(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハウジング(5)が、前記カートリッジ(3)若しくは注射器(30)内にある前記薬剤を投与可能なペン型注入器の一部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤装置。
前記カートリッジ(3)又は注射器(30)が、シングル又はダブルチャンバーカートリッジとして設計されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の薬剤装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、カートリッジ(カルプル)3と、ここでは途中まで示されているハウジング5とを含む薬剤装置1の原理図を示している。薬剤装置1は、例えば、カートリッジ3の内部にある薬剤を投与するために用いるペン型注入器であることができる。
【0012】
図1によれば、カートリッジ3は長手軸7を、ハウジング5は中心軸9を有している。この両方の軸が、互いに対して同軸に配置されており、つまり重なっていることが分かる。
【0013】
薬剤装置1は、第1のアンテナ13及び第2のアンテナ15を備えたRFID装置11を有している。第1のアンテナ13及び第2のアンテナ15は、両方がコイルとして形成されている。例示的に、第1のアンテナ13を螺旋状に形成しており、その一方で第2のアンテナ15をリング状に、とりわけ渦巻として実現している。アンテナの形態は、アンテナを取り付けるのに有利なように選択される。
【0014】
図1では、第1のアンテナ13を螺旋状に形成している。なぜならそれにより第1のアンテナ13をカートリッジ3の外面に最適に取り付けられるからである。これに関しては、任意のやり方で第1のアンテナ13を外面17に固定又は形成することができる。さらに、第1のアンテナをカートリッジ3の壁内に組み込むことが考えられる。つまり、アンテナを外面17に印刷することができ、接着することができ、又はここで好ましいように収縮チューブ19を使って固定することができる。これは下でさらに詳しく取り上げる。
【0015】
第1のアンテナ13はRFIDチップ21と連結しており、その一方で第2のアンテナ15は、ここでは示していないRFID読出ユニットと連結している。
【0016】
第2のアンテナ15は、ここでは例示的に渦巻として形成されている。もちろんこの第2のアンテナ15を螺旋状に設計し、ハウジング5の壁の外側で若しくはハウジング5の内側で設けるか、又は第2のアンテナ15をハウジング5の壁内に組み込んでもよい。
【0017】
つまり、薬剤装置1のここで示した例示的実施形態では、設計が異なる二つのアンテナを相互に組み合わせており、これに関し第1のアンテナ13はカートリッジ3に、第2のアンテナ15はハウジング5に割り当てられている。
【0018】
図1からは、第1のアンテナ13が、カートリッジ3の長手軸7と重なり合う仮想軸の周りに螺旋状に配置されていることが分かる。さらに第2のアンテナ15は、ハウジング5の中心軸9と重なり合う仮想軸の周りに延びている。最後に、両方のアンテナ13及び15の軸並びにカートリッジ3の長手軸7及びハウジング5の中心軸9が重なっており、つまり互いに対して同軸に位置合わせされていることが認識できる。
【0019】
図1からは、第1及び第2のアンテナ13及び15のエリアが、カートリッジ3の長手軸7及びハウジング5の中心軸9に対して同軸に延びていることが分かり、これは、長手軸及び中心軸に対して同軸に延びる矢印Pによって明瞭化されている。外側の線Lにより、アンテナ13及び15によって形作られるエリアが外側にどのように延びているかを示唆している。
【0020】
とりわけ、アンテナ13及び15のエリアが同軸で貫き合っていることが分かり、したがってカートリッジ3とハウジング5の相対回転が、RFIDチップ21へのエネルギー伝達に影響を及ぼすことがなく、RFIDチップ21内に存在するデータのRFID読出ユニットによる読み出しが最適に保証されている。
【0021】
図1では、アンテナ13及び15を閉じたコイルとして示している。これに関し、アンテナを閉じたリングとして形成する必要はない。アンテナとして円弧体を使用することも考えられる。
【0022】
図2は、薬剤装置1の一部を、詳しくはRFIDチップと連結したアンテナを収縮チューブと共に、原理図で示している。同じ要素及び同じ機能の要素には同一の符号を付しており、したがってその点では前述の説明を参照されたい。
【0023】
図2は、
図1から明らかな収縮チューブ19を示しており、収縮チューブ19は、RFIDチップと連結した第1のアンテナ13を備えている。
【0024】
