特許第6706303号(P6706303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706303
(24)【登録日】2020年5月19日
(45)【発行日】2020年6月3日
(54)【発明の名称】コネクタ組立体及びコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/62 20060101AFI20200525BHJP
   H01R 25/00 20060101ALN20200525BHJP
【FI】
   H01R13/62
   !H01R25/00 G
【請求項の数】18
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2018-186752(P2018-186752)
(22)【出願日】2018年10月1日
(65)【公開番号】特開2020-57501(P2020-57501A)
(43)【公開日】2020年4月9日
【審査請求日】2019年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】中澤 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】遠矢 正一
【審査官】 山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−163107(JP,A)
【文献】 特開平11−297407(JP,A)
【文献】 特開2013−026159(JP,A)
【文献】 特開2012−003874(JP,A)
【文献】 特開2016−157665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/62
H01R 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタと第2コネクタとを備えるコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタを前記第2コネクタに対して上下方向において下方へ移動させることにより、前記第1コネクタと前記第2コネクタとは分離状態から仮嵌合状態へ移行可能であり、
前記第1コネクタを前記第2コネクタに対して前記上下方向において上方へ移動させることにより、前記第1コネクタと前記第2コネクタとは前記仮嵌合状態から前記分離状態へ移行可能であり、
前記第1コネクタを前記第2コネクタに対して前記上下方向と直交する前後方向において前方へ移動させることにより、前記第1コネクタと前記第2コネクタとは前記仮嵌合状態から本嵌合状態へ移行可能であり、
前記第1コネクタを前記第2コネクタに対して前記前後方向において後方へ移動させることにより、前記第1コネクタと前記第2コネクタとは前記本嵌合状態から前記仮嵌合状態へ移行可能であり、
前記第1コネクタは、少なくとも一つの第1コンタクトと、前記第1コンタクトを保持する第1ハウジングとを備えており、
前記第2コネクタは、少なくとも一つの第2コンタクトと、前記第2コンタクトを保持する第2ハウジングと、操作部材と、可動部材とを備えており、
前記第1ハウジングには、第1被案内部と、第2被案内部と、被規制部とが設けられており、
前記第2ハウジングには、第1案内部と第2案内部とが設けられており、
前記第1被案内部及び前記第1案内部は、前記分離状態と前記仮嵌合状態との間で、前記第2コネクタに対する前記第1コネクタの前記前後方向における移動を規制するものであり、
前記第2被案内部及び前記第2案内部は、前記仮嵌合状態と前記本嵌合状態との間及び前記本嵌合状態において、前記第2コネクタに対する前記第1コネクタの前記上下方向における上方への移動を規制するものであり、
前記操作部材には、力伝達部が設けられており、
前記可動部材には、力受部と規制部とが設けられており、
前記操作部材は、第1位置と第2位置との間で移動可能に前記第2ハウジングに取り付けられており、
前記可動部材は、非ロック位置とロック位置との間で移動可能に前記第2ハウジングに取り付けられており、
前記可動部材は、前記第2ハウジングによって前記前後方向における移動が規制されており、
前記力伝達部は、前記操作部材の移動に応じて前記力受部に所定方向の力を伝達するものであり、これにより、前記可動部材は前記操作部材に連動し、
前記操作部材が前記第1位置に位置するとき、前記可動部材は非ロック位置に位置し、
前記操作部材が前記第2位置に位置するとき、前記可動部材はロック位置に位置し、
前記本嵌合状態において、前記可動部材がロック位置に位置するとき、前記規制部は、前記第1ハウジングの前記被規制部の後方に位置して前記第2ハウジングに対する前記第1ハウジングの後方への移動を規制し、
前記本嵌合状態において、前記可動部材が非ロック位置に位置するとき、前記規制部は、前記第1ハウジングの前記被規制部の後方に位置しておらず、前記第2ハウジングに対する前記第1ハウジングの後方への移動を許容する
コネクタ組立体。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ組立体であって、
前記第1位置は、前記第2位置よりも前記前後方向において後方に位置しており、
前記第2コネクタは、前記操作部材が前記第1位置から前記第2位置へ向かって前方へ移動することを許容する許容部を備えており、
前記仮嵌合状態において、前記第1コネクタは、前記許容部内に部分的に位置しており、
前記本嵌合状態において、前記第1コネクタは、前記許容部の前方に位置しており、
前記本嵌合状態において、前記操作部材を前記第2位置へ移動させると、前記可動部材が前記許容部内に部分的に入り、前記規制部が前記第2ハウジングに対する前記第1ハウジングの後方への移動を規制する
コネクタ組立体。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタ組立体であって、
前記所定方向は、前記上下方向であり、
前記非ロック位置は前記ロック位置よりも前記上下方向において下方に位置しており、
前記操作部材は、前記前後方向に沿って、前記第1位置と前記第2位置との間で移動可能であり、
前記可動部材は、前記上下方向に沿って、前記非ロック位置と前記ロック位置との間で移動可能である
コネクタ組立体。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載のコネクタ組立体であって、
前記力伝達部及び前記力受部の一方は、少なくとも一つのカム溝であり、
前記力伝達部及び前記力受部の残りの一方は、少なくとも一つのカム突起である
コネクタ組立体。
【請求項5】
請求項4に記載のコネクタ組立体であって、
前記少なくとも一つのカム溝は、一対のカム溝であり、
前記少なくとも一つのカム突起は、一対のカム突起であり、
前記カム突起は、前記上下方向及び前記前後方向の双方と直交する横方向に沿って、互いに逆向きに突出しており、
前記カム突起は、前記横方向において互いに離れて配置されており、
前記カム溝は、前記カム突起に夫々対応して配置されている
コネクタ組立体。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一つに記載のコネクタ組立体であって、
前記規制部は、前記可動部材の前端面であり、
前記被規制部は、前記第1ハウジングの後端面である
コネクタ組立体。
【請求項7】
請求項2に記載のコネクタ組立体であって、
前記第2ハウジングは、底壁を有しており、
前記第2コンタクトは、前記底壁の上面から上方へ部分的に突出しており、
前記底壁には、前記可動部材を少なくとも部分的に収容する可動部材収容部が設けられており、
前記可動部材収容部は、前記底壁の前記上面よりも下方へ凹んでおり、
前記可動部材収容部は、前記前後方向において、前記第2コンタクトよりも後方に位置し、かつ前記許容部と部分的に重なっており、
前記可動部材収容部は、前記上下方向において前記許容部の下に位置するとともに、前記許容部と連通しており、
前記操作部材が前記第1位置に位置するとき、前記可動部材は前記許容部内に位置しておらず、
前記操作部材が前記第2位置に位置するとき、前記可動部材は前記許容部内に部分的に位置している
コネクタ組立体。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載のコネクタ組立体であって、
前記第1ハウジングは、前記前後方向に延びる一対の第1側壁を備えており、
前記第1側壁は、前記上下方向及び前記前後方向の双方と直交する横方向において、互いに対向しており、
前記第2ハウジングは、前記前後方向に延びる一対の第2側壁を備えており、
前記第2側壁は、前記横方向において、互いに対向しており、
前記第1被案内部及び前記第2被案内部は、前記第1側壁に設けられており、
前記第1案内部及び前記第2案内部は、前記第2側壁に設けられている
コネクタ組立体。
【請求項9】
請求項8に記載のコネクタ組立体であって、
前記第2側壁は、前記横方向において内側へ向かう内面を有しており、
前記内面には、第3案内部が設けられており、
前記操作部材は、前記横方向において外側へ向かう側面を有しており、
前記側面には、第3被案内部が設けられており、
前記第3案内部及び前記第3被案内部は、前記操作部材を前記第1位置と前記第2位置との間で案内するものであり、
前記第3案内部及び前記第3被案内部の一方は、一対の案内溝であり、
前記第3案内部及び前記第3被案内部の残りの一方は、一対の案内突起である
コネクタ組立体。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一つに記載のコネクタ組立体であって、
前記第2ハウジングは、カバー部を有しており、
前記カバー部は、前記上下方向に沿って見たとき、前記可動部材と部分的に重なっており、
前記操作部材には、カバー部収容部が設けられており、
前記カバー部収容部は、前記操作部材が前記第1位置に位置するとき、前記カバー部を少なくとも部分的に収容しており、
前記カバー部は、前記操作部材が前記第1位置から前記第2位置へ移動するにしたがい、前記カバー部収容部から出てくる
コネクタ組立体。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一つに記載のコネクタ組立体であって、
前記第2コンタクトのうちの一つは、前記本嵌合状態を検知する検知コンタクトであり、
前記検知コンタクトは、接触片部と、前記接触片部から分離した本体部とを有しており、
前記接触片部は、前記本嵌合状態において、前記第1コンタクトのうちの一つと接触するものであり、
前記第2コネクタは、接続状態切替機構を備えており、
前記接続状態切替機構は、前記接触片部と前記本体部とが電気的に接続された接続状態と前記接触片部と前記本体部とが電気的に分離された非接続状態とを切り替えるものであり、
前記操作部材が前記第1位置に位置するとき、前記接続状態切替機構は、前記接続状態及び前記非接続状態の一方を実現し、
前記操作部材が前記第2位置に位置するとき、前記接続状態切替機構は、前記接続状態及び前記非接続状態の残りの一方を実現する
