(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、防火設備を防火戸に具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態の防火戸1は、
図1に示されるように、引分け式の防火戸である。なお、防火戸は、引分け式に代えて片引き式の引戸や、引戸に代えて開戸、折戸又はその他の戸であってもよい。また以下の防火戸1の説明において方向を示す場合は、
図1の防火戸1を正面とした場合の各方向を用いる。
【0017】
図1に示されるように、防火戸1は、建物(内部を含む)に形成された長方形状の開口2の長手方向において間隔をあけて配置された一対の縦枠3と、一対の縦枠3の上方に配置され、一対の縦枠3により支持されている無目4とを備える。縦枠3は、鉄系金属製で中空形状であり、防火戸1の高さ方向ZAに延びている。無目4の内部には、収容空間4aが形成されている。
【0018】
一対の縦枠3の間において防火戸1の正面視で右側の縦枠3には固定壁10Rが取り付けられ、左側の縦枠3には固定壁10Lが取り付けられている。これら固定壁10R,10Lは、互いに離間して配置されることにより、固定壁10R,10Lの間に出入口を形成している。その出入口を開閉可能とするように、固定壁10R,10Lの間に一対の引戸20R,20Lが配置されている。
図2に示されるように、防火戸1の前後方向ZC(防火戸1の扉面の法線方向)において、引戸20R,20Lは、固定壁10R,10Lよりも正面側に配置されている。以降の説明では、例えば縦枠3のように別部材であっても対に配置される部材には説明の便宜上、同じ符号を付す場合がある。
【0019】
図2に示されるように、固定壁10R,10Lは、高さ方向ZAに延びる中方立11を備える。中方立11は、開口2内において縦枠3と間隔を置いて配置されている。
図1及び
図2に示されるように、中方立11の下端部には、引戸20R,20Lの開閉方向(以下、「幅方向ZB」)において中方立11から縦枠3に向けて延びる巾木12が設けられている。このように、固定壁10R,10Lは、縦枠3、中方立11、無目4の下部の枠体4X及び巾木12により枠体を構成している。その枠体内には耐熱ガラス13が縦枠3、中方立11、無目4の下部の枠体4X及び巾木12により支持されている。中方立11は、ステンレス鋼板が折り曲げられることにより中空柱状に形成されている。巾木12も同様にステンレス鋼で中空形状に形成されている。
【0020】
図1に示されるように、引戸20R,20Lは、扉体20Xと、この扉体20Xを開き戸として回転自在に支持する扉支持枠20Yとを備える。扉体20Xは、戸先を構成する戸先側縦框21、戸尻を構成する戸尻側縦框22、引戸20R,20Lの上端部を構成する上框23及び引戸20R,20Lの下端部を構成する下框24により構成された枠体と、その枠体内に配置された耐熱ガラス25とを備える。戸先側縦框21及び戸尻側縦框22は、高さ方向ZAに延び、上框23及び下框24は、戸先側縦框21と戸尻側縦框22とを連結するように幅方向ZBに延びている。耐熱ガラス25は、戸先側縦框21、戸尻側縦框22、上框23及び下框24により支持されている。
【0021】
扉支持枠20Yは、戸尻側縦框22を複数の丁番28を介して支持する縦部材26と、縦部材26の上端部から幅方向ZBに沿って延びる横部材27とを備える。縦部材26は、高さ方向ZAに延び、幅方向ZBにおいて戸尻側縦框22と隣り合うように配置されている。横部材27は、高さ方向ZAにおいて上框23よりも上方且つ隣り合うように配置されている。横部材27には、無目4の収容空間4aに配置された走行レール(図示略)に吊り下げられたドアハンガ(図示略)が設けられている。このドアハンガを介して引戸20R,20Lは、無目4に対して幅方向ZBにスライド自在に支持されている。
【0022】
引戸20R,20Lは、無目4の収容空間4aに配置された駆動部(図示略)により幅方向ZBにおいて互いに接近及び離間するように駆動される。これにより、固定壁10R,10Lの間に形成された出入口を開閉する。なお、無目4内には、防火戸1が設置されている建物内で火災が発生したことが検出されたときに、引戸20R,20Lを閉じ方向に移動させるための自動閉鎖装置(図示略)が設けられている。
【0023】
一方、引戸20R,20Lは、防火戸1が全閉状態のときに、丁番28を支点として扉体20Xを背面側に向けて手動で回転させることにより通行可能としている。また、引戸20R,20Lには、扉体20Xを手動で回転させた後、扉体20Xを自動的に閉じるドアクローザ(図示略)が設けられている。ドアクローザは、既知の構造を採用することができ、上框23内に配置されている。
【0024】
このような引戸20R,20Lを構成する戸先側縦框21、戸尻側縦框22、上框23、下框24、縦部材26及び横部材27は、ステンレス鋼板が折り曲げられることにより中空柱状に構成されている。なお、戸先側縦框21、戸尻側縦框22、上框23、下框24、縦部材26及び横部材27の少なくとも1つは、ステンレス鋼板以外の鋼材(例えば鉄や耐火鋼)により構成されてもよい。
【0025】
図3〜
図9に示されるように、防火戸1には、防火戸1の正面側空間と背面側空間との空気の連通を遮断する複数のシール構造が設けられている。これらシール構造は、火災が発生していない通常時(以下、単に「通常時」と称する。)において防火戸1の正面側空間と背面側空間との空気の連通を遮断し、且つ火災発生時において防火戸1の正面側空間と背面側空間との空気の連通を遮断すると共に正面側空間と背面側空間との伝熱を抑制する。シール構造は、第1シール構造SL1、第2シール構造SL2、第3シール構造SL3、第4シール構造SL4、第5シール構造SL5及び第6シール構造SL6を備える。
【0026】
図3及び
図4に示されるように、第1シール構造SL1は、引戸20R,20Lの縦部材26と固定壁10R,10Lの中方立11との前後方向ZCの間に設けられている。第1シール構造SL1は、縦部材26の芯材26Xに取り付けられ、縦部材26(芯材26X)から中方立11に向けて延びるL字状の第1板材31aと、中方立11の芯材11Xに取り付けられ、中方立11(芯材11X)から縦部材26に向けて延びるL字状の第2板材31bとの組合せにより構成される煙返し31を備える。煙返し31の幅方向ZBの両端部には発泡材32が取り付けられ、発泡材32上には気密ゴム33が取り付けられている。
