特許第6706446号(P6706446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本エア・リキード株式会社の特許一覧

特許6706446排水分離装置およびドレン分離排出システム
<>
  • 特許6706446-排水分離装置およびドレン分離排出システム 図000002
  • 特許6706446-排水分離装置およびドレン分離排出システム 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706446
(24)【登録日】2020年5月20日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】排水分離装置およびドレン分離排出システム
(51)【国際特許分類】
   F16T 1/00 20060101AFI20200601BHJP
   F16T 1/48 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   F16T1/00 F
   F16T1/48 B
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-228337(P2016-228337)
(22)【出願日】2016年11月24日
(65)【公開番号】特開2018-84298(P2018-84298A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109428
【氏名又は名称】日本エア・リキード合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 吉宏
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−009598(JP,U)
【文献】 特開2016−033443(JP,A)
【文献】 特開2002−156094(JP,A)
【文献】 実開平07−010698(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16T 1/00− 1/48
F04B 39/00−39/16
F22B 37/26
F25J 1/00− 5/00
F04C 23/00−29/12
F22D 1/00−11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器内で生じた凝縮水を分離排出するドレン分離排出装置であって、
ドレンセパレータと、
前記ドレンセパレータの上部に設置されるドレン入口と、
前記ドレン入口よりも下方であって、かつ前記ドレンセパレータの底部よりも高い位置である下部に設置される第1ドレン出口と、
前記第1ドレン出口よりも上方であって、かつ前記ドレン入口よりも下方に設置される第2ドレン出口と、
前記第1ドレン出口に接続される第1エアトラップと、
前記第2ドレン出口に接続される第2エアトラップと、
前記ドレン入口よりも高い位置に設置される液面検出部と、
を備えるドレン分離排出装置。
【請求項2】
前記液面検出部が警告である旨を検出する水面高さが、熱交換器の伝熱管の高さよりも相対的に低く、および
前記ドレン入口の高さが、前記液面検出部が警告である旨を検出する水面高さより相対的に低く、かつ熱交換器内底部よりも相対的に高い、請求項に記載のドレン分離排出装置。
【請求項3】
前記ドレン入口の高さが、熱交換器の伝熱管の高さよりも相対的に低く、かつ熱交換器内底部よりも相対的に高い、請求項1に記載のドレン分離排出装置。
【請求項4】
熱交換器内で生じた凝縮水を分離排出するドレン分離排出システムであって、
熱交換器と、
請求項1〜のいずれか1項に記載のドレン分離排出装置と、
前記ドレン分離排出装置を構成するドレンセパレータの上部と前記熱交換器の圧縮空気配管とを接続する均圧管と、
前記ドレンセパレータのドレン入口と前記熱交換器の底部とを接続するドレン配管と、を備えるシステム。
【請求項5】
前記ドレン配管が、U字形状を有する、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
異物を含む排水を排出処理する排水分離装置であって、
セパレータと、
前記セパレータの上部に設置される排水入口と、
