特許第6706443号(P6706443)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6706443情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラムおよび情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706443
(24)【登録日】2020年5月20日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラムおよび情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20200601BHJP
【FI】
   G06Q40/08
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-146379(P2017-146379)
(22)【出願日】2017年7月28日
(65)【公開番号】特開2019-28655(P2019-28655A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2019年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】592048110
【氏名又は名称】損害保険ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(74)【代理人】
【識別番号】100198960
【弁理士】
【氏名又は名称】奥住 忍
(72)【発明者】
【氏名】岸本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】水沼 義尚
【審査官】 山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−173887(JP,A)
【文献】 特開2002−297910(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/109061(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0187016(US,A1)
【文献】 特開2015−071318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所有する携帯端末から前記ユーザを識別する識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記携帯端末から位置情報を取得する位置情報取得手段と、
取得した前記位置情報に基づいて、前記ユーザの運転を診断する運転診断手段と、
前記ユーザの保険契約の締結前後の前記運転診断手段による診断結果の変化がある場合、前記診断結果に疑義があると判定する疑義判定手段と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記疑義判定手段は、
前記診断結果を前記保険契約の締結前後で比較する診断結果比較手段をさらに備え、
前記診断結果比較手段により導出された前記変化が所定閾値を超える場合、前記診断結果に疑義があると判定する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記疑義判定手段は、
前記診断結果を得た経路および日時の少なくとも一方を特定する特定手段をさらに備え、
前記経路および前記日時のうち少なくとも一方に変化があった場合、前記診断結果の変化と判定する請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記疑義判定手段は、
前記診断結果を得た経路を前記保険契約の締結前後で比較する経路比較手段をさらに備え、
前記経路比較手段により前記経路の変化が導出された場合、前記診断結果に疑義があると判定する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記疑義判定手段は、
前記診断結果を得た日時を前記保険契約の締結前後で比較する日時比較手段をさらに備え、
前記日時比較手段により前記日時の変化が導出された場合、前記診断結果に疑義があると判定する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記疑義判定手段により疑義があると判定された場合、前記疑義がある旨を所定の報知先に報知する報知手段をさらに備えた請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
識別情報取得部が、ユーザが所持する携帯端末から前記ユーザを識別する識別情報を取得する識別情報取得ステップと、
位置情報取得部が、前記携帯端末から位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
運転診断部が、取得した前記位置情報に基づいて、前記ユーザの運転を診断する運転診断ステップと、
疑義判定部が、前記ユーザの保険契約の締結前後の前記運転診断ステップにおける診断結果に変化がある場合、前記診断結果に疑義があると判定する疑義判定ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項8】
ユーザが所持する携帯端末から前記ユーザを識別する識別情報を取得する識別情報取得ステップと、
前記携帯端末から位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
取得した前記位置情報に基づいて、前記ユーザの運転を診断する運転診断ステップと、
前記ユーザの保険契約の締結前後の前記運転診断ステップにおける診断結果に変化がある場合、前記診断結果に疑義があると判定する疑義判定ステップと、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【請求項9】
ユーザが所持する携帯端末と、