【0027】
発泡材32は、高さ方向ZAにおいて延びるシート状に形成され、例えば粘着シールにより煙返し31に貼り付けられている。発泡材32は、断熱性を有し、且つ加熱されることにより膨張するものであり、例えばグラファイト系発泡材が用いられる。
【0028】
第1板材31aに設けられた気密ゴム33はその幅方向ZBの先端部が圧縮された状態で第2板材31bと接触し、第2板材31bに設けられた気密ゴム33はその幅方向ZBの先端部が圧縮された状態で第1板材31aと接触している。これら気密ゴム33は、高さ方向ZAにおいて延びる中空の略チューブ状に形成されている。気密ゴム33は、シリコンゴムなどの気密材により形成されている。
【0029】
第1シール構造SL1は、通常時において気密ゴム33が圧縮された状態で第1板材31a及び第2板材31bが接触することにより煙返し31の通路を閉塞している。また第1シール構造SL1は、火災発生時において温度が所定温度以上に上昇して発泡材32が膨張すると、さらに気密ゴム33が煙返し31に押し潰されて熱風や煙が遮断される。
【0030】
第2シール構造SL2は、戸尻側縦框22と縦部材26との間に設けられている。第2シール構造SL2は、戸尻側縦框22の正面側に取り付けられ、その正面側に開口する凹形状の支持部34と、支持部34内に取り付けられた気密ゴム33と、支持部34及び戸尻側縦框22の前後方向ZCに並べて取り付けられた複数の発泡材32とを備える。第2シール構造SL2は、通常時において気密ゴム33が支持部34と縦部材26とに圧縮された状態で接触することにより戸尻側縦框22と縦部材26との間の前後方向ZCの隙間を閉塞している。また第2シール構造SL2は、火災発生時において温度が所定温度以上に上昇して複数の発泡材32が膨張すると、発泡材32により戸尻側縦框22と縦部材26との幅方向ZBの隙間を埋めることにより戸尻側縦框22と縦部材26との隙間を閉塞している。
【0031】
図5(a)に示されるように、第3シール構造SL3は、引戸20R,20Lの戸先側縦框21に設けられた凹部21aにおいて幅方向ZBに互いに対向するように設けられている。第3シール構造SL3は、凹部21aに取り付けられた複数の発泡材32と、凹部21aに取り付けられ、複数の発泡材32を幅方向ZBから覆う気密ゴム35とを備える。
【0032】
複数の発泡材32は、高さ方向ZAにおいて延びるシート状に形成され、凹部21a内において前後方向ZCに並べられている。
気密ゴム35は、シリコンゴムなどの気密材により形成されている。気密ゴム35は、前後方向ZCにおいて凹部21aの中央部に設けられたスリット21bに取り付けられている。気密ゴム35は、スリット21bに挿入される取付部35aと、取付部35aから前後方向ZCの両側に延びるシート状の一対の羽根部35bとを備える。取付部35aは、発泡材32の前後方向ZCの間に挿入されている。取付部35aには、取付部35aがスリット21bに挿入された状態でスリット21bに前後方向ZCに対向する部分よりも前後方向ZCの長さが長いフランジ35cが設けられている。フランジ35cがスリット21bにおける前後方向ZCの周縁と幅方向ZBに接触することにより、取付部35aが戸先側縦框21から外れることが抑制される。羽根部35bは、幅方向ZBにおいて発泡材32を覆うように発泡材32の戸先側の面に取り付けられている。羽根部35bは、前後方向ZCにおいて凹部21aの全体に亘り延びている。羽根部35bにおいて正面側の端部には、引戸20R,20Lの戸先側縦框21の隙間を閉塞するためのシール部35dが設けられている。これにより、通常時においてシール部35dが引戸20R,20Lの戸先側縦框21の隙間を閉塞している。
【0033】
取付部35aの付け根となる取付部35aと一対の羽根部35bとの境界部には、薄肉部35eが設けられている。薄肉部35eは、気密ゴム35の厚さが薄くなる部分であり、本実施形態では取付部35aと羽根部35bとの境界部に凹部を設けることにより構成されている。
【0034】
図5(b)に示されるように、火災発生時において発泡材32が加熱されることにより膨張したとき、気密ゴム35は、薄肉部35eを支点として一対の羽根部35bが幅方向ZBにおいて対向する戸先側縦框21に向けて変形する。これにより、引戸20R側の気密ゴム35における一対の羽根部35bと引戸20L側の気密ゴム35における一対の羽根部35bとが互いに接触すると共に発泡材32が引戸20R,20Lの戸先側縦框21の隙間を埋める。これにより、引戸20R,20Lの戸先側縦框21の隙間が閉塞される。
【0035】
図6に示されるように、第4シール構造SL4は、上框23と横部材27との間に設けられている。
図7に示されるように、第4シール構造SL4は、上框23の上端部且つ正面側に設けられ、正面側に開口する支持部34と、支持部34内に取り付けられた気密ゴム33と、支持部34及び上框23の上面に設けられた複数の発泡材32とを備える。複数の発泡材32は、前後方向ZCに並べられている。
【0036】
第4シール構造SL4は、通常時において気密ゴム33が横部材27に対して圧縮された状態で接触することにより上框23と横部材27との前後方向ZCの隙間を閉塞している。また第4シール構造SL4は、火災発生時において温度が所定温度以上に上昇して発泡材32が膨張すると、発泡材32により上框23と横部材27との高さ方向ZAの隙間を埋めることにより上框23と横部材27との隙間を閉塞する。
【0037】
図8(a)に示されるように、第5シール構造SL5は、無目4と横部材27との間に設けられている。また第5シール構造SL5は、横部材27内にも設けられている。
図8(b)に示されるように、第5シール構造SL5は、横部材27と無目4との間に設けられた煙返し36と、横部材27の上端部且つ背面側に設けられ、背面側に開口する支持部34と、支持部34内の底面に取り付けられた発泡材32aと、発泡材32aに取り付けられた気密ゴム33とを備える。気密ゴム33は、支持部34内に収容されている。煙返し36、支持部34、発泡材32a及び気密ゴム33は、幅方向ZBに延びている。
【0038】