前記排水入口よりも下方であって、かつ前記セパレータの底部よりも高い位置である下部に設置される第1排出口と、
前記第1排出口よりも上方であって、かつ前記排水入口よりも下方に設置される第2排出口と、
前記第1排出口に接続される第1エアトラップと、
前記第2排出口に接続される第2エアトラップと、
前記排水入口よりも高い位置に設置される液面検出部と、
を備える排水分離装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物を含む排水を排出処理する排水分離装置に関する。また、本発明は、空気分離装置における熱交換器と接続されるドレン分離排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から知られている空気分離装置は、原料空気を昇圧する原料空気圧縮機と、この原料空気圧縮機に一体的に組み込まれた熱交換器を備えている。この熱交換器で冷却された圧縮原料空気を精製、精留することにより、液化窒素、液化酸素等が製造される。
【0003】
圧縮空気が熱交換器で冷却されることにより凝縮水(ドレン)が発生する(例えば、特許文献1参照)。凝縮水(ドレン)は、熱交換器底部に取り付けられたドレンノズルから排出される。このドレンノズルにエアトラップが取り付けられており、エアトラップ内に溜まった凝縮水が排出される構成が一般的である。
【0004】
エアトラップとして、フリーフロート式のフロ―ト弁がある。その基本的構成は、例えば特公昭59−32718号公報に示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−108653号公報
【特許文献2】特公昭59−32718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エアトラップのフロート弁は、入口から流入した凝縮水(ドレン)が溜り室に蓄積すると、溜り室内のフロートが浮上し、凝縮水(ドレン)の水位により弁座開度を調整して凝縮水(ドレン)を出口から排出する構造となっている。しかし、凝縮水(ドレン)には原料空気中の異物や、圧縮機または熱交換器内の錆が混入していることがある。これらの異物や錆の混入によって、エアトラップ内の流路が閉塞し、あるいはフロートの動作が妨げられたりして、エアトラップが故障する原因となっていた。
【0007】
エアトラップが故障すると、凝縮水(ドレン)を排出できなくなる。その結果、熱交換器内の凝縮水(ドレン)の液面が上昇し、熱交換器内における空気の圧縮や空気の冷却性能に影響がでて、さらには、空気分離装置全体が停止することになる。
【0008】
そのため、エアトラップの故障による空気分離装置の運転への影響を低減する有効なドレン分離システムの開発が強く望まれている。
【0009】
本発明の目的は、上記実情に鑑み、エアトラップの閉塞あるは故障に伴って生じる熱交換器の性能低下を抑制できるドレン分離排出システムを提供することにある。また、本発明は、異物に起因するエアトラップの不具合が生じても排水を効果的に排出できる排水分離装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0011】
本発明は、異物を含む排水を排出処理する排水分離装置であって、
セパレータと、
前記セパレータの上部に設置される排水入口と、
前記排水入口よりも下方であって、かつ前記セパレータの底部よりも高い位置である下部に設置される第1排出口と、
前記第1排出口よりも上方であって、かつ前記排水入口よりも下方に設置される第2排出口と、
前記第1排出口に接続される第1エアトラップと、
前記第2排出口に接続される第2エアトラップと、を備える。
【0012】
また、本発明は、熱交換器内で生じた凝縮水を分離排出するドレン分離排出装置であって、
ドレンセパレータと、
前記ドレンセパレータの上部に設置されるドレン入口と、
前記ドレン入口よりも下方であって、かつ前記ドレンセパレータの底部よりも高い位置である下部に設置される第1ドレン出口と、
前記第1ドレン出口よりも上方であって、かつ前記ドレン入口よりも下方に設置される第2ドレン出口と、
前記第1ドレン出口に接続される第1エアトラップと、
前記第2ドレン出口に接続される第2エアトラップと、を備える。
