(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記センサは、装着した際に前記体表面と接する面の温度を検出するサーミスタを備え、前記サーミスタの測定値が閾値範囲内にあるか閾値範囲外にあるかによって、装着状態を判定することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のバイタルセンサモジュール。
前記発光素子は赤色発光ダイオードと赤外発光ダイオードとを備え、血中酸素飽和度を測定可能であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のバイタルセンサモジュール。
前記バイタルセンサモジュールは、人体の前腕、指、若しくは外耳道に装着可能であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のバイタルセンサモジュール。
前記バイタルセンサモジュールは、外部のパーソナルコンピュータ若しくは携帯端末との無線通信可能であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のバイタルセンサモジュール。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照して、本実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0015】
又、以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
[第1の実施の形態]
(バイタルセンサモジュールの装着形態)
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2を人体18の前腕の内側に装着し、外部のPC/携帯端末4との無線通信の様子を示す模式図は、
図1(a)に示すように表される。また、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2を人体18の前腕の外側に装着し、外部のPC/携帯端末4との無線通信の様子を示す模式図、
図1(b)に示すように表される。第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2は、
図1(a)・
図1(b)に示すように、腕用のストラップ50を介して、人体18の前腕に装着可能である。
【0017】
また、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2Fを人体18の人差し指18Fの内側に装着し、外部のPC/携帯端末4との無線通信の様子を示す模式図は、
図2(a)に示すように表される。また、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2Fを人体18の人差し指18Fの外側に装着し、外部のPC/携帯端末4との無線通信の様子を示す模式図は、
図2(b)に示すように表される。第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2Fは、
図2(a)・
図2(b)に示すように、指用のストラップ50Fを介して、人体18の人差し指18Fに装着可能である。尚、ここでは人差し指18Fに装着する例は示されているが、人差し指18Fに限定されるものではなく、他の指であっても良い。
【0018】
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2Eを外耳道の入り口に装着した様子を示す模式図は、
図3(a)に示すように表され、外耳道に装着する実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2Eと外部のPC/携帯端末4との無線通信の様子を示す模式図は、
図3(b)に示すように表される。
【0019】
さらに、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールの装着例は、上記の前腕18・人差し指18F・外耳道入口に限定されるものではなく、他の人体部位であっても良い。
【0020】
(光センサ)
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールの光センサ1部分の模式的平面構成例は、
図4(a)に示すように表され、別の模式的平面構成例は、
図4(b)に示すように表される。
【0021】
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールの光センサ1部分は、
図4(a)に示すように、1個の発光素子(LED;Light Emitting Diode)12と、LED12に隣接して配置された1個の受光素子(PD:Photodetector)14とを備える。LED12およびPD14は、基板20A上に配置される。また、LED12およびPD14は、基板20A上に配置される遮光用樹脂壁(絶縁層)21によって周辺を囲まれていても良い。ここで、LED12は、可視光若しくは近赤外光を発光可能である。また、PD14は、可視光若しくは近赤外光を発するLED12と同帯域に感度を有する受光素子である。なお、複数個のPD14を配置する場合は、複数個のPD14上にそれぞれ光学フィルタを設けて使い分けても良い。例えば、一方のPD14は可視光に感度を有し、他方のPD14は、近赤外光に感度を有するように光学フィルタを設けるようにしても良い。光学フィルタは、例えば受光素子や樹脂パッケージに施すことで形成できるが、これに限定されるものではない。
【0022】
また、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2において、LED12は緑色発光ダイオードを備え、脈波を計測可能である。
【0023】
また、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2において、LED12は赤色発光ダイオード若しくは赤外発光ダイオードを備え、血中酸素飽和度を測定可能である。
【0024】
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールの光センサ1部分の別の構成例は、
図4(b)に示すように、2個のLED12
1・12
2と、LED12
1・12
2に隣接して配置された1個のPD14とを備える。LED12
1・12
2およびPD14は、基板20A上に配置される。また、LED12
1・12
2およびPD14は、基板20A上に配置される遮光用樹脂壁(絶縁層)21によって周辺を囲まれていても良い。ここで、LED12
1・12
2は、可視光若しくは近赤外光を発光可能である。また、PD14は、可視光若しくは近赤外光を発するLED12
1・12
2と同帯域に感度を有する受光素子である。
【0025】
(バイタルセンサモジュール)
また、
図4(a)に示す光センサ1を備えた第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2を人体(腕)18に装着した状態の模式的断面構造例は、
図5に示すように表される。
【0026】
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2は、
図5に示すように、例えば、人体(腕)18に対してフェースダウンに密着して配置される。なお、
図5に示す例では、バイタルセンサモジュール2は、人体(腕)18に対して密着しているが、人体(腕)18の表面と所定の距離だけ離隔して配置しても良い。ここで、所定の距離は、例えば数mm以内である。
【0027】