前記携帯端末からユーザを識別する識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記携帯端末から位置情報を取得する位置情報取得手段と、
取得した前記位置情報に基づいて、前記ユーザの運転を診断する運転診断手段と、
前記ユーザの保険契約の締結前後の前記運転診断手段による診断結果の変化がある場合、前記診断結果に疑義があると判定する疑義判定手段と、
を備えた情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラムおよび情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、車両に搭載された車載端末から受信した車両の走行環境およびドライバーの運転状態に基づいて、安全運転レベルを判定し、判定した安全運転レベルに対応する自動車保険料を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−128486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、保険加入者による不正な運転診断による保険加入を効果的に抑制することができなかった。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置は、
ユーザが所有する携帯端末から前記ユーザを識別する識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記携帯端末から位置情報を取得する位置情報取得手段と、
取得した前記位置情報に基づいて、前記ユーザの運転を診断する運転診断手段と、
前記ユーザの保険契約の締結前後の前記運転診断手段による診断結果の変化がある場合、前記診断結果に疑義があると判定する疑義判定手段と、
を備えた。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理方法は、
識別情報取得部が、ユーザが所持する携帯端末から前記ユーザを識別する識別情報を取得する識別情報取得ステップと、
位置情報取得部が、前記携帯端末から位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
運転診断部が、取得した前記位置情報に基づいて、前記ユーザの運転を診断する運転診断ステップと、
疑義判定部が、前記ユーザの保険契約の締結前後の前記運転診断ステップにおける診断結果に変化がある場合、前記診断結果に疑義があると判定する疑義判定ステップと、
を含む。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理プログラムは、
ユーザが所持する携帯端末から前記ユーザを識別する識別情報を取得する識別情報取得ステップと、
前記携帯端末から位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
取得した前記位置情報に基づいて、前記ユーザの運転を診断する運転診断ステップと、
前記ユーザの保険契約の締結前後の前記運転診断ステップにおける診断結果に変化がある場合、前記診断結果に疑義があると判定する疑義判定ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理システムは、
ユーザが所持する携帯端末と、
前記携帯端末からユーザを識別する識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記携帯端末から位置情報を取得する位置情報取得手段と、
取得した前記位置情報に基づいて、前記ユーザの運転を診断する運転診断手段と、
前記ユーザの保険契約の締結前後の前記運転診断手段による診断結果の変化がある場合、前記診断結果に疑義があると判定する疑義判定手段と、
を備えた。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、保険加入者による不正な運転診断による保険加入を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図2A】本発明の第2実施形態に係る情報処理システムの動作の概略を説明する図である。
図2B】本発明の第2実施形態に係る情報処理システムに含まれる携帯端末のディスプレイに表示される利用登録画面の一例を示す図である。
図2C】本発明の第2実施形態に係る情報処理システムに含まれる携帯端末のディスプレイに表示される運転診断画面の一例を示す図である。
図2D】本発明の第2実施形態に係る情報処理システムの契約締結後の動作の概略を説明する図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る情報処理システムに含まれる情報処理装置および携帯端末の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る情報処理システムに含まれる情報処理装置が有する疑義判定テーブルの一例を示す図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る情報処理システムに含まれる情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る情報処理システムに含まれる情報処理装置の処理手順を説明するフローチャートである。
図7】本発明の第3実施形態に係る情報処理システムに含まれる情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る情報処理システムに含まれる情報処理装置が有する経路比較テーブルの一例を示す図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る情報処理システムに含まれる情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る情報処理システムに含まれる情報処理装置の処理手順を説明するフローチャートである。
