【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明によれば、冒頭に記載した種類の椎弓根スクリューシステムにおいて、前記椎弓根スクリューシステムが、骨整列装置と、前記スクリューヘッド及び前記スクリューシャフトの運動度が、前記スクリューシャフト上でこのスクリューシャフトと玉継手関係を成して支持される前記スクリューヘッドの回転運動3自由度から、少なくとも回転1自由度だけ低減される整列位置において前記骨整列装置と前記椎弓根スクリューとを力ロック式に及び/又は形状ロック式に連結するための連結デバイスとを含むことにより成就される。
【0008】
特に本発明により提案される改良により、前記椎弓根スクリューシステムの前記連結デバイスが前記整列位置をとる際に、外科医は変形脊柱の椎骨を運動させる、特に回転させる力を、前記骨整列装置を介して前記スクリューシャフトに直接導入することができる。従って前記提案された椎弓根スクリューシステムは、一方で多軸スクリューの利点と、他方で、そして特に、回転運動自由度を回転1自由度に限定する際の単軸スクリューの利益とを組み合わせる。多軸スクリューでは前記スクリューヘッドに前記スクリューシャフトに対する所望する任意の整列を与えることができ、前記接続要素を前記スクリューヘッドの前記接続要素受けへ挿入することが促進される。また、単軸スクリューであることにより、前記椎弓根スクリューのねじ込まれる椎体を整列させるための力を前記スクリューシャフトに導入することができる。特に前記元々3という数である回転運動自由度を、回転運動自由度0、1又は2に限定することができる。
【0009】
前記骨整列装置と前記椎弓根スクリューとを前記整列位置において連結することにより、その機能が単軸スクリューの機能に対応する特に一時的な配置が実現される。前記スクリューシャフトと前記スクリューヘッドとの間の玉継手相互接続のおかげで許容される元々の運動3自由度は、前記椎弓根スクリューと前記骨整列装置とを前記整列位置において連結することにより回転運動1自由度に低減される。これは、前記スクリューシャフトと前記スクリューヘッドとが互いに対して単一の枢軸の周りでのみ回転することに対応する。特に前記連結デバイスにより、前記骨整列装置と前記椎弓根スクリューとの間に軸方向接続及び/又は回転自在に固定された接続が確立され、これによって、前記骨整列装置を介した、例えば前記骨整列装置から前記スクリューシャフトへの間接的な力の伝達が可能になる。
【0010】
前記骨整列装置が、緊締プレートの形態に構成されること又は緊締プレートを含むことが有利である。例として、前記緊締プレートは、前記椎弓根スクリュー上で前記スクリューヘッドと椎弓根スクリューの前記雄ねじとの間に緊締式に配置することができ、これによって、前記スクリューヘッドの前記スクリューシャフトに対する自由回転が部分的に阻止され、単軸スクリューの場合におけるように、たった1つの枢軸の周りでの枢動運動のみが許容される。
【0011】
前記連結デバイスが、前記整列位置にある時に力ロック式に及び/又は形状ロック式に係合していると共に、一方で前記骨整列装置上に及び他方で前記椎弓根スクリュー上に配置又は形成される第1及び第2連結要素を含むことが有利である。このような連結デバイスを用いれば、前記骨整列装置を前記椎弓根スクリューと単純かつ安全なやり方で係合させることができる。
【0012】
好ましくは、前記第1連結要素は連結突起の形態に構成され、前記第2連結要素は前記連結突起に対応する連結受けの形態に構成される。このような連結要素は、単純な構成とすることができ、任意で前記椎弓根スクリュー上に又は前記骨整列装置上に配置又は形成することができる。
【0013】
特に前記整列位置にある時に前記骨整列装置が前記椎弓根スクリューから偶発的に解放されるリスクを防止又は最小化するために、前記整列位置にある前記連結突起が、前記連結受け内で形状ロック式のやり方で又は略形状ロック式のやり方で係合することが有利である。
【0014】
特に前記連結突起を前記スクリューシャフトと一体に構成することにより、特別な安定性を有する椎弓根スクリューシステムを得ることができる。
【0015】
前記連結突起が前記スクリューシャフトのねじ無しシャフト区域の形態に構成される場合、前記椎弓根スクリューシステムは製造することが特に容易になる。特に前記ねじ無しシャフト区域は、円形断面を有することができ又は例えば楕円、隅部が丸い多角形、又は多角形の形の非円形断面を有することもできる。従って、例えば円形断面を使用することにより、前記骨整列装置と前記椎弓根スクリューとの間で捻回できるようにすることが可能であり又は非円形断面を使用することにより回転自在に固定された接続を作り出すことが可能である。
