【実施例】
【0022】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0023】
本実施例は、対向する上部材及び下部材間に配設される仮設支柱1と、前記上部材若しくは前記下部材と前記仮設支柱1とを連結する連結構造であって、前記上部材若しくは前記下部材の所定方向に沿って設けられる第一凹凸歯部2を有する第一連結体3と、前記第一凹凸歯部2と凹凸係合する第二凹凸歯部4を有し前記仮設支柱1の端部が取り付けられる支柱取付部6が設けられた第二連結体5(端部材5)とから成るものである。
【0024】
本実施例は、上部材若しくは下部材としての梁部材7に支持されるか若しくは該梁部材7を支持する仮設支柱1と、当該梁部材7とを連結するものである。
【0025】
仮設支柱1は、下筒体9と、下筒体9内に突没自在に設けられた上筒体10と、下筒体9に対する上筒体10の突出量を調整する突出量調整部11とを有する一般的なパイプサポートである。
【0026】
具体的には、本実施例は
図1に図示したように、床面12に立設された下側の仮設支柱1により梁部材7を支持し、この梁部材7に立設された上側の仮設支柱1により天井13を支持するものである。
【0027】
即ち、本実施例は下側の仮設支柱1の上端部と梁部材7との間、上側の仮設支柱1の下端部と梁部材7との間に夫々設けられる。梁部材7は
図1中紙面奥行き方向に延設されており、左右の梁部材7間に床部材14が架設されている。
【0028】
梁部材7は鉄骨材であり、具体的には、
図2に図示したように、ウェブ部(縦片)15の上下にフランジ部(横片)16が平行に設けられたH型鋼である。即ち、本実施例は、上下のフランジ部16と上下の仮設支柱1とを夫々連結するものである。
【0029】
第一連結体3は、
図3に図示したように梁部材7の長手方向に延設された直方体状(角棒状)であり、梁部材7のフランジ部16の左右側部(両外縁)に夫々溶接され、このフランジ部16に一体に設けられている。この第一連結体3に外向きに第一凹凸歯部2が設けられている。
【0030】
また、第一連結体3は梁部材7の長手方向に沿って所定間隔で複数設けられる(少なくとも前後両端部に設けられる。)。従って、第一凹凸歯部2は梁部材7の長手方向に沿って略水平に設けられる。具体的には第一凹凸歯部2はラック歯(第一ラック歯2)である。
【0031】
第二連結体5の支柱取付部6には仮設支柱1の端部を受ける平坦受け面が設けられ、仮設支柱1の端部(フランジ部17)と平坦受け面とを密着状態で締結する締結機構が設けられている。本実施例の締結機構は、
図4に図示したように、ボルト18とフランジ部17に穿設された貫通孔19と第二連結体5の支柱取付部6の平坦受け面に穿設された螺子孔20とで構成されている。平坦受け面の周囲(四方)には、
図5に図示したように、平坦受け面を区画し仮設支柱1の端部を平坦受け面に誘導する区画壁21が垂設されている。
【0032】
また、第二連結体5の基部の中央部に前記支柱取付部6が設けられ、この支柱取付部6の左右両側(第二連結体5の両側)には壁部8が垂設されている。この壁部8の上端部内側面に第一凹凸歯部2と対向するように第二凹凸歯部4が内向きに略水平に設けられている。第二凹凸歯部4はラック歯(第二ラック歯4)であり、前記第一ラック歯2と凹凸係合する。
【0033】
具体的には、第二連結体5の平坦受け面及び区画壁21が設けられる面の反対側面の左右両端部に壁部8が垂設されている。壁部8同士の間隔は、第一連結体3を設けたフランジ部16と略同幅に設定され、ラック歯同士を合致させた状態でフランジ部16に第二連結体5を被嵌重合できるように構成されている。
【0034】
即ち、本実施例は、梁部材7のフランジ部16に第二連結体5を被嵌重合させることで、第一ラック歯2と第二ラック歯4とが凹凸係合する。
【0035】
第一ラック歯2及び第二ラック歯4は少なくとも50mm以上の範囲で凹凸係合するように設定されている(好ましくは100mm)。具体的には、第二ラック歯4の形成長を第一ラック歯2の形成長より長くし、且つ、第一ラック歯2を50mm以上の長さで設ける。この場合、一層確実に仮設支柱1の滑動を防止できる。本実施例では、第一ラック歯2は140mm、第二ラック歯4は200mmに設定されている。
【0036】
第一ラック歯2及び第二ラック歯4の厚さは9〜40mm程度に設定される(好ましくは15mm以上)。また、第一ラック歯2と第二ラック歯4とは同一且つ均等のピッチを有する。ラック歯の具体的な構造(モジュールや圧力角等の数値)は、対向する斜面同士が互いに密着して凹凸噛合する一般的な範囲であれば適宜採用できる。
【0037】
また、本実施例においては、第一ラック歯2と第二ラック歯4との凹凸係合部を上下から挟持して凹凸係合状態を保持する凹凸係合保持機構が設けられている。
【0038】
本実施例の凹凸係合保持機構は、ボルト25と、第二連結体5の壁部8及び第一連結体3の頂面を覆う押え板22と、この押え板22の前記ボルト25が挿通する貫通孔23と、第二連結体5の前記ボルト25が挿通する貫通孔24と、ボルト25が螺合するナット26とで構成されている。従って、上下方向へのズレによりラック歯同士の噛み合いが解除されることが防止され、凹凸係合状態が良好に保持される。
【0039】
図中、符号27はフランジ部16と押え板22との間に設けられる合成樹脂製のスペーサ―であり、28はフランジ部16と第二連結体5との間に設けられる合成樹脂製のスペーサ―である。これらスペーサ―27,28は、第一連結体3のフランジ部16に対する上方若しくは下方への突出長と略同等の厚さに設定する。
【0040】
本実施例は上述のように構成したから、ラック歯同士の凹凸係合により、上部材若しくは下部材に対する仮設支柱1の滑動は確実に防止される。
【0041】
また、仮設支柱1の端部は、第二連結体5の支柱取付部6に、ボルト機構等の適宜な締結機構により締結固定することができ、第二連結体5と仮設支柱1との間での滑動も生じない構成とすることができる(H型鋼の強度低下を招かない。)。
【0042】
よって、本実施例は、上部材若しくは下部材としてH型鋼等の鉄骨材を用いた場合でも、仮設支柱と凹凸係合して堅固に連結され、仮設支柱の滑動を確実に防止できるものとなる。