特許第6706449号(P6706449)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6706449-ナースコール子機 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706449
(24)【登録日】2020年5月20日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】ナースコール子機
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20200601BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20200601BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   G06F3/01 560
   H04M9/00 F
   A61G12/00 E
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-43209(P2016-43209)
(22)【出願日】2016年3月7日
(65)【公開番号】特開2017-161972(P2017-161972A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2019年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】591253593
【氏名又は名称】株式会社ケアコム
(72)【発明者】
【氏名】坂詰 康孝
【審査官】 菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−154891(JP,A)
【文献】 特開2009−131380(JP,A)
【文献】 米国特許第4164731(US,A)
【文献】 特開2004−247953(JP,A)
【文献】 特開2010−252947(JP,A)
【文献】 特開2014−54446(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/025736(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
A61G 12/00
H04M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者によって押下される呼出ボタンと、この呼出ボタンの押下方向と逆方向の力を前記呼出ボタンに加えるフォースフィードバック部と、時間を計測するタイマーと、前記呼出ボタンが押下された回数をカウントするカウント部と、前記呼出ボタンの操作により自装置を他装置と識別するための子機識別情報を含む呼出信号を生成するとともに、前記タイマーにより計測された単位時間あたりに前記カウント部がカウントした前記呼出ボタンの押下回数が閾値以上となったか否かを判定し、前記呼出ボタンの押下回数が閾値以上となった場合に前記フォースフィードバック部を動作させる制御部と、
を備えたことを特徴とするナースコール子機。
【請求項2】
前記制御部は、前記タイマーにより計測された単位時間あたりに前記カウント部がカウントした前記呼出ボタンの押下回数に応じて前記フォースフィードバック部により前記呼出ボタンに加える力を大きくすることを特徴とする請求項1に記載のナースコール子機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者や被介護者が看護師や介護師を呼び出すためのナースコールシステムに適用されるナースコール子機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院や介護施設などでは、ナースコールシステムが用いられている。ナースコールシステムは、病院の患者が看護師のサポートを必要とする際、または、介護施設の被介護者が介護師のサポートを必要とする際に、患者や被介護者(以下、患者と記載する)がナースコール子機の呼出ボタンを操作することによって看護師や介護師(以下、医療従事者と記載する)を呼び出すことができるように成されたシステムである。
【0003】
多くのナースコールシステムは、病室のベッド近傍やトイレ、浴室などに設置されるナースコール子機と、医療従事者が常駐するナースステーションに設置されるナースコール親機と、病室や介護室等の各部屋の出入口付近に設置される廊下灯と、通話やデータの送受信に関する制御を行う制御機とを備えて構成されている。また、上述した構成に加えて、医療従事者が携帯する携帯端末(例えば、PHS(Personal Handy phone System)端末など)とPBX(Private Branch Exchange:電話交換機)とを組み合わせて移動中の医療従事者が呼び出しに応答するナースコールシステムも提供されている。
【0004】
ナースコール親機には、LED(Light-Emitting Diode)などのランプと患者名とを対応付けて表示パネルに表示するボード型と呼ばれるものがある。このボード型のナースコール親機では、患者からの呼び出しが発生すると、その患者に対応するランプを点灯(または点滅)させて呼び出しを行った患者を視認できるようにしている。
【0005】
また、ナースコール親機には、パソコンを利用したものもある。このパソコンを利用したナースコール親機では、実際のベッドの配置と同じようにディスプレイ上にレイアウト表示を行い、レイアウト上に患者名を表示するようにしている。そして、このようなナースコール親機は、患者からの呼び出しが行われたときに、その患者に対応する部分を強調して表示(例えば、ポップアップ画像の表示など)を行うことで、どの患者が呼び出しを行ったかを医療従事者に視認させることができる。
【0006】
ナースコール子機は、患者ごとに設置されており、患者が医療従事者を呼び出すための呼出ボタンを備えている。ここで、ナースコール子機は、患者の手元に置かれる呼出ボタンと、有線や無線などにより呼出ボタンを接続する壁面に設置されたウォールユニットとにより構成される。
【0007】
ところで、ナースコール子機の呼出ボタンが操作されると、ナースコール親機にて報知が行われるため、これに気付いた医療従事者は応答する必要がある。そのため、認知症の患者などが医療従事者を呼び出すことを目的とせずに呼出ボタンを操作した場合でも、患者がいたずらで呼出ボタンを操作した場合でも、医療従事者は呼び出しに応答することになる。従って、このような不要な呼び出しが発生すると、医療従事者の工数を奪ってしまうという問題があった。
【0008】
