特許第6706488号(P6706488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6706488椎弓根スクリューシステム及び脊髄安定化システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706488
(24)【登録日】2020年5月20日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】椎弓根スクリューシステム及び脊髄安定化システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/70 20060101AFI20200601BHJP
【FI】
   A61B17/70
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-227244(P2015-227244)
(22)【出願日】2015年11月20日
(65)【公開番号】特開2016-104131(P2016-104131A)
(43)【公開日】2016年6月9日
【審査請求日】2018年11月16日
(31)【優先権主張番号】10 2014 117 176.4
(32)【優先日】2014年11月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ベゲル
(72)【発明者】
【氏名】クラウディア ストーク
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン クルーゲル
【審査官】 宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0270916(US,A1)
【文献】 特表2014−529450(JP,A)
【文献】 特開平5−337132(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0262318(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄ねじ(28)を備えたスクリューシャフト(26)と、前記スクリューシャフト(26)上で該スクリューシャフトと玉継手関係を成して支持されるスクリューヘッド(30)であって、脊髄安定化システム(10)の接続要素(14)用の接続要素受け(34)を含む前記スクリューヘッド(30)とを有する椎弓根スクリュー(24)を含む、椎弓根スクリューシステム(22)であって、
骨整列装置(62)と、
前記スクリューヘッド(30)及び前記スクリューシャフト(26)の運動度が、前記スクリューシャフト(26)上で該スクリューシャフトと玉継手関係を成して支持される前記スクリューヘッド(30)の回転運動3自由度から、少なくとも回転1自由度だけ低減される、即ち、元々の回転運動3自由度から回転運動1又は2自由度へと低減される整列位置において前記骨整列装置(62)と前記椎弓根スクリュー(24)とを力ロック式に連結するための及び/又は形状ロック式に連結するための連結デバイス(64)と
を備え、
前記スクリューヘッド(30)が、前記雄ねじ(28)に向かう方向を向く接触面(126)を有し、該接触面(126)上で前記骨整列装置(62)が前記整列位置にある時に支持されること
を特徴とする椎弓根スクリューシステム(22)。
【請求項2】
請求項1に記載の椎弓根スクリューシステムであって、前記骨整列装置(62)が、緊締プレート(66)の形態に構成される又は緊締プレート(66)を含むことを特徴とする椎弓根スクリューシステム。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれか1項に記載の椎弓根スクリューシステムであって、前記連結デバイス(64)が、前記整列位置にある時に力ロック式に係合している及び/又は形状ロック式に係合していると共に、一方で前記骨整列装置(62)上に及び他方で前記椎弓根スクリュー(24)上に配置又は形成される第1連結要素(84)及び第2連結要素(86)を含むことを特徴とする椎弓根スクリューシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の椎弓根スクリューシステムであって、
前記第1連結要素(84)が、連結突起(88)の形態に構成されること、及び
前記第2連結要素(86)が、前記連結突起(88)に対応する連結受け(90)の形態に構成されること
を特徴とする椎弓根スクリューシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の椎弓根スクリューシステムであって、
a)前記整列位置にある前記連結突起(88)が、前記連結受け(90)内で形状ロック式のやり方で又は略形状ロック式のやり方で係合すること、

b)前記連結突起(88)が、前記スクリューシャフト(26)と一体に構成されること、

c)前記連結突起(88)が、前記スクリューシャフト(26)のねじ無しシャフト区域(58)の形態に構成されること
のうちの少なくとも1つを特徴とする椎弓根スクリューシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の椎弓根スクリューシステムであって、
a)前記スクリューシャフト(26)が、ジョイントヘッド(42)を有すること、及び、前記スクリューヘッド(30)が、前記ジョイントヘッド(42)に対応する、前記ジョイントヘッド(42)と協働して玉継手(40)を形成するためのジョイントヘッド受け(50)を有すること、
又は
b)前記スクリューシャフト(26)が、ジョイントヘッド(42)を有すること、及び、前記スクリューヘッド(30)が、前記ジョイントヘッド(42)に対応する、前記ジョイントヘッド(42)と協働して玉継手(40)を形成するためのジョイントヘッド受け(50)を有すること、及び、前記連結デバイス(64)が、前記整列位置にある時に力ロック式に係合している及び/又は形状ロック式に係合していると共に、一方で前記骨整列装置(62)上に及び他方で前記椎弓根スクリュー(24)上に配置又は形成される第1連結要素(84)及び第2連結要素(86)を含むこと、及び、前記第1連結要素(84)が、連結突起(88)の形態に構成されること、及び、前記連結突起(88)が、前記雄ねじ(28)と前記ジョイントヘッド(42)との間に配置されること
