(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
[実施形態1]
図1(a)に示すように、実施形態1に係る貼付材(1aL,1aR)は、支持体8aと粘着剤層9aを備える。さらに、
図2(a)に示すように、貼付材(1aL,1aR)は、その形状により、基部(2aL,2aR)と、第1延出部(3aL,3aR)と、第2延出部(6aL,6aR)を備えて構成している。
【0024】
顔面の右側と左側にそれぞれ貼付できるように、貼付される者にとって顔面の右側用の貼付材1aRと、顔面の左側用の貼付材1aLとは、左右一対のセットになっている。貼付材1aLと貼付材1aRとでは、その形状が鏡像対称であることを除けば、同じ構成である。以下、貼付材1aLについて説明するが、その説明内容は貼付材1aRについても同様である。
【0025】
図1(a)に示すように、貼付材1aLは、フィルム状の支持体8aに一面11aと他面10aを有し、この一面11aに粘着剤層9aが設けられた積層構造である。粘着剤層9aには、支持体8aの一面11aに対向している皮膚当接面13aが設けられている。皮膚当接面13aが皮膚に接した部分では、貼付材1aLが皮膚に貼付される。
【0026】
支持体8aは、例えば、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリイソブチレン、及びポリ酢酸ビニル等からなる群より選ばれた1種以上の弾性を有する樹脂組成物により構成されている。この樹脂組成物により構成されている支持体8aは、適度な弾性を有するため、貼付材1aLが牽引されたときに裂けにくい。また、支持体8aは、薄く柔軟であることが好ましい。支持体8aが薄いと、貼付材1aLが皮膚に貼付されたときに、貼付された者は皮膚に違和感を覚えにくい。支持体8aが柔軟であると、貼付された貼付材1aLが皮膚の動きに追従して伸縮しやすいため皮膚から剥脱しにくい。
【0027】
粘着剤層9aは、医療用貼付材で用いられ皮膚科学的に許容され得る、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコン系粘着剤、及びゴム系粘着剤等からなる群より選ばれた1種以上の粘着剤により構成されている。皮膚への刺激を抑えるために、粘着剤層9aを構成する粘着剤は、好ましくはアクリル系粘着剤である。アクリル系粘着剤は、例えば、アクリル酸、炭素数8〜10のアクリル酸エステル、アクリル酸ヒドロキシエチル、及びヒドロキシエチルアクリルアミドからなる群より選ばれた1種以上の化合物を主モノマーとし、酢酸ビニル、及びアルコキシアルキルエステルからなる群より選ばれた1種以上の化合物をコモノマーとして、重合させて得られる粘着剤組成物であることが好ましい。この粘着剤組成物に、融点が10℃以上であり沸点が120℃以上である液体を5〜50%含ませて架橋させたゲル状の共重合アクリル系粘着剤が、粘着剤層9aを構成する粘着剤であることが、さらに好ましい。
【0028】
図2(a)に示すように、貼付材1aLは、全体としてU字状である。基部2aLは、略四角形状の外形であり、一端部4aと他端部12aを有する。第1延出部3aLは、舌状の外形であり、他端部12aから延出している。第1延出部3aLの舌状の先端部分を第1先端部5aとする。第2延出部6aLは、舌状の外形であり、他端部12aから、第1延出部3aLが延出している方向とは別方向へ延出している。第2延出部6aLの舌状の先端部分を第2先端部22aとする。
【0029】
なお、本発明では、複数ある延出部のうちで、先に貼付される延出部を第1延出部とし、第1延出部が貼付された後で次に貼付される延出部を第2延出部とする。また、貼付材1aLでは、身体に貼付されたときに下側に貼付される延出部を第1延出部3aLとし、上側に貼付される延出部を第2延出部6aLとすることが好ましい。この場合には、弛んだ皮膚部分を、下側から上側へ向けて段階的に引き上げるように牽引しながら矯正することができる。
【0030】
本発明において略四角形状とは、四角形のような外形であり、その四角形の辺にあたる外形の一部に曲線状の部分が含まれ、その四角形の角にあたる部分にアールが設けられており、さらに、その外形の一部が延出部とつながって一体化しているため一部の角や辺が明確でない形状である。例えば、貼付材1aLでは、基部2aLは、四角形のような外形であり、この四角形のうちの一の辺19aを挟む2つの角部分18aを有する。一の辺19aは曲線状であり、2つの角部分18aにはアールが設けられている。また、貼付材1aLの第1延出部3aLと第2延出部6aLとの間に形成されている凹形状の凹頂点20aは、四角形で一の辺19aの対辺上にある点である。しかし、凹頂点20aの周辺部分は第1延出部3aL及び第2延出部6aLのそれぞれの根元部23aにつながって一体化しているため、基部2aLは、一の辺19aの対辺の全体や、この対辺を挟む2つの角部分21について、四角形の角やその周辺としての明確な輪郭を有していない。対辺の全体として、凹頂点20aを通り、かつ、第1延出部3aLや第2延出部6aLのそれぞれの根元部23aにつながって一体化している部分を横断する線を仮想すると、対辺を挟む2つの角部分21を仮想でき、基部2aLが四角形のような外形であるといえる。
【0031】
また、本発明における別方向とは、貼付材が2つの延出部を備える場合には、それぞれの延出部が延出している方向が、10〜90°の範囲内で異なる角度を向いていることをいう。あるいは、本発明における別方向とは、貼付材が3つ以上の延出部を備える場合には、それぞれの延出部が延出している方向が、互いに5〜180°の範囲内で異なる角度を向いていることをいう。このように各々延出部の延出方向が異なると、本貼付材を適切に貼付すれば、基部や基部を貼付された皮膚部分が、それぞれの延出部の間にある方向にも牽引されるため、効率よく皮膚の弛みを解消することができる。貼付材1aLにおいては、例えば、第1延出部3aLと第2延出部6aLのそれぞれの外形について、その舌状の長手方向に並んで伸びている2辺に対してなるべく等距離となる点を複数つなげて形成される直線を仮想し、これら仮想の2つの直線を延長して生じる交差点で、交差角が20〜40°になる。つまり、貼付材1aLでは、第1延出部3aLの延出方向と、第2延出部6aLの延出方向とでは、20〜40°開いている。
【0032】
一の辺19aから凹頂点20aへ至る最短距離を基部2aLの横方向の長さとし、この横方向と直交する方向で基部2aLの幅を測ったときに示される最短の幅を基部2aLの縦方向の長さとする。基部2aLの寸法は、例えば縦30mm×横20mmである。また、基部2aLの横方向の長さの二等分点を通ってこの横方向と直交する線を仮想し、基部2aLのうちでこの仮想の線よりも一の辺19a側にある部分を一端部4aとし、基部2aLのうちでこの仮想の線よりも凹頂点20a側にある部分を他端部12aとする。一端部4aは、略四角形状である基部2aLのうちで、一の辺19a、2つの角部分18a、及びその周辺部分により構成されている。また、他端部12aは、凹頂点20a、前述した一の辺19aの対辺を挟む2つの角部分21、及びその周辺部分により構成されている。
【0033】
貼付材1aLの貼付方法の手順を説明する。まず、例えば、貼付材1aLの一端部4aと第1先端部5aとをそれぞれ別の手の指先で同時に摘んだ状態で、第1先端部5aを引っ張る。このため、
図3(a)に示すように、貼付材1aLは、その一端部4aから第1先端部5aへ向かう方向に牽引された状態となる。この状態のまま、一端部4aのみを弛んだ皮膚部分41の少なくとも一部に貼付する。次に、
図3(b)に示すように、基部2aL及び第1延出部3aLを、一端部4aから第1先端部5aへ向かう方向に牽引しながら、他端部12a、根元部23a、第1延出部3aLの第1先端部5aの順に貼付する。最後に、
図3(c)に示すように、第1延出部3aLが牽引されながら貼付された方向とは別方向に第2延出部6aLの第2先端部22aを牽引しながら、他端部12a、根元部23a、第2延出部6aLの第2先端部22aの順に貼付する。
【0034】
上記の手順により、貼付されたときの貼付材1aLは、その基部2aLが弛んだ皮膚部分41の少なくとも一部に貼付されている。また、その基部2aLと第1延出部3aLは、一端部4aから第1延出部3aLの第1先端部5aへ向かう方向に牽引されている状態で貼付されている。さらに、その基部2aLと第2延出部6aLは、一端部4aから、第1延出部3aLが牽引されながら貼付された方向とは別方向にある第2延出部6aLの第2先端部22aへ向かう方向に牽引されている状態で貼付されている。
【0035】
また、
図4(c)に示すように、身体には、筋組織、腱組織、及び軟骨組織からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の組織を介して骨組織に固定された皮膚部分(以下「固定された皮膚部分」という。)42が多数ある。前述した手順で
図3(b)に示すように、基部2aL及び第1延出部3aLが一端部4aから第1先端部5aへ向かう方向に牽引されている状態で貼付されると、この牽引方向とは逆方向の延長線上にある固定された皮膚部分43から、この牽引方向にある固定された皮膚部分45へ向けて、弛んだ皮膚部分41の少なくとも一部が牽引された状態で保持される。
【0036】
次いで、
図3(c)に示すように、第1延出部3aLが牽引されながら貼付された方向とは別方向に第2延出部6aLを牽引しながら貼付すると、この牽引方向の逆方向の延長線上にあり固定された皮膚部分43の近くにある他の固定された皮膚部分44から、この牽引方向にあり固定された皮膚部分45から少し離れている他の固定された皮膚部分46へ向けて、弛んだ皮膚41の少なくとも一部が牽引された状態で保持される。さらに、弛んだ皮膚部分41は、第1延出部3aLの第1先端部5aへの牽引方向と、第2延出部6aLの第2先端部22aへの牽引方向とが合成されて、固定された皮膚部分45と他の固定された皮膚部分46の間にあるさらに他の固定された皮膚部分47への広範な方向にも牽引されている状態で保持される。
【0037】
このため、本発明に係る貼付材を、上記のように弛んだ皮膚部分を複数方向に牽引しながら貼付すると、従来の貼付材を単一方向に牽引しながら貼付する場合と比べて、基部を貼付された皮膚部分のみに限らず、その皮膚部分の周囲の広範囲にわたって拡大した余剰皮膚をも牽引して適切に矯正することができる。さらに、皮膚の弛みが広範囲にわたり解消すると、弛んだ皮膚部分の近くに生じていたシワが効率よく平坦化する。
【0038】
また、本貼付材は、第1延出部を牽引しながら貼付する段階と、第2延出部を牽引しながら貼付する段階を経て貼付される。多段階を経て貼付されるため、弛んだ皮膚部分を牽引する方向を順次調節して、第1延出部と第2延出部のそれぞれに及ぶ牽引力の強さを順次分散させることができる。このため、従来の貼付材の扱いに熟練していない者であっても、本貼付材であれば、貼付する際に一つの延出部のみに牽引力が局所的に集中して及ぶことを容易に避けることができるため、それぞれの延出部が貼付された皮膚部分に不自然な陥凹が生じないように貼付しやすい。また、本貼付材は、牽引力の強さを第1延出部と第2延出部とに順次分散させながら、
図3(c)に示すように、第1延出部と第2延出部との間にある広範な方向へ向けて弛んだ皮膚を更に強力に牽引することができるため、弛みを矯正された皮膚が自然な外観となるように貼付しやすい。
【0039】
よって、本発明によれば、シワ、弛みを生じた皮膚を矯正する効果が大きく、皮膚に不自然な陥凹が生じにくい貼付材を提供することができる。このため、本発明に係る貼付材は、好ましくは、皮膚矯正用の貼付材として用いられる。また、さらに好ましくは、老人性顔貌を若々しく自然な顔貌に矯正するための、老人性顔貌の矯正用の貼付材として用いられる。この本発明の効果は、基部及び第1延出部を一端部から第1延出部の第1先端部へ向かう方向に牽引しながら、基部を弛んだ皮膚部分の少なくとも一部に貼付してから第1延出部の第1先端部を貼付し、次いで、第1延出部を牽引しながら貼付した方向とは別方向に第2延出部の第2先端部を牽引しながら貼付する貼付方法をとることで、更に発揮される。
【0040】
貼付材1aLは、好ましくは、
図1(b)に示すように、皮膚当接面13aを被覆する剥離紙14aを備える。この剥離紙14aが剥離されるまで、皮膚当接面13aが保護される。この剥離紙14aは、さらに好ましくは、皮膚当接面13aから少ない力で簡単に剥がすことができる素材のものである。このような剥離紙14aの素材としては、例えば、紙の片面にシリコン処理を施したもの、紙とポリオレフィン薄膜とを貼り合わせたものの片面にシリコン処理を施したもの、あるいはポリエステルフィルムにシリコン処理を施したものが挙げられる。また、剥離紙14aは、皮膚当接面13aを被覆する部分から突出した摘み部16が設けられていると、剥離しやすいため好ましい。
【0041】
貼付材1aLが剥離紙14aを備える場合、
図1(b)及び
図2(a)に示すように、この剥離紙14aは、切れ目(ハーフカット)17aが設けられていることが好ましい。切れ目17aは、
図2(a)に示す第1延出部3aLと第2延出部6aLのそれぞれの根元部23aを横断するように剥離紙14aに設けられる。また、切れ目17aは、各々根元部23aごとに向きを変えて設けられる。あるいは、切れ目17aに代わり、製造工程を簡略化するために、全ての根元部23aを同じ向きで横断する切れ目24aが設けられても良い。
図1(b)及び
図2(a)に示すように、切れ目17a又は切れ目24aが設けられた剥離紙14aは、基部2aLの皮膚当接面13aを被覆する基部被覆部分25aと、第1先端部5aの皮膚当接面13aを被覆する第1先端部被覆部分26aと、第2先端部22a(
図1(b)で不図示)の皮膚当接面13aを被覆する第2先端部被覆部分27a(
図1(b)で不図示)と、に分断されている。
【0042】
剥離紙14aに切れ目17a又は切れ目24aが設けられている場合の貼付材1aLについて、その貼付方法の手順を説明する。
図4(a)に示すように、剥離紙14aの基部被覆部分25aを剥離する。第1先端部被覆部分26a及び第2先端部被覆部分27aは、切れ目17a又は切れ目24aにより基部被覆部分25aから分断されているため、皮膚当接面13a上に残る。このため、貼付材1aLを貼付するときに、第1先端部5aや第2先端部22aを指先で摘んで牽引しやすい。