コネクタ組立体。
【請求項12】
請求項11に記載のコネクタ組立体であって、
前記接続状態切替機構は、前記操作部材に設けられた接続状態切替部と、前記本体部に設けられた弾性片部とを備えており、
前記弾性片部は、前記接触片部に接触可能な接触部を有しており、
前記接続状態切替部は、前記操作部材が前記第1位置から前記第2位置へ移動したとき、前記弾性片部に接触して前記接触部を変位させ、前記接続状態から前記非接続状態へ、又は前記非接続状態から前記接続状態へ切り替える
コネクタ組立体。
【請求項13】
請求項8に記載のコネクタ組立体であって、
前記第2側壁は、前記横方向において内側へ向かう内面を有しており、
前記内面には、前記内面から前記横方向において内側へ突出する突出部が形成されており、
前記突出部は、前記前後方向において両側に位置する前端面及び後端面を有しており、
前記前端面及び前記後端面は前記第1案内部として機能するものであり、
前記第1側壁は、前記横方向において外側へ向かう外面を有しており、
前記外面には、前記横方向において内側に凹む第1溝が形成されており、
前記第1溝は、前記前後方向における両側に位置する前内壁面及び後内壁面を有しており、
前記前内壁面及び前記後内壁面は前記第1被案内部として機能するものであり、
前記突出部は、前記上下方向において下方へ向かう下端面を有しており、
前記下端面は、前記第2案内部として機能するものであり、
前記外面には、前記横方向において内側に凹み、前記第1溝から後方に延びる第2溝が形成されており、
前記第2溝は、前記上下方向において上方へ向かう下内壁面を有しており、
前記下内壁面は、前記第2被案内部として機能するものである
コネクタ組立体。
【請求項14】
請求項13に記載のコネクタ組立体であって、
前記突出部は、前記前後方向に長い第1突出片と、前記上下方向に長い第2突出片とを有し、
前記第1突出片は、前記上下方向において前記第2突出片の上に位置し、
前記第2突出片は、前記第1突出片の前端部に連結されており、
前記第1案内部は、前記第1突出片の前端面、前記第2突出片の前端面、及び前記第1突出片の後端面で構成されており、
前記第2案内部は、前記第1突出片の下端面で構成されており、
前記第1溝の上内壁面と前記第2溝の上内壁面とは同一平面上にある
コネクタ組立体。
【請求項15】
請求項2に記載のコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとが前記仮嵌合状態から前記本嵌合状態へ移行する際に、前記第1コネクタが前記許容部の外へ完全に出て、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが前記本嵌合状態に移行するまで、前記第1コネクタによって前記可動部材の移動が規制され、前記規制部による規制が行えない
コネクタ組立体。
【請求項16】
請求項2又は請求項15に記載のコネクタ組立体であって、
前記操作部材が前記第2位置から前記第1位置へ移動する際に、前記操作部材が前記第1位置に到達するまで、前記規制部による規制が維持され、前記第1コネクタと前記第2コネクタとを前記本嵌合状態から前記仮嵌合状態へ移行させることができない
コネクタ組立体。
【請求項17】
請求項1から請求項15までのいずれか一つに記載のコネクタ組立体に用いられる前記第1コネクタ。
【請求項18】
請求項1から請求項15までのいずれか一つに記載のコネクタ組立体に用いられる前記第2コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ組立体に関し、特に二段階操作により嵌合が完了する一対のコネクタを備えるコネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、二段階操作により嵌合が完了する一対のコネクタを備えるコネクタ組立体を開示している。ここで、二段階操作とは、第1コネクタを第2コネクタに対して着脱方向に沿って移動させる第1操作と、第1コネクタを第2コネクタに対して着脱とは異なるスライド方向に沿って移動させる第2操作とを連続して行うことをいう。
【0003】
図49を参照すると、特許文献1に開示されたコネクタ組立体は、コネクタ(第1コネクタ)100とコンセント(第2コネクタ)110とを備えている。コネクタ100は、複数の電極端子(第1コンタクト)101と、電極端子101を保持するコネクタ本体(第1ハウジング)102を備えている。コネクタ本体102には、凹部103が設けられている。電極端子101は、凹部103内に部分的に位置している。コンセント110は、複数の電極受け端子(第2コンタクト、図示せず)と、電極受け端子を保持するコンセント本体(第2ハウジング)112とを備えている。コンセント本体112には、突部113が設けられている。突部113には、電極受け端子に夫々対応する差込み溝114が形成されている。
【0004】
図49から理解されるように、コネクタ100とコンセント110との接続は以下のように行われる。なお、コンセント110は、壁に固定されているものとする。まず、コネクタ100をコンセント110に対向させる。次に、コネクタ100を着脱方向に沿ってコンセント110の方へ移動させ、凹部103の下部空間に突部113を受容させる。続いて、着脱方向と直交するスライド方向に沿って、コンセント110に対してコネクタ100をスライドさせ、電極端子101を差込み溝114に部分的に挿入する。これにより、電極端子101と電極受け端子(図示せず)とが互いに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭53−49610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたコネクタ組立体のコネクタ100とコンセント110とが互いに接続された状態において、コンセント110からコネクタ100を引き離す方向の外力が着脱方向に沿ってコネクタ100に加えられると、電極端子101がその外力のほぼすべてを受けることになる。その結果、電極端子101が変形したり破損したりすることがある。また、コネクタ100とコンセント110とが接続された状態において、電極端子101を差込み溝114から引き抜く方向の外力がスライド方向に沿ってコネクタ100に加わると、コネクタ100がコンセント110から容易に外れてしまう。このように、特許文献1のコネクタ組立体には、外力に対する耐性が低いという問題点がある。
【0007】
そこで、本発明は、第1コネクタと第2コネクタとが嵌合状態のときに、外力対して高い耐性を有するコネクタ組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1のコネクタ組立体として、第1コネクタと第2コネクタとを備えるコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタを前記第2コネクタに対して上下方向において下方へ移動させることにより、前記第1コネクタと前記第2コネクタとは分離状態から仮嵌合状態へ移行可能であり、
前記第1コネクタを前記第2コネクタに対して前記上下方向において上方へ移動させることにより、前記第1コネクタと前記第2コネクタとは前記仮嵌合状態から前記分離状態へ移行可能であり、
前記第1コネクタを前記第2コネクタに対して前記上下方向と直交する前後方向において前方へ移動させることにより、前記第1コネクタと前記第2コネクタとは前記仮嵌合状態から本嵌合状態へ移行可能であり、
前記第1コネクタを前記第2コネクタに対して前記前後方向において後方へ移動させることにより、前記第1コネクタと前記第2コネクタとは前記本嵌合状態から前記仮嵌合状態へ移行可能であり、
前記第1コネクタは、少なくとも一つの第1コンタクトと、前記第1コンタクトを保持する第1ハウジングとを備えており、
前記第2コネクタは、少なくとも一つの第2コンタクトと、前記第2コンタクトを保持する第2ハウジングと、操作部材と、可動部材とを備えており、
前記第1ハウジングには、第1被案内部と、第2被案内部と、被規制部とが設けられており、
前記第2ハウジングには、第1案内部と第2案内部とが設けられており、
前記第1被案内部及び前記第1案内部は、前記分離状態と前記仮嵌合状態との間で、前記第2コネクタに対する前記第1コネクタの前記前後方向における移動を規制するものであり、
前記第2被案内部及び前記第2案内部は、前記仮嵌合状態と前記本嵌合状態との間及び前記本嵌合状態において、前記第2コネクタに対する前記第1コネクタの前記上下方向における上方への移動を規制するものであり、
前記操作部材には、力伝達部が設けられており、
前記可動部材には、力受部と規制部とが設けられており、
前記操作部材は、第1位置と第2位置との間で移動可能に前記第2ハウジングに取り付けられており、
前記可動部材は、非ロック位置とロック位置との間で移動可能に前記第2ハウジングに取り付けられており、
前記可動部材は、前記第2ハウジングによって前記前後方向における移動が規制されており、
前記力伝達部は、前記操作部材の移動に応じて前記力受部に所定方向の力を伝達するものであり、これにより、前記可動部材は前記操作部材に連動し、
前記操作部材が前記第1位置に位置するとき、前記可動部材は非ロック位置に位置し、
前記操作部材が前記第2位置に位置するとき、前記可動部材はロック位置に位置し、
前記本嵌合状態において、前記可動部材がロック位置に位置するとき、前記規制部は、前記第1ハウジングの前記被規制部の後方に位置して前記第2ハウジングに対する前記第1ハウジングの後方への移動を規制し、
前記本嵌合状態において、前記可動部材が非ロック位置に位置するとき、前記規制部は、前記第1ハウジングの前記被規制部の後方に位置しておらず、前記第2ハウジングに対する前記第1ハウジングの後方への移動を許容する
コネクタ組立体を提供する。
【0009】
また、本発明は、第2のコネクタ組立体として、第1のコネクタ組立体であって、
前記第1位置は、前記第2位置よりも前記前後方向において後方に位置しており、
前記第2コネクタは、前記操作部材が前記第1位置から前記第2位置へ向かって前方へ移動することを許容する許容部を備えており、
前記仮嵌合状態において、前記第1コネクタは、前記許容部内に部分的に位置しており、
前記本嵌合状態において、前記第1コネクタは、前記許容部の前方に位置しており、
前記本嵌合状態において、前記操作部材を前記第2位置へ移動させると、前記可動部材が前記許容部内に部分的に入り、前記規制部が前記第2ハウジングに対する前記第1ハウジングの後方への移動を規制する
コネクタ組立体を提供する。
【0010】
また、本発明は、第3のコネクタ組立体として、第2のコネクタ組立体であって、
前記所定方向は、前記上下方向であり、
前記非ロック位置は前記ロック位置よりも前記上下方向において下方に位置しており、
前記操作部材は、前記前後方向に沿って、前記第1位置と前記第2位置との間で移動可能であり、
前記可動部材は、前記上下方向に沿って、前記非ロック位置と前記ロック位置との間で移動可能である
コネクタ組立体を提供する。
【0011】
また、本発明は、第4のコネクタ組立体として、第1から第3のコネクタ組立体のうちのいずれかであって、
