(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
3次元(3D)スクリーン印刷は、例えばボトルおよび缶などの丸みを帯びた容器上に印刷する場合など、種々の産業において広く使用されている。これまでの3Dスクリーン印刷は、一般に、より小さい曲率半径(例えば約500mm未満)および/または単一の湾曲軸を有する基材に限定されている。大半の3D印刷は、半円形または放物線状の基材、および円形または長円形断面を有する円柱状基材の、外側表面または凸状表面上への印刷にさらに限定されている。これらの基材は、典型的には、ガラス(例えば、ボトル、マグカップ、ガラス等)、プラスチック(例えば、容器等)、および/または金属(例えば、缶、鋳物等)を含み得る。
【0004】
より大型、より大半径、および/または多半径の、3次元基材上にスクリーン印刷する能力は、自動車産業などの種々の産業にますます関わりの深いものになっている。より大型の3D基材では従来、基材が未だ平坦である間に印刷し、次いで例えばガラスまたはプラスチックの基材を高温で軟化させるなどにより、基材を成形して3D形状を得ることができる。しかしながら印刷媒質が、印刷後の基材の成形に必要な条件に熱的に適合しないことがあるため、大型の3D基材の湾曲面上に印刷する必要性が増大している。これは、成形プロセス中に比較的高温の成形または軟化温度へと加熱され得る、ガラス基材の場合に特に当てはまる。
【0005】
3D基材の表面を装飾する現在の方法としては、表面の一部をマスキングし、さらにこの基材にスプレーコーティングして画像を生み出すものが挙げられるが、この方法はコストおよび/または時間の掛かるものになり得るし、また一般に適切な画像解像度が実現されない。大型の湾曲面上でスクリーン印刷およびインクジェット印刷が試みられてきたが、種々の欠点、複雑さ、および/または制限を伴うものであった。
【0006】
例えば3D印刷機器は、2次元の(2D)印刷機器と比べたとき、基材とスクリーンメッシュとの間で「オフコンタクト」距離または間隙を維持するために、典型的には1以上の追加の可動部品を備えている。2Dの平坦なスクリーン印刷プロセスでは、一般に、印刷用途に応じて約1から約10mmの範囲の一定のオフコンタクト距離が維持される。3D印刷機器では従来、オフコンタクトの変動を、基材をスクリーンの下に関連つけることによって、あるいはスクリーンを固定された基材の上または周りに関連付けることによって補償する。いくつかの事例において、こういった機器は2D印刷プロセスと比べたとき、追加の可動部品を必要とし得る。
【0007】
枠およびメッシュが印刷の際に、湾曲した基材の輪郭にいくらか従うことができるよう、柔軟な面を有するスクリーン枠を使用することもできる。所定の基材の湾曲に一致するよう事前に成形された、スクリーン枠を使用することもできる。スクリーンメッシュを引っ張ったり緩めたりするために使用される機器を、スクリーン枠に取り付けて、印刷プロセスの際にメッシュを形状に合わせること、または曲げることができるようにしてもよい。しかしながら、印刷機械および/またはその個々の構成要素を夫々の所望の特徴を得るために頻繁に特注しなければならないことから、スクリーン枠および/または印刷機械のこういったさらなる構成要素および/または特徴は、3D印刷プロセスの複雑さおよび/または費用を付加し得る。さらに、このような3Dスクリーン印刷方法は、凸状表面の印刷のみまたは凹状表面の印刷のみに使用することができ、これらの両方を印刷することはできず、また単一の曲率半径を有する基材のみに使用できる。
【0008】
従って、より少ない可動部品を備え、より低コストで、および/または複雑さが低減した状態で動作することができる、3D基材にスクリーン印刷する方法および装置を提供すると有利であろう。凹状および/または凸状の基材、および/または例えば複数の半径の周囲となる湾曲などの複雑な湾曲を有する基材など、様々な形状の基材に印刷する方法および装置を提供するとさらに有利であろう。さらに、印刷機器および/またはその構成要素を特注で作る製造コストおよび/または必要性を減少させるために、少なくとも部分的に、従来の(例えば2D)基材に印刷するための既存の構成要素と併せて機能し得る、装置を提供すると有利になり得る。
【0009】
さらに、2Dスクリーン印刷機器および3Dスクリーン印刷機器は、スクリーンに圧力を加えるための1以上のスキージを採用してもよく、それにより印刷媒質の少なくとも一部を、スクリーンに通して基材上へと押し込むことができる。しかしながら特に3D基材の場合には、所望のスキージブレードの輪郭を得るために特注の機械加工を用いることが多く、これが処理コストおよび複雑さを付加し得る。従って、特殊な機械加工を必要とすることなく簡単に製造することができる、2Dおよび3Dの両方の表面に印刷するためのスキージ装置を提供すると有利であろう。
【0010】
さらに、2Dおよび3Dのスクリーン印刷用のスキージは、交換可能なものにし難いことが多く、例えば3D用のスキージを使用して平坦な表面に適切に印刷することはできず、また2D用のスキージを使用して湾曲面上に適切に印刷することはできない。例えば3D湾曲面上に印刷するためのスキージは、特に湾曲面に合うように成形されたブレードを有し得るものであり、従ってこのスキージを、平坦な表面に印刷するために交換可能なものとして用いることはできない。さらに、印刷動作中に、少量の印刷媒質がスクリーンの下面に蓄積する可能性がある。このインクは、スキージをスクリーン上に通過させることで平坦な(2D)表面上にある1枚の紙に対してスキージを押圧し、スクリーンの下面にあるいかなる印刷媒質をも除去する、クリーンプリント機能を用いて除去することが望ましい。従って、2Dおよび3Dの表面に交換可能に印刷することができ、例えば湾曲した3D基材表面上への印刷とさらに2Dクリーンプリント機能との両方を同じ印刷動作内で実行することができる、スキージを提供することが望ましい。
【0011】
従って3D基材を、実質的に平面的な2D枠付きスクリーンなど、2Dのプロセスと設備を用いて印刷することが望ましいであろう。しかしながら、2Dの平坦な表面に印刷されたときの所望の画像は、3D表面に印刷されたときの画像とは実質的に異なり得る。3D表面の湾曲に起因して、画像の位置および/またはサイズは歪められ得る。従って、2D枠付きスクリーンを用いて3D基材に印刷する現在の方法では、3D湾曲面上の画像を示す図から2D画像を「アンラップ」するために使用される、ソフトウェアを採用することがある。アンラップされると、この2D画像は2D枠付きスクリーンを作るために使用される。しかしながら、ソフトウェアのプログラムおよびアルゴリズムにおける差によって異なる結果が生じることがあり、またこれは常に成功するわけではなく、従っていくつかの事例では、正しい歪みのない3D画像を生成することができるまで何度も繰り返す必要がある。
【0012】
さらに上で論じたように、より大型の3D基材は未だ平坦である間に印刷されることが多いため、アンラップされた2D画像は、後に所望の湾曲を得るよう成形される、平坦な表面に印刷され得る。投影された図に基づく2D画像の単純な抽出は、湾曲した基材上での印刷に対して一般に実行可能なものではないため、これまでのところ湾曲面上での2D画像の印刷は不満足なものとなっている。画像の単純なアンラップでは明らかにならない種々の処理パラメータが、3D基材上に印刷する際に画像の歪みに影響を与え得る。例えば、基材の湾曲および/またはサイズ、スクリーンと基材との間のオフコンタクト距離、スクリーンのメッシュ数、スクリーンのテンション、印圧および/または印刷角度、塗布器のタイプおよび/または寸法、および/または印刷媒質のレオロジは、全て3D基材上に印刷されたときの最終的な画像に影響を与え得る。言い換えれば、スクリーン自体、使用材料、および印刷パラメータにより、2Dから3Dへの変換に対して予測される歪みよりもさらに画像は歪み得る。
【0013】
このように画像の歪みを明らかにする現在の方法は、3D画像を投影するステップ、2D画像を生成するために成分をアンラップするステップ、2D画像を2D基材上に印刷するステップ、さらに続いて2D基材を3D基材に成形するステップを含め、いくつかのステップを必要とする。これらの方法は複雑で時間の掛かるものになり得るし、また確度および速度の観点で不満足なものにもなり得る。これらの方法を用いると、正確に印刷された3D基材が得られるまで数回の反復がさらに必要になり得る。従って、より迅速および/または正確であり、かつ印刷の際に画像をさらに歪ませる可能性のある処理パラメータを明らかにする、印刷の歪みを明らかにする方法および補正する方法を提供すると有利であろう。従って3D基材を、実質的に平面的な2D枠付きスクリーンなど、2Dのプロセスと設備を用いて印刷することが望ましいであろう。しかしながら、2Dの平坦な表面に印刷されたときの所望の画像は、3D表面に印刷されたときの画像とは実質的に異なり得る。3D表面の湾曲に起因して、画像の位置および/またはサイズは歪められ得る。従って、2D枠付きスクリーンを用いて3D基材に印刷する現在の方法では、3D湾曲面上の画像を示す図から2D画像を「アンラップ」するために使用される、ソフトウェアを採用することがある。アンラップされると、この2D画像は2D枠付きスクリーンを作るために使用される。しかしながら、ソフトウェアのプログラムおよびアルゴリズムにおける差によって異なる結果が生じることがあり、またこれは常に成功するわけではなく、従っていくつかの事例では、正しい歪みのない3D画像を生成することができるまで何度も繰り返す必要がある。
【0014】
さらに上で論じたように、より大型の3D基材は未だ平坦である間に印刷されることが多いため、アンラップされた2D画像は、後に所望の湾曲を得るよう成形される、平坦な表面に印刷され得る。投影された図に基づく2D画像の単純な抽出は、湾曲した基材上での印刷に対して一般に実行可能なものではないため、これまでのところ湾曲面上での2D画像の印刷は不満足なものとなっている。画像の単純なアンラップでは明らかにならない種々の処理パラメータが、3D基材上に印刷する際に画像の歪みに影響を与え得る。例えば、基材の湾曲および/またはサイズ、スクリーンと基材との間のオフコンタクト距離、スクリーンのメッシュ数、スクリーンのテンション、印圧および/または印刷角度、塗布器のタイプおよび/または寸法、および/または印刷媒質のレオロジは、全て3D基材上に印刷されたときの最終的な画像に影響を与え得る。言い換えれば、スクリーン自体、使用材料、および印刷パラメータにより、2Dから3Dへの変換に対して予測される歪みよりもさらに画像は歪み得る。
【0015】
このように画像の歪みを明らかにする現在の方法は、3D画像を投影するステップ、2D画像を生成するために成分をアンラップするステップ、2D画像を2D基材上に印刷するステップ、さらに続いて2D基材を3D基材に成形するステップを含め、いくつかのステップを必要とする。これらの方法は複雑で時間の掛かるものになり得るし、また確度および速度の観点で不満足なものにもなり得る。これらの方法を用いると、正確に印刷された3D基材が得られるまで数回の反復がさらに必要になり得る。従って、より迅速および/または正確であり、かつ印刷の際に画像をさらに歪ませる可能性のある処理パラメータを明らかにする、印刷の歪みを明らかにする方法および補正する方法を提供すると有利であろう。
【発明を実施するための形態】