図11】本発明の第4実施形態に係る情報処理システムに含まれる情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図12】本発明の第4実施形態に係る情報処理システムに含まれる情報処理装置が有する日時比較テーブルの一例を示す図である。
図13】本発明の第4実施形態に係る情報処理システムに含まれる情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図14】本発明の第4実施形態に係る情報処理システムに含まれる情報処理装置の処理手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明記載する。ただし、以下の実施の形態に記載されている、構成、数値、処理の流れ、機能要素などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0013】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての情報処理装置100について、図1を用いて説明する。情報処理装置100は、保険契約の締結前後の運転診断結果の変化に基づいて、運転診断に対する疑義の有無を判定する装置である。
【0014】
図1に示すように、情報処理装置100は、識別情報取得部101と、位置情報取得部102と、運転診断部103と、疑義判定部104と、を含む。
【0015】
識別情報取得部101は、ユーザが所有する携帯端末からユーザを識別する識別情報を取得する。位置情報取得部102は、携帯端末から位置情報を取得する。運転診断部103は、取得した位置情報に基づいて、ユーザの運転を診断する。疑義判定部104は、ユーザの保険契約の締結前後の運転診断部103による診断結果の変化がある場合、診断結果に疑義があると判定する。
【0016】
本実施形態によれば、ユーザによる不正な運転診断による保険加入を効果的に抑制することができる。
【0017】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る情報処理システム200について、図2A乃至図6を用いて説明する。
【0018】
<保険加入の概略>
図2Aは、本実施形態に係る情報処理システムの動作の概略を説明する図である。すなわち、ユーザが運転診断を受けて、保険の契約を締結するまでの一連の流れの概略を説明する図である。
【0019】
情報処理システム200は、情報処理装置210とユーザが所有する携帯端末220とを含む。情報処理装置210は、携帯端末220から位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、ユーザの運転を診断する。運転診断は、例えば、ユーザの運転をスコア化するなどして行われる。そして、ユーザは、保険加入時に、取得したスコアに応じた保険料の割引サービスを受けることができる。
【0020】
携帯端末220は、GPS(Global Positioning System)により計測した位置情報を情報処理装置210へと送信する。また、携帯端末220は、例えば、スマートフォンやタブレット端末、ウェアラブル端末などであるが、ユーザが携帯可能な端末であれば、これらには限定されない。
【0021】
次に、情報処理システム200における、処理の流れを説明する。ステップS201において、情報処理システム200の情報処理装置210は、ユーザからの運転診断用アプリケーションのダウンロード要求に応じて、ユーザが所有する携帯端末220に対して、運転診断用アプリケーションを提供する。そして、携帯端末220に運転診断用アプリケーションをダウンロードしたユーザは、運転診断用アプリケーションをインストールして、ユーザ登録や初期設定などを行う。
【0022】
なお、この運転診断用アプリケーションは、ナビゲーション用アプリケーションの一機能として実装してもよいし、また、これとは反対に、運転診断用アプリケーションの一機能としてナビゲーション用アプリケーションを実装してもよい。
【0023】
ステップS203において、ユーザは、自身の運転がどの程度安全かをチェックするために、運転診断用アプリケーションを起動して、運転診断の開始ボタンをタップする。運転診断開始ボタンがタップされたら、情報処理装置210は、ユーザに対して運転診断を受ける上での注意事項や免責事項を記載した画面を表示し、ユーザが注意事項などの同意確認ボタンをタップすれば、運転診断を開始する。
【0024】
そして、情報処理装置210は、ユーザの一定期間の位置情報から、一定期間の走行データを生成して、この期間におけるユーザの運転を診断し、運転診断スコアを算出する。走行データは、例えば、加速、減速、右折、左折、発進、停止などの自動車の走行に関するデータであり、携帯端末220から取得した位置情報に基づいて生成される。情報処理装置210は、生成した走行データに基づいて、ユーザの運転を診断して、診断結果をスコア化する。スコアは、ユーザが、急発進や急ブレーキなどの危険な運転をしなければ、よりよいスコアが出るようになっている。
【0025】
ステップS205において、情報処理装置210は、算出したスコアに応じた保険料の割引率を算出して、確定する。確定した割引率は、運転診断を受けたユーザに提供される。ステップS207において、ユーザは、確定した割引率を使って、保険に加入する。
【0026】
図2Bは、本実施形態に係る情報処理システム200に含まれる携帯端末220のディスプレイ221に表示される利用登録画面の一例を示す図である。
【0027】
図2Bの左側に示されるように、ディスプレイ221には、運転診断用アプリケーションの初期画面が表示される。そして、ユーザが、ディスプレイ221の上部に表示された「会員登録」アイコンをタップすると、ディスプレイ221の表示画面が図2Bの右側に示した表示画面に遷移する。
【0028】
既に会員登録しているユーザは、図2Bの右側に示された表示画面の上部に示された、ログイン用画面222を用いてシステムにログインする。具体的には、ユーザは、メールアドレスおよびパスワードを入力して、システムにログインする。
