(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
吸収性コアを含む縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配されて該吸収性本体と固定されている外装体とを備え、着用者の腹側に配される腹側部、股間部に配される股下部及び背側に配される背側部を有し、
外装体は、着用者の腹側に配される腹側シート部材と、着用者の背側に配される背側シート部材とを含み、両シート部材は股下部を挟んで分割されており、
腹側シート部材及び背側シート部材それぞれの本体長手方向に沿う両側縁部どうしが接合されてウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型吸収性物品であって、
吸収性コアは、坪量の異なる第1領域及び第2領域を少なくとも有し、第1領域は第2領域よりも坪量が高く、
吸収性コアは、第1領域よりも坪量が低く、かつ第2領域よりも坪量が高い第3領域を更に有し、第3領域は少なくとも腹側部を含み、
吸収性コアは、親水性繊維及び吸水性ポリマーの粒子を含有し、
第1領域を構成する親水性繊維の坪量は、第2領域を構成する親水性繊維の坪量よりも高く、且つ第1領域を構成する吸水性ポリマーの坪量は、第2領域を構成する吸水性ポリマーの坪量よりも高く、
第1領域における親水性繊維に対する吸水性ポリマーの比率が、第2領域における親水性繊維に対する吸水性ポリマーの比率よりも高く、
第1領域は少なくとも股下部を含み、第2領域は少なくとも背側部を含み、
第1領域は、吸収性コアの長手方向に延びる複数条の折曲誘導部からなる折曲誘導部群を有しており、
折曲誘導部群は、吸収性コアの幅方向中央域に位置する中央折曲誘導部と、該中央折曲誘導部の両側部に位置する一対の側部折曲誘導部とからなり、
折曲誘導部における背側シート部材側の端部と、吸収性コアにおける第2領域と第1領域との境界位置との間の距離が10mm以上45mm以下である、パンツ型吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のパンツ型吸収性物品を、その好ましい一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつに基づき図面を参照して説明する。本実施形態のパンツ型使い捨ておむつ1は、
図1ないし
図3に示すように、吸収性コア5を含む縦長の吸収性本体2と、該吸収性本体2の非肌対向面側に配されて該吸収性本体2を固定している外装体3とを備え、着用時に着用者の腹側に配される腹側部A及び背側に配される背側部B並びにそれらの間に位置し着用者の股間部に配される股下部Cを本体長手方向Xに有し、外装体3における腹側部Aに位置する外装体腹側領域(後述する腹側シート部材31)及び背側部Bに位置する外装体背側領域(後述する背側シート部材32)それぞれの本体長手方向Xに沿う両側縁部3s,3sどうしが接合されて一対のサイドシール部S,S、ウエスト開口部WO及び一対のレッグ開口部LO,LOが形成されている。
【0011】
なお、本明細書において、肌対向面は、パンツ型吸収性物品及びその構成部材(例えば吸収性本体、吸収性コア)における着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、パンツ型吸収性物品及びその構成部材における着用時に着用者の肌側とは反対側(ショーツ等の着衣側)に向けられる面である。また、本体長手方向は、縦長の吸収性本体の長手方向であり、本体幅方向は、該本体長手方向と直交する方向である。
【0012】
吸収性本体2は、該吸収性本体2の肌対向面を形成する液透過性の表面シート21、該吸収性本体2の非肌対向面を形成する液不透過性又は液難透過性の裏面シート22、及び両シート21,22間に介在配置された液保持性の吸収体23を含んで構成されており、X方向に長い矩形形状に形成されている。
【0013】
吸収体23は、パルプ繊維等の親水性繊維の積繊体を主体とする吸収性コア5と、該吸収性コア5を被覆するコアラップシート(図示せず)とを含んで構成されている。吸収性コア5には、必要に応じ吸水性ポリマーの粒子が含有される。吸収性コア5に吸水性ポリマーの粒子が含有される場合には、パルプ繊維等の親水性繊維と吸水性ポリマーの粒子とを、両者の混合積繊体とすることができる。あるいは、パルプ繊維等の親水性繊維の積繊体におけるいずれかの部位に、吸水性ポリマーの粒子を層状に配置することもできる。
【0014】
表面シート21、裏面シート22及び吸収体23は、いずれもX方向に長い矩形形状であり、表面シート21及び裏面シート22が、吸収体23の長手方向Xの両端それぞれから長手方向Xの外方に延出した部分において接合され、X方向に長い矩形形状の吸収性本体2が形成される。
【0015】
図2及び
図4に示すように、吸収性本体2には、その肌対向面における本体長手方向Xに沿う左右両側部に、本体長手方向Xに沿って一対の立体ギャザー4,4が配されている。各立体ギャザー4は、着用時に少なくとも股下部Cにおいて、着用者の肌側に向かって起立する。各立体ギャザー4は、液抵抗性ないし撥水性の立体ギャザー形成用シート材
53と、該シート材
53に固定された立体ギャザー形成用弾性部材52とを含んで構成されている。シート材
53は、1枚の帯状シートから形成されており、該シート材
53の本体幅方向Yの一端部は、吸収性本体2の吸収体23と裏面シート22との間に配され、接着剤(図示せず)によって固定されている。一方、該シート材
53の本体幅方向Yの他端部は、吸収体23の上方において、本体長手方向Xに延びる折曲線(図示せず)にて本体幅方向Yの外方側に折り返され、その折り返しによって相対向したシート間に、弾性部材52が本体長手方向Xに伸長した状態で接着剤を介して固定されて、立体ギャザー4が形成されている。
【0016】
外装体3は、シート材35,36と、該シート材35,36に固定された複数本の外装体形成用弾性部材33とを含んで構成されている。本実施形態における外装体3は、
図1ないし
図3に示すように、着用時に着用者の腹側に配される腹側シート部材31を含んでいる。また外装体3は、着用時に着用者の背側に配される背側シート部材32を含んでいる。両シート部材31,32は股下部Cを挟んで分割されている。腹側シート部材31と、背側シート部材32とは、長手方向X及び幅方向Yに沿う長さが同じになっている。また、背側シート部材32に関しては、該背側シート部材32の長手方向の下端部32Aから、更に長手方向の下方側に延出した後身頃延出域32Eが連設されている。つまり、背側シート部材32と後身頃延出域32Eとの境界部が、背側シート部材32における下端部32Aとなる。以下の説明では、背側シート部材32及び後身頃延出域32Eからなる部材のことを「後身頃部材32F」とも言う。