【0024】
装置
本書で開示されるのは、3次元基材の表面にスクリーン印刷する装置であり、この装置は、外縁を有する実質的に剛性の実質的に平面的な枠であって、外縁が、外縁内に所定の表面積を有する領域を画成する、枠と、この表面積の少なくとも一部を横切って延在し、枠に取り付けられている、スクリーンとを備え、スクリーンは、第1の部分であって、液体印刷媒質がこの第1の部分を通って、近接する3次元基材上へと通過することができる、第1の部分と、エマルションでコーティングされた第2の部分であって、液体印刷媒質がスクリーンの第2の部分を通過するのを、このエマルションが実質的に防ぐ、第2の部分とを含み、スクリーンは約20N/cm未満の固定のテンションを有している。
【0025】
本書では「3次元基材」という用語およびその変形は、例えば任意の所定の湾曲を有する表面など、サイズ、形状、および/または向きが変化し得る少なくとも1つの非平面および/または非水平の表面を有する、基材を示すよう意図されている。2次元基材は対照的に、平坦なシートまたはブロックなど、平坦、平面的、水平な表面を含む。
【0026】
基材は、ガラス、セラミック、ガラスセラミック、ポリマー、金属、および/またはプラスチックの材料を含み得る。例示的な基材としては、限定するものではないが、ガラスシート、成形されたプラスチック部品、金属部品、セラミック体、ガラス‐ガラス積層体、およびガラス‐ポリマー積層体を挙げることができる。
【0027】
3次元基材は、任意の形状または厚さを有するものでもよく、例えば印刷機器のサイズおよび/または向き次第で、約0.1mmから約100mm以上の範囲の厚さを有し得る。例えば3次元基材の厚さは、その間の全ての範囲および部分範囲を含め、約0.3mmから約20mm、約0.5mmから約10mm、約0.7mmから約5mm、約1mmから約3mm、または約1.5mmから約2.5mmの範囲とすることができる。3次元基材は単一の曲率半径を有するものでもよいし、あるいは2、3、4、5、またはこれを超える半径など、多数の半径を有するものでもよい。この曲率半径は、いくつかの実施形態において、その間の全ての範囲および部分範囲を含め、約600mm超、約700mm超、約800mm超、約900mm超、または約1,000mm超など、約500mm超でもよい。
【0028】
図1を参照すると、枠110およびスクリーン120を備えた、本開示による例示的なスクリーン印刷装置100の一実施の形態が示されている。スクリーン120は、パターンまたは画像を形成するエマルション130で部分的にコーティングされている。図示の実施形態において、パターンは車両の天井またはサンルーフに相当し得るが、種々の他の形状および用途が想定される。
【0029】
本書では「枠」という用語は、スクリーンの周りの実質的に剛性の外縁を形成する部品を示すよう意図されている。「スクリーン」、「メッシュスクリーン」という用語とその変形は、枠を横切って延在し、かつ枠によって画成される表面積を少なくとも部分的にカバーする、材料を示すよう意図されている。本書では、「装置」、「枠付きスクリーン装置」、「枠付きスクリーン」という用語およびその変形は、枠に固定されたスクリーンなど、枠とスクリーンとを組み合わせた、随意的にはエマルションが付加された部品を示すよう意図されている。
【0030】
枠110は、特定の用途に対してスクリーン印刷のスクリーンを支持するのに適した、任意の形状およびサイズを有し得る。例えば枠は、いくつか例を挙げれば、正方形、長方形、菱形、円形、長円形、楕円、三角形、五角形、六角形、および他の多角形、から選択される形状を有する、外縁を画成し得る。種々の実施形態によれば枠は、例えば正方形、長方形、または菱形の外縁を画成する、四辺を持つものである。枠は平面的または実質的に平面的なものでもよく、また実質的に剛性のもの、または柔軟性のないものでもよい。言い換えれば、枠は印刷前に3次元基材の湾曲の形状に従うように成形されておらず(実質的に平面的)、かつ印刷の際に3次元基材の湾曲に従うように構成されたものではない(実質的に剛性)。
【0031】
枠110の、例えば長さ、幅、直径、または高さなど、形状に応じた寸法は、許容できる印刷解像度を提供するためにスクリーンを適切に引き伸ばすのに適した、任意のサイズのものでもよい。枠のサイズは、例えばスクリーン材料、メッシュ数、メッシュタイプ、所望のスクリーンテンション、および/または3次元基材のサイズに基づいて変化し得る。特定の実施形態において枠は、3次元基材の最大寸法に略等しい、あるいは例えば基材の最大寸法の少なくとも約1.5倍または基材の最大寸法の少なくとも約2倍など3次元基材の最大寸法よりも大きい、少なくとも1つの寸法を有し得る。
【0032】
非限定的な例として、例示的な四辺枠の断面寸法は、例えば印刷機器のサイズ次第で、約25mm×25mmから約200mm×200mm以上までの範囲とすることができる。例えば例示的な四辺枠の寸法は、その間の全ての範囲および部分範囲を含め、さらに正方形および長方形の両方の変形を含めて、約50mm×50mmから約100mm×100mmまで、または約60mm×60mmから約80mm×80mmまでなど、約35mm×35mmから約150mm×150mmまでの範囲としてもよい。少なくとも1つの非限定的な実施形態によれば、枠は、その高さの2倍に略等しい幅を有する長方形でもよい。例えば枠は、幅×高さの寸法がおよそ50mm×25mm、60mm×30mm、76mm×38mm、100mm×50mm、150mm×75mm、または200mm×100mmの長方形でもよい。いくつかの実施形態において枠は、2メートルまたは3メートル以上など、例えば数メートル以上の、1メートルを超える少なくとも1つの寸法を有し得る。
【0033】
枠110は、メッシュスクリーンを取り付けることが可能な任意の適切な材料から選択することができる、実質的に剛性の材料から構成され得る。例示的な材料としては、限定するものではないが、木材と、例えばアルミニウム、押出しまたは中空アルミニウム、ステンレス鋼、中空ステンレス鋼などの、金属が挙げられる。非限定的な一実施形態によれば、枠は、例えば押出しアルミニウム、中空アルミニウム、または曲がったアルミニウム片などの、アルミニウムから構成され得る。枠の厚さは、特定の用途で所望される構造的完全性次第で変わり得る。種々の実施形態において枠の厚さは、その間の全ての範囲および部分範囲を含め、約3mmから約4mmなど、約2mmから約5mmの範囲とすることができる。
【0034】
スクリーン120は、スクリーン印刷の用途に適した、例えばいくつか例を挙げれば、ポリエステル、ナイロン、PET、ポリアミド、ポリエステルコア/シースの組合せ、複合ポリエステル材料、および被覆ポリエステルなどの、1以上の多孔質の柔軟なメッシュ材料を含み得る。特定の実施形態によれば、スクリーンは非金属のメッシュ材料から選択される。スクリーン材料は、随意的には、モノフィラメント材料から選択され得る。スクリーンは、限定するものではないが、プレーン、ツイル、ダブルツイル、クラッシュ、およびフラットの、織りパターンなど、任意の適切な織り方のメッシュ材料を含み得る。
【0035】
スクリーンのメッシュ数は、例えば枠のサイズ、メッシュタイプ、糸の直径、および/または所望のスクリーンテンション次第で変化し得る。非限定的な例としてメッシュ数は、その間の全ての範囲および部分範囲を含めて、約230本/インチ(90本/cm)から約305本/インチ(120本/cm)など、約120本/インチ(47本/cm)から約380本/インチ(150本/cm)の範囲でもよい。種々の実施形態において、メッシュ数はスクリーンに亘って変動してもよい。例えばメッシュ数を、3次元基材の曲率、印刷される所望の特徴、その基材上の位置、および/または所望の解像度次第で、スクリーンに亘って変化させてもよい。例示的な実施形態によれば、3次元基材の曲率半径に沿って印刷される、目標とされる特徴の位置に位置合わせされるスクリーンの部分で、より細かいメッシュ数が使用され得る。
【0036】
スクリーン120は、スクリーンが適切な柔軟性と印刷解像度を維持する限りにおいて、任意のメッシュ数に対して使用可能な任意の適切な糸径を有する材料を含み得る。種々の非限定的な実施形態においてスクリーンの糸径は、その間の全ての範囲および部分範囲を含めて、約40μmから約70μm、または約50μmから約60μmなど、約30μmから約80μmの範囲とすることができる。
【0037】
スクリーンおよび枠の前述の性質は、特定の用途に望ましい属性を備えた枠付きスクリーン装置を得るために、独立してまたは組み合わせて、当業者によって要望通りに選択され得ることを理解されたい。例えばこれらの性質は、本書でより詳細に論じるように、スクリーンの適切な柔軟性またはテンションを得るように選択され得る。この選択は当業者の能力の範囲内であり、また本開示の範囲内になると意図されている。
【0038】
スクリーン120は、スクリーン印刷技術において既知の任意の手段を用いて枠110に取り付けることができ、例えばスクリーンは接着剤を用いて枠に接着され得る。種々の実施形態によれば、枠に取り付ける前にスクリーンを枠に対して付勢してもよいし、あるいは付勢しなくてもよい。接着剤としては、例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエステル(PET)、アクリル(例えば、アクリル系感圧接着テープ)、ポリビニル・ブチラール(PVB)、セントリグラス(登録商標)アイオノマーなどのアイオノマー、感圧接着剤、両面テープ、または任意の他の適切な接着剤を挙げることができる。あるいはスクリーンを、例えばクリップ、クランプなどを使用して、摩擦力などの他の方法を用いて枠に取り付けてもよい。
【0039】
本書で開示されるスクリーン120は柔軟なメッシュでもよく、これはスクリーンが枠110に取り付けられる前および/または後に、固定の低テンションを有することを意味し得る。種々の実施形態によれば、スクリーンは枠に取り付けられた後に約20N/cm未満の固定のテンションを有し得る。例えばメッシュに亘って織物の縦糸および横糸の両方向において均一に分散されるメッシュの固定のテンションは、その間の全ての範囲および部分範囲を含めて、約18N/cm未満、約15N/cm未満、約10N/cm未満、または約5N/cm未満など、約20N/cm未満でもよい。種々の実施形態によれば、メッシュの固定の均一なテンションは、その間の全ての範囲および部分範囲を含めて、約11N/cmから約19N/cm、約12N/cmから約18N/cm、約13N/cmから約17N/cm、または約14N/cmから約16N/cmなど、約10N/cmから約20N/cmの範囲でもよい。他の実施形態では、ある範囲の固定の低テンションが織物の縦糸および横糸の両方向に加えられ得、これは約18N/cm未満、約15N/cm未満、または約10N/cm未満など、約20N/cm未満とすることができる。さらなる実施形態によれば、メッシュの固定の変動するテンションは、その間の全ての範囲および部分範囲を含めて、約11N/cmから約19N/cm、約12N/cmから約18N/cm、約13N/cmから約17N/cm、または約14N/cmから約16N/cmなど、約10N/cmから約20N/cmの範囲でもよい。
【0040】