基板20Aは、例えば、プリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)等で形成可能であり、モジュール筐体10内に配置されている。基板20Aの表面(人体18に接触する側の面をここでは、裏面若しくは底面と称する)側には、メモリ8A・制御用集積回路8B・抵抗素子8R・キャパシタ8Cなどが配置される。ここで、抵抗素子8R・キャパシタ8Cなどは,例えば遅延回路などの構成部品に適用される。
【0028】
また、
図5に示すように、基板20Aの表面側には、柱状樹脂壁(絶縁壁)21Bを介してバッテリ9が配置されていても良い。バッテリ9もモジュール筐体10内に配置される。また、バッテリ9と基板20A上の電極間は、ボンディングワイヤ20Wなどで接続されている。
【0029】
さらに、
図5に示すように、基板20Aおよびバッテリ9の表面側には、コネクタ6Aを介して基板20Bが配置されていても良い。基板20Bもモジュール筐体10内に配置される。ここで、コネクタ6Aは、基板20A・20B間を接続している。
【0030】
光センサ1は、
図5に示すように、モジュール筐体10表面より突出させて配置されることが望ましい。
【0031】
また、モジュール筐体10は、人体18と光センサ1との密着性が容易となるように、人体18と接触する部分において、人体18部位の形状に合わせて凹曲面形状を備えていても良い。
【0032】
本実施形態にかかるモジュール筐体10は、例えば表面に粘着性を備えており、バイタルセンサモジュール2は、モジュール筐体10の該粘着性により人体18に貼り付けられるような構成になっていてもよい。
【0033】
また、該モジュール筐体10は、バイタルセンサモジュール2の他の構成よりも柔軟性の高い素材により構成されていても良く、これにより、モジュール筐体10と人体18との密着性を向上させ、ひいてはバイタルセンサモジュール2と人体18との密着性をより向上させることができる。
【0034】
なお、モジュール筐体10の表面に粘着性を持たせた場合には、ベルト等のバイタルセンサモジュール2を人体18に密着させるための余計な構成が必須でなくなる。
【0035】
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2の人体18に接する底面側に配置される光センサ1部分の更に別の模式的平面構成例は、
図6に示すように表され、
図6のI−I線に沿う模式的断面構造は、
図7に示すように表される。
【0036】
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2の光センサ1は、
図6および
図7に示すように、PCB20上に、LED12を中心に配置し、LED12の周辺を囲むように複数のPD14
1・14
2・14
3・14
4を配置する。
図6の例では、複数のPDは、4個配置されている。
図6の例では、LED1個に対してPD4個配置されているが、この構成に限定されるものではなく、LED1個に対してPD2個配置されていても良い。また、PD1個に対してLED4個配置されていても良い。また、PD1個に対してLED2個配置されていても良い。
【0037】
また、
図6および
図7に示すように、PCB20の表面上には、黒色の遮光用樹脂壁21が配置されており、LED12およびPD14
1・14
2・14
3・14
4は、この遮光用樹脂壁21によって、互いに離隔されている。遮光用樹脂壁21には、黒色に着色された絶縁層を適用しても良い。
【0038】
LED12の周辺を囲むように複数のPD14
1・14
2・14
3・14
4をLED12の周囲に配置することで、LED12の周辺の光情報を有効に複数のPD14
1・14
2・14
3・14
4で把握することができ、光電脈波センサなどに適用して、その動作安定性を向上可能である。また、LEDの使用個数が1個であるため、低消費電力動作が可能である。
【0039】
図示は省略されているが、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2の天面側には被験者による操作・観測が可能なように操作部・表示部などが配置され、人体18に接する底面側には光センサ・各種センサなどが配置されていても良い。
【0040】
光センサ1と人体18との装着状態が不具合な場合には、
図1(a)若しくは
図7に示すように、本体部がX軸・Y軸・Z軸方向に動いてしまい、光センサ1と人体18との接触距離Δが変動してしまうが、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2は、装着状態が被験者に明示的に表示されることから、正しい装着状態を維持しつつ計測を実行可能である。装着状態を明示的にすることによって、装着不具合の状態で計測することを防ぎ、常に正しい状態(正しい値)にて計測することが可能となる。被験者に対して装着の理想状態を明らかにすることが可能となり、使い勝手が向上する。
【0041】
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2の模式的鳥瞰構成は、
図8に示すように表される。
【0042】
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2は、
図8に示すように、PCB20と、PCB20の表面上に配置されたLED12と、PCB20の表面上に、LED12と離隔して配置されたPD14
1・14
2・14
3・14
4と、PCB20の表面上に、LED12およびPD14
1・14
2・14
3・14
4と離隔して配置されたセンサ16
1・16
2・16
3・16
4とを備え、人体18や動物の体表面に接触させ、LED12から放出された光が生体内から戻る反射光をPD14
1・14
2・14
3・14
4で受光し、反射光の強度を検出すると共に、センサは体表面に接触して検出したセンサ出力値に基づいて、体表面との接触状態に関する情報を明示可能である。
【0043】
また、
図8に示すように、PCB20の表面上には、黒色の遮光用樹脂壁21が配置されており、LED12およびPD14
1・14
2・14
3・14
4・センサ(サーミスタ)16
1・16
2・16
3・16
4は、この遮光用樹脂壁21によって、互いに離隔されている。遮光用樹脂壁21には、黒色に着色された絶縁層を適用しても良い。
【0044】
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2は、反射光の波長、減衰比、若しくは位相差を検出しても良い。
【0045】
前記センサは、センサ出力値が閾値範囲内にあるか閾値範囲外にあるかによって、装着状態を判定することができる。
【0046】
また、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2は、体表面に接する面は平面を備え、かつ体表面に接する面は受光面と発光面とセンサ接触面とを備えていても良い。尚、体表面に接する面は必ずしも平面である必要はなく、腕にフィットするために意図的に曲面にする場合もある。
【0047】
また、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2において、LED12は緑色発光ダイオードを備え、脈波を計測可能である。
【0048】
また、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2において、LED12は赤色発光ダイオード若しくは赤外発光ダイオードを備え、血中酸素飽和度を測定可能である。
【0049】
また、センサは、
図8に示すように、装着した際に体表面と接する面の温度を検出するサーミスタ16
1・16
2・16
3・16
4を備え、サーミスタ16
1・16
2・16
3・16
4の測定値が閾値範囲内にあるか閾値範囲外にあるかによって、装着状態を判定すると共に、装着具合に関する情報を被験者に対して明示的にしても良い。
【0050】