前記力伝達部及び前記力受部の一方は、少なくとも一つのカム溝であり、
前記力伝達部及び前記力受部の残りの一方は、少なくとも一つのカム突起である
コネクタ組立体を提供する。
【0012】
また、本発明は、第5のコネクタ組立体として、第4のコネクタ組立体であって、
前記少なくとも一つのカム溝は、一対のカム溝であり、
前記少なくとも一つのカム突起は、一対のカム突起であり、
前記カム突起は、前記上下方向及び前記前後方向の双方と直交する横方向に沿って、互いに逆向きに突出しており、
前記カム突起は、前記横方向において互いに離れて配置されており、
前記カム溝は、前記カム突起に夫々対応して配置されている
コネクタ組立体を提供する。
【0013】
また、本発明は、第6のコネクタ組立体として、第1から第5のコネクタ組立体のうちのいずれかであって、
前記規制部は、前記可動部材の前端面であり、
前記被規制部は、前記第1ハウジングの後端面である
コネクタ組立体を提供する。
【0014】
また、本発明は、第7のコネクタ組立体として、第2のコネクタ組立体であって、
前記第2ハウジングは、底壁を有しており、
前記第2コンタクトは、前記底壁の上面から上方へ部分的に突出しており、
前記底壁には、前記可動部材を少なくとも部分的に収容する可動部材収容部が設けられており、
前記可動部材収容部は、前記底壁の前記上面よりも下方へ凹んでおり、
前記可動部材収容部は、前記前後方向において、前記第2コンタクトよりも後方に位置し、かつ前記許容部と部分的に重なっており、
前記可動部材収容部は、前記上下方向において前記許容部の下に位置するとともに、前記許容部と連通しており、
前記操作部材が前記第1位置に位置するとき、前記可動部材は前記許容部内に位置しておらず、
前記操作部材が前記第2位置に位置するとき、前記可動部材は前記許容部内に部分的に位置している
コネクタ組立体を提供する。
【0015】
また、本発明は、第8のコネクタ組立体として、第1から第7のコネクタ組立体のうちのいずれかであって、
前記第1ハウジングは、前記前後方向に延びる一対の第1側壁を備えており、
前記第1側壁は、前記上下方向及び前記前後方向の双方と直交する横方向において、互いに対向しており、
前記第2ハウジングは、前記前後方向に延びる一対の第2側壁を備えており、
前記第2側壁は、前記横方向において、互いに対向しており、
前記第1被案内部及び前記第2被案内部は、前記第1側壁に設けられており、
前記第1案内部及び前記第2案内部は、前記第2側壁に設けられている
コネクタ組立体を提供する。
【0016】
また、本発明は、第9のコネクタ組立体として、第8のコネクタ組立体であって、
前記第2側壁は、前記横方向において内側へ向かう内面を有しており、
前記内面には、第3案内部が設けられており、
前記操作部材は、前記横方向において外側へ向かう側面を有しており、
前記側面には、第3被案内部が設けられており、
前記第3案内部及び前記第3被案内部は、前記操作部材を前記第1位置と前記第2位置との間で案内するものであり、
前記第3案内部及び前記第3被案内部の一方は、一対の案内溝であり、
前記第3案内部及び前記第3被案内部の残りの一方は、一対の案内突起である
コネクタ組立体を提供する。
【0017】
また、本発明は、第10のコネクタ組立体として、第1から第9のコネクタ組立体のうちのいずれかであって、
前記第2ハウジングは、カバー部を有しており、
前記カバー部は、前記上下方向に沿って見たとき、前記可動部材と部分的に重なっており、
前記操作部材には、カバー部収容部が設けられており、
前記カバー部収容部は、前記操作部材が前記第1位置に位置するとき、前記カバー部を少なくとも部分的に収容しており、
前記カバー部は、前記操作部材が前記第1位置から前記第2位置へ移動するにしたがい、前記カバー部収容部から出てくる
コネクタ組立体を提供する。
【0018】
また、本発明は、第11のコネクタ組立体として、第1から第10のコネクタ組立体のうちのいずれかであって、
前記第2コンタクトのうちの一つは、前記本嵌合状態を検知する検知コンタクトであり、
前記検知コンタクトは、接触片部と、前記接触片部から分離した本体部とを有しており、
前記接触片部は、前記本嵌合状態において、前記第1コンタクトのうちの一つと接触するものであり、
前記第2コネクタは、接続状態切替機構を備えており、
前記接続状態切替機構は、前記接触片部と前記本体部とが電気的に接続された接続状態と前記接触片部と前記本体部とが電気的に分離された非接続状態とを切り替えるものであり、
前記操作部材が前記第1位置に位置するとき、前記接続状態切替機構は、前記接続状態及び前記非接続状態の一方を実現し、
前記操作部材が前記第2位置に位置するとき、前記接続状態切替機構は、前記接続状態及び前記非接続状態の残りの一方を実現する
コネクタ組立体を提供する。
【0019】
また、本発明は、第12のコネクタ組立体として、第11のコネクタ組立体であって、
前記接続状態切替機構は、前記操作部材に設けられた接続状態切替部と、前記本体部に設けられた弾性片部とを備えており、
前記弾性片部は、前記接触片部に接触可能な接触部を有しており、
前記接続状態切替部は、前記操作部材が前記第1位置から前記第2位置へ移動したとき、前記弾性片部に接触して前記接触部を変位させ、前記接続状態から前記非接続状態へ、又は前記非接続状態から前記接続状態へ切り替える
コネクタ組立体を提供する。
【0020】
また、本発明は、第13のコネクタ組立体として、第8のコネクタ組立体であって、
前記第2側壁は、前記横方向において内側へ向かう内面を有しており、
前記内面には、前記内面から前記横方向において内側へ突出する突出部が形成されており、
前記突出部は、前記前後方向において両側に位置する前端面及び後端面を有しており、
前記前端面及び前記後端面は前記第1案内部として機能するものであり、
前記第1側壁は、前記横方向において外側へ向かう外面を有しており、
前記外面には、前記横方向において内側に凹む第1溝が形成されており、
前記第1溝は、前記前後方向における両側に位置する前内壁面及び後内壁面を有しており、
前記前内壁面及び前記後内壁面は前記第1被案内部として機能するものであり、
前記突出部は、前記上下方向において下方へ向かう下端面を有しており、
前記下端面は、前記第2案内部として機能するものであり、
前記外面には、前記横方向において内側に凹み、前記第1溝から後方に延びる第2溝が形成されており、
前記第2溝は、前記上下方向において上方へ向かう下内壁面を有しており、
前記下内壁面は、前記第2被案内部として機能するものである
コネクタ組立体を提供する。
【0021】
また、本発明は、第14のコネクタ組立体として、第13のコネクタ組立体であって、
前記突出部は、前記前後方向に長い第1突出片と、前記上下方向に長い第2突出片とを有し、
前記第1突出片は、前記上下方向において前記第2突出片の上に位置し、
前記第2突出片は、前記第1突出片の前端部に連結されており、
前記第1案内部は、前記第1突出片の前端面、前記第2突出片の前端面、及び前記第1突出片の後端面で構成されており、
前記第2案内部は、前記第1突出片の下端面で構成されており、
前記第1溝の上内壁面と前記第2溝の上内壁面とは同一平面上にある
コネクタ組立体を提供する。
【0022】
また、本発明は、第15のコネクタ組立体として、第2のコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとが前記仮嵌合状態から前記本嵌合状態へ移行する際に、前記第1コネクタが前記許容部の外へ完全に出て、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが前記本嵌合状態に移行するまで、前記第1コネクタによって前記可動部材の移動が規制され、前記規制部による規制が行えない
コネクタ組立体を提供する。
【0023】
また、本発明は、第16のコネクタ組立体として、第2又は第15のコネクタ組立体であって、
前記操作部材が前記第2位置から前記第1位置へ移動する際に、前記操作部材が前記第1位置に到達するまで、前記規制部による規制が維持され、前記第1コネクタと前記第2コネクタとを前記本嵌合状態から前記仮嵌合状態へ移行させることができない
コネクタ組立体を提供する。
【0024】
また、本発明は、第1から第15のコネクタ組立体のうちのいずれか一つに用いられる第1コネクタを提供する。
【0025】
さらに、本発明は、第1から第15のコネクタ組立体のうちのいずれか一つに用いられる第2コネクタを提供する。
【発明の効果】
【0026】
第1ハウジングの第2被案内部と第2ハウジングの第2案内部は、仮嵌合状態と本嵌合状態との間及び本嵌合状態において、第2コネクタに対する第1コネクタの上下方向における上方への移動を規制する。これにより、第1コネクタを第2コネクタから引き離す方向の上下方向に沿った外力が、第1コネクタに加えられた場合でも、第1コンタクト及び第2コンタクトへの負荷は生じない。したがって、外力による第1コンタクト及び第2コンタクトの変形及び破損が防止される。また、可動部材がロック位置に位置するとき、可動部材の規制部は、第1ハウジングの被規制部の後方に位置し、第2ハウジングに対する第1ハウジングの後方への移動を規制する。これにより、可動部材がロック位置に位置するとき、第1コネクタに対してスライド方向の外力が加えられても、第1コネクタ及び第2コネクタの本嵌合状態が維持される。したがって、意図しない外力による第1コネクタ及び第2コネクタの分離状態への移行が防止される。このように、本発明のコネクタ組立体は、外力に対して高い耐性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施の形態によるコネクタ組立体を示す斜視図である。第1コネクタと第2コネクタとは分離状態にある。操作部材は、第1位置に位置している。
図2図1のコネクタ組立体を示す別の斜視図である。第1コネクタと第2コネクタとは仮嵌合状態にある。
図3図1のコネクタ組立体を示すさらに別の斜視図である。第1コネクタと第2コネクタとは本嵌合状態にある。
図4図1にコネクタ組立体を示すさらに別の斜視図である。第1コネクタと第2コネクタとは本嵌合状態にある。操作部材は、第2位置に位置している。
図5図1のコネクタ組立体に含まれる第1コネクタを示す側面図である。
図6図5の第1コネクタを示すA−A線断面図である。第1信号コンタクトの一つ及びその周辺と、第1電源コンタクトの一つ及びその周辺が、夫々拡大して描画されている。
図7図5の第1コネクタを示すB−B線断面図である。第1信号コンタクトの一対の接点及びその周辺が拡大して描画されている。
図8図5の第1コネクタを示すC−C線断面図である。第1電源コンタクトの一対の接点及びその周辺が拡大して描画されている。
図9図5の第1コネクタに含まれる第1電源コンタクトを示す斜視図である。電源コンタクトは、電源線の一端に接続されている。
図10図5の第1コネクタを示す前面側斜視図である。
図11図5の第1コネクタを示す別の前面側斜視図である。
図12図5の第1コネクタを示す後面側斜視図である。
図13図5の第1コネクタを示す別の後面側斜視図である。