上記排水分離装置における構成と以下の通り対応する構成である。
ドレンセパレータはセパレータ、ドレン入口は排水入口、第1ドレン出口は第1排出口、第2ドレン出口は第2排出口にそれぞれ対応する。
【0013】
本発明において、前記ドレン入口よりも高い位置に設置される液面検出部をさらに備えていてもよい。
上記実施形態において、前記液面検出部が警告である旨を検出する水面高さが、熱交換器の伝熱管(例えば、チューブネスト)の高さよりも相対的に低く構成し、および
前記ドレン入口の高さが、前記液面検出部が警告である旨を検出する水面高さより相対的に低く、かつ熱交換器内底部よりも相対的に高く構成してもよい。
【0014】
本発明において、前記ドレン入口の高さが、熱交換器の伝熱管(例えば、チューブネスト)の高さよりも相対的に低く、かつ熱交換器内底部よりも相対的に高く構成してもよい。
【0015】
他の本発明は、熱交換器内で生じた凝縮水を分離排出するドレン分離排出システムであって、
熱交換器と、
上記のドレン分離排出装置と、
前記ドレン分離排出装置を構成するドレンセパレータの上部と前記熱交換器の圧縮空気配管とを接続する均圧管と、
前記ドレンセパレータのドレン入口と前記熱交換器の底部とを接続するドレン配管と、を備える。
【0016】
また、前記第2ドレン出口よりも上方であって、かつ前記ドレン入口よりも下方に設置される第3ドレン出口と、前記第3ドレン出口に接続される第3エアトラップとをさらに備えていてもよい。
また、前記第3ドレン出口よりも上方であって、かつ前記ドレン入口よりも下方に設置される第4ドレン出口と、前記第4ドレン出口に接続される第4エアトラップとをさらに備えていてもよい。
すなわち、ドレンセパレータの側面の縦方向に2以上のドレン出口とそのドレン出口のそれぞれに接続されるエアトラップを備える構成であってよい。
【0017】
本発明によれば、熱交換器内で発生した凝縮水(ドレン)が、ドレン配管によりドレン分離排出装置のドレンセパレータに導入される。ドレンセパレータ内の凝縮水(ドレン)が、ドレンセパレータにその縦方向に設置された少なくとも2つのエアトラップのうち、最下段に設置された第1エアトラップの高さの水位となるまで溜まると、第1エアトラップから排出される。ここで、ドレン中の異物や錆により第1エアトラップが閉塞等の動作不良を起こした場合、ドレンが排出されなくなる。その場合には、ドレンセパレータ内のドレン水位が上昇し、第1エアトラップの上部に設置された第2エアトラップの高さまで水位が上昇すると、第2エアトラップから、ドレンを排出させることができる。さらに、第2エアトラップが閉塞した場合には、必要に応じて第2エアトラップの上部に設置された第3エアトラップから排出させるように構成できる。すなわち、エアトラップの閉塞によるドレン排出が機能しなくなることで生じる熱交換器の性能低下を抑制でき、空気圧縮機を正常に運転させられ、さらに、空気の冷却性能に影響を与えることを抑制できるので空気分離装置全体が停止することを防止できる。
【0018】
また、最下段の第1エアトラップ以外のエアトラップからのドレン排出の有無を目視確認することにより、ドレンが排出されているエアトラップよりも下方に設置されたエアトラップの故障の有無を検知することができる。
目視ではなく、エアトラップが故障または閉塞したことを自動的に検出する検出手段を有していてもよい。検出手段は、エアトラップから排出されるドレンの流れを検出する流量センサであってもよい。
以上の構成によれば、定期点検時に動作不良のあるエアトラップを判別することが容易になり、動作不良のエアトラップに対し効率的に補修作業を行うことができる。全てのエアトラップについて洗浄や交換を行うことなく、故障したエアトラップのみを洗浄または交換すればよいためである。
【0019】
また、前記液面検出部は、例えば、レベルセンサー、レベルスイッチまたは差圧計が挙げられる。
【0020】
最上部のエアトラップの上部には、ドレンセパレータ内のドレン水位が所定の位置に到達したことを検出するための液面検出部を設置する。ドレンセパレータ内のドレン水位が、最上部のエアトラップ設置高さよりも高くなる現象は、全てのエアトラップが閉塞等によりドレン排出ができなくなった場合に生じる。このため、ドレン水位を液面検出部(例えば、レベルセンサー、レベルスイッチ、差圧計等)で検出することにより、ドレンセパレータに設置された全エアトラップが故障した場合の警報を発することができる。ドレン分離排出装置は、例えば、液面検出器から送られた所定高さを検出した旨の検知信号に基づいて警報を発する警報手段(例えば、スピーカなど)を有していてもよい。