【0029】
このシステムを初めて利用するユーザ(未登録ユーザ)は、図2Bの右側に示された表示画面の下部の利用登録用画面223を用いて利用登録を行う。利用登録が完了したら、ユーザは、ログイン用画面222を用いてシステムにログインする。
【0030】
図2Cは、本実施形態に係る情報処理システム200に含まれる携帯端末220のディスプレイ221に表示される運転診断画面の一例を示す図である。図2Cの左上には運転診断画面224が、図2Cの右上には運転診断結果表示画面225が、図2Cの下部には割引スコア表示画面226がそれぞれ表示されている。
【0031】
運転診断画面224には、運転診断開始ボタンが表示されており、ユーザが運転診断開始ボタンをタップすると運転診断が開始される。ユーザは、自身が所有する車やレンタカー、カーシェア用の車、家族の車、社有車などで運転診断を受ける。そして、例えば、10時間以上かつ5日以上走行した場合に、情報処理装置210は、運転診断を行う。運転診断の結果は、運転診断結果表示画面225に表示される。そして、情報処理装置210は、運転診断に基づく、割引スコアを算出し、算出した割引スコア(割引率)は割引スコア表示画面226に表示される。ユーザは、この割引スコアを用いて、保険契約を締結する。なお、ユーザは、運転診断実行中に、ナビゲーションが必要な場合には、音声案内などのルート案内を受けることもできる。以上、ユーザが運転診断を受けて、保険の契約を締結するまでの一連の流れの概略を説明した。
【0032】
<不正加入の排除>
しかしながら、全てのユーザが、正当な手段により運転診断を受け、運転診断のスコアを取得するとは限らない。つまり、一部のユーザは、より有利な割引率、すなわち、安価な保険料で保険契約を締結するために、不正の手段を用いて、よりよい運転診断結果(よりよいスコア)を取得しようとする。例えば、ユーザが自動車の助手席などに座り、ユーザよりも運転の上手い他人に運転させている状態で運転診断を受けたり、ユーザがタクシーやバスなどに乗車中に運転診断を受けたりするような場合である。
【0033】
このような、不正の手段を用いた保険契約を防止するために、情報処理システム200は、保険に加入しようとするユーザが、本当に自身の運転について運転診断を受けているか否かを確認する。つまり、ユーザが虚偽の運転データを用いて運転診断を受けようとする場合、情報処理システム200は、そのような運転データを運転診断の対象から排除する。
【0034】
このようなケースとしては、例えば、ユーザが、自身よりも運転の上手な他人を運転席に座らせて、自動車を運転させ、ユーザ自身は助手席に座り、運転診断アプリケーションを実行しているような場合があげられる。
【0035】
上述のケースに対処するため、情報処理装置210は、ユーザが自動車などで移動中に携帯端末220で実行したアプリケーションの情報を取得する。そして、情報処理装置210は、取得したアプリケーション情報からユーザが実行しているアプリケーションが、運転診断用アプリケーションを示さないような場合に、携帯端末220から取得した位置情報を運転診断から排除する。ユーザ自身が運転席に座って、自動車を運転している場合、ユーザは運転に集中しなければならず、携帯端末220を操作するシチュエーションは、ナビゲーション機能(ナビゲーション用アプリケーション)を操作する場合などに限られてくる。
【0036】
そのため、ユーザが携帯端末220を操作して、運転診断用アプリケーション以外のアプリケーションを実行している場合などには、ユーザが運転席ではなく、助手席などに座り、他人の運転で運転診断用アプリケーションを実行して、運転診断を受けていると判断できる。
【0037】
このように、ユーザが自身の運転ではなく、他人の運転による不正な手段で運転診断を受けようとする場合、ユーザは、運転する必要がないので、携帯端末220を操作して、運転診断用アプリケーション以外のアプリケーション(他のアプリケーション)をアクティブにすることが想定される。そして、ユーザが、他のアプリケーションをアクティブにすると、つまり、他のアプリケーションを携帯端末220のディスプレイ221の表に持ってくると、運転診断用アプリケーションは他のアプリケーションの裏側に隠れてしまう。
【0038】
このように、他のアプリケーションをアクティブにして表側にもってくると、運転診断用アプリケーションは非アクティブとなり裏側に隠れる。よって、情報処理装置210は、ユーザが運転診断用アプリケーションを表裏(アクティブまたは非アクティブ)にした回数をカウントし、カウントした回数に応じて、ユーザの不正行為を認定する。
【0039】
アプリケーションを非アクティブにするとは、例えば、携帯端末220のディスプレイ221に当該アプリケーションは表示されていないが、バックグラウンドで当該アプリケーションが動いている状態をいう。すなわち、画面上では、他のアプリケーションが動いているように見えるが、裏で当該アプリケーションが動いている状態をいう。
【0040】
情報処理装置210は、ユーザが運転診断用アプリケーションをアクティブまたは非アクティブにした回数が、例えば、所定の回数以上の場合、携帯端末220から取得した位置情報を運転診断の対象から排除することにより、運転診断の正当性を担保する。
【0041】
また、例えば、情報処理装置210は、ユーザが、所定時間内に所定回数以上、運転診断用アプリケーションをアクティブまたは非アクティブにした場合、携帯端末220から取得した位置情報を運転診断の対象から排除する。
【0042】
さらに、例えば、情報処理装置210は、ユーザが、所定時間以上、他のアプリケーションをアクティブにした場合も同様に、携帯端末220から取得した位置情報を運転診断の対象から排除する。
【0043】
このように、ユーザが、正当な手段で運転診断を受けていないことが疑われる事象が発生した場合、情報処理装置210は、当該事象に対応する、携帯端末220から取得した位置情報を運転診断の対象から排除する。これにより、ユーザによる不正な手段により運転診断を受けることを防止することができる。
【0044】