【0017】
本実施形態のパンツ型使い捨ておむつ1は、着用者の腹側に配される腹側シート部材31(外装体腹側領域)と、着用者の背側に配される背側シート部材32(外装体背側領域)と、両シート部材31,32に架け渡して固定された縦長の吸収性本体2とを備え、両シート部材31,32それぞれの本体長手方向Xに沿う両側縁部3s,3sどうしが接合されて一対のサイドシール部S,S、ウエスト開口部WO及び一対のレッグ開口部LO,LOが形成されている。サイドシール部Sでは、腹側シート部材31と背側シート部材32とが、接着剤、ヒートシール、高周波シール、超音波シール等の公知の接合手段によって接合されている。
【0018】
腹側シート部材31及び背側シート部材32の両側縁部3s,3sどうしを接合して一対のサイドシール部S,Sを形成するに際しては、腹側シート部材31の長手方向の外方側端縁31’と、背側シート部材32の長手方向の外方側端縁32’の位置を一致させて、両シート部材31,32の両側縁部3s,3sどうしを接合する。このようにして両シート部材31,32の両側縁部3s,3sどうしを接合すると、腹側シート部材31の長手方向Xに沿う下端部31Aの位置と、背側シート部材32の長手方向Xに沿う下端部32Aの位置とが一致する。更にこれらのシート部材31,32の下端部31A,32Aから、換言すればサイドシール部4の下端から、下方に向けて後身頃延出域32Eが垂下する。このように、腹側シート部材31及び背側シート部材32の下端部31A,32Aの位置は、サイドシール部4の下端部の位置と一致する。つまり、腹側シート部材31及び背側シート部材32の下端部31A,32Aとは、両シート部材31,32それぞれの本体長手方向Xに沿う両側縁部3s,3sどうしが接合されて一対のサイドシール部S,Sが形成されたときの、該サイドシール部Sの下端の位置のことである。そして本発明においては、腹側シート部材31における左右の下端部31Aを結んだ線を、腹側部Aと股下部Cとの境界部と定義する。また、背側シート部材32における左右の下端部32Aを結んだ線を、背側部Bと股下部Cとの境界部と定義する。したがって、後身頃部材32Fのうち、後身頃延出域32Eは、股下部Cに位置することになる。
【0019】
腹側シート部材31及び背側シート部材32は、それぞれ、その非肌対向面(おむつ1の外面)を形成する外層シート材35と、該外層シート材35の内面側に配された内層シート材36と、両シート材35,36間に接着剤(図示せず)により固定された複数本の糸状又は帯状の弾性部材33とを含んで構成されており、
図2に示す如きおむつ1の展開状態において、本体幅方向Yに長い矩形形状をなしている。両シート材35,36間は、所定部位において接着剤(図示せず)によって接合されている。腹側シート部材31及び後身頃部材32Fにおいては、それぞれ
図2に示すように、複数本の弾性部材33は、本体幅方向Yに沿って略直線状に配され、本体幅方向Yに伸長した状態で、本体長手方向Xに所定間隔を置いて配されている。
【0020】
外層シート材35は、
図3に示すように、その本体幅方向Yの長さは内層シート材36のそれと同じであるが、本体長手方向Xの長さは内層シート材36のそれよりも長い。そのことに起因して、外層シート材35は、内層シート材36の本体長手方向Xの外方端36aから本体長手方向Xの外方へ延出する、延出部35Eを有している。腹側シート部材31及び後身頃部材32Fの外層シート材35の延出部35Eは、
図2に示すように、内層シート材36側に折り返されており、その折り返しによって相対向したシート35(35E),36間に、吸収性本体2の本体長手方向Xの端部が配されている。相対向するシート35(35E),36間は、所定の部位において接着剤(図示せず)によって接合されている。
【0021】
腹側部A(腹側シート部材31)及び背側部B(背側シート部材32)それぞれにおけるウエスト部Dには、外層シート材35と内層シート材36との間に弾性部材33が伸長状態で固定されていることによって、ウエストギャザーが形成されている。腹側部Aのウエスト部Dの弾性部材33及び背側部Bのウエスト部Dの弾性部材33は、
図3に示すように、腹側部A又は背側部Bの本体幅方向Yの全長にわたって連続的に延びており、その全体にわたって、本来有する伸縮性を発現可能になされている。ウエスト部Dは、着用者の腰回りに位置する部位であり、通常、おむつ1の腹側部Aにおける本体長手方向Xの外方端1a及びおむつ1の背側部Bにおける本体長手方向Xの外方端1bそれぞれから該おむつ1の本体長手方向Xの全長の1〜15%の長さまでの領域である。
【0022】
また、腹側部A(腹側シート部材31)及び背側部B(背側シート部材32)それぞれにおける胴回り部Eには、外層シート材35と内層シート材36との間に弾性部材34が伸長状態で固定されていることによって、胴回りギャザーが形成されている。腹側部Aの胴回り部Eは、
図2に示すようにおむつ1を、その各部の弾性部材を伸長させて平面状に拡げた展開状態とし、腹側部Aを上側、背側部Bを下側と考えた場合に、ウエスト部Dよりも下方に位置しかつ股下部Cよりも上方に位置する領域である。背側部Bの胴回り部Eは、おむつ1を
図2に示すものとは上下逆にした場合に、ウエスト部Dよりも下方に位置しかつ
後身頃延出域32Eよりも上方に位置する領域である。更に、股下部Cに位置する部材である後身頃延出域32Eにおいては、外層シート材35と内層シート材36との間に延出域弾性部材37が伸長状態で固定されていることによって、延出部ギャザーが形成されている。
【0023】
腹側部A(腹側シート部材31)及び背側部B(背側シート部材32)並びに後身頃延出域32Eにおいては、胴回り部Eの弾性部材34及び延出域弾性部材37が、
図3に示すように、吸収性本体2(吸収性コア5)と重なる部分に配されていない。したがって、腹側部A及び背側部Bの胴回り部E並びに後身頃延出域32Eにおいては、吸収性本体2の配置領域を除く、本体長手方向Xに沿う左右両側部に、一対の胴回りギャザー及び延出域ギャザーが形成されている。このような弾性部材34,37の配置形態に代えて、弾性部材34,37が吸収性本体2に重なるように、腹側部A及び背側部Bの本体幅方向Yの全域にわたって該弾性部材34,37を配置するとともに、該弾性部材34,37が吸収性本体2と重なる部位において、該弾性部材34,37の伸縮性を抑制する処理を施してもよい。そのような処理としては、例えば弾性部材34,37を腹側シート部材31及び背側シート部材32並びに後身頃延出域32Eに配置した後に、細かく切断する方法が挙げられる。あるいは、接着剤等を用いた接合によって弾性部材34,37が伸縮しないように規制する方法が挙げられる。これらの処理によって、弾性部材34,37が吸収性本体2と重なる部位においては該弾性部材34,37は伸縮しないが、該部位以外の他の部分(吸収性本体2の本体幅方向Yの外方に位置する部分)は伸縮が維持される。
