(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者らは、本明細書に記載の共重合体が、極限解像度を向上し、モットリング(最上部のむら)を減少し、および照射感度および/または線幅ラフネスを実質的に損なうことのなく焦点深度を増加するフォトレジスト組成物を提供することを追究して来た。
【0012】
一実施形態は、酸不安定基モノマー、ラクトン含有脂肪族モノマー、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパ−2−イル置換基または−NH−S(O)
2−R
b置換基(R
bはC
1〜4ペルフルオロアルキルである)を含む塩基可溶性モノマー、脂肪族アニオンを含む光酸発生モノマー、および式
【化2】
(式中、R
1、R
2、およびR
3は、各々独立して、水素、ハロゲン、C
1〜6アルキル、またはハロゲン化C
1〜6アルキルであり、mは0または1であり、Xは、−O−、−C(O)−、−C(O)−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)
2−、−S(O)
2−N(R
4)−、N(R
4)−S(O)
2−、C
1〜12ヒドロカルビレン、−O−(C
1〜12ヒドロカルビレン)−、−(C
1〜12ヒドロカルビレン)−O−、または−C(O)−O−(C
1〜12ヒドロカルビレン)−(式中、R
4は、C
1〜6アルキルである)であり、ならびにR
5は、非置換または置換C
1〜24アルキルである)を有する中性脂肪族モノマーから由来する繰り返し単位を含む共重合体である。
【0013】
特に指定した場合を除いて、「置換された」は、ハロゲン(すなわち、F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、アミノ、チオール、カルボキシル、カルボキシレート、エステル(アクリレート類、メタクリレート類、およびラクトン類を含む)、アミド、ニトリル、スルフィド、ジスルフィド、ニトロ、C
1〜18アルキル、C
1〜18アルケニル(ノルボルネニルを含む)、C
1〜18アルコキシル、C
2〜18アルケノキシル(ビニルエーテルを含む)、C
6〜18アリール、C
6〜18アリールオキシル、C
7〜18アルキルアリール、またはC
7〜18アルキルアリールオキシルなどの少なくとも1つの置換基を含む意味と解釈するものとする。中性脂肪族モノマーの文脈では、「置換された」は、ハロゲン、(すなわち、F、Cl、Br、I)カルボキシル、エステル(アクリレート類、メタクリレート類、およびラクトン類を含む)、アミド、ニトリル、スルフィド、ジスルフィド、ニトロ、C
1〜18アルキル、C
1〜18アルケニル(ノルボルネニルを含む)、C
1〜18アルコキシル、C
2〜18アルケノキシル(ビニルエーテルを含む)、C
6〜18アリール、C
6〜18アリールオキシル、C
7〜18アルキルアリール、またはC
7〜18アルキルアリールオキシルなどの少なくとも1つの置換基を含む意味と解釈するものとする。
【0014】
「フッ素化」は、基に組み込まれた1つ以上のフッ素原子を有する意味と解釈するものとする。例えば、C
1〜18フルオロアルキル基が示された場合、該フルオロアルキル基は、1つ以上のフッ素原子、例えば、1個のフッ素原子、2個のフッ素原子(例えば、1,1−ジフルオロエチル基として)、3個のフッ素原子(例えば、2,2,2−トリフルオロエチル基として)、または炭素の各自由原子価にフッ素原子(例えば、−CF
3、−C
2F
5、−C
3F
7、または−C
4F
9などの全フッ素化された基として)を含有できる。
【0015】
本明細書に使用されるとき、「アルキル」という語は、直鎖アルキル、分岐鎖アルキル、環式アルキル、および直鎖基、分岐鎖基、および環式基の2元および3元の組み合わせが結合したアルキル基をいう。アルキル基は非置換または置換され得る。アルキル基の具体的な例としては、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、シクロプロピル、1−ブチル、2−ブチル、2メチル−1−プロピル、ターシャリー−ブチル、シクロブチル、1メチルシクロプロピル、2−メチルシクロプロピル、1ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2ジメチル1プロピル(ネオペンチル)、シクロペンチル、1−メチルシクロブチル、2−メチルシクロブチル、3−メチルシクロブチル、1,2ジメチルシクロプロピル、2,2−ジメチルシクロプロピル、2,3−ジメチルシクロプロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、1,2,2−トリメチルシクロプロピル、2,2,3トリメチルシクロプロピル、(1,2−ジメチルシクロプロピル)メチル、(2,2ジメチルシクロプロピル)メチル、1,2,3−トリメチルシクロプロピル、(2,3ジメチルシクロプロピル)メチル、2,2−ジメチルシクロブチル、2,3−ジメチルシクロブチル、(1メチルシクロブチル)メチル、1,2−ジメチルシクロブチル、2,3−ジメチルシクロブチル、(2メチルシクロブチル)メチル、1,3−ジメチルシクロブチル、2,4−ジメチルシクロブチル、(3メチルシクロブチル)メチル、1−メチルシクロペンチル、2−メチルシクロペンチル、メチルシクロペンチルメチル、シクロヘキシル、1−ノルボルニル、2−ノルボルニル、3−ノルボルニル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、オクタヒドロ−1−ペンタレニル、オクタヒドロ−2−ペンタレニル、オクタヒドロ−3−ペンタレニル、オクタヒドロ−1−フェニル−1ペンタレニル、オクタヒドロ−2−フェニル−2−ペンタレニル、オクタヒドロ−1−フェニル−3−ペンタレニル、オクタヒドロ−2−フェニル−3−ペンタレニル、デカヒドロ−1−ナフチル、デカヒドロ−2−ナフチル、デカヒドロ−3−ナフチル、デカヒドロ−1−フェニル−1−ナフチル、デカヒドロ−2−フェニル−2−ナフチル、デカヒドロ−1−フェニル−3−ナフチル、およびデカヒドロ−2−フェニル−3−ナフチルが挙げられる。
【0016】
