特許第6706274号(P6706274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706274
(24)【登録日】2020年5月19日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】発電機用プロペラ装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 1/04 20060101AFI20200525BHJP
【FI】
   F03D1/04 B
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-3512(P2018-3512)
(22)【出願日】2018年1月12日
(65)【公開番号】特開2019-124136(P2019-124136A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2018年1月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(74)【代理人】
【識別番号】100194939
【弁理士】
【氏名又は名称】別所 公博
(74)【代理人】
【識別番号】100206782
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰洋
(72)【発明者】
【氏名】井上 雅博
【審査官】 岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04863350(US,A)
【文献】 再公表特許第2010/097948(JP,A1)
【文献】 特開2014−047724(JP,A)
【文献】 特表2009−503337(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/002016(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転中心部および前記回転中心部から径方向外側に向かって延びる複数枚の翼を有し、回転可能に設けられた第1プロペラと、
前記第1プロペラから下流に向かって延びて設けられ、テーパー形状に形成されたカバーと、
前記カバーの径方向内側に回転可能に設けられた第2プロペラと
を備え、
前記カバーは、前記第1プロペラから下流に向かうにつれて径方向寸法が大きくなるように配置されており、
前記カバーの下流側端部における径方向寸法は、前記回転中心部における中心軸線から前記翼における径方向外側部分までの寸法である前記第1プロペラの径方向寸法よりも小さく、
前記第1プロペラの直径寸法に対する前記第1プロペラの周速比の比は、前記第2プロペラの直径寸法に対する前記第2プロペラの周速比の比と一致する発電機用プロペラ装置。
【請求項2】
前記カバーの外周面であって下流側の部分に設けられ、前記カバーの外周面から径方向外側に延びるリブをさらに備えた請求項1に記載の発電機用プロペラ装置。
【請求項3】
回転中心部および前記回転中心部から径方向外側に向かって延びる複数枚の翼を有し、回転可能に設けられた第1プロペラと、
前記第1プロペラから下流に向かって延びて設けられ、円筒形状に形成されたカバーと、
前記カバーの外周面であって下流側の部分に設けられ、前記カバーの外周面から径方向外側に延びるリブと、
前記カバーの径方向内側に回転可能に設けられた第2プロペラと
を備え、
前記カバーの径方向寸法は、前記回転中心部における中心軸線から前記翼における径方向外側部分までの寸法である前記第1プロペラの径方向寸法よりも小さく、
前記第1プロペラの直径寸法に対する前記第1プロペラの周速比の比は、前記第2プロペラの直径寸法に対する前記第2プロペラの周速比の比と一致する発電機用プロペラ装置。
【請求項4】
前記カバーは、前記第1プロペラに固定されている請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の発電機用プロペラ装置。
【請求項5】
前記カバーには、前記第1プロペラが嵌合されるスリットが形成されており、
前記カバーは、前記スリットに前記第1プロペラが嵌合されることによって、前記第1プロペラに固定されている請求項4に記載の発電機用プロペラ装置。
【請求項6】
前記第2プロペラは、前記カバーに固定されている請求項1から請求項5までの何れか一項に記載の発電機用プロペラ装置。
【請求項7】
前記第2プロペラは、前記第1プロペラと同期して回転する請求項1から請求項6までの何れか一項に記載の発電機用プロペラ装置。
【請求項8】
