(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
古紙パルプ懸濁液を貯留する貯留室を有する貯留槽と、前記貯留室内に貯留する古紙パルプ懸濁液中で気泡を発生させる散気手段とを備え、前記古紙パルプ懸濁液に含まれる印刷成分を前記気泡に付着させ前記気泡とともに浮上させることにより、前記印刷成分と古紙パルプとを分離する、脱墨装置であって、
前記浮上した気泡を掻き寄せる掻き寄せ部材と、鉛直方向に延在して前記掻き寄せ部材を正方向又は逆方向のうち少なくとも何れかの方向に回転させる回転駆動軸とが設けられ、
前記回転駆動軸の軸心は、水平面において前記貯留槽の内方に位置し、
前記貯留槽内には、前記掻き寄せ部材で掻き寄せた気泡が乗越える溢流壁と、前記溢流壁を介して前記貯留室に隣接して設けられ、前記溢流壁を乗越え溢流した気泡を外部に排出するための排出部とが設けられ、
前記排出部は、前記溢流した気泡を落とし込む排出口と、排出口に落とし込まれた気泡を前記排出口から前記貯留槽の外部に導出する排出路とを有し、
前記排出口は、該排出口の少なくとも一部が、前記掻き寄せ部材の回転円の領域内に位置して設けられ、
前記貯留槽内に、該貯留槽の側壁と所定距離だけ離間して設けられ、前記溢流壁に対して所定角度で交差して前記溢流壁に連設され、前記排出部への気泡の溢流を補助する補助壁を備え、
前記補助壁は、前記溢流壁との連設部分から、前記掻き寄せ部材の回転方向上流側に向けて延在している、脱墨装置。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1に基づいて、本発明の古紙再生処理装置の全体構成を説明する。
【0038】
図1は、古紙再生処理装置の構成概略図である。古紙再生処理装置100は、離解装置1、脱墨装置2、抄紙乾燥装置3、仕上げ装置4、廃液処理装置5、白水タンク6を備えるものである。
【0039】
離解装置1は、古紙10を離解して古紙パルプを含む古紙パルプ懸濁液12を製造するものであり、脱墨装置2は、離解装置1において製造された古紙パルプ懸濁液12を脱墨するものであり、抄紙乾燥装置3は、脱墨装置2から供給される脱墨された古紙パルプ懸濁液12を抄紙し得られた湿紙を乾燥させるものであり、仕上げ装置4は、抄紙乾燥装置3において抄紙・乾燥された仕上げ前の再生紙に裁断等の仕上げ処理を行って再生紙11を得るものである。
【0040】
廃液処理装置5は、脱墨装置2における脱墨処理により発生した脱墨廃液を固液分離等することにより廃液処理し、廃液処理することにより生成される処理排水を古紙再生処理装置1の外部に排出するものである。
【0041】
白水タンク6は、抄紙乾燥装置3における抄紙により発生した白水を貯留するものである。
【0042】
また、
図1において、実線の矢印は、古紙から再生紙を得るまでの古紙パルプ成分の流れを示しており、破線の矢印は、脱墨廃液及び処理排水の流れを示しており、一点鎖線の矢印は、白水の流れを示している。
【0043】
また、古紙再生処理装置100は、古紙再生処理装置100の作動を制御する、装置制御部(図示省略)を備えている。
【0044】
<第1実施形態>
図2乃至
図5に基づいて、第1実施形態に係る脱墨装置を説明する。
【0045】
図2は、脱墨装置2を正面側から見た斜視略図であり、
図3は、脱墨装置2を上方から見た平面略図であり、
図4は、脱墨装置2を
図3の矢印IV方向に見た透視側面略図である。脱墨装置2は、古紙パルプ懸濁液12を貯留する貯留室21を有する貯留槽20と、貯留室21内に貯留する古紙パルプ懸濁液12中で気泡13を発生させる散気手段(図示省略)とを備えている。
図2においては、説明の都合上、貯留槽20の正面側の一部を切り欠いて図示している。
【0046】
本実施形態において、貯留槽20は、平面視において円形となる円筒形状をなしている。貯留槽20は、側壁201と、槽底202を有している。
【0047】
脱墨装置2には、古紙パルプ懸濁液12中から浮上した気泡13を掻き寄せる掻き寄せ部材22と、鉛直方向に延在して掻き寄せ部材22を回転させる回転駆動軸23と、回転駆動軸23を駆動する駆動モータ71とが設けられている。
図3では、掻き寄せ部材22の回転円Cを一点鎖線で示している。回転駆動軸23は、駆動モータ71により、正方向である矢印A方向に回転される。回転駆動軸23の軸心は、水平面において貯留槽20の内方に位置している。回転駆動軸23には、
図3に示すように、軸方向に対し直交する方向に突出する、突出片231が取り付けられている。
【0048】
また、脱墨装置2には、掻き寄せ部材22の回転方向における位置を検出する位置検出手段としての検出センサ72が設けられている。検出センサ72は、発光部と、該発光部に対向配置され該発光部が発する光を受光する受光部とを有する、透過型光電センサである。検出センサ72は、上記発光部が発する光を突出片231が遮ることを上記受光部が検出することにより、掻き寄せ部材22の回転方向における位置を検出する。検出センサ72として、本実施形態では上記透過型光電センサを用いたが、上記透過型光電センサに限らず、例えば、反射型光電センサなど、突出片231を検出できる適宜の検出手段を用いることができる。
【0049】
掻き寄せ部材22は、掻き寄せ部材22の回転円Cにおける半径方向に沿って延在している。掻き寄せ部材22は、気泡13を掻き寄せる掻き寄せ板221と、掻き寄せ板221を支持する支持部材222とを有している。掻き寄せ板221は、合成樹脂又はゴム等の可撓性を有する部材により形成されている。また、掻き寄せ板221は、
図2に示すように、貯留槽20の側壁201との間に所定の隙間Sを有するように設けられている。すなわち、
図3に示される回転円Cの直径は、側壁201の直径よりも小さい。支持部材222は、回転円Cにおける半径方向の一端側において、回転駆動軸23に固定されている。支持部材222は、回転駆動軸23の回転に伴い、掻き寄せ板221とともに矢印A方向(正方向)に回転する。
【0050】
貯留槽20内には、掻き寄せ部材22で掻き寄せた気泡13が乗越える溢流壁24と、溢流壁24を介して貯留室21に隣接する排出部25とが設けられている。溢流壁24は、回転円Cにおける半径方向に沿って延在して設けられる。溢流壁24の一端は、側壁201に連設している。掻き寄せ部材22の気泡13を掻き寄せる掻き寄せ面2211と、溢流壁24の掻き寄せ面2211に対する対向面241とは、平面視において略同じ形状を有している。また、溢流壁24を乗越え溢流した気泡13を外部に排出するための排出部25が設けられている。
【0051】