また第5シール構造SL5は、煙返し36の隙間の下端部に配置された発泡材32bと、支持部34の上面及びその周辺に前後方向ZCに並べられた複数の発泡材32cと、横部材27の上端面に取り付けられた煙返し36を構成する板材36aの上面に前後方向ZCに並べられた複数の発泡材32dとを備える。板材36aは、支持部34よりも上方に配置されている。このため、複数の発泡材32c,32dは、高さ方向ZAにおいて板材36aと対向している。またこれら発泡材32c,32dは幅方向ZBに延びている。板材36aに並べられた複数の発泡材32dは、無目4の受け金具4cに対向しており、これら発泡材32d及び受け金具4cは幅方向ZBに延びている。
【0039】
第5シール構造SL5は、引戸の摺動部分であるため、通常時において気密ゴム33が煙返し36にゼロタッチで接触することにより横部材27と無目4との間を閉塞している。第5シール構造SL5は、火災発生時において温度が所定温度以上に上昇して各発泡材32a〜32dが加熱されることにより膨張すると、各発泡材32a〜32dにより煙返し36の隙間と、支持部34と板材36aとの隙間と、板材36a(横部材27)と無目4との隙間とを埋める。これにより、煙返し36の隙間と、支持部34と板材36aとの隙間と、板材36a(横部材27)と無目4との隙間とが閉塞される。
【0040】
図9(a)に示されるように、第6シール構造SL6は、下框24の芯材24Xと防火戸1の設置面Pとの間に設けられている。
図9(b)に示されるように、第6シール構造SL6は、下框24の芯材24Xの正面側の下端部に取り付けられる気密ゴム37と、気密ゴム37を下框24の芯材24Xとの間で押さえる押さえ板38とを備える。気密ゴム37の先端部は、設置面Pに接触している。気密ゴム37は、シリコンゴムなどの気密材により形成されている。気密ゴム37は、防火戸1の側面視においてL字状に形成され、幅方向ZBに延びている。第6シール構造SL6は、通常時において気密ゴム37が設置面Pと接触していることにより下框24と設置面Pとの隙間を閉塞している。なお、第6シール構造SL6には発泡材を設けてない。これは空気の流れが、火災が発生していない防火区画外から火災が発生している防火区画内へ向かうため、火炎や煙が防火区画外に出にくくなっている。そのため、発泡材は不要となる。
【0041】
図3〜
図9に示されるように、第2シール構造SL2の気密ゴム33、第3シール構造SL3の気密ゴム35、第4シール構造SL4の気密ゴム33及び第6シール構造SL6の気密ゴム37は、これら気密ゴム33,35,37の位置が前後方向ZCにずれたとしても、そのずれに起因して生じる隙間を気密ゴム33,35,37のいずれかが埋める。このため、これら気密ゴム33,35,37の前後方向ZCの位置のずれに起因して、正面側空間と背面側空間とが連通することが抑制される。
【0042】
また
図3〜
図9に示されるように、防火戸1には、例えば防火戸1の正面側空間及び背面側空間の一方で火災が発生したとき、正面側空間及び背面側空間の他方に伝熱することを抑制する複数の遮熱構造が設けられている。複数の遮熱構造は、框や中方立などの防火戸1におけるフレームの構成部材である芯材の正面側及び背面側のそれぞれに設けられている。複数の遮熱構造は、第1遮熱構造TB1、第2遮熱構造TB2、第3遮熱構造TB3、第4遮熱構造TB4、第5遮熱構造TB5、第6遮熱構造TB6、第7遮熱構造TB7、第8遮熱構造TB8及び第9遮熱構造TB9を備える。第1遮熱構造TB1〜第9遮熱構造TB9は概ね同様の構成であるため、第2遮熱構造TB2〜第9遮熱構造TB9については第1遮熱構造TB1とは異なる部分を詳細に説明する。
【0043】
図3及び
図4に示されるように、第1遮熱構造TB1は、中方立11の芯材11Xの正面側及び背面側に設けられている。第1遮熱構造TB1は、芯材11Xの正面側及び背面側に配置される複数枚の耐火板41と、正面側の耐火板41及び背面側の耐火板41のそれぞれを覆う化粧材42と、化粧材42を芯材11Xに取り付ける取付部の一例であるブラケット43とを備える。本実施形態の第1遮熱構造TB1〜第9遮熱構造TB9では、正面側の耐火板41の枚数が背面側の耐火板41の枚数よりも少ない。なお、第1遮熱構造TB1〜第9遮熱構造TB9のそれぞれにおいて、正面側の耐火板41の枚数及び背面側の耐火板41の枚数は任意の設定事項であり、正面側の耐火板41の枚数が背面側の耐火板41の枚数以上であってもよい。なお、耐火板41は、本実施形態ではケイカル板(珪酸カルシウム板)を用いているが、これに限られず、石膏ボードであってもよい。また、ブラケット43はステンレス鋼などの金属で構成されているが、芯材よりも強度が弱くなるように構成されている。
【0044】
第1遮熱構造TB1において、芯材11Xの正面及び背面には、複数のブラケット43が例えば溶接により取り付けられている。芯材11Xの正面には1枚の耐火板41が複数のビス44により固定されている。複数のビス44は、高さ方向ZAにおいて間隔を置いた位置で耐火板41及び芯材11Xにねじ込まれている。ブラケット43の幅方向ZBの一端部には、化粧材42を固定するための取付部材の一例であるビス45により、化粧材42の一端が取り付けられている。この化粧材42の他端は、芯材11Xにスペーサ46を介して取付部材の一例であるビス45により取り付けられている。なお、スペーサ46は、化粧材42を芯材11Xに取り付ける取付部の一例である。
【0045】
一方、芯材11Xの背面には、前後方向ZCに積層された2枚の耐火板41が複数のビス44により固定されている。化粧材42の両端部は、幅方向ZBの両側においてブラケット43とビス45により取り付けられ、化粧材42は、第1シール構造SL1の煙返し31とは別体に構成されている。
【0046】
第2遮熱構造TB2は、縦部材26の芯材26Xの正面側及び背面側に設けられている。芯材26Xの正面側の耐火板41は、その幅方向ZBの長さが芯材26Xの幅方向ZBの長さ及び芯材26Xの背面側の耐火板41の幅方向ZBの長さよりも長い。正面側の耐火板41において幅方向ZBにおける戸尻側縦框22側の端部は、前後方向ZCにおいて戸尻側縦框22と重なっている。このため、芯材26Xの正面側の耐火板41を覆う化粧材42及びこの化粧材42が取り付けられるブラケット43の幅方向ZBの長さは、芯材26Xの背面側の化粧材42及びブラケット43の幅方向ZBの長さよりも長い。これにより、第2シール構造SL2の気密ゴム33を縦部材26に接触させることができる。芯材26Xの正面側の化粧材42は、芯材26Xに直接的に取り付けられず、ブラケット43にビス45により取り付けられている。芯材26Xの背面側の化粧材42は、耐火板41と前後方向ZCに間隔を置いて覆うようにブラケット43にビス45により取り付けられている。なお、第2遮熱構造TB2において、化粧材42の長手方向は縦部材26の芯材26Xの長手方向と同じく、高さ方向ZAとなる。