【0024】
このように、胴回り部E及び後身頃延出域32Eに配された弾性部材34,37が、吸収性本体2(吸収性コア5)と重なる部分で伸縮性が抑制されていることによって、吸収性本体2に縦皺を生じさせることなく吸収性本体2の本体長手方向Xの端部を着用者の身体に沿わせることが可能となり、それによって、液漏れが効果的に防止される。これとともに、吸収性本体2に生じた皺の頂部が肌に当たることに起因する跡付き等の不都合が効果的に防止される。
【0025】
図5には、本実施形態のパンツ型使い捨ておむつ1に備えられた吸収性コア5が示されている。吸収性コア5は、おむつ1に対応して腹側部A、背側部B及び股下部Cを有している。腹側部Aは、吸収性コア5が腹側シート部材31と重なっている領域である。背側部Bは、後身頃部材32Fのうち、背側シート部材32と吸収性コア5とが重なっている領域である。股下部Cは、腹側シート部材31の下端部31Aと、背側シート部材32の下端部32Aとの間の領域である。股下部Cは、後身頃部材32Fのうち、後身頃延出域32Eを含んでいる。
【0026】
吸収性コア5は、坪量の異なる第1領域41及び第2領域42の2つの領域を有している。第1領域41は少なくとも股下部Cを含み、更に少なくとも腹側部Aも含んでいる。一方、第2領域42は少なくとも背側部Bを含んでいる。「第1領域41は少なくとも股下部Cを含み」とは、第1領域41が股下部Cを含み、更にそれ以外の領域、例えば背側部Bを含んでいてもよいことを意味する。また、「第2領域42は少なくとも背側部Bを含み」とは、第2領域42が背側部Bを含み、更にそれ以外の領域、例えば股下部Cを含んでいてもよいことを意味する。
【0027】
吸収性コア5は平面視して縦長の略矩形の形状をしている。吸収性コア5の長手方向は、本体長手方向Xと一致している。吸収性コア5をその本体長手方向Xに沿って見たとき、第1領域41は第2領域42よりも坪量が高くなっている。本体幅方向Yに沿って見たとき、第1領域41の坪量はいずれの部位でも同じになっている(ただし、後述する折曲誘導
部群を除く。)。同様に、本体幅方向Yに沿って見たとき、第2領域42の坪量はいずれの部位でも同じになっている。
【0028】
高坪量の第1領域41を股下部C及び腹側部Aを含むように形成し、かつ低坪量の第2領域42を背側部Bを含むように形成することで、排泄された液を吸収性コア5が吸収して膨潤したときに、低坪量の第2領域42の膨潤の程度を抑制することができる。その結果、吸収性コア5の膨潤に起因する着用者の腰部への圧迫を抑制することができる。このことは、着用者が仰向けで寝ている場合に特に有利となる。特に、先に述べた背側シート部材32を構成する外層シート材35における延出部35E(
図2及び
図3参照)が本体長手方向Xに沿う長さをL1とし、また、延出部35Eのうち第2領域42と重なる領域の本体長手方向Xに沿う長さをL2としたとき、L1に対するL2の割合である[L2/L1]×100の値が50%以上100%以下、とりわけ60%以上100%以下であると、第2領域42が一層膨潤しにくくなり、おむつ1の装着状態において違和感が一層発生しづらくなるので好ましい。
【0029】
以上の有利な効果を一層顕著なものとする観点から、第1領域41の坪量は、第2領域42の坪量に対して120%以上であることが好ましく、140%以上であることが更に好ましい。また250%以下であることが好ましく、230%以下であることが更に好ましい。例えば第1領域41の坪量は、第2領域42の坪量に対して120%以上250%以下であることが好ましく、140%以上230%以下であることが更に好ましい。
【0030】
同様に、以上の有利な効果を一層顕著なものとする観点から、第1領域41の長さは、吸収性コア5の全長の50%以上であることが好ましく、60%以上であることが更に好ましく、70%以上であることが一層好ましい。また90%以下であることが好ましく、85%以下であることが更に好ましく、80%以下であることが一層好ましい。例えば第1領域41の長さは、吸収性コア5の全長の50%以上90%以下であることが好ましく、60%以上85%以下であることが更に好ましく、70%以上80%以下であることが一層好ましい。一方、第2領域42の長さは、吸収性コア5の全長の10%以上50%以下であることが好ましく、15%以上40%以下であることが更に好ましく、20%以上30%以下であることが一層好ましい。
【0031】
第1領域41の坪量と第2領域42の坪量との比率は上述のとおりであるところ、低坪量領域である第2領域42の坪量そのものの値は100g/m
2以上であることが好ましく、150g/m
2以上であることが更に好ましく、200g/m
2以上であることが一層好ましい。また600g/m
2以下であることが好ましく、550g/m
2以下であることが更に好ましく、500g/m
2以下であることが一層好ましい。例えば第2領域42の坪量は、100g/m
2以上600g/m
2以下であることが好ましく、150g/m
2以上550g/m
2以下であることが更に好ましく、200g/m
2以上500g/m
2以下であることが一層好ましい。一方、第1領域41の坪量は、第1領域41の坪量と第2領域42の坪量との比率が上述の範囲内であることを条件として、150g/m
2以上900g/m
2以下であることが好ましく、200g/m
2以上850g/m
2以下であることが更に好ましく、250g/m
2以上800g/m
2以下であることが一層好ましい。
【0032】
上述した第1領域41と第2領域42との坪量の大小関係は、吸収性コア5の全体について測定された坪量を比較したものであるところ、吸収性コア5を構成するパルプ繊維等の親水性繊維の坪量及び吸水性ポリマーの坪量に関しても、第1領域41は第2領域42よりも高いことが好ましい。つまり第1領域41を構成する親水性繊維の坪量は、第2領域42を構成する親水性繊維の坪量よりも高いことが好ましい。また、第1領域41を構成する吸水性ポリマーの坪量は、第2領域42を構成する吸水性ポリマーの坪量よりも高いことが好ましい。このような坪量関係にすることで、排尿点付近の吸収容量を向上でき、液漏れ防止に効果があるだけでなく、ゲルブロッキングを抑制できるので好ましい。
【0033】