を特徴とする椎弓根スクリューシステム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の椎弓根スクリューシステムであって、前記連結デバイス(64)が、前記整列位置にある時に前記骨整列装置(62)が支持される止め要素(116)を含むことを特徴とする椎弓根スクリューシステム。
【請求項8】
請求項7に記載の椎弓根スクリューシステムであって、
a)前記止め要素(116)が、前記スクリューシャフト(26)と一体に構成される、又は前記スクリューシャフト(26)に、力ロック式のやり方で、及び/又は、物質間接合により接続されること
又は
b)前記止め要素(116)が、前記スクリューシャフト(26)と一体に構成される、又は前記スクリューシャフト(26)に、力ロック式のやり方で、及び/又は、圧入、接着、はんだ付け、又は溶接による物質間接合により接続されること
を特徴とする椎弓根スクリューシステム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の椎弓根スクリューシステムであって、
a)前記スクリューヘッド(30)が、前記雄ねじ(28)に向かう方向を向く接触面(126)を有し、該接触面(126)上で前記骨整列装置(62)が前記整列位置にある時に支持されること、

b)前記骨整列装置(62)が、前記スクリューヘッド(30)と前記スクリューシャフト(26)との間の相対運動の運動方向を予め決めておくための案内面(130)を有すること、及び、前記整列位置にある前記スクリューヘッド(30)が、前記案内面(130)に抗して接触していると共に、前記スクリューシャフト(26)に対して枢軸(132)の周りで枢動運動するよう前記案内面上を案内されること
のうちの少なくとも1つを特徴とする椎弓根スクリューシステム。
【請求項10】
請求項9に記載の椎弓根スクリューシステムであって、
前記骨整列装置(62)が、前記スクリューヘッド(30)と前記スクリューシャフト(26)との間の相対運動の運動方向を予め決めておくための案内面(130)を有すること、及び、前記整列位置にある前記スクリューヘッド(30)が、前記案内面(130)に抗して接触していると共に、前記スクリューシャフト(26)に対して枢軸(132)の周りで枢動運動するよう前記案内面上を案内されること、を特徴とすると共に、
a)前記案内面(130)が、円筒形表面(134)の一部又は直円シリンダの表面の一部を形成すること、

b)前記整列位置にある時に、前記枢軸(132)が、前記スクリューシャフト(26)のスクリューシャフト長手方向軸(136)に対して交差方向に走ること、又は、前記整列位置にある時に、前記枢軸(132)が、前記スクリューシャフト(26)のスクリューシャフト長手方向軸(136)に対して垂直に走ること
のうちの少なくとも1つを特徴とする
椎弓根スクリューシステム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の椎弓根スクリューシステムであって、
前記連結デバイス(64)が、前記整列位置にある時に力ロック式に係合している及び/又は形状ロック式に係合していると共に、一方で前記骨整列装置(62)上に及び他方で前記椎弓根スクリュー(24)上に配置又は形成される第1連結要素(84)及び第2連結要素(86)を含むこと、を特徴とすると共に、
a)前記骨整列装置(62)が、前記スクリューヘッド(30)と前記スクリューシャフト(26)との間の相対運動の運動方向を予め決めておくための案内面(130)を有すること、及び、前記整列位置にある前記スクリューヘッド(30)が、前記案内面(130)に抗して接触していると共に、前記スクリューシャフト(26)に対して枢軸(132)の周りで枢動運動するよう前記案内面上を案内されること、及び、前記骨整列装置(62)が、案内体(138)を含むこと、及び、前記案内体(138)が、前記案内面(130)、止め要素接触面(118)、及び前記連結デバイス(64)の前記第2連結要素(86)のうちの1つの中の少なくともいずれか1つを含むこと、

b)前記骨整列装置(62)が、連結区域(68)及び操作区域(70)を含むこと、及び、前記連結区域(68)が、前記連結デバイス(64)の前記第1連結要素(84)のうちの1つを含むこと
のうちの少なくとも1つを特徴とする
椎弓根スクリューシステム。
【請求項12】
請求項5〜11のいずれか1項に記載の椎弓根スクリューシステムであって、前記連結デバイス(64)が、前記整列位置にある時に力ロック式に係合している及び/又は形状ロック式に係合していると共に、一方で前記骨整列装置(62)上に及び他方で前記椎弓根スクリュー(24)上に配置又は形成される第1連結要素(84)及び第2連結要素(86)を含むこと、及び、前記第1連結要素(84)が、連結突起(88)の形態に構成されること、及び、前記第2連結要素(86)が、前記連結突起(88)に対応する連結受け(90)の形態に構成されること、及び、前記連結突起(88)が、前記スクリューシャフト(26)のねじ無しシャフト区域(58)の形態に構成されること、及び、前記連結受け(90)の内径(96)が、前記ねじ無しシャフト区域(58)の外径(98)に適合されることを特徴とする椎弓根スクリューシステム。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか1項に記載の椎弓根スクリューシステムであって、前記骨整列装置(62)が、前記スクリューヘッド(30)と前記スクリューシャフト(26)との間の相対運動の運動方向を予め決めておくための案内面(130)を有すること、及び、前記整列位置にある前記スクリューヘッド(30)が、前記案内面(130)に抗して接触していると共に、前記スクリューシャフト(26)に対して枢軸(132)の周りで枢動運動するよう前記案内面上を案内されること、及び、止め要素接触面(11)と前記案内面(130)の案内面長手方向軸とが互いに異なる整列角度(146)を有する、複数の骨整列装置(62)を更に備えることを特徴とする椎弓根スクリューシステム。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の椎弓根スクリューシステムであって、前記骨整列装置(62)が、前記整列位置にある時に前記スクリューシャフト(26)が少なくとも部分的に係合するスクリューシャフト受け(114)を有することを特徴とする椎弓根スクリューシステム。