【0047】
第3遮熱構造TB3は、戸尻側縦框22の芯材22Xの正面側及び背面側に設けられている。芯材22Xの正面側には、耐熱ガラス25を保持するための押縁29が設けられているため、芯材22Xの正面側の耐火板41の幅方向ZBの長さが背面側の耐火板41の幅方向ZBの長さよりも短い。このため、芯材22Xの正面側の化粧材42及びブラケット43の幅方向ZBの長さは、背面側の化粧材42及びブラケット43の幅方向ZBの長さよりも短い。芯材22Xの正面側の化粧材42には、第2シール構造SL2の支持部34が一体に形成されている。正面側の化粧材42は、幅方向ZBの一方側においてブラケット43とビス45により取り付けられ、幅方向ZBの他方側において支持部34の底面を介して芯材22Xとビス45により取り付けられている。このビス45上には、第2シール構造SL2の気密ゴム33が配置され、気密ゴム33は、縦部材26の芯材26Xの正面側の第2遮熱構造TB2により前後方向ZCから覆われている。なお、第3遮熱構造TB3において、化粧材42の長手方向は戸尻側縦框22の芯材22Xの長手方向と同じく、高さ方向ZAとなる。
【0048】
一方、戸尻側縦框22の芯材22Xの背面側の第3遮熱構造TB3は、戸尻側縦框22の一部が縦部材26と前後方向ZCにおいて重なっている。これにより、火災発生時において第2シール構造SL2の発泡材32が加熱されて膨張したとき、第3遮熱構造TB3により発泡材32の背面側への膨張が制限されるため、発泡材32が戸尻側縦框22と縦部材26との隙間を埋め易くなる。
【0049】
また、戸尻側縦框22の芯材22Xの背面側の第3遮熱構造TB3は、芯材22Xの幅方向ZBの側面に取り付けられた押縁29と共に耐熱ガラス25の幅方向ZBの端部を収容する空間を形成している。耐熱ガラス25は、この空間において戸尻側縦框22に支持されている。
【0050】
図5(a)に示されるように、第4遮熱構造TB4は、戸先側縦框21の芯材21Xの正面側及び背面側に設けられている。第4遮熱構造TB4は、第2シール構造SL2が設けられない点以外は第3遮熱構造TB3と概ね同様の構成である。このため、正面側の第4遮熱構造TB4は、戸先側縦框21の正面側の幅方向ZBの全体に亘って設けられている。また、戸先側縦框21と、正面側の第4遮熱構造TB4と、背面側の第4遮熱構造TB4とにより凹部21aが形成されている。なお、第4遮熱構造TB4において、化粧材42の長手方向は戸先側縦框21の芯材21Xの長手方向と同じく、高さ方向ZAとなる。
【0051】
図6に示されるように、第5遮熱構造TB5は、上框23の芯材23Xの正面側及び背面側に設けられている。芯材23Xの正面側には、第4シール構造SL4が設けられるため、耐火板41の高さ方向ZAの長さが芯材23Xの高さ方向ZAの長さ及び芯材23Xの背面側における耐火板41の高さ方向ZAの長さよりも短い。
図7に示されるように、芯材23Xの正面側の化粧材42には、第4シール構造SL4の支持部34が一体に形成されている。これにより、芯材23Xの正面側の第5遮熱構造TB5と第4シール構造SL4とが高さ方向ZAにおいて隣り合うように設けられている。また芯材23Xの正面側の化粧材42は、その上部において支持部34の底面を介してビス45により芯材23Xの上端部に取り付けられ、その下端部においてビス45により芯材23Xの下端部に取り付けられている。なお、第5遮熱構造TB5において、化粧材42の長手方向は上框23の芯材23Xの長手方向と同じく、幅方向ZBとなる。
【0052】
芯材23Xの背面側の第5遮熱構造TB5は、芯材23Xの高さ方向ZAの両側に突出している。これにより、高さ方向ZAにおいて、背面側の第5遮熱構造TB5と背面側の第6遮熱構造TB6との間の距離は、上框23の芯材23Xと横部材27の芯材27Xとの間の距離よりも小さくなる。このため、火災発生時において第4シール構造SL4の発泡材32が加熱されて膨張したとき、背面側の第5遮熱構造TB5により発泡材32の背面側への膨張が制限されるため、発泡材32が上框23の芯材23Xと横部材27の芯材27Xとの隙間を埋め易くなる。
【0053】
また、背面側の第5遮熱構造TB5の下端部は、上框23の芯材23Xの下端部と共に耐熱ガラス25の上端部を収容する空間を形成している。耐熱ガラス25は、この空間において上框23に支持されている。
【0054】
図6に示されるように、第6遮熱構造TB6は、横部材27の芯材27Xの正面側及び背面側に設けられている。芯材27Xの正面側の第6遮熱構造TB6は、その高さ方向ZAの長さが芯材27Xの高さ方向ZAの長さよりも長く、芯材27Xよりも下方に突出している。この正面側の第6遮熱構造TB6において芯材27Xよりも下方に突出した部分は、第4シール構造SL4と前後方向ZCにおいて対向し、第4シール構造SL4の気密ゴム33が接触している。また正面側の第6遮熱構造TB6の下端部は、上框23の芯材23Xの正面側の第5遮熱構造TB5の上端部と前後方向ZCに間隔を置いて対向している。なお、第6遮熱構造TB6において、化粧材42の長手方向は横部材27の芯材27Xの長手方向と同じく、幅方向ZBとなる。
【0055】
図8(a)に示されるように、芯材27Xの正面側の化粧材42は、その上端部及び下端部のそれぞれにおいてビス45によりブラケット43に取り付けられている。
芯材27Xの背面側の第6遮熱構造TB6は、前後方向ZCにおいて3枚の耐火板41が積層されている。3枚の耐火板41のうちの最も背面側の耐火板41の高さ方向ZAの長さは、他の2枚の耐火板41の高さ方向ZAの長さよりも短い。背面側の第6遮熱構造TB6の化粧材42の上部は、3枚の耐火板41の上端部の形状に沿った段形状である。そして最も背面側の耐火板41の上方には、第5シール構造SL5が配置されている。このような耐火板41及び化粧材42の構成により、第5シール構造SL5の気密ゴム33を化粧材42の段形状の部分に収容することができる。この化粧材42の上部にL字状の支持フレーム34aを取り付けることにより、第5シール構造SL5の支持部34が構成されている。背面側の化粧材42は、その上端部及び下端部においてビス45によりブラケット43に取り付けられている。