【0043】
次に、例えば、一端部4aと第1先端部5aとをそれぞれ別の手の指先で摘んで、一端部4aから第1先端部5aへ向かう方向に牽引する。このように牽引しながら、
図4(b)に示すように、一端部4aのみを弛んだ皮膚部分41の少なくとも一部に貼付する。続けて、基部2aL及び第1延出部3aLを、一端部4aから第1延出部3aLの第1先端部5aへ向かう方向に牽引しながら、他端部12a、根元部23aの順に貼付する。この際に、第1先端部5aを指先等で摘んで牽引すると、基部2aL及び第1延出部3aLが一端部4aから第1延出部3aLの第1先端部5aへ向かう方向に牽引されている状態を保つことができる。
【0044】
さらに次に、
図4(c)に示すように、第1先端部被覆部分26aを剥離して、基部2aL及び第1延出部3aLを一端部4aから第1先端部5aへ向かう方向に牽引しながら、第1延出部3aLの第1先端部5aを貼付する。最後に、第2先端部被覆部分27aを剥離して、一端部4aから、第1延出部3aLが牽引されながら貼付された方向とは別方向に第2先端部22aを牽引しながら、他端部12a、根元部23a、第2延出部6aLの第2先端部22aの順に貼付する。
【0045】
上記のように、貼付材1aLが切れ目17a又は切れ目24が設けられた剥離紙14aを備える場合、
図4(a)に示すように基部被覆部25aを剥離しても、まだ第1先端部被覆部26a及び第2先端部被覆部27aが残っている。このため、
図4(b)に示すように、一端部4aを弛んだ皮膚部分41の少なくとも一部に貼付するときに、誤って第1先端部5aや第2先端部22aが皮膚に付着することを避けることができる。また、第1延出部3aLを牽引するときに、第2先端部被覆部分27aが残っているため、誤って第2先端部22aが皮膚に付着することを避けることができる。このように、貼付材1aLが切れ目17a又は切れ目24aが設けられた剥離紙14aを備える場合、貼付する者は、
図4(a),(b),(c)に示すそれぞれの手順を、落ち着いて一つずつ行うことができる。このため、弛みを矯正された皮膚が自然な外観となるように貼付することが、さらに容易となる。
【0046】
本発明者は、弛んだ皮膚部分41をより更に効率よく矯正するために、皮膚にシワ、弛みが生じる原因を解剖学的な観点から検討した。前述した固定された皮膚部分42は、皮膚が老化しても身体での位置が固定された状態で保たれている。なお、固定された皮膚部分42としては、例えば、
図4(c)に示すヒトの頭部51において、前頭部の頭髪の生え際部分52、眉間53、内眼角54、外眼角55、前鼻棘56、頤57、又は外耳道58等を被覆している皮膚部分が挙げられ、これらの皮膚部分は筋組織、腱組織、軟骨組織等を介して骨組織に強固に結合している。また、固定された皮膚部分42としては、ほうれい線59が生じる皮膚及びその周辺の皮膚部分60が挙げられ、これらの皮膚部分は表情筋群を介して口腔内の上顎骨と歯肉部に緩徐に支持固定されている。
【0047】
一方、弛んだ皮膚部分41は、身体での位置が固定されておらず、老化により皮膚の面積を増した状態にある。面積を増し余剰となった皮膚が、固定された皮膚部分42を支持部位にして重力により垂れ下がることで、皮膚にシワ、弛みが生じる。その結果として、顔面の皮膚が老化したヒトは、顔貌が変形して老人性顔貌になると考えられる。
【0048】
従来の貼付材は、その一部を固定された皮膚部分42やその周辺部分に貼付しやすい形状や大きさではないことに加えて、設計段階で解剖学的な観点に基づいて固定された皮膚部分42の位置が考慮されていないと考えられる。また、解剖学的な観点から固定されていない皮膚部分は、日常生活において、筋組織の収縮に伴い頻繁に動く。例えば、顔面のうちで解剖学的な観点から固定されていない皮膚部分は、表情の変化により頻繁に大きく動いている。従来の貼付材は、弛んだ皮膚部分41が解剖学的な観点から固定されていない皮膚部分に向けて牽引されているように貼付される場合が多々あり、弛んだ皮膚部分41が牽引される方向が安定しなかったと考えられる。このため、従来の貼付材を貼付しても、皮膚に生じたシワ、弛みを効率よく自然な顔貌となるように矯正することは難しかったと考えられる。
【0049】
これに対して、
図2(b)に示すように、適切に貼付されたときに、貼付材1aLは、基部2aLが頬上部の皮膚部分61の少なくとも一部に貼付され、第1延出部3aLの第1先端部5a、及び第2延出部6aLの第2先端部22aが耳前の皮膚部分62の少なくとも一部に貼付される形状である。頬上部の皮膚部分61は、ほうれい線59と耳前との間にある皮膚部分63であるともいえる。顔面に深いほうれい線59が表れたヒトで、頬上部の皮膚部分61は弛みを生じており、弛んだ皮膚部分41に該当する。また、耳前の皮膚部分62は、外耳道58及び内耳道を被覆する管状の軟骨組織等により側頭骨に強固に結合されており、固定された皮膚部分42に該当する。
【0050】
基部2aL及び第1延出部3aLを一端部4aから第1先端部5aへ向かう方向に牽引しながら、基部2aLを頬上部の皮膚部分61の少なくとも一部に貼付してから、第1先端部5aを耳前の皮膚部分62の下部の少なくとも一部に貼付し、次いで、第2先端部22aを、第1延出部3aLを牽引しながら貼付した方向とは別方向に牽引しながら耳前の皮膚部分62の上部の少なくとも一部に貼付すると、頬上部の皮膚部分61にある余剰皮膚が耳前の皮膚部分62に向けて牽引される。この牽引されている状態は、貼付材1aLを貼付している限り、日常生活で筋肉が収縮して表情が変わっても安定して保たれる。このため、貼付材1aLを適切に貼付すると、従来の貼付材を貼付するよりも、弛んだ頬上部の皮膚部分61にある余剰皮膚を効率よく矯正することができる。また、頬上部の皮膚部分61にある余剰皮膚が矯正されると、ほうれい線59が平坦化して浅くなる。このため、貼付材1aLは、深いほうれい線59を生じた者に対して、皮膚矯正用貼付材として好適に用いることができる。
【0051】
顔面の筋組織は、顔面の正中部にある骨組織と、顔面の左側又は右側(正中に対して外側)にある骨組織とを、直接的又は間接的に連結している。さらに、表情筋は、皮膚の真皮に直接刺入するように結合している。このため、
図4(c)に示すように、顔面の筋組織の両端部分(顔面の正中部と顔面の外側)にある腱組織を被覆する皮膚は、固定された皮膚部分42に該当する。また、弛んだ皮膚部分41が重力により垂れ下がると、皮膚にシワが生じて老人性顔貌となる。このため、弛んだ皮膚部分41に対して顔面の外側上方にある固定された皮膚部分42に向けて牽引するように貼付材を弛んだ皮膚部分41に貼付すると、この弛んだ皮膚部分41に対して内側下方の方向にあるシワを効率よく平坦化させて老人性顔貌を矯正することができる。
【0052】
図2(a)に示すように、貼付材1aLの第1延出部3aL及び第2延出部6aLは、好ましくは、ほうれい線59や頬上部の皮膚部分61に対して、顔面の正中から外側上方の方向にある耳前の皮膚部分62に貼付される。このように貼付材1aLを貼付すると、ほうれい線59から頬上部の皮膚部分61を介して耳前の皮膚部分62へ向かう方向の牽引力が、頬上部の皮膚部分61にある余剰皮膚の広範囲に及んでいる状態が保持される。この作用により、貼付材1aLを適切に貼付すると、顔面において頬上部の皮膚部分61の内側下方にあるほうれい線59を効率よく平坦化させることができる。
【0053】
また、貼付材1aLを貼付するときは、なるべく基部2aL及び第1延出部3aLの下縁に沿った方向に第1延出部3aLを牽引しながら貼付してから、第2延出部6aLを顔面の外側上方にある固定された皮膚部分42に向けて牽引しながら貼付することが良い。第1延出部3aLを貼付したときに、弛んだ皮膚部分41は、基部2aL及び第1延出部3aLの下縁に沿った方向に牽引された状態となり、更に第2延出部6aLを貼付したときに、弛んだ皮膚部分41は、更に顔面の外側上方に向けて牽引されている状態になる。先に、弛んだ皮膚部分41が基部2aL及び第1延出部5aLの下縁に沿った方向に牽引された状態になるため、後で外側上方へ向けて牽引しながら貼付するときに、牽引方向や牽引力の強さを調節しながら貼付しやすくなる。弛んだ皮膚部分41を自然な形で矯正できるように、貼付材1aLを貼付しやすくなる。
【0054】
貼付材1aLの基部2aLは、その略四角形状の外形における辺が曲線状であり、2つの角部分18aにアールが設けられているため、基部2aLの輪郭部分に牽引力が局所的に集中して及び弛んだ皮膚部分41に不自然な陥凹が生じることは、避けられる。また、基部2aLは、一定の面積を有する略四角形状であるため、弛んだ皮膚部分41の広範囲に貼付することができ、弛んだ皮膚部分41を広範囲にわたって牽引することができる。このため、従来の基部が細い貼付材を貼付する場合や、基部の面積が小さい貼付材を貼付する場合と比べて、貼付材1aLを貼付する場合は、皮膚の弛みを効率よく不自然に見えないように矯正することができる。さらに、第1延出部3aLや第2延出部6aLは、舌状であるため、その外形に鋭角を有しておらず、これら延出部を貼付された皮膚部分に牽引力が局所的に集中して及び不自然な陥凹が生じることを、避けることができる。
【0055】
[実施形態2]
図5(a)に示す実施形態2に係る貼付材(1bL,1bR)は、前述した貼付材1aLと同様の構成と作用効果を有し、その適切な貼付方法も同様である。切れ目17b又は切れ目24bが設けられた剥離紙14bを備えると好ましいことも、同様である。しかし、形状の一部や、貼付に適する身体の部位等が異なるため、この異なる点を説明する。また、貼付材1bLについて説明するが、その説明内容は、貼付材1bLに対して鏡像対称の形状である貼付材1bRについても同様である。貼付材1bLは、支持体8b及び粘着剤層9bを備え、さらに、基部2b、第1延出部3b、及び第2延出部6bを備えて構成している。また、貼付材1bLは全体としてU字状であり、その基部2bは一端部4bと他端部12bを有する略四角形状である。基部2bの寸法は、例えば縦35mm×横25mmである。第1延出部3bの延出方向と第2延出部6bの延出方向は、10〜40°開いている。
【0056】
図5(b)に示すように、複数方向に牽引されながら適切に貼付された貼付材1bLは、その基部2bが頬下部の皮膚部分64の少なくとも一部に貼付され、その第1延出部3bの第1先端部5bが耳垂前部の皮膚部分65の下部の少なくとも一部に貼付され、第2延出部6bの第2先端部22bが耳垂前部の皮膚部分65の上部の少なくとも一部に貼付される形状である。頬下部の皮膚部分64は、マリオネットライン66と耳垂前部との間にある皮膚部分67であるといえる。顔面にマリオネットライン66が表れた者は、頬下部の皮膚部分64に弛みが生じており、この頬下部の皮膚部分64は弛んだ皮膚部分41に該当する。また、耳垂前部の皮膚部分65は、外耳道58及び内耳道を被覆する軟骨組織等により側頭骨に強固に結合されており、固定された皮膚部分42に該当する。
【0057】
頬下部の皮膚部分64の弛みが矯正されると、マリオネットライン66が平坦化して浅くなる。このため、貼付材1bLは、マリオネットライン66を生じた者に対して、皮膚矯正用貼付材として好適に用いることができる。
【0058】
[実施形態3]
図6(a)に示す実施形態3に係る貼付材(1cL,1cR)は、前述した貼付材1aLと同様の構成と作用効果を有し、その適切な貼付方法も同様である。切れ目17c又は切れ目24cが設けられた剥離紙14cを備えると好ましいことも、同様である。しかし、形状の一部や、貼付に適する身体の部位等が異なるため、この異なる点を説明する。また、貼付材1cLについて説明するが、その説明内容は、貼付材1cLに対して鏡像対称の形状である貼付材1cRについても同様である。貼付材1cLは、支持体8c及び粘着剤層9cを備え、さらに、基部2c、第1延出部3c、及び第2延出部6cを備えて構成している。また、貼付材1cLは全体としてV字状であり、その基部2cは一端部4cと他端部12cを有する略四角形状である。基部2cの寸法は、例えば縦15mm×横35mmである。第1延出部3cの延出方向と第2延出部6cの延出方向は、30〜50°開いている。
【0059】
図6(b)に示すように、複数方向に牽引されながら適切に貼付された貼付材1cLは、その基部2cが下眼瞼の皮膚部分68の少なくとも一部に貼付され、その第1延出部3cの第1先端部5cが、こめかみの皮膚部分69の下部の少なくとも一部に貼付され、第2延出部6cの第2先端部22cが、こめかみの皮膚部分69の上部の少なくとも一部に貼付される形状である。下眼瞼の皮膚部分68は、下眼瞼とこめかみとの間にある皮膚部分70であるといえる。目尻(外眼角部)にいわゆるカラスの足跡71が表れた者は、下眼瞼の隆起(いわゆる眼袋)に加えて、下眼瞼の皮膚部分68に弛みを生じており、当該下眼瞼の皮膚部分68は弛んだ皮膚部分41に該当する。また、こめかみの皮膚部分69は、前頭部の頭髪の生え際部分52であり、帽状腱膜、前頭筋膜、側頭筋膜等を介して頭蓋骨骨膜に強固に結合しており、固定された皮膚部分42に該当する。
【0060】
下眼瞼の皮膚部分68の弛みが矯正されると、カラスの足跡71が平坦化して浅くなる。このため、貼付材1cLは、目尻にカラスの足跡71が表れた者に対して、皮膚矯正用貼付材として好適に用いることができる。
【0061】
[実施形態4]
図7(a)(b)(c)に示す実施形態4に係る貼付材(1d,1e,1t)は、前述した貼付材1aLと同様の構成と作用効果を有し、その適切な貼付方法も同様である。切れ目(17d,17e,17t)又は切れ目(24d,24e,24t)が設けられた剥離紙(14d,14e,14t)を備えると好ましいことも、同様である。しかし、形状の一部や、貼付に適する身体の部位等が異なるため、この異なる点を説明する。貼付材(1d,1e,1t)は、支持体(8d,8e,8t)及び粘着剤層(9d,9e,9t)を備え、さらに、基部(2d,2e,2t)、第1延出部(3d,3e,3t)、及び第2延出部(6d,6e,6t)を備えて構成している。また、貼付材(1d,1e,1t)は、線対称の形状であるため、顔面の右左のどちら側にも適切に貼付することができる。
【0062】
図7(a)に示す貼付材1dは全体としてV字状であり、その基部2dは一端部4d及び他端部12dを有する略四角形状である。基部2dの寸法は、例えば縦15mm×横35mmである。第1延出部3dの延出方向と第2延出部6dの延出方向は、40〜60°開いている。