第1領域41と第2領域42とでは、坪量の差に起因する厚みの差が生じていてもよく、あるいは生じていなくてもよい。坪量の差に起因する厚みの差、つまり段差が両領域41,42の間で生じているか否かは本発明の有利な効果を奏する上で臨界的ではない。両領域41,42の間で段差が生じているか否かを問わず、吸収性コア5は単一構造体から構成されていることが好ましい。「単一構造体」とは、吸収性コア5を構成するパルプ繊維等の親水性繊維及び吸水性ポリマーの粒子を含む積繊体が単層構造からなることを言う。2種以上の積繊体を積層した複数層の構造体は、本発明に言う単一構造体に含まれない。坪量の異なる第1領域41及び第2領域42を有する吸収性コア5を単一構造体から構成することで、該吸収性コア5には層間の界面が非存在となるので、厚み方向に沿った液の拡散が円滑に行われるという利点が生じる。これに対して、複数層の構造体から吸収性コア5を構成すると、層間の界面が、厚み方向に沿った液の拡散を阻害しやすい傾向にある。尤も、本発明において吸収性コア5が複数層の構造体から構成されていることは妨げられない。
【0034】
吸収性コア5に含まれるパルプ繊維等の親水性繊維と吸水性ポリマーとの比率は、親水性繊維:吸水性ポリマーの質量比で表して、1:0.5以上であることが好ましく、1:0.8以上であることが更に好ましい。また1:2.5以下であることが好ましく、1:2以下であることが更に好ましい。例えば親水性繊維:吸水性ポリマーの質量比は1:0.5以上1:2.5以下であることが好ましく、1:0.8以上1:2以下であることが更に好ましい。第1領域41と第2領域42とで、親水性繊維と吸水性ポリマーとの比率は同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。後述する実施例のように、両領域41,42におけるこの比率が異なっていると、排尿点付近に十分な吸収性ポリマーを分散できるので、液漏れ防止に有用となり好ましい。両領域41,42におけるこの比率を異ならせるためには、例えば公知の積繊機を用いて吸収性コア5を製造するときの吸引条件を適切に設定すればよい。
【0035】
図5に示すとおり、第1領域41は、本体長手方向Xに延びる複数条の折曲誘導部51,52a,52bからなる折曲誘導部群50を有している。折曲誘導部群50は、本体幅方向Yの中央域に位置する中央折曲誘導部51と、中央折曲誘導部51の両側部に位置する一対の側部折曲誘導部52a,52bとからなる。中央折曲誘導部51は、吸収性コア5の本体幅方向Yの中央域に位置しているとともに、おむつ1の本体幅方向Yの中央域に位置している。各側部折曲誘導部52a,52bは、中央折曲誘導部51と平行に延びている。また各側部折曲誘導部52a,52bと中央折曲誘導部51との距離は同じになっている。したがって、各側部折曲誘導部52a,52bは、おむつ1の本体長手方向Xに延びる縦中心線(図示せず)に対して対称の位置に形成されている。
【0036】
本実施形態においては、
図5に示すとおり三条の折曲誘導部51,52a,52bからなる折曲誘導部群50を採用している。しかし折曲誘導部の本数はこれに限られない。例えば一条の中央折曲誘導部51に対して、該中央折曲誘導部51の両側部の位置に、対称に二条以上の側部折曲誘導部を形成することができる。尤も、本発明の効果が確実に奏されるようにするためには、本実施形態のように三条の折曲誘導部を形成することが好ましい。
【0037】
各折曲誘導部51,52a,52bは、おむつ1を装着した状態において、該おむつ1に外力が加わったときに、吸収性コア5の変形の起点ないし可撓軸として作用する部位である。この目的のために、各折曲誘導部51,52a,52bは、例えば本体長手方向Xに延びるスリット、溝又は非積繊部からなる。スリットとは、吸収性コア5の厚み方向に向けて切り込みを入れた部位のことであり、幅を有していない。溝とは、底部を有する所定幅の細長い凹部のことである。非積繊部とは、溝から底部を除去したものであり、吸収性コア5を構成するパルプ繊維等の積繊体が存在していない部位のことである。吸収性コア5の変形を首尾よく行う観点からは、中央折曲誘導部51をスリット、溝又は非積繊部から構成するとともに、側部折曲誘導部52a,52bを溝又は非積繊部から構成することが好ましい。
図5(b)に示すとおり、本実施形態では各折曲誘導部51,52a,52bは吸収性コア5の厚み方向全域を貫通する非積繊部から構成されている。各折曲誘導部51,52a,52bがいずれの形態であっても、それらの幅、すなわち本体幅方向Yに沿った長さは、本体長手方向Xのいずれの位置においても同じであることが好ましい。
【0038】
折曲誘導部群50を構成する折曲誘導部51,52a,52bは、それらの幅が同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。特に各折曲誘導部51,52a,52bの幅が同じであると、排泄された液が吸収
性コア5内で均一に、かつ素早く拡散しやすくなり、吸収性コア5の全領域を液吸収のために有効活用できるので好ましい。この利点を一層顕著にする観点から、各折曲誘導部51,52a,52bの幅は、1mm以上であることが好ましく、3mm以上であることが更に好ましい。また、20mm以下であることが好ましく、15mm以下であることが更に好ましい。例えば各折曲誘導部51,52a,52bの幅は、1mm以上20mm以下であることが好ましく、3mm以上15mm以下であることが更に好ましい。
【0039】
折曲誘導部群50を構成する折曲誘導部51,52a,52bは、本体幅方向Yに沿った長さが同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。特に各折曲誘導部51,52a,52bの長さが同じであると、排泄された液が吸収
性コア5内で均一に、かつ素早く拡散しやすくなり、吸収性コア5の全領域を液吸収のために有効活用できるので好ましい。この利点を一層顕著にする観点から、各折曲誘導部51,52a,52bの長さは、50mm以上であることが好ましく、100mm以上であることが更に好ましい。また、350mm以下であることが好ましく、300mm以下であることが更に好ましい。例えば各折曲誘導部51,52a,52bの長さは、50mm以上350mm以下であることが好ましく、100mm以上300mm以下であることが更に好ましい。
【0040】
各折曲誘導部51,52a,52bの長さが同じである場合、それらの腹側部A側の端部の位置は同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。同様に、背側部B側の端部の位置は同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。
図5に示す実施形態においては、各折曲誘導部51,52a,52bの腹側部A側の端部の位置は同じであり、したがって背側部B側の端部の位置も同じになっている。
【0041】
折曲誘導部群50は、腹側部Aに位置する外装体である腹側シート部材31における下端部31Aよりも股下部C寄りに位置している。更に折曲誘導部群50は、背側部において非存在となっている。つまり折曲誘導部群50は、腹側シート部材31の下端部31Aと、背側シート部材32の下端部32Aとの間にのみ位置している。折曲誘導部群50をこのような位置に配置することによって、吸収性コア5による液の吸収力と、吸収性コア5における液の良好な拡散性と、おむつ1の良好な装着感とのバランスを図ることができる。特に、各折曲誘導部51,52a,52bの端部のうち、背側シート部材32側の端部T