排出部25は、溢流した気泡13を落とし込む排出口251と、側壁201の槽底202近傍に設けられ貯留槽20の外部に連通する連通口252と、排出口251に落とし込まれた気泡13を連通口252まで導通する排出路253とを有している。また、排出口251は、その少なくとも一部が、掻き寄せ部材22の回転円Cの領域内に位置して設けられている。なお、連通口252は、一例として
図2に示すように側壁201に設けられているが、槽底202に設けられても良い。
【0052】
また、貯留槽20内には、貯留室21と排出部25とを仕切る仕切り壁26が設けられている。仕切り壁26の一端は、側壁201に連設している。また、溢流壁24の他端と仕切り壁26の他端とが連設している。すなわち、本実施形態において、貯留室21と排出部25とは、それぞれ溢流壁24と仕切り壁26とにより区画され、排出部25は、平面視において扇状に形成されている。
【0053】
槽底202には、脱墨処理前の古紙パルプ懸濁液12を貯留室21に供給するための供給部27と、脱墨処理後の古紙パルプ懸濁液12を貯留室21から取り出すための取り出し部28とが設けられている。
【0054】
供給部27は、排出部25に対して掻き寄せ部材22の回転方向上流側に設けられている。また、取り出し部28は、排出部25に対して掻き寄せ部材22の回転方向下流側に設けられている。
【0055】
本実施形態では、
図3において、貯留槽20の直径は約350mmに設定されており、排出部25(排出口251)の面積は、貯留室21の面積の1/5に設定されている。すなわち、排出部25(排出路253)の容積は、貯留室21の容積の1/5に設定されている。上記面積(容積)の割合が大きくなれば、大量の気泡13を排出口251及び排出路253に排出しやすくなるが、供給部27から取り出し部28までの距離が短くなり、脱墨される時間が短くなるため、古紙パルプ懸濁液12の脱墨度合は低くなる。逆に、上記面積(容積)の割合が小さくなれば、気泡13が排出路253内に溜り、気泡13を排出しにくくなるが、供給部27から取り出し部28までの距離(古紙パルプ懸濁液12の経路長)が長くなり、脱墨される時間が長くなるため、古紙パルプ懸濁液12の脱墨度合は高くなる。よって、気泡13の排出のしやすさ及び脱墨度合のバランスを考慮して、貯留室21の面積(容積)に対する排出部25の面積(容積)の割合は1/6〜1/1の範囲内で設定して良い。
【0056】
図5に示すように、脱墨装置2は、制御部70を備える。制御部70は、駆動モータ71及び検出センサ72に電気的に接続している。制御部70は、古紙再生処理装置100の装置制御部(図示省略)から入力される信号及び検出センサ72が発信する信号に応じて、駆動モータ71の駆動を制御する。
【0057】
[作動]
本実施形態の古紙再生処理装置及び脱墨装置の作動について説明する。
【0058】
まず、
図1に示すように、古紙10を離解装置1に投入する。離解装置1には、古紙10以外に、水道水供給部(図示省略)から供給する水道水、または白水タンク6に貯留されている白水が、離解用水として供給される。そして、離解装置1において、古紙10と離解用水を攪拌し古紙10を離解することにより、古紙パルプ懸濁液12を製造する。古紙パルプ懸濁液12の製造が完了すると、古紙パルプ懸濁液12の脱墨装置2への移送を開始する。また、古紙パルプ懸濁液12を脱墨装置2に移送する経路中で、古紙パルプ懸濁液12に、水道水供給部(図示省略)から供給する水道水、または白水タンク6に貯留されている白水を、希釈水として供給する。
【0059】
脱墨装置2において、離解装置1から移送される古紙パルプ懸濁液12は、希釈水により所定の濃度に希釈された状態で供給部27から貯留室21に供給され貯留される。貯留室21への古紙パルプ懸濁液12の供給が開始されると、散気手段(図示省略)を作動させて、貯留室21内に貯留する古紙パルプ懸濁液12中で気泡13を発生させる。また、所定量の古紙パルプ懸濁液12が貯留室21に貯留されると、離解装置1からの古紙パルプ懸濁液12の供給を停止する。
【0060】
古紙パルプ懸濁液12に含まれるトナーやインクなどの印刷成分は、古紙パルプ懸濁液12の中で発生させた気泡13付着し、気泡13とともに古紙パルプ懸濁液12の中を浮上する。すなわち、気泡13は、古紙パルプ懸濁液12に含まれる印刷成分と古紙パルプとを分離する。
【0061】
脱墨装置2に古紙パルプ懸濁液12が供給された後、古紙再生処理装置100の装置制御部(図示省略)から入力される信号に応じて、制御部70は所定のタイミングで駆動モータ71を作動させる。駆動モータ71が作動すると、回転駆動軸23が回転する。回転駆動軸23が回転すると、回転駆動軸23に固定されている支持部材222及び掻き寄せ板221が一体的に回転する。すなわち、上記所定のタイミングで掻き寄せ部材22が矢印A方向に回転する。
【0062】
掻き寄せ部材22が回転すると、掻き寄せ板221が、印刷成分が付着して浮上した気泡13を掻き寄せる。掻き寄せられた気泡13は、
図4に示すように、溢流壁24の上端を乗り越え、排出口251に落とし込まれる。すなわち、排出部25に溢流する。排出部25に溢流した気泡13は、排出口251から排出路253通って下方に流れ落ちる。排出路253を流れ落ちた気泡13は、連通口252から貯留槽20の外部に排出される。
【0063】
図3において仮想線で示すように、検出センサ72が突出片231を検出するとき、掻き寄せ部材22が排出部25に対応する位置に位置する。検出センサ72が突出片231を検出すると、検出信号を制御部70に発信する。制御部70は、検出センサ72から検出信号を受信すると、駆動モータ71の駆動を所定時間停止する。駆動モータ71が停止すると、掻き寄せ部材22の回転が停止し、掻き寄せ部材22の回転が停止している間に、掻き寄せ部材22に付着した気泡13は自重により排出部25(排出口251)に落下する。すなわち、位置検出手段としての検出センサ72の検出結果に応じて、掻き寄せ部材22が排出部25に対応する位置に位置するとき、制御部70は、掻き寄せ部材22の回転動作を所定時間停止する。そして、所定時間が経過した後、駆動モータ71の駆動を再開する。
【0064】
ところで、掻き寄せ部材22により排出部25に気泡13を排出し続けると、貯留室21内に貯留される古紙パルプ懸濁液12の量が次第に減少し、古紙パルプ懸濁液12の液面高さが低下する。古紙パルプ懸濁液12の液面高さが所定高さより低い位置まで低下すると、貯留室21内に貯留される古紙パルプ懸濁液12が前記所定量になるまで、離解装置1からの古紙パルプ懸濁液12の供給を再開する。所定量の古紙パルプ懸濁液12が貯留室21に貯留されると、離解装置1からの古紙パルプ懸濁液12の供給を再び停止する。このように、貯留室21内に貯留される古紙パルプ懸濁液12の液面高さを所定範囲内で維持するように、古紙パルプ懸濁液12の供給と停止とが繰り返される。