共重合体は、酸不安定基モノマーに由来する繰り返し単位を含む。本文脈では、「酸不安定な」という語は、該モノマーが光酸発生剤に由来する酸に反応性があることを意味する。酸不安定基モノマーとしては、カルボン酸エステル類、アセタール類、およびケタール類が挙げられる。
【0017】
実例となる酸不安定なカルボン酸エステル類としては、次の非置換および置換第三級ヒドロカルビル(メタ)アクリレート類
【化3】
およびそれらの組み合わせ(式中、R
aは−H、−F、−CH
3、または−CF
3である)が挙げられる。
【0018】
実例となる酸不安定なアセタール置換およびケタール置換モノマーとしては、
【化4】
およびそれらの組み合わせ(式中、R
aは−H、−F、−CH
3、または−CF
3である)が挙げられる。
【0019】
いくつかの実施形態では、共重合体は、該共重合体の総重量に基づいて、5〜40重量%、具体的には、10〜35重量%、より具体的には10〜30重量%の量の酸不安定基モノマー由来の繰り返し単位を含む。
【0020】
酸不安定基モノマー由来の繰り返し単位に加えて、共重合体は、ラクトン含有脂肪族モノマーを含む。ラクトン含有脂肪族モノマーの実例としては、
【化5】
およびそれらの組み合わせ(式中、R
aは−H、−F、−CH
3、または−CF
3である)が挙げられる。
【0021】
いくつかの実施形態では、共重合体は、該共重合体の総重量に基づいて10〜70重量%、具体的には、20〜60重量%、より具体的には25〜50重量%の量のラクトン含有脂肪族モノマー由来の繰り返し単位を含む。
【0022】
共重合体は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパ−2−イル置換基または−NH−S(O)
2−R
b置換基(R
bはC
1〜4ペルフルオロアルキルである)を含む塩基溶解性モノマー由来の繰り返し単位をさらに含む。そのようなモノマーの実例としては、
【化6】
およびそれらの組み合わせ(式中、R
aは−H、−F、−CH
3、または−CF
3であり、R
bはC
1〜4ペルフルオロアルキルである)が挙げられる。
【0023】
いくつかの実施形態では、共重合体は、該共重合体の総重量に基づいて3〜40重量%、具体的には、5〜35重量%、より具体的には10〜30重量%の量の塩基溶解性モノマー由来の繰り返し単位を含む。
【0024】
共重合体は、脂肪族アニオンを含む光酸発生モノマー由来の繰り返し単位をさらに含む。いくつかの実施形態では、光酸発生モノマーは、式
【化7】
(式中、R
aは−H、−F、−CH
3、または−CF
3であり、Aは、エステル含有またはエステル非含有、フッ素化または非フッ素化C
1〜20アルキレンまたはC
3〜20シクロアルキレンであり、Zは、スルホネート、スルホンアミデート(スルホアミドのアニオン)、またはスルホンイミデート(スルホンアミドのアニオン)であり、およびG
+は、スルホニウムまたはヨードニウムカチオンである)のものである。
【0025】
そのようなモノマーの実例としては、
【化8】
およびそれらの組み合わせ(式中、R
aは−H、−F、−CH
3、または−CF
3である)が挙げられる。
【0026】
いくつかの実施形態では、共重合体は、該共重合体の総重量に基づいて2〜30重量%、具体的には、2〜28重量%、より具体的には3〜25重量%の量の光酸発生モノマー由来の繰り返し単位を含む。
【0027】
共重合体は、式
【化9】
(式中、R
1、R
2、およびR
3は、各々独立して、水素、ハロゲン、C
1〜6アルキル、またはハロゲン化C
1〜6アルキルであり、mは0または1であり、Xは、−O−、−C(O)−、−C(O)−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)
2−、−S(O)
2−N(R
4)−、N(R
4)−S(O)
2−、C
1〜12ヒドロカルビレン、−O−(C
1〜12ヒドロカルビレン)−、−(C
1〜12ヒドロカルビレン)−O−、または−C(O)−O−(C
1〜12ヒドロカルビレン)−(式中、R
4は、C
1〜6アルキルである)であり、ならびにR
5は、非置換または置換C
1〜24アルキルである)を有する中性脂肪族モノマー由来の繰り返し単位をさらに含む。いくつかの実施形態では、中性脂肪族モノマーは、2.5〜6のLogP算出(cLogP)値を有する。この範囲内で、cLogP値は、2.5〜5であり得る。Pは、1−オクタノールおよび水との間のモノマーの分配率である。cLogP値は、例えば、MOLINSPIRATION CHEMINFORMATICS(http://www.molinspiration.com)で算出できる。「中性脂肪族モノマー」は、簡潔には「脂肪族モノマー」と呼ぶことができる。脂肪族モノマーの構造は、酸性媒体で、プロトン化または反応する基を含まず、塩基性媒体で、イオン化または反応する基を含まないというように定義される。従って、脂肪族モノマーに由来する共重合体の繰り返し単位は、実質的に、電気的中性であり、光発生した酸の存在下および2.38重量%の水酸化テトラメチルアンモニウムなどのアルカリ性現像液中で、化学反応性がないであろう。
【0028】
脂肪族モノマーのいくつかの実施形態では、R
1およびR
2が水素であり、R
3が、−H、−F、−CH
3、または−CF
3であり、Xが、−O−、−C(O)−O−、−(C
1〜12ヒドロカルビレン)−、−O−(C
1〜12ヒドロカルビレン)−、−(C
1〜12ヒドロカルビレン)−O−、または−C(O)−O−(C
1〜12ヒドロカルビレン)−、およびR
5が非置換もしくは置換C
6〜12アルキルである。いくつかの実施形態では、R
5が非置換もしくは置換ノルボルニル、または非置換もしくは置換アダマンチルである。
【0029】
中性脂肪族モノマーの実例としては、
【化10】
またはそれらの組み合わせ(式中、R
aは、−H、−F、−CH
3、または−CF
3であり、存在するR
cは各々、独立して、水素、C
1〜12ヒドロカルビル、C
2〜10アルケニル、C
1〜6ペルフルオロアルキル、またはC
3〜6ペルフルオロシクロアルキルであり、R
eは、C
1〜10アルキレンまたはC
3〜10シクロアルキレンであり、R
fはC
1〜12アルキル、C
1〜6ペルフルオロアルキル、C
3〜10シクロアルキル、またはC
3〜6ペルフルオロシクロアルキルであり、iは、1、2、3、または4であり、nは、0または1であり、および存在するqは各々、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である)を挙げられる。