【0016】
本発明の更なる好適な実施形態によれば、前記スクリューシャフトがジョイントヘッドを有し、前記スクリューヘッドが前記ジョイントヘッドに対応する前記ジョイントヘッドと協働して玉継手を形成するためのジョイントヘッド受けを有することを実現することができる。従って前記ジョイントヘッド受けと協働する前記ジョイントヘッドは、玉継手を形成する単純な仕方を提供する。前記ジョイントヘッドは、特に球形又は球形の一部の形態をとることができる。前記ジョイントヘッド受けは、特にジョイントのボールに対応する中空である球状の座の形態に形づくることができる。
【0017】
前記スクリューヘッドと前記スクリューシャフトとの間の回転自由度を排除する単純な仕方として、前記雄ねじと前記ジョイントヘッドとの間に前記連結突起を配置することがある。例えば、このことは前記スクリューヘッドの前記スクリューシャフトに対する運動を、前記骨整列装置を通して、例えばその緊締接続を通して阻止する単純な仕方を提供する。
【0018】
前記整列位置にある時に前記骨整列装置が支持される止め要素を前記連結デバイスが含むことが有利である。例えば、前記止め要素は前記スクリューシャフト上に形成することができるのであり、前記骨整列装置を、一方で前記止め要素上で、及び他方で前記スクリューヘッド上で支持することができる。
【0019】
前記整列位置にある時に、前記止め要素に抗して接触している止め要素接触面を前記骨整列装置が有することが有利である。特にこのことは、前記整列位置にある前記骨整列装置が前記止め要素上で直接支持されることを可能にする。このことは、他方で前記骨整列装置を前記スクリューヘッド上で支持できる場合には、前記スクリューヘッドの前記スクリューシャフトに対する前記運動度を限定する単純な仕方を提供する。
【0020】
好ましくは、前記止め要素接触面は平面構成又は略平面構成である。特にこの構成により、前記整列位置にある時に前記止め要素接触面が、それに抗して接触している平面的接触面又は略平面的接触面を止め要素が呈する場合に前記止め要素との表面接触が可能になる。
【0021】
前記整列位置にある時に前記骨整列装置が支持される平面的止め面又は略平面的止め面を前記止め要素が有することが有利である。このような止め面は構成することが容易であり、前記止め要素接触面が平面構成又は略平面構成である場合、このような止め面により、前記骨整列装置の前記止め要素に抗した表面接触が可能になる。
【0022】
特に前記止め要素が前記スクリューシャフト上に配置又は形成されることにより、前記椎弓根スクリューシステムの特にコンパクトな構造を達成することができる。
【0023】
前記止め要素が環状フランジの形態に構成される場合、前記スクリューシャフトは特別容易に製造することができる。この構成に関して、前記スクリューシャフトは例えば鋳造プロセス又は材料除去機械加工プロセスにより製造することができる。
【0024】
本発明の別の好適な実施形態によれば、前記止め要素が、前記スクリューシャフトと一体に構成され又は前記スクリューシャフトに、力ロック式のやり方で及び/又は物質間接合により接続されることを実現することができる。特に前記止め要素は、前記スクリューシャフトに圧入、接着、はんだ付け、又は溶接により接続することができる。前記スクリューシャフト及び前記スクリューヘッドの種類及び構成、ならびに、それらの間の前記玉継手接続の種類に応じて、任意で、前記止め要素が前記スクリューシャフトと一体に形成されること、又は、このスクリューシャフトに力ロック式接続で又は物質間接合により接続されることが有利なことがある。
【0025】
前記止め要素の外径が、前記雄ねじの最大外径より大きいことが有利である。従って、前記整列位置にある時に、前記骨整列装置が前記雄ねじと接触できないことを確実にすることが可能である。
【0026】
短いスクリューシャフトが使用される場合は特に、前記止め要素が前記雄ねじに直接隣接することが有利である。このようにして、前記スクリューシャフトを前記止め要素が許容することになるところまで骨にねじ込むことができる。
【0027】
前記雄ねじに向かう方向を向く接触面を前記スクリューヘッドが有することが有利であり、接触面上で前記整列位置にある時に前記骨整列装置が支持される。特にこの構成により、前記骨整列装置から前記スクリューヘッドへ力を直接伝達することができ又は前記スクリューシャフトと玉継手関係を成して協働する前記スクリューヘッドの、少なくとも回転2自由度を阻止するようにスクリューヘッドに直接作用することができる。
【0028】