【0021】
例えば、レベルスイッチを用いた場合には、水位が所定の高さ以上となった場合に警報を発し、エアトラップのメンテナンスが必要であることを示すことができる。警報を発した後、エアトラップのメンテナンスが完了するまでには一定の時間を要する。このため、ドレンセパレータの内容積のうち、前記所定の高さ以上となる部分の容積が、メンテナンス中の水位上昇に対応できる構成に設定することが好ましい。メンテナンス実績および/またはメンテナンス作業時間の予測に基づいて、ドレンセパレータの内容積、エアトラップの取り付け高さを設定してもよい。
また、レベルセンサーまたは差圧計を用いて水位をモニターする場合には、警報の発報だけでなく、警報発報前の水位上昇速度を確認することができるため、エアトラップのメンテナンス時期を事前に予測できる。すなわち、ドレン分離排出装置は、例えば、レベルセンサーまたは差圧計で求められた水位のモニター結果に基づいて、エアトラップのメンテナンスタイミングを通知する通知手段(例えば、スピーカなど)を有していてもよい。
【0022】
また、前記ドレン配管の出口側に閉塞防止機構を備えていてもよい。閉塞防止機構は、U字型の配管であってもよい。閉塞防止機構により、熱交換器側から流入するドレンに異物が混入していた場合であっても、その異物に起因するドレン配管の閉塞を防止することができる。
【0023】
本発明において、前記ドレン配管が、U字形状を有していてもよい。
熱交換器からドレンをドレンセパレータに導出するドレン配管はU字型に施工されることが好ましい。熱交換器内のドレンには錆など異物が混入していることが多い。ドレン配管をU字型にすることで、異物をU字型ドレン配管内に残し、上澄みだけをドレンセパレータに導入することができる。これにより、エアトラップの閉塞等のトラブルを抑制することができる。
前記U字型のドレン配管のドレンセパレータ側の接続高さは、熱交換器内の伝熱管(例えば、チューブネスト)底部の高さよりも低く、かつ、熱交換器内底部よりも高い位置にすることがさらに望ましい。ドレン配管のドレンセパレータ側の接続高さを熱交換器内底部よりも高くすることにより、熱交換器内のドレン水位と、ドレン配管のドレンセパレータ側の接続高さとが均一となる。すなわち、熱交換器内のドレン水位をドレン配管のドレンセパレータ側の接続高さに制御することができる。
さらに、ドレン配管のドレンセパレータ側の接続高さを熱交換器内の伝熱管(例えば、チューブネスト)底部の高さよりも低くすることにより、熱交換器内の水位が伝熱管(例えば、チューブネスト)底部よりも低くなるように調整することができる。これにより熱交換器内のドレン水位が上昇し伝熱管(例えば、チューブネスト)とドレンが接触することに起因する熱交換器の冷却性能低下を防止することができる。
【0024】
また、上記ドレンセパレータ底部に、ドレンセパレータ内に蓄積した異物を排出する排出口を備えていてもよい。ドレン分離排出装置の定期点検時には上記排出口に設置されたバルブ(異物排出弁)を開け、ドレンセパレータ内の異物を容易に除去することができる。
【0025】
また、液面検出部が、全エアトラップの故障を検出する水位は、全エアトラップの設置位置よりも高く、かつ、熱交換器内の伝熱管(例えば、チューブネスト)底部(伝熱管の最下点)の高さよりも低く設定してもよい。全エアトラップ設置位置よりもドレンセパレータ内のドレン水位が高いことを検知したときは、エアトラップ全てが閉塞し、エアトラップからのドレン排出ができなくなっていることを示しているため、この液面検出部の検出結果に基づいて、全エアトラップの故障の検出と判断することができる。
また、ドレンセパレータ内の水位は、熱交換器内の水位よりも高くなることはない。そこでドレンセパレータ内の液面検出部において検出する水位を、熱交換器内の伝熱管底部の高さよりも低く設定することで、全エアトラップが閉塞した場合であっても、熱交換器内のドレンが伝熱管の最下点に接触する前に水位上昇を検出する構成とできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態1に係るドレン分離搬出システムである。