【0065】
上記した脱墨装置2における、古紙パルプ懸濁液12の供給・停止、気泡13の供給、及び掻き寄せ部材22を回転させて印刷成分が付着した気泡13を排出することを、所定時間繰り返すことにより、古紙パルプ懸濁液12から印刷成分を分離除去し脱墨する。脱墨処理が完了すると、得られた古紙パルプ懸濁液12を、抄紙乾燥装置3に移送する。
【0066】
抄紙乾燥装置3では、脱墨装置2から移送された古紙パルプ懸濁液12を、周回する抄紙メッシュベルト(図示省略)の上に供給し、湿紙を形成する。そして、湿紙は、ヒータ等を有する適当な加熱手段(図示省略)により、所定の含水率になるまで乾燥させられ、乾紙とされる。また、抄紙メッシュベルトの下方に流下した水は、白水タンク6に受水され、白水として貯留される。白水タンク6に貯留された白水は、離解用水または希釈水として利用される。
【0067】
抄紙乾燥装置3において抄紙・乾燥されて得られた乾紙(仕上げ前の再生紙)は、仕上げ装置4に送られ、所定サイズに裁断し、必要に応じてその他の仕上げ処理を施す。仕上がった再生紙11は、仕上げ装置4から排紙され、順次積載される。
【0068】
また、上記脱墨装置2における古紙パルプ懸濁液12の脱墨処理にともない、連通口252から貯留槽20の外部に排出された気泡13は、廃液処理装置5に送られ、適当な凝集剤が添加され、凝集した固形分を廃液から取り除くように固液分離する。分離した固形分は、ゴミとして適宜ゴミ箱等に廃棄され、分離した液体は、排水として古紙再生処理装置1の外部に排出する。
【0069】
[効果]
本実施形態の脱墨装置によれば、次のような効果を発揮できる。
【0070】
(1)掻き寄せ部材22の回転により掻き寄せられて、溢流壁24を乗越え溢流した気泡13を外部に排出するための排出部25が、溢流壁24を介して貯留室21に隣接して設けられ、排出部25の排出口251が、掻き寄せ部材22の回転円Cの領域内に位置して設けられるので、排出部25を通じて気泡13を速やかに排出できる。また、コンパクトに構成できる。したがって、効率よく脱墨することができる。また、脱墨装置2及び古紙再生処理装置100をコンパクトに構成することができる。
【0071】
(2)掻き寄せ部材22が、掻き寄せ部材22の回転円Cにおける半径方向に沿って延在しているので、気泡13は、回転円Cの半径方向の1か所に集まって嵩高くなりすぎることなく、掻き寄せ部材22に沿って回転円Cの半径方向に均等に分布した状態で、排出部25まで掻き寄せられるため、気泡13を掻き寄せ部材22の上方または下方に逃すことなく排出部25に溢流させることができる。したがって、効率よく脱墨することができる。
【0072】
(3)掻き寄せ部材22の気泡13を掻き寄せる掻き寄せ面2211と、溢流壁24の掻き寄せ面2211に対する対向面241とは、平面視において略同じ形状を有しているので、掻き寄せられた気泡13を掻き寄せ部材22の下方に逃すことなく溢流壁24を乗越えさせ排出部25に溢流させることができる。したがって、効率よく脱墨することができる。
【0073】
(4)供給部27は、排出部25に対して掻き寄せ部材22の回転方向上流側に設けられ、取り出し部28が、排出部25に対して掻き寄せ部材22の回転方向下流側に設けられているので、大型化することなく供給部27から取り出し部28までの経路を長くすることができ、古紙パルプ懸濁液12の脱墨度合を高くすることができる。また、取り出し部28に向けて気泡13は掻き寄せられず、脱墨された古紙パルプ懸濁液12に、印刷成分が再び付着することを低減できる。したがって、脱墨装置2及び古紙再生処理装置100をコンパクトに構成することができる。また、効率よく脱墨することができる。
【0074】
(5)掻き寄せ部材22の回転方向における位置を検出する検出センサ72(位置検出手段)を備え、検出センサ72により、掻き寄せ部材22が排出部25に対応する位置に位置するとき、制御部70は掻き寄せ部材22の回転動作を所定時間停止するよう制御するので、回転動作を所定時間停止している間に、掻き寄せ部材22に付着した気泡13を自重により排出口251に落下させ落とし込むことができる。したがって、効率よく脱墨することができる。
【0075】
(6)貯留槽20が、平面視において円形となる円筒形状をなしているので、貯留される古紙パルプ懸濁液12の滞留を抑制することができる。したがって、効率よく脱墨することができる。
【0076】
<第2実施形態>
図6及び
図7に基づいて、第2実施形態に係る脱墨装置について、上記第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。なお、上記第1実施形態と同様な構成の部品及び部分については、同じ符号を付してある。
【0077】
図6は、本実施形態に係る脱墨装置2の斜視略図であり、
図7は、本実施形態に係る脱墨装置2の平面略図である。
【0078】
図7に示すように、掻き寄せ部材22の回転円Cの直径は側壁201の直径に等しく、回転円Cは側壁201に一致している。すなわち、掻き寄せ部材22は、掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向外側端部が、側壁201に対して全周にわたって摺接するように設けられている。また、
図7に示すように、掻き寄せ部材22は、掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向の内側端部が、補助壁29の側壁291に対して全周にわたって摺接するように設けられている。
【0079】
掻き寄せ板221は、貯留槽20の側壁201及び補助壁29の側壁291に摺接した状態で回転し、側壁201及び側壁291に付着した気泡13を周方向に掻き取りながら、気泡13を掻き寄せる。
【0080】
脱墨装置2は、
図6及び
図7に示すように、貯留槽20の中央部に、側壁201と所定距離Lだけ離間して設けられる、補助壁29を備えている。補助壁29は、平面視において、円形の一部を切り取った形状をなしている。
【0081】
溢流壁24は、回転円Cにおける半径方向に沿って延在して設けられる。溢流壁24の一端は、第1実施形態と同様に側壁201に連設している。補助壁29の一端は、溢流壁24の他端と、溢流壁24に対して所定角度で交差して連設されている。補助壁29は、溢流壁24との連設部分から、掻き寄せ部材22の回転方向上流側に向けて延在している。また、仕切り壁26の一端は、第1実施形態と同様に側壁201に連設している。補助壁29の他端は、仕切り壁26の他端と、仕切り壁24に対して所定角度で交差して連設されている。すなわち、本実施形態において、貯留室21と排出部25とは、それぞれ溢流壁24と仕切り壁26と補助壁29とにより区画され、排出部25は、平面視において鍵穴形状に形成されている。