図7(d)に示すように、複数方向に牽引されながら適切に貼付された貼付材1dは、
図6(b)に示す前述した貼付材1cLと同様の皮膚部分に貼付される形状である。このため、貼付材1dを2枚用いると、1種類の形状しかないにも関わらず、2種類の形状の貼付材(1cL,1cR)を1枚ずつ用いる場合と同様の作用効果を発揮する。貼付材1dは、目尻にカラスの足跡71が表れた者に対して、皮膚矯正用貼付材として好適に用いることができる。
【0063】
図7(b)に示す貼付材1eは全体としてU字状であり、その基部2eは一端部4eと他端部12eを有する略四角形状である。基部2eの寸法は、例えば縦40mm×横30mmである。第1延出部3eの延出方向と第2延出部6eの延出方向は、30〜50°開いている。
【0064】
図7(c)に示す貼付材1tは全体としてU字状であり、その基部2tは一端部4tと他端部12tを有する横長の略四角形状である。基部2tの寸法は、例えば縦40mm×横53mmである。第1延出部3tの延出方向と第2延出部6tの延出方向は、30〜50°開いている。
【0065】
図7(d)に示すように、複数方向に牽引されながら適切に貼付された貼付材1eは、
図2(b)に示す前述した貼付材1aLと同様の皮膚部分に貼付される形状である。複数方向に牽引されながら適切に貼付された貼付材1tは、
図5(b)に示す前述した貼付材1bLと同様の皮膚部分に貼付される形状である。このため、貼付材1e又は貼付材1tを4枚用いると、1種類の形状しかないにも関わらず、4種類の形状の貼付材(1aL,1aR,1bL,1bR)を1枚ずつ用いる場合と同様の作用効果を発揮する。貼付材(1e,1t)は、深いほうれい線59を生じたヒトや、マリオネットライン66が表れた者に対して、皮膚矯正用貼付材として好適に用いることができる。
【0066】
貼付材1tの基部2tは、貼付材1eの基部2eよりも横長であるため、弛んだ皮膚部分41の広範囲にわたり貼付されることができる。このため、貼付されたときに、貼付材1tは、貼付材1eよりも弛んだ皮膚を矯正する効果が大きい。また、弛んだ皮膚部分41は全方向に皮膚の面積が拡大した状態にあるが、その拡大の程度は、人によって、あるいは年齢等によって、大きく異なっている。これらのことから、貼付材1eは、好ましくは、皮膚の面積が少し拡大した者、例えば40代又は50代の者にとって老人性顔貌の矯正用の貼付材として用いられる。また、貼付材1tは、好ましくは、皮膚の面積が大きく拡大した者、例えば、60代以上の者にとって老人性顔貌の矯正用の貼付材として用いられる。
【0067】
貼付材(1e,1t)の貼付に適する身体の部位や、一度に貼付する貼付材の数は、
図7(d)に示す例に限られない。例えば、複数方向に牽引されながら適切に貼付されたときの貼付材1eは、その基部2eが頬下部の皮膚部分64の少なくとも一部に貼付され、その第1延出部3eの第1先端部5e、及び第2延出部6eの第2先端部22eが耳垂前部の皮膚部分65の少なくとも一部に貼付されて、マリオネットライン66を生じた者に対して皮膚矯正用貼付材として用いられても良い。さらに、もう1枚の貼付材1eが、
図2(b)で前述した貼付材1aLと同様の身体の部位で複数方向に牽引されながら貼付されて、深いほうれい線59とマリオネットライン66の両方に対して同時に皮膚の弛みを矯正する効果を発揮させても良い。あるいは、複数方向に牽引されながら適切に貼付されたときの貼付材1tは、
図2(b)で前述した貼付材1aLと同様の身体の部位に貼付されて、深いほうれい線59を生じた者に対して、皮膚矯正用貼付材として好適に用いられても良い。
【0068】
[実施形態5]
図8(a)に示す実施形態4に係る貼付材(1fL,1fR)は、前述した貼付材1aLと同様の構成と作用効果を有し、その適切な貼付方法も同様である。しかし、形状の一部や、貼付に適する身体の部位等が異なるため、この異なる点を説明する。また、貼付材1fLについて説明するが、その説明内容は、貼付材1fLの形状に対して鏡像対称の形状である貼付材1fRについても同様である。貼付材1fLは、支持体8f及び粘着剤層9fを備え、さらに、基部2f、第1延出部3f、第2延出部6f、及び第3延出部7fを備えて構成している。なお、本発明において第3延出部とは、複数ある延出部のうちで、第1延出部と第2延出部とが貼付された後で次に貼付される延出部である。
【0069】
貼付材1fLは全体としてE字状であり、その基部2fは一端部4fと他端部12fを有するは略四角形状である。基部2fの寸法は、一の辺19fから2つある凹頂点20fのいずれか近い方へ至る最短距離を横方向の長さとし、この横方向と直交する方向での基部2fの最短の幅を縦方向の長さとするときに、例えば縦35mm×横35mmである。
【0070】
第3延出部7fは、舌状の外形であり、他端部12fから延出しており、第1延出部3fが延出している方向や第2延出部6fが延出している方向とは別方向へ延出している。第3延出部7fの舌状の先端部分を第3先端部38fとする。3つある延出部のうちで、貼付材1fLを身体に貼付するときに最も下側に貼付される延出部を第1延出部3fとし、中間に貼付される延出部分を第2延出部6fとし、最も上側に貼付される延出部を第3延出部7fとすることが、皮膚の弛みを下側から上側へ牽引して矯正する観点から好ましい。この場合、第1延出部3fの延出方向と第2延出部6fの延出方向は5〜10°開いており、第2延出部6fの延出方向と第3延出部7fの延出方向は25〜40°開いており、第1延出部3fの延出方向と第3延出部7fの延出方向は30〜50°開いている。
【0071】
図8(b)により、貼付材1fLの適切な貼付方法の手順を説明する。基部2f及び第1延出部3fを一端部4fから第1延出部3fの第1先端部5fへ牽引しながら、基部2fを弛んだ皮膚部分41の少なくとも一部に貼付する。この牽引している状態を保ったまま、顔面で弛んだ皮膚部分41の外側上方にある皮膚部分に、第1延出部3fの第1先端部5fを貼付する。次いで、第2延出部6fの第2先端部22fを、第1延出部3fを牽引しながら貼付した方向とは別方向に牽引しながら、顔面で弛んだ皮膚部分41の外側上方にある皮膚部分に貼付する。最後に、第3延出部7fの第3先端部38fを、第1延出部3fを牽引しながら貼付した方向や、第2延出部6fを牽引しながら貼付した方向とは別方向に牽引しながら、顔面で弛んだ皮膚部分41の外側上方にある皮膚部分に貼付する。
【0072】
上記のように適切に貼付されたときの貼付材1fLは、その基部2fが、頬上部の皮膚部分64の少なくとも一部と、下眼瞼の皮膚部分68の少なくとも一部に貼付される形状である。さらに、第1先端部5fが耳前の皮膚部分62の下部の少なくとも一部に貼付され、第2先端部22fが耳前の皮膚部分62の上部の少なくとも一部に貼付され、第3延出部7fの第3先端部38fがこめかみの皮膚部分69の少なくとも一部に貼付されている形状である。
【0073】
貼付材1fLを貼付すると、
図2(b)に示す前述した貼付材1aLを貼付した場合に発揮される作用効果と、
図6(b)に示す前述した貼付材1cLを貼付した場合に発揮される作用効果と、の両方が発揮される。貼付材1fLは、深いほうれい線59を生じ、同時にカラスの足跡71が表れた者に対して、皮膚矯正用貼付材として好適に用いることができる。
【0074】
皮膚に弛みを生じた者が、弛みを矯正するために美容外科手術又は美容外科的治療を受ける場合がある。美容外科手術又は美容外科的治療後に、弛んだ皮膚部分41が望ましい形状に保持されるように、弛んだ皮膚部分41に貼付材を貼付する。しかし、従来の貼付材は弛んだ皮膚部分41の保持に適した形状ではないため、患者が自作した貼付材を自身に貼付していた。貼付材の形状や貼付方法が適切でない場合、弛んだ皮膚部分41が望ましい形状になるまでに6月を要していた。また、患者は、弛んだ皮膚部分41が望ましい形状になるまで、医師による経過観察を受けるために医院に通う必用がある。6月にわたり何度も通院する負担を強いられてきた。
【0075】
また、顔面神経麻痺を罹患した患者は、片側の顔面神経に障害が生じると、顔面の片側のみで皮膚が垂れ下がるため、そのQOLが著しく低下する。顔面神経麻痺に対して各種治療法があるが、即効的な効果のある治療法は少ない。患者は、症状が改善するまでの間、医師による経過観察を受け続けるが、その間に患者のQOLの低下を防ぐため、弛んだ皮膚部分41を適切な形状で保持できる対処法が求められていた。顔面神経麻痺を罹患したため手術又は治療を受けた患者が、弛んだ皮膚部分41が望ましい形状に保持されるように貼付材を貼付する場合がある。この場合も、患者が自作した貼付材を自身に貼付していたが、弛んだ皮膚部分41を効率よく不自然な外観とならないように保持することは難しかった。
【0076】
これに対して、頬上部の皮膚部分64及び下眼瞼の皮膚部分68について美容外科手術又は美容外科的治療を受けた患者や、顔面神経麻痺を罹患したため手術又は治療を受けた患者にとって、貼付材1fLは、頬上部の皮膚部分64及び下眼瞼の皮膚部分68を同時に矯正できるため、皮膚矯正用貼付材として優れている。例えば、貼付材1fLを用いた場合、頬上部の皮膚部分64が望ましい形状になるまでの期間が、2月に短縮、つまり、3分の1に短縮された。
【0077】
なお、
図5(a)に示すように、貼付材1fLは、切れ目17f又は切れ目24fが設けられた剥離紙14fを備えることが好ましい。この場合の剥離紙14fは、基部被覆部分25f、第1先端部被覆部分26f、第2先端部被覆部分27f、及び第3先端部被覆部分39fに分断されている。
【0078】
[実施形態6]
図9(a)(b)に示す実施形態6に係る貼付材(1gL,1gR,1hL,1hR)は、前述した貼付材1aLと同様の構成と作用効果を有し、その適切な貼付方法も同様である。切れ目(17gL,17gR,17hL,17hR)又は切れ目(24gL,24gR,24hL,24hR)が設けられた剥離紙(14gL,14gR,14hL,14hR)を備えると好ましいことも、同様である。しかし、形状の一部や、貼付に適する身体の部位等が異なるため、この異なる点を説明する。
【0079】
図9(a)に示すように、顔面の右側と左側に貼付できるように、顔面の右側用の貼付材1gRと、顔面の左側用の貼付材1gLとは、左右一対のセットになっている。貼付材(1gL,1gR)は、支持体(8gL,8gR)及び粘着剤層(9gL,9gR)を備え、さらに、基部(2gL,2gR)、第1延出部(3gL,3gR)、及び第2延出部(6gL,6gR)を備えて構成している。また、貼付材(1gL,1gR)は全体としてV字状であり、その基部(2gL,2gR)は一端部(4gL,4gR)と他端部(12gL,12gR)を有する略四角形状である。基部2gRの寸法は、例えば縦20mm×横32mmである。貼付材1gLの基部2gLの寸法は、例えば縦20mm×横70mmである。貼付材1gRの基部2gRに対して、貼付材1hLの基部2gLの方が、横長の形状である。貼付材1gRで、第1延出部3gRの延出方向と第2延出部6gRの延出方向は20〜40°開いている。貼付材1gLで、第1延出部3gLの延出方向と第2延出部6gLの延出方向も20〜40°開いている。
【0080】
図9(c)に示すように、複数方向に牽引されながら適切に貼付されたときに、貼付材1gRの基部2gR及び貼付材1gLの基部2gLは、共に下口唇の皮膚部分72の少なくとも一部に貼付されている。この際に、貼付される者にとって下口唇の皮膚部分72のうちで顔面の右側にある部分73で、貼付材1gRの一端部4gRと、貼付材1gLの一端部4gLとが、重ねられるように貼付されている。下口唇が垂れ下がった者は、下口唇の皮膚部分72に弛みを生じており、この下口唇の皮膚部分72は弛んだ皮膚部分41に該当する。また、貼付材1gRの第1延出部3gR及び第2延出部6gR、並びに、貼付材1gLの第1延出部3gL及び第2延出部6gLは、ほうれい線59及びその周辺の皮膚部分60の少なくとも一部、つまり固定された皮膚部分42の少なくとも一部に貼付されている。
【0081】
前述したように貼付材1gR及び貼付材1gLが貼付されると、貼付される者にとって下口唇の皮膚部分72のうちで顔面の右側部分は右側上方へ、顔面の左側部分は左側上方へ、余剰皮膚が牽引されている状態で保持されるため、下口唇の皮膚部分72の弛みが矯正される。また、このように牽引されている状態で保持されるため、下口唇の皮膚部分72の外観について、顔面の右側と左側とで左右対称性を保つことができる。このため、貼付材1gR及び貼付材1gLは、下口唇の皮膚部分72に弛みを生じた者に対して、皮膚矯正用貼付材として好適に用いることができる。また、左右対称性を保ちつつ皮膚の弛みを矯正する効果が大きいため、下口唇の皮膚部分72について美容外科手術又は美容外科的治療を受けた患者や、顔面神経麻痺を罹患したため手術又は治療を受けた患者のための皮膚矯正用貼付材として用いることが、さらに好ましい。
【0082】
なお、貼付材1gR及び貼付材1gLは、右ききの者が自身の手で自身の顔面に貼付しやすいように、貼付材1gLの基部2gLの方が貼付材1gRの基部2gRよりも、横長の形状である。
【0083】
一方、
図9(b)に示すように、顔面の右側用の貼付材1hRと、顔面の左側用の貼付材1hLとは、左右一対のセットになっており、貼付材1hLの形状に対して貼付材1hRの形状は鏡像対称である。貼付材(1hL,1hR)は、支持体(8hL,8hR)及び粘着剤層(9hL,9hR)を備え、さらに、基部(2hL,2hR)、第1延出部(3hL,3hR)、及び第2延出部(6hL,6hR)を備えて構成している。貼付材(1hL,1hR)は全体としてV字状であり、その基部(2hL,2gR)は一端部(4hL,4hR)と他端部(12hL,12hR)を有する略四角形状である。基部(2hL,2hR)の寸法は、例えば縦20mm×横45mmである。貼付材(1hL,1hR)で、第1延出部(3hL,3hR)の延出方向と第2延出部(6hL,6hR)の延出方向は、20〜40°開いている。
【0084】
図9(d)に示すように、適切に貼付されたときの貼付材1hL及び貼付材1hRは、下口唇の皮膚部分72のうちの顔面の正中部にある部分で、貼付材1hLの基部2hLの一端部4hLと、貼付材1hRの基部2hRの一端部4hRとが、重ねられるように貼付されている。他人の顔面に貼付する場合、前述した貼付材(1gL,1gR)よりも、貼付材(1hL,1hR)の方が一端部(4hL,4hR)を貼付すべき部位が分かりやすいため容易に貼付することができる。貼付材(1hL,1hR)についての他の構成、作用効果は、前述した貼付材(1gR,1gL)と同様である。