図14図5の第1コネクタを示す底面図である。第1信号コンタクトの一対の接点及びその周辺と、第1電源コンタクトの一対の接点及びその周辺とが、夫々拡大して描画されている。
図15図14の第1コネクタを示すD−D線断面図である。
図16図1のコネクタ組立体に含まれる第2コネクタを示す平面図である。操作部材は、第1位置に位置している。
図17図16の第2コネクタを示すE−E線断面図である。
図18図16の第2コネクタを示す後面側斜視図である。第2コネクタは、部分的に切り取られている。
図19図16の第2コネクタを示す前面側斜視図である。
図20図16の第2コネクタを示す別の平面図である。操作部材は第1位置と第2位置との間に位置している。
図21図20の第2コネクタを示すF−F線断面図である。
図22図20の第2コネクタを示す後面側斜視図である。第2コネクタは、部分的に切り取られている。
図23図16の第2コネクタを示すさらに別の平面図である。操作部材は、第2位置に位置している。
図24図23の第2コネクタを示すG−G線断面図である。
図25図23の第2コネクタを示す後面側斜視図である。第2コネクタは、部分的に切り取られている。
図26図23の第2コネクタを示す後面側斜視図である。
図27図26の第2コネクタを示す側面図である。
図28図27の第2コネクタを示すH−H線断面図である。
図29図27の第2コネクタを示すI−I線断面図である。
図30図16の第2コネクタを示す下面側斜視図である。第2信号コンタクトは、その図示が省略されている。第2電源コンタクトの一つは、第2ハウジングに未だ保持されていない。
図31図16の第2コネクタに含まれる第2ハウジングと可動部材とを示す斜視図である。第2ハウジングは、部分的に切り取られている。
図32図31の第2ハウジングを示す斜視図である。
図33図16の第2コネクタに含まれる第2コンタクト、操作部材及び可動部材を示す斜視図である。操作部材は、第1位置に位置している。
図34図33の第2コンタクト、操作部材及び可動部材を示す平面図である。
図35図20の第2コネクタに含まれる第2コンタクト、操作部材及び可動部材を示す斜視図である。
図36図35の第2コンタクト、操作部材及び可動部材を示す平面図である。
図37図23の第2コネクタに含まれる第2コンタクト、操作部材及び可動部材を示す斜視図である。
図38図37の第2コンタクト、操作部材及び可動部材を示す平面図である。
図39図33の第2コンタクトに含まれる信号コンタクトを示す正面図である。
図40図1のコネクタ組立体を示す平面図である。
図41図40のコネクタ組立体を示すJ−J線断面図である。
図42図40のコネクタ組立体を示すK−K線断面図である。ガイド突起部及びその周辺が拡大して描画されている。
図43図41のコネクタ組立体を示す断面図である。第1コネクタと第2コネクタとは仮嵌合状態にある。操作部材は、第1位置に位置している。
図44図42のコネクタ組立体を示す断面図である。第1コネクタと第2コネクタとは仮嵌合状態にある。操作部材は、第1位置に位置している。
図45図41のコネクタ組立体を示す別の断面図である。第1コネクタと第2コネクタとは本嵌合状態にある。操作部材は、第1位置に位置している。可動部材の前端面及びその周辺が拡大して描画されている。
図46図42のコネクタ組立体を示す別の断面図である。第1コネクタと第2コネクタとは本嵌合状態にある。操作部材は、第1位置に位置している。
図47図41のコネクタ組立体を示すさらに別の断面図である。第1コネクタと第2コネクタとは本嵌合状態にある。操作部材は、第2位置に位置している。可動部材の前端面及びその周辺が拡大して描画されている。
図48図42のコネクタ組立体を示すさらに別の断面図である。第1コネクタと第2コネクタとは本嵌合状態にある。操作部材は、第2位置に位置している。
図49】特許文献1に開示されたコネクタ組立体に含まれるコネクタとコンセントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1を参照すると、本発明の一実施の形態に係るコネクタ組立体10は、第1コネクタ20と第2コネクタ50とを備えている。本実施の形態において、第1コネクタ20は、ケーブル12の一端に取り付けられている。第2コネクタ50は、壁14に取り付けられている。また、第2コネクタ50には、フロントパネル16が取り付けられている。ここで、説明の便宜のため、方向を規定する。上下方向は、第1コネクタ20と第2コネクタ50とが互いに嵌合又は分離する方向である。本実施の形態において、上下方向はZ方向である。+Z方向が上方であり、−Z方向が下方である。また、前後方向は、上下方向と直交する方向であり、第1コネクタ20と第2コネクタ50とが互いに接続又は切断する方向である。本実施の形態において、前後方向は、X方向である。+X方向が後方であり、−X方向が前方である。横方向は、上下方向及び前後方向の双方と直交する方向である。本実施の形態において、横方向はY方向である。
【0029】
図1及び図2から理解されるように、第1コネクタ20と第2コネクタ50とが分離状態にあるとき、第1コネクタ20を第2コネクタ50に対して上下方向において下方へ移動させることにより、第1コネクタ20と第2コネクタ50とは仮嵌合状態へ移行することができる。逆に、第1コネクタ20と第2コネクタ50とが仮嵌合状態にあるとき、第1コネクタ20を第2コネクタ50に対して上下方向において上方へ移動させることにより、第1コネクタ20と第2コネクタ50とは分離状態へ移行することができる。なお、本実施の形態において、「分離状態」とは、図1に示されるように、第1コネクタ20と第2コネクタ50とが互いから離れている状態をいう。また、「仮嵌合状態」とは、図2に示されるように、前後方向及び横方向において、第1コネクタ20が第2コネクタ50に対して所定の位置にあり、かつ上下方向において第1コネクタ20が第2コネクタ50に突き当たった状態をいう。仮嵌合状態において、第1コネクタ20と第2コネクタ50とは、未だ電気的に接続されていない。
【0030】
図2及び図3から理解されるように、第1コネクタ20と第2コネクタ50とが仮嵌合状態にあるとき、第1コネクタ20を第2コネクタ50に対して前後方向において前方へ移動させることにより、第1コネクタ20と第2コネクタ50とは本嵌合状態へ移行することができる。逆に、第1コネクタ20と第2コネクタ50とが本嵌合状態にあるとき、第1コネクタ20を第2コネクタ50に対して前後方向において後方へ移動させることにより、第1コネクタ20と第2コネクタ50とは仮嵌合状態へ移行することができる。第1コネクタ20と第2コネクタ50とは、本嵌合状態から分離状態へ直接移行することはできず、分離状態から本嵌合状態へ直接移行することもできない。なお、本実施の形態において、「本嵌合状態」とは、第1コネクタ20と第2コネクタ50とが、互いに嵌合しかつ電気的に接続されている状態をいう。
【0031】
図3及び図4に示されるように、第2コネクタ50は、操作部材80を備えている。操作部材80は、第1位置(図3)と第2位置(図4)との間で移動可能である。図1から図3までの図から理解されるように、操作部材80が第1位置に位置するとき、第1コネクタ20と第2コネクタ50とは、分離状態と仮嵌合状態との間の移行が許容され、仮嵌合状態と嵌合状態との間の移行も許容される。図4に示されるように操作部材80が第2位置に位置するとき、第1コネクタ20と第2コネクタ50とは、分離状態から仮嵌合状態へ移行することができず、本嵌合状態から仮嵌合状態へ移行することもできない。このとき、第1コネクタ20と第2コネクタ50とは、分離状態と嵌合状態との間の直接的な移行もできない。
【0032】
図5及び図6を参照すると、第1コネクタ20は、複数の第1コンタクト22と、これら第1コンタクト22を保持する第1ハウジング30とを備えている。本実施の形態において、第1コンタクト22は、二つのコンタクト列を形成している。二つのコンタクト列は、前後に配置されている。コンタクト列の夫々において、第1コンタクト22は横方向に並んでいる。但し、本発明はこれに限られない。第1コネクタ20は、少なくとも一つの第1コンタクト22を備えていればよい。また、第1コンタクト22は、一列に配置されてもよいし、三列以上に配置されてもよい。
【0033】
図6から理解されるように、第1コンタクト22は、形状及び大きさが互いに異なる2種類のコンタクトを含んでいる。その一方は、信号用コンタクト(第1信号コンタクト221)であり、他方は、電源用コンタクト(第1電源コンタクト223)である。本実施の形態において、第1信号コンタクト221の数は4個である。第1信号コンタクト221は、二つのコンタクト列のうち前列のコンタクト列を形成している。また、第1電源コンタクト223の数は3個である。第1電源コンタクト223は、二つのコンタクト列のうち後列のコンタクト列を形成している。但し、本発明はこれに限られない。第1コンタクト22は、2種類のコンタクトを含まず、1種類のコンタクトで構成されてもよい。また、一つのコンタクト列は、2種類のコンタクトを含んでもよい。
【0034】
図9に示すように、第1電源コンタクト223は、接続部231と、保持部233と、接触部235とを有している。接続部231は、ケーブル12(図1参照)に含まれる電源線121に接続される部分である。保持部233は、第1ハウジング30(図15参照)に保持される部分である。図6に示されるように、接触部235は、一対の第1接点237と、一対の前端239とを有している。第1接点237は、後述する第2電源コンタクト523(図30参照)の第2接点537と接触する部分である。第1接点237は、横方向において互いに離れて対向している。第1接点237は、点ではなく線状である。接触部235の形状から理解されるように、本実施の形態において、第1電源コンタクト223は雌型コネクタである。第1電源コンタクト223は、金属板に対して打ち抜き加工及び曲げ加工を行って形成される。第1信号コンタクト221は、第1電源コンタクト223に類似する構成を有している。即ち、第1信号コンタクト221は、第1電源コンタクト223と同様に、接続部231と、保持部233と、接触部235とを有している。図6から理解されるように、第1信号コンタクト221は、第1電源コンタクト223よりも小さいサイズを有している。また、第1信号コンタクト221の接触部235は、第1電源コンタクト223の接触部235とは異なる形状を有している。しかし、第1信号コンタクト221の接触部235も、一対の第1接点237と一対の前端239とを有している。本実施の形態において、第1信号コンタクト221も、雌型コンタクトである。
【0035】