また、サーミスタ16
1・16
2・16
3・16
4は、人体18や動物の体表面の温度の測定にも適用可能である。人体18や動物の体表面の温度から体温を推定することは可能である。
【0051】
また、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2は、
図8に示すように、PCB20の表面(人体18に接触する側の面をここでは、裏面若しくは底面と称する)側に配置された筐体10を備えていても良い。
【0052】
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2の筐体10内部の模式的ブロック構成の一例は、
図9に示すように表される。
【0053】
ここで、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2において、筐体10は、
図9に示すように、電源部34、アンテナ36に接続された無線通信部32、制御部30、操作部35、表示部40、もしくは記憶部42を内蔵可能である。
【0054】
さらに、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2は、
図5に示した構成と同様に、基板20の表面上に配置された電子回路部品を備えていても良い。電子回路部品は、例えば、LEDドライバなどの集積回路部品やキャパシタ、抵抗、インダクタなどの受動回路部品であっても良い。
【0055】
また、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2において、筐体10は、ウェアラブルに装着可能である。
【0056】
また、PCB20は、人体若しくは動物の体表面に形状に合わせて屈曲性を有する柔軟な素材を備えていても良い。すなわち、基板は、フレキシブルプリント回路基板を備えていても良い。
【0057】
(バイタルセンサモジュールの動作方法)
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2の動作方法を示すフローチャートは、
図10に示すように表される。
【0058】
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2の動作方法は、
図10に示すように、電源投入をオンにするステップS1と、光センサ1による計測をスタートするステップS2と、装着状態が正しいか否かを判断するステップS3と、ステップS3において装着状態が正しくない場合には、表示部(40)にアラート表示するステップS4と、アラート表示を受けて計測をリセットするとともに光センサ1による計測をスタートするステップS2に戻るステップS5と、ステップS3において装着状態が正しい場合には、光センサ1による計測を継続するステップS6と、計測されたデータを記憶部(42)にデータ格納するステップS7と、計測を終了するステップS8と、電源投入をオフにするステップS9とを有する。
【0059】
また、
図10において、ステップS6とステップS7との間の詳細な動作方法を示すフローチャートは、
図11に示すように表される。
【0060】
まず、光センサ1による計測を継続するステップS6の後、他のセンサによる信号取得を実施するか否かを判断するステップS61に移行する。ここで、他のセンサとは、例えば、温度センサ、圧力センサなどを想定している。
【0061】
ステップS61において、他のセンサによる信号取得を実施する(YES)の場合には、ステップS62に移行し、他のセンサによる信号を取得する。
【0062】
次に、ステップS62において、他のセンサによる信号取得を実施した後、ステップS63に移行して、取得した信号情報を記憶部(メモリ)42に格納する。
【0063】
次に、ステップS63において、取得した信号情報を記憶部(メモリ)42に格納した後、ステップS64に移行して、脈波信号を取得する。
【0064】
また、ステップS61において、他のセンサによる信号取得を実施しない(NO)の場合には、ステップS64に移行して、脈波信号を取得する。
【0065】
次に、ステップS64において、脈波信号を取得した後、ステップS7に移行して、取得した脈波信号情報(データ)を記憶部(メモリ)42に格納する。
【0066】
さらに、ステップS7の後、ステップS61・ステップS62・ステップS63・ステップS64の動作を繰り返しても良い。
【0067】
(脈波信号強度とサンプル数Sとの関係)
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールは、可視光および/若しくは近赤外光を発するLED12および同帯域に感度を有するPD14を備え、脈波センサモジュールを提供することができる。
【0068】
さらに、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールは、サーミスタ/加速度センサなどのセンサ類を搭載することによって、脈波センサ/サーミスタ/加速度センサなどを一つの複合モジュールとして形成可能であり、その装着形態は、手指先/手首/外耳道などの体表面に密着させる形状(腕時計/リストバンド/イヤホンなど)として、身体へ装着させる。
【0069】
(信号振幅の着目領域)
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールにおいて、脈波信号強度(a.u.)とサンプル数Sとの関係の測定例は、
図12に示すように表される。また、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールにおいて、脈波信号強度(a.u.)とサンプル数Sとの関係の別の測定例は、
図13に示すように表される。
【0070】
ここで、サンプリングは、例えば、1秒間に200回実施している。このため、
図12・
図13の横軸のサンプル数S=1000(個)は、5秒間に対応し、サンプル数S=11000(個)は、55秒間に対応している。したがって、
図12・
図13に示される2つの例は、横軸は、50秒間のサンプリングに対応している。なお、サンプリング周波数が相対的に低く、例えば20Hzなどである場合には、得られる脈波の分解能が低下して、呼吸リズムを可視化することが難しくなる。このため、サンプリング周波数は相対的に高い100Hz〜1kHz程度の周波数の範囲であることが望ましい。
【0071】
また、
図12・
図13に示される2つの例は、共に、脈波計測時における呼吸回数は13回/分で統一されている。
【0072】
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールにおいて、
図12の脈波信号強度(a.u.)とサンプル数Sとの関係の包絡線による呼吸回数の測定例(サンプル数S=1000〜6000(個))は、
図14に示すように表される。また、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールにおいて、
図12の脈波信号強度(a.u.)とサンプル数Sとの関係の包絡線による呼吸回数の測定例(サンプル数S=6000〜11000(個))は、
図15に示すように表される。
【0073】
ここで、サンプリングは、例えば、1秒間に200回実施している。このため、
図14の横軸のサンプル数S=1000(個)は、5秒間に対応し、サンプル数S=6000(個)は、30秒間に対応している。したがって、
図14に示されるの例は、横軸は、25秒間のサンプリングに対応している。
【0074】
同様に、
図15の横軸のサンプル数S=6000(個)は、30秒間に対応し、サンプル数S=11000(個)は、55秒間に対応している。したがって、
図15に示されるの例は、横軸は、25秒間のサンプリングに対応している。
【0075】