【0056】
なお、無目4の背面側には、幅方向ZBに延びる複数の耐火板41が前後方向ZCに積層されている。これにより、背面側空間で火災が発生したとき、無目4の収容空間4aが加熱されることが抑制される。
【0057】
図9に示されるように、第7遮熱構造TB7は、下框24の芯材24Xの正面側及び背面側に設けられている。芯材24Xの正面側の第7遮熱構造TB7の高さ方向ZAの長さは、芯材24Xの高さ方向ZAの長さと等しく、芯材24Xの背面側の第7遮熱構造TB7の高さ方向ZAの長さは芯材24Xの高さ方向ZAの長さよりも長く、芯材24Xから上方に突出している。背面側の第7遮熱構造TB7において芯材24Xから上方に突出した部分は、芯材24Xの正面側の上端部に設けられた押縁29と共に耐熱ガラス25の下端部を収容する空間を形成している。耐熱ガラス25は、この空間において下框24に支持されている。なお、第7遮熱構造TB7において、化粧材42の長手方向は、下框24の芯材24Xの長手方向と同じく、幅方向ZBとなる。
【0058】
図6に示されるように、第8遮熱構造TB8は、無目4の下部の枠体4Xの正面側及び背面側に設けられている。枠体4Xの正面側の第8遮熱構造TB8は、幅方向ZBに延び、上方が開口した収容空間を有する枠体4X内に、側面視において高さ方向ZAに対し前後方向ZCが長手方向となるように耐火板41が配置されている。一方、背面側の第8遮熱構造TB8は、幅方向ZBに延び、上方が開口した収容空間を有する枠体4X内に、前後方向ZCに対して高さ方向ZAが長手方向となるよう2枚の耐火板41が前後方向ZCに積層された状態で配置されている。なお、第8遮熱構造TB8において、化粧材42の長手方向は、無目4の下部の枠体4Xの長手方向と同じく、幅方向ZBとなる。
【0059】
図9に示されるように、第9遮熱構造TB9は、下部の巾木12の芯材12Xの正面側及び背面側に設けられている。芯材12Xの背面側の第9遮熱構造TB9は、下框24の背面側の第7遮熱構造TB7と同様の構成であるが、正面側の第9遮熱構造TB9は、下框24の正面側の第7遮熱構造TB7の構成と異なる。なお、第9遮熱構造TB9において、化粧材42の長手方向は、巾木12の芯材12Xの長手方向と同じく、幅方向ZBとなる。
【0060】
図6〜
図9に示されるとおり、防火戸1の上方に設けられる遮熱構造の耐火板41の枚数は、防火戸1の下方に設けられる遮熱構造の耐火板41の枚数よりも多くなる。具体的には、第6遮熱構造TB6は4枚の耐火板41を有し、第5遮熱構造TB5は3枚の耐火板41であるが第6遮熱構造TB6の正面側の1枚の耐火板41が第5遮熱構造TB5の正面側の1枚の耐火板41の上部と前後方向ZCにおいて重なるため、第5遮熱構造TB5の上部では、耐火板41の枚数が4枚となる。一方、防火戸1の下方となる遮熱構造である第7遮熱構造TB7の耐火板41の枚数は3枚である。このため、火災発生時において、より高温となりやすい防火戸1の上方における遮熱性能を向上させることができる。
【0061】
また、防火戸1の正面側で火災が発生したとき、加熱された空気が上方に移動するため、防火戸1の上方の気圧が高くなる。一方、
図6において二点鎖線により示されるように、無目4の点検口4b側は、無目4の収容空間4aと連通する隙間が形成されているため、加熱された空気が収容空間4aに入り込む。これにより、横部材27の上部が加熱される。すなわち横部材27は、その正面側及び上面側の2面に対して加熱される。
【0062】
これに対して、第6遮熱構造TB6は、4枚の耐火板41により横部材27よりも背面側及び下方に伝熱することを抑制している。また第5シール構造SL5は、煙返し36の板材36aの上面に取り付けられた発泡材32が膨張することにより板材36aと無目4との隙間を閉塞し、第6遮熱構造TB6に設けられた発泡材32が膨張することにより第6遮熱構造TB6と板材36aとの隙間を閉塞する。これにより、無目4から横部材27よりも背面側及び下方に伝熱することを一層抑制している。
【0063】
また、火災初期時において防火戸1の正面側で煙が発生したとき、第1シール構造SL1〜第6シール構造SL6により引戸20R,20Lの周囲において防火戸1の正面側空間と背面側空間とを連通する隙間が閉塞されているため、煙が背面側空間に進入することが抑制される。
【0064】
次に、
図10を参照して、遮熱構造の一つである第1遮熱構造TB1の詳細な構成について説明する。
中方立11の芯材11Xの正面11a及び背面11bのそれぞれには、3個のブラケット43が高さ方向ZAに間隔を置いて配置されている。正面11a側に配置されるブラケット43は、共通の部品であり、ステンレス鋼板をプレス等により折り曲げることにより形成されている。また背面11b側に配置されるブラケット43は、共通の部品であり、ステンレス鋼板をプレス等により折り曲げることにより形成されている。正面11a側に配置されるブラケット43及び背面11b側に配置されるブラケット43は共に、芯材11Xの上端部、中央部及び下端部に配置されている。これらブラケット43は、芯材11Xの正面11a及び背面11bに例えばスポット溶接により取り付けられている。
【0065】
また、芯材11Xの正面11a側の部分において、幅方向ZBの一方側の側面の上端部、中央部及び下部には、スペーサ46が配置されている。高さ方向ZAにおいて、上端部及び中央部のスペーサ46の位置は、上端部及び中央部のブラケット43の位置と等しい。下部のスペーサ46の位置は、下端部のブラケット43の位置よりも上方である。スペーサ46は、ステンレス鋼で構成されているが、鉄や耐火鋼のような他の金属材料や樹脂材料で形成されてもよい。