前記接触面が、平面構成又は略平面構成である場合又は前記スクリューヘッドから離れる方を向いている凹形に湾曲した構成を有する場合、前記スクリューヘッドは製造することが特に容易になる。前記接触面は、好ましくは前記骨整列装置との表面接触が可能であるように形成される。
【0029】
本発明の別の好適な実施形態によれば、前記骨整列装置が、前記スクリューヘッドと前記スクリューシャフトとの間の相対運動の運動方向を予め決めておくための案内面を有し、前記整列位置にある前記スクリューヘッドが、前記案内面に抗して接触していると共に、前記スクリューシャフトに対して枢軸の周りで枢動運動するよう案内面上を案内されることを実現することができる。従って、特に前記案内面は、前記スクリューヘッドと前記スクリューシャフトとの間の前記所望の相対運動を予め決めておく、即ち特に単一の枢軸の周りでの枢動運動のみを許容する単純な仕方を提供する。このことは、前記案内面を形づくることにより単純な仕方で達成することができる。特に前記案内面は、前記スクリューヘッドの方を向く方向に凸状に湾曲させることができる。例えば前記案内面は、前記枢軸と同軸に延びることができ又は前記枢軸は前記案内面上に在ることができる。
【0030】
好ましくは、前記案内面は円筒形表面の一部を形成する。有利なことに、案内面は直円シリンダの表面の一部を形成する。特に、前記直円シリンダにより規定される長手方向軸が前記枢軸を規定することができ又は前記枢軸は前記表面上にあり前記直円シリンダの前記長手方向軸と平行に走ることができる。
【0031】
有利なことに前記整列位置にある時、前記枢軸は、前記スクリューシャフトのスクリューシャフト長手方向軸に対して交差方向に走る。特に前記枢軸は、前記スクリューシャフト長手方向軸に対して垂直に走ることができる。当然ながら、前記枢軸は前記スクリューシャフト長手方向軸に対して垂直に延びる平面に対して傾斜した方向に延びることもでき、スクリューシャフト長手方向軸との例えば約0°〜約30°の範囲内の傾斜角を取り囲むことができる。特にこのことにより、前記整列位置にある前記スクリューヘッド及び前記スクリューシャフトを、互いに対する前記傾斜角での前記傾斜した配向において維持することができる一方で、前記枢軸の周りでの枢動運動が依然として許容される。
【0032】
前記骨整列装置が案内体を含み、前記案内体が、前記案内面、前記止め要素接触面、及び/又は、前記連結デバイスの前記連結要素のうちの1つを含むことが有利である。従って、このようにして構成された案内体が幾つかの機能を遂行することができるのであり、この案内体により、全体的にみて、前記骨整列装置及び前記椎弓根スクリューシステムを極力コンパクトな構造に実施することができる。
【0033】
好ましくは、前記連結受けは前記骨整列装置の凹部又は貫通穴の形態に構成される。これらは製造が容易である。
【0034】
有利なことに、前記連結受けは穿孔の形態に構成される。このような穿孔は、作り出すことが容易である。特に前記穿孔の長手方向軸が、前記スクリューヘッドの前記スクリューシャフトに対する整列を予め決めておくこともできる。
【0035】
外科医にとっての前記椎弓根スクリューシステムの前記操作を更に改良するために、前記骨整列装置が連結区域及び操作区域を含み、前記連結区域が前記連結デバイスの前記連結要素のうちの1つを含むことが有利である。このような骨整列装置を用いれば、前記整列位置にある時に前記連結区域と前記椎弓根スクリューとの間の接続を確立することが可能になる。その際、外科医は片手で又は別の器具を用いてのいずれかで前記操作区域を把持することができ、このようにして、前記スクリューシャフトを故にこのスクリューシャフトに接続された前記椎骨を整列させるための力を前記椎弓根スクリューに所望のやり方で及ぼすことができる。
【0036】
前記骨整列装置が前記椎弓根スクリューへクリップ留め又は掛止できるように構成される場合、前記骨整列装置と前記椎弓根スクリューとを連結する特に単純な仕方が実現される。好ましくは、前記骨整列装置の前記連結区域を前記椎弓根スクリューへクリップ留め又は掛止することができる。
【0037】
特に前記連結区域が、互いと略平行に延びて基本位置から互いに向かって又は互いから離れる方へ弾性的に運動することのできる2つの緊締脚部を含むことにより及び前記緊締脚部が、前記椎弓根スクリュー上に形成された前記連結要素を導入するための導入溝により互いから分離していることにより、前記骨整列装置と前記椎弓根スクリューとの間の単純な連結作用を実施することができる。例えば、前記椎弓根スクリュー上に形成された前記連結要素を、ねじ無しシャフト区域の形態にして前記導入溝内に導入することができる結果、導入溝は、前記椎弓根スクリューの前記連結要素が前記整列位置において前記骨整列装置の前記連結要素受けと係合するまで、例えばカチッと係合するまで幾分拡張される。その際、前記骨整列装置を前記椎弓根スクリュー上で、この椎弓根スクリューと緊締関係にして保持するために、前記整列位置にある前記緊締脚部をその前記基本位置へ跳ね戻すことができ又は或る付勢力下に前記整列位置に保つことができる結果、前記緊締脚部の付加的な緊締効果が達成される。