【0030】
いくつかの実施形態では、共重合体は、該共重合体の総重量に基づいて1〜30重量%、具体的には、2〜25重量%、より具体的には2〜20重量%の量の中性脂肪族モノマー由来の繰り返し単位を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、共重合体を合成するために使用されるモノマーは、55モル%を超えない芳香族基含有モノマーを含む。この限度内で、芳香族基含有モノマーの含有量は、5〜45モル%、具体的には5〜40モル%、より具体的には5〜35モル%であり得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、共重合体を合成するために使用されるモノマーとしては、フルオレニルエステル基含有モノマーは除外される。そのようなモノマー類は、米国特許第8,450,042号B2(Hatakeyama et al.)に記載されている。
【0033】
いくつかの実施形態では、共重合体を合成するために使用されるモノマーとしては、塩基溶解性基を生成する酸不安定基(例えば、第三級アルキル(メタ)アクリレートエステル)、およびアルカリ性現像液への溶解性が増加する基を生成する塩基不安定基(例えば、ラクトン置換アルキル(メタ)アクリレート)の両方を有するモノマーは除外される。そのようなモノマーは、米国特許出願公開第US2012/0076997号A1(Hirano et al.)に記載されている。嵩高い側鎖のために、モノマーの重合は困難であることが予期される。
【0034】
いくつかの実施形態では、共重合体は、1,000〜5,000原子質量単位、具体的には、2,000〜30,000原子質量単位、より具体的には、3,000〜10,000原子質量単位の平均分子量の重量を有する。いくつかの実施形態では、数平均分子量に対する重量平均分子量の比である共重合体の分散度は、1.1〜1.3、具体的には、1.1〜2である。分子量の値は、ポリスチレン標準品を使用して、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される。
【0035】
非常に具体的な実施形態では、酸不安定基モノマーは、
【化11】
を含み、脂肪族のラクトン含有(メタ)アクリレートエステルは、
【化12】
を含み、塩基可溶性モノマーは、
【化13】
を含み、光酸発生モノマーは、
【化14】
を含み、および中性脂肪族モノマーは、
【化15】
またはそれらの組み合わせ(式中、R
aは、−H、−F、−CH
3、または−CF
3であり、存在するR
cは各々、独立して、ハロゲン、C
1〜12ヒドロカルビル、C
2〜10アルケニル、C
1〜6ペルフルオロアルキル、またはC
3〜6ペルフルオロシクロアルキルであり、R
eは、C
1〜10アルキレン、またはC
3〜10シクロアルキレンであり、R
fはC
1〜12アルキル、C
1〜6ペルフルオロアルキル、C
3〜10シクロアルキル、またはC
3〜6ペルフルオロシクロアルキルでありiは、1、2、3、または4であり、nは0または1であり、および存在するqは各々、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である)を含む。
【0036】
一実施形態は、その上記バリエーションのいずれかの共重合体を含むフォトレジスト組成物である。該フォトレジスト組成物は、フォトレジスト組成物の固体総重量(溶媒を除く)に基づいて、50〜99.9重量%の量で共重合体を含み得る。この範囲内で、フォトレジスト中の共重合体含有量は、55〜99.9重量%、具体的には、65〜99.9重量%であり得る。
【0037】
フォトレジスト組成物は、光酸発生剤などの1つ以上の光活性成分、光塩基発生剤、光酸発生剤の結合がありなしで付加的(メタ)アクリレート主成分の重合体、光酸発生剤の結合がありなしでヒドロキシスチレン主成分の重合体、およびそれらの組み合わせをさらに含み得る。フォトレジスト組成物は、例えば、2013年7月16日に出願された米国特許非仮出願第13/943,169号に記載の芳香族ポリアセタール類などの、アクリレート主成分の重合体およびヒドロキシスチレン主成分の重合体以外の重合体を含み得る。
【0038】
光酸発生剤は、EUV照射(例えば、193ナノメートル)、電子線照射、および他の照射源などの活性照射に露光したときに、酸を生成できる。光酸発生剤は、一般的に、フォトレジスト合成の目的に適切なこれらの光酸発生剤を包含する。光酸発生剤としては、例えば、非置換および置換アンモニウムイオン、非置換および置換ホスホニウムイオン、非置換および置換アルソニウムイオン、非置換および置換スチボニウムイオン、非置換および置換ビスムトニウムイオン、非置換および置換オキソニウムイオン、非置換および置換スルホニウムイオン、非置換および置換セレノニウムイオン、非置換および置換テルロニウムイオン、非置換および置換フルオロニウムイオン、非置換および置換クロロニウムイオン、非置換および置換ブロモニウムイオン、非置換および置換ヨードニウムイオン、非置換および置換アミノジアゾニウムイオン(置換アジ化水素)、非置換および置換ヒドロシアノニウムイオン(置換シアン化水素)、非置換および置換ジアゼニウムイオン(RN=N
+R
2)、非置換および置換イミニウムイオン(R
2C=N
+R
2)、2つの二重結合の置換基を有する第四級アンモニウムイオン(R=N
+=R)、ニトロニウムイオン(NO
2+)、ビス(トリアリールホスフィン)イミニウムイオン((Ar
3P)
2N
+)、1つの三重結合の置換基を有する非置換または置換第三級アンモニウム(R≡NH
+)、非置換および置換ニトリリウムイオン(RC≡NR
+)、非置換および置換ジアゾニウムイオン(N≡N
+R)、2つの部分的に二重結合の置換基を有する第三級アンモニウムイオン(R
……N
+H
……R)、非置換および置換ピリジニウムイオン、1つの三重結合の置換基および1つの一重結合の置換基を有する第四級アンモニウムイオン(R≡N
+R)、1つの三重結合の置換基を有する第三級オキソニウムイオン(R≡O
+)、ニトロソニウムイオン(N≡O
+)、2つの部分的に二重結合の置換基を有する第三級オキソニウムイオン(R
……O
+……R)、ピリリウムイオン(C
5H
5O