前記第1プロペラは、揚力型プロペラであり、前記第2プロペラは、抗力型プロペラである請求項1から請求項7までの何れか一項に記載の発電機用プロペラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発電機の回転軸を回転させる発電機用プロペラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロペラ本体と、プロペラ本体よりも径方向外側に設けられ、テーパー形状に形成されたカバーとを備えた発電機用プロペラ装置が知られている。カバーは、プロペラ本体から下流側に向かって延びている。また、カバーは、下流に向かうにつれて径方向寸法が大きくなるように配置されている。カバーの内側を空気が流れると、プロペラ本体が回転するとともに、カバーよりも下流側の空間に負圧の空間が形成される。これにより、カバーの内側を流れる空気の速度が上昇する。その結果、プロペラ本体の回転速度が上昇する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5030122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カバーがプロペラ本体よりも径方向外側に配置されている。これにより、カバーが大きくなってしまう。その結果、発電機用プロペラ装置が大型化してしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、小型化を図ることができる発電機用プロペラ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る発電機用プロペラ装置は、回転中心部および回転中心部から径方向外側に向かって延びる複数枚の翼を有し、回転可能に設けられた第1プロペラと、第1プロペラから下流に向かって延びて設けられ、テーパー形状に形成されたカバーと、カバーの径方向内側に回転可能に設けられた第2プロペラとを備え、カバーは、第1プロペラから下流に向かうにつれて径方向寸法が大きくなるように配置されており、カバーの下流側端部における径方向寸法は、回転中心部における中心軸線から翼における径方向外側部分までの寸法である第1プロペラの径方向寸法よりも小さく、第1プロペラの直径寸法に対する第1プロペラの周速比の比は、第2プロペラの直径寸法に対する第2プロペラの周速比の比と一致する
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る発電機用プロペラ装置によれば、カバーの径方向寸法は、第1プロペラの径方向寸法よりも小さい。これにより、カバーを小さくすることができる。その結果、発電機用プロペラ装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態1に係る発電機用プロペラ装置を示す正面図である。
図2図1の発電機用プロペラ装置を示す側面図である。
図3図2のカバーの変形例を示す側面図である。
図4図2のカバーの変形例を示す側面図である。
図5】この発明の実施の形態2に係る発電機用プロペラ装置を示す正面図である。
図6図5の発電機用プロペラ装置を示す側面図である。
図7図6のカバーを示す斜視図である。
図8図7のカバーの変形例を示す斜視図である。
図9】この発明の実施の形態3に係る発電機用プロペラ装置を示す正面図である。
図10図9の発電機用プロペラ装置を示す側面図である。
図11】この発明の実施の形態4に係る発電機用プロペラ装置を示す正面図である。
図12図11の発電機用プロペラ装置を示す側面図である。
図13図12のカバーの変形例を示す側面図である。
図14図12のカバーの変形例を示す側面図である。
図15】この発明の実施の形態5に係る発電機用プロペラ装置を示す正面図である。
図16図15の発電機用プロペラ装置を示す側面図である。
図17】この発明の実施の形態6に係る発電機用プロペラ装置を示す正面図である。
図18図17の発電機用プロペラ装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る発電機用プロペラ装置を示す正面図、図2は、図1の発電機用プロペラ装置を示す側面図である。発電機用プロペラ装置は、流体の流れのエネルギーを回転エネルギーに変換する。流体としては、空気、水などが挙げられる。発電機用プロペラ装置は、回転可能に設けられた第1プロペラ1と、第1プロペラ1から下流に向かって延びて設けられたカバー2とを備えている。第1プロペラ1は、図示しない発電機の回転軸に接続される。第1プロペラ1は、カバー2よりも上流側に配置される。
【0010】
第1プロペラ1は、円柱形状の回転中心部11と、回転中心部11に設けられた3枚の翼12とを有している。以下、径方向とは、回転中心部11についての径方向とする。また、周方向とは、回転中心部11についての周方向とする。また、軸方向とは、回転中心部11についての軸方向とする。翼12は、回転中心部11から径方向外側に向かって延びるように、回転中心部11に固定されている。3枚の翼12は、周方向に等間隔に並べて配置されている。第1プロペラ1は、周方向に回転する。第1プロペラ1が回転することによって、発電機の回転軸が回転する。発電機の回転軸は、水平方向に延びて配置される。言い換えれば、発電機用プロペラ装置が用いられる発電機は、水平軸発電機となっている。
【0011】
カバー2は、テーパー形状の形成されている。言い換えれば、カバー2は、円錐形状に形成されている。カバー2は、第1プロペラ1から下流に向かうにつれて径方向寸法が大きくなるように配置されている。カバー2の側壁21は、上流側端部から下流側端部に向かうにつれて、径方向寸法が一定の割合で増加するように形成されている。カバー2の径方向寸法Lは、第1プロペラ1の径方向寸法Lよりも小さくなっている。この例では、カバー2の径方向寸法Lとは、カバー2の下流側端部における径方向寸法である。