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールにおいて、脈波信号強度(a.u.)の波形のトップ及びボトムのピーク値をそれぞれ時系列に並べることで、呼吸リズムを反映した包絡線を得ることができる。
【0076】
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールにおいては、
図12〜15に示すように、脈波の基線A−Aラインより下部領域の脈波信号強度(信号振幅)の変化に着目すると、呼吸成分が表れており、呼吸に伴う変化が現れていることが分かる。
【0077】
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールにおいて、得られた脈波の信号振幅には呼吸に伴う振幅の変化が生じるため、特に信号振幅の基線A−Aラインより下部領域の変化をモニタすることで、呼吸リズムを検出可能である。
【0078】
(無呼吸による信号振幅の変化)
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールにおいて、無呼吸時における脈波信号強度(a.u.)とサンプル数Sとの関係の測定例(サンプル数S=1000〜8000(個))は、
図16に示すように表される。また、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールにおいて、無呼吸時における脈波信号強度(a.u.)とサンプル数Sとの関係の別の測定例(サンプル数S=1000〜11000(個))は、
図17に示すように表される。
【0079】
ここで、サンプリングは、例えば、1秒間に200回実施している。このため、
図16・
図17に示される2つの例は、横軸は、それぞれ35秒間・50秒間のサンプリングに対応している。
【0080】
図16・
図17に示される2つの例は、共に、脈波計測時における呼吸回数はゼロで統一されている。
【0081】
図16に示す例では、無呼吸時における脈波信号強度(a.u.)の信号振幅の初期値が1200であるのに対して、35秒の経過後、脈波信号強度(a.u.)の信号振幅は、約300に減少している。
【0082】
同様に、
図17に示す例では、無呼吸時における脈波信号強度(a.u.)の信号振幅の初期値が1000であるのに対して、50秒の経過後、脈波信号強度(a.u.)の信号振幅は、約600に減少している。
【0083】
呼吸を停止することで、血中の酸素化ヘモグロビン(HbO
2)が減少し、血中酸素飽和度は低下する。したがって、同量の血液伝播が行われている場合であっても、脈波の信号振幅は減少する。
【0084】
したがって、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールにおいては、脈波の信号振幅の減少傾向を測定することによって、呼吸の有無を判別可能である。
【0085】
一般的に、7時間で10秒以上の無呼吸が30回以上観測される場合や、1時間で無呼吸回数や低呼吸回数が5回以上観測される場合には、無呼吸であると判定される。
【0086】
(バイタルセンサモジュールの動作方法:フローチャート例1)
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールの動作方法を示すフローチャート例1は、
図18に示すように表される。また、
図18に示す動作方法に対応する脈波信号波形の説明図は、
図19に示すように表される。
【0087】
図19に示すように、脈波信号波形のボトムn番目の時間をT
n、ボトムn番目の信号強度をB
nで定義している。
【0088】
以下に、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールの動作フローチャート例1を説明する。
(a)まず、ステップS11において、光センサによって、脈波を取得する。
(b)次に、ステップS12において、取得した脈波のアナログ信号をA/Dコンバータを介して、ディジタル信号に変換する。
(c)次に、ステップS13において、脈波のボトムを検出して、時間情報としてのタイムスタンプを付与する。得られたデータを(T
n,B
n)とする。
(d)次に、ステップS14において、各ボトムの時間間隔D
n(=T
n−T
n-1)を算出し、前後の時間間隔(D
n-1,D
n+1)と比べて、例えば、約50%、若しくは約200%以上となる場合は、エラー値として排除する。エラー値として排除されたデータには前後の時間間隔より補完した値(T
c,B
c)を代入する。ここで、補完した値は、前後のデータの単純平均を採る方法や、重み付けをした加重平均を採る方法などを採用可能である。
(e)上記処理を施した後、ステップS15において、データ群(B
0,B
1,…,B
n,…)に対して適宜移動平均処理を行う。移動平均処理後のデータ群を(b
0,b
1,…,b
n,…)とする。
(f)次に、ステップS16において、移動平均処理を施した各データ(T
n,b
n)を結んで包絡線を求め、得られた包絡線に対して、単位時間当たりのピークまたはボトム値を求めることで、呼吸数の情報を取得する。
【0089】
なお、上記動作中に、マイクロホンにより会話や努力性呼吸を検出した場合は、その旨をシステム側へ通知(フラグ通知)する。
【0090】
この期間に得られた呼吸数の情報は、会話などによって正しく検出出来ていない可能性があるため、システム側にて情報活用の可否を判断しても良い。
【0091】
(バイタルセンサモジュールの動作方法:フローチャート例2)
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールの別の動作方法を示すフローチャート例2は、
図20に示すように表される。また、
図20に示す動作方法に対応する脈波信号波形の説明図は、
図21に示すように表される。
【0092】
図21に示すように、脈波信号波形のピークn番目の時間をt
n、ピークn番目の信号強度をP
n、ボトムn番目の時間をT
n、ボトムn番目の信号強度をB
nで定義している。
【0093】
以下に、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールの動作フローチャート例2を説明する。
(a)まず、ステップS21において、光センサによって、脈波を取得する。
(b)次に、ステップS22において、取得した脈波のアナログ信号をA/Dコンバータを介して、ディジタル信号に変換する。
(c)次に、ステップS23において、脈波のピークおよびボトムを検出して、時間情報としてのタイムスタンプを付与する。得られたピークデータを(t
n,P
n)、得られたボトムデータを(T
n,B
n)とする。
(d)次に、ステップS24において、ピーク信号強度とボトム信号強度の差分(P
n-B
n)または(P
n-B
n-1)を算出し、信号振幅ΔH
nとする。
(e)次に、ステップS25において、時間経過に合せて信号振幅ΔHを算出し、信号振幅ΔHの変化量をモニタする。
(f)次に、ステップS26において、一定時間(例えば15秒、30秒など)の間に信号振幅ΔHが継続的に減少する場合は、適切な呼吸が維持されていないと判断し、システム側へその旨を通知する。
【0094】
第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールにおいて、
図20の動作時における脈波信号強度(a.u.)とサンプル数Sとの関係の測定例は、
図22に示すように現される。
図22に示す例では、35秒間に信号振幅ΔH=1200〜ΔH=300まで、継続的に減少している。
【0095】
比較例に係るバイタルセンサモジュールにおける脈波信号波形例であって、駆出波P1と反射波P2を備える典型的な波形例は
図23(a)に示すように表され、上昇脚の不自然なノッチや変曲点(偽P1)を備える波形例は