本書では「固定の」テンションという用語は、例えば印刷プロセスの際にスクリーンメッシュを引っ張ったり緩めたりするために使用される機器などによって変化しない所定のテンションを、スクリーンがメッシュエリアに亘って、均一のものであろうと、または変動しているものであろうと有することを示すよう意図されている。理論に拘束されることを望むものではないが、スクリーン材料が比較的低いテンションである(例えば2D枠付きスクリーンは、製造された状態でのテンションが最大で約40N/cmなど、20N/cmを超えるスクリーンを利用する)ことで、高解像度の印刷能力をもたらし得る、スクリーンを引き伸ばすことによる印刷時の高テンションを可能にすることができ、同時に必要に応じてスクリーンが伸びて、3次元基材の種々の部分に接触することも可能にすると考えられる。
【0041】
スクリーン120は、特定の実施形態において、2以上の多孔質メッシュ材料、または別の引伸ばし可能な材料と組み合わせた1以上の多孔質メッシュ材料、を備えたものでもよい。これらの実施形態を、2つの異なる材料から構成されるスクリーンを備えた例示的な枠付きスクリーン装置100を示す、非限定的な
図2を参照して論じる。第1のスクリーン材料から構成された外側スクリーン領域120Aが、枠110に取り付けられ、この枠によって画成される表面積の第1の部分を横切って延在し得る。第1のスクリーン材料は、表面積の第2の部分を横切って延在する内側スクリーン領域120Bを画成する、第2のスクリーン材料に取り付けられ得る。
【0042】
例えば、第1のスクリーン材料は所定の柔軟性(すなわち伸びる能力)を有し得、また第2のスクリーン材料は、第1の材料よりも高い柔軟性を有し得る。非限定的な例として、外側領域120Aは例えば多孔質ポリエステルメッシュなどから形成されたものでもよく、一方内側領域120Bは、ナイロンなど、より高伸縮性の多孔質メッシュ材料から形成され得る。あるいは、ナイロンから形成された外側領域120Aとポリエステルから形成された内側領域120Bなど、第1のスクリーン材料は所定の柔軟性を有する多孔質メッシュでもよく、また第2のスクリーン材料は、第1の材料よりも柔軟性が低い多孔質メッシュでもよい。
【0043】
さらなる実施形態において、外側領域120Aを形成する第1の材料は非多孔質の柔軟な材料でもよいし、あるいは典型的にはスクリーン印刷に用いられない多孔質の伸縮可能な材料でもよく、また内側領域120Bは、いくつか例を挙げればポリエステルまたはナイロンなど、本書で説明される柔軟な多孔質メッシュ材料から形成されたものでもよく、あるいはその逆でもよい。非多孔質材料は、限定するものではないがシリコーン膜など、高解像度印刷に適した任意の適切な厚さの任意の柔軟な材料とすることができる。典型的にはスクリーン印刷に用いられない多孔質の伸縮可能な材料としては、例えば、スパンデックス(Spandex)およびライクラ(Lycra)を挙げることができる。
【0044】
種々の実施形態によれば、外側領域120Aおよび内側領域120Bは連接部140で交わっていてもよく、この位置でこれらの領域は接着されているか、あるいは接着以外で、印刷の際に(例えば2つの材料が接合点で分離しないよう)2つの材料間の一体性を維持するのに適した任意のやり方で互いに取り付けられている。特定の実施形態において連接部140は、印刷プロセスを干渉しない、あるいは実質的に干渉しない、最小厚さを有している。例えばこの2つの材料を、液体接着剤を用いて接合してもよく、この液体接着剤は、例えば各面上および/または2つの材料間の、熱硬化型またはUV硬化型接着剤、両面テープ、または両方を組み合わせたものとすることができる。さらなる実施形態において連接部140は、接合点が表面のスクリーン印刷を妨げることのないよう、印刷される3次元基材のエッジに近接して位置付けられ得る。例えば連接部140の位置は、印刷プロセスの際に、フラッドストローク、またはスキージなどの印刷媒質塗布器の印刷ストロークを、干渉しないように選択され得る。
【0045】
図2は、2つのスクリーン材料を備えた枠付きスクリーン装置の1つの例示的な実施形態を示しているが、本開示の他の態様によれば、本実施形態のいくつかの変形が作製可能であることを理解されたい。例えば3以上のタイプのスクリーン材料を使用してもよいし、および/または、枠および/またはスクリーンの形状および/またはサイズを変化させてもよい。さらに、
図2ではエマルションがスクリーン120上に描かれていないが、エマルションは任意の適切なパターンで存在し得ることを理解されたい(例えば
図1参照)。
【0046】
図2においてスクリーン120は、枠110によって画成された表面積の全体を完全にカバーするものではなく、装置の角部に空所150が残っていることにも留意されたい。種々の実施形態において、スクリーン120は表面積を超えて、あるいは表面積まで至らずに、カバーするものでもよく、また図示の1以上の空所などの任意の所望の形状を、任意の量で、および/または任意の位置に有していてもよい。特定のエリアにおいてメッシュを排除することによって、多孔質または非多孔質の材料の、引伸ばしに対する抵抗を減少させることができる。
【0047】
さらに、
図2は枠の外縁の全ての辺をカバーしている外側領域120Aを示しているが、第1のスクリーン材料が印刷される3次元基材の形状および/または半径に応じて、枠の外縁の一部のみ、例えば図示の枠の辺の1つのみ、2つのみ、または3つのみ、あるいは1以上の辺の一部のみを、カバーするために使用され得ることが想定される。任意の空所を含む、こういった領域のサイズ、形状、および/または数は、枠および/または基材次第で変化し得る。
【0048】
本書で説明されるスクリーン120は1以上の「多孔質」材料を含み得るものであり、これは液体印刷媒質が、塗布時にスクリーンの少なくとも一部を通過することができることを意味し得る。例えば印刷媒質が、印刷される基材上へとスクリーンの少なくとも一部を通過するよう、スキージなどの印刷媒質塗布器を用いてスクリーンに圧力を加えてもよい。
【0049】
上記のように、スクリーン120の少なくとも一部は、スクリーン上にパターンまたは画像を形成するエマルション130でコーティングされ得る。エマルションはいくつかの実施形態において、液体メジウムがスクリーンのコーティングされた部分を通って通過するのを、遮るまたは実質的に遮ることができる。従ってエマルションによってスクリーンに形成されたパターンは、いくつかの実施形態において、基材上に印刷されるパターンとは反対になり得る。使用される多孔質メッシュスクリーン材料(メッシュ数および糸径の仕様を含めて)および液体印刷媒質に適合する、任意のエマルションは、本開示の範囲内であると意図され得る。エマルションは例えば液体でもよく、また任意の密度および/または毛細管膜特性を有し得る。エマルションはスクリーン印刷用途に適した任意の厚さでスクリーン上にコーティングされ得る。例えばエマルションを、その間の全ての範囲および部分範囲を含めて、スクリーンの引き伸ばされた状態での厚さの例えば最大で約40%、最大で約30%、最大で約20%、または最大で約10%など、枠に取り付けられたときのスクリーンの厚さの最大で約50%の厚さで、スクリーン上にコーティングしてもよい。
【0050】
エマルション130は、スクリーン120のいずれかの面または両方の面でコーティングされ得る。さらにエマルションは、3次元基材上に適切なパターンまたは画像を形成するよう、スクリーンの任意の既定の部分を所望通りにコーティングすることができる。いくつかの実施形態においてスクリーンは、液体印刷媒質が基材上へとスクリーンを通過することができるようエマルションが意図的に除去される、「印刷」または「ステンシル」エリアの観点で画成され得る。スクリーンの残りの部分は、種々の実施形態において、エマルションでコーティングされ得る。他の実施形態では、ステンシルエリア以外のスクリーンのエリアからエマルションを除去することによって、スクリーンの柔軟性を潜在的に高めることができる。例えば、枠の外縁のすぐ内側のスクリーンエリアからステンシルエリアに極近接した距離まで、エマルションを除去してもよい。スクリーン上に存在するエマルションの量は、所望の画像および/またはスクリーンの所望の柔軟性の程度次第で変化させることができる。種々の実施形態によれば、枠の外縁の約5〜10%内のスクリーンエリアを、エマルションを含まない、あるいは実質的に含まないものとすることができる。例えば
図2を参照すると、枠の外縁付近のスクリーンエリアの部分はエマルションでコーティングされていないことが分かるであろう。
【0051】
特定の実施形態では、スクリーン全体をエマルションでコーティングし、エマルションの選択された部分をポジ画像フィルムでカバーし、さらにエマルションをUV放射に露出することによってパターンをスクリーン上に形成してもよい。UV露光によって、露出されたエマルションを硬化することができ、一方フィルムによってカバーされたエマルションは、フィルムがUV放射を遮断するため柔らかいままにすることができる。硬化後、フィルムによってカバーされたエマルションを、水で、またはエマルションを溶解するのに適した任意の他の溶剤で、洗い落としてもよい。こうして画像を、本開示の種々の実施形態に従ってスクリーン上に形成することができる。
【0052】
本書で開示される装置は、種々の実施形態において、コストの削減、画像解像度の向上、および/または機械的複雑さの低減など、1以上の利点を有し得る。例えば開示される装置は、凸状および凹状表面、単一軸湾曲、2軸湾曲、および大型(例えば約500mm超)基材での複合湾曲を含む、3次元基材に印刷するために、2Dのプロセスパラメータおよび技術(例えば、固定のスクリーンおよび基材の位置、および/または実質的に平坦/平面的な枠)を用いて、標準的な2D印刷機器において利用することができる。さらに、この装置は標準的な印刷機器で使用することができるため、特注の設備および機械加工の必要性と、これに関連する費用を排除することができる。さらに、基材および枠の位置は互いに対して固定され得るため、例えば基材または枠のいずれかまたは両方を並進させるためのさらなる可動部品の必要性を排除することができ、それにより印刷プロセスのコストおよび複雑さを低減することができる。
【0053】
さらにこの枠付きスクリーン装置は、1つのスクリーン設計を上記の任意の種々の湾曲に対して使用することができるという点で、「ユニバーサル」であるともいえる。この装置は、剛性の枠に取り付けられた非常に柔軟なスクリーンを含むため、種々のサイズの基材で使用することができる。言い換えれば、3次元基材のサイズが大きくなった場合、より大きい表面に適応するために枠付きスクリーン装置のサイズを同様に大きくする必要はないであろう。この属性によれば、より大きい枠付きスクリーンに適応するために他のやり方では必要となる、より大きくより高価な印刷機械の必要性を回避することができるため、この属性は有利になり得る。本開示による装置は、上記利点の1以上を示さないことがあるが、依然として本開示の範囲に含まれると意図されることを理解されたい。
【0054】
スキージ装置
本書で開示されるのはスキージ装置であって、このスキージ装置は、スキージブレード、スキージブレードの長さに沿って間隔を空けて配置され、かつスキージブレードに結合されている、複数の保持器、複数の保持器に結合され、かつスキージブレードの長さに沿って延在している、少なくとも1つの支持ストリップ、および、このスキージ装置に、印刷ストローク方向に実質的に垂直な方向に力を加えるための、作動機構、を備えている。種々の実施形態によれば、少なくとも1つの支持ストリップは、2つの対向する端部表面と、力の方向に実質的に垂直な2つの対向する支持表面とを備え得る。