<保険契約締結後のモニタリング>
図2Dは、本実施形態に係る情報処理システム200の契約締結前後の動作の概略を説明する図である。
【0045】
上述のように、情報処理システム200は、保険契約の締結前において、ユーザが不正の手段により得た運転診断結果を用いて契約を締結することができないような仕組みを備えている。しかしながら、現実には、このような仕組みをすり抜けて契約締結にこぎ着けるユーザがいないとも限らない。例えば、運転経験の浅いユーザが、より安い保険料で保険契約を締結するために、自身よりも運転経験の豊富な他人を身代わりとして運転診断を受けさせ、他人が受けた診断結果を自身の診断結果として保険契約を締結するような場合である。
【0046】
このようなケースに対応できるように、情報処理装置210は、契約締結後(事後的)にもユーザの運転を監視(モニタリング)し、契約締結の前後における、ユーザの運転診断結果に変化がないかをチェックする。つまり、このような場合、契約締結前後で運転診断結果、例えば、スコアが低下するというような変化がみられるはずである。情報処理装置210は、運転診断結果に所定の変化が見られれば、契約に疑義があると判断し、例えば、保険の販売を担当した代理店の担当者などに報知する。
【0047】
疑義の報知を受けた担当者は、ユーザの利用実態を調査し、調査結果を保険会社などに報告する。調査の結果、疑義が解消できれば、そのまま契約を続行する。また、疑義が解消できなければ、契約解除や、適用した割引を取り消して差額の支払い、再度の運転診断の実行などをユーザに求める。
【0048】
ここで、疑義とは、例えば、以下のようなケースが該当する。例えば、(1)契約締結後に大幅に運転診断のスコアが下がったケース、(2)契約締結後に運転診断用アプリケーションの利用を止めたケース、が該当する。情報処理装置210は、このようなケースでは、契約に疑義があると判断し、その旨を代理店(保険契約を行った)に通知する。通知を受けた代理店は、ユーザの利用実態を調査し、調査結果を保険会社などに報告する。
【0049】
以下、情報処理システム200の動作の流れを具体的に説明する。ステップS209において、情報処理装置210は、運転診断を受けた結果を運転診断用アプリケーションデータベースに登録する。ステップS211において、ユーザは、登録した診断結果(スコア)を用いて保険契約を締結する。締結した内容は、契約データベースに登録される。ステップS213において、情報処理装置210は、運転診断結果に変化が生じているかをチェックする。運転診断結果に所定の変化が生じていると認められ、疑義があると判断した場合、情報処理装置210は、代理店にその旨を報知する。
【0050】
図3は、本実施形態に係る情報処理システム200に含まれる情報処理装置210および携帯端末の構成を示すブロック図である。情報処理システム200は、情報処理装置210と携帯端末220とを含む。情報処理装置210はと携帯端末220とは、無線通信または有線通信により相互に通信可能となっている。
【0051】
情報処理装置210は、識別情報取得部311、位置情報取得部312、運転診断部313、疑義判定部314および報知部315を有する。そして、疑義判定部314は、さらに、診断結果比較部341を有する。
【0052】
識別情報取得部311は、ユーザを識別するための識別情報を取得する。識別情報の取得は、例えば、ユーザが、携帯端末220を操作して入力したデータを、携帯端末220から取得してもよい。また、識別情報の取得は、あらかじめデータベースなどに登録されたデータから取得してもよい。ここで、識別情報は、例えば、ユーザごとに割り当てられたユーザ番号などの識別子(ID:Identifier)である。識別情報は、例えば、ユーザの氏名や運転免許証番号などが代表的であるが、ユーザを識別できる情報であれば、これらの情報には限定されない。
【0053】
位置情報取得部312は、ユーザが所有する携帯端末220の位置情報を、携帯端末220が有するGPSから位置情報を取得する。位置情報の取得は、所定のタイミングで一定期間の位置情報を取得してもよいし、リアルタイムで取得してもよい。取得する位置情報は、ユーザの運転の診断に必要な所定の期間の位置情報である。
【0054】
運転診断部313は、取得した所定の期間の位置情報に基づいて、ユーザの運転を診断する。運転の診断は、ユーザの運転操作を推定し、推定された運転操作に基づいて行われる。運転操作の推定は、例えば、取得した位置情報の時間変化などからユーザがどのような運転操作を行ったかを推定することにより行われる。推定する運転操作は、例えば、発進時および停止時の操作や、加速および減速の操作、右折および左折の操作などであるが、これらには限定されない。そして、運転診断部313による診断結果は、スコア化して、数値で表現してもよいし、ランクで表現してもよいが、これらには限定されない。
【0055】
疑義判定部314は、保険契約の締結前後で、運転診断部313による診断結果に変化がある場合、診断結果に疑義があると判定する。例えば、疑義判定部314は、契約締結前後で運転診断結果が悪い方向に変化した場合、つまり、運転診断のスコアが低下した場合、疑義があると判定する。また、同じユーザでも、運転診断結果には一定の変動があり、この変動の仕方が異なっているような場合にも、疑義判定部314は、疑義があると判定してもよい。
【0056】
診断結果比較部341は、保険契約の締結前後で運転診断結果、例えば、運転診断のスコアを比較して、変化を導出する。そして、疑義判定部314は、診断結果比較部341により導出された変化が所定閾値を超える場合、疑義があると判定する。
【0057】
報知部315は、疑義判定部314により疑義があると判定された場合、疑義がある旨を所定の報知先に報知する。報知先は、例えば、保険契約の窓口となった保険代理店や、保険会社などであるが、これには限定されない。
【0058】
