特許第6706528号(P6706528)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706528
(24)【登録日】2020年5月20日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】シャワーヘッド
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/28 20060101AFI20200601BHJP
   B05B 1/18 20060101ALI20200601BHJP
   B05B 7/04 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   A47K3/28
   B05B1/18
   B05B7/04
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-72519(P2016-72519)
(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-176714(P2017-176714A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】笠原 直之
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−509629(JP,A)
【文献】 特開2009−279484(JP,A)
【文献】 特開2010−162532(JP,A)
【文献】 特開2012−005565(JP,A)
【文献】 特開2010−142336(JP,A)
【文献】 特開2012−026258(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0011880(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/28
B05B 1/18
B05B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水流路と、前記水流路からの水がシャワー吐水される複数の散水口とを備えたシャワーヘッドにおいて、
前記水流路には、断面積を他の部分より狭くした狭小部が設けられ、その狭小部の中心部には、前記狭小部内の水流路と大気との間の圧力差を利用して前記水流路内に空気を取込むための空気流路の空気取込口が配置されており、
前記水流路の中心部に中央筒部を設けるとともに、その中央筒部の内部を前記空気流路とし、
前記中央筒部にはキャップが取り付けられており、
前記キャップは、筒部と絞り部とを有し、前記筒部に設けられた雄ねじ部が前記中央筒部に設けられた雌ねじ部に螺合しており、
前記筒部に、前記空気流路と前記空気取込口とに連通する連通孔が設けられている
ことを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載のシャワーヘッドにおいて、
前記水流路の中心部に前記空気流路が区画され、その空気流路の末端に前記空気取込口が環状に配置されている
ことを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシャワーヘッドにおいて、
前記空気取込口の基部には、その空気取込口の先端開口部より広がる拡張部が設けられている
ことを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載のシャワーヘッドにおいて、
前記空気流路の空気導入口は前記散水口と同一の面で開口している
ことを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項5】
請求項に記載のシャワーヘッドにおいて、
前記空気導入口は、前記散水口によって包囲されている
ことを特徴とするシャワーヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気を混入させた状態で湯や水、湯水混合水(以下、総称して湯水という)を吐水するシャワーヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のシャワーヘッドが特許文献1及び特許文献2に開示されている。このシャワーヘッドは、水流路の一部に部分的に狭い狭小部が設けられて、その狭小部の周壁に大気に繋がる空気流路が接続されている。これらのシャワーヘッドでは、狭小部を通過する湯水の圧力と大気の圧力との差を利用して、すなわちベンチュリ効果を利用して、節水等の目的のために空気を水流路内に吸入するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−315654号公報(明細書の段落[0006]、図面の[図3])
【特許文献2】実開平5−26151号公報(明細書の段落[0006]、図面の[図1])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シャワーヘッドから吐水される湯水への空気の混入量は、均一であることが望ましい。特許文献1及び特許文献2のシャワーヘッドでは、流路の周壁の開口から湯水内に空気が吸入されるため、その空気が水流路の外周側に偏りやすく、空気の混入量にばらつきが生じやすい。その結果、シャワー吐水範囲内における一部のシャワー流内の空気量が多くなる反面、他の部分のシャワー流内の空気量が少なくなり、このため、肌に対する湯水の当たり強度や湯水の量にばらつきが生じて、シャワーの使用感が悪くなってしまう。
【0005】