【請求項15】
少なくとも2つの骨スクリュー(12)と、前記少なくとも2つの骨スクリュー(12)上で固定可能な少なくとも1つの接続要素(14)とを含む脊髄安定化システム(10)において、
前記少なくとも2つの骨スクリュー(12)のうちの少なくとも1つが、請求項1〜14のいずれか1項に記載の椎弓根スクリューシステム(22)の形態に構成されることを特徴とする脊髄安定化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雄ねじを備えたスクリューシャフトと、前記スクリューシャフト上でこのスクリューシャフトと玉継手関係を成して支持されるスクリューヘッドであって、脊髄安定化システムの接続要素用の接続要素受けを含む前記スクリューヘッドとを有する椎弓根スクリューを含む、椎弓根スクリューシステムに関する。
【0002】
本発明は更に、少なくとも2つの骨スクリューと、これらの少なくとも2つの骨スクリュー上で適所に固定できる少なくとも1つの接続要素とを含む脊髄安定化システムに関する。
【背景技術】
【0003】
冒頭に記載した種類の椎弓根スクリュー及び脊髄安定化システムが、例えばDE 10 2013 100 574 A1から知られている。これらの椎弓根スクリュー及び脊髄安定化システムは、例えば変形矯正術において、椎弓根スクリューを適切に埋込んで整列させることにより、変形脊椎に所望の形態を与えて、変形脊椎をこの所望の形態へと固定するために使用することができる。個々の位置異常椎骨を整列するために、それぞれの椎骨に椎弓根スクリューを介して矯正技法の力が導入される。
【0004】
接続要素を、スクリューヘッド上にある対応する接続要素受け内へ頂部から装架できる椎弓根スクリューシステムにおいて、即ち、「チューリップ」設計システムとして知られているものにおいて、椎弓根スクリューが多軸スクリューの形態に構成される場合、力を導入することは不可能である。スクリューヘッドがスクリューシャフトに対して不動である場合又はせいぜい単一の軸の周りで枢動可能である場合、即ち椎弓根スクリューが単軸スクリューとして知られているものである場合にのみ、力の導入が可能である。この設計に関しては、スクリューヘッドはこのスクリューヘッドがその周りで枢動される軸に対して垂直に延びる平面内を運動させられるのであり、この意味で、単軸スクリューはユニプラーナ―スクリューと称することもできる。他方で多軸スクリューを用いると、このように力を導入して椎骨の整列を矯正することは不可能である又は基本的な形態においてしか可能でない。しかし多軸スクリューを用いると、スクリューヘッドに、スクリューシャフトに対する所望する任意の配向を与えることができることにより、ロッド等の接続要素の挿入がかなり簡素化される。多軸スクリューに関しては、特に区分ごとに回転を解除する技術を適用することができない。この技術は椎弓根スクリューに力を、特に上述の単軸スクリューにより許容されるように直接的に導入することでしか実施することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 10 2013 100 574 A1
【特許文献2】US 7,951,172 B2
【特許文献3】WO 2013/134368 A1
【特許文献4】US 2013/0204308 A1
【特許文献5】US 2013/0150904 A1
【特許文献6】DE 10 2011 053 295 A1 (US 2014/0236236 A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それ故に、冒頭に記載した種類の椎弓根スクリューシステム及び脊髄安定化システムを改良して、その改良された操作が提供されるようにすることが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明によれば、冒頭に記載した種類の椎弓根スクリューシステムにおいて、前記椎弓根スクリューシステムが、骨整列装置と、前記スクリューヘッド及び前記スクリューシャフトの運動度が、前記スクリューシャフト上でこのスクリューシャフトと玉継手関係を成して支持される前記スクリューヘッドの回転運動3自由度から、少なくとも回転1自由度だけ低減される整列位置において前記骨整列装置と前記椎弓根スクリューとを力ロック式に及び/又は形状ロック式に連結するための連結デバイスとを含むことにより成就される。
【0008】
特に本発明により提案される改良により、前記椎弓根スクリューシステムの前記連結デバイスが前記整列位置をとる際に、外科医は変形脊柱の椎骨を運動させる、特に回転させる力を、前記骨整列装置を介して前記スクリューシャフトに直接導入することができる。従って前記提案された椎弓根スクリューシステムは、一方で多軸スクリューの利点と、他方で、そして特に、回転運動自由度を回転1自由度に限定する際の単軸スクリューの利益とを組み合わせる。多軸スクリューでは前記スクリューヘッドに前記スクリューシャフトに対する所望する任意の整列を与えることができ、前記接続要素を前記スクリューヘッドの前記接続要素受けへ挿入することが促進される。また、単軸スクリューであることにより、前記椎弓根スクリューのねじ込まれる椎体を整列させるための力を前記スクリューシャフトに導入することができる。特に前記元々3という数である回転運動自由度を、回転運動自由度0、1又は2に限定することができる。
【0009】
前記骨整列装置と前記椎弓根スクリューとを前記整列位置において連結することにより、その機能が単軸スクリューの機能に対応する特に一時的な配置が実現される。前記スクリューシャフトと前記スクリューヘッドとの間の玉継手相互接続のおかげで許容される元々の運動3自由度は、前記椎弓根スクリューと前記骨整列装置とを前記整列位置において連結することにより回転運動1自由度に低減される。これは、前記スクリューシャフトと前記スクリューヘッドとが互いに対して単一の枢軸の周りでのみ回転することに対応する。特に前記連結デバイスにより、前記骨整列装置と前記椎弓根スクリューとの間に軸方向接続及び/又は回転自在に固定された接続が確立され、これによって、前記骨整列装置を介した、例えば前記骨整列装置から前記スクリューシャフトへの間接的な力の伝達が可能になる。