【0038】
前記椎弓根スクリュー上に形成された前記連結要素を前記骨整列装置の前記連結受け内に導入することを促進するために、前記導入溝の幅が、前記緊締脚部の自由端に向かう方向で増加することが有利である。例えば前記緊締脚部の自由端は、前記椎弓根スクリュー上に形成された前記連結要素を前記導入溝内に導入することを促進する摺動面を有することができる。
【0039】
前記骨整列装置を前記椎弓根スクリューと係合させる動作が更に促進されるようにするために、前記導入溝が部分的に前記操作区域内に延びることが有利である。特にこのことにより、前記整列位置において前記骨整列装置と前記椎弓根スクリューとを共に連結するには、非常に長い構成である緊締脚部がその場合に少量だけ広がりさえすればよくなる。
【0040】
前記骨整列装置と前記椎弓根スクリューとを、実質、そこへ任意の緊締力を与えることなく連結するために、前記連結受けの内径が前記ねじ無しシャフト区域の外径に適合されることが有利である。
【0041】
本発明の更なる好適な実施形態によれば、前記連結受けが連結受け長手方向軸を規定し、前記連結受け長手方向軸が前記枢軸に対して交差方向に走ることを実現することができる。例えばこの連結受け長手方向軸は、前記枢軸に対して垂直に走ることができる。特に前記連結受けは、前記整列位置にある前記連結受け長手方向軸が、前記スクリューヘッドにより規定される長手方向軸と一致し、前記スクリューシャフト長手方向軸に対して上述の傾斜角だけ傾斜しているように構成することができる。
【0042】
特に前記椎弓根スクリューシステムを低侵襲性外科用処置において使用できるようにするために、前記連結区域と前記操作区域とが互いに対して有角であることが有利である。好ましくは、前記有角構成の角度は約70°〜約110°の範囲内にある。
【0043】
前記骨整列装置を単純かつ安全なやり方で把持及び保持できるようにするために、前記操作区域が前記2つの緊締脚部を共に接続する取手部分を含むことが有利である。このことにより、外科医は前記骨整列装置をこの骨整列装置に連結された前記椎弓根スクリューと共に、単純かつ安全なやり方で操作することができる。
【0044】
前記止め要素接触面と前記案内面の案内面長手方向軸とが互いに対する異なる整列角度を有する複数の骨整列装置を、前記椎弓根スクリューシステムが含むことが更に有利である。このように組になった前記椎弓根スクリューシステムの骨整列装置に関して、外科医は、いずれの場合も、前記整列位置における前記スクリューシャフトと前記スクリューヘッドとの互いに対する一定の傾斜角を、それを用いて予め決めておこうとする前記骨整列装置を選択することができる。例えば、前記整列位置における前記スクリューシャフトと前記スクリューヘッドとの互いに対する前記傾斜角を、例えば0°、10°、20°などの傾斜角を用いた規定の段階において予め決めておくことができるようにするために、前記組は10°ずつの段階的な傾斜角を有することができる。
【0045】
前記整列位置にある時に前記スクリューシャフトが少なくとも部分的に係合するスクリューシャフト受けを、前記骨整列装置が有することが有利である。特に前記スクリューシャフトは、前記整列位置にある時に前記スクリューシャフト受けを通って延びることができ、即ち例えばスクリューシャフトの遠位端が前記スクリューシャフト受けから遠位側で突出することができる。
【0046】
前記連結受けが前記スクリューシャフト受けを規定する場合、前記椎弓根スクリューシステムは、特に単純かつコンパクトなやり方で構成することができる。
【0047】
冒頭で前提とした目的は、本発明によれば、冒頭で記載した種類の脊髄安定化システムにおいて、前記少なくとも2つの骨スクリューのうちの少なくとも1つが、上述の椎弓根スクリューシステムのうちのいずれか1つの形態に構成されることにより更に達成される。
【0048】
特にその際、椎弓根スクリューシステムの好適な実施形態と組み合わせると、このような改良された脊髄安定化システムも上述の利点を包含する。
【0049】
本発明の好適な実施形態の以下の記載は、図面と合わせると本発明をより詳細に説明するように働く。