【0085】
[実施形態7]
図10(a)に示す実施形態7に係る貼付材1iは、前述した貼付材1aLと同様の構成と作用効果を有し、その適切な貼付方法も同様である。しかし、形状の一部や、貼付に適する身体の部位等が異なるため、この異なる点を説明する。貼付材1iは、支持体8i及び粘着剤層9iを備え、さらに、基部2i、第1延出部3i、第2延出部6i、及び第3延出部7iを備えて構成している。また、貼付材1iは、全体としてΨ字状である線対称の形状であり、その基部2iは一端部4iと他端部12iを有する略四角形状である。基部2iの寸法は、一の辺19iから2つある凹頂点20iのいずれか近い方へ至る最短距離を横方向の長さとし、この横方向と直交する方向での基部2iの最短の幅を縦方向の長さとするときに、例えば縦25mm×横35mmである。貼付材1iの3つある延出部のうちで、貼付材1iの対称軸上にある延出部を第1延出部3iとする。さらに、貼付される者にとって第1延出部3iの右側に貼付される延出部と左側に貼付される延出部のうちで、いずれか一方を第2延出部6iとし、他方を第3延出部7iとする。右側と左側のどちらの延出部を第2延出部6iとするかは、任意である。
【0086】
第1延出部3i、第2延出部6i、及び第3延出部7iは、他端部12iから各々別方向に延出している。第1延出部3iの延出方向と第2延出部6iの延出方向は45〜60°開いており、第1延出部3iと第3延出部7iの延出方向は45〜60°開いており、第2延出部6iの延出方向と第3延出部7iの延出方向は90〜120°開いている。
【0087】
図10(b)に示すように、複数方向に牽引されながら適切に貼付された貼付材1iは、その基部2iが眉間の皮膚部分74の少なくとも一部に貼付され、その第1延出部3i、第2延出部6i及び第3延出部7iが額の皮膚部分75の少なくとも一部に貼付される形状である。また、その基部2iの一端部4iが、鼻背の皮膚部分76の少なくとも一部に貼付される。眉間にシワが表れた者は、眉間の皮膚部分74に弛みを生じており、当該眉間の皮膚部分74は弛んだ皮膚部分41に該当する。また、鼻背の皮膚部分76は、鼻根筋等の筋組織を介して鼻骨下部や外側鼻軟骨上部に強固に固定されているため、固定された皮膚部分42に該当する。
【0088】
貼付材1iの貼付方法は、実施形態5に係る貼付材1fLについて前述した貼付方法と同様である。ただし、貼付材1fLの貼付方法と比べて、貼付材1iの貼付方法は、第1延出部3iを貼付してから、次に、第1延出部3iの右側又は左側にある第2延出部6iを貼付し、最後に、まだ貼付されていない第3延出部7iを貼付することが異なる。
【0089】
貼付材1iが貼付されたときに、眉間の皮膚部分74は、鼻背の皮膚部分76から眉間の皮膚部分74を介して額の皮膚部分75へ向かう方向に、引き上げられた状態で安定して保持されている。眉間の皮膚部分74の弛みが矯正されると、眉間のシワが平坦化して浅くなる。このため、貼付材1iは、眉間にシワが生じた者に対して、皮膚矯正用貼付材として好適に用いることができる。また、貼付材1iは、前述した貼付材(1gR,1gL)と同様に、眉間の皮膚部分74について美容外科手術又は美容外科的治療を受けた患者や、顔面神経麻痺を罹患したため手術又は治療を受けた患者のための皮膚矯正用貼付材として用いることが、さらに好ましい。
【0090】
なお、
図10(a)に示すように、貼付材1iは、切れ目17i又は切れ目24iが設けられた剥離紙14iを備えることが好ましい。この場合の剥離紙14iは、基部被覆部分25i、第1先端部被覆部分26i、第2先端部被覆部分27i、及び第3先端部被覆部分39iに分断されている。
【0091】
[実施形態8]
図11(a)に示す実施形態8に係る貼付材(1jL,1jR)は、前述した貼付材1aLと同様の構成と作用効果を有し、その適切な貼付方法も同様である。切れ目17jが設けられた剥離紙14jを備えると好ましいことも、同様である。しかし、形状の一部や、貼付に適する身体の部位等が異なるため、この異なる点を説明する。また、貼付材1jLについて説明するが、その説明内容は、貼付材1jLの形状に対して鏡像対称の形状である貼付材1jRについても同様である。貼付材1jLは、支持体8j及び粘着剤層9jを備え、さらに、基部2jL、第1延出部3jL、第2延出部6jL、及び第3延出部7jLを備えて構成している。基部2jLは、一端部4jLと他端部12jを有する弓なりに曲げられた略四角形状であり、その寸法は例えば縦25mm×横45mmである。
【0092】
第1延出部3jL、第2延出部6jL、及び第3延出部7jLのそれぞれは、他端部12jから各々別方向に延出している。3つある延出部のうちで、貼付材1jLを身体に貼付したときに最も下側に貼付される延出部を第1延出部3jLとし、中間に貼付される延出部を第2延出部6jLとし、最も上側に貼付される延出部を第3延出部7jLとすることが好ましい。この場合、第1延出部3jLの延出方向と第2延出部6jLの延出方向は40〜50°開いており、第2延出部6jLの延出方向と第3延出部7jLの延出方向は40〜50°開いており、第1延出部3jLの延出方向と第3延出部7jLの延出方向は80〜100°開いている。
【0093】
図11(b)に示すように、複数方向に牽引されながら適切に貼付された貼付材1jRの基部2jR、及び、貼付材1jLの基部2jLは、共に上口唇の皮膚部分77の少なくとも一部に貼付されている。貼付材(1jL,1jR)の貼付方法は、実施形態5に係る貼付材1fLについて前述した貼付方法と同様である。ただし、貼付材1fLの貼付方法と比べて、貼付材(1jL,1jR)の貼付方法は、前鼻棘の皮膚部分78で、貼付材1jRの基部2jRの一端部4jRと、貼付材1jLの基部2jLの一端部4jLとが、重ねられるように貼付されることが異なる。
【0094】
上口唇が垂れ下がった者は、上口唇の皮膚部分77に弛みを生じており、当該上口唇の皮膚部分77は弛んだ皮膚部分41に該当する。また、貼付材(1jL,1jR)の第1延出部(3jL,3jR)、及び第2延出部(6jL,6jR)は、ほうれい線59及びその周辺の皮膚部分60、つまり固定された皮膚部分42に貼付される。さらに、上顎骨の一部である前鼻棘56は、口輪筋等の表情筋の起始部であるため、当該表情筋を介して前鼻棘56部分を被覆する皮膚と強固に結合している。このため、前鼻棘の皮膚部分78は、固定された皮膚部分42に該当する。
【0095】
このように貼付材1jL及び貼付材1jRが貼付されると、上口唇の皮膚部分77の余剰皮膚が、前鼻棘56から上口唇の皮膚部分77を介して、ほうれい線59及びその周辺の皮膚部分60へ牽引される。広範囲にわたる余剰皮膚が望ましい方向に牽引されるため、上口唇の皮膚部分77の弛みが矯正される。貼付材1jR及び貼付材1jLは、上口唇の皮膚部分77に弛みを生じた者に対して、皮膚矯正用貼付材として好適に用いることができる。また、貼付材(1jL,1jR)は、前述した貼付材(1gL,1gR)と同様に、上口唇の皮膚部分77について美容外科手術又は美容外科的治療を受けた患者や、顔面神経麻痺を罹患したため手術又は治療を受けた患者のための皮膚矯正用貼付材として用いることが、さらに好ましい。
【0096】
[実施形態9]
図12(a)に示す実施形態9に係る貼付材(1kL,1kR)は、前述した貼付材1aLと同様の構成と作用効果を有し、その適切な貼付方法も同様である。切れ目17k又は切れ目24kが設けられた剥離紙14kを備えると好ましいことも、同様である。しかし、形状の一部や、貼付に適する身体の部位等が異なるため、この異なる点を説明する。また、貼付材1kLについて説明するが、その説明内容は、貼付材1kLの形状に対して鏡像対称の形状である貼付材1kRについても同様である。貼付材1kLは、支持体8k及び粘着剤層9kを備え、さらに、基部2k、第1延出部3k、及び第2延出部6kを備えて構成している。また、貼付材1kLは全体としてU字状であり、その基部2kは、一端部4kと他端部12kを有し、前述した貼付材1aLの基部2aLと比べて横長の略四角形状である。基部2kの寸法は、例えば縦35mm×横55mmである。第1延出部3kの延出方向と第2延出部6kの延出方向は、20〜40°開いている。
【0097】
図12(b)に示すように、複数方向に牽引されながら適切に貼付された貼付材1kLは、前述した
図2(b)に示す貼付材1aLと同様に貼付されている。ただし、貼付された貼付材1kLの基部2kは、貼付された貼付材1aLの基部2aLよりも、頬上部の皮膚部分61の広範囲にわたって貼付されている。広範囲にわたる頬上部の皮膚部分61が、ほうれい線59及びその周辺の皮膚部分60から耳前の皮膚部分62へ向けて牽引されている状態で保持される。このため、貼付材1kLを貼付する場合には、貼付材1aLを貼付する場合と比べて、頬上部の皮膚部分61を広範囲にわたり短期間で効率よく矯正することができる。また、貼付材(1kL,1kR)は、前述した貼付材(1gR,1gL)と同様に、頬上部の皮膚部分61について美容外科手術又は治療を受けた患者や、顔面神経麻痺を罹患したため手術又は治療を受けた患者のための皮膚矯正用貼付材として用いることが、さらに好ましい。
【0098】
[実施形態10]
図13(a)に示す実施形態10に係る貼付材(1mL,1mR)は、前述した貼付材1aLと同様の構成と作用効果を有し、その適切な貼付方法も同様である。切れ目17m又は切れ目24mが設けられた剥離紙14mを備えると好ましいことも、同様である。しかし、形状の一部や、貼付に適する身体の部位等が異なるため、この異なる点を説明する。また、貼付材1mLについて説明するが、その説明内容は、貼付材1mLの形状に対して鏡像対称の形状である貼付材1mRについても同様である。貼付材1mLは、支持体8m及び粘着剤層9mを備え、さらに、基部2m、第1延出部3m、及び第2延出部6mを備えて構成している。また、貼付材1mLは全体としてU字状であり、その基部2mは、一端部4mと他端部12mを有し、前述した貼付材1bLの基部2bLよりも横長の略四角形状である。基部2mの寸法は、例えば縦32mm×横65mmである。第1延出部3mの延出方向と第2延出部6mの延出方向は、10〜30°開いている。
【0099】
図13(b)に示すように、複数方向に牽引されながら適切に貼付された貼付材1mLは、
図5(b)に示す前述した貼付材1bLと同様に貼付されている。ただし、貼付された貼付材1mLの基部2mは、貼付された貼付材1bLの基部2bよりも、頬下部の皮膚部分64の広範囲にわたって貼付されている。広範囲にわたる頬下部の皮膚部分64が、マリオネットライン66から耳垂前部の皮膚部分65へ向けて牽引されている状態で保持される。このため、貼付材1mLを貼付する場合には、貼付材1bLを貼付する場合と比べて、頬下部の皮膚部分64を広範囲にわたって短期間で効率よく矯正することができる。また、貼付材(1mL,1mR)は、前述した貼付材(1gR,1gL)と同様に、頬下部の皮膚部分64について美容外科手術又は美容外科的治療を受けた患者や、顔面神経麻痺を罹患したため手術又は治療を受けた患者のための皮膚矯正用貼付材として用いることが、さらに好ましい。
【0100】
[実施形態11]
図14(a)に示す実施形態11に係る貼付材(1nR,1nL)は、前述した貼付材1aLと同様の構成と作用効果を有し、その適切な貼付方法も同様である。切れ目17n又は切れ目24nが設けられた剥離紙14nを備えると好ましいことも、同様である。しかし、形状の一部や、貼付に適する身体の部位等が異なるため、この異なる点を説明する。また、貼付材1nLについて説明するが、その説明内容は、貼付材1nLの形状に対して鏡像対称の形状である貼付材1nRについても同様である。貼付材1nLは、支持体8n及び粘着剤層9nを備え、さらに、基部2n、第1延出部3n、及び第2延出部6nを備えて構成している。また、貼付材1nLは全体としてV字状であり、その基部2nは、一端部4nと他端部12nを有し、前述した貼付材1cLの基部2cよりも横長で曲げられた略四角形状である。基部2nの寸法は、例えば縦15mm×横70mmである。第1延出部3nの延出方向と第2延出部6nの延出方向は、30〜50°開いている。
【0101】
図14(b)に示すように、複数方向に牽引されながら適切に貼付された貼付材1nLは、その基部2nの一端部4nが鼻背の皮膚部分76の少なくとも一部に貼付され、さらに基部2nが下眼瞼の皮膚部分68の少なくとも一部に貼付され、その第1延出部3n及び第2延出部6nがこめかみの皮膚部分69の少なくとも一部に貼付されている形状である。
【0102】
貼付材1nLを貼付すると、下眼瞼の皮膚部分68に生じた眼袋の皮膚が、鼻背の皮膚部分76から下眼瞼の皮膚部分68を介してこめかみの皮膚部分69へ向けて牽引されている状態で保持される。このため、貼付材1nLを貼付する場合には、貼付材1cLを貼付する場合と比べて、下眼瞼の皮膚部分68を短期間で効率よく矯正することができる。また、貼付材(1nL,1nR)は、前述した貼付材(1gR,1gL)と同様に、下眼瞼の皮膚部分68について美容外科手術又は美容外科的治療を受けた患者や、顔面神経麻痺を罹患したため手術又は治療を受けた患者のための皮膚矯正用貼付材として用いることが、さらに好ましい。
【0103】
[実施形態12]
図15(a)に示す実施形態12に係る貼付材(1pR,1pL)は、前述した貼付材1aLと同様の構成と作用効果を有し、その適切な貼付方法も同様である。切れ目17p又は切れ目24pが設けられた剥離紙14pを備えると好ましいことも、同様である。しかし、形状の一部や、貼付に適する身体の部位等が異なるため、この異なる点を説明する。また、貼付材1pLについて説明するが、その説明内容は、貼付材1pLの形状に対して鏡像対称の形状である貼付材1pRについても同様である。貼付材1pLは、支持体8p及び粘着剤層9pを備え、さらに、基部2p、第1延出部3p、第2延出部6p、及び第3延出部7pを備えて構成している。また、貼付材1pLは全体としてE字状であり、その基部2pは、一端部4pと他端部12pを有し、前述した貼付材1fLの基部2fよりも横に長い略四角形状である。基部2pの寸法は、例えば、縦35mm×横70mmである。第1延出部3pの延出方向と第2延出部6pの延出方向は5〜10°開いており、第2延出部6pの延出方向と第3延出部7pの延出方向は25〜40°開いており、第1延出部3pの延出方向と第3延出部7pの延出方向は30〜50°開いている。