【0010】
前記骨整列装置が、緊締プレートの形態に構成されること又は緊締プレートを含むことが有利である。例として、前記緊締プレートは、前記椎弓根スクリュー上で前記スクリューヘッドと椎弓根スクリューの前記雄ねじとの間に緊締式に配置することができ、これによって、前記スクリューヘッドの前記スクリューシャフトに対する自由回転が部分的に阻止され、単軸スクリューの場合におけるように、たった1つの枢軸の周りでの枢動運動のみが許容される。
【0011】
前記連結デバイスが、前記整列位置にある時に力ロック式に及び/又は形状ロック式に係合していると共に、一方で前記骨整列装置上に及び他方で前記椎弓根スクリュー上に配置又は形成される第1及び第2連結要素を含むことが有利である。このような連結デバイスを用いれば、前記骨整列装置を前記椎弓根スクリューと単純かつ安全なやり方で係合させることができる。
【0012】
好ましくは、前記第1連結要素は連結突起の形態に構成され、前記第2連結要素は前記連結突起に対応する連結受けの形態に構成される。このような連結要素は、単純な構成とすることができ、任意で前記椎弓根スクリュー上に又は前記骨整列装置上に配置又は形成することができる。
【0013】
特に前記整列位置にある時に前記骨整列装置が前記椎弓根スクリューから偶発的に解放されるリスクを防止又は最小化するために、前記整列位置にある前記連結突起が、前記連結受け内で形状ロック式のやり方で又は略形状ロック式のやり方で係合することが有利である。
【0014】
特に前記連結突起を前記スクリューシャフトと一体に構成することにより、特別な安定性を有する椎弓根スクリューシステムを得ることができる。
【0015】
前記連結突起が前記スクリューシャフトのねじ無しシャフト区域の形態に構成される場合、前記椎弓根スクリューシステムは製造することが特に容易になる。特に前記ねじ無しシャフト区域は、円形断面を有することができ又は例えば楕円、隅部が丸い多角形、又は多角形の形の非円形断面を有することもできる。従って、例えば円形断面を使用することにより、前記骨整列装置と前記椎弓根スクリューとの間で捻回できるようにすることが可能であり又は非円形断面を使用することにより回転自在に固定された接続を作り出すことが可能である。
【0016】
本発明の更なる好適な実施形態によれば、前記スクリューシャフトがジョイントヘッドを有し、前記スクリューヘッドが前記ジョイントヘッドに対応する前記ジョイントヘッドと協働して玉継手を形成するためのジョイントヘッド受けを有することを実現することができる。従って前記ジョイントヘッド受けと協働する前記ジョイントヘッドは、玉継手を形成する単純な仕方を提供する。前記ジョイントヘッドは、特に球形又は球形の一部の形態をとることができる。前記ジョイントヘッド受けは、特にジョイントのボールに対応する中空である球状の座の形態に形づくることができる。
【0017】
前記スクリューヘッドと前記スクリューシャフトとの間の回転自由度を排除する単純な仕方として、前記雄ねじと前記ジョイントヘッドとの間に前記連結突起を配置することがある。例えば、このことは前記スクリューヘッドの前記スクリューシャフトに対する運動を、前記骨整列装置を通して、例えばその緊締接続を通して阻止する単純な仕方を提供する。
【0018】
前記整列位置にある時に前記骨整列装置が支持される止め要素を前記連結デバイスが含むことが有利である。例えば、前記止め要素は前記スクリューシャフト上に形成することができるのであり、前記骨整列装置を、一方で前記止め要素上で、及び他方で前記スクリューヘッド上で支持することができる。
【0019】
前記整列位置にある時に、前記止め要素に抗して接触している止め要素接触面を前記骨整列装置が有することが有利である。特にこのことは、前記整列位置にある前記骨整列装置が前記止め要素上で直接支持されることを可能にする。このことは、他方で前記骨整列装置を前記スクリューヘッド上で支持できる場合には、前記スクリューヘッドの前記スクリューシャフトに対する前記運動度を限定する単純な仕方を提供する。
【0020】
好ましくは、前記止め要素接触面は平面構成又は略平面構成である。特にこの構成により、前記整列位置にある時に前記止め要素接触面が、それに抗して接触している平面的接触面又は略平面的接触面を止め要素が呈する場合に前記止め要素との表面接触が可能になる。
【0021】
前記整列位置にある時に前記骨整列装置が支持される平面的止め面又は略平面的止め面を前記止め要素が有することが有利である。このような止め面は構成することが容易であり、前記止め要素接触面が平面構成又は略平面構成である場合、このような止め面により、前記骨整列装置の前記止め要素に抗した表面接触が可能になる。
【0022】
特に前記止め要素が前記スクリューシャフト上に配置又は形成されることにより、前記椎弓根スクリューシステムの特にコンパクトな構造を達成することができる。
【0023】
前記止め要素が環状フランジの形態に構成される場合、前記スクリューシャフトは特別容易に製造することができる。この構成に関して、前記スクリューシャフトは例えば鋳造プロセス又は材料除去機械加工プロセスにより製造することができる。
【0024】
本発明の別の好適な実施形態によれば、前記止め要素が、前記スクリューシャフトと一体に構成され又は前記スクリューシャフトに、力ロック式のやり方で及び/又は物質間接合により接続されることを実現することができる。特に前記止め要素は、前記スクリューシャフトに圧入、接着、はんだ付け、又は溶接により接続することができる。前記スクリューシャフト及び前記スクリューヘッドの種類及び構成、ならびに、それらの間の前記玉継手接続の種類に応じて、任意で、前記止め要素が前記スクリューシャフトと一体に形成されること、又は、このスクリューシャフトに力ロック式接続で又は物質間接合により接続されることが有利なことがある。
【0025】
前記止め要素の外径が、前記雄ねじの最大外径より大きいことが有利である。従って、前記整列位置にある時に、前記骨整列装置が前記雄ねじと接触できないことを確実にすることが可能である。
【0026】
短いスクリューシャフトが使用される場合は特に、前記止め要素が前記雄ねじに直接隣接することが有利である。このようにして、前記スクリューシャフトを前記止め要素が許容することになるところまで骨にねじ込むことができる。