【0082】
補助壁29は、掻き寄せられた気泡13が、溢流壁24に対する掻き寄せ部材22の回転方向上流側において、掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向の内側(
図7において矢印Nで示される方向)に逃げるのを阻止することにより、排出部25への気泡13の溢流を補助する役割を持っている。
【0083】
貯留槽20の槽底202には、連通口252が設けられている。連通口252は、
図7に示すように、平面視において、補助壁29の内周に沿って円形に開口している。
【0084】
また、脱墨装置2は、洗浄液供給部73を備えている。
図6に示すように、洗浄液供給部73は、排出部25の上方に設けられており、供給管731を備えている。供給管731には、適宜の位置に、洗浄液732を排出部25に供給するための供給口(図示省略)が設けられている。また、供給管731は、洗浄液供給経路(図示省略)を介して白水タンク6または水道水供給部(図示省略)に接続されている。したがって、洗浄液供給部73は、白水タンク6から供給する白水または水道水供給部から供給する水道水を、供給管731の供給口を通じて、洗浄液732として排出部25に供給する。
【0085】
排出部25に供給された洗浄液732は、排出部25に溢流した気泡13とともに速やかに排出路253を流下し排出される。この時、洗浄液732は、排出路253に付着した汚れも洗浄する。すなわち、排出部25に供給された洗浄液732によって、排出部25(排出路253)が洗浄されることとなる。
【0086】
制御部70は、第1実施形態と同様に、検出センサ72(位置検出手段)の検出結果に応じて、掻き寄せ部材22が排出部25に対応する位置に位置するとき、掻き寄せ部材22の回転動作を所定時間停止するよう制御している。洗浄液供給部73は、
図7の仮想線で示す、掻き寄せ部材22が排出部25に対応する位置において、掻き寄せ部材22に洗浄液732を供給する。すなわち、掻き寄せ部材22は、排出部25に対応する位置で所定時間停止している間、洗浄液供給部73から供給される洗浄液732により洗浄される。
【0087】
また、掻き寄せ部材22に供給された洗浄液732は、掻き寄せ部材22に付着した気泡13を、排出口251に落とし込む。排出口に落とし込まれた気泡13は、洗浄液732とともに速やかに排出路253を流下し排出される。この時、洗浄液732は、排出路253に付着した汚れも洗浄する。すなわち、掻き寄せ部材22に供給された洗浄液732によって、掻き寄せ部材22と排出部25(排出路253)とが洗浄されることとなる。
【0088】
本実施形態の脱墨装置によれば、次のような効果を発揮できる。
【0089】
(1)掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向の外側端部が、貯留槽20の側壁201に全周にわたって摺接するように設けられているので、古紙パルプ懸濁液12の中を浮上した気泡13が側壁201に付着しても、掻き寄せ板221により周方向に掻き取られて掻き寄せられるため、気泡13を逃すことなく排出部25に溢流させることができる。したがって、効率よく脱墨できる。また、貯留槽20の側壁201の汚れを低減することができる。
【0090】
(2)溢流壁24に対して所定角度で交差して連設される補助壁29が、溢流壁24との連設部分から、掻き寄せ部材22の回転方向上流側に向けて延在するので、掻き寄せられた気泡13が、溢流壁24に対する上記回転方向上流側において、掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向の内側に逃げるのを阻止するため、気泡13を逃すことなく排出部25に溢流させることができる。また、大型化することなく供給部27から取り出し部28までの経路を長くすることができる。したがって、効率よく脱墨できる。また、脱墨装置2及び古紙再生処理装置100をコンパクトに構成することができる。
【0091】
(3)掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向の内側端部が、補助壁29の側壁291に全周にわたって摺接するように設けられているので、古紙パルプ懸濁液12の中を浮上した気泡13が側壁291に付着しても、掻き寄せ板221により周方向に掻き取られて掻き寄せられるため、気泡13を掻き寄せ部材22の回転方向上流側に逃すことなく排出部25に溢流させることができる。したがって、効率よく脱墨できる。また、補助壁29の側壁291の汚れを低減することができる。
【0092】
(4)排出部25に洗浄液732を供給する、洗浄液供給部73が設けられているので、排出部に溢流した気泡13を、洗浄液732とともに速やかに排出路253を流下させ排出することができる。したがって、効率よく脱墨することができる。また、排出部25の汚れを低減することができる。
【0093】
(5)洗浄液供給部73が、排出部25に対応する位置に位置する掻き寄せ部材22に、洗浄液732を供給するので、洗浄液732は、掻き寄せ部材22に付着した気泡13を、排出口251に落とし込み、速やかに排出路253を流下させ排出することができる。また、掻き寄せ部材22が洗浄されるため、掻き寄せ部材22に付着した気泡13が貯留室21に戻ることを防止することができる。したがって、効率よく脱墨することができる。また、掻き寄せ部材22が洗浄されるので、掻き寄せ部材22の汚れを低減することができる。また、排出部25が洗浄されるので、排出部25の汚れを低減することができる。
【0094】
また、第1実施形態に係る脱墨装置と同様の構成により得られる効果は、本実施形態においても第1実施形態と同じである。
【0095】
<第3実施形態>
図8に基づいて、第3実施形態に係る脱墨装置について、上記各実施形態と異なる構成を中心に説明する。なお、上記各実施形態と同様な構成の部品及び部分については、同じ符号を付してある。
【0096】
図8は、本実施形態に係る脱墨装置2の主要部の平面略図である。
図8に示すように、仕切り壁26は、平面視で略コ字型に形成されている。溢流壁24は、掻き寄せ部材22の回転円Cにおける半径方向に沿って延在して設けられる。溢流壁24の一端は、仕切り壁26の一端と連設されており、溢流壁24の他端は、仕切り壁26の他端と連設されている。排出部25は、平面視において扇状に形成されている。
【0097】
また、溢流壁24及び仕切り壁26は、貯留槽20の側壁201との間に所定の隙間を有するように設けられている。
【0098】
図8において仮想線で示される掻き寄せ部材22の回転円Cの直径は、第1実施形態と同様に、側壁201の直径よりも小さい。また、上記した以外の構成については、第1実施形態と同様である。