+)、1つの三重結合の置換基を有する第三級スルホニウムイオン(R≡S+)、2つの部分的に二重結合の置換基を有する第三級スルホニウムイオン(R
……S
+……R)、およびチオニトロソニウムイオン(N≡S
+)が挙げられる。いくつかの実施形態では、オニウムイオンは、非置換および置換モノ−またはジアリールヨードニウムイオン、および非置換および置換モノ−、ジ−、およびトリアリールスルホニウムイオンから選択される。適切なオニウム塩の例は、米国特許第4,442,197号(CRIVELLO et al.)、同第4,603,101号(Crivello)、および同第4,624,912号(Zweifel et al.)で見ることができる。
【0039】
適切な光酸発生剤は、化学増幅型フォトレジストの技術分野で既知であり、例えば、オニウム塩類、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、ニトロベンジル誘導体、例えば、2−ニトロベンジル−p−トルエンスルホネート、2,6−ジニトロベンジル−p−トルエンスルホネート、および2,4−ジニトロベンジル−p−トルエンスルホネート、スルホン酸エステル、例えば、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、および1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン、ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、グリオキシム誘導体、例えば、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、およびビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシコハク酸イミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、およびハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、および2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンを包含する。具体例として適切な光酸発生剤は、米国特許第8,431,325号(Hashimoto et al.)の37段落目の11〜47行目および41〜91段落目にさらに記載されている。
【0040】
2つの特定のPAGは、次のPAG1およびPAG2であり、その合成は、2012年9月15日に出願された米国特許出願第61/701,588号に記載されている。
【化16】
【0041】
他の適切なスルホネートPAGとしては、スルホン酸化エステル類およびスルホニルオキシケトン類が挙げられる。ベンゾイントシレート、α−(p−トルエンスルホニルオキシ)酢酸t−ブチルフェニルおよびα−(p−トルエンスルホニルオキシ)酢酸t−ブチルを含む適切なスルホネートPAGの開示のため、J. of Photopolymer Science and Technology, 4(3):337−340 (1991)を参照されたい。好ましいスルホネートPAGはまた、米国特許番号第5,344,742号(Sinta et al.)に開示されている。
【0042】
他の有用な光酸発生剤としては、一群のニトロベンジルエステル類およびs−トリアジン誘導体が挙げられる。適切なs−トリアジン光酸発生剤は、例えば、米国特許第4,189,323号に開示されている。
【0043】
光酸発生剤は、光破壊性塩基をさらに含む。光破壊性塩基としては、光分解性カチオン類、および好ましくは、例えば、C
1〜20カルボン酸などの弱酸(pK
a>2)アニオンと対となるPAG合成に有用なものが挙げられる。典型的なそのようなカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、コハク酸シクロヘキシルカルボン酸、安息香酸、サリチル酸、および他の同様なカルボン酸が挙げられる。典型的な光破壊性塩基としては、カチオンがトリフェニルスルホニウムまたは下記の1つである下記構造のカチオンおよびアニオンの組み合わせのものが挙げられる。
【化17】
式中、Rは、独立して、H、C
1〜20アルキル、C
6〜20アリール、またはC
6〜20アルキルアリールであり、アニオンは、
【化18】
式中、Rは、独立して、H、C
1〜20アルキル、C
1〜20アルコキシル、C
6〜20アリール、またはC
6〜20アルキルアリールである。
【0044】
フォトレジストは、例えば、2−ニトロベンジル基およびベンゾイン基など非イオン性光分解性発色団を母体とするものを含む光塩基発生剤を包含し得る。典型的な光塩基発生剤は、オルトニトロベンジルカルバメートである。
【0045】
フォトレジストは、光開始剤を含み得る。光開始剤は、フリーラジカル発生により架橋剤の重合開始するためにフォトレジスト組成物中に使用される。適切なフリーラジカル光開始剤としては、例えば、米国特許第4,343,885号の13段落26行目〜17段落18行目に記載のアゾ化合物、硫黄含有化合物、金属塩および金属錯体、オキシム類、アミン類、多核性化合物、有機カルボニル化合物およびそれらの混合物、および9,10−アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントレンキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノン、レテンキノン、7,8,9,10−テトラヒドロナフタレンキノン、および1,2,3,4−テトラヒドロベンズ(a)アントラセン−7,12−ジオンが挙げられる。他の光開始剤は、米国特許第2,760,863号に記載されており、ベンゾイン、ピバロイン、アクロインエーテル類などのビシナルケタールドニルアルコール類、例えば、ベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインエチルエーテル、ならびにアルファメチルベンゾイン、アルファアリルベンゾイン、およびアルファフェニルベンゾインを含むアルファ炭化水素置換芳香族アクロイン類を包含する。米国特許第2,850,445号、同第2,875,047号、および同第3,097,096号に記載の光還元性色素および還元剤も、米国特許第3,427,161号、同第3,479,185号、および同第3,549,367号に記載のフェナジン、オキサジン、およびキノン類の色素、ベンゾフェノン、水素供与体との2,4,5−トリフェニルイミダゾリル二量体類、およびそれらの混合物もまた、光開始剤として使用され得る。