【0027】
前記雄ねじに向かう方向を向く接触面を前記スクリューヘッドが有することが有利であり、接触面上で前記整列位置にある時に前記骨整列装置が支持される。特にこの構成により、前記骨整列装置から前記スクリューヘッドへ力を直接伝達することができ又は前記スクリューシャフトと玉継手関係を成して協働する前記スクリューヘッドの、少なくとも回転2自由度を阻止するようにスクリューヘッドに直接作用することができる。
【0028】
前記接触面が、平面構成又は略平面構成である場合又は前記スクリューヘッドから離れる方を向いている凹形に湾曲した構成を有する場合、前記スクリューヘッドは製造することが特に容易になる。前記接触面は、好ましくは前記骨整列装置との表面接触が可能であるように形成される。
【0029】
本発明の別の好適な実施形態によれば、前記骨整列装置が、前記スクリューヘッドと前記スクリューシャフトとの間の相対運動の運動方向を予め決めておくための案内面を有し、前記整列位置にある前記スクリューヘッドが、前記案内面に抗して接触していると共に、前記スクリューシャフトに対して枢軸の周りで枢動運動するよう案内面上を案内されることを実現することができる。従って、特に前記案内面は、前記スクリューヘッドと前記スクリューシャフトとの間の前記所望の相対運動を予め決めておく、即ち特に単一の枢軸の周りでの枢動運動のみを許容する単純な仕方を提供する。このことは、前記案内面を形づくることにより単純な仕方で達成することができる。特に前記案内面は、前記スクリューヘッドの方を向く方向に凸状に湾曲させることができる。例えば前記案内面は、前記枢軸と同軸に延びることができ又は前記枢軸は前記案内面上に在ることができる。
【0030】
好ましくは、前記案内面は円筒形表面の一部を形成する。有利なことに、案内面は直円シリンダの表面の一部を形成する。特に、前記直円シリンダにより規定される長手方向軸が前記枢軸を規定することができ又は前記枢軸は前記表面上にあり前記直円シリンダの前記長手方向軸と平行に走ることができる。
【0031】
有利なことに前記整列位置にある時、前記枢軸は、前記スクリューシャフトのスクリューシャフト長手方向軸に対して交差方向に走る。特に前記枢軸は、前記スクリューシャフト長手方向軸に対して垂直に走ることができる。当然ながら、前記枢軸は前記スクリューシャフト長手方向軸に対して垂直に延びる平面に対して傾斜した方向に延びることもでき、スクリューシャフト長手方向軸との例えば約0°〜約30°の範囲内の傾斜角を取り囲むことができる。特にこのことにより、前記整列位置にある前記スクリューヘッド及び前記スクリューシャフトを、互いに対する前記傾斜角での前記傾斜した配向において維持することができる一方で、前記枢軸の周りでの枢動運動が依然として許容される。
【0032】
前記骨整列装置が案内体を含み、前記案内体が、前記案内面、前記止め要素接触面、及び/又は、前記連結デバイスの前記連結要素のうちの1つを含むことが有利である。従って、このようにして構成された案内体が幾つかの機能を遂行することができるのであり、この案内体により、全体的にみて、前記骨整列装置及び前記椎弓根スクリューシステムを極力コンパクトな構造に実施することができる。
【0033】
好ましくは、前記連結受けは前記骨整列装置の凹部又は貫通穴の形態に構成される。これらは製造が容易である。
【0034】
有利なことに、前記連結受けは穿孔の形態に構成される。このような穿孔は、作り出すことが容易である。特に前記穿孔の長手方向軸が、前記スクリューヘッドの前記スクリューシャフトに対する整列を予め決めておくこともできる。
【0035】
外科医にとっての前記椎弓根スクリューシステムの前記操作を更に改良するために、前記骨整列装置が連結区域及び操作区域を含み、前記連結区域が前記連結デバイスの前記連結要素のうちの1つを含むことが有利である。このような骨整列装置を用いれば、前記整列位置にある時に前記連結区域と前記椎弓根スクリューとの間の接続を確立することが可能になる。その際、外科医は片手で又は別の器具を用いてのいずれかで前記操作区域を把持することができ、このようにして、前記スクリューシャフトを故にこのスクリューシャフトに接続された前記椎骨を整列させるための力を前記椎弓根スクリューに所望のやり方で及ぼすことができる。
【0036】
前記骨整列装置が前記椎弓根スクリューへクリップ留め又は掛止できるように構成される場合、前記骨整列装置と前記椎弓根スクリューとを連結する特に単純な仕方が実現される。好ましくは、前記骨整列装置の前記連結区域を前記椎弓根スクリューへクリップ留め又は掛止することができる。
【0037】
特に前記連結区域が、互いと略平行に延びて基本位置から互いに向かって又は互いから離れる方へ弾性的に運動することのできる2つの緊締脚部を含むことにより及び前記緊締脚部が、前記椎弓根スクリュー上に形成された前記連結要素を導入するための導入溝により互いから分離していることにより、前記骨整列装置と前記椎弓根スクリューとの間の単純な連結作用を実施することができる。例えば、前記椎弓根スクリュー上に形成された前記連結要素を、ねじ無しシャフト区域の形態にして前記導入溝内に導入することができる結果、導入溝は、前記椎弓根スクリューの前記連結要素が前記整列位置において前記骨整列装置の前記連結要素受けと係合するまで、例えばカチッと係合するまで幾分拡張される。その際、前記骨整列装置を前記椎弓根スクリュー上で、この椎弓根スクリューと緊締関係にして保持するために、前記整列位置にある前記緊締脚部をその前記基本位置へ跳ね戻すことができ又は或る付勢力下に前記整列位置に保つことができる結果、前記緊締脚部の付加的な緊締効果が達成される。
【0038】
前記椎弓根スクリュー上に形成された前記連結要素を前記骨整列装置の前記連結受け内に導入することを促進するために、前記導入溝の幅が、前記緊締脚部の自由端に向かう方向で増加することが有利である。例えば前記緊締脚部の自由端は、前記椎弓根スクリュー上に形成された前記連結要素を前記導入溝内に導入することを促進する摺動面を有することができる。
【0039】
前記骨整列装置を前記椎弓根スクリューと係合させる動作が更に促進されるようにするために、前記導入溝が部分的に前記操作区域内に延びることが有利である。特にこのことにより、前記整列位置において前記骨整列装置と前記椎弓根スクリューとを共に連結するには、非常に長い構成である緊締脚部がその場合に少量だけ広がりさえすればよくなる。