図23(b)に示すように表され、収縮期頂点の変形・反射波の振幅変化を備える波形例は
図23(c)に示すように表され、下降脚の不自然な変曲ラインを備える波形例は
図23(d)に示すように表される。
【0096】
比較例に係るバイタルセンサモジュールにおける注意を要する脈波信号波形のパターン例であって、収縮期変形例(ノッチ型)は
図24(a)に示すように表され、収縮期変形例(とさか型)は
図24(b)に示すように表され、拡張期変形例(さざなみ型)は
図24(c)に示すように表される。
【0097】
計測器と皮膚との押し付け圧によって、脈波の各ピークには
図23・
図24示すような歪みが生じる。また、脈波の各ピークは計測器と皮膚との押し圧に影響されて、偽ピークを含む複数のピークが出現する。従って、上側包絡線を採用した場合は偽ピークの混入によって、検出精度が低下するが、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールにおいては、上側包絡線よりも下側包絡線に着目することで、呼吸リズムを検出可能である。
【0098】
また、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールにおいては、MCUにおけるデータの演算負荷が小さく、低消費電力化、低コスト化を図ることができる。
【0099】
また、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールにおいては、徐脈の発生に伴う振幅変化を、下側包絡線を用いて検出するため、検出するまでのリードタイムが短く、体動ノイズとの区別も容易である。
【0100】
さらに、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールにおいては、体表面温度/会話や努力性呼吸有無の情報(サンプリング周波数:低)を併せることで、検出精度を高めることが可能である。
【0101】
また、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールにおいては、計測状態によっては、同時に取得しているセンサ出力情報(体表面温度/体動の有無/会話の有無など)を参照することで、呼吸リズムの検出精度を高めることができる。
【0102】
また、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールにおいては、大きな装着負荷を伴うことなく、簡易な方法にて装着者の呼吸リズムをモニタすることが可能となる。
【0103】
また、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールを使用することによって、専門機関などに出向く必要がなく、日常生活に近い環境下においてのモニタが可能となる。
【0104】
また、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールを使用することによって、呼吸リズムを可視化することにより、リラクゼーションや体調管理の一助とすることが可能となる。
【0105】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、被験者の装着状態による負担を軽減し、かつ脈波の信号振幅変化に着目することで呼吸リズム、呼吸数、呼吸有無などの呼吸成分の抽出が可能であり、また脈拍数、血中酸素飽和度、体動の有無などの情報を併せて取得することで、装着者の状態をモニタすることも可能であるバイタルセンサモジュールおよびその動作方法を提供することができる。
【0106】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2において、人体に接する面側から見た模式的平面構成は、
図25に示すように表される。
【0107】
第2の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2において、センサは、装着した際に体表面と接する面との接触圧を検出する圧力センサを備える。すなわち、装着した際に身体(皮膚)と接する面(領域)に接触圧(押し圧)を検出する圧力センサを設けることで、装着具合に関する情報を被験者に対して明示的にしても良い。
【0108】
第2実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2は、
図25示すように、PCB20と、PCB20の表面上に配置されたLED12と、PCB20の表面上に、LED12と離隔して配置されたPD14
1・14
2・14
3・14
4と、PCB20の表面上に、LED12およびPD14
1・14
2・14
3・14
4と離隔して配置された圧力センサ22
1・22
2・22
3・22
4とを備え、人体18や動物の体表面に接触させ、LED12から放出された光が生体内から戻る反射光をPD14
1・14
2・14
3・14
4で受光し、反射光の強度を検出すると共に、圧力センサ22
1・22
2・22
3・22
4は体表面に接触して検出したセンサ出力値に基づいて、体表面との接触状態に関する情報を明示可能である。
【0109】
また、
図25に示すように、PCB20の表面上には、黒色の遮光用樹脂壁21が配置されており、LED12およびPD14
1・14
2・14
3・14
4・圧力センサ22
1・22
2・22
3・22
4は、この遮光用樹脂壁21によって、互いに離隔されている。遮光用樹脂壁21には、黒色に着色された絶縁層を適用しても良い。
【0110】
第2の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2は、反射光の波長、減衰比、若しくは位相差を検出しても良い。
【0111】
前記センサは、センサ出力値が閾値範囲内にあるか閾値範囲外にあるかによって、装着状態を判定することができる。その他の構成および動作方法は、第1の実施の形態と同様である。
【0112】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、被験者の装着状態による負担を軽減し、かつ脈波の信号振幅変化に着目することで呼吸リズム、呼吸数、呼吸有無などの呼吸成分の抽出が可能であり、また脈拍数、血中酸素飽和度、体動の有無などの情報を併せて取得することで、装着者の状態をモニタすることも可能であるバイタルセンサモジュールおよびその動作方法を提供することができる。
【0113】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2において、人体に接する面側から見た模式的平面構成は、
図26に示すように表される。
【0114】
第3の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2において、センサは、
図26に示すように、装着した際に体表面と接する面の温度を検出するサーミスタ16
1・16
2・16
3・16
4と、装着した際に体表面と接する面との接触圧を検出する圧力センサ22
1・22
2・22
3・22
4とを備える。
【0115】
第3の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2は、ストラップ50を介して、人体18に装着される。
【0116】
第3の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2の人体18に接する底面側に配置される光センサ部分の模式的平面構成は、
図26に示すように、LED12を中心に配置し、LED12の周辺を囲むように複数のPD14
1・14
2・14
3・14
4を配置する。
図26の例では、複数のPDは、4個配置されている。
【0117】
LED12の周辺を囲むように複数のPD14
1・14
2・14
3・14
4をLED12の周囲に配置することで、LED12の周辺の光情報を有効に複数のPD14