図10に示すとおり、スペーサ46の面積(化粧材42の側方カバー部42bに接触する部分の面積)は、化粧材42の側方カバー部42bの面積と比較して小さい。本実施形態のスペーサ46の高さ方向ZAの寸法は、ブラケット43の化粧材支持部43bの高さ方向ZAの寸法と概ね等しい。またスペーサ46の前後方向ZCの寸法は、化粧材42の側方カバー部42bの前後方向ZCの寸法以下である。なお、スペーサ46の大きさや形状は任意に変更可能である。スペーサ46は、化粧材42の側方カバー部42bの長手方向(高さ方向ZA)の一部に接触するような大きさや形状であればよい。これらスペーサ46は高さ方向ZAに分離して配置されている。なお、スペーサ46と化粧材42の側方カバー部42bとが僅かな隙間を介して対向した状態でビス45により互いに固定されてもよい。また、スペーサ46は、化粧材42の側方カバー部42bに対向しないようになっていれば、一体であってもよい。
【0066】
これらブラケット43は、幅方向ZBに延びる長板状の芯材取付部43aと、芯材取付部43aの幅方向ZBの両側において前後方向ZCに向けて延びる一対の化粧材支持部43bとを備える。芯材11Xの正面11a側に配置される耐火板41の枚数は、芯材11Xの背面11b側に配置される耐火板41の枚数よりも少ないため、正面11a側に配置されるブラケット43における化粧材支持部43bの前後方向ZCの長さは、背面11b側に配置されるブラケット43における化粧材支持部43bの前後方向ZCの長さよりも短い。
【0067】
耐火板41は、幅方向ZBに対して高さ方向ZAが長手方向となる板状部材である。
図10に示すとおり、耐火板41は、芯材11Xの高さ方向ZAの長さと概ね等しくなる。耐火板41は、幅方向ZBにおいて一対の化粧材支持部43bの間に配置され、中方立11との間で芯材取付部43aを挟み込んでいる。
【0068】
化粧材42は、ステンレス鋼板を折り曲げることにより形成されている。化粧材42は、耐火板41の前後方向ZCの面全体を前後方向ZCから覆うカバー本体42aと、耐火板41の幅方向ZBの面全体を幅方向ZBの両側から覆う側方カバー部42bとを備える。側方カバー部42bの上端部、中央部及び下端部のそれぞれには、幅方向ZBにおいて側方カバー部42bを貫通している挿入孔42cが設けられている。正面11a側に配置される化粧材42において、幅方向ZBの一方の側方カバー部42bは芯材11Xに取り付けられ、幅方向ZBの他方の側方カバー部42bはブラケット43に取り付けられるため、幅方向ZBの一方の側方カバー部42bの前後方向ZCの長さが幅方向ZBの他方の側方カバー部42bの前後方向ZCの長さよりも長い。また、正面11a側の耐火板41の枚数が背面11b側の耐火板41の枚数よりも少ないため、正面11a側の化粧材42の側方カバー部42b(他方の側方カバー部42b)の前後方向ZCの長さは、背面11b側の化粧材42の側方カバー部42bの長さよりも短い。
【0069】
正面11a側に配置される化粧材42は、一方の側方カバー部42bが芯材11Xの正面11a側の部分を幅方向ZBの一方側から覆い、他方の側方カバー部42bがブラケット43の化粧材支持部43bを幅方向ZBの他方側から覆う。そして、ビス45が化粧材42の一方側の挿入孔42cに挿入されて中方立11の幅方向ZBの一方側の側面に設けられた取付孔11cにねじ込まれ、且つビス45が化粧材42の他方側の挿入孔42cに挿入されてブラケット43の化粧材支持部43bの取付孔43cにねじ込まれる。これにより、化粧材42がブラケット43に取り付けられる。このとき、スペーサ46は、芯材11Xの正面11a側における幅方向ZBの一方側の面と一方の側方カバー部42bとにより挟み込まれる。すなわち、スペーサ46により、芯材11Xと化粧材42とは幅方向ZBにおいて対向するものの、直接的に接触していない。なお、取付孔11c,43cは、ビス45と螺合するためのねじ孔である。
【0070】
背面11b側に配置される化粧材42は、一対の側方カバー部42bがブラケット43の化粧材支持部43bを幅方向ZBから覆う。そして、ビス45が化粧材42の挿入孔42cに挿入されてブラケット43の化粧材支持部43bの取付孔43cにねじ込まれることにより、化粧材42がブラケット43に取り付けられる。なお、取付孔11c,43cをビス45が挿入される挿入孔とし、取付部材としてのねじ及びナット(図示略)により化粧材42をブラケット43又は中方立11に固定する構造としてもよい。またその他の取付部材として、釘(図示略)、粘着テープ、又は接着剤により化粧材42をブラケット43又は芯材11Xに固定する構造としてもよい。
【0071】
また、第1遮熱構造TB1においては、化粧材42と取付部の一例であるブラケット43とが接触する部分は、化粧材42の長手方向(高さ方向ZA)において化粧材42の側方カバー部42bの一部である。そしてブラケット43は、芯材11Xの長手方向(高さ方向ZA)に離間して、すなわち芯材11Xの上端部、中央部及び下端部において3個設けられている。また第1遮熱構造TB1においては、化粧材42と芯材11Xとが接触する部分には、化粧材42の長手方向(高さ方向ZA)において芯材11Xの上端部、中央部及び下端部に配置されたスペーサ46が介在している。このため、化粧材42とスペーサ46とが接触する部分は、化粧材42の長手方向(高さ方向ZA)において化粧材42の側方カバー部42bの一部である。
【0072】
なお、第2遮熱構造TB2〜第7遮熱構造TB7、及び第9遮熱構造TB9にも上記取付部の一例であるブラケット43と化粧材42との取付構造が設けられている。高さ方向ZAに延びる戸尻側縦框22の芯材22X、縦部材26の芯材26X及び戸先側縦框21の芯材21Xでは、第1遮熱構造TB1と同様に複数のブラケット43が高さ方向ZAにおいて間隔を置いて配置されている。一方、幅方向ZBに延びる横部材27の芯材27Xにおいては、同様に複数のブラケット43が間隔を置いて配置されている。
図7及び
図9(a)に示されるように、上框23の芯材23Xの背面側、下框24の芯材24Xの背面側、及び巾木12の芯材12Xの背面側にそれぞれ配置されるブラケット43は、耐熱ガラス25,13を保持するガラス溝を構成する部材となっているため、幅方向ZBに延びる通し部材で形成されている。この場合、化粧材42の一端部がスペーサ46(
図10参照)を介してビス45で取り付けられている。
【0073】
本実施形態の作用について説明する。以下では、
図10に示される第1遮熱構造TB1と、
図11に示される比較例の第1遮熱構造(以下、「比較遮熱構造TBC」)との比較に基づいて説明する。
【0074】