【0012】
カバー2は、カバー2の中心軸線および第1プロペラ1の中心軸線が同一直線上に配置されるように、第1プロペラ1に固定されている。言い換えれば、カバー2は、第1プロペラ1と同軸上に配置されている。第1プロペラ1とカバー2とを互いに固定する方法としては、第1プロペラ1およびカバー2を一体に形成する方法、第1プロペラ1およびカバー2を別々に形成した後に、カバー2と第1プロペラ1とを互いに接着する方法などが挙げられる。
【0013】
次に、発電機用プロペラ装置の動作について説明する。カバー2よりも上流側からカバー2よりも下流側に向かって流体が流れると、第1プロペラ1に流体が当たる。これにより、第1プロペラ1が回転する。カバー2が第1プロペラ1に固定されていることによって、カバー2は、第1プロペラ1と同期して回転する。流体がカバー2の側壁21に沿って流れると、カバー2よりも下流側の空間に負圧の空間が形成される。これにより、カバー2の径方向内側を流れる流体の速度が上昇する。その結果、第1プロペラ1の回転速度が上昇する。
【0014】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る発電機用プロペラ装置によれば、カバー2の径方向寸法Lは、第1プロペラ1の径方向寸法Lよりも小さい。これにより、カバー2を小さくすることができる。その結果、発電機用プロペラ装置の小型化を図ることができる。
【0015】
また、カバー2は、第1プロペラ1に固定されている。これにより、カバー2を支持するための支柱を設置する必要がない。したがって、第1プロペラ1が支柱の近くを通過する時に発生する圧力変動が防止される。その結果、発電機用プロペラ装置の効率を向上させることができる。
【0016】
また、カバー2が第1プロペラ1よりも下流に配置され、カバー2が第1プロペラ1に固定される。これにより、カバー2が風見鶏の機能を果たす。したがって、風見鶏を新たに設置する必要がない。その結果、発電機用プロペラ装置の小型化を図ることができる。
【0017】
また、カバー2が風見鶏の機能を果たすことによって、流体の流れる方向の変化に対して第1プロペラ1の向く方向を容易に追従させることができる。その結果、流体の流れる方向が変化する時に発生する発電機用プロペラ装置の効率の低下を抑制することができる。
【0018】
また、カバー2が第1プロペラ1に固定されることによって、第1プロペラ1の強度を向上させることができる。その結果、第1プロペラ1を、安価な材料を用いて製造することができる。
【0019】
なお、実施の形態1では、カバー2がテーパー形状に形成されている構成について説明した。これに対して、例えば、図3に示すように、カバー2の側壁21における軸方向中間部が径方向外側に突出するように、カバー2の側壁21が湾曲する構成であってもよい。また、図4に示すように、カバー2の側壁21における軸方向中間部が径方向内側に突出するように、カバー2の側壁21が湾曲する構成であってもよい。
【0020】
また、実施の形態1では、カバー2が第1プロペラ1に固定された構成について説明したが、カバー2が第1プロペラ1に固定されていない構成であってもよい。この場合に、カバー2を支持する支柱を設置する必要がある。
【0021】
実施の形態2.
図5は、この発明の実施の形態2に係る発電機用プロペラ装置を示す正面図、図6は、図5の発電機用プロペラ装置を示す側面図、図7は、図6のカバーを示す斜視図である。カバー2には、翼12が嵌合される3個のスリット22が形成されている。3個のスリット22は、周方向に等間隔に並べて配置されている。スリット22は、カバー2における上流側端部から下流側に向かって真っすぐに延びて形成されている。スリット22に翼12が嵌合されることによって、カバー2が第1プロペラ1に固定されている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0022】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係る発電機用プロペラ装置によれば、カバー2は、スリット22に第1プロペラ1が嵌合されることによって、第1プロペラ1に固定されている。これにより、軸方向についてのカバー2の寸法を小さくすることができる。その結果、発電機用プロペラ装置の小型化を図ることができる。また、スリット22に第1プロペラ1が嵌合されることによって、カバー2と第1プロペラ1との間の距離が短くなる。これにより、カバー2による集風効果を向上させることができる。
【0023】
なお、実施の形態2では、スリット22がカバー2における上流側端部から下流側に向かって真っすぐに延びて形成されている構成について説明した。これに限らず、例えば、図8に示すように、スリット22がカバー2における上流側端部から下流側に向かうにつれて周方向に延びて形成されてもよい。
【0024】
実施の形態3.