【0055】
図4は、本開示による例示的なスキージ装置の一実施の形態を示している。この装置はスキージブレード210を備えたものでもよく、スキージブレード210は、スキージブレードの長さに沿って間隔を空けて配置された、複数の保持器220に結合され得る。少なくとも1つの支持ストリップ230が、複数の保持器220に結合され得、かつスキージブレードの長さに沿って延在し得る。保持器220は、スキージブレードに力を加えるために、複数のアクチュエータなどの、例えば油圧式または空気圧式機構の作動機構240に結合され得、この作動機構240は随意的に印刷梁部250に結合され得る。作動機構240はスキージブレード210に、例えば下向きの力などの力を加えることができ、この力は、間隔を空けて配置された保持器220と少なくとも1つの支持ストリップ230とによって、スキージブレード210の長さに沿って実質的に均等に分散され得る。
【0056】
本書では「結合される」という用語およびその変形は、2つの構成要素が物理的に接触しているが必ずしも物理的に取り付けられたものではないことを示すよう意図されているが、いくつかの態様では物理的な取付けも意図されている。例えばスキージブレードを複数の保持器で把持し、かつこれに結合してもよい。少なくとも1つの支持ストリップを、摩擦力によって複数の保持器に結合させてもよいし、例えば保持器内の空洞を通って延在させてもよく、および/または自由に浮動する(例えば複数の保持器とは別に動くことができる)ように別のやり方で保持してもよい。
【0057】
図7に示されているように、保持器220と作動機構240との間の機械的リンク機構290によって、複数の保持器220を作動機構240に結合させてもよい。
図7に示されているように、機械的リンク機構は、滑り枢動点295の開口294内に挿入されて摺動可能に固定されたヘッド293を備えている、ロッド292を含む。図示の実施形態では、開口294およびヘッド293の形状により、作動機構240と保持器220との間で滑り枢動運動が可能になる。滑り枢動点295は、1以上の屈曲部、ベアリング、スライド、四節リンクなど、様々な形を有し得る。滑り枢動点295によって可能になる2自由度の動きは、一対のスライド、一対の軸受、機械的リンク機構、屈曲部、他の結合機構、または、スクリーンの形状にさらに良く従うのを促進する2自由度を可能にする、この中の組合せなど、様々な形で現れるものとすることもできる。
【0058】
滑り枢動点295は、滑り枢動点295を保持器220に堅く固定することができる固定部品296によって保持器220に取り付けることができる。いくつかの実施形態において固定部品296は、
図8により明瞭に示されているように、保持器220に対して可動なものでもよい。具体的には、開口297により、固定部品296と保持器220との間の枢動運動が可能になる。固定部品結合部298Aによって、固定部品296と滑り枢動点295との間の結合(具体的には、孔の開いた部品結合部298Bを介して)が可能になり、さらにボルト締め結合部299によって、固定部品296と滑り枢動点295との間の結合が可能になる。固定部品296および滑り枢動点295によって、作動機構240に対する保持器の横方向の摺動が可能になる。固定部品296は、金属、あるいはより具体的にはアルミニウムなど、任意の適切な剛性材料から作製され得る。
【0059】
1以上の実施形態において、機械的リンク機構290は枢動点で保持器220を保持し、それにより、より大きい回転度が可能になる。機械的リンク機構は任意の適切な剛性材料から作製され得るが、低摩擦、高密度のプラスチックまたはポリマーであることが好ましい。
【0060】
スキージブレード210は、液体印刷媒質をスクリーンに通して基材上へと分布させるおよび/または押し込むために使用することができる、スクリーン印刷に適した任意のブレード、例えば柔軟なスキージブレードとすることができる。スキージブレードは概して長方形の形状を有し得るが、他の形状を使用してもよいし、また想定される。スキージブレードは、複数の保持器に結合されるよう適合され得る保持エッジと、スクリーンおよび基材に接触するよう適合され得る印刷エッジとを備え得る。スキージブレードの印刷エッジは、所定の用途に適した、正方形エッジ、丸みを帯びたエッジ、単一面取りエッジ、または両面の面取りエッジなど、任意の所望の外形を有し得る。種々の実施形態によれば、スキージブレードは印刷エッジが直線状であるものなど、真っ直ぐなエッジのブレードでもよい。スキージブレードの印刷エッジは、所定の用途に基づいて所望通りに調整することができる、多種多様な角度で基材に接触するものでもよい。
【0061】
スキージブレードは、いくつか例を挙げればゴム材料およびポリウレタンなど、柔軟な材料から構成され得る。特定の実施形態において、スキージブレードは非金属の柔軟な材料である。種々の実施形態によれば、スキージブレードは、個々のブレードまたはセグメントに分割されていない、単一のブレードなど一体構造のものでもよい。スキージブレードの厚さおよび長さは変えることができ、また所望の用途に従って選択することができる。非限定的な例としてスキージブレードの長さは、その間の全ての範囲および部分範囲を含めて、約50mmから約500cm、約100mmから約250cm、または約500mmから約100cmなど、約20mmから約1m以上の範囲でもよい。スキージブレードの厚さは、特定の実施形態において、その間の全ての範囲および部分範囲を含めて、約6mmから約9mm、または約7mmから約8mmなど、約5mmから約10mm以上の範囲でもよい。スキージブレードの高さは、例えば、その間の全ての範囲および部分範囲を含めて、約20mmから約250cm、約50mmから約100cm、または約100mmから約50cmなど、約10mmから約500cm以上の範囲でもよい。
【0062】
複数の保持器220は、スキージブレード210に結合するのに適した任意の構成を有し得る。例えば複数の保持器は夫々、スキージブレードの保持エッジに結合するための保持要素を備え得る。非限定的な例として保持要素は、スキージブレードの保持エッジを把持するためのクリップまたはクランプと、スキージブレードの保持エッジが随意的には噛み合う形でその中へと滑り入ることができる、スロット、溝、またはチャネルと、例えばクリップ、クランプ、ねじ、または任意の他の適切な取付け具などを用いて、スキージブレードを取り付けることができる、保持器から延在している1以上の表面と、これらの組合せとから選択され得る。
【0063】
保持器220は、限定するものではないが、木材、金属、プラスチック、およびポリマー材料などの、任意の適切な材料から構成され得る。保持器は、より大きいモノリスから分割されたセグメント化された材料でもよいし、あるいは個々に加工されたものでもよい。保持器は、いくつかの実施形態では同じ長さを有し得、または他の実施形態では異なる長さを有し得る。保持器は、等しく離れて、あるいは様々な距離で間隔を空けて配置され得る。非限定的な例として保持器の長さは、その間の全ての範囲および部分範囲を含めて、約25mmから約100mm、または約50mmから約75mmなど、約10mmから約150mmの範囲でもよい。保持器の間隔の距離は、その間の全ての範囲および部分範囲を含めて、約15mmから約45mm、約20mmから約40mm、または約25mmから約30mmなど、例えば約10mmから約50mm以上の範囲でもよい。
【0064】
複数の保持器は、3以上の保持器、4以上の保持器、5以上の保持器など、2以上の保持器を含み得る。保持器の数、間隔、および/または長さは、所定の用途、基材のサイズ、または基材の湾曲に従って選択され得る。例えば3D表面上でのスクリーン印刷の場合には、より長い長さを有する保持器を、基材のより平坦なエリアに対応するスキージブレードの長さに沿って設置してもよく、一方より短い保持器を、より高曲率のエリアに対応するスキージブレードの長さに沿って設置してもよい。特定の実施形態によれば、凹状基材に対し、より長い保持器をスキージブレードの中心に設置してもよく、より短い保持器をスキージブレードの端部のより近くに設置してもよい。
【0065】
複数の保持器220の各保持器は少なくとも1つのキャビティをさらに含み得、このキャビティは、例えば保持要素の上方など、保持要素に隣接して設けられ得る。
図5は、キャビティ260と保持要素270とを有する保持器220の断面図を示している。図示の実施形態において保持要素270は、スキージブレード(図示なし)を留めるためのねじ270Aと、スキージブレードがその中へと滑り入ることができるチャネル270Bとを備えている。
【0066】
図6は、支持ストリップ230の積層体が既に内部に挿入されたキャビティ260を含む、保持器220の断面図を示している。図示のように、また本書でより詳細に論じるように、支持ストリップは様々な厚さを有するものでもよく、またスキージにとって望ましい曲げ特性次第で種々の異なる材料から構成され得る。
図5〜6はキャビティを備えた保持器を示しているが、キャビティが保持器内に存在していなくてもよいことを理解されたい。この場合保持器は、支持ストリップの積層体に結合するための代わりの手段を備えていてもよく、例えば積層体は、複数の保持器に対して物理的に接触して自由に浮動(自由に運動)するものでもよい。
【0067】
図6では、スキージブレードに加えられる力の方向を矢印Fで示し、一方例示的な印刷ストローク方向を矢印Pで示している。支持ストリップ230の積層体は、その対向する支持表面280が力Fの方向に垂直になるように配置され得る。スキージブレードを力Fの方向に曲げることを可能にすると同時に、さらにスキージブレードの印刷ストローク方向Pへの曲げを制限するまたは実質的に制限することも可能になり得る。この例示的な構成は、間隔を空けた保持器220を少なくとも1つの支持ストリップ230と合わせることによって、スキージブレードの長さに亘って下向きの力Fを分布させることができると同時に、印刷ストローク方向Pにおける構造的完全性も保持することができるという点で有利になり得る。従って、印刷ストロークの機械的歪みに耐え得る、別個のつながれていない保持器を提供することが可能になり得る。従って特定の実施形態によれば、複数の保持器は、例えばリベットなどで互いに物理的に取り付けられたものではないし、および/または互いに重なり合ったものでもない。この例示的な構成は、印刷ストロークによって引き起こされる機械的歪みに起因して経時的に摩耗し得るリベットなどの追加の部品がないため、さらに有利になり得る。
【0068】
少なくとも1つの支持ストリップ230は、2以上の支持ストリップ、3以上の支持ストリップ、4以上の支持ストリップなど、1以上の支持ストリップを含むものとすることができ、これは特定の実施形態において積層されたものでもよい。「支持ストリップの積層体」、「支持ストリップ」といった用語、およびその変形は、本書では「少なくとも1つの支持ストリップ」と交換可能に使用され、かつ1以上のこのような支持ストリップを示すよう意図されている。少なくとも1つの支持ストリップは、限定するものではないが、木材、金属、プラスチック、超高分子量(UHMW)プラスチック、ポリマー材料、フェノール樹脂、ポリプロピレン材料、およびこれらの組合せなど、任意の材料を含み得る。各支持ストリップの組成および/または厚さは、同一でもよいし、あるいは異なっていてもよい。積層体における支持ストリップの厚さ、数、および/または順序は変化させてもよく、例えば保持器に結合される際のやり方、および/またはスキージ装置の所望の柔軟性またはテンションに依存し得る。種々の実施形態によれば、例えば積層体内の支持ストリップの1以上は、積層体の他のストリップとは、異なる材料および/または異なる厚さなどの寸法を有し得る。さらに支持ストリップは夫々、第2の材料内に差し込まれた第1の材料など、2以上の材料を含むものでもよく、例えば、プラスチックなどの別の材料で囲まれた金属ストリップ、または3以上の嵌め込まれた材料などでもよい。これらの材料およびその組合せは、少なくとも1つの支持ストリップの所望の曲げを達成するよう適切に選択され得る。