1(
図5参照)と、吸収性コア5における第2領域42と第1領域41との境界位置T
2(
図5参照)との間の距離を、5mm以上50mm以下、特に10mm以上45mm以下に設定すると、高坪量領域である第1領域41のみでの液の拡散が起こりやすくなるので好ましい。その結果、吸収性コア5が屈曲変形しやすくなり、おむつ1の装着感が一層良好になる。
【0042】
特に、折曲誘導部群50が、着用者の大便排泄部の位置よりも背側部B側において非存在となっていると、排泄された便が着用者の肌に付着しづらくなるので好ましい。「背側部B側において非存在」とは、折曲誘導部群50を構成するすべての折曲誘導部における背側部B側の端部の位置が、着用者の大便排泄部の位置よりも腹側部A側に偏倚していることを言う。
【0043】
先に述べたとおり、吸収性コア5は、その表面の全域がコアラップシートなどの液透過性シートによって被覆されている。その結果、吸収性コアの肌対向面側及び非肌対向面側に、液透過性シートが対向配置された状態になっている。そして、対向配置された液透過性シートと、該液透過性シートの間に位置する、吸収性コア5の構成材料が非存在となっている空間とで、中央折曲誘導部51及び側部折曲誘導部52a,52bが画成されている。換言すれば、中央折曲誘導部51及び側部折曲誘導部52a,52bは閉じた空間になっている。このような構成を採用することで、排泄された液を吸収性コア5が吸収して、吸水性ポリマーが膨潤したとしても、膨潤による体積の増加分が該空間によって吸収されるので、吸水性ポリマーの膨潤阻害が起こりにくくなるという有利な効果が奏される。しかも該空間は閉じた空間なので、膨潤した吸水性ポリマーがおむつ1の外に脱落するおそれもない。
【0044】
本実施形態のおむつ1に用いられる吸収性コア5は、例えば周面に凹部が形成された積繊ドラムを用い、該凹部内にパルプ繊維等の親水性繊維及び吸水性ポリマーの粒子を堆積させて積繊体を製造するときに、該凹部の底部を構成する通気性部材のうち、低坪量領域である第2領域42となるべき部位を低通気性とすることで製造できる。これによって、第1領域41及び第2領域42を首尾よく形成することができる。折曲誘導部群50は、前記の通気性部材のうち、折曲誘導部群50を構成する各折曲誘導部51,52a,52bの形成予定部の位置を非通気の非積繊部位とすればよい。
【0045】
図6には、本発明の別の実施形態で用いられる吸収性コア5が示されている。なお、同図に関し特に説明しない点については、先に述べた
図5に関して詳述した説明が適宜適用される。また、
図6において
図5と同じ部材には同じ符号を付してある。本実施形態の吸収性コア5も、おむつ1に対応して腹側部A、背側部B及び股下部Cを有している。
図5に示す実施形態の吸収性コアが、坪量の異なる第1領域41及び第2領域42の2つの領域を有しているのに対して、
図6に示す実施形態の吸収性コア5は、第1領域41及び第2領域42に加えて、第1領域41よりも坪量が低く、かつ第2領域42よりも坪量が高い第3領域43を更に有している。第1領域41は少なくとも股下部Cを含んでいる。第2領域42は少なくとも背側部Bを含んでいる。そして第3領域43は少なくとも腹側部Aを含んでいる。「第3領域43は少なくとも腹側部Aを含み」とは、第3領域43が腹側部Aを含み、更にそれ以外の領域、例えば股下部Cを含んでいてもよいことを意味する。
【0046】
吸収性コア5は、これを本体幅方向Yに沿って見たとき、第1領域41の坪量はいずれの部位でも同じになっている(ただし、折曲誘導
部群50を除く。)。同様に、本体幅方向Yに沿って見たとき、第2領域42及び第3領域43の坪量はいずれの部位でも同じになっている。
【0047】
高坪量の第1領域41を股下部Cを含むように形成し、低坪量の第2領域42を背側部Bを含むように形成し、かつ中坪量の第3領域43を腹側部Aを含むように形成することで、排泄された液を吸収性コア5が吸収して膨潤したときに、低坪量の第2領域42の膨潤の程度、及び中坪量の第3領域43の膨潤の程度を抑制することができる。その結果、吸収性コア5が膨潤に起因する着用者の腰部及び腹部への圧迫を抑制することができる。このことは、着用者がうつ伏せで寝ている場合に特に有利となる。
【0048】
以上の有利な効果を一層顕著なものとする観点から、第3領域43の坪量は、第2領域42の坪量に対して105%以上であることが好ましく、110%以上であることが更に好ましい。また200%以下であることが好ましく、180%以下であることが更に好ましい。例えば第3領域43の坪量は、第2領域42の坪量に対して105%以上200%以下であることが好ましく、110%以上180%以下であることが更に好ましい。更に、第3領域43の坪量は、第1領域41の坪量に対して50%以上であることが好ましく、60%以上であることが更に好ましい。また95%以下であることが好ましく、85%以下であることが更に好ましい。例えば第3領域43の坪量は、第1領域41の坪量に対して50%以上95%以下であることが好ましく、60%以上85%以下であることが更に好ましい。
【0049】
同様に、以上の有利な効果を一層顕著なものとする観点から、第1領域41の長さは、吸収性コア5の全長の40%以上であることが好ましく、45%以上であることが更に好ましく、50%以上であることが一層好ましい。また80%以下であることが好ましく、75%以下であることが更に好ましく、70%以下であることが一層好ましい。例えば第1領域41の長さは、吸収性コア5の全長の40%以上80%以下であることが好ましく、45%以上75%以下であることが更に好ましく、50%以上70%以下であることが一層好ましい。一方、第2領域42の長さは、吸収性コア5の全長の10%以上50%以下であることが好ましく、15%以上40%以下であることが更に好ましい。更に、第3領域43の長さは、吸収性コア5の全長の2.5%以上30%以下であることが好ましく、5%以上20%以下であることが更に好ましい。
【0050】
第3領域43の坪量と、第1領域41の坪量及び第2領域42の坪量との比率は上述のとおりであるところ、中坪量領域である第3領域43の坪量そのものの値は125g/m
2以上であることが好ましく、200g/m
2以上であることが更に好ましい。また800g/m
2以下であることが好ましく、750g/m
2以下であることが更に好ましい。例えば第3領域43の坪量は、125g/m
2以上800g/m
2以下であることが好ましく、200g/m
2以上750g/m
2以下であることが更に好ましい。一方、第1領域41の坪量及び第2領域42の坪量は、