図9は、この発明の実施の形態3に係る発電機用プロペラ装置を示す正面図、図10は、図9の発電機用プロペラ装置を示す側面図である。発電機用プロペラ装置は、カバー2の外周面であって下流側部分に設けられたリブ3を備えている。リブ3は、カバー2の外周面から径方向外側に延びて形成されている。リブ3は、円環形状に形成されている。その他の構成は、実施の形態2と同様である。なお、その他の構成は、実施の形態1と同様であってもよい。
【0025】
流体がカバー2の側壁21に沿って流れると、流体がリブ3に沿って流れる。これにより、カバー2よりも下流側の空間に形成される負圧の空間がより大きくなる。これにより、カバー2の径方向内側を流れる流体の速度がより上昇する。その結果、第1プロペラ1の回転速度がより上昇する。
【0026】
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係る発電機用プロペラ装置によれば、カバー2の外周面であって下流側部分にリブ3が設けられ、リブ3は、カバー2の外周面から径方向外側に延びて形成されている。これにより、カバー2よりも下流側の空間により大きな負圧の空間を形成することができる。したがって、カバー2の内側を流れる空気の速度をより上昇させることができる。その結果、プロペラ本体の回転速度をより上昇させることができる。
【0027】
また、リブ3がカバー2の外周面であって下流側部分に設けられる。これにより、リブ3が風見鶏の機能を果たす。したがって、流体の流れる方向の変化に対して第1プロペラ1の向く方向をより容易に追従させることができる。その結果、流体の流れる方向が変化する時に発生する発電機用プロペラ装置の効率の低下をより確実に抑制することができる。
【0028】
実施の形態4.
図11は、この発明の実施の形態4に係る発電機用プロペラ装置を示す正面図、図12は、図11の発電機用プロペラ装置を示す側面図である。カバー2は、円筒形状に形成されている。カバー2は、第1プロペラ1から下流に向かって延びて配置されている。カバー2は、第1プロペラ1に固定されている。カバー2の径方向寸法Lは、第1プロペラ1の径方向寸法Lよりも小さくなっている。その他の構成は、実施の形態3と同様である。なお、その他の構成は、実施の形態1または実施の形態2と同様であってもよい。
【0029】
以上説明したように、この発明の実施の形態4に係る発電機用プロペラ装置によれば、カバー2は、円筒形状に形成されている。これにより、カバー2を容易に製造することができる。また、カバー2の径方向寸法Lは、第1プロペラ1の径方向寸法Lよりも小さい。これにより、カバー2を小さくすることができる。その結果、発電機用プロペラ装置の小型化を図ることができる。
【0030】
なお、上記実施の形態4では、カバー2が円筒形状に形成されている構成について説明した。これに対して、例えば、図13に示すように、カバー2の側壁21における軸方向中間部が径方向外側に突出するように、カバー2の側壁21が湾曲する構成であってもよい。また、図14に示すように、カバー2の側壁21における軸方向中間部が径方向内側に突出するように、カバー2の側壁21が湾曲する構成であってもよい。
【0031】
実施の形態5.