【0069】
支持ストリップ230は、任意の適切な形状および/または向きを有し得る。1つの例示的な実施形態において、少なくとも1つの支持ストリップは中実または中空の断面を有し得、例えば支持ストリップの1以上は、ストリップの長さ、幅、または厚さに沿って、孔または他の形状などの少なくとも1つの空所を含み得る。この空所は、ストリップを部分的に、または完全に通って延在し得る。こういった空所は、ストリップの所望の曲げを達成するように、および/またはスキージ装置の重量を減少させるために、ストリップ内に所望通りに例えば機械加工または穿設され得る。
【0070】
図6に示されているように、いくつかの実施形態において少なくとも1つの支持ストリップ230は、実質的に長方形または正方形の断面を有するストリップなどの支持ストリップの積層体でもよい。支持表面280は種々の実施形態によれば、平面的または実質的に平面的なものでもよい。対向する支持表面は、例えば支持ストリップの厚さによって分離され得る。特定の実施形態によれば、各支持ストリップは、支持ストリップの幅によって分離された2つの対向する側面を有し得る。この幅は、例示的な実施形態では支持ストリップの厚さよりも大きくなり得る。
【0071】
1つの支持ストリップの支持表面280は、例えば、2つの隣接する平面または噛み合う非平面など、1以上の支持ストリップの支持表面に隣接し得る。支持表面280は、特定の実施形態において非平面でもよい。例えば少なくとも1つの支持ストリップ230は、いくつか例を挙げれば長円形または円形などの円形の、または丸みを帯びた断面を有していてもよい。少なくとも1つの支持ストリップ230は、特定の実施形態において、空気圧ブラダまたは油圧ブラダなどの少なくとも1つの中空体をさらに含み得、ブラダ内の圧力を変化させることなどによってブラダの形状および/またはサイズを変化させて、支持ストリップの所望の曲げを達成する、および/または所望通りに複数の保持器に結合することができる。
【0072】
支持ストリップの積層体など多数の支持ストリップの場合には、ストリップを互いに固定する、または緩く固定するために、保持機構を含むことが可能であろう。例えば、ボルト、ナット、または任意の他の適切な締結手段などの締結手段で、積層体を一緒に保持することができるよう、支持ストリップは夫々ストリップの一方または両方の端部に、実質的に同心とし得る空所を備えることもできる。
【0073】
図6に示されている実施形態などいくつかの実施形態において、複数の保持器はキャビティを含み得るものであり、また支持ストリップの積層体は、キャビティ内に嵌合するように構成され得る。この非限定的な実施形態において、少なくとも1つの支持ストリップ(または支持ストリップの積層体)の厚さは、保持器のキャビティの高さに実質的に一致するように選択され得る。少なくとも1つの支持ストリップ(または支持ストリップの積層体)の幅は、同様に保持器のキャビティの幅に実質的に一致するように選択され得る。少なくとも1つの支持ストリップの任意の他の寸法は、保持器のキャビティの寸法に一致するように選択され得る。少なくとも1つの支持ストリップは、こうして保持器のキャビティ内にぴったりと嵌合する(「圧入」)ことによって、力が加えられる方向へのスキージブレードの曲げを可能にすると同時に、印刷ストローク方向への曲げを抑制することもできる。ストリップは積層体を形成するよう保持器のキャビティ内に個々に設置してもよいし、あるいは積層体を予め形成し、次いで保持器のキャビティ内に設置してもよいことに留意されたい。支持ストリップ230は、ねじ270Aの上方に隣接して図示されているが、支持ストリップ230がねじ270Aの下に位置付けられ得ること、および/または、ねじ270Aまたは他の適切な固定機構が1以上の支持ストリップ230を貫通し得ることが想定されているため、本書に添付される請求項はそのように限定されるべきではないことも留意されたい。
【0074】
3次元基材の表面にスクリーン印刷するためのシステム
本書で開示されるのは、3次元基材の表面にスクリーン印刷するシステムであり、このシステムは、枠付きスクリーンと、液体印刷媒質を3次元基材に塗布するための塗布器とを備え、枠付きスクリーンは、外縁を有する実質的に剛性の実質的に平面的な枠であって、外縁が、外縁内に所定の表面積を有する領域を画成する、枠と、この表面積の少なくとも一部を横切って延在し、枠に取り付けられている、スクリーンとを備え、スクリーンは、第1の部分であって、液体印刷媒質がこの第1の部分を通って、近接する3次元基材上へと通過することができる、第1の部分と、エマルションでコーティングされた第2の部分であって、液体印刷媒質がスクリーンの第2の部分を通過するのを、このエマルションが実質的に防ぐ、第2の部分とを含み、スクリーンは約20N/cm未満の固定のテンションを有している。
【0075】
図3は、本開示の一態様によるスクリーン印刷システムの断面側面図を示し、ここでは塗布器160が枠付きスクリーン装置100に接触している。スクリーン120は枠110に取り付けられており、またスクリーン120は少なくとも部分的にエマルション130でコーティングされている。図示の実施形態において、エマルション130はスクリーン120の「印刷」表面とも称される下方表面にコーティングされているが、エマルションはスクリーンの「塗布器」表面とも称される上方表面に、あるいは両方の表面に、コーティングされ得ることも意図されている。液体印刷媒質(図示なし)をスクリーンに塗布してもよく、さらに塗布器160を用いて矢印170で表されているようにスクリーンに圧力を加えると、液体印刷媒質の少なくとも一部は3次元基材上へとスクリーンを通過することができる。塗布器160は柔軟なものでもよいし、あるいは剛性のものでもよく、また加えられる圧力は均一なものでも、あるいは変動するものでもよい。
【0076】
1つの例示的な実施形態によれば、例えば2以上の半径の周囲となる複雑な湾曲を有する基材に対して3次元基材上に印刷するために、スキージなどの柔軟な圧力制御される塗布器が使用され得る。例えば単一の曲率半径を有する基材に対して3次元基材上に印刷するためには、2Dの平坦な印刷に用いられるものなど、標準的な真っ直ぐなエッジのスキージを使用することもできる。様々な形状およびサイズの、例えば刷毛、へらなどの他の塗布器も、本開示の範囲内において意図されている。スキージまたは任意の他の塗布器を、スクリーンに沿って引き寄せて、少なくともいくらかの印刷媒質をスクリーンの少なくとも一部に通して3次元基材上へと押し込むことができる。塗布器の、保持角度、圧力、引寄せ速度、サイズ、および硬度は、例えば所望の画像解像度次第で変化させることができる。
【0077】
種々の実施形態によれば、塗布器はスキージでもよく、スキージは、ゴム材料およびポリウレタンなどの任意の材料を含み得る。塗布器は単一のスキージなど単一のユニットでもよいし、あるいは2以上の隣接する、または隣接していないスキージなど、セグメント化されたユニットを備えたものでもよい。いくつかの実施形態において塗布器は、種々の実施形態で長方形の形状とすることができる単一片を備えたものでもよいし、あるいは多数の片を備えたものでもよい。スキージなどの塗布器は、スクリーンに接触する、随意的には傾斜している作業エッジと、作業エッジの反対側とされ得る、任意の適切な手段を用いて印刷機器に取り付けられ得る固定エッジとを備え得る。非限定的な例示的な実施形態において、塗布器は本書で開示されるようなスキージでもよい。
【0078】
印刷媒質は、顔料、染料などの1以上の着色剤を含む媒質とすることができる。印刷媒質は、液体または実質的に液体の形のものでもよく、また水または任意の他の適切な溶剤など、少なくとも1つの溶剤を含み得る。本書では「液体」という用語は、スクリーン印刷に適した任意の粘度を有する、任意の自由流動媒質を称するよう意図されている。特定の実施形態において液体印刷媒質は、種々の色および色調のインクから選択され得る。他の実施形態において液体印刷媒質は、いくつか例を挙げればクリアラッカーまたは保護コーティングなどの、非着色の媒質から選択され得る。液体印刷媒質は、有色、不透明、半透明、または透明の媒質から選択することができ、機能的および/または装飾的な目的を果たし得る。
【0079】
本書で開示されるシステムは、種々のさらなる構成要素をさらに備え得る。例えば、予め決定された量の印刷媒質をスクリーン上に送出するように構成され得る、印刷媒質送出部品を含んでもよい。フラッドバー(flood bar)などの分配器を随意的に採用して、印刷媒質をスクリーンに亘って、例えば実質的に均等な形で分布させることができる。さらに、塗布器を把持するおよび/または並進させる手段の他、スクリーン印刷機器に典型的に存在している種々の他の構成要素を含んでもよい。
【0080】
3次元基材の表面にスクリーン印刷する方法
さらに本書で開示されるのは、3次元基材の表面にスクリーン印刷する方法であり、この方法は、枠付きスクリーンに近接して3次元基材を位置付けるステップであって、枠付きスクリーンは、外縁を有する実質的に剛性の実質的に平面的な枠であって、外縁が、外縁内に所定の表面積を有する領域を画成する、枠と、この表面積の少なくとも一部を横切って延在し、枠に取り付けられている、スクリーンとを備えたものであり、スクリーンは、第1の部分であって、液体印刷媒質がこの第1の部分を通って、近接する3次元基材上へと通過することができる、第1の部分と、エマルションでコーティングされた第2の部分であって、液体印刷媒質がスクリーンの第2の部分を通過するのを、このエマルションが実質的に防ぐ、第2の部分とを含んだものであり、スクリーンが約20N/cm未満の固定のテンションを有している、ステップと、液体印刷媒質の一部を、スクリーンの第1の部分に通して3次元基材上へと押し込むように、スクリーンに圧力を加えるステップとを含み、圧力を加えるステップの間、枠と3次元基材との間の距離が実質的に一定に保持されることを特徴とする。
【0081】
本書で開示される方法は、3次元基材を印刷または装飾するために使用され得る。本書で開示される装飾または印刷は、任意の適切な粘度を有する任意の液体材料の、3次元基材上への機能的および/または審美的となり得るコーティングの塗布を表現するために使用され得る。3次元基材は、本書で説明される様々な組成、サイズ、および形状の基材から選択され得る。
【0082】
本書で開示される方法によれば、液体印刷媒質は、本書で説明される任意の手段を用いて、スクリーンに塗布することができ、また随意的にはスクリーンに亘って広げることができる。次いで塗布器を使用してスクリーンに圧力を加えて、液体印刷媒質の一部を、スクリーンの少なくとも一部に通して3次元基材上へと押し込むことができる。種々の実施形態によれば、塗布器はスクリーンに、3次元基材に液体印刷媒質を移動させるのに十分なものとなり得る一回の通過で接触してもよいし、あるいは数回通過してもよい。本書で説明されるいずれの塗布器も、開示される方法を実行するために使用することができる。