1・14
2・14
3・14
4で把握することができ、光電脈波センサなどに適用して、その動作安定性を向上可能である。また、LEDの使用個数が1個であるため、低消費電力動作が可能である。
【0118】
図示は省略されているが、第3の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2の天面側には被験者による操作・観測が可能なように操作部・表示部などが配置され、人体18に接する底面側には光センサと、サーミスタ16
1・16
2・16
3・16
4と、圧力センサ22
1・22
2・22
3・22
4などが配置される。尚、光センサ、サーミスタ16
1・16
2・16
3・16
4、圧力センサ22
1・22
2・22
3・22
4は、筐体10上に配置される同一のPCB上に配置されていても良い。或いは、別々の基板上に配置されていても良い。
【0119】
サーミスタ16
1・16
2・16
3・16
4の測定値が閾値範囲内にあるか閾値範囲外にあるかによって、装着状態を判定すると共に、装着具合に関する情報を被験者に対して明示的にしても良い。
【0120】
また、サーミスタ16
1・16
2・16
3・16
4は、人体18や動物の体表面の温度の測定にも適用可能である。
【0121】
また、圧力センサ22
1・22
2・22
3・22
4の測定値が閾値範囲内にあるか閾値範囲外にあるかによって、装着状態を判定すると共に、装着具合に関する情報を被験者に対して明示的にしても良い。その他の構成および動作方法は、第1の実施の形態若しくは第2の実施の形態と同様である。
【0122】
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、被験者の装着状態による負担を軽減し、かつ脈波の信号振幅変化に着目することで呼吸リズム、呼吸数、呼吸有無などの呼吸成分の抽出が可能であり、また脈拍数、血中酸素飽和度、体動の有無などの情報を併せて取得することで、装着者の状態をモニタすることも可能であるバイタルセンサモジュールおよびその動作方法を提供することができる。
【0123】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2において、人体に接する面側から見た模式的平面構成は、
図27に示すように表される。
【0124】
第4の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2において、センサは、
図27に示すように、装着した際に体表面と接する面の温度を検出するサーミスタ16
1・16
2・16
3・16
4と、装着した際に体表面と接する面との接触圧を検出する圧力センサ22
1・22
2・22
3・22
4とを備える。
【0125】
第4の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2は、ストラップ50を介して、人体18に装着される。
【0126】
第4の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2の人体18に接する底面側に配置される光センサ部分の模式的平面構成は、
図27に示すように、PD14を中心に配置し、PD14の周辺を囲むように複数のLED12
1・12
2・12
3・12
4を配置する。
図27の例では、複数のLEDは、4個配置されている。
【0127】
PD14の周辺を囲むように複数のLED12
1・12
2・12
3・12
4を配置することで、PD14の光量不足を補い、かつ、PD14に対して周囲から同程度の光を照射することができる。このため、光電脈波センサなどに適用して、その動作安定性を向上可能である。
【0128】
図示は省略されているが、第4の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2の天面側には被験者による操作・観測が可能なように操作部・表示部などが配置され、人体18に接する底面側には光センサ、サーミスタ16
1・16
2・16
3・16
4、圧力センサ22
1・22
2・22
3・22
4などが配置される。尚、光センサ、サーミスタ16
1・16
2・16
3・16
4、圧力センサ22
1・22
2・22
3・22
4は、筐体10上に配置される同一のPCB上に配置されていても良い。或いは、別々の基板上に配置されていても良い。
【0129】
サーミスタ16
1・16
2・16
3・16
4の測定値が閾値範囲内にあるか閾値範囲外にあるかによって、装着状態を判定すると共に、装着具合に関する情報を被験者に対して明示的にしても良い。
【0130】
また、サーミスタ16
1・16
2・16
3・16
4は、人体18や動物の体表面の温度の測定にも適用可能である。
【0131】
また、圧力センサ22
1・22
2・22
3・22
4の測定値が閾値範囲内にあるか閾値範囲外にあるかによって、装着状態を判定すると共に、装着具合に関する情報を被験者に対して明示的にしても良い。その他の構成および動作方法は、第1〜第3の実施の形態と同様である。
【0132】
第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、被験者の装着状態による負担を軽減し、かつ脈波の信号振幅変化に着目することで呼吸リズム、呼吸数、呼吸有無などの呼吸成分の抽出が可能であり、また脈拍数、血中酸素飽和度、体動の有無などの情報を併せて取得することで、装着者の状態をモニタすることも可能であるバイタルセンサモジュールおよびその動作方法を提供することができる。
【0133】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2の光センサ部分2Aの鳥瞰図は、
図28(a)に示すように表され、
図28(a)の説明図は、
図28(b)に示すように表される。
【0134】
第5の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2の鳥瞰図は、
図29(a)に示すように表され、
図29(a)の説明図は、
図29(b)に示すように表される。
【0135】
図28・
図29において、光センサ1は、モジュール筐体10の表面より、約1mm〜2mm程度突出させている。モジュール筐体10の側面には、電源スイッチ(SW)102を配置している。また、電源は、例えば、マイクロUSB端子110を介して外部から供給可能である。また、電源としては、太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池などを内蔵して、ワイヤレス化しても良い。また、第1の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2と同様に、外部のPC/携帯端末との間で無線通信を実施可能な構成を採用しても良い。
【0136】
図29において、各部の寸法は、例えば、長さLは約35mm、幅Wは約25mm、厚さDは約13mmである。尚、上記の寸法は、一例であって、実施の形態に係るバイタルセンサモジュールの装着例において説明したように、前腕・人差し指・外耳道入口や、他の人体部位への装着状態に合わせて適宜サイズを小型化しても良い。
【0137】
装着状態を判定するために、モジュール筐体10の表面の光センサ1の周囲のセンサ配置部SR1・SR2に各種センサを配置可能である。各種センサには、サーミスタ、電極間抵抗センサ、圧力センサなどを配置可能である。
【0138】
温度、圧力、抵抗値などを測定して、装着状態を安定して判定するためには、測定点を2個以上配置することが望ましい。すなわち、サーミスタであれば複数個配置して、複数の測定点のデータを比較すると良い。電極間抵抗センサであれば、複数の電極を配置して、複数の電極間の抵抗値を測定してデータを比較すると良い。圧力センサであれば、複数個配置して、複数の測定点のデータを比較すると良い。