図5に示す実施形態の場合と同様である。
【0051】
上述した第1領域41と第2領域42と第3領域43との坪量の大小関係は、吸収性コア5の全体について測定された坪量を比較したものであるところ、吸収性コア5を構成するパルプ繊維等の親水性繊維の坪量及び吸水性ポリマーの坪量に関しても、第2領域42、第3領域43、第1領域41の順で高くなっていることが好ましい。このような坪量関係にすることで、排尿点付近の吸収容量を向上でき、液漏れ防止に効果があるだけでなく、ゲルブロッキングを抑制できるので好ましい。
【0052】
第1領域41と第2領域42との間、及び第1領域41と第3領域43との間では、坪量の差に起因する厚みの差が生じていてもよく、あるいは生じていなくてもよい。坪量の差に起因する厚みの差、つまり段差が領域41,42の間及び領域41,43の間で生じているか否かは本発明の有利な効果を奏する上で臨界的ではない。このような段差が生じているか否かを問わず、本実施形態においても吸収性コア5は単一構造体から構成されていることが好ましい。吸収性コア5を単一構造体から構成することの利点は、
図5に示す実施形態の場合と同様である。
【0053】
本実施形態においても、吸収性コア5は、その第1領域41に、本体長手方向Xに延びる複数条の折曲誘導部51,52a,52bからなる折曲誘導部群50を有している。折曲誘導部群50は、腹側部Aに位置する外装体である腹側シート部材31における下端部31Aよりも股下部C寄りに位置している。更に折曲誘導部群50は、背側部において非存在となっている。その結果、折曲誘導部群50は、腹側シート部材31の下端部31Aと、背側シート部材32の下端部32Aとの間にのみ位置している。このような構成の折曲誘導部群50を採用することで、
図5に示す実施形態の場合と同様の有利な効果が奏される。
【0054】
図7には、これまでに説明してきたおむつと構成の異なるパンツ型使い捨ておむつ1が示されている。これまでに説明してきたおむつは、外装体3が、腹側シート部材31と背側シート部材32とに分割されていたが、同図に示すおむつ1では、外装体3が、腹側部Aから股下部Cを経て背側部Bまでにわたって配されている。同図に示すおむつ1における吸収性コア5は、
図5に示す構造のものである。これに代えて、
図6に示す構成の吸収性コア5を採用してもよい。本実施形態のおむつにおいても、これまで説明してきた実施形態のおむつと同様の有利な効果が奏される。
【0055】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されず、当業者の通常の知識の範囲内で適宜変更が可能である。例えば前記実施形態においては、背側シート部材32の下端部32Aから延出する後身頃延出域32Eが形成されていたが、この後身頃延出域32Eを形成しなくてもよい。
【0056】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下のパンツ型吸収性物品を開示する。
<1>
吸収性コアを含む縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配されて該吸収性本体と固定されている外装体とを備え、着用者の腹側に配される腹側部、股間部に配される股下部及び背側に配される背側部を有し、該外装体における該腹側部に位置する外装体腹側領域及び該背側部に位置する外装体背側領域それぞれの本体長手方向に沿う両側縁部どうしが接合されてウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、坪量の異なる第1領域及び第2領域を少なくとも有し、第1領域は第2領域よりも坪量が高く、
第1領域は少なくとも股下部を含み、第2領域は少なくとも背側部を含み、
第1領域は、吸収性コアの長手方向に延びる複数条の折曲誘導部からなる折曲誘導部群を有しており、
折曲誘導部群は、吸収性コアの幅方向中央域に位置する中央折曲誘導部と、該中央折曲誘導部の両側部に位置する一対の側部折曲誘導部とからなり、
折曲誘導部群は、腹側部に位置する外装体における下端部よりも股下部寄りに位置しており、背側部には該折曲誘導部群が非存在となっているパンツ型吸収性物品。
【0057】
<2>
第1領域が少なくとも腹側部及び股下部を含む前記<1>に記載のパンツ型吸収性物品。
<3>
第1領域の長さが、吸収性コアの全長の50%以上90%以下である前記<2>に記載のパンツ型吸収性物品。
<4>
第1領域の長さは、吸収性コアの全長の50%以上であることが好ましく、60%以上であることが更に好ましく、70%以上であることが一層好ましく、また90%以下であることが好ましく、85%以下であることが更に好ましく、80%以下であることが一層好ましい前記<1>ないし<3>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<5>
吸収性本体の幅方向に沿って見たとき、第1領域の坪量がいずれの部位でも同じになっている前記<1>ないし<4>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<6>
吸収性本体の幅方向に沿って見たとき、第2領域の坪量がいずれの部位でも同じになっている前記<1>ないし<5>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
【0058】
<7>
第1領域の坪量は、第2領域の坪量に対して120%以上であることが好ましく、140%以上であることが更に好ましく、また250%以下であることが好ましく、230%以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<6>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<8>
第2領域の坪量は、100g/m
2以上であることが好ましく、150g/m
2以上であることが更に好ましく、200g/m
2以上であることが一層好ましく、また600g/m
2以下であることが好ましく、550g/m
2以下であることが更に好ましく、500g/m
2以下であることが一層好ましい前記<1>ないし<7>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<9>
第1領域41の坪量は、150g/m
2以上900g/m
2以下であることが好ましく、200g/m
2以上850g/m
2以下であることが更に好ましく、250g/m
2以上800g/m
2以下であることが一層好ましい前記<1>ないし<8>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<10>
吸収性コアが親水性繊維を含み、