図10から図13までの図を参照すると、第1ハウジング30は、上側ハウジング32と下側ハウジング34とを有している。図14及び図15から理解されるように、上側ハウジング32には、ケーブル収容部321が設けられている。ケーブル収容部321には、電源線121の端部及び信号線123の端部を含むケーブル12の端部が収容される。また、下側ハウジング34には、二つの第1収容部341と、二つの第1受容部343とが設けられている。第1収容部341は、第1コンタクト22のコンタクト列に夫々対応している。第1受容部343は、第1収容部341に夫々対応している。第1受容部343の夫々は、前後方向において対応する第1収容部341の前方に位置している。図6図10及び図11から理解されるように、互いに対応する第1収容部341と第1受容部343とは、互いに連通している。図6及び図15から理解されるように、第1収容部341には、第1コンタクト22の接触部235が少なくとも部分的に収容される。詳しくは、第1コンタクト22は、第1収容部341内に第1接点237が位置するように、下側ハウジング34に取り付けられている。
【0036】
図10から図14までの図に示されるように、下側ハウジング34は、二つの第1端壁35を有している。第1端壁35は、第1収容部341に夫々対応している。第1端壁35は、上下方向において夫々対応する第1収容部341の下に位置している。第1端壁35は、第1受容部343の下には存在していない。第1受容部343の夫々は、前後方向において、対応する第1収容部341及びその下に位置する第1端壁35の前方に位置している。図14に示されるように、上下方向に沿って下方から見たとき、第1コンタクト22の夫々は、いずれか一方の第1端壁35によって部分的に隠されている。但し、本発明はこれに限られない。第1端壁35は、第1コンタクト22の夫々を少なくとも部分的に隠していればよく、各第1コンタクト22の全体を隠していてもよい。
【0037】
図14及び図15から理解されるように、第1ハウジング30には、第1端壁35の夫々を上下方向に貫通する複数の第1スリット351が形成されている。第1スリット351は、第1コンタクト22に夫々対応している。したがって、第1スリット351の数は、第1コンタクト22の数に一致する。本発明において、第1スリット351は、第1コンタクト22の数に応じて少なくとも一つ形成される。第1スリット351の夫々は、前後方向に延びており、いずれか一方の第1受容部343に達している。図14に示されるように、上下方向に沿って下方から見たとき、第1コンタクト22の夫々の第1接点237は、対応する第1スリット351を通して目視することができる。
【0038】
図7及び図8を参照すると、第1ハウジング30は、二つの第1付加壁36を備えている。第1付加壁36は、第1端壁35に夫々対応している。第1付加壁36の夫々は、互いに対応する第1収容部341と第1受容部343との間に位置し、対応する第1端壁35の上端から上方へ延びている。第1付加壁36の夫々には、前後方向に沿って第1付加壁36を貫通する複数の第2スリット361が形成されている。第2スリット361は、第1スリット351に夫々対応している。したがって、第2スリット361の数は、第1スリット351の数に一致する。本発明において、第2スリット361は、第1スリット351の数に応じて少なくとも一つ形成される。第2スリット361の夫々は、互いに対応する第1収容部341と第1受容部343とを互いに連通させる。また、第2スリット361の夫々は、対応する第1スリット351と連通している。図7及び図8の夫々に示されるように、前後方向に沿って前方から見たとき、第1コンタクト22の夫々の第1接点237は、第2スリット361のいずれか一つを通して目視することができる。その一方で、第1コンタクト22の夫々の前端239(図6参照)は、前後方向に沿って前方から見たとき、いずれかの第1付加壁36によって隠されている。
【0039】
図7図8図10及び図11に示されるように、第1ハウジング30は、複数の第2付加壁37を備えている。第2付加壁37の夫々は、第1収容部341のいずれか一方に対応している。第2付加壁37の夫々は、横方向において、互いに隣り合う第1コンタクト22の間に位置している。第2付加壁37の夫々は、対応する第1収容部341内に位置し、前後方向に延びている。第2付加壁37は、互いに隣り合う第1コンタクト22の間の絶縁を確実にする。本実施の形態において、第2付加壁37の夫々の前面は、対応する第1収容部341の前方に位置する第1付加壁36の前面と面一である。しかしながら、第2付加壁37の夫々の前面は、対応する第1収容部341の前方に位置する第1付加壁36の前面と面一でなくてもよい。
【0040】
図12図13及び図15に示されるように、第1ハウジング30は、二つの第3付加壁38を備えている。第3付加壁38は、第1収容部341に夫々対応している。第3付加壁38は、第1ハウジング30の強度を高める。図15から理解されるように、第3付加壁38の夫々は、前後方向において対応する第1収容部341の後方に位置している。図6及び図15から理解されるように、第3付加壁38は、前後方向に沿って後方から見たとき、対応する第1収容部341に収容された第1コンタクト22を隠している。第3付加壁38の夫々は、対応する第1収容部341内に位置する第1コンタクト22に夫々対応するように複数に分割されていてもよい。第3付加壁38のうちの一方は、第1ハウジング30の後端面39の一部を構成する。この後端面39は、後述するように、被規制部として機能する。換言すると、第1ハウジング30には、被規制部が設けられている。
【0041】
図6図10図11及び図14に示されるように、第1ハウジング30は、前後方向に延びる一対の第1側壁40を備えている。第1側壁40は、第1ハウジング30の横方向において両端に位置し、互いに対向している。第1端壁35、第1付加壁36、第2付加壁37及び第3付加壁38の夫々は、横方向両端において、第1側壁40に連結されている。また、第1収容部341及び第1受容部343は、第1側壁40の間に位置している。但し、本発明はこれに限られない。第1ハウジング30は、第1側壁40を備えていなくてもよい。
【0042】
図10から図13までの図に示されるように、第1側壁40の夫々は、横方向において外側へ向かう外面41を有している。外面41には、横方向において内側に凹む第1溝42と第2溝43とが形成されている。第1溝42と第2溝43とは互いに連通している。詳しくは、図5に示されるように、第1溝42は、上下方向に延びている。第1溝42は、下方へ開いており、上方へ閉じている。第1溝42は、前後方向における両側に位置する前内壁面421及び後内壁面423と、上下方向において下方へ向かう上内壁面425とを有している。第2溝43は、第1溝42の上部から前後方向において後方へ延びている。第2溝43は、上下方向において上方へ向かう下内壁面431と、下方へ向かう上内壁面433と有している。第2溝43の上内壁面433は、第1溝42の上内壁面425と同一の平面上にある。換言すると、第2溝43の上内壁面433と第1溝42の上内壁面425とは、面一に形成されている。後述するように、第1溝42の前内壁面421及び後内壁面423は第1被案内部として機能する。また、第2溝43の下内壁面431は、第2被案内部として機能する。このように、第1ハウジング30には、第1被案内部と第2被案内部とが設けられている。但し、本発明はこれに限られない。第1被案内部と第2被案内部とは、第1側壁40以外の壁部に設けられてもよい。たとえば、横方向両側から離れた位置に、前後方向に延びる壁部を設け、その側面に第1溝42及び第2溝43に夫々対応する溝を形成するようにしてもよい。これは、第1コネクタ20が第1側壁40を持たない場合に、特に有効である。
【0043】
図16から図18までの図を参照すると、第2コネクタ50は、複数の第2コンタクト52と、第2コンタクト52を保持する第2ハウジング60と、操作部材80と、可動部材90とを備えている。第2コンタクト52は、第1コンタクト22に夫々対応している。換言すると、第2コンタクト52の数及び種類は、第1コンタクト22に依存する。本実施の形態において、第2コンタクト52は、信号用コンタクト(第2信号コンタクト521)と電源用コンタクト(第2電源コンタクト523)とを含んでいる。図18から理解されるように、第2信号コンタクト521は、横方向に一列に配列され一つのコンタクト列を形成している。同様に、第2電源コンタクト523も、横方向に一列に配列されて別のコンタクト列を形成している。第2信号コンタクト521のコンタクト列と、第2電源コンタクト523のコンタクト列とは、前後に配置されている。
【0044】
図30から理解されるように、本実施の形態において、第2電源コンタクト523の夫々は、L字状に曲げられた金属板からなる。第2電源コンタクト523は、接続部531と、固定部533と、接触部535とを有している。接続部531には孔が設けられている。接続部531は、ネジとナットを用いて、電源線580の先端に固定された端子に取り付けられるとともに、第2ハウジング60に固定される。固定部533は、第2ハウジング60に圧入により固定される部分である。接触部535は、ブレード状であり、その両面に対応する第1コンタクト22の接触部235(図9参照)に接触する一対の第2接点537(図29参照)を有している。第2接点537は、点ではなく面である。接触部535の形状から理解されるように、本実施の形態において、第2電源コンタクト523は雄型コネクタである。図33から理解されるように、第2信号コンタクト521は、一つの例外を除いて、第2電源コンタクト523と同様に構成される。詳述すると、第2信号コンタクト521は、検知コンタクト525とそれ以外の通常の第2信号コンタクト521とを含んでいる。通常の第2信号コンタクト521は、第2電源コンタクト523と同様に構成される。通常の第2信号コンタクト521は、第2電源コンタクト523よりもそのサイズが小さい。検知コンタクト525は、第1コネクタ20と第2コネクタ50の本嵌合状態を検知するために用いられる。検知コンタクト525は、通常の第2信号コンタクト521とは異なる構成を有している。
【0045】
図39に示されるように、検知コンタクト525は、接触片部551と、接触片部551から分離した本体部553とを有している。接触片部551は、通常の第2コンタクト52の接触部535と固定部533とに相当する部分である。接触片部551は、第2ハウジング60に圧入により固定される。接触片部551は、本嵌合状態において、第1コンタクト22の第1信号コンタクト221のうちの一つと接触する。本体部553には、通常の第2コンタクト52の接続部531に相当する基部555のほかに、弾性片部557が設けられている。基部555は、第2ハウジング60にネジとボルトを用いて固定される部分である。弾性片部557は、接触片部551に接触可能な接触部575を有し、接続状態切替機構の一部として機能するものである。詳しくは、図36及び図39に示されるように、弾性片部557は、基部555の一辺から上方へ延びる支持部571と、支持部571から前方へ延びた後、後方へ折り曲げられ、さらに概ね後方へ延びる弾性部573とを有している。弾性部573は、横方向において、接触片部551に向かって突出する接触部575と、それとは逆の方向へ突出する操作部577を有している。前後方向において、接触部575は弾性部573の中央部付近に位置し、操作部577は弾性部573の後端付近に位置している。本実施の形態において、操作部577が操作されていないとき、接触部575と接触片部551との間には隙間が存在している。即ち、接触片部551と本体部553とは電気的に分離されている。操作部577が操作されると、弾性部573が弾性変形し、接触部575が接触片部551に接触する。これにより、接触片部551と本体部553とが電気的に接続される。但し、本発明はこれに限られない。弾性部573は、操作部577が操作されていないときに接触部575が接触片部551に接触し、操作部577が操作されたときに接触部575が接触片部551から離れるように構成されてもよい。いずれにせよ、検知コンタクト525は、接触片部551と本体部553とが電気的に接続された接続状態と、接触片部551と本体部553とが電気的に分離された非接続状態とのいずれか一方を選択するように切り替えることができる。