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、湯水への空気の混入量のばらつきを抑えることができるシャワーヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのシャワーヘッドは、水流路と、前記水流路からの水がシャワー吐水される複数の散水口とを備えたシャワーヘッドにおいて、前記水流路には、断面積を他の部分より狭くした狭小部が設けられ、その狭小部の中心部には、前記狭小部内の水流路と大気との間の圧力差を利用して前記水流路内に空気を取込むための空気流路の空気取込口が配置されている。
【0007】
このように構成すれば、湯水の通過に際して狭小部において流速が速くなることにより圧力が低くなって、負圧が生じるため、ベンチュリ効果を利用して、空気流路の空気取込口を介して、シャワーヘッド外部の空気を狭小部の中心部に導入することができる。このため、湯水流の中央部から水流路全体に広がるように空気を混入させることが可能になり、湯水への空気の混入量のばらつきを抑えることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のシャワーヘッドによれば、湯水への空気の混入量のばらつきを抑えることができて、肌当たりが良好なシャワー流を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態のシャワーヘッドの斜視図。
図2】散水ユニット本体を分解して示すシャワーヘッドの分解斜視図。
図3】散水ユニット本体及びその周辺の部分断面図。
図4図3の矢印4で示す部分を拡大して示す断面図。
図5図4の5−5線に沿ったシャワーヘッドの断面図。
図6】散水プレートよりも前側の部分を把持体側から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、シャワーヘッドの一実施形態を図1図6に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態のシャワーヘッド11は、把持体12と、その把持体12の先端部に取付けられた四角形の散水ユニット13とを備えている。
【0011】
図3に示すように、前記把持体12のハウジング14内にはインナーパイプ15が組込まれている。インナーパイプ15の基端には、シャワーホース(図示しない)が接続されている。図2及び図3に示すように、インナーパイプ15の先端には、ユニット接続部17が形成されている。
【0012】
前記散水ユニット13は、バックカバー21と、バックカバー21の前面に位置する散水ユニット本体23とを備えている。散水ユニット本体23は、バックカバー21の前面に位置するフェイスフレーム22と、そのフェイスフレーム22の前面に取付けられたフェイスプレート24と、そのフェイスプレート24の前面に取付けられた散水プレート25と、その散水プレート25の前面に取付けられたインナーフェイス26とを備えている。散水ユニット13の前面側には、アウターフェイス27が着脱可能に取付けられている。なお、本実施形態においては、図3の左側を前側とする。
【0013】
図3及び図4に示すように、前記把持体12のユニット接続部17には、フェイスフレーム22の中心部に形成された接続口28が接続されている。円板状のフェイスプレート24の中心には、前記接続口28の中心部内に突出するボス状の中央筒部241が一体形成され、その中央筒部241の中心の雌ねじ部には、キャップ242の前側の筒部243が、その雄ねじ部において螺合されている。キャップ242は、中央筒部241より若干大径の絞り部244を備え、その上流側には、上流側が小径になるテーパ部2441が形成されている。
【0014】
図4及び図6に示すように、フェイスプレート24の後面には、中央筒部241を中心として放射状に延びる複数本の突条247が一体形成され、この突条247がフェイスフレーム22に当接して、フェイスプレート24とフェイスフレーム22との間に間隙が形成されている。フェイスプレート24の前面には、複数の突起249が一体形成され、この突起249が散水プレート25の後面に当接して、フェイスプレート24と散水プレート25との間に間隙が形成されている。フェイスプレート24の中心には、散水プレート25に水密状に当接する環状突起248が形成されている。フェイスフレーム22の外周には、散水プレート25に水密状に当接する環状壁30が形成されている。
【0015】
図1図3に示すように、前記散水プレート25には、複数の散水ノズル251が突出形成され、この散水ノズル251の先端部は、インナーフェイス26及びアウターフェイス27の孔261,271を通って前方に突出している。各散水ノズル251には、シャワー流路253(図2及び図6参照)が貫設され、その先端の散水口252が散水ノズル251の突端に開口している。そして、インナーパイプ15の内部、接続口28の内面とキャップ242及び中央筒部241との間の間隙、フェイスプレート24の表裏両面及び外周面と前記フェイスフレーム22及び散水プレート25との間の間隙によって、湯水が通過する水流路31が形成されている。そのため、前記シャワーホースからの湯水が、前記水流路31およびシャワー流路253を通って、散水口252からシャワーとして吐水される。ここで、接続口28の内面とキャップ242及び中央筒部241との間の間隙は、通路断面積が他の部分より狭い狭小部311になっている。従って、湯水の流速は、この狭小部311において他の部分より速くなる。
【0016】
図4に示すように、アウターフェイス27の中心部分には、空気導入口272が形成されている。また、インナーフェイス26の中心部分には、把持体12側に突出する凸部262が設けられており、この凸部262には、前記空気導入口272と連通する連通孔263が貫設されている。キャップ242の筒部243にはフェイスプレート24の連通孔2411を介して前記連通孔263と連通する連通孔2431が貫設されている。従って、アウターフェイス27の空気導入口272と、インナーフェイス26の連通孔263と、フェイスプレート24の連通孔2411と、キャップ242の連通孔2431とにより、空気流路32が区画されている。