【0083】
本書では「オフコンタクト」距離という用語は、実質的に剛性の平面的な枠と基材表面との間の距離を称するよう意図されている。オフコンタクトはさらに、印刷の直前および直後の両方で、スクリーンが基材から離れて保持されている距離を称する。言い換えればオフコンタクト距離は、スクリーンが基材に接触するために移動しなければならない距離である。本書で開示される方法によれば、枠と3次元基材との間の距離は、液体印刷媒質の塗布と圧力の印加の間、実質的に一定に保持される。枠および基材は、互いに対して固定の位置で保持され得る。圧力が、例えば塗布器を用いてスクリーンに加えられると、スクリーンは動いて基材に接触し得るが、枠は実質的に同じ位置で保持され得る。このオフコンタクト距離は、2D印刷で用いられるオフコンタクト距離(例えば約1〜10mm)よりも大きいものとすることができ、また理論上は本書で開示される方法を用いて制限されないものとすることができる。非限定的な例としてオフコンタクト距離は、その間の全ての範囲および部分範囲を含めて、約100mm超、約75mm超、約50mm超、約25mm超、または約10mm超とすることができる。
【0084】
印刷媒質が3次元基材に塗布された後、例えばいくつか例を挙げれば、1以上の溶剤を除去するために、印刷されたメジウムを乾燥させるステップ、印刷されたメジウムを硬化させるステップ、印刷機械から基材を取り除くステップ、基材を真空下に置くステップ、および/または基材を洗浄するステップなど、種々の追加のステップが行われ得る。種々の実施形態によれば、本書で開示される方法を用いて、パターンを補正および/または調整することができる。
【0085】
平坦な基材または3次元基材の表面に、スクリーン印刷する方法
さらに本書で開示されるのは、基材の表面にスクリーン印刷する方法であり、この方法は、枠付きスクリーン装置に近接して基材を位置付けるステップであって、枠付きスクリーン装置が、外縁を有する枠であって、外縁が、外縁内に所定の表面積を有する領域を画成する、枠と、この表面積の少なくとも一部を横切って延在し、枠に取り付けられている、スクリーンとを備えている、ステップと、液体印刷媒質をスクリーンに塗布するステップと、液体印刷媒質の一部をスクリーンの少なくとも一部に通して押し込むように、本書で開示されるスキージ装置を用いてスクリーンに圧力を加えるステップとを含む。
【0086】
本書で開示される方法は、2次元または3次元の基材を、印刷または装飾するために使用され得る。本書で開示される装飾または印刷は、任意の適切な粘度を有する任意の液体材料の、基材上への機能的および/または審美的となり得るコーティングの塗布を表現するために使用され得る。基材は、本書で説明される様々な組成、サイズ、および形状の基材から選択され得る。いくつかの実施形態において、基材は2次元の(すなわち平坦な)ものでもよいし、または3次元のものでもよい。
【0087】
本書で開示される方法によれば、液体印刷媒質は、本書で説明される任意の手段を用いて、スクリーンに塗布することができ、また随意的にはスクリーンに亘って広げることができる。次いでスキージ塗布器を使用してスクリーンに圧力を加えて、液体印刷媒質の少なくとも一部を、スクリーンの少なくとも一部に通して3次元基材上へと押し込むことができる。種々の実施形態によれば、スキージ塗布器はスクリーンに、基材に液体印刷媒質を移動させるのに十分なものとなり得る一回の通過で接触してもよいし、あるいは数回通過してもよい。
【0088】
本書では「オフコンタクト」距離という用語は、枠と基材表面との間の距離を称するよう意図されている。オフコンタクトはさらに、印刷の直前および直後の両方で、スクリーンが基材から離れて保持されている距離を称する。言い換えればオフコンタクト距離は、スクリーンが基材に接触するために移動しなければならない距離である。このオフコンタクト距離は、2D印刷で用いられる距離(例えば約1〜10mm)に類似したものでもよいし、あるいはこれを超える距離を用いてもよい。非限定的な例としてオフコンタクト距離は、その間の全ての範囲および部分範囲を含めて、約100mm超、約75mm超、約50mm超、約25mm超、または約10mm超とすることができる。特定の実施形態においてオフコンタクト距離は、その間の全ての範囲および部分範囲を含めて、約10mmから約75mm、または約25mmから約50mmなど、約5mmから約100mmの範囲でもよい。
【0089】
印刷媒質が基材に塗布された後、例えばいくつか例を挙げれば、1以上の溶剤を除去するために、印刷されたメジウムを乾燥させるステップ、印刷されたメジウムを硬化させるステップ、印刷機械から基材を取り除くステップ、基材を真空下に置くステップ、および/または基材を洗浄するステップなど、種々の追加のステップが行われ得る。種々の実施形態によれば、本書で開示される方法を用いて、パターンを補正および/または調整することができる。
【0090】
パターンを補正または調整する実施形態は、第1の枠と複数の測定可能な特徴を有する繰返しのテストパターンを備えた第1のスクリーンとを含む、2次元テスト枠付きスクリーンを生成するステップと、3次元テスト基材の表面上での複数の測定可能な特徴の位置を予測するステップと、3次元テスト基材の表面に、繰返しのテストパターンを印刷するステップと、表面に印刷されたときの複数の測定可能な特徴の位置を測定するステップと、表面に印刷されたときの複数の測定可能な特徴の位置を、その予測位置と比較することによって、変位値を計算するステップと、計算された変位値を用いて、3次元基材の表面に印刷される製造パターンを修正するステップと、第2の枠と修正された製造パターンを備えた第2のスクリーンとを含む、2次元枠付きスクリーンを生成するステップと、3次元基材の表面に、修正された製造パターンを印刷するステップとを含む。
【0091】
3次元基材上に印刷される画像の歪みを予測する方法の、1以上の実施形態は、複数の測定可能な特徴を有する繰返しのテストパターンを備えた、2次元テスト枠付きスクリーンを生成するステップと、3次元テスト基材の表面上での複数の測定可能な特徴の位置を予測するステップと、3次元テスト基材の表面に、繰返しのテストパターンを印刷するステップと、表面に印刷されたときの複数の測定可能な特徴の位置を測定するステップと、表面に印刷されたときの複数の測定可能な特徴の位置を、その予測位置と比較することによって、変位値を計算するステップとを含む。
【0092】
本書で開示される方法は、3次元基材に印刷または装飾するために使用され得る。本書で開示される装飾または印刷は、任意の適切な粘度を有する任意の液体材料の、3次元基材上への機能的および/または審美的となり得るコーティングの塗布を表現するために使用され得る。3次元基材は、本書で説明される様々な組成、サイズ、および形状の基材から選択され得る。
【0093】
本書で開示される方法によれば、2次元テスト枠付きスクリーンは、例えば本書で開示される枠およびスクリーン材料を用いて生成され得る。繰返しのテストパターンは、例えば本書で説明されるようにエマルションをスクリーンの一部に付加することによって、テストスクリーン上に生成され得る。繰返しのテストパターンは、少なくとも1つのやり方で、例えばサイズおよび/または位置で測定することができる、複数の特徴を含み得る。繰返しのテストパターンは、いかなる形状、サイズ、または間隔にも限定されない。テストパターンの非限定的な例示的な実施形態は、水平および垂直軸の両方を横切って均等に間隔を空けて配置された、点のアレイを含む(以下でより詳細に論じる、例えば
図8を参照のこと)。
【0094】
例えば点のサイズは、その間の全ての範囲および部分範囲を含めて、約0.5mmから約9mm、約1mmから約8mm、約2mmから約7mm、約3mmから約6mm、または約4mmから約5mmなど、約0.25mmから約10mmの範囲とすることができる。例えば点などの特徴の間隔の距離は、その間の全ての範囲および部分範囲を含めて、約1mmから約80mm、約5mmから約70mm、約10mmから約60mm、約20mmから約50mm、または約30mmから約40mmなど、約1mm未満から最大で約100mm以上の範囲でもよい。非限定的な実施形態として、適切なテストパターンは3mm径の点のアレイを含むものでもよく、これらの点は、その中心間の測定で互いに30mmの間隔を空けて垂直方向および水平方向の両方向に延在し、テストパターンの中心に1つの3mm径の点が配置されたものでもよい。
【0095】
様々な形状、サイズ、および/または間隔を有する他の特徴を、繰返しのテストパターンにおいて使用することも可能であろうと想定される。例えば、正方形、長方形、長円形、直線、三角形、環状、およびこれらの組合せのアレイを、使用することも可能であろう。これらの特徴は、全てが同じサイズおよび/または形状のものでもよいし、または異なるサイズおよび/または形状のものでもよい。一旦テスト枠付きスクリーンが生成されると、これを使用して3次元テスト基材の表面に印刷することができる。
【0096】
ゼロ歪み基準点を、印刷されるテストパターンの歪みを測定する前に生成してもよい。例えばテスト基材の保持に固定具が使用される場合、ゼロ歪み基準点を決定するために固定具は予め測定され得る。任意の適切な測定システムを採用することができ、例えば光学的測定システムが使用され得る。例示的な写真測量プロセスにおいて、高解像度カメラで一連のデジタル画像を取り込んでもよい。基準ターゲットを、真空固定具などの固定具上に置いてもよく、さらに画像内に取り込んでもよい。非限定的な例として、ATOSシステム用いて固定具および基準点のデジタル写真を取り込んでもよく、これをソフトウェアにダウンロードして結びつけて、3D測定の基準点を得ることができる。
【0097】
光学的測定を向上させるために、3次元テスト基材は、印刷されるテストパターンの色とは対照の色で塗装されたものでもよい。例えばテストパターンが白色で印刷される場合には、テスト基材は黒色で塗装されたものでもよく、あるいはその逆でもよい。当然のことながら、他の色および組合せを使用してもよい。次いで、3次元テスト基材を固定具内または固定具上に置き、任意の手段を用いて所定位置で保持してもよい。
【0098】
テスト基材は、本書で開示される任意の方法および/または装置の他、3次元基材の印刷に適した任意の他の利用可能な方法および/または装置を用いて印刷され得る。次いでテスト基材の印刷された表面を評価して、印刷された状態のテストパターンの実際の位置とテストパターンの予測位置との間の任意の歪みを判定することができる。複数の特徴の実際の位置は、例えばゼロ歪み基準点を画成するために使用された測定システムを用いて、例えば光学的に測定することができる。複数の特徴の予測位置は、例えばテスト基材の表面上に印刷されるパターンの2D投影を準備することによって得ることができる。複数の特徴の位置の2D投影を、印刷された特徴の実際の位置と比較して、位置のずれを判定することができる。
【0099】