アンテナ13と収縮チューブ19を別々に形成し、最初にアンテナ13を例えばカートリッジ3の外面17に載せ、続いて収縮チューブ19によって固定することができる。通常は、カートリッジ3の外径より、又はアンテナ13を取り付けるべき対象物、つまり例えばハウジング5の外径よりも大きな内径を有する収縮チューブ19を選択する。この比較的大きな内径により、収縮チューブ19を容易に取り付けることができる。続いて収縮チューブ19を例えば加熱し、これに関しては収縮チューブ19の材料が、温度が上がると収縮するように設計されており、よって収縮チューブ19の内径が小さくなり、収縮チューブ19がアンテナを取り付けるべき対象物の外面に固定的に当接する。
【0025】
収縮チューブ19を、化学物質、光、とりわけUV光、又はそれに類するものの影響によって収縮する材料から製造することも考えられる。
【0026】
収縮チューブは基本的に知られており、したがって収縮チューブの形態及び機能方式はさらには取り上げない。
【0027】
つまり結局のところ
図2からは、例えばその内側23に第1のアンテナ13が取り付けられ、接着され、又は載せられている収縮チューブ19が明らかであり、したがってユニットは、アンテナ13及び収縮チューブ19から成っている。それだけでなく、第1のアンテナ13を好ましくはRFIDチップ21を含めて、収縮チューブ19の壁内に組み込むことが考えられる。
【0028】
収縮チューブ19は、したがって第1のアンテナ13も、軸24の周りに延びている。
【0029】
図2からは、第1のアンテナ13が螺旋状に設計されていることが分かる。もちろん、軸24が垂直に立っている一平面内に巻きが存在する渦巻状に設計されたアンテナを収縮チューブ19と組み合わせることも考えられる。
【0030】
ここでは、第1のアンテナ13及び
図1から明らかな第2のアンテナ15は螺旋として又はリング状のコイルとして形成されている。両方のアンテナ13及び15が、好ましくは互いに対して同軸に配置された二つ以上の部分アンテナを有してもよいことを、ここで明示的に指摘しておく。
【0031】
図3は、
図2に基づく収縮チューブとカートリッジの分解図を原理図で示している。同じ要素及び同じ機能の要素には同一の符号を付しており、したがってその点では前述の説明を参照されたい。
【0032】
図3からは、RFIDチップ21を有するアンテナ13を備えた収縮チューブ19が、初期状態では大きく設計されており、つまり収縮チューブ19を問題なくカートリッジ3に被せられるような内径を有するように設計されていることが分かる。収縮チューブ19は、問題なくカートリッジ3の外面17上で変位させることができ、所望の場所に位置決めすることができる。収縮チューブ19は、
図1から分かるようにカートリッジ3の上縁25の近傍に配置されるのが好ましい。
【0033】
矢印27の方向で、収縮チューブ19をカートリッジ3の外面17に装着した後、収縮チューブ19に対する収縮工程をアクティブ化し、これにより、収縮チューブ19を固定的に外面17に載せて、所望の位置で保持する。その際、RFIDチップ21もカートリッジ3に固定され、これにより、とりわけRFIDチップとアンテナの結合が損なわれるのを回避する。
【0034】
収縮チューブ19がカートリッジ3に対して同軸に配置されており、したがってつまり収縮チューブ19の軸24とカートリッジ3の長手軸7は、互いに対して同軸に配置されており、重なっている。
【0035】
カートリッジ3は、通常のシングルチャンバーカートリッジとして設計することができ、又は既知のダブルチャンバーカートリッジとして設計されていてもよい。カートリッジの外径は、カートリッジを問題なくハウジング7の内部に挿入できるように選択されている。カートリッジは、その内部にある薬剤を患者に投与できるように、縁25とは反対側の端部29で、カニューレ又はその他の注入システムと結合することができる。
【0036】
カートリッジ3をその下端で、任意の既知のやり方で、例えば
図3で示唆しているようなキャップKにより、封止することができる。
【0037】
図4は、アンテナを備えた注射器を有する薬剤装置の原理図を示している。同じ要素及び同じ機能の要素には同一の符号を付しており、したがってその点では前述の説明を参照されたい。
【0038】
図4に示した例示的実施形態は、
図1及び
図3で示した例示的実施形態とは、カートリッジの代わりにここでは注射器30を使用していることだけが異なっており、注射器30は、
図4では例示的にシングルチャンバーの注射器として設計されている。もちろんダブルチャンバーの注射器を、ここで説明した薬剤装置との関連で使用することもできる。
【0039】
ここで示した注射器30は、
図1に基づいて説明したように、薬剤装置1のハウジング5と組み合わされる。注射器30は長手軸7を有しており、長手軸7は、薬剤装置1のここでは示していないハウジング5に対して同軸に配置されている。
【0040】
注射器30は、ここでは例示的に少なくとも一つの栓31を有しており、栓31は、注射器内で注射器の長手軸7に沿って変位可能である。注射器30はさらに、薬剤装置1のハウジング5の側にある一方の端部で、一周している突出部33を含んでおり、反対側の端部ではカニューレ35を含んでいる。カニューレ35は、後で、注射器30を使用する前に注射器30に装着してもよい。ここで示した例示的実施形態では、突出部33とは反対側の端部で、カニューレ35に覆いかぶさっている保護キャップ37が設けられている。