【0046】
図16から図18までの図から理解されるように、第2ハウジング60には、二つの第2収容部601と、二つの第2受容部603とが設けられている。第2収容部601は、第2コンタクト52のコンタクト列に夫々対応している。第2受容部603は、第2収容部601に夫々対応している。第2受容部603の夫々は、前後方向において対応する第2収容部601の後方に位置している。図17及び図18から理解されるように、互いに対応する第2収容部601と第2受容部603とは、互いに連通している。第2収容部601には、第2コンタクト52の接触部535が少なくとも部分的に収容される。詳しくは、第2コンタクト52は、第2収容部601内に第2接点537が位置するように、第2ハウジング60に固定されている。
【0047】
図16から図18までの図に示されるように、第2ハウジング60は、二つの第2端壁62を有している。第2端壁62は、第2収容部601に夫々対応している。第2端壁62は、上下方向において夫々対応する第2収容部601の上に位置している。詳しくは、第2端壁62の夫々は、第2コンタクト52に夫々対応する複数の端壁片621により構成されている。各第2端壁62を構成する端壁片621は、横方向において、間隔を空けて配置されている。第2端壁62は、第2受容部603の上には存在しておらず、第2受容部603の夫々は、前後方向において、対応する第2収容部601及びその上に位置する第2端壁62の後方に位置している。図16に示されるように、上下方向に沿って上側から見たとき、第2コンタクト52の夫々は、いずれか一方の第2端壁62によって隠されている。但し、本発明はこれに限られない。第2端壁62は、第2コンタクト52の夫々を少なくとも部分的に隠していればよい。
【0048】
図17及び図18に示されるように、端壁片621の夫々は、前後方向において対応する第2コンタクト52よりも後方へ突出している。また、図27から図29までの図から理解されるように、端壁片621の夫々は、横方向において対応する第2コンタクト52よりも外側へ突出している。このように、端壁片621の夫々は、前後方向において対応する第2コンタクト52よりも後方へ突出するとともに、横方向において対応する第2コンタクト52よりも外側へ突出する突出部623を有している。図17図28及び図29から理解されるように、突出部623には、下方へ延びる延長部625が設けられている。延長部625は、第2コンタクト52の上端部を少なくとも部分的に囲っている。
【0049】
図17から図19までの図に示されるように、第2ハウジング60は、底壁64と、二つの連結壁643とを備えている。連結壁643は、第2収容部601に夫々対応している。連結壁643は、第2ハウジング60の強度を高める。連結壁643の夫々は、前後方向において対応する第2収容部601の前方に位置している。連結壁643の夫々は、底壁64と、対応する第2収容部601の上に位置する第2端壁62とを連結している。図17から理解されるように、第2コンタクト52は、底壁64の上面641から上方へ部分的に突出している。図19から理解されるように、連結壁643は、前後方向に沿って前方から見たとき、対応する第2収容部601内に位置する第2コンタクト52の突出部分を隠している。連結壁643の夫々は、対応する第2収容部601内に位置する第2コンタクト52に夫々対応するように複数に分割されていてもよい。
【0050】
図16から図19までの図に示されるように、第2ハウジング60は、前後方向に延びる一対の第2側壁66を備えている。本実施の形態において、第2側壁66は、横方向において、第2ハウジング60の両端に設けられている。したがって、第2収容部601及び第2受容部603は、これら第2側壁66の間に位置する。但し、本発明はこれに限られない。第2ハウジング60は、第2側壁66を有していなくてもよい。
【0051】
図16及び図19から理解されるように、第2側壁66の夫々は、横方向において内側へ向かう内面661を有している。これら第2側壁66の内面661は、横方向において、互いに対向している。第2側壁66の内面661には、ガイド突出部(突出部)663が設けられている。ガイド突出部663は、第1コネクタ20の第1溝42及び第2溝43に対応している。ガイド突出部663は、横方向において内面661から内側へ突出している。図42に示されるように、ガイド突出部663は、前後方向において両側に位置する前端面665及び後端面667を有している。また、ガイド突出部663は、上下方向において下方へ向かう下端面669を有している。ガイド突出部663の前端面665及び後端面667は、第1案内部として機能し、ガイド突出部663の下端面669は第2案内部として機能する。第1案内部及び第2案内部は、第1コネクタ20の第1被案内部及び第2被案内部に夫々対応している。このように、第2ハウジング60には、第1案内部と第2案内部とが設けられている。但し、本発明はこれに限られない。第1案内部及び第2案内部は、第2側壁66以外の壁部に設けられてもよい。たとえば、横方向両側から離れた位置に、前後方向に延びる壁部を設け、その側面にガイド突出部663に相当する突出部を形成するようにしてもよい。その場合、第2側壁66にガイド突出部663を形成してもよいし、しなくてもよい。また、第2側壁66は無くてもよい。
【0052】
図42を参照すると、ガイド突出部663は、第1突出片671と第2突出片681とを含み、横方向に沿って見たときL字状の形状を有している。第1突出片671は、前後方向に長い形状を有している。第1突出片671は、前後方向において、その両側に位置する前端面673及び後端面675を有している。また、第1突出片671は、上下方向において、下方へ向かう下端面677を有している。第2突出片681は、上下方向に長い形状を有している。また、第2突出片681は、前後方向においてその前端に位置する前端面683を有している。第1突出片671は、上下方向において、第2突出片681の上に位置している。第2突出片681は、第1突出片671の前端部に連結されている。第1突出片671の前端面673と第2突出片681の前端面683とは同一の平面上にあり、ガイド突出部663の前端面665を形成している。第1突出片671の後端面675は、単独でガイド突出部663の後端面667を形成している。よって、第1案内部は、第1突出片671の前端面673、第2突出片681の前端面683及び第1突出片671の後端面675で構成される。また、第2案内部は、第1突出片671の下端面677で構成される。
【0053】
図17及び図19から理解されるように、第2側壁66の夫々の内面661には、さらに案内溝691が形成されている。案内溝691は、横方向において外側へ凹んでおり、前後方向に延びている。案内溝691は、操作部材80を案内する第3案内部として機能する。このように、第2側壁66の内面661には、第3案内部が設けられている。
【0054】
図26に示されるように、第2ハウジング60は、さらにカバー部70を有している。カバー部70は、板状部701と一対の脚部703とを有している。カバー部70は、第2ハウジング60の後端付近に位置し、一対の第2側壁66を連結している。
【0055】
図31及び図32から理解されるように、第2ハウジング60の底壁64には、可動部材90を少なくとも部分的に収容する可動部材収容部645が設けられている。可動部材収容部645は、前後方向において、第2コンタクト52(図18参照)よりも後方に位置し、底壁64の上面641よりも下方へ凹んでいる。第2ハウジング60は、可動部材収容部645を部分的に規定する台状部647と規制面651(図18参照)とを備えている。図32に示されるように、台状部647の側面には、左右方向において内側へ凹み、上下方向に延びる一対の溝649が形成されている。規制面651は、前後方向において、後方に向いている。台状部647の前端は規制面651に連結されている。
【0056】
図31を参照すると、可動部材90は、前部92と後部94とを有している。上下方向において、後部94は前部92に比べて大きいサイズを有している。可動部材90は、内部空間(図示せず)を有しており、下方へ開いている。図33に示されるように、可動部材90の前部92は、前方へも開いている。また、可動部材90は、前端面921を有している。前端面921は、後述するように規制部として機能する。このように、可動部材90には、規制部が設けられている。
【0057】
図31から理解されるように、可動部材90には、横方向において外側へ突出する一対のカム突起941が設けられている。一対のカム突起941は、横方向において互いに離れており、また互いに逆方向へ突出している。カム突起941は、後述する力伝達部からの力を受ける力受部として機能する。このように、可動部材90には、力受部が設けられている。
【0058】
図31及び図32から理解されるように、可動部材90は、その内部空間(図示せず)に第2ハウジング60の台状部647を少なくとも部分的に受容するように、第2ハウジング60に取り付けられる。この状態において、上下方向に沿って見ると、カバー部70の板状部701は可動部材90と重なっている。また、可動部材90は、第2ハウジング60に取り付けられた状態で、可動部材収容部645に部分的に収容される。可動部材90の内壁943(図21参照)には、左右方向において内側へ突出する一対の突起部945(図20参照)が形成されている。突起部945は、第2ハウジング60の台状部647の溝649に夫々対応している。可動部材90が第2ハウジング60に取り付けられた状態で、可動部材90の突起部945は、台状部647の溝649内に部分的に位置する。可動部材90は、第2ハウジング60に取り付けられた状態で、第2ハウジング60に対して上下方向に移動可能である。詳しくは、可動部材90は、上下方向に沿って、非ロック位置(図33参照)とロック位置(図37参照)との間で移動可能である。非ロック位置は、ロック位置よりも上下方向において下方に位置する。台状部647及び溝649は、第2ハウジング60に対する可動部材90の上下方向の移動をガイドするとともに、可動部材90の前後方向の移動を規制する。こうして、可動部材90は、第2ハウジング60によって前後方向の移動が規制される。
【0059】