【0046】
フォトレジスト組成物は、界面活性剤をさらに含み得る。実例となる界面活性剤としては、フッ素化および非フッ素化界面活性剤が挙げられ、好ましくは、非イオン性である。典型的な非イオン性フッ素化界面活性剤としては、3M社から入手できるFC−4430およびFC−4432界面活性剤などのペルフルオロC
4界面活性剤、およびオムノバ社から入手できるPOLYFOX(商標)PF−636、PF−6320、PF−656、およびPF−6520フッ素系界面活性剤などのフルオロジオール類が挙げられる。
【0047】
フォトレジスト組成物は、非光破壊性塩基である失活剤をさらに含み得る。これらは、例えば、水酸化物類、カルボキシレート類、アミン類、イミン類およびアミド類を母体とするものが挙げられる。そのような失活剤は、C
1〜30有機アミン類、イミン類またはアミド類、強塩基類(例えば、水酸化物またはアルコキシド)もしくは弱塩基(例えば、カルボキシレート)のC
1〜30第四級アンモニウム塩類を包含する。実例となる失活剤としては、トリプロピルアミン、ドデシルアミン、トリス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノール、および2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トレーガー塩基などのアリールアミン類、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)、およびテトラヒドロキシイソプロピルジアミンおよびtert−ブチル−4−ヒドロキシ−1−ピペリジエンカルボキシレートなどのヒンダードアミン類、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、2−ヒドロキシ安息香酸テトラメチルアンモニウム(TMA OHBA)、および乳酸テトラブチルアンモニウムなどの第四級アルキルアンモニウム塩類を含むイオン性失活剤が挙げられる。適切な失活剤は、米国特許第8,431,325号(Hashimoto et al.)にさらに記載されている。
【0048】
フォトレジスト構成成分を、通常、調剤および塗布するために、溶媒に溶解する。実例となる溶媒は、アニソール、1−メトキシ−2−プロパノール、および1−エトキシ−2−プロパノールを含むアルコール類、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、酢酸1−メトキシ−2−プロピル、プロピオン酸メトキシエトキシ、プロピオン酸エトキシエトキシ、および2−ヒドロキシイソ酪酸を含むエステル類、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノンを含むケトン類、およびそれらの組み合わせが挙げられる。溶媒の量は、フォトレジスト組成物の総重量に基づいて、70〜99重量%、具体的には、85〜98重量%であり得る。
【0049】
フォトレジスト組成物はまた、他の材料を含有してもよい。例えば、他の任意の添加剤としては、光活性化色素およびコントラスト染料、ストリエーション防止剤、可塑剤、加速剤および増感剤が挙げられる。そのような任意の添加剤は、通常、フォトレジスト組成物中に微量な濃度で存在するだろう。
【0050】
いくつかの実施形態では、溶液中のフォトレジスト組成物は、固体総重量に基づいて、50〜99.9重量%、具体的には、55〜99.9重量%、より具体的には、65〜99.9重量%の量の重合体を含む。フォトレジストの構成成分の本文脈で使用される「重合体」は、本明細書に開示される共重合体、または該重合体とフォトレジストに有用な別の重合体との組み合わせのみを意味すると理解されるだろう。光破壊性塩基は、固体総重量に基づいて、0.01〜5重量%、具体的には、0.1〜4重量%、より具体的には、0.2〜3重量%の量で、フォトレジスト中に存在し得る。界面活性剤は、固体総重量に基づいて、0.01〜5重量%、具体的には、0.1〜4重量%、より具体的には、0.2〜3重量%の量で含み得る。光酸発生剤は、固体総重量に基づいて、0〜50重量%、具体的には、1.5〜45重量%、より具体的には、2〜40重量%の量で含み得る。失活剤は、比較的少量、例えば、固体総重量に基づいて、0.03〜5重量%で含み得る。他の添加剤は、固体総重量に基づいて、50重量%以下、具体的には、35重量%以下、より具体的には、25重量%以下の量で含み得る。フォトレジスト組成物の固体総重量は、0.5〜50重量%、具体的には、1〜45重量%、より具体的には、2〜40重量%、さらにより具体的には、5〜30重量%であり得る。全固体は、溶媒を除いて、重合体、光破壊性塩基、失活剤、界面活性剤、いずれもの添加したPAG、およびいずれもの任意の添加剤を含むと理解されるだろう。
【0051】
別の実施形態では、該共重合体を含むネガ型フォトレジストがある。好ましいネガ作用型組成物は、酸および本明細書に開示の1つ、2つ、またはそれ以上の光酸発生剤に曝露することにより、硬化、架橋、または硬くなる材料の混合物を含む。好ましいネガ作用型組成物は、フェノール類または非芳香族系重合体などのポリマー結合剤、本発明の架橋成分および光活性成分を含む。そのような組成物およびその使用は、欧州特許出願第EP0164248号(Freely)、および米国特許第5,128,232号(Thackeray et al.)に開示されている。好ましいポリマー結合剤成分として使用するフェノール類重合体としては、ノボラック樹脂およびポリ(ビニルフェノール)類が挙げられる。好ましい架橋剤としては、メラミン樹脂、グリコールウリル樹脂、ベンゾグアナミン系材料、および尿素系材料を含むアミン系材料が挙げられる。メラミンホルムアルデヒド共重合体は、しばしば、特に適切である。そのような架橋剤は市販されており、例えば、商品名CYMEL(商標)301、303、1170、1171、1172、1123および1125ならびにBEETLE(商標)60、65および80でCytec社により販売されているようなメラミン重合体、グリコールウリル重合体、尿素系重合体およびベンゾグアナミン重合体である。