【0139】
第5の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールの計測部は、手首、前腕以外も想定されるため、時計型に限定されない。実施の形態に係るバイタルセンサモジュールの装着例において説明したように、人差し指・外耳道入口や、他の人体部位へ装着しても良い。
【0140】
また、第5の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2の底面側(使用状態においては、天面側となる)には被験者による操作・観測が可能なように、操作部・表示部などが配置され、人体18に接する表面側(使用状態においては、人体に接触する面となる)には光センサ1、各種センサなどを配置している。
【0141】
(バイタルセンサモジュールの模式的ブロック構成)
第5の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2の模式的ブロック構成は、
図30に示すように表される。
【0142】
第5の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2は、
図30に示すように、電源部34と、電源部34に接続された制御部30と、外部の生体18の光情報を検出する光センサ1と、生体18との接触情報を検出するセンサ(温度センサ38・各種センサ43)と、生体18との装着情報を表示する表示部40と、光センサ1およびセンサ(38・43)により検出されたデータを格納する記憶部42とを備える。
【0143】
第5の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2は、
図30に示すように、生体18の温度を検出する温度センサ38を備えていても良い。
【0144】
第5の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2は、
図30に示すように、生体18との接触情報を検出する各種センサ43として、圧力センサを備えていても良い。
【0145】
第5の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2は、
図30に示すように、生体18との装着情報を無線通信するための無線通信部32およびアンテナ36を備え、外部のPC/携帯端末4との間で無線通信を実施可能である。
【0146】
第5の実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2は、
図30に示すように、生体18との装着情報を明示するスピーカ47と、外部機器と接続可能な外部インタフェース33と、操作を実行する操作部35と、音声情報を入力するマイクロホン37とを備えていても良い。ここで、外部インタフェース(I/F)33と接続される外部機器としては、充電装置などを備えていても良い。ここで、充電方式としては、例えば、マイクロUSB端子110を介して外部から供給する方式や、微小コイルをかいして、外部からワイヤレス給電する方式を適用しても良い。また、太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池などを内蔵して、小型化・ワイヤレス化しても良い。
【0147】
その他の構成および動作方法は、第1〜第4の実施の形態と同様である。
【0148】
(バイタルセンサモジュールの回路ブロック構成)
第5の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールの回路ブロック構成は、
図31に示すように表される。
【0149】
光センサ1内のLED・PDは、LEDドライバ1D・アナログフロントエンド(AFE)1Aを介して、MCU30に接続される。
【0150】
サーミスタ38は、アンプおよびA/Dコンバータ38Aを介して、MCU30に接続される。
【0151】
マイクロホン37は、アンプおよびA/Dコンバータ37Aを介して、MCU30に接続される。
【0152】
また、MCU30は、各種センサとして例えば加速度センサ43に接続され、体の動きを検出可能になされていても良い。
【0153】
また、MCU30は、無線通信部(RF)32に接続されていても良い。
【0154】
また、MCU30は、D/Aコンバータおよびアンプ47Aを介してスピーカ47に接続されていても良い。
【0155】
また、MCU30は、ディスプレイ40およびメモリ42に接続されていても良い。
【0156】
第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、被験者の装着状態による負担を軽減し、かつ脈波の信号振幅変化に着目することで呼吸リズム、呼吸数、呼吸有無などの呼吸成分の抽出が可能であり、また脈拍数、血中酸素飽和度、体動の有無などの情報を併せて取得することで、装着者の状態をモニタすることも可能であるバイタルセンサモジュールおよびその動作方法を提供することができる。
【0157】
(バイタルセンサモジュールの動作方法:光センサキャリブレーション)
第1〜第5の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールの動作方法を示すフローチャートは、
図32に示すように表される。
【0158】
第1〜第5の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールの動作方法は、
図32に示すように、装着状態判定ステップS31と、センサの測定値が閾値範囲内か否かを判断するステップS32と、上記の判断するステップS32において、センサの測定値が閾値範囲内にない場合には、アラート表示すると共に、装着状態判定ステップに戻るステップS33と、上記の判断するステップS32において、センサの測定値が閾値範囲内に有る場合には、光センサキャリブレーションを実施するステップS34と、光センサにより測定するステップS35と、光センサによる測定が終了したか否かを判断するステップS36と、光センサによる測定が終了していない場合には、光センサにより測定するステップS35に戻るステップと、光センサによる測定が終了している場合には、終了するステップとを有する。
【0159】
ここで、センサには、サーミスタ、圧力センサ、電極間抵抗センサなどを適用可能である。例えば、複数個のサーミスタを配置する場合には、個々のサーミスタの出力値をモニタし、1個でも閾値範囲外となれば、ステップS32において、判定結果はNOとすることができる。
【0160】
ステップS33におけるアラート表示としては、例えば、LEDによる点滅表示やディスプレイ表示を適用可能である。
【0161】
「光センサキャリブレーション」とは、以下のように定義される。
【0162】
脈波の検出感度は、ヒトや計測部によって差があるため、実質的に一定の出力(脈波の振幅)を得るためには、ヒトや計測部に応じてLED光量を変化させる必要がある。そこで、LED光量を相対的に低い状態から相対的に高い状態へと変化させた際の出力(脈波の振幅)をモニタして、被験者に最適なLED光量を決定するための初期設定を光センサキャリブレーションという。
【0163】
第1〜第5の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールの別の動作方法を示すフローチャートは、
図33に示すように表される。
【0164】
第1〜第5の実施の形態に係るバイタルセンサモジュールの別の動作方法は、