計算された変位値を用いて、実質的に同一の基材上に実質的に同一の方法および材料を用いて印刷するための製造パターンを補償および修正し、画像の2Dから3Dへの変形によって生じる歪みの他、印刷プロセス自体および/または任意の関連する構成要素によって生じる任意の歪みを調整することができる。修正された製造パターンは、元の製造パターンに比べると、印刷される特徴の位置および/またはサイズの変化など、種々の変化を含み得る。次いで修正された製造パターンを使用して、実質的に同一の製造用3次元基材の表面に、スクリーン印刷することができる。
【0100】
種々の実施形態によれば、2次元テスト枠付きスクリーンおよび2次元枠付きスクリーンの形状およびサイズは、実質的に同一のものでもよい。他の実施形態において、第1および第2の枠と第1および第2のスクリーンは夫々、実質的に同一の材料から構成され得る。さらなる実施形態によれば、繰返しのテストパターンと修正された製造パターンは、実質的に同一の印刷プロセスを用いて印刷され得る。さらなる実施形態において、3次元テスト基材および3次元基材の形状、サイズ、および湾曲は、実質的に同一のものでもよい。さらなる実施形態によれば、3次元テスト基材上にテストパターンを生成するために使用される全ての処理パラメータおよび材料は、3次元基材上に製造パターンを生成するために使用されるものと同一または実質的に同一のものでもよい。当然のことながら、材料、市販品、および設備の当然の変化は起こり得るものであり、「実質的に同一」という用語の範囲内になると想定されることを理解されたい。
【0101】
本書で開示される方法は、種々の実施形態において、例えば、費用効率、確度、および/またはスピードの向上、および/または、印刷されるパターンの品質に影響を与える歪みを識別するのに必要な反復の数の低減など、1以上の利点を有し得る。例えば開示された方法を用いると、2Dから3Dへの画像変換によって生じる歪みだけでなく、いくつか例を挙げれば、オフコンタクト距離、枠付きスクリーンの性質、および塗布器の性質など、処理パラメータおよび材料によって生じる歪みも予測することができる。さらにこれまでの方法では、3D基材上に印刷された状態の画像を正確に予測するために、またこれに従って2Dパターンを調整するために、数回の反復を必要とすることもあったが、これに比べて本書で開示される方法は、1回の反復でこういった予測および/または補正を行うことができる。
【0102】
さらに、画像の歪みを予測するこれまでの方法は、処理材料および基材の変化に影響されるものであったため、予測は部品ごとに変わることになり、また異なる処理パラメータは異なる結果を生み出すことになった。本書で開示される方法によれば、処理パラメータはテスト運転と製造工程との間で実質的に変化しないため、より信頼できるより正確な標準的モデルを、より速く得ることができる。さらに本書で開示される方法を使用して、小型および大型の両方の基材(500mmを超える曲率半径など)、凹状および凸状の両方の基材の他、複雑な湾曲を有する基材に対してスクリーン印刷することができる。本開示による方法は、上記利点の1以上を示さないことがあるが、依然として本開示の範囲に含まれると意図されることを理解されたい。
【0103】
本書で説明される実施形態および機能的動作は、本明細書において開示される構造およびその構造の同等物を含め、デジタル電子回路、またはコンピュータのソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェア、あるいはこれらの1以上の組合せに実装され得る。本書で説明される実施形態は、1以上のコンピュータプログラム製品として、すなわちデータ処理装置によって実行するために、あるいはデータ処理装置の動作を制御するために、有形プログラムキャリア上で符号化されたコンピュータプログラム命令の1以上のモジュールとして実装され得る。有形プログラムキャリアは、コンピュータ可読媒体でもよい。コンピュータ可読媒体は、機械可読記憶装置、機械可読記憶基板、メモリデバイス、またはこれらの1以上の組合せでもよい。
【0104】
「プロセッサ」または「コントローラ」という用語は、例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、またはマルチプロセッサまたはマルチコンピュータなど、データを処理するための全ての装置、機器、および機械を包含し得る。プロセッサは、ハードウェアに加えて、例えばプロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはこれらの1以上の組合せ、を構成するコードなど、当該コンピュータプログラム用の実行環境を生成するコードを含み得る。
【0105】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られる)は、コンパイラ型またはインタープリタ型言語、または宣言型または手続き型言語などの、任意の形のプログラミング言語で書くことができ、また、スタンドアロンのプログラムとして、あるいはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、またはコンピュータ環境において使用するのに適した他のユニットとしてなど、任意の形で配置することができる。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに必ずしも対応しない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持するファイルの一部(例えば、マークアップ言語文書内に保存された1以上のスクリプト)、当該プログラム専用の単一のファイル、または多数の連携したファイル(例えば、1以上のモジュール、サブプログラム、またはコードの一部を保存するファイル)に保存することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、または、1つの場所に位置している、あるいは多数の場所に亘って分布し通信ネットワークによって相互接続されている、多数のコンピュータ上で、実行されるように配置され得る。
【0106】
本書で説明されるプロセスは、1以上のコンピュータプログラムを実行して入力データで動作したり出力を生成したりすることで機能を果たす、1以上のプログラマブルプロセッサによって行われ得る。いくつか例を挙げればFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)などの専用の論理回路で、このプロセスおよび論理フローを行うこともでき、また装置を実装することもできる。
【0107】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサとしては、例として、汎用および専用のマイクロプロセッサ、任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1以上のプロセッサが挙げられる。一般にプロセッサは命令およびデータを、リードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモリ、またはこれらの両方から受信する。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令およびデータを保存するための1以上のデータ記憶装置である。一般にコンピュータは、例えば磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクなど、データを保存するための1以上の大容量記憶装置をさらに含み、あるいはコンピュータは、このような1以上の大容量記憶装置からデータを受信する、またはこれにデータを転送する、あるいはこの両方を行うように、これに作動的に結合される。ただしコンピュータは、このような装置を備えていなくてもよい。さらにコンピュータは、いくつか例を挙げれば、例えば携帯電話、携帯情報端末(PDA)などの別の機器に埋め込まれ得る。
【0108】
コンピュータプログラム命令およびデータを保存するのに適したコンピュータ可読媒体は、不揮発性のメモリ、媒体、および記憶装置などの、あらゆる形のデータメモリを含み、例として、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイスなどの半導体記憶装置、内蔵ハードディスクまたはリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、さらにCD‐ROMおよびDVD‐ROMディスクが挙げられる。プロセッサおよびメモリは、専用の論理回路によって補完することができ、あるいは専用の論理回路に組み込むことができる。
【0109】
ユーザとの相互作用に備えるために、本書で説明される実施形態が実装され得るコンピュータは、ユーザに情報を表示するためのCRT(ブラウン管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタなどのディスプレイ装置、またユーザがコンピュータに入力を提供する際に用いることができる、キーボード、マウスまたはトラックボールなどのポインティングデバイス、あるいはタッチスクリーンを備えている。他の種類の機器も、ユーザとの相互作用に備えるために同様に使用することができ、例えばユーザからの入力は、音響入力、音声入力、または触覚入力など、任意の形で受信することができる。
【0110】
本書で説明される実施形態は、コンピューティングシステムに実装することができ、コンピューティングシステムは、例えばデータサーバとしてのバックエンドコンポーネント、またはアプリケーションサーバなどのミドルウェアコンポーネント、あるいはユーザが本書で説明される主題の実装と相互にやり取りすることができるグラフィカルユーザインターフェースまたはウェブブラウザを備えた、クライアントコンピュータなどのフロントエンドコンポーネント、を含み、あるいはこのようなバックエンドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネント、またはフロントエンドコンポーネントの、1以上の任意の組合せを含む。システムの構成要素は、任意の形または媒体の、通信ネットワークなどのデジタルデータ通信によって相互接続され得る。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)およびワイドエリアネットワーク(「WAN」)、例えばインターネットが挙げられる。
【0111】
コンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバを含み得る。クライアントおよびサーバは、一般に互いに遠隔にあり、また典型的には通信ネットワークを通じて相互に作用する。クライアントとサーバの関係は、夫々のコンピュータで動作しかつ互いにクライアント・サーバ関係を有する、コンピュータプログラムによって生まれる。
【0112】
例示的な枠付きスクリーン
図9は例示的なテスト枠付きスクリーン装置を示し、この図を用いて、本開示の特定の態様による方法を実行するために使用される、種々の構成要素の状況を説明する。テスト枠付きスクリーン400は、枠410とスクリーン420とを備えている。スクリーン420は、テストパターンまたは画像を形成するエマルション430で部分的にコーティングされている。図示の実施形態におけるパターンは、本書で説明される種々の態様による繰返しの点を含むテストパターンに相当し得るが、他の形状およびパターンも想定される。枠およびスクリーンは、本書で説明される実施形態に従ったものでもよい。