【0052】
別の実施形態は、(a)その表面にパターン形成される1つ以上の層を有する基板、および(b)該パターン形成される1つ以上の層の上に、フォトレジスト組成物の層を含む塗布基板である。
【0053】
基板は、シリコンまたは化合物半導体(例えば、III−VまたはII−VI)、ガラス、石英、セラミック、銅および同類のものなどの半導体のような材料のものであり得る。通常、基板は、1つ以上の層およびその表面に形成されたパターン形状を有する単結晶シリコンまたは化合物半導体ウエハーなどの半導体ウエハーである。任意に、下地基礎基板材料それ自体は、例えば、基礎基板材料にトレンチを形成することが望まれるとき、パターン化され得る。基礎基板材料の上に形成された層は、例えば、アルミニウム、銅、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、および合金、そのような金属の窒化物またはケイ化物、ドープアモルファスシリコンまたはドープポリシリコンの層などの1つ以上の導電層、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン窒化酸化膜または金属酸化膜の層などの1つ以上の誘電体層、単結晶シリコンなどの半導体層、下地層、下層反射防止層などの反射防止層、およびそれらの組み合わせを含み得る。層は、種々の技術、例えば、プラズマCVD、低圧CVDまたはエピタキシャル成長などの化学気相成長法(CVD)、スパッタリングまたは蒸着などの物理的気相成長法(PVD)、電気メッキまたはスピンコーティングにより形成され得る。
【0054】
本発明は、(a)基板上に本明細書中に記載のフォトレジスト組成物のいずれもの層を塗布し、(b)該フォトレジスト組成物層を活性化(例えば、極紫外線または電子線)照射にパターン露光し、および(c)該露光したフォトレジスト組成物層を現像して、レジストレリーフ像を提供することを含む電子デバイス形成方法をさらに包含する。該方法は、任意に、(d)下地基板にレジストレリーフパターンをエッチングすることを、さらに含んでもよい。
【0055】
フォトレジスト組成物の基板への塗布は、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、およびドクターブレード法を含む任意の適切な方法で実施され得る。いくつかの実施形態では、フォトレジスト組成物層の塗布は、フォトレジスト組成物が回転するウエハー上に分注される塗布ラインを使用して溶媒中のフォトレジストをスピンコーティング法により実施される。分注の間に、ウエハーは、毎分4,000回転(rpm)まで、具体的には、500〜3,000rpm、およびより具体的には、1,000〜2,500rpmの速度で回転され得る。塗布されたウエハーを、溶媒を除去するために回転し、被膜から残溶媒および自由体積を除去するために、ホットプレート上でベーキングして、均一に高密度にする。
【0056】
それから、パターン露光は、被膜がパターンマスクを通して照射され、それによって、パターン状に露光されるステッパーなどの露光装置を使用して実行される。いくつかの実施形態では、該方法は、極紫外線(EUV)または電子線(e−ビーム)を含む高解像度可能な波長で活性化照射を発生する最新の露光装置を使用する。活性化照射を使用する露光が、露光領域のPAGを分解し、酸および分解副生成物を生成すること、および、それから、露光後ベーク(PEB)工程中に、酸が重合体中の化学変化(酸感受性基をデブロックし、塩基溶解性基を生成、あるいは、露光領域で架橋反応を触媒する)をもたらすことは、認識されているだろう。そうような露光装置の解像度は、30ナノメートル未満であり得る。
【0057】
それから、露光したフォトレジスト層の現像は、露光した層を、被膜(ここで、フォトレジストはポジ型である)の露光部分を選択的に除去、または被膜(ここで、フォトレジストは露光領域で架橋性、すなわち、ネガ型である)の未露光部分を選択的に除去することが可能な適切な現像液で処理することにより実施される。いくつかの実施形態では、フォトレジストは、酸感受性(脱保護可能な)基を有する重合体に基づいて、ポジ型であり、現像液は、好ましくは、例えば、0.26規定水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液などの金属イオンを有しない水酸化テトラアルキルアンモニウムである。あるいは、ネガ型現像(NTD)は、適切な有機溶媒現像液を使用して実行され得る。NTDにより、フォトレジスト層の未露光領域が除去され、これらの領域の極性反転のために露光領域が残される。適切なNTD現像液としては、例えば、ケトン類、エステル類、エーテル類、炭化水素類、およびこれらの混合物が挙げられる。他の適切な溶媒としては、フォトレジスト組成物で使用されるものが挙げられる。いくつかの実施形態では、該現像液は、2−ヘプタノンまたは酢酸n−ブチルなどの酢酸ブチルである。現像がポジ型であろうとネガ型であろうと、現像によりパターンが形成する。
【0058】
1つ以上のそのようなパターン形成工程で使用されるとき、フォトレジストは、メモリ素子、プロセッサチップ(中央演算処理装置またはCPUを含む)、グラフィックチップ、および他の同様なデバイスなどの電子デバイスおよび光電子デバイスの製造に使用され得る。
【0059】
本発明を、下記実施例により、さらに例示する。
【実施例】
【0060】
本実施例に使用されるモノマーの略語および化学構造を、表1に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【0061】
(比較)PPMA/α−GBLMA/DiHFA/TBPPDBT−F2共重合体の合成。供給液を、PPMA(41.2グラム)、α−GBLMA(45.35グラム)、DiHFA(28.48グラム)およびTBP PDBTS−F
2(13.96グラム)を130.8gの乳酸エチルおよびガンマブチロラクトンの30:70(v/v)混合物に溶解することにより調製した。ヒール液を、PPMA(2.69グラム)、α−GBLMA(2.24グラム)、DiHFA(3.92グラム)およびTBP PDBTS−F
