形の鋼管シャフトで形成されている。
【0003】
小断面ケーソン工法によって、水面上にケーソン橋脚を構築する場合には、躯体最下部の着底後、水面上までケーソン橋脚を構築したら、鋼管シャフト内の各設備を搬出し、鋼管シャフト内部にコンクリートを充填して硬化させることでケーソン橋脚の強度を確保する(図5)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鋼管シャフトの内部にコンクリートを充填して硬化させる際、発生する水和熱が大きいと水和熱により鋼管シャフトが熱膨張する。
ケーソン橋脚の断面形状は長方形であり、鋼管シャフトが熱膨張すると、鋼管シャフト外側のコンクリートの厚さが薄い短辺方向に、鋼管シャフトの変形が進んで鋼管シャフト外側のコンクリートが引張を受け、ひび割れが発生するおそれがある(図6)。
図7は、コンクリート充填時のケーソン橋脚の変形の3次元FEM温度応力解析の結果(ひび割れ指数)を1/4モデルに図示したものであり、鋼管シャフトの外側の、コンクリートの厚さが薄い部位でひび割れ指数が小さく(ひび割れ発生確率が高く)なることがわかる。なお1/4モデルは、ケーソン橋脚を表示しているが、鋼管シャフト、充填コンクリートは表示していない。
【0005】
本発明は上記のような従来技術の問題点に鑑みて、鋼管シャフトの熱膨張を抑制し、ケーソン橋脚のひび割れを防止する、小断面ケーソン橋脚における鋼管シャフト内部へのコンクリート充填方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本願の発明は、小断面ケーソン橋脚における鋼管シャフト内部へのコンクリート充填方法であって、鋼管シャフトの内壁に沿って断熱層を形成し、断熱層より内側にコンクリートを充填することを特徴とするものである。断熱層により、内側に充填したコンクリートの硬化時に発生する水和熱が鋼管シャフトに伝達することを防ぐことで、鋼管シャフトの熱膨張を抑制し、鋼管シャフト外側のコンクリートのひび割れを防止する。
断熱層は、コンクリート製でもよい。コンクリート製の断熱層は鋼管シャフトの内壁に沿って形成するためコンクリート量が少なく、そのため発生する水和熱が少なくなり、鋼管シャフトの熱膨張も小さく、鋼管シャフト外側のコンクリートのひび割れを防止する。
断熱層は、断熱材によって形成してもよい。断熱材を貼り付けて断熱層とするため、施工が容易である。
断熱層は空気層とし、空気層より内側にコンクリートを充填した後、空気層にコンクリートを充填してもよい。空気層より内側にコンクリートを充填する際には空気層が断熱層となり、水和熱が鋼管シャフトに伝達することを防ぐことができる。また、その後空気層に充填するコンクリート量は少なく、そのため発生する水和熱が少なくなり、鋼管シャフトの熱膨張も小さく、鋼管シャフト外側のコンクリートのひび割れもない。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
(1)鋼管シャフトの内壁に沿って断熱層を形成することにより、断熱層より内側に充填したコンクリートの硬化時に発生する水和熱が鋼管シャフトに伝達することを防ぎ、鋼管シャフトの熱膨張を抑制し、鋼管シャフト外側のコンクリートのひび割れを防止することができる。
(2)断熱層をコンクリート製とし、断熱層形成時に用いた型枠を脱型することにより、鋼管シャフト内部にはコンクリートのみが充填される。
(3)断熱材を貼り付けて断熱層とするため、施工が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1にかかる本発明の小断面ケーソン橋脚における鋼管シャフト内部へのコンクリート充填方法
図2】実施例2にかかる本発明の小断面ケーソン橋脚における鋼管シャフト内部へのコンクリート充填方法
図3】実施例3にかかる本発明の小断面ケーソン橋脚における鋼管シャフト内部へのコンクリート充填方法
図4】小断面ケーソンの説明図
図5】小断面ケーソン工法によって構築したケーソン橋脚の説明図
図6】鋼管シャフトの熱膨張による変形の説明図
図7】コンクリート充填時のケーソン橋脚の変形の3次元FEM温度応力解析の結果の説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0010】
[1]小断面ケーソン橋脚における鋼管シャフト内部へのコンクリート充填方法
<1>本発明の概要
本発明は、小断面ケーソン工法により構築したケーソン橋脚1中の、鋼管シャフト2内部にコンクリートを充填する方法である(図1(c))。