【0104】
図15(b)に示すように、複数方向に牽引されながら適切に貼付された貼付材1pLは、
図8(b)に示す前述した貼付材1fLと同様に貼付されている。ただし、適切に貼付された貼付材1fLの基部2fと比べると、適切に貼付された貼付材1pLの基部2pは、その一端部4pが、ほうれい線59の周辺の皮膚部分60の少なくとも一部に貼付されている点で異なる。また、基部2pが、頬上部の皮膚部分61のさらに広範囲にわたって貼付されている。さらに、第1延出部3p及び第2延出部6pが、耳前の皮膚部分62のさらに広範囲にわたり貼付され、第3延出部7pがこめかみの皮膚部分69のさらに広範囲にわたり貼付されている。
【0105】
貼付材1pLを貼付すると、頬上部の余剰皮膚が、ほうれい線59から耳前の皮膚部分62へ向けて牽引された状態で保持される。同時に、下眼瞼の皮膚部分68に生じた眼袋の皮膚が、下眼瞼の皮膚部分68からこめかみの皮膚部分69へ向けて牽引された状態で保持される。貼付材1pLを貼付する場合には、貼付材1fLを貼付する場合と比べて、頬上部の皮膚部分61と、下眼瞼の皮膚部分68とを、広範囲にわたり短期間で効率よく矯正することができる。また、貼付材(1pL,1pR)は、前述した貼付材(1gL,1gR)と同様に、頬上部の皮膚部分61や下眼瞼の皮膚部分68について美容外科手術又は治療を受けた患者や、顔面神経麻痺を罹患したため手術又は治療を受けた患者のための皮膚矯正用貼付材として用いることが、さらに好ましい。
【0106】
[実施形態13]
実施形態13に係る貼付材(不図示)は、前述した貼付材(1aL,1bL,1cL,1d,1e,1fL,1gL,1gR,1hL,1i,1jL,1kL,1mL,1nL,1pL,1t)、及びこれらの貼付材と鏡像対称の形状である貼付材からなる群から選ばれたいずれかの貼付材と、同様の形状と作用効果を有し、その適切な貼付方法や貼付に適する身体の部位も同様である。切れ目が設けられた剥離紙(不図示)を備えると好ましいことも、同様である。しかし、支持体や粘着剤層の構成が異なるため、この異なる点を説明する。本形態に係る貼付材は、支持体及び粘着剤層を備え、さらに、一端部と他端部を有する基部、第1延出部、及び第2延出部を少なくとも備えて構成している。さらに、第3延出部を備えて構成しても良い。
【0107】
本形態に係る貼付材の支持体の厚さは、6〜50μmであり、好ましくは7〜30μmである。支持体の厚さが6〜50μmであると、貼付材を皮膚に貼付したときに、使用者が違和感を覚えることなく、貼付材が牽引されている状態で保持されやすい。さらに、支持体の厚さが7〜30μmである場合は、使用者が貼付材を扱いやすい厚さであり、貼付材が皮膚の矯正に適した引張応力を示す。なお、支持体の厚さが薄すぎると、貼付材が牽引されている状態で貼付されている間に、支持体の引張応力が弱くなってしまう。支持体の引張応力が弱くなりすぎると、弛んだ皮膚部分に及ぶ牽引力が弱くなり、皮膚を矯正する効果が小さくなってしまう。また、支持体が厚すぎると、貼付材を皮膚に貼付したときに、貼付された者が皮膚に違和感を覚えてしまう。
【0108】
本形態に係る貼付材の支持体は、その20%引張強度が0.1〜3N/cmであるフィルムにより構成されている。支持体の20%引張強度が0.1〜3N/cmであると、支持体が適度な伸縮性を示すため、貼付材を皮膚に貼付したときに、貼付材が皮膚の曲面に追従して伸縮しつつ、他端部から各々延出部へ向けて牽引されている状態を保持しやすい。なお、支持体の20%引張強度が小さすぎると、支持体が柔らかいため、弛んだ皮膚部分に及ぶ牽引力が弱くなり、皮膚を矯正する効果が小さくなってしまう。また、貼付材を皮膚から剥離するときに、支持体が必用以上に伸縮するため、剥離しにくい。支持体の20%引張強度が大きすぎると、皮膚の伸縮に対する支持体の抵抗が強いため、使用者が皮膚に違和感を覚え、長時間貼付していると皮膚刺激を生じるおそれがある。また、支持体が皮膚曲面に追従して伸縮しないため、皮膚に貼付された貼付材が短時間で剥脱するおそれがある。
【0109】
なお、20%引張強度の測定方法としては、支持体を1cm幅に切断した試験片を準備して、チャック間距離を5cmに設定して、試験片を30cm/minの速度で引っ張り変形させて、試験片が20%伸びたときの応力を測定する。このときの測定値を、支持体の20%引張強度とする。試験片の材質によっては温度により測定値が変わる場合があるため、この測定方法は、通常、25℃の恒温室内で行われる。
【0110】
本形態に係る貼付材の粘着剤層は、その厚さが5〜100μmであり、好ましくは10〜40μmである。粘着剤層の厚さが5〜100μmであると、貼付材が皮膚から剥脱しにくく、貼付材を剥がすときに皮膚の損傷を免れ、皮膚は蒸れにくくなる。なお、粘着剤層の厚さが薄すぎると、粘着力が足りず、皮膚の凹凸に馴染みにくいため、意図せずに貼付材が皮膚から剥脱するおそれがある。粘着剤層が厚すぎると、粘着力が強すぎるため、皮膚から貼付材を剥がすときに皮膚を損傷させるおそれがある。また、貼付材と皮膚との段差が大きいため、貼付材が目立ち、また、貼付材が衣服に引っかかり剥脱しやすい。さらに、粘着剤層が厚すぎると、粘着剤の材質によっては、粘着剤層の透湿性が低くなり、皮膚が蒸れてしまう。
【0111】
[実施形態14]
図16(a)(b)に示す実施形態14に係る貼付材(1q,1r)は、前述した貼付材(1aL,1bL,1cL,1d,1e,1fL,1gL,1gR,1hL,1i,1jL,1kL,1mL,1nL,1pL,1t)や実施形態13に係る貼付材(不図示)、及びこれらの貼付材と鏡像対称の形状である貼付材からなる群より選ばれたいずれかと、同様の形状と作用効果を有し、その適切な貼付方法や貼付に適する身体の部位も同様である。また、切れ目(17q,17r)又は切れ目(24q,24r)が設けられた剥離紙(14q,14r)を備えると好ましいことも、同様である。しかし、支持体等の構成が異なるため、この異なる点を説明する。貼付材(1q,1r)は、支持体(8q,8r)及び粘着剤層(9q,9r)を備え、さらに、一端部(4q,4r)と他端部(12q,12r)を有する基部(2q,2r)、第1延出部(3q,3r)、及び第2延出部(不図示)を少なくとも備えて構成している。さらに、第3延出部(不図示)を備えて構成しても良い。
【0112】
貼付材(1q,1r)は、その支持体(8q,8r)の厚さをwとするとき、支持体(8q,8r)の他面(10q,10r)の十点平均粗さRzが、6μm≦Rz≦40μmであり、かつ、Rz≦wである。また、貼付材(1q,1r)は、その支持体(8q,8r)の厚さをwとするときの他面(10q,10r)のRzが、好ましくは10μm≦Rz≦40μmかつRz≦wであり、さらに好ましくは17μm≦Rz≦35μmかつRz≦wである。なお、他面(10q,10r)のRzは、JIS B 0601:2001に準拠して、基準長さ500μm、カットオフ値200μmの条件で、表面粗さ測定器により他面10の表面形状を測定して得られた値である。
【0113】
支持体(8q,8r)は、表面性状が6μm≦Rz≦40μmとなるように、他面(10q,10r)に凹凸が設けられている。6μm≦Rz≦40μmとなる凹凸の深さは、皮膚表面の凹凸の深さに近いため、他面(10q,10r)の外見は皮膚に似ている。また、凹凸形状により他面(10q,10r)から支持体(8q,8r)内への入射光が散乱されるため、他面(10q,10r)は、そのテカリが抑えられて目立たない。
【0114】
6μm≦Rz≦40μmとなる凹凸の深さは、他面(10q,10r)にコンシーラーの粉末が塗布された後に更にファンデーションの粉末が塗布されたときに、これら複数種類の化粧料の粉末を他面(10q,10r)上に保持するうえで適している。ファンデーションやコンシーラーの平均粒子径は一般的に0.1〜60μmと幅広いことに対して、他面(10q,10r)が6μm≦Rz≦40μmとなる凹凸の深さであると、凹凸が粒子径の異なる複数種類の化粧料の粉末を保持することができるため、化粧ののりが良い。
【0115】
他面(10q,10r)のRzが6μm未満であると、ファンデーションの粉末やコンシーラーの粉末の平均粒子径に対して凹凸の深さが小さすぎるため、これら化粧料の粉末が他面(10q,10r)でほとんど保持されない場合が多い。これら化粧料の粉末を指先で撫でて塗布しようとしても、化粧料の粉末が他面(10q,10r)から滑り落ちてしまう。他面(10q,10r)のRzが40μmを超えると、これら化粧料の粉末の平均粒子径に対して凹凸の深さが大きすぎるため、化粧料を他面(10q,10r)に厚く塗りすぎたときに拭き取りにくい。なお、他面(10q,10r)が17μm≦Rz≦35μmとなる凹凸の深さであると、皮膚と同程度の凹凸の深さであるため、肌から化粧料を拭き取るときに近い感覚で、他面(10q,10r)から化粧料を拭き取ることができる。
【0116】
Rz≦wとは、他面(10q,10r)に形成された凹凸の深さが、支持体(8q,8r)の厚さw以下であることを示している。Rz=wである場合には、他面(10q,10r)から一面(11q,11r)へ至る貫通孔が支持体(8q,8r)に多数設けられて、貫通孔の底に粘着剤層(9q,9r)が露出している。この場合も、他面(10q,10r)に形成された凹凸により、ファンデーションの粉末やコンシーラーの粉末が保持される。なお、塗布される化粧料は、ペースト状の化粧料、又は粒子を含有する液状の化粧料であると、他面(10q,10r)上で保持されやすく、貼付され化粧料を塗布された貼付材(1q,1r)の外観がその周囲の皮膚になじみやすいため好ましい。
【0117】
図16(a)に示す貼付材1qは、その支持体8qがポリアクリル酸エステル系樹脂により構成されている。また、貼付材1qは、硬いフィルム28と、当該フィルム28の片面を覆う粘着剤層29が設けられたキャリアー15qを備える。キャリアー15qの粘着剤層29は、高い凝集力を示す粘着剤により構成されており、この粘着剤が流出しない。また、キャリアー15qの粘着剤層29は、他面10qを被覆する。キャリアー15qの粘着剤層29の厚さは3〜20μmと薄いため、使用者は、他面10qからキャリアー15qを容易に剥離することができる。他面10qに形成された凹凸は、貼付材1qが貼付される直前まで、キャリアー15qにより保護される。貼付材1qを製造する際には、支持体8qがキャリアー15qにより支持されるため、貼付材1qを製造しやすい。
【0118】
図16(b)に示す貼付材1rは、その支持体8rがポリウレタンにより構成されている。また、貼付材1rは、フィルム28を含んで成るキャリアー15rを備える。支持体8rを構成するポリウレタンは弱い粘着力を有するため、キャリアー15rには粘着剤層が設けられていなくとも良い。貼付材1rについて、他の構成、作用効果は、前述した貼付材1qと同様である。
【0119】
従来、弛んだ皮膚部分を矯正しようと顔面等に貼付材を貼付すると、貼付材が目立ってしまう問題があった。貼付材が目立たないように貼付できる皮膚部分は、耳の後ろ側等の頭髪に隠れる部分や衣服で隠れる部分に限られていた(特許文献1を参照)。美容外科の手術や美容外科的治療、あるいは、顔面神経麻痺に対する手術や治療を受けた患者は、弛んだ皮膚部分を望ましい形状に保持させるために顔面にサイズの大きな貼付材を貼付し、目立つ貼付材によりQOLを低下させていた。特に、日中に外出する女性の患者は、QOLを大幅に低下させていた。
【0120】
これに対して、貼付材(1q,1r)は、顔面等の皮膚に貼付しても、その他面(10q,10r)の外観が皮膚に似ており目立ちにくい。さらに、貼付材(1q,1r)は、皮膚に貼付された後に他面(10q,10r)上に化粧を施されると、外見上、貼付された周囲の皮膚との見分けがほとんどつかない。このため、貼付材(1q,1r)は、顔面の皮膚に貼付しても使用者のQOLをほとんど低下させない。日中に外出する者、特に女性や患者のQOLを保つために、貢献することができる。
【0121】
[実施形態15]
図17(a)に示す実施形態15に係る貼付具(30kL,30kR)は、前述した実施形態9に係る貼付材(1kL,1kR)を保持しており、この貼付材(1kL,1kR)を顔面に適切に貼付しやすくするための用具である。顔面の左側に貼付材1kLを貼付するための貼付具30kLについて説明するが、その説明内容は、貼付具30kLの形状に対して鏡像対称の形状である貼付具30kRについても同様である。貼付具30kLは、フレーム35kと、一端部保持手段31kと、第1延出部保持手段32kと、第2延出部保持手段33kとを備える。
【0122】
フレーム35kは、貼付材1kLを囲む環状である。このフレーム35k上の別々の箇所に、2つの一端部保持手段31k、1つの第1延出部保持手段32k、及び1つの第2延出部保持手段33kが取り付けられている。2つの一端部保持手段31kのそれぞれは、一端部4kに含まれる2つの角部分18kを保持する。第1延出部保持手段32kは、第1延出部3kの第1先端部5kを保持する。第2延出部保持手段33kは、第2延出部6kの第2先端部22kを保持する。一端部保持手段31k、第1延出部保持手段32k、及び第2延出部保持手段33kにより、フレーム35kの環内に貼付材1kLが保持されるため、貼付具30kLの使用者は貼付材1kLを貼付しやすい。
【0123】
フレーム35kの素材としては、例えば、合成樹脂、セラミック、弾性を有する鋼線等からなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。ここでの合成樹脂としては、例えば、ポリウレタン、又は硬質ビニル等が例示される。一端部保持手段31k、第1延出部保持手段32k、及び第2延出部保持手段33kのそれぞれの構成としては、例えば、粘着テープ、クリップ、合成樹脂製の支持板、及び金属製の支持板等からなる群より選ばれた保持手段が挙げられる。
【0124】
貼付具30kLは、使用者にとって持ちやすく貼付材1kLを貼付しやすいように、把持部36kを備えることが好ましい。把持部36kは、フレーム35k上において、2つの一端部保持手段31kが取り付けられたそれぞれの箇所の間で、一端部4kが保持されている近くの部分に取り付けられる。なお、フレーム35k及び把持部36kは、鋳造したり又は三次元プリンターを用いたりすることで、一体の部材となるように製造されても良いし、部材ごとに別個に製造されても良い。