図17及び図18から理解されるように、操作部材80は、下部82と上部84とを有している。下部82は、一対の側壁821と、維持片831とを有している。側壁821は、横方向において下部82の両側に位置している。維持片831は、下部82の上端部に位置している。操作部材80が第2ハウジング60に取り付けられた状態において、側壁821は、横方向において可動部材90の両側に位置する。操作部材80が第2ハウジング60に取り付けられた状態において、維持片831は、上下方向において、カバー部70の板状部701の下に位置する。維持片831は、上下方向において上方へ突出する突起部832を有している。また、維持片831は、弾性変形可能である。維持片831の弾性変形により、突起部832は少なくとも上下方向において変位可能である。操作部材80が第1位置に位置するとき、操作部材80を前後方向において前方へ移動させようとすると、突起部832は板状部701に突き当たる。これにより、操作部材80は、第1位置に維持される。また、図24から理解されるように、操作部材80が第2位置に位置するとき、操作部材80を前後方向において後方へ移動させようとすると、突起部832は板状部701に突き当たる。これにより、操作部材80は、第2位置に維持される。維持片831を弾性変形させるのに十分な前後方向の力が操作部材80に与えられると、維持片831が弾性変形し、第1位置と第2位置との間において操作部材80の移動が許容される。このように維持片831は、操作部材80を第1位置又は第2位置に維持する機能と、操作部材80の操作感を与える機能を有している。
【0060】
図18及び図33に示されるように、側壁821の夫々には、カム溝827が形成されている。カム溝827は、横方向において互いに離れている。また、カム溝827の夫々は、横方向において側壁821を貫通している。但し、本発明はこれに限られない。カム溝827は、有底の溝であってもよい。図42に示されるように、カム溝827は、その前端から後方へ延びた後、斜め上後方へ延び、さらに後方へ延びている。カム溝827は、可動部材90のカム突起941に夫々対応するように配置されている。操作部材80が第2ハウジング60に取り付けられた状態において、カム溝827の夫々は、対応するカム突起941を少なくとも部分的に受容する。カム溝827は、操作部材80の移動に従って所定方向の力を力受部(カム突起941)に伝える力伝達部として機能する。本実施の形態において、所定方向は上下方向である。このように、操作部材80には、力伝達部が設けられている。本実施の形態において、カム突起941及びカム溝827の数は、夫々二つであるが、本発明はこれに限られない、カム突起941及びカム溝827は、少なくとも一つあればよい。
【0061】
図33から図38までの図に示されるように、側壁821には、案内突起825が設けられている。換言すると、操作部材80は、横方向において外側に向かう一対の側面823を有しており、側面823の夫々には、第3被案内部として案内突起825が設けられている。案内突起825は、横方向において側面823から外側へ突出し、前後方向に延びている。案内突起825は、第2ハウジング60の案内溝691(図19参照)に対応している。操作部材80が第2ハウジング60に取り付けられた状態で、案内突起825の夫々は、少なくとも部分的に対応する案内溝691に受容される。但し、本発明はこれに限られない。第2ハウジング60の第2側壁66の内面661に案内突起を設け、操作部材80の側壁821にそれに対応する案内溝を設けてもよい。
【0062】
図33から図38までの図に示されるように、操作部材80には、接続状態切替部833が設けられている。接続状態切替部833は、前後方向に長い角柱状で、一方の側壁821の下端部から前方へ突出している。接続状態切替部833は、操作部材80の位置に応じて、検知コンタクト525の操作部577に接触したり離れたりする。こうして、接続状態切替部833は、接続状態切替機構の一部として機能する。このように、接続状態切替部833は、検知コンタクト525の弾性片部557とともに接続状態切替機構を構成する。換言すると、第2コンタクト52は、接続状態切替部833と弾性片部557とを有する接続状態切替機構を備えている。
【0063】
図19に示されるように、操作部材80の上部84は、前壁841、上壁843及び操作突起845を有している。前壁841は、操作部材80の下部82の前側上端部から上方へ延びている。上壁843は、前壁841の上端部から後方へ延びている。操作突起845は、上壁843の後端部から上方へ突出している。図18及び図25から理解されるように、操作部材80の上部84と下部82との間には、カバー部収容部847が形成されている。換言すると、操作部材80には、カバー部収容部847が設けられている。操作部材80が第2ハウジング60に取り付けられた状態において、前壁841はカバー部70の前方に位置する。また、上壁843は、上下方向において、カバー部70の上に位置する。
【0064】
図16から図26までの図から理解されるように、操作部材80は、前後方向に移動可能に第2ハウジング60に取り付けられる。操作部材80が第2ハウジング60に取り付けられた状態で、第2ハウジング60の案内溝691(第3案内部)と操作部材80の案内突起825(第3被案内部)は、操作部材80を第1位置と第2位置との間で案内する。本実施の形態において、第1位置は、前後方向において第2位置よりも後方に位置している。このように、操作部材80は、前後方向に沿って第1位置と第2位置との間で移動可能に第2ハウジング60に取り付けられている。
【0065】
図16及び図17に示されるように、操作部材80が第1位置に位置するとき、操作部材80の前方には、許容部72が存在する。換言すると、第2コネクタ50は、前後方向において操作部材80が第1位置から第2位置へ向かって前方へ移動することを許容する許容部72を備えている。本実施の形態において、許容部72は、一方の第2受容部603の一部である。許容部72は、前後方向において、可動部材収容部645(図32参照)の一部と重なっている。換言すると、可動部材収容部645は、前後方向において許容部72と部分的に重なっている。また、可動部材収容部645は、上下方向において許容部72の下に位置するとともに、許容部72と連通している。
【0066】
図40から図42までの図から理解されるように、操作部材80が第1位置に位置するとき、第2ハウジング60の許容部72内には、操作部材80も可動部材90も位置していない。そのため、許容部72は、第1コネクタ20を部分的に受容可能であり、第1コネクタ20と第2コネクタ50とは、分離状態から仮嵌合状態へ移行することが可能である。なお、このとき、カバー部収容部847は、図41に示されるように、カバー部70を部分的に収容している。本実施の形態において、カバー部収容部847は、カバー部70の板状部701の略全体を収容している。但し、カバー部収容部847は、カバー部70全体を収容してもよい。
【0067】
図41及び図43から理解されるように、分離状態から仮嵌合状態へ移行する際に、第1受容部343は第2端壁62を受容し、第2受容部603は第1端壁35を受容する。また、図42及び図44から理解されるように、分離状態から仮嵌合状態へ移行する際に、ガイド突出部663は、第1溝42に少なくとも部分的に受容される。ガイド突出部663の前端面665と第1溝42の前内壁面421は、第1コネクタ20が第2コネクタ50に対して後方へ移動することを規制する。ガイド突出部663の後端面667と第1溝42の後内壁面423は、第1コネクタ20が第2コネクタ50に対して前方へ移動することを規制する。こうして、第1案内部(ガイド突出部663の前端面665及び後端面667)及び第1被案内部(第1溝42の前内壁面421及び後内壁面423)は、分離状態と仮嵌合状態との間で、第2コネクタ50に対する第1コネクタ20の前後方向における移動を規制する。
【0068】
図43に示されるように、仮嵌合状態において、第1端壁35は第2受容部603に受容され、第2端壁62は第1受容部343に受容される。このとき、許容部72(図42参照)内には、第1コネクタ20が部分的に位置している。そのため、操作部材80は、第1位置から第2位置へ移動することができない。
【0069】
図43に示されるように、仮嵌合状態のとき、第2付加壁37は前後方向において第2端壁62を構成する端壁片621の後方に位置している。図7図28、又は図8図29から理解されるように、このとき、横方向において、端壁片621と第2付加壁37とは交互に並んでいる。これにより、第2コンタクト52に対する第1コンタクト22の前方への移動が許容される。
【0070】
図43及び図45から理解されるように、仮嵌合状態から本嵌合状態に移行すると、第1端壁35は、第2収容部601に部分的に収容される。同時に、第2端壁62は、第1収容部341に部分的に収容される。本嵌合状態において、第2端壁62を構成する端壁片621と第2付加壁37とは横方向において交互に並んでいる。横方向に沿って見たとき、端壁片621と第2付加壁37とは部分的に重なっている。但し、本発明はこれに限られない。第1端壁35は、その全部が第2収容部601に収容されてもよい。同様に、第2端壁62は、その全部が第1収容部341に収容されてもよい。いずれにせよ、本嵌合状態において、第1端壁35は少なくとも部分的に第2収容部601に収容され、第2端壁62は少なくとも部分的に第1収容部341に収容されていればよい。
【0071】
図45から理解されるように、本嵌合状態において、第1コンタクト22の夫々とそれに対応する第2コンタクト52とは、互いに接続されている。このとき、第1コンタクト22の夫々の第1接点237(図7又は図8参照)と、対応する第2コンタクト52の第2接点537(図28又は図29参照)とは、互いに接触している。図43及び図45から理解されるように、本嵌合状態において、第1収容部341と第2収容部601とは少なくとも部分的に互いに重なりあって重複収容部610を形成する。第1接点237と第2接点537とは、重複収容部610内において互いに接触している。
【0072】
図44及び図46から理解されるように、仮嵌合状態から本嵌合状態へ移行する際、ガイド突出部663の第1突出片671は、第2溝43に少なくとも部分的に受容される。第1突出片671の下端面677と第2溝43の下内壁面431は、第1コネクタ20が第2コネクタ50に対して上方へ移動することを規制する。これにより、第1コネクタ20及び第2コネクタ50の分離状態へ移行が規制される。こうして、第2案内部(ガイド突出部663の下端面669)及び第2被案内部(第2溝43の下内壁面431)は、仮嵌合状態と本嵌合状態との間及び本嵌合状態において、第2コネクタ50に対する第1コネクタ20の上下方向における上方への移動を規制するとともに、分離状態への移行を規制する。
【0073】
図45及び図46に示されるように、本嵌合状態において、第1コネクタ20は許容部72内に位置していない。換言すると、本嵌合状態において、第1コネクタ20は、許容部72の前方に位置している。このとき、操作部材80は、第1位置から第2位置へ移動することが可能である。
【0074】