2(2.13グラム)を86.5グラムの乳酸エチルおよびガンマブチロラクトンの30:70(v/v)混合物に溶解することにより調製した。開始液を、14.6グラムのアゾ開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社からV−65として得られる)を14.6グラムのアセトニトリルおよびテトラヒドロフランの2:1(v/v)混合物に溶解することにより調製した。
【0062】
重合は、水冷の冷却管およびフラスコ内の反応をモニターするために温度計を備え付けた2リットル三ツ口丸底フラスコで実行した。内容物を、オーバーヘッド撹拌機を使用して撹拌した。反応体にヒール液を入れて、内容物を75℃まで加熱した。供給液および開始液を4時間の期間をかけて、シリンジポンプを使用して反応体に供給した。それから、内容物をさらに2時間撹拌し、その後、反応を、ヒドロキノン(2.0グラム)を用いて停止した。内容物を室温まで冷却し、THFで25重量%まで希釈し、ジイソプロピルエーテル(IPE)およびメタノール(MeOH)の95:5(w/w)混合物の10倍(重量)から、2回沈殿させた。各沈殿工程の後、得られた重合体を50℃で24時間、真空下乾燥して、99グラムのモル比34:50:10:6の各繰り返し単位および5,300原子質量単位の平均分子量の重量を有するPPMA/α−GBLMA/DiHFA/TBPPDBT−F2共重合体を得た。この共重合体を共重合体1と呼ぶ。
【0063】
(比較)CF3PPMA/α−GBLMA/DiHFA/PDBT−F2共重合体の合成。同様な方法を使用して、モル比36:47:11:6の各繰り返し単位および5,000原子質量単位の平均分子量の重量を有するCF3PPMA/α−GBLMA/DiHFA/PDBT−F2共重合体を合成した。この共重合体を共重合体2と呼ぶ。
【0064】
PPMA/α−GBLMA/DiHFA/TBPPDBT−F2共重合体およびCF3PPMA/α−GBLMA/DiHFA/PDBT−F2共重合体のリソグラフィーの評価。表2に、PPMA/α−GBLMA/DiHFA/TBPPDBT−F2共重合体およびCF3PPMA/α−GBLMA/DiHFA/PDBT−F2共重合体を含むフォトレジストの組成物およびプロセス条件をまとめている。表2では、成分量は、溶媒を除く固体総重量に基づいて、重量%で表している。表2では、光酸発生剤DiMADMeOAC PDBT−ADOHは、化学構造
【化19】
を有する。
【0065】
表2ではまた、「PDQ」は、光分解性失活剤である。PDQ TBPPDBT−ADCAは、化学構造
【化20】
を有する。
【0066】
失活剤THIPDAは、化学構造
【化21】
を有する。
【0067】
オムノバソリューションズ社から得られる界面活性剤POLYFOX(商標)PF−656は、化学構造
【化22】
(式中、x+yは、平均で約6である)を有する。「EL」は乳酸エチルであり、「HBM」は、2−ヒドロキシ酪酸メチルである。
【0068】
【表2】
【0069】
図1は、コンタクトホール露光のために最適化された比較例1のフォトレジストおよびライン露光に最適化された比較例2のコンタクトホールおよびライン/スペース性能を示す。比較例1では、30ナノメートルコンタクトホールは、2.82ナノメートルの限界寸法均一性(CDU)で、51ミリジュール/平方センチメートルで十分にプリントした(
図1(a))。しかしながら、同じレジストをライン/スペース性能で評価したとき、解像度は、22ナノメートルハーフピッチでパターン崩壊により制限された(
図1(b))。比較例2では、17ナノメートルライン/スペース性能が得られた(
図1(c))が、コンタクトホール性能(
図1(d))は、比較例1より、有意に劣っていた。
【0070】
コンタクトホールド露光がライン/スペース露光で何故失敗し、ライン/スペースレジストがコンタクトホール露光で何故失敗するのかという疑問に取り組むために、上記フォトレジスト組成物を、248ナノメートル露光下、水酸化テトラメチルアンモニウム現像液(0.26規定水酸化テトラメチルアンモニウム、ポジ型現像で使用される標準現像液)中での溶解速度(DR)をモニターすることにより解析した。
図2にプロットした溶解速度データは、溶解速度モニター装置LTJ ARM800を用いて、470ナノメートルのモニター波長を使用して得られた。
図2のプロットでは、x軸は、露光量であり、ミリジュール/平方センチメートルの単位で表し、対数目盛でプロットし、そして、y軸は、溶解速度であり、ナノメートル/秒の単位で表し、対数目盛でプロットした。比較例1のフォトレジストは、より高いR
max値(約7586ナノメートル/秒)および急峻なコントラスト(Tanθ)を示す。対照的に、比較例2のフォトレジストは、非常により浅い溶解コントラストならびにより低いR
maxおよびR
minにより特徴づけられた。これらのレジストの性能差は、溶解速度の差と一致する。
【0071】
溶解速度は、共重合体中の酸不安定基の含有量に依存する可能性があるので、酸不安定基モノマーの異なる量の3つのPPMA/α−GBLMA/DiHFA/PDBT−F2共重合体を合成し、表3にまとめている。36/45/11/5共重合体は、36モル%の酸不安定基モノマーを有する対照系である。他の2つの共重合体は、26モル%および21モル%の酸不安定基モノマーで合成した。各共重合体は、約5,000原子質量単位の平均分子量の重量を有していた。
【0072】
【表3】
【0073】
共重合体3〜5を含有するフォトレジスト組成物は、表4(成分量は、溶媒を除く固体総重量に基づいている)にまとめたように処方した。
【0074】
【表4】
【0075】
フォトリソグラフィーの結果は、表5に示され、表中、「UFTL」はオングストロームで表される未露光被膜の厚みであり、「R
min」は、ナノメートル/秒で表される未露光レジストの溶解速度であり、「R
max」は、ナノメートル/秒で表される十分に露光されたレジストの溶解速度であり、「248nmE
0」は、ミリジュール/平方センチメートルで表される、クリアにする248ナノメートルの露光量である。結果は、より低含有量の酸不安定基モノマーを有する共重合体が、R
maxの有意な減少を示したことを示している。比較例4および5のUFTL値は、有意に増加しているので、EUVリソグラフィーによる評価をしなかった。高UFTL値は、潜在的に、深刻なトップロス(モットリング)を伴い、現像サイクル後のアスペクト比を減少させる可能性がある。
【0076】
【表5】
【0077】