【0125】
皮膚の弛みを矯正する上で望ましいように貼付材1kLを貼付しやすくするために、貼付具30kLでは、基部2k及び第1延出部3kが一端部4kから第1延出部3kの第1先端部5kへ向かう方向に牽引されており、第1延出部3kが牽引されている方向とは別方向に第2延出部6kが牽引されている状態で保持されていることが好ましい。このためには、このように牽引された状態の貼付材2kLの2つの角部分18k、第1延出部3kの第1先端部5k、及び第2延出部6kの第2先端部22kのそれぞれに接するように貼付材1kLを囲むフレーム35kの形状であることが好ましい。この場合のフレーム35k上で、2つの角部分18kに接する箇所には一端部保持手段31kが取り付けられ、第1先端部5kに接する箇所には第1延出部保持手段32kが取り付けられ、第2先端部22kに接する箇所には第2延出部保持手段33kが取り付けられる。
【0126】
図17(b)に示す貼付具30sLに保持されている貼付材1sLは、支持体8s及び粘着剤層9sを備え、さらに、一端部4sと他端部12sを有する基部2s、第1延出部3s、及び第2延出部(不図示)を備えて構成している。さらに、この貼付材1sLは、前述した貼付材1kLと同様の形状であり、
図16(b)に示す前述した貼付材1rと同様に、皮膚当接面13sを被覆する剥離紙14sと、他面10sを被覆するキャリアー15sを備える。また、貼付具30sLの一端部保持手段31s及び第1延出部保持手段32sのそれぞれは、粘着テープである。一端部保持手段31sは、その一部がフレーム35sに粘着して取り付けられており、その他の部分がキャリアー15sのうちで一端部4sを被覆する部分37に粘着しているため、一端部4sを保持している。第1延出部保持手段32sは、その一部がフレーム35sに粘着して取り付けられており、その他の部分が第1先端部被覆部分26sに粘着しているため、第1先端部5sを保持している。第2延出部保持手段(不図示)は、第1延出部保持手段32sと同様に第2先端部(不図示)を保持している。また、貼付具30sLでは、貼付材1sLが、その基部2s及び第1延出部3sが一端部4sから第1先端部5sへ向かう方向に牽引され、第1延出部3sが牽引された方向とは別方向に第2先端部(不図示)が牽引されている状態で保持されている。
【0127】
貼付具1sLを用いる貼付材1sLの貼付方法を説明する。貼付材1sLの剥離紙14sは、切れ目17sにより、基部被覆部分25sと、第1先端部被覆部分26sと、第2先端部被覆部分(不図示)に分断されている。このため、
図18(a)に示すように、貼付具30sLを用いて貼付材1sLを貼付する直前に、基部被覆部分25sを剥離しても、第1先端部被覆部分26s、及び第2先端部被覆部分27sは皮膚当接面13s上に残る。
【0128】
次いで、貼付材1sLを貼付する者は、貼付具30sLの把持部36sを持ち、
図18(b)に示すように、貼付材1sLの一端部4sを、弛んだ皮膚部分41の少なくとも一部に貼付する。例えば、一端部4sを頬上部の皮膚部分61の少なくとも一部に貼付する。一端部4sを貼付したら、貼付材1sLからキャリアー15sを剥離し、同時に、フレーム35sから一端部保持手段31sを剥離する。キャリアー15sと一端部保持手段31sが除かれる。
【0129】
さらに、貼付材1sLを貼付する者は、把持部36sを持った状態で、貼付材1sLの他端部12s及び根元部23sを、頬上部の皮膚部分61から、耳前の皮膚部分62へ向けて押し付ける。このとき、貼付具1sLにより第1先端部5sが第1延出部保持手段32sにより保持され、第2先端部22sが第2延出部保持手段33sに保持されている。このため、押し付ける動作をするだけで、基部2s及び第1延出部3sが一端部4sから第1先端部5sへ向かう方向に牽引されている状態で、基部2sが弛んだ皮膚部分41の少なくとも一部に貼付される。同時に、基部2s、他端部12s及び根元部23sが、弛んだ皮膚部分41に対して顔面の正中から外側上方にある固定された皮膚部分42へ牽引されている状態で貼付される。
【0130】
他端部12s及び根元部23sを貼付したら、
図18(c)に示すように、第1先端部被覆部分26sを剥離して、第1先端部5sを指先で摘み、耳前の皮膚部分62の下部へ向けて牽引しながら当該皮膚部分62の下部の少なくとも一部に貼付する。第1延出部3sを貼付したら、第2先端部被覆部分27sを剥離する。部分27sを剥離すると、フレーム35sを顔面から取り外すことができる。最後に、基部2s及び第1延出部3sが牽引されながら貼付された方向とは別方向に、第2先端部22sを牽引しながら耳前の皮膚部分62の上部の少なくとも一部に貼付する。
【0131】
貼付具30sLを用いて、
図18(a)(b)(c)に示す上記の一連の手順により貼付材1sLを貼付する間、基部2s及び第1延出部3sが一端部4sから第1先端部5sへ牽引された状態で保持され、基部2s及び第1延出部3sが牽引された方向とは別方向に第2先端部22sが牽引された状態で保持されている。また、一連の手順において、貼付具30sLごと貼付材1sLを弛んだ皮膚部分41から固定された皮膚部分42へ押し付けるという簡単な動作により、貼付材1sLを適切に貼付することができる。このため、貼付具30sLを用いて貼付材1sLを貼付すると、基部2sの面積が広い貼付材1sLを、容易に貼付することができる。
【0132】
図17(a)(b)に示す貼付具(30kL,30kR,30sL)と同様に、本発明に係る貼付具は、
図19,
図20に示すように、前述した実施形態1〜4,6,10,11,13,14に係る貼付材(1aL,1bL,1cL,1d,1e,1gL,1gR,1hL,1mL,1nL,1q,1r,1t,不図示)を保持して貼付するための貼付具(30aL,30bL,30cL,30d,30e,30gL,30gR,30hL,30mL,30nL,30t,不図示)であっても良い。これらの貼付具も、そのフレーム(35a,35b,35c,35d,35e,35g,35h,35m,35n,35t,不図示)は貼付材を囲む環状であり、これらのフレームには2つの一端部保持手段(31a,31b,31c,31d,31e,31gL,31gR,31h,31m,31n,31t,不図示)と、第1延出部保持手段(32a,32b,32c,32d,32e,32gL,32gR,32h,32m,32n,32t,不図示)と、第2延出部保持手段(33a,33b,33c,33d,33e,33gL,33gR,33h,33m,33n,33t,不図示)が取り付けられている。また、本貼付具は、顔面の左側用の貼付具に対して鏡像対称の形状である、顔面の右側用の貼付具(30aR,30bR,30cR,30hR,30mR,30nR,不図示)であっても良い。
【0133】
また、本発明に係る貼付具は、前述した実施形態5,7,8,12に係る貼付材(1fL,1i,1jL,1pL)を保持して貼付するための貼付具(30fL,30i,30jL,30pL)であっても良い。これらの貼付具も、そのフレーム(35f,35i,35j,35p)は貼付材を囲む環状であり、これらのフレームには2つの一端部保持手段(31f,31i,31j,31p)と、第1延出部保持手段(32f,32i,32j,32p)と、第2延出部保持手段(33f,33i,33j,33p)と、第3延出部保持手段(34f,34i,34j,34p)が取り付けられている。また、本貼付具は、顔面の左側用の貼付具に対して鏡像対称の形状である、顔面の右側用の貼付具(30fR,30jR,30pR)であっても良い。
【0134】
また、本貼付具に保持されている貼付材は、切れ目(17a,17b,17c,17d,17e,17fL,17fR,17gL,17gR,17h,17i,17j,17m,17n,17p,17t)が設けられた剥離紙(14a,14b,14c,14d,14e,14fL,14fR,14gL,14gR,14hL,14hR,14i,14j,14m,14n,14p,14t)と、キャリアー(不図示)を備えることが好ましい。この場合の剥離紙のそれぞれは、基部被覆部分、第1先端部被覆部分、第2先端部被覆部分に分断されている。さらに、この場合の貼付材(1fL,1fR,1i,1jL,1jR,1pL,1pR)の剥離紙では、第3先端部被覆部分が分断されている。なお、本貼付具に備えられる基部保持手段は、1つであっても良いし、3つ以上であっても良い。
【0135】
[その他の実施形態]
本発明に係る貼付材は、前述した実施形態1〜15に係る貼付材と同様の構成と作用効果を有することに加えて、さらに以下に説明する構成や作用効果を有していても良い。
【0136】
本貼付材の透湿度は、500〜10,000g/(m
2・day)であることが好ましい。日常的に皮膚面から300g/(m
2・day)程度の水蒸気が生じるため、400g/(m
2・day)未満であると、皮膚が蒸れて皮膚常在菌が増殖し、皮膚に炎症が起こるおそれがある。10,000g/(m
2・day)を越えると、水、汗又はアルコールが貼付材に吸収されたときに、貼付材が膨潤し、伸びて剥脱しやすくなり、目立ちやすくなってしまう。また、10,000g/(m
2・day)を越えると、創傷面に貼付材1aLを貼付する場合に、傷口が乾燥してしまうため、貼付材により湿潤療法を行うことができない。
【0137】
貼付材の透湿度は、好ましくは800〜4,000g/(m
2・day)であり、さらに好ましくは1,000〜3,500g/(m
2・day)である。800〜4,000g/(m
2・day)であると、皮膚が蒸れにくく、貼付材が膨潤しにくく、貼付材1aLを創に貼付した場合に湿潤環境を形成させて傷を早く治すことができる。
【0138】
実施形態1〜4,6,9〜11,13〜15に係る貼付材は、第1延出部の延出方向と第2延出部の延出方向が、10〜90°開いていても良く、20〜60°開いていることが好ましい。実施形態5,8,12に係る貼付材は、3つある延出部のうちで互いに最も離れた2つの延出部の延出方向が10〜180°開いていても良く、30〜120°開いていることが好ましい。また、本発明に係る貼付材は、他端部からそれぞれ別方向に延出している延出部を4つ以上備えて構成しており、4つ以上ある延出部のうちで最も離れた2つの延出部の延出方向が、互いに20〜180°の範囲内で開いていても良い。なお、これらの角度が小さすぎると、弛んだ皮膚部分が牽引される各々延出部の間にある範囲が狭くなるため、皮膚の弛みを矯正する効果が弱くなってしまう。あるいは、これらの角度が大きすぎると、各々延出部の間にある方向に及ぶ牽引力が弱いため、皮膚の弛みを矯正する効果が弱くなってしまう。
【0139】
実施形態1〜4,6,7,9〜11,13〜15に係る貼付材で、第1延出部とされている延出部を第2延出部とし、第1延出部とされている延出部を第2延出部として取り扱っても良い。実施形態5に係る貼付材では、第1延出部とされている延出部を第3延出部とし、第3延出部とされている延出部を第1延出部として取り扱っても良い。
【0140】
本貼付材は、実施形態7に係る貼付材1iの第1延出部3i,第2延出部6i,及び第3延出部7iが、
図10(a)(b)に図示されているよりも長く延出している形状であっても良い。この場合の貼付材が、
図10(b)で示す貼付材1iと同様の身体の部位に適切に貼付されたときには、その基部が鼻背の皮膚部分76の少なくとも一部と眉間の皮膚部分74の少なくとも一部に貼付されており、3つある延出部のそれぞれが眉間の皮膚部分74から互いに別方向に向けて額の皮膚部分75を縦断し、第1先端部、第2先端部、及び第3先端部のそれぞれが前頭部の頭髪の生え際の皮膚部分52の少なくとも一部に貼付されている。この場合の基部と眉間の皮膚部分74は、鼻背の皮膚部分76から眉間の皮膚部分74に至ってから、3方向に分岐してそれぞれの方向で額の皮膚部分75を縦断して前頭部の頭髪の生え際の皮膚部分52のうちのそれぞれ別の箇所へ向かうように牽引されている状態で保持される。また、この場合、貼付材の一端部は鼻背の皮膚部分76(固定された皮膚部分42)の少なくとも一部に貼付され、第1先端部、第2先端部、及び第3先端部が前頭部の頭髪の生え際の皮膚部分52(固定された皮膚部分42)の少なくとも一部に貼付されているため、2つの固定された皮膚部分42の間にある眉間の皮膚部分74が下方から上方へ牽引されている状態がさらに安定して保持されている。
【0141】
ヒトで顔面以外の部位にある弛んだ皮膚部分としては、頚部の下顎縁下部の皮膚部分、手首の皮膚部分、胸部(乳房)の皮膚部分、臀部の皮膚部分が挙げられる。これらの弛んだ皮膚部分の近くにある固定された皮膚部分としては、それぞれ順に、頚部後面の項(うなじ)の有毛部の皮膚部分、前腕遠位の手関節部の皮膚部分、胸骨上縁部や鎖骨部の皮膚部分、腸骨縁部の皮膚部分が挙げられる。
【0142】
例えば、頚部の下顎縁下部の皮膚部分の少なくとも一部に基部を貼付し、一端部から複数ある延出部へ向けてそれぞれ別方向に牽引している状態で、各々延出部の先端部を頚部後側上方の項部の少なくとも一部に貼付すると、下顎縁の余剰皮膚を挙上することができる。このため、下顎縁をシャープに見せ、頚部前面の余剰皮膚が少なくなるように矯正して、フェイスラインを改善することができる。このように、本貼付材は、実施形態1〜15に係る貼付材の他にも、弛んだ皮膚部分と固定された皮膚部分の位置関係に応じて形状を調製されることで、ヒトの顔面以外の部位でも皮膚のシワ、弛みを矯正することができる。ヒト以外では、哺乳類に対して、形状を適宜調製した貼付材を用いて、皮膚のシワ、弛みを矯正することができると考えられる。
【0143】
本貼付材における支持体は、例えば、ポリウレタン、ポリイソブチレン、ポリブテン及びポリ酢酸ビニルからなる群より選ばれた1種以上の樹脂組成物により構成されているフィルム中に、微粒子や顔料が分散されているものであっても良い。この場合の微粒子や顔料としては、例えば、シリカ、タルク、弁柄、マイカ、カオリン、雲母粉、パール系顔料、及びバリウム塩等からなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。顔料が分散されている支持体は、薄く着色されている。また、微粒子が分散されている支持体は、光分散機能を有する。この場合の本貼付材は、その支持体の外見が皮膚に似ているため、さらに目立たない外見となる。
【0144】