図11に示されるように、比較遮熱構造TBCは、ブラケット43に代えて、高さ方向ZAにおいて芯材11Xや化粧材42と同じ長さ寸法となる金属製(例えば鉄)のブラケット100を備える。ブラケット100は、芯材11Xの正面11a及び背面11bのそれぞれの全面に亘って接触する芯材取付部101と、芯材取付部101の幅方向ZBの両端部から前後方向ZCに延びる化粧材支持部102とを備える。化粧材支持部102は、高さ方向ZAにおいて芯材11Xや化粧材42と同じ長さ寸法となる。化粧材支持部102の上端部、中央部及び下端部には、取付孔103が形成されている。取付孔103は、ビス45がねじ込まれるねじ孔である。化粧材支持部102と化粧材42の側方カバー部42bとは、互いに全面に亘って接触している。
【0075】
正面側の化粧材42は、幅方向ZBの一方において正面側のブラケット100の化粧材支持部102にビス45により取り付けられ、幅方向ZBの他方において芯材11Xの幅方向ZBの側面における正面側の部分にビス45により取り付けられる。比較遮熱構造TBCでは、芯材11Xの幅方向ZBの他方の側面と正面側の化粧材42の幅方向ZBの他方の側方カバー部42bとの間にスペーサ46が設けられていない。すなわち芯材11Xの幅方向ZBの他方の側面と化粧材42の幅方向ZBの他方の側方カバー部42bとは化粧材42の長手方向(高さ方向ZA)の全体に亘って直接的に接触及び対向している。一方、背面側の化粧材42は、ブラケット100の各化粧材支持部102にビス45により取り付けられる。
【0076】
比較遮熱構造TBCにおいて、例えば防火戸1の正面側空間で火災が発生したとき、正面11a側の化粧材42が加熱される。このとき、正面11a側の化粧材42の熱は、両方の側方カバー部42bを介して正面11a側のブラケット100の両方の化粧材支持部102及び側方カバー部42bと接触している芯材11Xの幅方向ZBの側面に熱伝導により伝えられる。そして正面11a側のブラケット100の化粧材支持部102に伝えられた熱は、芯材取付部101を介して芯材11Xの正面11aに熱伝導により伝えられる。このため、正面11a側の化粧材42の熱は、直接的又は間接的に芯材11Xに熱伝導により伝えられる。
【0077】
ここで、正面11a側の化粧材42における両方の側方カバー部42bがその全面に亘り正面11a側のブラケット100の化粧材支持部102に接触及び対向しているため、正面11a側の化粧材42における両方の側方カバー部42bと正面11a側のブラケット100の化粧材支持部102との熱伝導の経路のサイズが大きくなる。これにより、正面11a側の化粧材42から正面11a側のブラケット100への熱伝導による伝熱量が多くなる。加えて、正面11a側のブラケット100の芯材取付部101は、芯材11Xの正面11aの全面に亘って接触及び対向しているため、すなわち正面11a側のブラケット100の芯材取付部101と芯材11Xとの熱伝導の経路のサイズが大きいため、正面11a側のブラケット100から芯材11Xの正面11aへの熱伝導による伝熱量が多くなる。そして、芯材11Xの正面11aに伝えられた熱は、背面11bを介して背面11b側のブラケット100に伝えられ、背面11b側のブラケット100に伝えられた熱は、背面11b側の化粧材42に伝えられる。ここで、背面11b側のブラケット100の芯材取付部101の長手方向(高さ方向ZA)の全面に亘って芯材11Xの背面11bと接触及び対向しているため、すなわち芯材11Xから背面11b側のブラケット100への熱伝導の経路のサイズが大きいため、芯材11Xの背面11bから背面11b側のブラケット100への熱伝導による伝熱量が多くなる。そして、背面11b側の化粧材42における両方の側方カバー部42bがその全面に亘って背面11b側のブラケット100の両方の化粧材支持部102に接触及び対向しているため、背面11b側のブラケット100の両方の化粧材支持部102から背面11b側の化粧材42の両方の側方カバー部42bとの熱伝導の経路のサイズが大きくなる。これにより、背面11b側のブラケット100からの熱が背面11b側の化粧材42への熱伝導による伝熱量が多くなる。したがって、背面11b側の化粧材42の温度が上昇しやすくなり、その結果、背面11b側の化粧材42からの輻射熱が多くなる。なお、背面側空間で火災が発生したときも同様に、背面11b側の化粧材42から芯材11Xを介して正面11a側の化粧材42に熱が伝わりやすくなり、正面11a側の化粧材42の温度が上昇しやすい。このため、正面11a側の化粧材42の輻射熱が多くなる。
【0078】
その点、
図10に示されるように、本実施形態では、高さ方向ZAにおいて芯材11Xの上端部、中央部及び下端部のそれぞれにブラケット43が取り付けられ、そのブラケット43に化粧材42がビス45により取り付けられる。また、正面11a側の化粧材42の幅方向ZBの他方の側方カバー部42bは、芯材11Xの幅方向ZBの側面の上端部、中央部及び下端部に設けられたスペーサ46を介して芯材11Xに取り付けられる。これにより、化粧材42とブラケット43との接触及び対向面積、並びにブラケット43と芯材11Xとの接触面積が比較遮熱構造TBCに比べて小さい、すなわち化粧材42からブラケット43への熱伝導の経路のサイズ及びブラケット43から芯材11Xへの熱伝導のサイズが比較遮熱構造TBCに比べ小さい。このため、例えば芯材11Xの正面11a側の化粧材42が加熱されるとき、正面11a側の化粧材42の熱が正面11a側のブラケット43に伝わり難く、且つ正面11a側のブラケット43の熱が芯材11Xの正面11aに伝わり難くなる。そして、芯材11Xの背面11bの熱が背面11b側のブラケット43に伝わり難く、且つ背面11b側のブラケット43の熱が背面11b側の化粧材42に伝わり難くなる。したがって、背面11b側の化粧材42の温度が上昇し難くなり、その結果、背面11b側の化粧材42からの輻射熱が少なくなる。なお、中方立11の芯材11X以外の戸先側縦框21の芯材21X等の高さ方向ZAに延びる芯材や上框23の芯材23X等の幅方向ZBに延びる芯材についても同様の作用が生じる。
【0079】