中性脂肪族モノマー、ADMAを含む効果を探求するために、さらに共重合体を合成した。共重合体の組成は、表6にまとめている。共重合体8は、次のように合成した。ヒール液を、PPMA(0.44グラム)、α−GBLMA(0.36グラム)、DiHFA(0.63グラム)およびTBPPDBTS−F2(0.34グラム)を16.35gのガンマブチロラクトンおよび乳酸エチルの70:30(v/v)混合物に溶解することにより調製した。供給液を、PPMA(4.78グラム)、α−GBLMA(7.25グラム)、DiHFA(4.78グラム)、ADMA(2.07グラム)およびTBPPDBTS−F2(2.57グラム)を21.16グラムのガンマブチロラクトンおよび乳酸エチルの70:30(v/v)混合物に溶解することにより調製した。開始液を、2.34グラムのアゾ開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社から得られる)を2.34グラムのアセトニトリルおよびテトラヒドロフランの2:1(v/v)混合物に溶解することにより調製した。重合は、水冷の冷却管およびフラスコ内の反応をモニターするために温度計を備え付けた300ミリリットル三ツ口丸底フラスコで実行した。内容物を、オーバーヘッド撹拌機を使用して撹拌した。反応体にヒール液を入れて、内容物を75℃まで加熱した。供給液および開始液を4時間の期間をかけて、シリンジポンプを使用して反応体に供給した。それから、内容物をさらに2時間撹拌し、その後、反応を、ヒドロキノン(0.2グラム)を用いて停止した。内容物を室温まで冷却し、THFで25重量%まで希釈し、ジイソプロピルエーテルおよびメタノールの95:5(w/w)混合物の10倍(重量)から、2回沈殿させた。各沈殿工程の後、得られた重合体を50℃で24時間、真空下乾燥して、8グラムのPPMA/α−GBLMA/DiHFA/ADMA/TBPPDBT−F2共重合体(共重合体6)を得た。表6に一覧した他の共重合体は、使用する中性モノマーの種類および/または含有量を変えた以外は同様の方法で合成した。
【0078】
【表6】
【0079】
共重合体6〜10を含有するフォトレジスト組成物は、表7(成分量は、溶媒を除き固体総重量に基づいている)にまとめたように処方した。光酸発生剤TBPPDBT DHCは、化学構造
【化23】
を有する。表7中全処方は、溶媒として乳酸エチルおよびガンマブチロラクトンの70:30(w/w)混合物を使用した。レジストは、110℃で90秒間、ソフトベーク、および100℃で60秒間、露光後ベークで処理した。248ナノメートルでのコントラスト曲線は、60ナノメートルの厚みの有機反射防止層(ダウエレクトロニックマテリアルズ社AR(商標)9−900)上にレジストを塗布することにより作成した。レジストは、キヤノン社TELACT装置上248ナノメートルで露光した。露光後ベーク後、レジストを、0.26規定水酸化テトラメチルアンモニウム溶液を使用して、60秒間現像した。被膜厚の値は、ケーエルエーテンコール社OPTIPROBE(商標)7341熱波動装置を使用して測定した。
【0080】
【表7】
*TIPA=トリイソプロピルアミン
【0081】
表7のフォトレジスト組成物のフォトリソグラフィーの結果を表8にまとめている。表8では、「EUV Es」は、極紫外線露光を用いた26ナノメートル限界寸法で、ミリジュール/平方センチメートルで表されるサイジングエネルギーである。PAGを添加しないフォトレジスト組成物(比較例6および7、ならびに実施例1および3)では、実施例1および3の本発明のフォトレジストは、中性脂肪族モノマー由来の繰り返し単位を有する共重合体を組み込み、中性脂肪族モノマーを含有しない共重合体の比較例6および中性脂肪族モノマーを含有せず、低含有量の酸不安定基を有する共重合体の比較例7に比較して、より低いR
max値を示した。低含有量の酸不安定基であっても、実施例1および3の共重合体における中性脂肪族モノマーの含有は、比較例7のフォトレジストより有意に低いUFTLを得ることも観察された。この結果は、共重合体中の酸不安定基含有量の減少が、UFTLの有機な増加と関連付けされた表5に示したものとは異なる。処方物に添加PAGを含有する比較例8および実施例2および4のフォトレジスト組成物では、共重合体が中性脂肪族モノマーを含有する実施例2および4の本発明のフォトレジストは、比較例8に比較して、非常に低いR
max値を示した。より高いUFTLおよびR
maxが、添加PAGを含有しない組成物の低いUFTLおよびR
maxとは対照的に、添加PAGを含有する全処方で観察された。
【0082】
【表8】
【0083】
実施例3のフォトレジストは、フォトスピードが遅いためEUVリソグラフィーによる評価をしなかった。実施例2および比較例8のフォトレジストを、アルバニー社(Albany)eMET装置で、ライン/スペース性能を評価した。フォトレジストは、ポリエステルベース反射防止層を25ナノメートルの厚さでプレコートしたシリコンウエハー上に、40ナノメートルの厚さで塗布した。実施例1および4ならびに比較例6および7のフォトレジストを、Lawrence Berkeley National Laboratory(LBNL)eMET装置で評価した。フォトレジストは、35ナノメートルの厚さ(実施例1)または50ナノメートルの厚さ(実施例4ならびに比較例6および7)で、反射防止層の上に塗布した。レジストは、110℃で90秒間、プレベークし、次いで、EUV光でパターン露光した。100℃で60秒間の露光後ベーク後、レジストを、30秒間、0.26規定水酸化テトラメチルアンモニウムで現像した。
図3は、実施例1および3の本発明のフォトレジストならびに比較例3、6、および7の比較フォトレジストの26ナノメートルのライン/スペース性能を示す。実施例1および3の本発明のフォトレジストの真上から観察した走査電子顕微鏡撮影は、過露光でモットリングが減少することを示している(21ナノメートル限界寸法)。
【0084】
図4は、実施例2の本発明のフォトレジストならびに比較例8の比較フォトレジストの26ナノメートルのラインスペース性能を示す。実施例2の本発明のフォトレジストは、モットリングの減少および焦点深度の増加を示している。
【0085】
図5は、実施例2およびに比較例8の22ナノメートルのライン/スペース性能を示す。実施例2の本発明のフォトレジストは、モットリングの減少および焦点深度の増加を示している。