【0099】
本実施形態の脱墨装置により得られる効果は、第1実施形態の脱墨装置により得られる効果と同様である。
【0100】
<第4実施形態>
図9に基づいて、第4実施形態に係る脱墨装置について、上記各実施形態と異なる構成を中心に説明する。なお、上記各実施形態と同様な構成の部品及び部分については、同じ符号を付してある。
【0101】
図9は、本実施形態に係る脱墨装置2の主要部の平面略図である。
図9に示すように、回転駆動軸23の軸心は、貯留槽20の側壁201の中心から、
図9において上方にずれた位置に設けられている。すなわち、
図9において仮想線で示される掻き寄せ部材22の回転円Cは、側壁201の中心に対して偏心している。
【0102】
また、掻き寄せ部材22は、掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向外側端部が、側壁201の一部に摺接するように設けられている。本実施形態では、
図9に示すように、溢流壁24に対する掻き寄せ部材22の回転方向の上流側において、掻き寄せ板221が側壁201に摺接する。
【0103】
掻き寄せ板221は、貯留槽20の側壁201の一部に摺接して回転し、側壁201の掻き寄せ板221と摺接する部分に付着した気泡13を周方向に掻き取りながら、気泡13を掻き寄せる。
【0104】
溢流壁24は、回転円Cにおける半径方向に沿って延在して設けられる。溢流壁24の一端及び仕切り壁26の一端は、それぞれ貯留槽20の側壁201に連設している。仕切り壁26は、途中で掻き寄せ部材22の回転方向上流側に向けて屈曲している。溢流壁24の他端は、仕切り壁26の他端と連設されている。また、排出部25は、平面視において略扇状に形成されている。
【0105】
本実施形態の脱墨装置によれば、次のような効果を発揮できる。
【0106】
掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向の外側端部が、側壁201の一部に摺接するように設けられているので、古紙パルプ懸濁液12の中を浮上した気泡13が、側壁201の掻き寄せ板221と摺接する部分に付着しても、掻き寄せ板221により周方向に掻き取られて掻き寄せられるため、気泡13を逃すことなく排出部25に溢流させることができる。したがって、効率よく脱墨できる。また、貯留槽20の側壁201の汚れを低減することができる。
【0107】
また、上記各実施形態に係る脱墨装置と同様の構成により得られる効果は、本実施形態においても上記各実施形態と同じである。
【0108】
<第5実施形態>
図10に基づいて、第5実施形態に係る脱墨装置について、上記各実施形態と異なる構成を中心に説明する。なお、上記各実施形態と同様な構成の部品及び部分については、同じ符号を付してある。
【0109】
図10は、本実施形態に係る脱墨装置2の主要部の平面略図である。
図10に示すように、貯留槽20は、平面視において正方形に形成されている。
【0110】
また、掻き寄せ部材22は、掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向外側端部が、側壁201の一部に摺接するように設けられている。本実施形態では、
図10において仮想線で示される掻き寄せ部材22の回転円Cは、側壁201に内接している。すなわち、掻き寄せ板221が側壁201の4か所に摺接する。
【0111】
掻き寄せ板221は、貯留槽20の側壁201の一部に摺接して回転し、側壁201の掻き寄せ板221と摺接する部分に付着した気泡13を周方向に掻き取りながら、気泡13を掻き寄せる。
【0112】
溢流壁24は、回転円Cにおける半径方向に沿って延在して設けられる。溢流壁24の一端及び仕切り壁26の一端は、それぞれ貯留槽20の側壁201に連設している。仕切り壁26は、途中で掻き寄せ部材22の回転方向上流側に向けて屈曲している。溢流壁24の他端は、仕切り壁26の他端と連設されている。また、排出部25は、平面視において矩形状に形成されている。
【0113】
本実施形態の脱墨装置によれば、次のような効果を発揮できる。
【0114】
掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向の外側端部が、側壁201の一部に摺接するように設けられているので、古紙パルプ懸濁液12の中を浮上した気泡13が、側壁201の掻き寄せ板221と摺接する部分に付着しても、掻き寄せ板221により周方向に掻き取られて掻き寄せられるため、気泡13を逃すことなく排出部25に溢流させることができる。したがって、効率よく脱墨できる。また、貯留槽20の側壁201の汚れを低減することができる。
【0115】
また、上記各実施形態に係る脱墨装置と同様の構成により得られる効果は、本実施形態においても上記各実施形態と同じである。
【0116】
<第6実施形態>
図11に基づいて、第6実施形態に係る脱墨装置について、上記各実施形態と異なる構成を中心に説明する。なお、上記各実施形態と同様な構成の部品及び部分については、同じ符号を付してある。
【0117】
図11は、本実施形態に係る脱墨装置2の主要部の平面略図である。
図11に示すように、貯留槽20は、平面視において正八角形に形成されている。
【0118】
また、掻き寄せ部材22は、掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向外側端部が、側壁201の一部に摺接するように設けられている。本実施形態では、
図11において仮想線で示される掻き寄せ部材22の回転円Cは、側壁201に内接している。すなわち、掻き寄せ板221が側壁201の8か所に摺接する。
【0119】
掻き寄せ板221は、貯留槽20の側壁201の一部に摺接して回転し、側壁201の掻き寄せ板221と摺接する部分に付着した気泡13を周方向に掻き取りながら、気泡13を掻き寄せる。
【0120】
溢流壁24は、回転円Cにおける半径方向に延在して設けられる。溢流壁24の一端は、仕切り壁26の一端と連設され、溢流壁24の他端は、仕切り壁26の他端と連設されている。溢流壁24と仕切り壁26とに囲まれる部分が、平面視において楕円形となるように、溢流壁24及び仕切り壁26は、それぞれ湾曲して設けられる。すなわち、排出部25は、平面視において楕円形に形成されている。
【0121】
また、溢流壁24及び仕切り壁26は、貯留槽20の側壁201との間に所定の隙間を有するように設けられている。
【0122】
本実施形態の脱墨装置によれば、次のような効果を発揮できる。
【0123】
掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向の外側端部が、側壁201の一部に摺接するように設けられているので、古紙パルプ懸濁液12の中を浮上した気泡13が、側壁201の掻き寄せ板221と摺接する部分に付着しても、掻き寄せ板221により周方向に掻き取られて掻き寄せられるため、気泡13を逃すことなく排出部25に溢流させることができる。したがって、効率よく脱墨できる。また、貯留槽20の側壁201の汚れを低減することができる。
【0124】
また、上記各実施形態に係る脱墨装置と同様の構成により得られる効果は、本実施形態においても上記各実施形態と同じである。
【0125】
<第7実施形態>
図12に基づいて、第7実施形態に係る脱墨装置について、上記各実施形態と異なる構成を中心に説明する。なお、上記各実施形態と同様な構成の部品及び部分については、同じ符号を付してある。
【0126】
図12は、本実施形態に係る脱墨装置2の主要部の平面略図である。
図12に示すように、脱墨装置2は、貯留槽20の中央部に、側壁201と所定距離の隙間を有して設けられる、補助壁29を備えている。補助壁29は、平面視において、略C字型(半円筒)の形状をなしている。
【0127】
溢流壁24は、掻き寄せ部材22の回転円Cにおける半径方向に沿って延在して設けられる。溢流壁24の一端及び仕切り壁26の一端は、それぞれ貯留槽20の側壁201に連設している。仕切り壁26は、途中で掻き寄せ部材22の回転方向上流側に向けて屈曲している。溢流壁24の他端は、仕切り壁26の他端と連設されている。排出部25は、平面視において略台形状に形成されている。
【0128】
また、補助壁29の一端は、溢流壁24の他端と、溢流壁24に対して所定角度で交差して連設されている。補助壁29は、溢流壁24との連設部分から、掻き寄せ部材22の回転方向上流側に向けて延在している。補助壁29の他端は、貯留室21の内部に位置している。
【0129】
補助壁29は、掻き寄せられた気泡13が、溢流壁24に対する掻き寄せ部材22の回転方向上流側において、掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向の内側(
図12において矢印Nで示される方向)に逃げるのを阻止することにより、排出部25への気泡13の溢流を補助する役割を持っている。
【0130】
掻き寄せ板221は、貯留槽20の側壁201との間に所定の隙間を有するように設けられている。すなわち、
図12において仮想線で示される回転円Cの直径は、側壁201の直径よりも小さい。また、掻き寄せ板221は、補助壁29の側壁291との間に所定の隙間を有するように設けられている。
【0131】
本実施形態の脱墨装置によれば、次のような効果を発揮できる。
【0132】
溢流壁24に対して所定角度で交差して連設される補助壁29が、溢流壁24との連設部分から、掻き寄せ部材22の回転方向上流側に向けて延在するので、掻き寄せられた気泡13が、溢流壁24に対する上記回転方向上流側において、掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向の内側に逃げるのを阻止するため、気泡13を逃すことなく排出部25に溢流させることができる。また、大型化することなく供給部27から取り出し部28までの経路を長くすることができる。したがって、効率よく脱墨できる。また、脱墨装置2及び古紙再生処理装置100をコンパクトに構成することができる。
【0133】
また、上記各実施形態に係る脱墨装置と同様の構成により得られる効果は、本実施形態においても上記各実施形態と同じである。
【0134】
<第8実施形態>
図13に基づいて、第8実施形態に係る脱墨装置について、上記各実施形態と異なる構成を中心に説明する。なお、上記各実施形態と同様な構成の部品及び部分については、同じ符号を付してある。
【0135】
図13は、本実施形態に係る脱墨装置2の主要部の平面略図である。
図13に示すように、掻き寄せ部材22の支持部材222は、掻き寄せ部材22の回転中心と側壁201とを結んだ直線に対して、掻き寄せ部材22の回転方向上流側に凹状となるように湾曲している。また、掻き寄せ板221は、支持部材222に沿って湾曲している。
【0136】
図13に示すように、掻き寄せ部材22の回転円Cの直径は側壁201の直径に等しく、回転円Cは側壁201に一致している。すなわち、掻き寄せ部材22は、掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向外側端部が、貯留槽20の側壁201に対して全周にわたって摺接するように設けられている。
【0137】
掻き寄せ板221は、貯留槽20の側壁201に摺接して回転し、側壁201に付着した気泡13を周方向に掻き取りながら、気泡13を掻き寄せる。
【0138】
溢流壁24は、回転円Cにおける半径方向に延在して設けられる。溢流壁24の、掻き寄せ部材22の気泡13を掻き寄せる掻き寄せ面2211に対する対向面241は、平面視において、掻き寄せ部材22の回転中心と側壁201とを結んだ直線に対して掻き寄せ部材22の回転方向上流側に向けて凸状となるように形成されており、掻き寄せ板221に沿って湾曲している。すなわち、掻き寄せ部材22の掻き寄せ面2211と、溢流壁24の対向面241とは、平面視において略同じ形状を有している。また、溢流壁24の、排出部25に面する排出側面242は、平面視において、掻き寄せ部材22の回転方向上流側の端縁が、回転円Cにおける半径方向に沿って直線状に形成される。
【0139】
溢流壁24の一端及び仕切り壁26の一端は、それぞれ貯留槽20の側壁201に連設している。仕切り壁26は、途中で掻き寄せ部材22の回転方向上流側に向けて屈曲している。溢流壁24の他端は、仕切り壁26の他端と連設されている。排出部25は、平面視において扇形の片側縁部(溢流壁により形成される縁部)が膨らんだ形状に形成されている。
【0140】
本実施形態の脱墨装置によれば、次のような効果を発揮できる。
【0141】
(1)掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向の外側端部が、貯留槽20の側壁201に全周にわたって摺接するように設けられているので、古紙パルプ懸濁液12の中を浮上した気泡13が、側壁201に付着しても、掻き寄せ板221により周方向に掻き取られて掻き寄せられるため、気泡13を逃すことなく排出部25に溢流させることができる。したがって、効率よく脱墨できる。また、貯留槽20の側壁201の汚れを低減することができる。
【0142】