【0040】
前記骨整列装置と前記椎弓根スクリューとを、実質、そこへ任意の緊締力を与えることなく連結するために、前記連結受けの内径が前記ねじ無しシャフト区域の外径に適合されることが有利である。
【0041】
本発明の更なる好適な実施形態によれば、前記連結受けが連結受け長手方向軸を規定し、前記連結受け長手方向軸が前記枢軸に対して交差方向に走ることを実現することができる。例えばこの連結受け長手方向軸は、前記枢軸に対して垂直に走ることができる。特に前記連結受けは、前記整列位置にある前記連結受け長手方向軸が、前記スクリューヘッドにより規定される長手方向軸と一致し、前記スクリューシャフト長手方向軸に対して上述の傾斜角だけ傾斜しているように構成することができる。
【0042】
特に前記椎弓根スクリューシステムを低侵襲性外科用処置において使用できるようにするために、前記連結区域と前記操作区域とが互いに対して有角であることが有利である。好ましくは、前記有角構成の角度は約70°〜約110°の範囲内にある。
【0043】
前記骨整列装置を単純かつ安全なやり方で把持及び保持できるようにするために、前記操作区域が前記2つの緊締脚部を共に接続する取手部分を含むことが有利である。このことにより、外科医は前記骨整列装置をこの骨整列装置に連結された前記椎弓根スクリューと共に、単純かつ安全なやり方で操作することができる。
【0044】
前記止め要素接触面と前記案内面の案内面長手方向軸とが互いに対する異なる整列角度を有する複数の骨整列装置を、前記椎弓根スクリューシステムが含むことが更に有利である。このように組になった前記椎弓根スクリューシステムの骨整列装置に関して、外科医は、いずれの場合も、前記整列位置における前記スクリューシャフトと前記スクリューヘッドとの互いに対する一定の傾斜角を、それを用いて予め決めておこうとする前記骨整列装置を選択することができる。例えば、前記整列位置における前記スクリューシャフトと前記スクリューヘッドとの互いに対する前記傾斜角を、例えば0°、10°、20°などの傾斜角を用いた規定の段階において予め決めておくことができるようにするために、前記組は10°ずつの段階的な傾斜角を有することができる。
【0045】
前記整列位置にある時に前記スクリューシャフトが少なくとも部分的に係合するスクリューシャフト受けを、前記骨整列装置が有することが有利である。特に前記スクリューシャフトは、前記整列位置にある時に前記スクリューシャフト受けを通って延びることができ、即ち例えばスクリューシャフトの遠位端が前記スクリューシャフト受けから遠位側で突出することができる。
【0046】
前記連結受けが前記スクリューシャフト受けを規定する場合、前記椎弓根スクリューシステムは、特に単純かつコンパクトなやり方で構成することができる。
【0047】
冒頭で前提とした目的は、本発明によれば、冒頭で記載した種類の脊髄安定化システムにおいて、前記少なくとも2つの骨スクリューのうちの少なくとも1つが、上述の椎弓根スクリューシステムのうちのいずれか1つの形態に構成されることにより更に達成される。
【0048】
特にその際、椎弓根スクリューシステムの好適な実施形態と組み合わせると、このような改良された脊髄安定化システムも上述の利点を包含する。
【0049】
本発明の好適な実施形態の以下の記載は、図面と合わせると本発明をより詳細に説明するように働く。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】脊椎上の適所で固定されるものとして示す2つの骨スクリュー及び接続要素を含む脊髄安定化システムの略図。
図2】骨整列装置が連結された状態で示す椎骨にねじ込まれた椎弓根スクリューの側面図。
図3図2に示す椎弓根スクリューシステムの別の側面図。
図4図2の椎弓根スクリューシステムの斜視図。
図5】前方から見た際の図4の配置。
図6】椎弓根スクリューに連結されたものとして示す骨整列装置の側面図。
図7図6の矢印Aの方向で捉えた図。
図8図6の骨整列装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、全体として参照符号10で表す脊髄安定化システムの例を示す。前記脊髄安定化システム10は、2つの骨スクリュー12と、これらの2つの骨スクリュー12上の適所で固定される接続要素14とを含む。骨スクリュー12は各々、脊椎18の椎骨16上の適所で固定される。
【0052】
脊髄安定化システム10は、当然ながら3つ以上の骨スクリュー12を含むこともできる。これらの骨スクリューは、例えば1つ以上の接続要素14を介して共に接続することができる。
【0053】
図1は、円いロッドの形態をとる接続要素14の例を示す。接続要素14が、骨スクリュー12の接続要素受け内に挿入することのできる及び例えば、いずれの場合も固定スクリュー20により適所で固定することのできる、適切に構成された区域を有するプレート様の接続要素の形態をとることも考えられる。
【0054】
原則として、骨スクリュー12は市販されている従来の椎弓根スクリューとすることができる。一方、骨スクリュー12のうちの少なくとも1つが、以下で詳細に記載する椎弓根スクリューシステム22の形態に構成されることが好適である。
【0055】
椎弓根スクリューシステム22の各々は、例えばセルフタッピング骨ねじの形態の雄ねじ28を備えたスクリューシャフト26と、スクリューシャフト26上でスクリューシャフト26と玉継手関係を成して支持されるスクリューヘッド30とを有する椎弓根スクリュー24を含む。スクリューヘッド30は、脊髄安定化システム10の接続要素14を収容するための2つの自由脚部32間に形成された接続要素受け34を有する。
【0056】
更に接続要素受け34が、固定スクリュー20の雄ねじ38に対応する構成の雌ねじ36を上に設けている結果、接続要素14を適所で固定するための固定スクリュー20を、脚部32の自由端から出発して接続要素受け34内にねじ込んで接続要素14をスクリューヘッド30上の適所で固定することができる。
【0057】