本貼付材における粘着剤層がアクリル系粘着剤、及びウレタン系粘着剤からなる群より選ばれた1種以上の医療用の貼付材で用いられ得る粘着剤組成物により構成されている場合、当該粘着剤組成物は、ゲル型粘着剤組成物であることが好ましい。また、粘着剤層が医療用の貼付材で用いられ得るゴム系粘着剤組成物により構成されている場合、当該粘着剤組成物は、ハイドロコロイド粒子を15〜55重量%含有するハイドロコロイド粘着剤組成物であることが好ましい。これらの場合の粘着剤組成物により構成されている粘着剤層は、浸出液を吸収し得る。美容外科手術後の患者の弛んだ皮膚部分を矯正しようとするときに、この場合の粘着剤層を有する本貼付材を貼付すると、弛んだ皮膚部分を望ましい形状に保持するだけでなく、浸出液を吸収しながら縫合の跡を治癒させることができる。なお、粘着剤層が前述したハイドロコロイド粘着剤組成物により構成されている場合、浸出液を吸収させるために粘着剤層の厚さが40μmより大きくても良い。
【0145】
粘着剤層は、皮膚の健康を維持するために有効な成分を含んでいても良い。このような成分としては、例えば、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンA、ビタミンE、アルブチン等のメラニン生成抑制剤、ハイドロキノン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、及びセラミド等からなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。あるいは、粘着剤層は、皮膚に作用する薬剤を含んでいても良い。このような薬剤としては、例えば、イソプロピルメチルフェノール、銀、銀包摂物、クロルヘキシジン、塩酸ベンザルコニウム、グリチルリチン及びその塩、フェルビナク、インドメタシン、ジクロフェナック、フルルビプロフェン、サリチル酸メチル、イブプロフェンピコナール、及びコルチコステロイド等からなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。
【0146】
形成外科的治療、再生医療、美容外科手術及び美容外科的治療からなる群より選ばれた少なくとも1種の手術又は治療を受けた患者が、この手術又は治療を受けた弛んだ皮膚部分を望ましい形状に保持するために本貼付材を用いると、従来の貼付材を貼付して保持する場合と比べて、矯正に要する期間を大幅に短縮することができる。処置後に本貼付材を貼付すると有効な形成外科的治療としては、神経移植、筋移植、植皮術、脂肪移植等が挙げられる。再生医療としては、幹細胞移植、細胞治療等が挙げられる。美容外科手術又は美容外科的治療としては、ボツリヌス毒等の神経麻痺剤、ヒアルロン酸等の充填剤、レーザー治療、増殖因子等を用いた美容外科手術又は美容外科的治療が挙げられる。なお、幹細胞移植または細胞治療で移植される細胞としては、例えば、人体から採取された細胞、人体から採取された幹細胞、遺伝子導入により作製された幹細胞(iPS細胞等)、培養された細胞、培養された幹細胞等からなる群から選ばれた1種以上の細胞が挙げられる。
【0147】
[貼付材の製造方法]
本発明に係る貼付材の製造方法は、支持体を得る工程と、粘着剤層を得る工程と、支持体と粘着剤層を積層する工程と、積層物を切り抜く工程を含む。ここで、実施形態1〜13に係る貼付材の製造方法を説明する。支持体を得る工程では、キャスト用剥離性基板の表面に樹脂溶液を流延して乾燥し、乾燥させたものを基板から剥離して得たフィルムを支持体Cとした。
【0148】
粘着剤層を得る工程では、粘着剤層の素材にアクリル系樹脂を用いる場合は、粘着剤の原料となるモノマー等を酢酸エチルに混合溶解して、重合開始剤を添加して共重合させて、架橋剤を添加してキャスト用溶液を調製する。また、粘着剤層の素材にシリコン系粘着剤を用いる場合は、所定の2種類の溶液を混合する方式等である市販のシリコン系粘着剤を用いて、キャスト用溶液を調製する。粘着剤層の素材にゴム系粘着剤を用いる場合は、粘着剤の原料であるポリマーをトルエンに混合溶解して、軟化剤、粘着付与剤、酸化防止剤を添加して、キャスト用溶液を調製する。粘着剤層の素材にウレタン系粘着剤を用いる場合は、キャスト直前に所定の2種類の溶液を混合してキャスト用溶液を調製する。さらに、アクリル系、シリコン系、ゴム系、又はウレタン系のいずれの粘着剤を用いる場合も、前述したキャスト用溶液を剥離紙上に流延して、流延したものを乾燥又は加熱して、粘着剤層Dを得た。
【0149】
積層する工程では、支持体Cの一面を、粘着剤層Dの剥離紙に被覆されていない側の面上に載置して貼り合わせ、支持体Cと粘着剤層Dと剥離紙の積層物を得た。切り抜く工程では、この積層物を、支持体Cの他面側から所定の形状に切り抜く。切り抜く際の形状により、実施形態1〜13のいずれかに係る貼付材を得ることができる。
【0150】
実施形態14に係る貼付材の製造方法を説明する。支持体を得る工程では、表面に反転柄を有するキャスト用剥離性基板の当該表面に樹脂溶液を流延して乾燥し、乾燥させたものを基板から剥離して得たフィルムを支持体Eとした。支持体Eの他面(転写面)には、キャスト用剥離性基板の表面の反転柄が転写されて、凹凸が形成される。支持体Eの他面(転写面)にキャリアーを積層して、支持体Eとキャリアーとの積層物を得る。また、前述した実施形態1〜13に係る貼付材の製造方法と同様に、粘着剤層Dと剥離紙の積層物を得る。支持体Eの一面(転写面ではない面)を、粘着剤層Dの剥離紙に被覆されていない側の面上に載置して貼り合わせ、剥離紙、粘着剤層D、支持体E、キャリアーの順に積層された積層物を得た。この積層物について、キャリアー側から所定の形状に切り抜くと、実施形態14に係る貼付材を得ることができる。
【0151】
ハイドロコロイド粘着剤を素材とする粘着剤層を備える場合の本貼付材の製造方法は、ハイドロコロイド粒子15〜55重量%と、ブロックポリマーと、軟化剤20〜50重量%と、粘着付与剤を混合し、更に130〜150℃に加熱しつつ混合する。その後、さらに吸水性成分を添加して均一に混合した後、剥離紙上に塗布して、剥離紙上で粘着剤層を形成する。それから、実施形態1〜13のいずれかに係る貼付材の製造方法と同様にして、ハイドロコロイド粘着剤を素材とする粘着剤層を備える貼付材を得ることができる。ここで、ブロックポリマーとしては、例えば、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体、及びスチレンブタジエンスチレンブロック共重合体等からなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。このブロックポリマーに代えて、ポリイソブチレン、又はポリブテンを用いても良い。軟化剤としては、例えば、鉱油(流動パラフィン)、及びポリブテン等からなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。粘着付与剤としては、例えば、エステルガム、ロジン酸エステル、水添ロジンからなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。吸水性成分としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ペクチン、ゼラチン、及び合成系ポリマー等からなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。ここでの合成系ポリマーとしては、例えば、アクリル酸とアクリル酸エステルの共重合体及びその塩、酢酸ビニル重合体の部分ケン化物、酢酸ビニルとビニルピロリドンの共重合体、並びにポリエチレングリコール等からなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。
【実施例】
【0152】
[実施例1]
図7(a)に示す実施形態4に係るV字状の貼付材を、2枚準備した。これらの貼付材は、基部が縦15mm×横35mmの略四角形状であり、第1延出部の延出方向と第2延出部の延出方向とが50°開いていた。38歳女性の顔面の右側と左側で、基部と第1延出部を一端部から第1先端部へ向かう方向に牽引しながら、基部を下眼瞼の皮膚部分に貼付し、第1先端部をこめかみの皮膚部分の下部に貼付した。次いで、基部及び第2延出部を下眼瞼の皮膚部分に対して顔面の外側上方へ向かう方向に牽引しながら、第2先端部をこめかみの皮膚部分の上部に貼付した。貼付後、外眼角が挙上した。同時に、フェイスライン(下顎縁の形状)も軽度ながら挙上した。
【0153】
[実施例2]
図7(c)に示す実施形態4に係る横長の基部を備えるU字状の貼付材を、2枚準備した。これらの貼付材は、基部が縦40mm×横53mmの略四角形状であり、第1延出部の延出方向と第2延出部の延出方向とが40°開いていた。66歳女性の顔面の右側と左側で、基部と第1延出部を一端部から第1先端部へ向かう方向に牽引しながら、基部を頬上部の皮膚部分に貼付し、第1先端部を耳前の皮膚部分の下部に貼付した。次いで、基部及び第2延出部を頬上部の皮膚部分に対して顔面の外側上方へ向かう方向に牽引しながら、第2先端部を耳前の皮膚部分の上部に貼付した。貼付後、頬が挙上して、ほうれい線が浅くなった。
【0154】
[実施例3]
実施例2で用いた貼付材と同じ寸法と形状の貼付材を、2枚準備した。67歳女性の顔面の右側と左側で、基部と第1延出部を一端部から第1先端部へ向かう方向に牽引しながら、基部を頬下部の皮膚部分に貼付し、第1先端部を耳垂前部の皮膚部分の下部に貼付した。次いで、基部及び第2延出部を頬下部の皮膚部分に対して顔面の外側上方へ向かう方向に牽引しながら、第2先端部を耳垂前部の皮膚部分の上部に貼付した。貼付後、頬下部の皮膚部分が大幅に挙上して、フェイスラインが明らかに改善されるとともに、マリオネットラインが浅くなった。
【0155】
[実施例4]
図19(d)に示す実施形態4に係るV字状の貼付材を保持している貼付具を2つ準備し、
図19(f)に示す実施形態4に係る横長の基部を備えるU字状の貼付材を保持している貼付具を4つ準備した。これらのV字状の貼付材は実施例1で用いた貼付材と同じ寸法と形状であり、これらの横長の基部を備えるU字状の貼付材は実施例2,3で用いた貼付材と同じ寸法と形状であった。67歳女性の顔面の右側と左側のそれぞれに、実施例1と同様に実施形態4に係るV字状の貼付材を1枚ずつに貼付し、実施例2と同様に実施形態4に係る横長の基部を備えるU字状の貼付材を1枚ずつ貼付し、実施例3と同様に実施形態4に係る横長の基部を備えるU字状の貼付材を1枚ずつ貼付することで、計6枚の貼付材を貼付した。貼付後、下目瞼部の隆起(眼袋)が小さくなるとともに外眼角が挙上し、頬が挙上してほうれい線が浅くなり、フェイスラインが大幅に改善されるとともに、マリオネットラインがほぼ消失した。
【0156】
[比較例1]
図7(c)に示す実施形態4に係る横長の基部を備えるU字状の貼付材から第1延出部及び第2延出部を切除して、基部のみを備えた比較例1に係る貼付材を2枚準備した。比較例1に係る貼付材の基部は、縦40mm×横53mmの四角形のような形状であり、曲線状の辺とアールが設けられた角部分を有した。55歳女性の顔面の右側と左側で、比較例1に係る貼付材をその一端部から他端部へ向かう単一方向に牽引しながら、一端部を頬下部の皮膚部分に貼付し、この牽引している状態のまま一端部を貼付した皮膚部分の外側上方にある頬下部の皮膚部分に他端部を貼付した。貼付後、フェイスラインの挙上、改善はほとんど認められず、マリオネットラインは浅くならなかった。また、比較例1に係る貼付材は、複数方向に牽引しながら貼付することができないため、貼付後の貼付材に細かいシワが生じて目立ってしまった。
【0157】
[実施例5及び比較例2]
実施例5として、43歳女性の顔面の左側に、実施例3と同様に実施形態4に係る横長の基部を備えるU字状の貼付材1枚を貼付した。貼付後、顔面の左側では、フェイスラインが挙上し、マリオネットラインが浅くなった。同時に、比較例2として、顔面の右側で、比較例1に係る貼付材をその一端部から他端部へ向かう単一方向に牽引しながら、一端部を頬下部の皮膚部分に貼付し、この牽引している状態のまま一端部を貼付した皮膚部分の外側上方にある頬下部の皮膚部分に他端部を貼付した。貼付後、顔面の右側では、フェイスラインがわずかに挙上したが、マリオネットラインは浅くならなかった。また、貼付後の比較例2に係る貼付材は、細かいシワが生じて目立ってしまった。
【0158】
[実施例6及び比較例3]
実施例6として、64歳女性の顔面の左側に、実施例3と同様に実施形態4に係る横長の基部を備えるU字状の貼付材1枚を貼付した。貼付後、顔面の左側では、フェイスラインが挙上し、マリオネットラインが浅くなった。同時に、比較例3として、顔面の右側で、比較例1に係る貼付材をその一端部から他端部へ向かう単一方向に牽引しながら、一端部を頬下部の皮膚部分に貼付し、この牽引している状態のまま一端部を貼付した皮膚部分の外側上方にある頬下部の皮膚部分に他端部を貼付した。貼付後、顔面の右側では、フェイスラインの挙上は認められず、マリオネットラインはほとんど浅くならなかった。また、貼付後の比較例3に係る貼付材は、細かいシワが生じて目立ってしまった。
【0159】
[実施例7]
支持体として、厚さ10μmで他面のRzが6μmであるポリエーテル系ウレタンフィルムを準備した。また、キャリアーとして薄いポリエチレンフィルムを準備し、支持体の他面をキャリアーで被覆した。さらに、アクリル系粘着剤である平均分子量500,000のアクリル酸2−エチルヘキシル・アクリル酸共重合体溶液(固形分40%)100重量部、オレイン酸ソルビトール20重量部、微量のビタミンCとコラーゲン、及び架橋剤1.0重量部を混合した液を、剥離紙上に厚さ15μとなるように塗布して乾燥させた。粘着剤の架橋反応が充分に進んだ後、剥離紙と粘着剤層との積層物に、剥離紙のみを切るハーフカットを入れた。次いで、粘着剤層の上面に支持体の一面を貼り合わせて、剥離紙、粘着剤層、支持体、キャリアーの順に積層された積層物を得た。この積層物を、
図7(c)に示す実施形態4に係る横長の基部を備えるU字状の貼付材の形状に切り抜いて、実施例7に係る貼付材を得た。実施例7に係る貼付材は、基部が縦40mm×横53mmの略四角形状であり、第1延出部の延出方向と第2延出部の延出方向とが40°開いていた。
【0160】
[実施例8]
実施例7に係る貼付材と同様の構成であるが、支持体を構成するポリエーテル系ウレタンフィルムの厚さが15μmで、他面のRzが6μmである点が異なる、実施例8に係る貼付材を得た。