図33に示すように、装着状態判定ステップS41と、サーミスタの測定値が閾値範囲内か否かを判断するステップS42と、上記の判断するステップS42において、サーミスタの測定値が閾値範囲内にない場合には、アラート表示すると共に、装着状態判定ステップに戻るステップS43と、上記の判断するステップS42において、サーミスタの測定値が閾値範囲内に有る場合には、光センサキャリブレーションを実施するステップS44と、光センサにより脈波を測定するステップS45と、サーミスタにより温度を測定するステップS46と、サーミスタによる温度の測定結果が、所定の時間連続して閾値未満か否かを判断するステップS47と、サーミスタによる温度の測定結果が、所定の時間連続して閾値未満である場合には、アラート表示すると共に、装着状態判定ステップS41に戻るステップS43と、サーミスタによる温度の測定結果が、所定の時間連続して閾値未満ではない場合には、光センサによる脈波測定が終了か否かを判断するステップS48と、光センサによる脈波測定が終了していない場合には、光センサにより脈波を測定するステップS45に戻り、光センサによる脈波測定が終了している場合には、終了するステップとを有する。
【0165】
ステップS43におけるアラート表示としては、例えば、LEDによる点滅表示やディスプレイ表示を適用可能である。
【0166】
(各種圧力センサ例)
―ボタン式圧力センサ―
実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2に適用可能な圧力センサ22として、ボタン式圧力センサを適用可能である。ボタン式圧力センサを適用した実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2においては、ボタン式圧力センサの出力値が閾値範囲内にあるか閾値範囲外にあるかによって、装着状態を判定することができる。
【0167】
―空気送風式圧力センサ―
実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2に適用可能な圧力センサ22として、空気送風式圧力センサを適用可能である。空気送風式圧力センサを適用した実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2においては、空気送風式圧力センサの出力値が閾値範囲内にあるか閾値範囲外にあるかによって、装着状態を判定することができる。例えば、空気送風口の空気圧により、圧力開放状態では装着状態が悪いと判定し、圧力印加状態では、装着状態が良好と判定しても良い。また、空気を送り出す送風口での空気抵抗を検出することで、接触圧を導出しても良い。
【0168】
―フィルム状圧力センサ―
実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2に適用可能な圧力センサ22として、フィルム状圧力センサを適用可能である。フィルム状圧力センサを適用した実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2においては、フィルム状圧力センサの出力値が閾値範囲内にあるか閾値範囲外にあるかによって、装着状態を判定することができる。フィルム状圧力センサとしては、例えば、フィルム形状のピエゾフィルム圧力センサを適用可能であり、加圧した領域が発色するなどの加工を実施されていても良い。
【0169】
―Oリング状抵抗膜式圧力センサ―
実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2に適用可能な圧力センサ22として、Oリング状抵抗膜式圧力センサを適用可能である。実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2に適用可能なOリング状抵抗膜式圧力センサは、ガラス基板と、ガラス基板上に配置された第1透明電極層と、第1透明電極層上に配置されたドットスペーサと、第1透明電極層上にドットスペーサおよびスペースを介して配置された第2透明電極層と、第2透明電極層上に配置された絶縁層とを備える。絶縁層は、例えばポリエチレンテレフタラート(PET:polyethylene terephthalate)などで形成可能である。
【0170】
Oリング状抵抗膜式圧力センサは、抵抗膜式タッチパネルを応用し、絶縁層に圧力が印加されて、絶縁層および第2透明電極層が押し下げられ、第1・第2透明電極層間が接触すると、接触点座標を検出することができる。
【0171】
―Oリング状圧力センサ―
また、実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2に適用可能な圧力センサ22として、Oリング状圧力センサとしては、内部に液体/気体/レーザ光源を封入したOリング状の管を用い、液体/気体の流れやレーザ光の強度を検出することで、接触圧を導出しても良い。
【0172】
(電極間抵抗センサ例)
電極間接触抵抗は、人体18との接触状態では、皮膚の部分の抵抗R
Sと表面の部分の抵抗R
Wとの並列回路で表され、通常約2kΩ〜5kΩ程度である。一方、人体18との非接触状態では、約数MΩ程度である。
【0173】
実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2においては、装着した際に体表面と接する電極間抵抗センサを備えていても良い。
【0174】
尚、光センサ、サーミスタ、圧力センサは、筐体10上に配置される同一のPCB上に配置されていても良い。或いは、別々の基板上に配置されていても良い。
【0175】
尚、第3の実施の形態若しくは第4の実施の形態と同様に、サーミスタや圧力センサなどを備え、これらのセンサと併用しても良い。
【0176】
実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2は、ストラップ50を介して、人体18に装着される。
【0177】
また、PCB20の表面上には、黒色の遮光用樹脂壁が配置され、LEDおよびPD・電極間抵抗センサは、この遮光用樹脂壁によって、互いに離隔されている。遮光用樹脂壁には、黒色に着色された絶縁層を適用しても良い。
【0178】
電極間抵抗センサの測定値が閾値範囲内にあるか閾値範囲外にあるかによって、装着状態を判定すると共に、装着具合に関する情報を被験者に対して明示的にしても良い。
【0179】
実施の形態に係るバイタルセンサモジュール2においては、電極間抵抗センサの出力値が閾値範囲内にあるか閾値範囲外にあるかによって、装着状態を判定することができる。
【0180】
例えば、電極間接触抵抗は、人体との接触状態では、通常約2kΩ〜5kΩ程度であるため、この範囲内にあれば、閾値範囲内と判定し、人体との非接触状態では、約数MΩ程度であるため、この範囲内にあれば、閾値範囲外と判定することができる。
【0181】
本実施の形態のバイタルセンサモジュールは、睡眠時呼吸モニタツール、病気療養者のリハビリモニタツール(呼吸状態より、過負荷なリハビリになっていないかを判断する)、リラクゼーションツール(呼吸数を管理することで、リラクゼーションへつなげる。腹式呼吸など)、レスピレーションモニタ、活動量計、心拍計などの医療計測機器に適用可能である。
【0182】
以上説明したように、本実施の形態によれば、被験者の装着状態による負担を軽減し、かつ脈波の信号振幅変化に着目することで呼吸リズム、呼吸数、呼吸有無などの呼吸成分の抽出が可能であり、また脈拍数、血中酸素飽和度、体動の有無などの情報を併せて取得することで、装着者の状態をモニタすることも可能であるバイタルセンサモジュールおよびその動作方法を提供することができる。
【0183】
[その他の実施の形態]
上記のように、本実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、本実施の形態を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0184】
このように、本実施の形態はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。