次に、携帯端末220は、位置情報計測部321および位置情報送信部322を有する。位置情報計測部321は、GPSシステムなどの位置を計測するシステムであり、携帯端末220の位置を計測する。なお、携帯端末220の位置の計測は、GPSシステムを用いる方法には限定されず、例えば、ビーコンやWiFiなどの電波を利用した方法により携帯端末220の位置を計測してもよい。さらに、携帯端末220に内蔵されている加速度センサや磁気センサなどを用いて携帯端末220の位置を計測してもよいが、これらのセンサは、個体差が大きいため、位置計測の精度がGPSシステムと比べて低くなることもある。
【0059】
位置情報送信部322は、位置情報計測部321で計測した携帯端末220の位置情報を情報処理装置210へ送信する。情報処理装置210への位置情報の送信は、リアルタイムで送信してもよいし、蓄積された一定期間の位置情報のデータを所定のタイミングで送信してもよく、これらには限定されない。
【0060】
なお、図示していないが、携帯端末220は、携帯端末220で実行したアプリケーションに関する情報を情報処理装置210のアプリケーション情報取得部314に対して送信するアプリケーション情報送信部を有していてもよい。
【0061】
図4は、本実施形態に係る情報処理システム200に含まれる情報処理装置210が有する疑義判定テーブル401の一例を示す図である。疑義判定テーブル401は、ユーザID411に関連付けて、端末ID412、位置情報413、診断結果414および変化415を記憶する。
【0062】
ユーザID411は、ユーザを識別するための識別子である。端末IDは、ユーザの所有するスマートフォンなどの携帯端末220を識別するための識別子である。位置情報413は、ユーザの所有する携帯端末220から取得した位置に関する情報である。診断結果414は、ユーザの運転を診断した結果であり、契約締結前後の診断結果を含む。変化415は、契約締結前後の運転診断の結果に変化があるか否かを示す。そして、情報処理装置210は、疑義判定テーブル401を参照して、保険契約に疑義があるか否かを判定する。
【0063】
図5は、本実施形態に係る情報処理システム200に含まれる情報処理装置210のハードウェア構成を示す図である。CPU(Central Processing Unit)510は演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで図3の情報処理装置210の機能構成部を実現する。ROM(Read Only Memory)520は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびその他のプログラムを記憶する。また、ネットワークインタフェース530は、ネットワークを介して他の装置などと通信する。なお、CPU510は1つに限定されず、複数のCPUであっても、あるいは画像処理用のGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。また、ネットワークインタフェース530は、CPU510とは独立したCPUを有して、RAM(Random Access Memory)540の領域に送受信データを書き込みあるいは読み出しするのが望ましい。また、RAM540とストレージ550との間でデータを転送するDMAC(Direct Memory Access Controller)を設けるのが望ましい(図示なし)。さらに、入出力インタフェース560は、CPU510とは独立したCPUを有して、RAM540の領域に入出力データを書き込みあるいは読み出しするのが望ましい。したがって、CPU510は、RAM540にデータが受信あるいは転送されたことを認識してデータを処理する。また、CPU510は、処理結果をRAM540に準備し、後の送信あるいは転送はネットワークインタフェース530やDMAC、あるいは入出力インタフェース560に任せる。
【0064】
RAM540は、CPU510が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM540には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。識別情報541は、ユーザを識別するための情報である。位置情報542は、携帯端末220から取得した位置に関する情報である。診断結果543は、ユーザの運転を診断した結果である。変化544は、ユーザの保険契約締結前後の運転診断結果の変化である。端末ID545は、ユーザの所有するスマートフォンなどの携帯端末220を識別する情報である。これらの情報は、例えば、疑義判定テーブル401から展開される。
【0065】
入出力データ546は、入出力インタフェース560を介して入出力されるデータである。送受信データ547は、ネットワークインタフェース530を介して送受信されるデータである。また、RAM540は、各種アプリケーションモジュールを実行するためのアプリケーション実行領域548を有する。
【0066】
ストレージ550には、データベースや各種のパラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ550は、疑義判定テーブル401を格納する。疑義判定テーブル401は、図4に示した、ユーザID411と変化415などとの関係を管理するテーブルである。ストレージ550は、さらに、識別情報取得モジュール551、位置情報取得モジュール552、運転診断モジュール553、疑義判定モジュール554および診断結果比較モジュール555を格納する。
【0067】
識別情報取得モジュール551は、ユーザを識別する情報を取得するモジュールである。位置情報取得モジュール552は、ユーザが所持する携帯端末220の位置情報を取得するモジュールである。運転診断モジュール553は、取得した位置情報の時間変化などに基づいて、ユーザの運転を診断するモジュールである。疑義判定モジュール554は、ユーザの保険契約の締結前後の運転診断部313による診断結果の変化がある場合、診断結果に疑義があると判定するモジュールである。診断結果比較モジュール555は、診断結果を保険契約の締結前後で比較するモジュールである。これらのモジュール551〜555は、CPU510によりRAM540のアプリケーション実行領域548に読み出され、実行される。制御プログラム556は、情報処理装置210の全体を制御するためのプログラムである。