スクリューシャフト26とスクリューヘッド30との間に玉継手40を形成するために、スクリューシャフト26の近位端が、近位方向を向いている平面的な端面44を有するジョイントヘッド42の形態に構成されるのであり、前記端面44は、端面44に隣接した球形の表面の一部を形成するジョイントヘッド面46を有する。ジョイントヘッド42内には、近位方向を向いている道具要素受け48が形成され、道具要素受け48は、例えば内側多角形の形態又は丸い隅部を備えた内側多角形の形態をとることができる。
【0058】
スクリューヘッド30上に形成されるのは、ジョイントヘッド42に対応する構成を有する座52の形態のジョイントヘッド受け50であり、前記座52は内径が遠位方向において先細になっている貫通穴54内へ開放し、前記貫通穴54はスクリューヘッド30の遠位端56にて形成されるのであり、遠位端56からスクリューシャフト26がジョイントヘッド42の遠位へ突き出ている。
【0059】
ジョイントヘッド42には遠位側で、環状フランジ60と遠位側で境を接するねじ無しシャフト区域58が接する。環状フランジ60は、ジョイントヘッド42の外径よりも幾分大きい外径を有する。
【0060】
椎弓根スクリューシステム22は、例えば図2図7に示すように、骨整列装置62と、骨整列装置62及び椎弓根スクリュー24を整列位置において力ロック式及び/又は形状ロック式に連結するための連結デバイス64とを更に含む。
【0061】
骨整列装置62は、骨整列装置62の連結区域68を形成する緊締プレート66を含む。連結区域68には近位側で操作区域70が接する。
【0062】
連結区域68は、互いと略平行に延びると共に基本位置から互いに向かって又は互いから離れる方へ弾性的に運動できる2つの緊締脚部72を含み、前記緊締脚部72は互いから、導入溝74を通して分離する。導入溝74は部分的に操作区域70内へと延びる。
【0063】
骨整列装置62の近位端が、2つの緊締脚部72を相互接続する接続プレート78の形態の取手部分76を形成する。
【0064】
導入溝74の幅が、緊締脚部72の自由端80に向かう方向で増加し、遠位方向を向く互いに対して傾斜している摺動面82が形成される。
【0065】
連結デバイス64は、整列位置にある時に力ロック式及び/又は形状ロック式に係合している第1連結要素84及び第2連結要素86を含む。これらの連結要素は、一方で骨整列装置62上に配置され形成され、他方で椎弓根スクリュー24上に配置され形成される。
【0066】
図に概略的に表すような例示的な実施形態において、第1連結要素84は連結突起88の形態に構成され、第2連結要素86は連結突起88に対応する連結受け90の形態に構成される。特に図4及び図5にはっきりと示すように、整列位置にある時、連結突起88は連結受け90内に、形状ロック式又は略形状ロック式のやり方で係合する。
【0067】
連結突起88はスクリューシャフト26と一体に構成され、つまりねじ無しシャフト区域58の形態にされる。これによって、連結突起88は雄ねじ28とジョイントヘッド42との間に配置される。
【0068】
連結受け90は貫通穴92の形態に、つまり穿孔94として構成される。穿孔94の内径96が、ねじ無しシャフト区域58の外径98に適合される。外径98よりも導入溝74の幅100の方が小さい。
【0069】
連結受け90は連結受け長手方向軸102を規定する。連結受け長手方向軸102は、緊締プレート66の底面106により規定される平面104に対して垂直に走る。
【0070】
連結区域68及び操作区域70はそれぞれ長手方向軸108及び110を規定するのであり、これらの長手方向軸は互いに対して角度112にて有角である。角度112は、好ましくは凡そ60°〜凡そ120°の範囲内にあり、特に凡そ90°とすることができる。
【0071】
図示するような骨整列装置62の例示的な実施形態において、連結受け90は、整列位置にある時にスクリューシャフト26がそこを通って延びる、即ちその中にスクリューシャフトが少なくとも部分的に係合するスクリューシャフト受け114を形成する。
【0072】
連結デバイス64は、一方で、整列位置にある骨整列装置62が支持される止め要素116を更に含む。底面106は、整列位置にある時に止め要素116に抗して接触している止め要素接触面118を規定する。図示する例示的な実施形態において、止め要素接触面118は平面構成である。
【0073】
止め要素116は、整列位置にある時に骨整列装置62がその止め要素接触面118に関して支持される平面的な止め面120を有する。
【0074】
止め要素116は、スクリューシャフト26上に配置又は形成され、つまり環状フランジ60の形態にされる。止め要素116は、好ましくはスクリューシャフト26と一体に形成される。一方代わりの実施形態において、止め要素116にスクリューシャフト26を、力ロック式のやり方で、及び/又は、圧入、接着、はんだ付け、又は溶接等による物質間接合により接続することができる。
【0075】
環状フランジ60は、その外径122が雄ねじ28の最大外径124よりも大きくなるような寸法にされる。更に、止め要素116は雄ねじ28に直接隣接する。
【0076】
更にスクリューヘッド30は、雄ねじ28に向かう方向を向いている接触面126を有し、接触面126上で、整列位置にある骨整列装置62が、つまり緊締プレート66の上側128に関して支持される。図に例示するようなスクリューヘッド30において、接触面126は平面構成である。別法として、接触面はスクリューヘッド30から離れる方で雄ねじ28に向かう方向を向いている凹状湾曲を備えて構成することができる。
【0077】
骨整列装置62の上側128は、スクリューヘッド30とスクリューシャフト26との間の相対運動の運動方向を予め決めておくための案内面130を規定する。例えば図7にはっきりと示すように、整列位置にあるスクリューヘッド30は、案内面130に抗して接触していると共に、スクリューシャフト26に対して枢軸132の周りで枢動運動するよう案内面上を案内される。
【0078】
案内面130は、スクリューヘッド30に向かう方向への凸状湾曲を備えて構成されるのであり、特に円筒形表面134の一部、特に直円シリンダの表面の一部を形成することができる。
【0079】
枢軸132は図示する例示的な実施形態において、連結受け長手方向軸102に対して交差方向であり、即ち垂直である。従って、特に図6に示すように、枢軸132はスクリューシャフト26のスクリューシャフト長手方向軸136に対しても垂直である。