図2】実施形態2に係るドレン分離搬出システムである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
【0028】
(実施形態1)
図1に示すドレン分離排出システム100は、空気分離装置(不図示)に接続された熱交換器2と、熱交換器2に接続されるドレン排出分離装置1を備える。
【0029】
熱交換器2は、その内部にチューブネスト21が配置される。熱交換器2内を流通する圧縮空気がチューブネスト21と接触することで、熱交換が行われ、熱交換器2内の底部に凝縮水W1が徐々に溜まってくる。
熱交換器2内の底部と接続されている配管L1が、ドレンセパレータ3の上部側壁のドレン入口3aへ導入される。配管L1には仕切り弁が設けられているが、別実施形態としてはなくてもよい。
配管L1の先端Tは、その拡大図からの分かるように、その先端Tが、側面視で地面側が鈍角で天井側が鋭角になるように斜め形状(例えば、30〜60°の角度で切断した形状)にして断面積を大きくし、断面を下方向に向ける。配管L1の先端Tをこのような形状にすることで、熱交換器2から流れて来たドレン内に含まれている異物によって配管L1の先端T側が閉塞しないように構成する。
【0030】
ドレン排出分離装置1は、ドレンセパレータ3と、ドレンセパレータ3の上部に設置されるドレン入口3aと、ドレン入口3aよりも下方であって、かつドレンセパレータ3の底部よりも高い位置である下部に設置される第1ドレン出口3bと、第1ドレン出口3bよりも上方であって、かつドレン入口3aよりも下方に第2ドレン出口3cと、第1ドレン出口3bに接続される第1エアトラップ32と、第2ドレン出口3cに接続される第2エアトラップ34とを備える。
本実施形態において、第1ドレン出口3bに第1出口配管L2が接続され、第1出口配管L2に、仕切弁と第1エアトラップ32が介在し、排水溝50へドレンを排出する。
また、第2ドレン出口3cに第2出口配管L3が接続され、第2出口配管L3に、仕切弁と第2エアトラップ34が介在し、排水溝50へドレンを排出する。
【0031】
また、ドレンセパレータ3には、ドレン入口3aよりも高い位置に液面検出部35が設置される。本実施形態1において、液面検出部はレベルスイッチ35で構成されている。
【0032】
また、ドレンセパレータ3の底部の異物排出口3dに異物排出配管L5が排出弁37を設けて接続されている。これにより、ドレン分離排出装置1の定期点検時に、この排出弁37を開けることで、ドレンセパレータ3の底部に溜まった異物を容易に除去することができる。
【0033】
また、ドレンセパレータ3の上部と接続される均圧管L4は、仕切り弁を介在させて熱交換器3の圧縮空気出口配管L6と接続される。均圧管はドレンセパレータ3と熱交換器2内の圧力を均一にするために設けられる。なお、ここで仕切り弁はあってもなくてもよい。
【0034】
実施形態1によれば、熱交換器2内で発生したドレンW1を、ドレン配管L1によりドレン分離排出装置1のドレンセパレータ3に導入する。エアトラップに流入するドレンW2には原料空気中に含まれていた異物や、圧縮空気貯槽、ドレンセパレータ3等から発生した錆などが混入している。このためエアトラップは異物や錆によるドレン流路閉塞に伴う動作不良を起こしやすく、エアトラップが閉塞してドレンW2を排出できなくなる現象が発生する。
【0035】
ドレンセパレータ3内のドレンW2の水位(h2)が、第1エアトラップ32の高さになると、凝縮水W2が第1エアトラップ32から排出される。ここで、第1ドレン出口3bがドレンセパレータ3底部よりも高い位置にあることで、異物や錆の混入が少ないドレンの上澄みを第1ドレン出口3bから流入させ、第1エアトラップ32の閉塞等の動作不良を低減させることができる。
【0036】
ドレン中の異物や錆により第1エアトラップ32が閉塞等の動作不良を起こした場合、ドレンW2が排出されなくなる。その場合には、ドレンセパレータ3内のドレン水位(h2)が上昇し、第1エアトラップ32の上部に設置された第2エアトラップ34の高さにまで上昇すると、第2エアトラップ34から、ドレンW2が排出される。さらに、第2エアトラップ34が閉塞した場合には、ドレンセパレータ3内のドレン水位(h2)が上昇し、レベルスイッチ35がドレンW2の水位を検出したら、警報を発するように構成する。