【0161】
[実施例9]
固形分30%のポリエーテルポリウレタン樹脂溶液100重量部、シリカ、タルク、弁柄を混合した微粒子7重量部、TWEEN60(乳化剤)0.2重量部、シリコーンオイル0.05重量部%の混合液を、凹凸を有する工程紙面上に流延した。流延物を乾燥させて工程紙面上から剥離して、厚さ10μmで、他面のRzが15μmである、ポリエーテルウレタン系フィルムを得た。このポリエーテルウレタン系フィルムを支持体として用いた他は、実施例7に係る貼付材と同じ構成である、実施例9に係る貼付材を得た。
【0162】
[実施例10]
支持体としては、実施例9で得られた支持体を準備した。平均分子量500,000のアクリル酸2−エチルヘキシル・アクリル酸共重合体溶液(固形分40%)100重量部、架橋剤1.5重量部、オレイン酸ソルビトール20重量部、及び微量のビタミンCとコラーゲンの混合液を、剥離紙上に厚さ15μとなるように塗布し、乾燥後に40℃で72時間の条件で架橋反応を進行させた。その他の条件については、実施例7に係る貼付材と同様の構成である、実施例10に係る貼付材を得た。
【0163】
[実施例11]
厚さが25μmで、Rzが18μmである他は、実施例9で得た支持体と同じ構成の支持体を得た。平均分子量500,000のアクリル酸2−エチルヘキシル・アクリル酸ヒドロキシエチル・酢酸ビニル共重合体溶液(固形分40%)100重量部、イソシアネート系架橋剤1.0重量部、オレイン酸ソルビトール10重量部、ヒアルロン酸0.1重量部、及びグリチルリチン酸カリウム0.1重量部の混合液を、剥離紙上に厚さ15μとなるように塗布して乾燥させ、40℃で72時間の条件で架橋反応を進行させた。その他の条件については、実施例7に係る貼付材と同様の構成である実施例11に係る貼付材を得た。
【0164】
[比較例4]
支持体としては、ポリエーテルウレタン樹脂溶液を延伸ポリプロピレンのエンボス面上に流延して、厚さが55μmで、他面のRzが0.2μmであるウレタンフィルムを得た。また、アクリル酸2−エチルヘキシル・アクリル酸共重合体を含んだ混合液をキャリアー上に厚さ15μとなるように塗布して乾燥させた。乾燥後に形成された粘着剤層の上面に支持体の一面を貼り合わせて、キャリアー、粘着剤層、支持体の順に積層された積層体を得た。この積層物を四角形のような形状に切り抜いて、比較例4に係る貼付材を得た。比較例4に係る貼付材は、基部を備えるが、延出部を備えない。比較例4に係る貼付材の基部は、その寸法が縦15mm×横35mmであり、曲線状の辺とアールが設けられた角部分を有する。
【0165】
[比較例5]
支持体としては、ポリエーテルウレタン樹脂溶液を、表面のRzが0.2μmである工程紙面上に流延して、厚さが3μmで、他面のRzが0.2μmであるウレタンフィルムを得た。また、アクリル酸2-エチルヘキシル・アクリル酸共重合体を含んだ混合液をキャリアー上に厚さ5μとなるように塗布して乾燥させた。その他の構成については、比較例4に係る貼付材と同じ構成である比較例5に係る貼付材を得た。
【0166】
[比較例6]
実施例10に係る貼付材と比べて、形状のみが異なる比較例6に係る貼付材を得た。比較例6に係る貼付材は、基部を備えるが、延出部を備えない形状である。比較例6に係る貼付材の基部は、縦15mm×横35mmの四角形のような形状であり、曲線状の辺とアールが設けられた角部分を有する。
【0167】
[実施例7〜11、比較例4,5を用いた比較試験の方法]
38〜67歳の女性7名が、
図7(d)に示す貼付材1eと同様に、自身の手で自身の顔面に、実施例7〜11に係る貼付材をそれぞれ1回ずつ貼付した。貼付する際、一端部から第1先端部へ向かう方向に牽引しながら、基部を弛んだ頬上部の皮膚部分に貼付し、第1先端部を耳前の皮膚部分の下部に貼付した。さらに、第1延出部が牽引されながら貼付された方向とは別方向に第2延出部を牽引しながら、第2先端部を耳前の皮膚部分の上部に貼付した。貼付後、美容整形外科医が女性7名の顔貌を観察して、実施例7〜11に係る貼付材による皮膚の矯正効果を次の基準で評価した。
◎ 7名全員で、頬が挙上して、ほうれい線が浅くなった。
○ 7名中4名以上で、頬が挙上して、ほうれい線が浅くなった。
△ 7名中4名以上で、頬がわずかに挙上したが、ほうれい線は浅くならなかった。
× 頬がわずかに挙上し、ほうれい線が浅くなった者が、7名中3名以下であった。
【0168】
同じ女性7名が、比較例4〜6に係る貼付材をそれぞれ1回ずつ貼付した。比較例4〜6に係る貼付材の一端部を頬上部の皮膚部分に貼付し、一端部から他端部へ向けて単一方向に牽引している状態で、一端部を貼付した皮膚部分の外側上方にある耳前の皮膚部分に貼付した。この場合も、実施例7〜11に係る貼付材を貼付した場合と同様に、皮膚の矯正効果を評価した。
【0169】
また、実施例7〜11、比較例4〜6に係る貼付材に係る貼付材を貼付した女性7名が、貼付後に皮膚に違和感を覚えたか、アンケートをとった。アンケートの結果から、貼付材により違和感を覚えたかを次の基準で評価した。
◎ 7名全員が、何も貼付していないときと同じように感じた。
○ 7名中4名以上が、何も貼付していないときと同じように感じた。
△ 7名中4名以上が、何かが頬上部に貼付されていると感じた。
× 7名中4名以上が、頬上部に貼付されていることでストレスを感じた。
【0170】
実施例7〜11、比較例4〜6に係る貼付材に係る貼付材を貼付した女性7名が、鏡で自身の顔面を見て、貼付材が目立つか観察した。観察結果をアンケートにとり、アンケートの結果から、貼付材の目立ちにくさを次の基準で評価した。
◎ 7名全員が、注意して見なければ、貼付材が貼付されていると分からなかった。
○ 7名中4名以上が、注意して見なければ、貼付材が分からなかった。
△ 7名中4名以上が、一瞬見ただけでは、貼付材が分からなかった。
× 7名中4名以上が、一瞬見ただけで、貼付材が貼付されていると分かった。
【0171】
市販のファンデーションを準備して、JIS Z 8825−1:2001に準拠した粒子径解析・レーザー解析法により当該ファンデーションの粉末のメジアン径を測定したところ、6μmであった。また、実施例7〜11、比較例4〜6に係る貼付材に係る貼付材を頬上部に貼付した女性7名が、前述のファンデーションを、貼付材の支持体の他面上を含めた顔面に塗布して化粧をした。化粧後に、貼付材の化粧ののりについてアンケートをとり、化粧ののりやすさについて次の基準で評価した。
◎ 7名全員が、素肌と化粧ののりが変わらなかったと感じた。
○ 7名中4名以上が、素肌と化粧ののりが変わらなかったと感じた。
△ 7名中4名以上が、素肌と比べて、化粧ののりに違和感を覚えた。
× 7名中4名以上が、素肌と比べて、化粧ののりが明らかに悪いと感じた。
【0172】
実施例7〜11、比較例4〜6に係る貼付材に係る貼付材を貼付した女性7名が、普段通りに1日生活して、貼付材を貼付してから24時間後の時点で貼付材が貼付されたままの状態であるか、貼付材の長期貼付性を評価した。女性7名は、24時間の間に1回入浴していた。貼付材の長期貼付性について、次の基準で評価した。
◎ 7名全員で、貼付材が剥がれかけることなく貼付されたままであった。
○ 7名中4名以上が、貼付材が剥がれかけることなく貼付されたままであった。
△ 7名中4名以上で、貼付材が剥がれかけた状態で貼付されていた。
× 7名中4名以上で、貼付材が剥脱していた。
【0173】
[実施例7〜11,比較例4,5を用いた比較試験の結果、考察]
実施例7〜11,比較例4,5に係る貼付材に関して、皮膚の矯正効果、違和感の覚えにくさ、目立ちにくさ、化粧ののりやすさ、長期貼付性についての試験結果等を、表1に示す。
【表1】
【0174】
表1に示すように、実施例7〜11に係る貼付材を貼付した場合には、7名全員で、弛んだ頬上部の皮膚部分を挙上して、ほうれい線を浅くすることができた。実施例7〜11に係る貼付材は、第1延出部及び第2延出部を備えるため、弛んだ頬上部の皮膚部分に充分な強さの牽引力を適切な方向に分散させて及ぼすことができ、自然な形で皮膚のシワ、弛みを矯正することができたと考えられる。
【0175】
一方、比較例4〜6に係る貼付材を貼付した場合には、頬がわずかに挙上し、ほうれい線が浅くなった者は、7名中の1〜2名に過ぎず、頬上部に不自然な陥凹を生じた者が3〜5名いた。比較例4〜6に係る貼付材は、複数の延出部が備えられておらず、弛んだ頬上部の皮膚部分を単一方向にしか牽引することができないため、貼付材の扱いに熟練していない者にとって皮膚を適切に矯正することが難しいと考えられる。さらに、比較例5に係る貼付材は、その支持体の厚さが3μmであり薄すぎるため、牽引しながら皮膚に貼付している間に支持体の引張強度が弱くなり、弛んだ皮膚部分に及ぼす牽引力が弱くなり、皮膚を矯正する効果が小さくなってしまったと考えられる。
【0176】
また、実施例7〜11、比較例5,6に係る貼付材を貼付した場合には、7名中の4〜7名が、何も貼付していないときと同じように感じた。実施例7〜11,比較例5,6に係る貼付材は、その支持体の厚さが3〜20μmであるか、又は、支持体の他面のRzが6μm以上であるため、その20%引張強度が0.1〜3N/cmである。このため、実施例7〜11、比較例5,6に係る貼付材は、頬上部の皮膚部分を牽引しつつも、皮膚の曲面に追従して伸縮する柔軟さ発揮して、使用者が皮膚に違和感を覚えにくいものになったと考えられる。
【0177】
一方、比較例4に係る貼付材を貼付した場合には、7名中5名が、頬上部に貼付材を貼付したことによりストレスを感じた。比較例4に係る貼付材は、支持体が55μmと厚いため、その引張応力が強くなりすぎて、貼付後の皮膚に違和感を生じさせたと考えられる。
【0178】
実施例9〜11及び比較例6に係る貼付材を貼付した場合には、7名全員が、注意して見なければ、頬上部に貼付材が貼られていることが分からなかった。実施例9〜11及び比較例6に係る貼付材は、その他面のRzが15〜18μmであり、その支持体に微粒子が含まれている。このため、他面に形成された凹凸や、支持体に含まれる微粒子により、貼付材への入射光が散乱して他面のテカリが抑えられて、目立ちにくくなったと考えられる。さらに、支持体が半透明であり、他面に形成された凹凸により外観が皮膚表面に似ており、微粒子が肌の色に近いため、目立ちにくくなったと考えられる。
【0179】
実施例7,8に係る貼付材を貼付した場合には、7名中4〜6名が、注意して見なければ、頬上部に貼付材が貼られていることが分からなかった。実施例7,8に係る貼付材は、他面のRzが6μmと小さいため、支持体への入射光を散乱させる作用が弱く、若干のテカリが生じてしまう。比較例5に係る貼付材を貼付した場合には、7名中3名が一瞬見ただけで貼付材が貼付されていると分かり、比較例4に係る貼付材を貼付した場合には、7名全員が、一瞬見ただけで貼付材が貼付されていると分かった。比較例4,5に係る貼付材は、その他面のRzが0.2μmであり凹凸がほとんど形成されていないため、他面に生じたテカリが目立ってしまった。特に、比較例4に係る貼付材は、その支持体の厚さが55μmと厚いため、支持体と皮膚との段差が目立ってしまった。
【0180】
実施例10,11及び比較例6に係る貼付材を貼付した場合は、7名中4名以上が、貼付材の他面に化粧をしても、素肌と化粧ののりが変わらなかったと感じた。メジアン径が6μmであるファンデーションの粉末に対して、実施例10,11及び比較例6に係る貼付材は、その支持体の他面のRzが15〜18μmであるため、他面に形成された凹凸に粉末が効率よく保持され、化粧ののりが良いと考えられる。実施例7及び8に係る貼付材は、その他面のRzが6μmであるため、他面のRzの大きさがファンデーションの粉末のメジアン径と同じである。また、7名中の5名が、素肌と比べて、化粧ののりが少し悪いと違和感を覚えた。実施例7,8に係る貼付材では、直径がメジアン径未満である粉末は他面上に保持されたが、直径が他面のRzよりも大きい粉末の多くは他面上から滑り落ちてしまったと考えられる。
【0181】
比較例4,5に係る貼付材を貼付した場合には、ファンデーションの粉末が他面上から滑り落ちたため、7名全員が、素肌と比べて化粧ののりが明らかに悪いと感じた。比較例4,5に係る貼付材の他面のRzは0.2μmであり、ファンデーションの粉末のメジアン径に対して他面に形成された凹凸の深さが浅すぎるため、ファンデーションの粉末が他面上で保持されなかったと考えられる。
【0182】
実施例7,11及び比較例5係る貼付材を貼付した場合には、貼付してから24時間経過時に、7名全員で、貼付材が剥がれかけることなく貼付されたままであった。実施例7及び比較例5に係る貼付材は、その支持体の厚さが3〜10μmであり薄いため、皮膚の曲面や動きに追従しやすく、皮膚表面が蒸れにくいため、長期貼付性が良いと考えられる。実施例11に係る貼付材は、支持体の厚さが25μmであり若干厚いが、その他面のRzが18μmと大きく、その支持体の透湿度が2,400g/(m
2・day)と高く、更に粘着剤層に保湿剤としてヒアルロン酸が含まれ、消炎剤としてグリチルリチン酸カリウムが添加されているため、皮膚表面が蒸れにくく長期貼付性が良いと考えられる。
【0183】
実施例8〜10及び比較例6に係る貼付材を貼付した場合には、7名中の4〜6名で、貼付材が剥がれかけることなく貼付されたままであった。実施例8〜10及び比較例6に係る貼付材は、支持体の厚さが20〜25μmであり若干厚いが、その他面のRzが6〜18μmあるため、深い凹凸により支持体の透湿度が保たれて、皮膚表面が蒸れにくく長期貼付性が良いと考えられる。一方、比較例4に係る貼付材は、7名中4名で、貼付材が剥脱していた。その支持体が55μmと厚く、その他面のRzが0.2μmと小さいため、支持体の透湿度が低く皮膚表面が蒸れて長期貼付性が悪いと考えられる。さらに、その支持体が55μmと厚いため、支持体の引張強度が強く、支持体が皮膚の動きに追従できなくなり、長期貼付性が悪いと考えられる。
【0184】
なお、実施例10に係る粘着剤は、その粘着剤層にコラーゲンやビタミンCが含まれているが、その長期貼付性は良かった。このため、実施例10に係る貼付材を用いると、ビタミンCやコラーゲンにより、皮膚のハリを保つ効果や美白の効果等を発揮できると期待される。また、実施例11に係る貼付材は、その粘着剤層に抗炎症薬グリチルリチン酸カリウムやヒアルロン酸が含まれているが、その長期貼付性は良く、消炎効果と皮膚の水分保持効果を発揮することができると考えられる。