第1領域を構成する親水性繊維の坪量は、第2領域を構成する親水性繊維の坪量よりも高くなっている前記<1>ないし<9>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<11>
吸収性コアが吸水性ポリマーを含み、
第1領域を構成する吸水性ポリマーの坪量は、第2領域を構成する吸水性ポリマーの坪量よりも高くなっている前記<1>ないし<10>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
【0059】
<12>
第1領域よりも坪量が低く、かつ第2領域よりも坪量が高い第3領域を更に有し、
第3領域は少なくとも腹側部を含む前記<1>ないし<11>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<13>
第1領域の長さが、吸収性コアの全長の40%以上80%以下である前記<1>ないし<12>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<14>
第1領域の長さは、吸収性コアの全長の40%以上であることが好ましく、45%以上であることが更に好ましく、50%以上であることが一層好ましく、また80%以下であることが好ましく、75%以下であることが更に好ましく、70%以下であることが一層好ましい前記<1>ないし<13>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<15>
第1領域よりも坪量が低く、かつ第2領域よりも坪量が高い第3領域を更に有し、
第3領域は少なくとも腹側部を含み、
第3領域の坪量は、第2領域の坪量に対して105%以上であることが好ましく、110%以上であることが更に好ましく、また200%以下であることが好ましく、180%以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<14>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<16>
第1領域よりも坪量が低く、かつ第2領域よりも坪量が高い第3領域を更に有し、
第3領域は少なくとも腹側部を含み、
第3領域の坪量は、第1領域の坪量に対して50%以上であることが好ましく、60%以上であることが更に好ましく、また95%以下であることが好ましく、85%以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<15>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
【0060】
<17>
第1領域よりも坪量が低く、かつ第2領域よりも坪量が高い第3領域を更に有し、
第3領域は少なくとも腹側部を含み、
第3領域の坪量は、125g/m
2以上であることが好ましく、200g/m
2以上であることが更に好ましく、また800g/m
2以下であることが好ましく、750g/m
2以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<16>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<18>
折曲誘導部群が、着用者の大便排泄部の位置よりも背側部側において非存在となっている前記<1>ないし<17>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<19>
折曲誘導部群を構成する各折曲誘導部の幅が同じになっている前記<1>ないし<18>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<20>
各折曲誘導部の幅は、1mm以上であることが好ましく、3mm以上であることが更に好ましく、また20mm以下であることが好ましく、15mm以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<19>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<21>
折曲誘導部群を構成する各折曲誘導部の長さが同じになっている前記<1>ないし<20>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
【0061】
<22>
各折曲誘導部の長さは、50mm以上であることが好ましく、100mm以上であることが更に好ましく、また350mm以下であることが好ましく、300mm以下であることが更に好ましい前記<1>ないし<21>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。<23>
各側部折曲誘導部は、中央折曲誘導部と平行に延びており、
各側部折曲誘導部と中央折曲誘導部との距離が同じになっている前記<1>ないし<22>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<24>
各折曲誘導部の腹側部側の端部の位置は同じであり、背側部側の端部の位置も同じになっている前記<1>ないし<23>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<25>
吸収性コアが単層構造体から構成されている前記<1>ないし<24>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<26>
吸収性コアの肌対向面側及び非肌対向面側に、該吸収性コアを被覆する液透過性シートが対向配置されており、
対向配置された前記液透過性シートと、該液透過性シートの間に位置する、吸収性コアの構成材料が非存在となっている空間とで、中央折曲誘導部が画成されている前記<1>ないし<25>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<27>
前記各折曲誘導部の端部のうち、背側シート部材側の端部T
1と、吸収性コアにおける第2領域と第1領域との境界位置T
2との間の距離が、5mm以上50mm以下、特に10mm以上45mm以下である前記<1>ないし<26>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
【0062】
<28>
外装体が、腹側部に位置する腹側シート部材と、背側部に位置する背側シート部材とを含み、
吸収性本体が両シート部材に架け渡して固定されている前記<1>ないし<27>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<29>
背側シート部材の長手方向の下端部から、更に長手方向の下方側に延出した後身頃延出域が連設されている前記<28>に記載のパンツ型吸収性物品。
<30>