【0068】
入出力インタフェース560は、入出力機器との入出力データをインタフェースする。入出力インタフェース560には、表示部561、操作部562、が接続される。また、入出力インタフェース560には、さらに、記憶媒体564が接続されてもよい。さらに、音声出力部であるスピーカ563や、音声入力部であるマイク、あるいは、GPS位置判定部が接続されてもよい。なお、図5に示したRAM540やストレージ550には、情報処理装置210が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関するプログラムやデータは図示されていない。
【0069】
図6は、本実施形態に係る情報処理システム200に含まれる情報処理装置210の処理手順を説明するフローチャートである。このフローチャートは、CPU510がRAM540を使用して実行し、図3の情報処理装置210の機能構成部を実現する。
【0070】
ステップS601において、情報処理装置210は、ユーザを識別する識別情報を取得する。情報処理装置210は、例えば、ユーザが所有する携帯端末220を用いて入力した識別情報を取得する。識別情報は、例えば、ユーザの氏名や免許証番号などである。
【0071】
ステップS603において、情報処理装置210は、ユーザの所有する携帯端末220から位置情報を取得する。情報処理装置210は、ユーザの運転の診断が可能な期間、例えば、ユーザが運転診断を開始してから所定の期間の位置情報を取得する。
【0072】
ステップS605において、情報処理装置210は、ユーザの運転を診断する。運転診断は、例えば、取得した位置情報の時間変化などに基づいて、ユーザの運転操作を推定する。推定する運転操作は、例えば、加速時および減速時の運転操作、発進時および停止時の運転操作、右折時および左折時の運転操作などである。そして、情報処理装置210は、推定した運転操作に基づいて、ユーザの運転を診断する。
【0073】
ステップS607において、情報処理装置210は、ユーザが保険契約を締結したか否かを判断する。ユーザが、まだ、保険契約を締結していない場合(ステップS607のNO)、情報処理装置210は、ステップS601へ戻る。ユーザが保険契約を締結している場合(ステップS607のYES)、情報処理装置210は、ステップS609へ進む。
【0074】
ステップS609において、情報処理装置210は、ユーザの保険契約の締結前後における運転診断の結果を比較する。
【0075】
ステップS611において、情報処理装置210は、比較の結果、診断結果の変化が所定の閾値を超えるか否かを判断する。診断結果の変化が所定の閾値を超えない場合(ステップS611のNO)、情報処理装置210は、ステップS601へ戻る。診断結果の変化が所定の閾値を超える場合(ステップS611のYES)、情報処理装置210は、ステップS613へ進む。
【0076】
ステップS613において、情報処理装置210は、診断結果に疑義がある旨の判定を行う。ステップS615において、情報処理装置210は、保険契約に疑義がある旨を所定の報知先に報知する。
【0077】
本実施形態によれば、ユーザによる不正な運転診断による保険加入を効果的に抑制することができる。また、保険契約締結前後の運転診断結果を比較し、運転診断結果に所定の変化がある場合、診断結果に疑義があると判定するので、容易にユーザの不正を発見でき、契約見直しの契機とすることもできる。
【0078】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態に係る情報処理システム700について、図7乃至10を用いて説明する。図7は、本実施形態に係る情報処理システムの構成を説明するための図である。本実施形態に係る情報処理システム700は、上記第2実施形態と比べると、疑義判定部が特定部を有する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0079】
情報処理システム700は、情報処理装置710および携帯端末220を含む。情報処理装置710は、疑義判定部714を有し、疑義判定部714は、さらに、特定部741および経路比較部742を有する。特定部741は、ユーザが診断結果を得た経路および日時の少なくとも一方を特定する。特定部741は、位置情報取得部312が取得した位置情報から、ユーザが実際に移動した経路や、その時の日時などを特定する。ここで、経路は、ユーザが自動車などで移動した移動経路や走行した走行経路を含む。
【0080】
そして、特定部741は、経路や日時を複数特定する。これにより、特定部741は、ユーザが自動車を利用する場合の利用パターン(利用傾向)を特定することができる。つまり、特定部741は、ユーザが土日祝日にしか運転しない、いわゆるサンデードライバーなのか、平日しか運転しないドライバーなのか、を特定したり、普段よく使う道路などを特定したりすることができる。
【0081】
例えば、ユーザが平日しか運転しない場合、当該ユーザは通勤で自動車を使用しているものと推定でき、この場合、移動経路にはほぼ変化がないことが予想できる。また、例えば、いわゆるサンデードライバーの場合、ドライブ目的で運転していることが予想でき、様々な移動経路を移動することが予測できる。
【0082】
そして、経路比較部742は、特定部741が特定した経路を保険契約の締結前後で比較する。そして、疑義判定部714は、比較の結果、経路に変化があった場合、つまり、ユーザの運転パターンが保険契約の締結前後で変化している場合、保険契約に疑義があると判定する。
【0083】
図8は、本実施形態に係る情報処理システム700に含まれる情報処理装置710が有する経路比較テーブル801の一例を示す図である。経路比較テーブル801は、ユーザID411に関連付けて、経路811などを記憶する。経路811は、取得した位置情報から導出した、ユーザが自動車で移動した移動経路や走行した走行経路である。そして、情報処理装置210は、経路比較テーブル801を参照して、保険契約の締結前後で経路に変化があるか否かを判定する。