図46及び図48から理解されるように、操作部材80を第1位置から第2位置へ移動させると、カム溝827からカム突起941へ上向きの力が働く。これにより、可動部材90は、上方へ移動し、部分的に許容部72内に入る。換言すると、可動部材90は、操作部材80の移動に従って、非ロック位置からロック位置へ向かって移動する。このように、操作部材80と可動部材90とは、力伝達部及び力受部を介して互いに連動する。詳しくは、操作部材80が第1位置に位置するとき、可動部材90は非ロック位置に位置する。操作部材80が第2位置に位置するとき、可動部材90はロック位置に位置する。また、可動部材90は、操作部材80が第2位置に位置するとき、部分的に許容部72内に位置する。互いに離れて位置する一対のカム溝827とカム突起941の組み合わせを用いることで、スムーズで安定した可動部材90の動きを実現することができる。
【0075】
図47に示されるように、本嵌合状態において、可動部材90がロック位置に位置するとき、可動部材90の前端面921は、第1ハウジング30の後端面39の後方に位置する。このとき前後方向に沿って見ると、可動部材90の前端面921は、第1ハウジング30の後端面39と部分的に重なっている。この状態で、第1コネクタ20を後方へ移動させようすると、第1ハウジング30の後端面39が可動部材90の前端面921に突き当たる。このように、可動部材90の前端面921は、第2ハウジング60に対する第1ハウジング30の後方への移動を規制する規制部として機能する。このとき、第1ハウジング30の後端面39は、被規制部として機能する。こうして、可動部材90がロック位置に位置するとき、規制部は第2ハウジング60に対する第1ハウジング30の後方への移動を規制し、本嵌合状態から仮嵌合状態への移行を規制する。
【0076】
図43図45及び図47から理解されるように、許容部72内に第1コネクタ20が少しでも位置していると、可動部材90の上方への移動が第1コネクタ20によって規制される。このため、許容部72内に少しでも第1コネクタ20が位置していると、可動部材90と連動する操作部材80を第1位置から第2位置に向かって移動させることができない。換言すると、第1コネクタ20が許容部72の外へ完全に出て、第1コネクタ20と第2コネクタ50とが本嵌合状態に移行するまで、規制部による規制は行えない。
【0077】
図45及び図47から理解されるように、操作部材80が第1位置から第2位置へ移動するにしたがい、カバー部70の板状部701は、カバー部収容部847の外に出る。カバー部70は、操作部材80が第2位置に位置するとき、操作部材80の後方にできるスペースへの異物の進入を防止する。これにより、可動部材90を直接操作することが防止できる。
【0078】
図33から図38までの図に示されるように、操作部材80が第1位置から第2位置へ移動すると、接続状態切替部833が検知コンタクト525の操作部577に接触する。接続状態切替部833の前端部には、テーパー部835が設けられている。テーパー部835は、操作部577を横方向において内側へ押す。これにより、操作部577は、横方向において内側へ移動し、弾性部573が弾性変形する。その結果、接触部575が少なくとも横方向において変位し、接触部575が接触片部551に接触する。こうして、検知コンタクト525の接触片部551と本体部553との間が電気的に接続される。逆に、操作部材80が第2位置から第1位置へ移動すると、接続状態切替部833が検知コンタクト525の操作部577から離れ、弾性部573は元の状態に戻る。これにより、接触部575が接触片部551から離れ、検知コンタクト525の接触片部551と本体部553との間が電気的に分離される。こうして、接続状態切替機構は、接触片部551と本体部553とが電気的に接続された接続状態と接触片部551と本体部553とが電気的に分離された非接続状態とを切り替える。これにより、検知コンタクト525を本嵌合状態の検出に用いることができる。但し、操作部577が操作されたときに接続状態から非接続状態へ変化するように検知コンタクト525が構成されている場合は、操作部材80が第1位置から第2位置へ移動すると検知コンタクト525は非接続状態になり、操作部材80が第2位置から第1位置へ移動すると接続状態になる。いずれにせよ、接続状態切替機構は、操作部材80が第1位置に位置するとき、接続状態及び非接続状態の一方を実現し、操作部材80が第2位置に位置するとき、接続状態及び非接続状態の残りの一方を実現する。
【0079】
図45から図48までの図から理解されるように、操作部材80を第2位置から第1位置へ移動させると、可動部材90が、上下方向において下方へ移動する。換言すると、可動部材90は、ロック位置から非ロック位置へ向かって移動する。操作部材80が第1位置に到達するまで、可動部材90は許容部72から完全に出てしまうことはない。換言すると、可動部材90は、ロック位置と非ロック位置との間にあり、非ロック位置に達していない。可動部材90が少しでも許容部72内に位置していると、規制部(前端面921)は、前後方向における被規制部(後端面39)の後方への移動を規制する。換言すると、可動部材90が非ロック位置に到達しない限り、規制部は、前後方向における被規制部の後方への移動を規制する。こうして、操作部材80が第2位置から第1位置へ移動する際、操作部材80が第1位置に到達するまで、規制部により被規制部の後方への移動が規制される。これにより、操作部材80が第1位置に到達するまで、第1コネクタ20と第2コネクタ50とを本嵌合状態から仮嵌合状態へ移行させることができない。
【0080】
図45及び図46から理解されるように、操作部材80が第1位置に到達すると、可動部材90は非ロック位置に位置する。このとき、規制部(前端面921)は、第1ハウジング30の被規制部(後端面39)の後方に位置しておらず、第2ハウジング60に対する第1ハウジング30の後方への移動を許容する。こうして、第1コネクタ20の許容部72への進入が許容され、第1コネクタ20と第2コネクタ50は、嵌合状態から仮嵌合状態へ移行することができる。また、図33及び図34から理解されるように、検知コンタクト525の接触片部551と本体部553との間の電気的接続が切断される。
【0081】
上述したように、本実施の形態によるコネクタ組立体10において、第2ハウジング60に設けられた第2案内部と第1ハウジング30に設けられた第2被案内部は、仮嵌合状態と本嵌合状態との間及び本嵌合状態において、第2コネクタ50に対する第1コネクタ20の上下方向における上方への移動を規制する。これにより、外力による第1コンタクト22及び第2コンタクト52の変形及び破損が防止される。また、可動部材90がロック位置に位置するとき、可動部材90の規制部は、第2コネクタ50に対する第1コネクタ20の後方への移動を規制する。これにより、本嵌合状態にある第1コネクタ20が第2コネクタ50から分離することが防止される。以上により、本実施の形態によるコネクタ組立体10は、外力に対して高い耐性を有する。
【0082】
以上、本発明について実施の形態を掲げて説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱することなく様々な変形や変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、第1ハウジング30に第1溝42及び第2溝43が設けられ、第2ハウジング60にガイド突出部663が設けられているが、第1ハウジング30にガイド突出部663を設け、第2ハウジング60に第1溝42及び第2溝43を設けてもよい。また、第1案内部及び第2案内部として、第2コネクタ50の底壁64から上方に向かって突出するL字形のフック部を設け、第1コネクタ20にそれに対応するフック受部を第1被案内部及び第2被案内部として設けるようにしてもよい。あるいは、第1コネクタ20にフック部を設け、第2コネクタ50にフック受部を設けてもよい。また、上記実施の形態において、可動部材90にカム突起941が設けられ、操作部材80にカム溝827が設けられているが、可動部材90にカム溝827を設け、操作部材80にカム突起941を設けてもよい。さらに、上記実施の形態において、操作部材80は、前後方向に移動するものであったが、前後方向と異なる方向に移動するものであってもよい。たとえば、操作部材80は上下方向に沿った軸を回転軸として回転するものであってもよい。その場合も、可動部材90は、操作部材80と連動して上下方向に移動可能に構成される。
【符号の説明】
【0083】
10 コネクタ組立体
12 ケーブル
121 電源線
123 信号線
14 壁
16 フロントパネル
20 第1コネクタ
22 第1コンタクト
221 第1信号コンタクト
223 第1電源コンタクト
231 接続部
233 保持部
235 接触部
237 第1接点
239 前端
30 第1ハウジング
32 上側ハウジング
321 ケーブル収容部
34 下側ハウジング
341 第1収容部
343 第1受容部
35 第1端壁
351 第1スリット
36 第1付加壁
361 第2スリット
37 第2付加壁
38 第3付加壁
39 後端面
40 第1側壁
41 外面
42 第1溝
421 前内壁面(第1被案内部)
423 後内壁面(第1被案内部)
425 上内壁面
43 第2溝
431 下内壁面(第2被案内部)
433 上内壁面
50 第2コネクタ
52 第2コンタクト
521 第2信号コンタクト
523 第2電源コンタクト
531 接続部
533 固定部
535 接触部
537 第2接点
525 検知コンタクト
551 接触片部
553 本体部
555 基部
557 弾性片部(接続状態切替機構)
571 支持部
573 弾性部
575 接触部
577 操作部
580 電源線
60 第2ハウジング
601 第2収容部
603 第2受容部
610 重複収容部
62 第2端壁
621 端壁片
623 突出部
625 延長部
64 底壁
641 上面
643 連結壁
645 可動部材収容部
647 台状部
649 溝
651 規制面
66 第2側壁
661 内面
663 ガイド突出部(突出部)
665 前端面(第1案内部)
667 後端面(第1案内部)
669 下端面(第2案内部)
671 第1突出片
673 前端面(第1案内部)
675 後端面(第1案内部)
677 下端面(第2案内部)
681 第2突出片
683 前端面(第1案内部)
691 案内溝(第3案内部)
70 カバー部
701 板状部
703 脚部
72 許容部
80 操作部材
82 下部
821 側壁
823 側面
825 案内突起(第3被案内部)
827 カム溝(力伝達部)
831 維持片
832 突起部
833 接続状態切替部(接続状態切替機構)
835 テーパー部
84 上部
841 前壁
843 上壁
845 操作突起
847 カバー部収容部
90 可動部材
92 前部
921 前端面(規制部)
94 後部
941 カム突起(力受部)
943 内壁
945 突起部
図1
図2
図3
図4
図5
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