【0080】
緊締プレート66は、案内面130、止め要素接触面118、及び第2連結要素86を含む案内体138を形成する。
【0081】
骨整列装置62が導入溝74の特別な配置及び構成に起因した特別な構成であることにより、緊締脚部72を図8に示す基本位置から互いに向かって又は互いから離れる方へ弾性的に運動できることが可能になる。
【0082】
連結突起88を、導入溝74を通して連結受け90内に導入するために、緊締脚部72は幾分広げられて導入溝74が幾分拡張される。基本位置にある導入溝74は外径98よりも狭窄である。シャフト区域58が摺動面82上を滑動すると導入溝74が拡張するため、シャフト区域58は導入溝を通して連結受け90内へ滑動させることができる。シャフト区域58が連結受け90内に係合する際、緊締脚部72は、互いに向かってカチンと嵌まり又は弾性的に戻り、シャフト区域58を部分的に包囲する。骨整列装置62は、つまりその連結区域68は、記載したやり方で椎弓根スクリュー24へクリップ留め又は掛止することができる。
【0083】
案内面130は、その構成に起因して、スクリューヘッド30がスクリューシャフト26に対して専ら枢軸132の周りで枢動することしか許容しない。これによって、整列位置にある骨整列装置62は、スクリューヘッド30及びスクリューシャフト26の運動度を、元々の回転運動3自由度から、枢軸132により規定されるたった回転1自由度に限定する。元々の回転運動3自由度は玉継手40により規定されるものである。それ故に、図7に概略的に示すような枢軸132の周りでの枢動運動のみが可能である。このようにして、多軸スクリューとして構成された椎弓根スクリュー24は、骨整列装置62と協働すると、事実上、スクリューヘッド30がスクリューシャフト26に対して単一の枢軸132の周りでのみ枢動可能である単軸スクリューの機能性に低減される。
【0084】
骨整列装置62が椎弓根スクリュー24から偶発的に解放されないようにするために、椎弓根スクリューシステム22は任意で阻止スリーブ140を含む。阻止スリーブ140は、図4に例示するように操作区域70に対応する構成である受け142を有し、操作区域70を、長手方向軸110と平行な方向で受け142の中へと滑動させることができる。
【0085】
受け142が阻止スリーブ140の遠位端144に近い地点まで全ての側で閉じているため、緊締脚部72はもはや、互いから離れる方へ枢動することができない。そうすると、阻止スリーブ140を操作区域70から近位方向に再度引き抜かなければ、椎弓根スクリュー24に連結された骨整列装置62を椎弓根スクリュー24からもはや解放することはできない。
【0086】
図示する例示的な実施形態において、案内体138の上側128は底面106に対して整列角度146だけ傾斜している。整列角度146により、スクリューヘッド30の長手方向軸148のスクリューシャフト長手方向軸136に対する傾斜が予め決まる。任意で、椎弓根スクリューシステム22は、異なる整列角度146を有するように案内体138の構成が相違する複数の骨整列装置62を含むことができる。従って、長手方向軸148とスクリューシャフト長手方向軸136との整列を外科医が特別に選択できるようにし、これによって、整列位置にある単軸スクリューを一時的に形成する椎弓根スクリュー24用に椎弓根スクリューのスクリューヘッド30の枢動方向を予め決めておくところの1組の骨整列装置62を、椎弓根スクリューシステム22は含むことができる。
【0087】
記載した骨整列装置62の組が異なる整列角度146を有することにより、外科医は枢軸132を術中に調節することを選択できるようになる。従って、医師は自らが所望する整列角度146を有する骨整列装置62を適切に選ぶことにより、骨整列装置62の助けを借りて椎骨16を回転した後のスクリューヘッド30の位置に影響を及ぼすことができ、結果として、椎弓根スクリュー24の接続要素受け34内への接続要素14の挿入を簡素化することができる。
【0088】
椎弓根スクリューと骨整列装置62とを整列位置において一時的に連結することにより、椎弓根スクリュー24の多軸性を部分的に阻止すること、特に方向に依存して阻止することが椎弓根スクリューシステム22により可能になり、任意で所望の整列角度146を呈する骨整列装置62を適切に選ぶことにより、長手方向軸148とスクリューシャフト長手方向軸136との間の角度を術中調節することが可能になる。それでもやはり、整列位置にある時であっても、スクリューヘッド30がスクリューシャフト26に対して長手方向軸148の周りで回転される可能性は依然として残る。
【0089】
椎弓根スクリュー24の完全な多軸性が再度所望される際には、骨整列装置62は椎弓根スクリュー24から、記載したやり方で再度解放される。
【符号の説明】
【0090】
10 脊髄安定化システム
12 骨スクリュー
14 接続要素
16 椎骨
18 脊椎
20 固定スクリュー
22 椎弓根スクリューシステム
24 椎弓根スクリュー
26 スクリューシャフト
28 雄ねじ
30 スクリューヘッド
32 脚部
34 接続要素受け
36 雌ねじ
38 雄ねじ
40 玉継手
42 ジョイントヘッド
44 端面
46 ジョイントヘッド面
48 道具要素受け
50 ジョイントヘッド受け
52 座
54 貫通穴
56 端部
58 シャフト区域
60 環状フランジ
62 骨整列装置
64 連結デバイス
66 緊締プレート
68 連結区域
70 操作区域
72 緊締脚部
74 導入溝
76 取手部分
78 接続プレート
80 端部
82 摺動面
84 第1連結要素
86 第2連結要素
88 連結突起
90 連結受け
92 貫通穴
94 穿孔
96 内径
98 外径
100 幅
102 連結受け長手方向軸
104 平面
106 底面
108 長手方向軸
110 長手方向軸
112 角度
114 スクリューシャフト受け
116 止め要素
118 止め要素接触面
120 止め面
122 外径
124 外径
126 接触面
128 上側
130 案内面
132 枢軸
134 円筒形表面
136 スクリューシャフト長手方向軸
138 案内体
140 阻止スリーブ
142 受け
144 端部
146 整列角度
148 長手方向軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8