本発明は、鋼管シャフト2の内壁に沿って断熱層4を形成した状態で、断熱層4より内側に充填コンクリート3を充填する。
以下、その方法について説明する。
【0011】
<2>型枠の配置
まず、鋼管シャフト2の内壁から所定の距離に、型枠5を構築する(図1(a))。
型枠5は木製の板材を組み合わせる他、コルゲート管や鋼製型枠(メタルフォーム)、発泡スチロール等であってもよい。
【0012】
<3>断熱層の形成
次に、鋼管シャフト2の内壁と型枠5との間にコンクリートを充填して、断熱層4を構築する(図1(b))。
断熱層4を構築するためのコンクリートの量は、鋼管シャフト2全体にコンクリートを充填する場合と比べて少ないため、発生する水和熱も少なくなり、鋼管シャフト2の熱膨張も小さく、鋼管シャフト外側のケーソン橋脚1のひび割れを防止する。
断熱層4を構築する際には、型枠5内部に水を注入しておいてもよい。水を注入しておくことで、断熱層4に充填したコンクリートの温度上昇を抑制することができる。
断熱層4の厚みは、鋼管シャフト外側のケーソン橋脚1のひび割れを防止できる厚さであればよく、施工性や設計上の制約から適宜設定することができる。
【0013】
<4>充填コンクリートの打設
断熱層4のコンクリートが硬化した後、型枠5を脱型し、その後、断熱層4より内側に充填コンクリート3を打設する(図1(c))。型枠5内部に水を注入した場合には、充填コンクリート3の打設前に排水する。型枠5が残置できる場合には、脱型せずにそのまま内側に充填コンクリート3を打設してもよい。
充填コンクリート3の量は、鋼管シャフト2全体にコンクリートを充填する場合と比べて少ないため、発生する水和熱も少ない。そして、充填コンクリート3と鋼管シャフト2との間には、コンクリートからなる断熱層4があるため、発生した水和熱による鋼管シャフト2の熱膨張が小さくなり、鋼管シャフト外側のケーソン橋脚1のひび割れを防止することができる。
充填コンクリート3が硬化すると、断熱層4のコンクリートと合わせて、鋼管シャフト2にコンクリートが充填されて硬化した状態となる。型枠5を脱型しておけば、鋼管シャフト2内部はコンクリートのみが充填された状態となる。
【実施例2】
【0014】
<1>断熱材による断熱層の形成
本実施例においては、鋼管シャフト2の内壁に沿って断熱材41を貼り付けて、断熱層を形成する(図2(a))。
断熱材41としては、発泡スチロールなどの発泡系断熱材や、グラスウールなどの繊維製断熱材が好適である。発泡スチロールやグラスウール等は、加工が容易であり、かつ軽量であることから、作業性・施工性ともに優れており、容易に断熱層を形成することができる。
そして、断熱材41で形成した断熱層より内側に充填コンクリート3を打設する(図2(b))。
充填コンクリート3の量は、鋼管シャフト2全体にコンクリートを充填する場合と比べて少ないため、発生する水和熱も少ない。そして、充填コンクリート3と鋼管シャフト2との間には、断熱材41からなる断熱層4があるため、発生した水和熱による鋼管シャフト2の熱膨張が小さくなり、鋼管シャフト外側のケーソン橋脚1のひび割れを防止することができる。
【実施例3】
【0015】
<1>空気層による断熱層の形成
本実施例においては、コルゲート管や鋼製型枠(メタルフォーム)等からなる型枠5を鋼管シャフト2内に配置し、型枠5と鋼管シャフト2との間の空気層を断熱層4とする(図3(a))。
そして、型枠5より内側に充填コンクリート3を打設する(図3(b))。
充填コンクリート3の量は、鋼管シャフト2全体にコンクリートを充填する場合と比べて少ないため、発生する水和熱も少ない。そして、充填コンクリート3と鋼管シャフト2との間には、空気層である断熱層4があるため、発生した水和熱により、鋼管シャフト2が熱膨張することがなく、鋼管シャフト外側のケーソン橋脚1がひび割れることもない。
最後に、型枠5を脱型し、その後、断熱層4部分に充填コンクリート3を打設する(図3(c))。型枠5が残置できる場合には、脱型せずにそのまま充填コンクリート3を打設してもよい。
断熱層4部分に打設する充填コンクリート3の量は、鋼管シャフト2全体にコンクリートを充填する場合と比べて少ないため、発生する水和熱も少なくなり、鋼管シャフト2の熱膨張も小さく、鋼管シャフト外側のケーソン橋脚1がひび割れることがない。
【符号の説明】
【0016】
1 ケーソン橋脚
2 鋼管シャフト
3 充填コンクリート
4 断熱層
41 断熱材
5 型枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7