(2)掻き寄せ部材22の気泡13を掻き寄せる掻き寄せ面2211と、溢流壁24の掻き寄せ面2211に対する対向面241とは、平面視において略同じ形状を有しているので、掻き寄せられた気泡13を掻き寄せ部材22の下方に逃すことなく溢流壁24を乗越えさせ排出部25に溢流させることができる。したがって、効率よく脱墨することができる。
【0143】
また、上記各実施形態に係る脱墨装置と同様の構成により得られる効果は、本実施形態においても上記各実施形態と同じである。
【0144】
<第9実施形態>
図14に基づいて、第9実施形態に係る脱墨装置について、上記各実施形態と異なる構成を中心に説明する。なお、上記各実施形態と同様な構成の部品及び部分については、同じ符号を付してある。
【0145】
図14は、本実施形態に係る脱墨装置2の主要部の平面略図である。
図14に示すように、掻き寄せ部材22の支持部材222は、掻き寄せ部材22の回転中心と側壁201とを結んだ直線に対して、掻き寄せ部材22の回転方向上流側に向けて凹状となるように屈曲している。また、掻き寄せ板221は、支持部材222に沿って屈曲している。
【0146】
掻き寄せ部材22の気泡13を掻き寄せる掻き寄せ面2211は、第1掻き寄せ面2212と、第2掻き寄せ面2213と、第3掻き寄せ面2214とを有している。各掻き寄せ面2212,2213,2214は、掻き寄せ部材22の回転円Cにおける半径方向おいて、中心側から、第1掻き寄せ面2212、第2掻き寄せ面2213、第3掻き寄せ面2214の順で連設して設けられる。第1掻き寄せ面2212及び第3掻き寄せ面2214は、平面視において、回転円Cにおける半径方向に対して、それぞれ所定の角度で交差している。また、第2掻き寄せ面2213は、平面視において、回転円Cに対して平行となるように、直線状に形成される。
【0147】
図14に示すように、掻き寄せ部材22の回転円Cの直径は側壁201の直径に等しく、回転円Cは側壁201に一致している。すなわち、掻き寄せ部材22は、掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向外側端部が、貯留槽20の側壁201に対して全周にわたって摺接するように設けられている。
【0148】
掻き寄せ板221は、貯留槽20の側壁201に摺接して回転し、側壁201に付着した気泡13を周方向に掻き取りながら、気泡13を掻き寄せる。
【0149】
溢流壁24の一端及び仕切り壁26の一端は、それぞれ貯留槽20の側壁201に連設している。溢流壁24は、掻き寄せ部材22の回転方向における半径方向に沿って、直線状に形成されている。すなわち、掻き寄せ部材22の気泡13を掻き寄せる掻き寄せ面2211のうち第2掻き寄せ面2213と、溢流壁24の掻き寄せ面2211に対する対向面241とは、平面視において略同じ形状を有している。
【0150】
また、仕切り壁26は、途中で掻き寄せ部材22の回転方向上流側に向けて屈曲している。溢流壁24の他端は、仕切り壁26の他端と連設されている。排出部25は、平面視において略台形状に形成されている。
【0151】
本実施形態の脱墨装置によれば、次のような効果を発揮できる。
【0152】
(1)掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向の外側端部が、貯留槽20の側壁201に全周にわたって摺接するように設けられているので、古紙パルプ懸濁液12の中を浮上した気泡13が、側壁201に付着しても、掻き寄せ板221により周方向に掻き取られて掻き寄せられるため、気泡13を逃すことなく排出部25に溢流させることができる。したがって、効率よく脱墨できる。また、貯留槽20の側壁201の汚れを低減することができる。
【0153】
(2)掻き寄せ部材22の気泡13を掻き寄せる掻き寄せ面2211のうち第2掻き寄せ面2213と、溢流壁24の掻き寄せ面2211に対する対向面241とは、平面視において略同じ形状を有しているので、掻き寄せられた気泡13を掻き寄せ部材22の下方に逃すことなく溢流壁24を乗越えさせ排出部25に溢流させることができる。したがって、効率よく脱墨することができる。
【0154】
また、上記各実施形態に係る脱墨装置と同様の構成により得られる効果は、本実施形態においても上記各実施形態と同じである。
【0155】
<第10実施形態>
図15に基づいて、第10実施形態に係る脱墨装置について、上記各実施形態と異なる構成を中心に説明する。なお、上記各実施形態と同様な構成の部品及び部分については、同じ符号を付してある。
【0156】
図15は、本実施形態に係る脱墨装置2の主要部の平面略図である。
図15に示すように、掻き寄せ部材22の支持部材222は、直線部2221と湾曲部2222とを備えている。直線部2221は、掻き寄せ部材22の回転円Cにおける半径方向内側に位置し、一端が回転駆動軸23に固定されている。湾曲部2222は、回転円Cにおける半径方向外側に位置し、掻き寄せ部材22の回転中心と側壁201とを結んだ直線に対して、掻き寄せ部材22の回転方向下流側に向けて凸状となるように湾曲している。また、掻き寄せ板221は、湾曲部2222に沿って湾曲している。
【0157】
図14に示すように、掻き寄せ部材22の回転円Cの直径は側壁201の直径に等しく、回転円Cは側壁201に一致している。すなわち、掻き寄せ部材22は、掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向の外側端部が、貯留槽20の側壁201に対して全周にわたって摺接するように設けられている。
【0158】
掻き寄せ板221は、貯留槽20の側壁201に摺接して回転し、側壁201に付着した気泡13を周方向に掻き取りながら、気泡13を掻き寄せる。
【0159】
脱墨装置2は、貯留槽20の中央部に、側壁201と所定距離Lだけ離間して設けられる、補助壁29を備えている。補助壁29は、平面視において、円形をなしている。
【0160】
掻き寄せ板221は、掻き寄せ部材22の回転円における半径方向の内側端部が、補助壁29の側壁291に対して全周にわたって摺接するように設けられている。
【0161】
掻き寄せ板221は、補助壁29の側壁291に摺接して回転し、側壁291に付着した気泡13を周方向に掻き取りながら、気泡13を掻き寄せる。
【0162】
溢流壁24は、回転円Cにおける半径方向に延在して設けられる。溢流壁24の、掻き寄せ部材22の気泡13を掻き寄せる掻き寄せ面2211に対する対向面241は、平面視において、掻き寄せ部材22の回転中心と側壁201とを結んだ直線に対して掻き寄せ部材22の回転方向下流側に凹状となるように形成されており、掻き寄せ板221に沿って湾曲している。すなわち、掻き寄せ部材22の掻き寄せ面2211と、溢流壁24の対向面241とは、平面視において略同じ形状を有している。仕切り壁26は、溢流壁24と同様に、掻き寄せ板221に沿って湾曲している。