図15は、この発明の実施の形態5に係る発電機用プロペラ装置を示す正面図、図16は、図15の発電機用プロペラ装置を示す側面図である。発電機用プロペラ装置は、第1プロペラ1よりも下流側であって、カバー2よりも径方向内側に設けられた第2プロペラ4と、第2プロペラ4を第1プロペラ1に対して固定する固定部材5とを備えている。
【0032】
第2プロペラ4は、回転中心部41と、回転中心部41に設けられた3枚の翼42とを有している。回転中心部41は、回転中心部11に対して、軸方向に重なるように配置されている。翼42は、回転中心部41から径方向について外側に向かって延びるように、回転中心部41に固定されている。3枚の翼42は、周方向に等間隔に並べて配置されている。3枚の翼42は、3枚の翼12に対して、軸方向に重ならないように配置されている。言い換えれば、翼42は、軸方向に視た場合に、周方向に隣り合う翼12の間に配置されている。なお、翼42は、軸方向に視た場合に、翼12と重なるように配置されてもよい。言い換えれば、翼42の位置は、翼12の位置に対して関係なくてもよい。また、翼12の枚数および翼42の枚数は、3枚に限らず、その他の枚数であってもよい。
【0033】
固定部材5は、回転中心部11および回転中心部41を貫通する3本のボルト51と、3本のボルト51のそれぞれに1つずつ嵌合された3個のナット52とを有している。ナット52がボルト51に嵌合されることによって、第2プロペラ4が第1プロペラ1に固定される。これにより、第2プロペラ4は、第1プロペラ1と同期して回転する。また、第2プロペラ4が第1プロペラ1に固定されることによって、第2プロペラ4は、カバー2に対しても固定される。これにより、第2プロペラ4は、カバー2と同期して回転する。
【0034】
第1プロペラ1は、揚力型プロペラとなっている。第2プロペラ4は、抗力型プロペラとなっている。揚力型プロペラは、ソリディティが小さく、かつ、周速比が大きい。したがって、揚力型プロペラは、高速回転に適している。また、揚力型プロペラは、大きな回転エネルギーを得ることができる。一方、抗力型プロペラは、ソリディティが大きく、かつ、周速比が小さい。したがって、抗力型プロペラは、低速回転時に高トルクを得ることができる。なお、抗力型プロペラは、高速回転時にもトルクが発生する。第1プロペラ1を揚力型プロペラとし、第2プロペラ4を抗力型プロペラとすることによって、流体の速度が低速度の場合に第2プロペラ4から高トルクを得ることができ、流体の速度が高速度の場合に第1プロペラ1から大きな回転エネルギーを得ることができる。また、第1プロペラ1および第2プロペラ4の両方のトルクおよびパワーが合算される。これにより、発電機用プロペラ装置の効率を向上させることができる。
【0035】
第1プロペラ1と第2プロペラ4との間の直径寸法の比と、第1プロペラ1と第2プロペラ4との間の周速比の比とが互いに等しくなるように設計されている。言い換えれば、第1プロペラ1の直径寸法に対する第1プロペラ1の周速比の比は、第2プロペラ4の直径寸法に対する第2プロペラ4の周速比の比と一致する。周速比λは、下記の式(1)によって表される。ここで、Vは、プロペラの先端部の回転速度(m/s)であり、Vは、流体の速度(m/s)である。
【0036】
λ=V/V (1)
【0037】
プロペラの回転数Nは、下記の式(2)によって表される。ここで、Dはプロペラの直径寸法である。
【0038】
N=V/(πD) (2)
【0039】
上記の式(1)および上記の式(2)から下記の式(3)が得られる。
【0040】
N=V・λ/(πD) (3)
【0041】
第1プロペラ1および第2プロペラ4は、互いに固定されているので、第1プロペラ1および第2プロペラ4は、互いに同期して回転する。したがって、第1プロペラ1の回転数と第2プロペラ4の回転数とは、互いに一致する。第1プロペラ1の直径寸法をDとし、第1プロペラ1の周速比をλとし、第2プロペラ4の直径寸法をDとし、第2プロペラ4の周速比をλとすると、下記の式(4)が得られる。
【0042】
・λ/(πD)=V・λ/(πD) (4)
【0043】
上記の式(4)から下記の式(5)が得られる。
【0044】
λ/D=λ/D (5)
【0045】
上記の式(5)を満たすように第1プロペラ1および第2プロペラ4を設計することによって、第1プロペラ1および第2プロペラ4の両方とも、同じ流体速度で最大の効率が得られる。その他の構成は、実施の形態3と同様である。なお、その他の構成は、実施の形態1、2および4の何れかと同様であってもよい。
【0046】