【0084】
図9は、本実施形態に係る情報処理システム700に含まれる情報処理装置710のハードウェア構成を示す図である。RAM940は、CPU510が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM940には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。経路941は、取得した位置情報から特定された、診断結果を得たユーザの移動経路や走行経路などである。この情報は、例えば、経路比較テーブル801から展開される。
【0085】
ストレージ950には、データベースや各種のパラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ950は、経路比較テーブル801を格納する。経路比較テーブル801は、図8に示した、ユーザID411と経路811などとの関係を管理するテーブルである。ストレージ950は、さらに、特定モジュール951および経路比較モジュール952を格納する。
【0086】
特定モジュール951は、ユーザの運転を診断した診断結果を得た経路および日時の少なくとも一方を特定するモジュールである。経路比較モジュール952は、特定した経路を保険契約の締結前後で比較し、変化を導出するモジュールである。これらのモジュール951〜952は、CPU510によりRAM940のアプリケーション実行領域548に読み出され、実行される。
【0087】
図10は、本実施形態に係る情報処理システム700に含まれる情報処理装置710の処理手順を説明するフローチャートである。このフローチャートは、CPU510がRAM940を使用して実行し、図7の情報処理装置710の機能構成部を実現する。
【0088】
ステップS1001において、情報処理装置710は、取得した位置情報に基づいて、診断結果を得た経路および日時を特定する。ステップS1003において、情報処理装置710は、経路を保険契約の締結前後で比較する。そして、ステップS1005において、情報処理装置710は、経路に変化があれば疑義判定を行う。
【0089】
本実施形態によれば、診断結果の変化ではなく、診断結果を得た経路の変化に基づいて、疑義判定を行うので、精度よく保険契約の疑義を判定できる。
【0090】
[第4実施形態]
次に本発明の第4実施形態に係る情報処理システム1100について、図11乃至図14を用いて説明する。図11は、本実施形態に係る情報処理システムの構成を説明するための図である。本実施形態に係る情報処理システム1100は、上記第2実施形態および第3実施形態と比べると、疑義判定部が日時比較部を有する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態および第3実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0091】
情報処理システム1100は、情報処理装置1110および携帯端末220を含む。情報処理装置1110は、疑義判定部1114を有し、疑義判定部1114は、日時比較部1141を有する。
【0092】
日時比較部1141は、特定部741が特定した日時を、保険契約の締結前後で比較する。そして、疑義判定部1114は、日時比較部1141により日時の変化が導出された場合、診断結果に疑義があると判定する。
【0093】
図12は、本実施形態に係る情報処理システム1100に含まれる情報処理装置1110が有する日時比較テーブル1201の一例を示す図である。日時比較テーブル1201は、ユーザID411に関連付けて、日時1211などを記憶する。日時1211は、取得した位置情報から導出した、ユーザが自動車で移動した日時や走行した日時である。
【0094】
図13は、本実施形態に係る情報処理システム1100に含まれる情報処理装置1110のハードウェア構成を示す図である。RAM1340は、CPU510が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM1340には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。日時1341は、取得した位置情報から特定された、診断結果を得た日時である。この情報は、例えば、日時比較テーブル1201から展開される。
【0095】
ストレージ1350には、データベースや各種のパラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ1350は、日時比較テーブル1201を格納する。日時比較テーブル1201は、図12に示した、ユーザID411と日時1211などとの関係を管理するテーブルである。ストレージ1350は、さらに、日時比較モジュール1351を格納する。
【0096】
日時比較モジュール1351は、特定した日時を保険契約の締結前後で比較し、変化を導出するモジュールである。このモジュール1351は、CPU510によりRAM1340のアプリケーション実行領域548に読み出され、実行される。
【0097】
図14は、本実施形態に係る情報処理システム1100に含まれる情報処理装置1110の処理手順を説明するフローチャートである。このフローチャートは、CPU510がRAM1340を使用して実行し、図11の情報処理装置1110の機能構成部を実現する。ステップS1401において、情報処理装置1110は、診断結果を得た日時を保険契約の締結前後で比較する。
【0098】
本実施形態によれば、診断結果の変化ではなく、診断結果を得た日時の変化に基づいて、疑義判定を行うので、精度よく保険契約の疑義を判定できる。
【0099】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0100】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14