このような問題を解決するための技術として、ナースコール子機の操作部が操作された場合に単位時間あたりに操作部が操作された回数をカウントし、その回数が第一の閾値以上となった場合に、ナースコール子機により警告の報知を行うとともに、操作部が何回も操作されていることを示す頻度情報をナースコール親機に送信して、これを受信したナースコール親機では、頻度情報を受信した回数をナースコール子機ごとにカウントし、その回数が第二の閾値以上となった場合に、該当するナースコール子機からの呼び出しを通常の呼び出し方法と異なる方法で報知するという技術が知られている(例えば、特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−131380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前述した特許文献1に記載のナースコールシステムでは、ナースコール子機の操作部が操作された回数が第一の閾値以上となった場合にナースコール子機による警告が行われるため、いたずら目的でナースコール子機を高頻度で操作した患者に対しては抑止力となるが、医療従事者を呼び出すことを目的とせずに認知症の患者がナースコール子機の操作部を高頻度で操作した場合には抑止力にはならないという問題があった。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、ナースコール子機の呼出ボタンが認知症の患者などにより高頻度で操作されることを防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明では、ナースコール子機の呼出ボタンが押下された場合に、単位時間あたりに呼出ボタンが押下された回数をカウントし、その回数が閾値以上となったときに、呼出ボタンの押下に対抗する力を加えるようにしている。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した本発明によれば、呼出ボタンが単位時間あたりに押下された回数が閾値以上となった場合に、呼出ボタンの押下に対抗する力が加えられるので、呼出ボタンを押下し難くなり、認知症の患者などにより呼出ボタンが高頻度で押下されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態によるナースコール子機の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、ここでは病院に設置される看護支援用のナースコールシステムに使用されるナースコール子機を例にとって説明するが、本実施形態のナースコール子機は、病院に設置されるものに限定されない。例えば、介護施設等に設置される場合にも適用可能である。図1は、本実施形態によるナースコール子機の構成例を示すブロック図である。
【0016】
図1において、1はナースコール子機であり、患者のベッドの近傍に設置され、患者によって使用される。また、ナースコール子機1は、制御部2、呼出ボタン3、タイマー4、カウント部5、フォースフィードバック部6、インターフェース7を備えて構成されている。
【0017】
制御部2は、ナースコール子機1の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPU(Central Processing Unit)やメモリなどにより構成されている。呼出ボタン3は、患者が医療従事者のサポートを必要とする際に指などで押下するために使用される。ここで、呼出ボタン3の押下方向はある一方向となる。
【0018】
タイマー4は、時間を計測するためのものである。ここで、制御部2は、タイマー4の動作開始、動作終了、計測した時間のリセットなどを行う。カウント部5は、呼出ボタン3が押下された回数をカウントするためのものである。ここで、制御部2は、カウント部5の動作開始、動作終了、カウントした回数のリセットなどを行う。また、制御部2は、タイマー4が計測すべき単位時間を示す単位時間情報を予め記憶するとともに、単位時間あたりに呼出ボタン3が押下された回数を示すカウント回数の閾値を予め記憶している。
【0019】
フォースフィードバック部6は、呼出ボタン3の押下方向と逆方向の反力を人工的に作り出すためのものであり、モーターなどにより構成されている。ここで、フォースフィードバック部6により得られる反力の強さは、呼出ボタン3を押下し難くなる程度であることが好ましい。
【0020】
インターフェース7は、ナースコール子機1と図示しないナースコール親機とを接続して通信を行うためのものである。患者は、医療従事者のサポートを必要とする場合に、呼出ボタン3を押下する。すると、制御部2は呼出信号を生成する。ここで、呼出信号には、このナースコール子機1を他のナースコール子機1と識別するための子機識別情報が含まれる。また、子機識別情報としては、ベッド番号などの情報が用いられる。制御部2は、生成した呼出信号をインターフェース7によりナースコール親機へ出力する。
【0021】
このように構成されたナースコール子機1では、呼出ボタン3が押下されると、制御部2がタイマー4およびカウント部5を動作させる。そして、タイマー4により計測された単位時間あたりにカウント部5がカウントした呼出ボタン3の押下回数が閾値以上となったか否かを制御部2にて判定する。ここで、単位時間としては、例えば1分程度が設定されており、閾値としては、例えば5回程度が設定されている。
【0022】
この状態で、単位時間あたりの呼出ボタン3の押下回数が閾値以上になったと制御部2にて判定した場合に、制御部2は、フォースフィードバック部6を動作させる。そして、フォースフィードバック部6は、呼出ボタン3に対して、その押下方向と逆方向の力を加える。ここで、フォースフィードバック部6は、カウント部5によるカウントの回数が閾値以上となった時点で動作を開始することが好ましい。なお、単位時間あたりの呼出ボタン3の押下回数が閾値未満であったと制御部2にて判定した場合には、制御部2は、フォースフィードバック部6を動作させない。
【0023】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、ナースコール子機1の呼出ボタン3が押下された場合に、タイマー4によって計測される単位時間あたりに呼出ボタン3が押下された回数をカウント部5にてカウントし、その回数が閾値以上となったときに、フォースフィードバック部6により、呼出ボタン3の押下に対抗する力を加えるようにしている。
【0024】
これにより、呼出ボタン3が単位時間あたりに押下された回数が閾値以上となった場合に、呼出ボタン3の押下に対抗する力が加えられるので、呼出ボタン3を押下し難くなり、認知症の患者などにより呼出ボタン3が高頻度で押下されることを防止することができる。
【0025】
なお、前述した実施形態では、制御部2は、フォースフィードバック部6を動作させるか否かの二通りの制御しか行っていないが、これに限定されない。例えば、タイマー4により計測された単位時間あたりにカウント部5がカウントした呼出ボタン3の押下回数に応じてフォースフィードバック部6により呼出ボタン3に加える力を大きくするようにしても良い。これにより、呼出ボタン3の押下頻度が増すにつれ、患者は、呼出ボタン3を押下し難くなる。
【0026】
また、前述した実施形態では、タイマー4およびカウント部5をナースコール子機1に内蔵しているが、これに限定されない。例えば、廊下灯やナースコール親機にタイマーおよびカウント部を設けるようにしても良い。これにより、ナースコール子機1の軽量化を実現することができる。
【0027】
その他、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 ナースコール子機
2 制御部
3 呼出ボタン
4 タイマー
5 カウント部
6 フォースフィードバック部
7 インターフェース
図1