【0113】
印刷システムの構成要素
上述した枠付きスクリーン装置は、当技術において既知の任意の印刷機器に組み込むことができる。例えば枠付きスクリーンは、3次元基材に液体印刷媒質を塗布するための塗布器をさらに備えた、スクリーン印刷システムの一部とすることができる。いくつかの実施形態では、液体印刷媒質をスクリーンに塗布してもよく、さらに塗布器を用いてスクリーンに圧力を加えると、液体印刷媒質の少なくとも一部は3次元基材上へとスクリーンを通過することができる。塗布器は柔軟なものでもよいし、あるいは剛性のものでもよく、また加えられる圧力は均一なものでもよいし、あるいは変動するものでもよい。
【0114】
1つの例示的な実施形態によれば、例えば2以上の半径の周囲となる複雑な湾曲を有する基材に対して3次元基材上に印刷するために、スキージなどの柔軟な圧力制御される塗布器が使用され得る。例えば単一の曲率半径を有する基材に対して3次元基材上に印刷するためには、2Dの平坦な印刷に用いられるものなど、標準的な真っ直ぐなエッジのスキージを使用することもできる。様々な形状およびサイズの、例えば刷毛、へらなどの他の塗布器も、本開示の範囲内において意図されている。スキージまたは任意の他の塗布器を、スクリーンに沿って引き寄せて、少なくともいくらかの印刷媒質をスクリーンの少なくとも一部に通して3次元基材上へと押し込むことができる。塗布器の、保持角度、圧力、引寄せ速度、サイズ、および硬度は、例えば所望の画像解像度次第で変化させることができる。いくつかの実施形態において塗布器は、本書で説明されるスキージの実施形態に従ったものでもよい。
【0115】
種々の開示される実施形態は、その特定の実施形態に関連して説明される特定の特徴、要素、またはステップを含み得ることが理解されよう。特定の特徴、要素、またはステップは、ある特定の実施形態の関連で説明されるが、代わりの実施形態と交換してまたは組み合わせて、種々の説明されていない組合せまたは置換の状態にし得ることも理解されよう。
【0116】
本書では、単数形は「少なくとも1つ」を意味し、明確に反対の指示がなければ「唯一」に限定されるべきではないことも理解されたい。従って、例えばある「エマルション」への言及は、文脈が明らかに他に指示していなければ、2以上のこのエマルションを有する例を含む。同様に「複数の」は、「2以上」を示すよう意図されている。
【0117】
本書では範囲を、「約」ある特定の値から、および/または「約」別の特定の値までと表現することがある。このように範囲が表現されるとき、いくつかの例が、そのある特定の値から、および/または他方の特定の値までを含む。同様に、値が先行詞「約」を用いて近似値で表現されるとき、その特定の値は別の態様を形成することを理解されたい。各範囲の端点は、他方の端点との関連で、また他方の端点とは無関係に、意味を持つものであることをさらに理解されたい。
【0118】
本書では「実質的」、「実質的に」という用語およびその変形は、説明される特徴が、ある値または説明に、等しいまたは略等しいことを表示することを目的としている。例えば「実質的に平面的」な表面は、平面的または略平面的な物体を示すよう意図されている。さらに、本書で画成される「実質的に類似」は、2つの値または物体が、等しいまたは略等しいことを示すよう意図されている。
【0119】
他に明確に述べられていなければ、本書に明記されるいずれの方法も、そのステップを特定の順序で実行する必要があると解釈されることを全く意図していない。従って、方法の請求項がそのステップが行われる順序を実際に説明していない場合、あるいはそれ以外に請求項または説明の中でそのステップが特定の順序に限定されるべきであると具体的に述べられていない場合には、何らかの特定の順序が推測されることは全く意図されていない。
【0120】
特定の実施形態の種々の特徴、要素、またはステップは、移行句「含む」を用いて開示され得るが、移行句「から成る」または「から本質的に成る」を用いて説明され得るものを含め、代わりの実施形態が含意されることを理解されたい。従って、例えばA+B+Cを備えたシステムが意味する代わりの実施形態には、システムがA+B+Cから成る実施形態と、システムがA+B+Cから本質的に成る実施形態とが含まれる。
【0121】
本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の種々の改変および変形が作製可能であることは当業者には明らかであろう。本開示の精神および本質を組み込んだ、開示された実施形態の改変、コンビネーション、サブコンビネーション、および変形が当業者には思い付き得るため、本開示は添付の請求項およびその同等物の範囲内の全てのものを含むと解釈されるべきである。
【0122】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0123】
実施形態1
スキージ装置であって、
(a)スキージブレード、
(b)前記キージブレードの長さに沿って間隔を空けて配置され、かつ前記スキージブレードに結合されている、複数の保持器、
(c)前記複数の保持器に結合され、かつ前記スキージブレードの前記長さに沿って延在している、少なくとも1つの支持ストリップ、および、
(d)前記スキージブレードに、印刷ストローク方向に実質的に垂直な方向に力を加えるための、作動機構、
を備えていることを特徴とするスキージ装置。
【0124】
実施形態2
前記少なくとも1つの支持ストリップが、前記力の方向への前記スキージブレードの曲げを可能にするが、前記印刷ストローク方向への前記スキージブレードの曲げを実質的に制限することを特徴とする実施形態1記載のスキージ装置。
【0125】
実施形態3
前記少なくとも1つの支持ストリップが、2つの対向する端部表面と、前記力の方向に実質的に垂直な、2つの対向する支持表面とを備えていることを特徴とする実施形態1記載のスキージ装置。
【0126】
実施形態4
前記複数の保持器が、前記作動機構に摺動可能に結合されていることを特徴とする実施形態1または2記載のスキージ装置。
【0127】
実施形態5
前記スキージブレードが、ゴムまたはポリウレタンの材料を含むことを特徴とする実施形態1から4いずれか1項記載のスキージ装置。
【0128】
実施形態6
前記スキージブレードが、真っ直ぐなエッジのブレードであることを特徴とする実施形態1から5いずれか1項記載のスキージ装置。
【0129】
実施形態7
前記複数の保持器の各保持器が、前記スキージブレードに結合するための保持要素を個々に備えていることを特徴とする実施形態1から6いずれか1項記載のスキージ装置。
【0130】
実施形態8
前記複数の保持器の各保持器がキャビティを個々に備え、かつ前記少なくとも1つの支持ストリップが、前記各保持器の前記キャビティを通って延在していることを特徴とする実施形態1から6いずれか1項記載のスキージ装置。
【0131】
実施形態9
前記少なくとも1つの支持ストリップの高さが、前記保持器の前記キャビティの高さに実質的に相当し、かつ前記少なくとも1つの支持ストリップの幅が、前記保持器の前記キャビティの幅に実質的に相当することを特徴とする実施形態8記載のスキージ装置。
【0132】
実施形態10
前記複数の保持器が、異なる寸法を有する保持器を含むことを特徴とする実施形態1から9いずれか1項記載のスキージ装置。
【0133】
実施形態11
前記複数の保持器が、夫々、約10mmから約50mmの範囲の距離で間隔を空けて配置されていることを特徴とする実施形態1から10いずれか1項記載のスキージ装置。
【0134】
実施形態12
3次元基材の表面にスクリーン印刷する方法であって、
(a)第1の枠と、複数の測定可能な特徴を有する繰返しのテストパターンを備えた第1のスクリーンとを含む、2次元テスト枠付きスクリーンを生成するステップ、
(b)3次元テスト基材の表面上での前記複数の測定可能な特徴の位置を予測するステップ、
(c)前記3次元テスト基材の前記表面に、前記繰返しのテストパターンを印刷するステップ、
(d)前記表面に印刷されたときの前記複数の測定可能な特徴の前記位置を測定するステップ、
(e)前記表面に印刷されたときの前記複数の測定可能な特徴の前記位置を、その予測位置と比較することによって、変位値を計算するステップ、
(f)前記変位値を用いて、前記3次元基材の前記表面に印刷される製造パターンを修正するステップ、
(g)第2の枠と、修正された製造パターンを備えた第2のスクリーンとを含む、2次元枠付きスクリーンを生成するステップ、および、
(h)前記3次元基材の前記表面に、前記修正された製造パターンを印刷するステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【0135】
実施形態13
前記3次元テスト基材および前記3次元基材の印刷の際のオフコンタクト距離が、約5mmから約100mmの範囲であることを特徴とする実施形態12記載の方法。
【0136】
実施形態14
前記複数の測定可能な特徴の位置を予測するステップが、印刷される3次元テスト表面の2次元投影を生成することによって行われることを特徴とする実施形態12または13記載の方法。
【0137】
実施形態15
前記表面に印刷されたときの前記複数の測定可能な特徴の前記位置を測定するステップが、光学的に行われることを特徴とする実施形態12から14いずれか1項記載の方法。
【0138】
実施形態16
前記変位値を計算するステップが、印刷される3次元テスト表面の2次元投影を、印刷されたときの3次元テスト基材の前記表面と比較することによって行われることを特徴とする実施形態12から15いずれか1項記載の方法。
【0139】
実施形態17
ゼロ歪み基準点を決定するステップをさらに含むことを特徴とする実施形態12から16いずれか1項記載の方法。
【0140】
実施形態18
3次元基材上に印刷される画像の歪みを予測する方法であって、
(a)第1の枠と、複数の測定可能な特徴を有する繰返しのテストパターンを備えた第1のスクリーンとを含む、2次元テスト枠付きスクリーンを生成するステップ、
(b)3次元テスト基材の表面上での前記複数の測定可能な特徴の位置を予測するステップ、
(c)前記3次元テスト基材の前記表面に、前記繰返しのテストパターンを印刷するステップ、
(d)前記表面に印刷されたときの前記複数の測定可能な特徴の前記位置を測定するステップ、および、
(e)前記表面に印刷されたときの前記複数の測定可能な特徴の前記位置を、その予測位置と比較することによって、変位値を計算するステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【0141】
実施形態19
前記複数の測定可能な特徴の位置を予測するステップが、印刷される3次元テスト表面の2次元投影を生成することによって行われることを特徴とする実施形態18記載の方法。
【0142】
実施形態20
前記表面に印刷されたときの前記複数の測定可能な特徴の前記位置を測定するステップが、光学的に行われることを特徴とする実施形態18または19記載の方法。
【0143】
実施形態21
前記変位値を計算するステップが、印刷される3次元テスト表面の理論的2次元投影を、印刷されたときの3次元テスト基材の前記表面と比較することによって行われることを特徴とする実施形態18から20いずれか1項記載の方法。
【0144】
実施形態22
ゼロ歪み基準点を決定するステップをさらに含むことを特徴とする実施形態18から21いずれか1項記載の方法。