【0041】
ここで論じた種類の注射器30は知られており、様々に設計することができる。注射器30の具体的な形態は、ここで論じた薬剤装置との関連では重要でない。
【0042】
重要なのは、薬剤装置1の第1の例示的実施形態のカートリッジ3の場合にもそうであるように、注射器30が第1のアンテナ13を有することである。ここでも、注射器30に設けられた第1のアンテナ13は、螺旋状に形成されており、RFIDチップ21と結合している。
【0043】
ここでは、第1のアンテナ13したがって収縮チューブ19を下から、つまり注射器30のうち突出部33とは反対側の端部から、注射器30の基体に被せられることを、矢印39によって示唆している。続いて、第1の例示的実施形態に基づいて説明したように、熱、光、又はそれに類するものにより収縮チューブに影響を及ぼし、これにより収縮チューブは注射器30上へと収縮する。
【0044】
基本的には、印刷法によってであれ、接着又はそれに類することによってであれ、第1のアンテナ13を直接的に注射器30の基体上に取り付けることがもちろん可能である。それだけでなく最後に、少なくとも一つの栓31を収容する注射器30の壁内に、第1のアンテナ13を組み込むことができる。ここでは、カートリッジ3に関して述べたことが相応に当てはまる。
【0045】
しかしながら、収縮チューブ19を使って第1のアンテナ13を注射器30の基体に被せ、その後、そこで固定するのが最も簡単である。
【0046】
第1のアンテナ13の形態、収縮チューブ19の形態、収縮チューブ19内に第1のアンテナ13を組み込む形態、及び収縮チューブ19を注射器30に固定するための形態に関し、その他の点では
図1〜
図3に基づいて示したカートリッジ3を備えた例示的実施形態でのこの観点に関する説明を参照されたい。
【0047】
薬剤装置1との関連では、上で
図1に関連して述べたように第2のアンテナ15と協働する既知の読出ユニットを備えた通常のRFID装置が設けられている。
【0048】
第2のアンテナ15及び第1のアンテナ13を介して、カートリッジ3又は注射器30でエネルギーをRFIDチップ21に供給するために、及びチップをアクティブ化した後にデータを読み出すために、通常は、RFID読出ユニットがエネルギー源を含んでいる。
【0049】
両方のアンテナ13及び15が、互いに対して同軸に配置されており、ハウジング5、又は、カートリッジ3若しくは注射器30に対しても同軸に配置されていることにより、RFID読出ユニットからエネルギーが最適にRFIDチップ21に伝達されることが保証されている。同時に、RFIDチップ21からデータが非常に良好に、両方のアンテナ13及び15を介してRFID読出ユニットに伝達されることが保証されている。
【0050】
こうすることでとりわけ、RFIDチップ21が、カートリッジ3若しくは注射器30についての情報、例えばそのサイズ若しくはそれに類することについての情報、カートリッジ3若しくは注射器30内にある薬剤についての情報、及び/又は薬剤の投与方法についての情報を伝達することが保証されている。例えばカートリッジ3又は注射器30内の薬剤の残量を、RFID読出ユニットに伝えることもできる。
【0051】
薬剤自体についての情報及び通常の又は患者に合わせた分量についての情報も、容易に伝達することができる。
【0052】
結局のところ以下のことが明らかになる。
【0053】
薬剤装置1のここで説明した形態に関して重要なのは、RFID装置11の、コイルとして形成された二つのアンテナ13及び15が、互いに対して並びに薬剤装置1の長手軸7及び中心軸9に対して同軸に配置されるように位置合わせされていることである。
【0054】
これに関し、アンテナの一方を渦巻状に、さらに円弧体として形成することができ、これに対しもう一方のアンテナは螺旋状に形成されている。両方のアンテナ13及び15の渦巻状又は螺旋状の形態も可能である。
【0055】
重要なのは、アンテナの同軸の配置であり、これにより、エネルギーを一方からもう一方へ、及びデータを好ましくは反対方向へ、最適に伝達することができる。
【0056】
アンテナは、外側からカートリッジ3若しくは注射器30、又は、ハウジング5の壁上に取り付けることができ、好ましくは収縮チューブ19を使って固定することができる。しかし一方又は両方のアンテナを、カートリッジ3若しくは注射器30、又は、ハウジング5の内側に設けること、或いはカートリッジ3若しくは注射器30、及び/又は、ハウジング5の壁内に組み込むことも考えられる。
【0057】
第1のアンテナ13が、カートリッジ3又は注射器30の外面17に配置されるのが好ましい。なぜならこの取付方法は、容易に実施可能であり、カートリッジ又は注射器の内部空間を遮るものがないままだからである。カートリッジ又は注射器の内部空間に少なくとも一つの栓又はピストンが挿入され、この栓又はピストンは容易且つ妨害されずに摺動可能であるべきなので、とりわけ、カートリッジ又は注射器の内壁はできるだけ遮るものがないままであることが望ましい。