以上説明したように、この発明の実施の形態5に係る発電機用プロペラ装置によれば、カバー2の径方向内側に第2プロペラ4が回転可能に設けられている。これにより、第1プロペラ1に発生するトルクに加えて、第2プロペラ4に発生するトルクを用いて、発電機の回転軸を回転させることができる。その結果、発電機用プロペラ装置の効率を向上させることができる。
【0047】
また、第2プロペラ4は、第1プロペラ1と同期して回転する。これにより、翼12と翼42とが、軸方向について互いに重なることを防止することができる。その結果、発電機用プロペラ装置の効率を向上させることができる。
【0048】
また、第1プロペラ1は、揚力型プロペラであり、第2プロペラ4は、抗力型プロペラである。これにより、流体の速度が低速度の場合に高トルクを得ることができ、流体の速度が高速度の場合に大きな回転エネルギーを得ることができる。
【0049】
第1プロペラ1の直径寸法Dに対する第1プロペラ1の周速比λの比は、第2プロペラ4の直径寸法Dに対する第2プロペラ4の周速比λの比と一致する。これにより、第1プロペラ1および第2プロペラ4の両方とも、同じ流体速度で最大の効率を得ることができる。
【0050】
なお、上記実施の形態5では、第1プロペラ1が第2プロペラ4よりも上流側に配置された構成について説明した。これに対して、第2プロペラ4が第1プロペラ1よりも上流側に配置されてもよい。
【0051】
また、上記実施の形態5では、第2プロペラ4が第1プロペラ1に固定される構成について説明した。これに対して、第2プロペラ4がカバー2の側壁21の内周面に固定される構成であってもよい。この場合、第2プロペラ4の強度を向上させることができる。その結果、第2プロペラ4を、安価な材料を用いて製造することができる。第2プロペラ4とカバー2とを互いに固定する方法としては、第2プロペラ4およびカバー2を一体に形成する方法、第2プロペラ4およびカバー2を別々に形成した後に、第2プロペラ4とカバー2とを互いに接着する方法などが挙げられる。
【0052】
また、上記実施の形態5では、第2プロペラ4が抗力型プロペラである構成について説明した。これに対して、第2プロペラ4が揚力型プロペラである構成であってもよい。この場合であっても、第1プロペラ1および第2プロペラ4の両方のトルクおよびパワーが合算される。
【0053】
実施の形態6.
図17は、この発明の実施の形態6に係る発電機用プロペラ装置を示す正面図、図18は、図17の発電機用プロペラ装置を示す側面図である。発電機用プロペラ装置は、カバー2の側壁21の外周面に第1プロペラ6が固定されている。第1プロペラ6は、3枚の翼61から構成されている。3枚の翼61は、カバー2の外周面から径方向外側に向かって延びて形成されている。3枚の翼61は、周方向に等間隔に並べて配置されている。第1プロペラ6は、カバー2よりも径方向内側に設けられていない。その他の構成は、実施の形態5と同様である。なお、その他の構成は、実施の形態1から実施の形態4までの何れかと同様であってもよい。
【0054】
以上説明したように、この発明の実施の形態6に係る発電機用プロペラ装置によれば、第1プロペラ6は、カバー2の側壁21の外周面に設けられており、カバー2の外周面から径方向外側に延びて形成されている。これにより、第1プロペラ6と第2プロペラ4との間で、流れる流体の干渉を防止することができる。その結果、発電機用プロペラ装置の高効率化を図ることができる。
【0055】
実施の形態5のように、カバー2よりも径方向内側に、第1プロペラ1および第2プロペラ4が配置される場合には、第1プロペラ1によって発生する流体の流れの乱れによって、第2プロペラ4に向かう流体の流れの流入角度が変化する可能性がある。この場合に、第2プロペラ4の効率を低下させる可能性がある。これに対して、実施の形態6では、第1プロペラ6がカバー2の径方向外側に配置されているので、第2プロペラ4の効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 第1プロペラ、2 カバー、3 リブ、4 第2プロペラ、5 固定部材、6 第1プロペラ、11 回転中心部、12 翼、21 側壁、22 スリット、41 回転中心部、42 翼、51 ボルト、52 ナット、61 翼。
図1
図2
図3
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図5
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図18