【0017】
図4及び図5に示すように、キャップ242の筒部243と絞り部244との間には、空気流路32と連通する環状の空気取込口331が形成され、この空気取込口331は前記狭小部311に開口している。そして、空気取込口331の基部には、環状の拡張部33が形成されている。そして、キャップ242の筒部243には、拡張部33の底部と空気流路32と連通する一対の連通孔245が180度離れた位置において貫設されている。
【0018】
以下に、実施形態のシャワーヘッド11の作用について説明する。
シャワーホースからの湯水は、インナーパイプ15から散水ユニット13の内部に流入することにより水流路31の狭小部311内を通過する。この場合、キャップ242の絞り部244の上流側の部分が上流側ほど細くなるテーパ形状であるため、湯水が狭小部311内にスムーズに流入する。
【0019】
湯水は狭小部311内において流速が速くなるため、狭小部311の内部圧力が低くなる。このようにして低くなった狭小部311の内部圧力と大気圧との差によるベンチュリ効果を利用して、シャワーヘッド11外部の空気が空気流路32を介して前記拡張部33内に吸入されるとともに、その拡張部33内の空気が周囲360度にわたって開口する空気取込口331の外周開口から狭小部311内に取込まれて湯水に混合される。
【0020】
ここで、前記空気取込口331が水流路31の中央部に配置されているため、空気が湯水流の中央部に導入される。そのため、水流路31内の湯水流の中央部から水流路31全体に広がるように空気を混入させることができる。従って、湯水への空気の混入のばらつきを抑えることができる。このため、水流路31内を流れる湯水内に大きな気泡が生じることを回避でき、空気の吸入に伴って発生する音を小さくすることができるとともに、湯水内に空気を効率的に混入させることができる。
【0021】
また、拡張部33の底部に連通する連通孔245が一対しか設けられていなくても、空気が容量の大きい拡張部33を通過することから、空気流路32から水流路31への空気の取込みを空気取込口331全体から均等に、かつ断続することなく連続して行うことができる。
【0022】
なお、図4及び図5に示すように、水流路31の絞り部244よりも下流側の部分は下流側に徐々に広がるコニーデ形状になっている。そのため、図6中に白抜きの矢印で示すように、狭小部311において空気を混入させた湯水が、外方に向けて均等に広がるように流れる。従って、空気が混入した湯水を均等に広げながら流すことができ、水流路31内での空気混入量の偏りを抑えつつ、湯水を突条247に沿って全周囲に向かって均等に流すことができる。
【0023】
さらに、空気導入口272が散水口252によって包囲されるとともに、散水口252と同一の面で開口している。これにより、散水口252からの湯水の吐水に伴う音と空気導入口272からの空気の吸入に伴う音とが近い位置で発生するため、空気の吸入に伴う音を目立たなくすることができ、空気の吸入に伴う不快音を抑えることができる。
【0024】
以上の実施形態により発揮される効果について以下にまとめて記載する。
(1)狭小部311の中心部に空気取込口331を配置している。そのため、湯水への空気の混入量のばらつきを抑えることができる。このため、空気混入量のばらつきによる肌当たりの悪さを抑えて、快適なシャワーを行うことができるとともに、大量の空気を効率よく混入させることができて、有効な節水効果を得ることができる。
【0025】
(2)水流路31の中心部に空気流路32を区画し、その空気流路32の末端に空気取込口331を環状に配置した。そのため、シャワーヘッド11の外部の空気を、水流路31の狭小部311の中心部から周囲に向かって、満遍なく湯水に混合させることができる。従って、前述のように湯水への空気の混入量のばらつきを抑えることができる。
【0026】
(3)空気取込口331の基部に、その先端開口部より広がる拡張部33を設けた。そのため、空気を部分的に偏ることなく、空気取込口331の全周から連続して水流路31の狭小部311内の湯水に取込むことができて、空気の均等な取込みをいっそう促進できる。
【0027】
(4)絞り部244の上流側の部分を上流側ほど細くなるテーパ形状にしたため、狭小部311内に湯水をスムーズに流入させることができる。従って、前述のように湯水への空気の混入量のばらつきを抑えることができる。
【0028】
(5)空気導入口272が散水口252によって包囲されているため、空気の吸入に伴う不快音を抑えることができ、快適なシャワー使用が可能になる。
(変更例)
なお、前記実施形態を次のように変更して実施することも可能である。
【0029】
・空気流路32のシャワーヘッド11の外部側の端部において、例えばハウジング14の外面において、空気導入口272を開口させるなど、アウターフェイス27の以外の部分で開口させること。このような場合、中央筒部241をハウジング14まで延長させる必要がある。
【0030】
・中央筒部241及び狭小部311を把持体12内の水流路31に設けること。
・絞り部244を、円錐形状にすること。
・拡張部33の底部に連通する連通孔245を1箇所または3箇所以上の複数箇所に設けること。
【0031】
・複数の空気取込口331を放射状に均等配置すること。
【符号の説明】
【0032】
11…シャワーヘッド、13…散水ユニット、24…フェイスプレート、241…中央筒部、2411…連通孔、242…キャップ、243…筒部、2431…連通孔、244…絞り部、2441…テーパ部、245…連通孔、252…散水口、263…連通孔、27…アウターフェイス、272…空気導入口、28…接続口、31…水流路、311…狭小部、32…空気流路、33…拡張部、331…空気取込口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6