【0163】
溢流壁24の一端及び仕切り壁26の一端は、それぞれ貯留槽20の側壁201に連設している。溢流壁24の他端及び仕切り壁26の他端は、それぞれ補助壁29の側壁291に連接している。
【0164】
本実施形態の脱墨装置によれば、次のような効果を発揮できる。
【0165】
(1)掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向の外側端部が、貯留槽20の側壁201に全周にわたって摺接するように設けられているので、古紙パルプ懸濁液12の中を浮上した気泡13が、側壁201に付着しても、掻き寄せ板221により周方向に掻き取られて掻き寄せられるため、気泡13を逃すことなく排出部25に溢流させることができる。したがって、効率よく脱墨できる。また、貯留槽20の側壁201の汚れを低減することができる。
【0166】
(2)掻き寄せ板221の回転円Cにおける半径方向の内側端部が、補助壁29の側壁291に全周にわたって摺接するように設けられているので、古紙パルプ懸濁液12の中を浮上した気泡13が側壁291に付着しても、掻き寄せ板221により周方向に掻き取られて掻き寄せられるため、気泡13を逃すことなく排出部25に溢流させることができる。したがって、効率よく脱墨できる。また、補助壁29の側壁291の汚れを低減することができる。
【0167】
(3)掻き寄せ部材22の気泡13を掻き寄せる掻き寄せ面2211と、溢流壁24の掻き寄せ面2211に対する対向面241とは、平面視において略同じ形状を有しているので、掻き寄せられた気泡13を掻き寄せ部材22の下方に逃すことなく溢流壁24を乗越えさせ排出部25に溢流させることができる。したがって、効率よく脱墨することができる。
【0168】
また、上記各実施形態に係る脱墨装置と同様の構成により得られる効果は、本実施形態においても上記各実施形態と同じである。
【0169】
<他の実施形態>
以下に、本発明の他の実施形態について説明する。
【0170】
(1)
図16及び
図17は、他の実施形態に係る脱墨装置2の斜視略図及び脱墨装置2を
図16の矢印XVII方向に見た透視側面略図である。
図16及び
図17に示すように、排出部25における、掻き寄せ部材22の回転方向下流側の端部に、気泡除去部261が設けられている。気泡除去部261は、掻き寄せ部材22(掻き寄せ板221)に接触し掻き寄せ部材22(掻き寄せ板221の気泡を掻き寄せる掻き寄せ面2211)に付着した気泡13を除去する。仕切り壁26の上部は、溢流壁24の上端よりも、高さHだけ、上方に突出している。すなわち、上記仕切り壁26における上部が、気泡除去部261を形成している。本構成によれば、気泡除去部261によって、掻き寄せ部材22(掻き寄せ板221の気泡を掻き寄せる掻き寄せ面2211)に付着した気泡13を除去し、排出口251に落下させ落とし込むことができる。また、掻き寄せ部材22に付着した気泡13が貯留室21に戻ることを防止することができる。したがって、効率よく脱墨することができる。
【0171】
(2)上記各実施形態おいては、排出部25が1個所のみ設けられる構成としたが、複数個所設けられる構成とすることができる。排出部25を複数個所設ける場合、気泡13の排出のしやすさ及び脱墨度合のバランスを考慮して、貯留室21の面積(容積)に対する排出部25の総面積(総容積)の割合は1/6〜1/1の範囲内で設定する。
【0172】
(3)上記第2実施形態を除く各実施形態において、上記第2実施形態と同様に、洗浄液供給部73を備えてもよい。
【0173】
(4)上記各実施形態では、制御部70は、検出センサ72(位置検出手段)の検出結果に応じて、掻き寄せ部材22が排出部25に対応する位置に位置するとき、掻き寄せ部材22の回転動作を所定時間停止するよう制御することとしたが、掻き寄せ部材22が排出部25に対応する位置に位置するとき、掻き寄せ部材22の回転速度を遅くして、低速回転させるよう制御してもよい。この低速回転における掻き寄せ部材22の回転速度は、掻き寄せ部材22が貯留室21に対応する位置において、気泡13を掻き寄せるときの掻き寄せ部材22の回転速度よりも遅い回転速度である。制御部70が、掻き寄せ部材22が排出部25に対応する位置に位置するとき、掻き寄せ部材22の回転速度を遅くして、低速回転させるよう制御する場合でも、掻き寄せ部材22を低速回転している間に、掻き寄せ部材22に付着した気泡13を自重により排出口251に落下させ落とし込むことができる。
【0174】
(5)上記第2実施形態では、制御部70は、検出センサ72(位置検出手段)の検出結果に応じて、掻き寄せ部材22が排出部25に対応する位置に位置するとき、掻き寄せ部材22の回転動作を所定時間停止するよう制御することとしたが、停止させずに連続回転させるよう制御してもよい。制御部70が掻き寄せ部材22を連続回転させるよう制御する場合でも、洗浄液供給部73から供給される洗浄液732により、掻き寄せ部材22に付着した気泡13を、排出口251に落とし込み、速やかに排出路253を流下させ排出することができる。
【0175】
(6)上記第1乃至第3実施形態に示す脱墨装置2のいずれか1つと同じ構成を有する脱墨装置によれば、掻き寄せ部材22の回転方向は、正方向である矢印A方向に限らず、矢印A方向と逆の方向である逆方向に回転させてもよい。掻き寄せ部材22を逆方向に回転させる場合、第1乃至第3実施形態における溢流壁24と仕切り壁26とが入れ替わった構成となる。また、掻き寄せ部材22を、正方向(矢印A方向)と逆方向(矢印A方向と逆の方向)とに交互に回転させてもよい。この場合、第1乃至第3実施形態における溢流壁24は仕切り壁26としての役割を兼ね、仕切り壁26も溢流壁24としての役割を兼ねる。そして、掻き寄せ部材22の回転方向を、掻き寄せ部材22が排出部25に対応する位置で、正方向と逆方向とに交互に切り替える。
【0176】
(7)上記各実施形態において、貯留室21に貯留される古紙パルプ懸濁液12の経路を蛇行させるための経路壁(図示省略)を、貯留室21に1つ以上設けてもよい。経路壁により区画される貯留室21は、経路壁の上方又は下方のいずれかで連通している。古紙パルプ懸濁液12の流動方向に経路壁を複数設ける場合、隣り合う経路壁は、貯留室21が経路壁の上方及び下方で交互に連通するように、高さ方向にずらして配設されている。経路壁を設けることにより、貯留槽20を大型化することなく、古紙パルプ懸濁液12の経路長が長くなり、脱墨する時間が長くなるので、古紙パルプ懸濁液12の脱墨度合を高くすることができる。
【0177】
本発明は、上記各実施形態で説明した構成には限定されず、特許請求の範囲に記載した内容を逸脱することなく、当業者が考え得る各種形態を含むことができる。