【0037】
また、第1エアトラップ32が動作不良で機能していないことを自動で検出した場合に、警報を発するように構成してもよい。第1エアトラップ32の上流側の仕切弁を閉じてメンテナンスを行ってもよい。
【0038】
(実施形態2)
図2に、実施形態2に係るドレン排出分離システム200を示す。本形態は熱交換器2の下方にドレンセパレータ3を設置する距離がない場合に有効な配置である。図1図2で同じ符号は同じ機能を有するため、説明を省略または簡単に説明する。
【0039】
ドレン配管L1は、U字型に構成されている。熱交換器2内のドレンには錆など異物が混入していることが多い。ドレン配管L1をU字型にすることで、異物がU字型ドレン配管内に残り、配管を閉塞させる可能性があるため立上がり位置L1aから異物を排出する仕組みを有する。U字型のドレン配管L1のドレンセパレータ3側の接続高さ(R3)(「接続高さR3」は、ドレン入口3aの高さを意味する。)は、熱交換器2内のチューブネスト21底部の高さ(R1)よりも低く、かつ、熱交換器2内底部の高さ(R2)よりも高い位置にする。すなわち、ドレン入口3aの高さは、チューブネスト21底部の高さ(R1)より高い位置にしない構成である。
【0040】
また、熱交換器2とドレンセパレータ3が均圧管L4で接続される。ドレン配管L1のドレンセパレータ3側の接続高さ(R3)は熱交換器2内底部の高さ(R2)よりも高くする。これにより、ドレン配管L1のドレンセパレータ3側の接続高さ(R3)は、熱交換器2内のドレンの水位(h1)と一致する。つまり、熱交換器2内のドレン水位(h1)をドレン配管L1のドレンセパレータ3側の接続高さ(R3)に制御することができる。
【0041】
ドレン配管L1の異物を排出する仕組みとして、立上がり位置L1aに、下方に延びる異物排出用の分岐配管L11を設けてあってもよい。分岐配管L11には仕切弁が設けられている。この仕切弁を開けることで、ドレン配管L1および分岐配管L11内に蓄積した異物などを定期点検などのメンテナンス時に簡単に取り除くことができる。
【0042】
ドレン排出分離装置1におけるレベルスイッチ35は、ドレン水位(h2)を検出する高さ(R4)が、の熱交換器2内のチューブネスト21底部の高さ(R1)よりも低く、かつ、ドレン配管L1のドレンセパレータ3側の接続高さ(R3)よりも高い位置にある。これにより、ドレンセパレータ3内のドレンW2の水位(h2)の上昇に伴い、熱交換器2内のドレンW1の水位が上昇しても、熱交換器2内のドレンW1の水位(h1)がチューブネスト21底部の高さ(R1)に至るまでに、レベルスイッチ35が警報を発することができる。
【0043】
(別実施形態)
上記実施形態1または2において、レベルスイッチを設けていたが、これに限定されず、レベルスイッチまたは差圧計を設けてもよい。
上記実施形態1または2において、エアトラップを2つ縦に設けてあったが、これに限定されず、3つ以上を設置してもよい。
上記実施形態1または2において、ドレン配管L1の先端Tの形状は図1に限定されない。
【0044】
(実施形態3)
異物を含む排水を排出処理する排水分離装置は、セパレータと、前記セパレータの上部に設置される排水入口と、前記排水入口よりも下方であって、かつ前記セパレータの底部よりも高い位置である下部に設置される第1排出口と、前記第1排出口よりも上方であって、かつ前記排水入口よりも下方に設置される第2排出口と、前記第1排出口に接続される第1エアトラップと、前記第2排出口に接続される第2エアトラップと、を備える。
前記排水入口よりも高い位置に設置される液面検出部をさらに備えていてもよい。
実施形態3の排水分離装置は、実施形態1または2のドレン分離排出装置の構成要素を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0045】
100 ドレン分離排出システム
1 ドレン分離排出装置
2 熱交換器
21 チューブネスト
3 ドレンセパレータ
3a ドレン入口
3b 第1ドレン出口
32 第1エアトラップ
3c 第2ドレン出口
34 第2エアトラップ
35 レベルスイッチ
L1 ドレン配管
L2 第1出口配管
L3 第2出口配管
L4 均圧管
図1
図2