後身頃延出域においては、外層シート材と内層シート材との間に延出域弾性部材が伸長状態で固定されていることによって、延出部ギャザーが形成されている前記<29>に記載のパンツ型吸収性物品。
<31>
前期背側シート部材を構成する外層シート材における延出部が本体長手方向Xに沿う長さをL
1とし、延出部のうち第2領域と重なる領域の本体長手方向Xに沿う長さをL
2としたとき、L
1に対するL
2の割合である[L
2/L
1]×100の値が50%以上100%以下、とりわけ60%以上100%以下である、前記<28>ないし<30>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<32>
外装体が、腹側部から股下部を経て背側部までにわたって配されている前記<1>ないし<26>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
【実施例】
【0063】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
【0064】
〔実施例1〕
本実施例では、
図1ないし
図4に示すパンツ型使い捨ておむつに用いられる吸収性コア5を、公知の積繊ドラムを用いて製造した。吸収性コア5は、
図5に示す構成の単層構造体からなるものとした。吸収性コア5の長さは390mm、幅は135mmとした。折曲誘導部は三条形成し、いずれも長さ200mm、幅10mmとした。腹側部Aの端部から、折曲誘導部の端部までの距離は75mmとした。中央折曲誘導部と側部折曲誘導部のとのピッチは26mmとした。腹側部A及び股下部Cを含む第1領域41の長さは290mmとし、背側部Bを含む第2領域の長さは100mmとした。第1領域41におけるパルプ繊維の坪量は192g/m
2で、吸水性ポリマーの坪量は250g/m
2であった。第2領域42におけるパルプ繊維の坪量は108g/m
2で、吸水性ポリマーの坪量は132g/m
2であった。この構成の吸収性コア5をティッシュペーパーからなる液透過性シート(坪量16g/m
2)で包み、吸収体を得た。
【0065】
〔実施例2〕
本実施例においては、2層構造の部位を有する吸収性コア5を、公知の積繊ドラムを用いて製造した。この吸収性コア5においては、第1領域41が2層構造となっており、第2領域42が単層構造となっていた。具体的には、第1領域41及び第2領域42を含む下層の上に、第1領域41のみを含む上層を積層して本実施例の吸収性コア5となした。坪量や寸法は実施例1と同様とした。この吸収性コア5を、実施例1と同様のティッシュペーパーで包んで吸収体を得た。
【0066】
〔実施例3〕
本実施例では、
図1ないし
図4に示すパンツ型使い捨ておむつに用いられる吸収性コア5を、公知の積繊ドラムを用いて製造した。吸収性コア5は、
図6に示す構成の単層構造体からなるものとした。吸収性コア5の長さは390mm、幅は135mmとした。折曲誘導部は三条形成し、いずれも長さ200mm、幅10mmとした。腹側部Aの端部から、折曲誘導部の端部までの距離は75mmとした。中央折曲誘導部と側部折曲誘導部のとのピッチは26mmとした。股下部Cを含む第1領域41の長さは240mmとし、背側部Bを含む第2領域の長さは100mmとし、腹側部Aを含む第3領域の長さは50mmとした。第1領域41におけるパルプ繊維の坪量は192g/m
2で、吸水性ポリマーの坪量は250g/m
2であった。第2領域42におけるパルプ繊維の坪量は108g/m
2で、吸水性ポリマーの坪量は132g/m
2であった。第3領域43におけるパルプ繊維の坪量は140g/m
2で、吸水性ポリマーの坪量は170g/m
2であった。この構成の吸収性コア5をティッシュペーパーからなる液透過性シート(坪量16g/m
2)で包み、吸収体を得た。
【0067】
〔実施例4〕
本実施例においては、3層構造の部位を有する吸収性コア5を、公知の積繊ドラムを用いて製造した。この吸収性コア5においては、第1領域41が3層構造となっており、第3領域
43が2層構造となっており、第2領域42が単層構造となっていた。具体的には、第1領域41、第2領域42及び第3領域43を含む下層の上に、第1領域41及び第3領域43のみを含む中層を積層し、中層の上に第1領域41のみを含む上層を積層して本実施例の吸収性コア5となした。坪量や寸法は実施例1と同様とした。この吸収性コア5を、実施例1と同様のティッシュペーパーで包んで吸収体を得た。
【0068】
〔比較例1〕
本比較例においては、実施例1と同様の折曲誘導部群を有するが、単一坪量である吸収性コアを製造した。吸収性コアにおけるパルプ繊維の坪量は168g/m
2で、吸水性ポリマーの坪量は216g/m
2であった。この吸収性コアを、実施例1と同様のティッシュペーパーで包んで吸収体を得た。
【0069】
〔比較例2〕
本比較例においては、比較例1において吸収性コアに折曲誘導部群を形成しなかった例である。したがってこの吸収性コアは単純なフラット構造のものである。この吸収性コアを、実施例1と同様のティッシュペーパーで包んで吸収体を得た。
【0070】
〔比較例3〕
本比較例は、実施例3において吸収性コアに折曲誘導部群を形成しなかった例である。この吸収性コアを、実施例1と同様のティッシュペーパーで包んで吸収体を得た。
【0071】
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた吸収体を用いて
図1に示す形態のパンツ型使い捨ておむつを製造した。このおむつについて、液漏れのしにくさ及び股下部の装着圧を以下の方法で測定した。それらの結果を以下の表1に示す。なお、このおむつの表面シートとしては、坪量25g/m
2のエアースルー不織布を用い、裏面シートとしては、坪量18g/m
2のポリエチレンフィルムを用いた。
【0072】
〔液漏れのしにくさ〕
図1に示すおむつを、そのサイドシール部Sの位置で切り裂いて平面状に展開した。角度30°の斜面台に、腹側が下方向になるように表面シートを上側に向けた展開状態のおむつを置いた。人工尿を5g/秒で5分おきに注入し、おむつが液を保持できなくなるまでの回数を測定した。注入位置は、腹側の吸収体の端部から股下側に向けて130mm内側の位置とした。
【0073】
〔股下部の装着圧〕
歩行モデルにおむつを装着し、1分間立ち座り動作を行ったのち、人工尿を5g/秒で合計160g注入した。次いで歩行動作を20秒行った後の踏み出した足(右足)の大腿部の最内側を基準に前40mm、前20mm、後20mm、後40mmの圧を測定し平均した。
【0074】
【表1】
【0075】
表1に示す結果から明らかなとおり、各実施例で得られた吸収体は、液漏れが生じるまでの液の注入回数が多く、液漏れしにくいものであることが判る。また、液を吸収した後であっても装着圧が低く、装着感が良好であることが判る。