本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)化粧材42とブラケット43及びスペーサ46とが接触する部分は、化粧材42の長手方向(高さ方向ZA)の一部に設けられている。この構成によれば、化粧材42の側方カバー部42bとブラケット100の化粧材支持部102との全面が接触する比較遮熱構造TBCに比べ、化粧材42とブラケット43との接触面積と、ブラケット43と芯材11Xとの接触及び対向面積とが小さくなるため、化粧材42から芯材11Xへの熱伝導及び輻射により伝達される伝熱量が少なくなる。また、スペーサ46により化粧材42と芯材11Xとが直接的に接触しないため、比較遮熱構造TBCに比べ、化粧材42から芯材11Xへの熱伝導により伝達される伝熱量が少なくなる。その結果、防火戸1の正面側及び背面側の一方で火災が発生したとき、中方立11において防火戸1の正面側及び背面側の他方の化粧材42への伝熱を抑制することができる。なお、化粧材42がブラケット43及びスペーサ46に対向した状態で取り付けられる場合についても、化粧材42とブラケット43及びスペーサ46との対向面積が小さくなるため、化粧材42から芯材11Xへの輻射により伝達される伝熱量が少なくなり、同様の効果が得られる。第2遮熱構造TB2〜第7遮熱構造TB7及び第9遮熱構造TB9についても同様の効果を得ることができる。
【0080】
(2)ブラケット43は、芯材11Xの高さ方向ZAに離間して複数、設けられている。この構成によれば、1箇所にブラケット43を設ける場合に比べ、ブラケット43に加えられるモーメント荷重が小さくなり、その結果、ブラケット43を小型化できる。つまり、熱伝導の経路のサイズを小さくすることができるため、化粧材42からブラケット43への熱伝導により伝達される伝熱量を少なくすることができる。その結果、防火戸1の正面側及び背面側の一方で火災が発生したとき、中方立11において防火戸1の正面側及び背面側の他方の化粧材42への伝熱を抑制することができる。なお、第2遮熱構造TB2〜第7遮熱構造TB7及び第9遮熱構造TB9についても同様の効果を得ることができる。
【0081】
(3)第1遮熱構造TB1〜第7遮熱構造TB7及び第9遮熱構造TB9において、化粧材42は、ビス45により幅方向ZB又は高さ方向ZAからブラケット43に取り付けられている。これにより、防火戸1の正面視又は背面視においてビス45が見えなくなるため、防火戸1の美観を向上させることができる。
【0082】
(4)スペーサ46が芯材11X及び化粧材42とは別部材として設けられている。この構成によれば、化粧材42とスペーサ46との間に空気層が形成され、スペーサ46と芯材11Xとの間に空気層が形成されるため、化粧材42と芯材11Xとが直接的に接触する場合に比べ、遮熱効果を向上させることができる。
また、ブラケット43が芯材11X及び化粧材42とは別部材として設けられている。この構成によれば、化粧材42の側方カバー部42bとブラケット43の化粧材支持部43bとの間に空気層が形成され、ブラケット43の芯材取付部43aと芯材11Xとの間に空気層が形成される。したがって、化粧材42と芯材11Xとが直接的に接触する場合に比べ、遮熱効果を向上させることができる。なお、第2遮熱構造TB2から第7遮熱構造TB7及び第9遮熱構造TB9についても同様の効果を得ることができる。
【0083】
(5)防火戸1には、第1シール構造SL1〜第5シール構造SL5が設けられている。この構成によれば、例えば防火戸1の正面側及び背面側の一方に火災が発生して発泡材32が膨張することにより、防火戸1において正面側空間と背面側空間とを連通可能な隙間が閉塞される。このため、防火戸1の正面側及び背面側の一方の熱風が、防火戸1の正面側及び背面側の他方に流れることによりその他方側の化粧材42を加熱することを抑制することができる。したがって、防火戸1の正面側及び背面側の一方に火災が発生したときに、防火戸1の正面側及び背面側の他方の化粧材42への伝熱を抑制することができる。
【0084】
(変形例)
上記実施形態に関する説明は、本発明に従う防火戸が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う防火戸は、例えば以下に示される実施形態の変形例及び相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0085】
なお、以下の変形例の説明において、防火戸1を構成する中方立11、戸先側縦框21、戸尻側縦框22等の高さ方向ZAに延びる芯材を「芯材50」として説明する。また、以下の変形例の説明において、取付部とは、芯材50と化粧材42の側方カバー部42bとを連結することによって、芯材50に化粧材42を取り付けるものである。
【0086】
(変形例1)
上記実施形態において、化粧材42とブラケット43との間にスペーサ60を介在させた構造であってもよいし、ブラケット43と芯材50との間にスペーサ60を介在させた構造であってもよい。
【0087】
例えば、
図12(a)に示されるように、スペーサ60がブラケット43の化粧材支持部43bと化粧材42の側方カバー部42bとの間に設けられる。幅方向ZBからの側面視においてスペーサ60は、例えばビス45が挿入されるための挿入孔61が形成された円環状に形成される。スペーサ60が化粧材支持部43bと側方カバー部42bとにより挟み込まれた状態でビス45が側方カバー部42bの挿入孔42c及びスペーサ60の挿入孔61に挿入されて化粧材支持部43bの取付孔43cにねじ込まれる。これにより、化粧材42がブラケット43に取り付けられる。
スペーサ60の面積は、化粧材支持部43bの面積よりも小さい。このため、スペーサ60と側方カバー部42bとの接触面積及びスペーサ60と化粧材支持部43bとの接触面積は、側方カバー部42bと化粧材支持部43bとが直接的に接触したときの接触面積よりも小さい。これにより、側方カバー部42bから化粧材支持部43bへの熱伝導により伝達される伝熱量が少なくなる。したがって、化粧材42から芯材50への熱伝導により伝達される伝熱量が少なくなる。なお、側方カバー部42bと化粧材支持部43bとは近傍で対向しているが直接的に接触する場合に比べ、輻射による伝熱量は少ない。その結果、側方カバー部42bと化粧材支持部43bとが直接的に接触する場合に比べ、防火戸1の正面側及び背面側の一方で火災が発生したときに防火戸1の正面側及び背面側の他方の化粧材42への伝熱を抑制することができる。
【0088】
また例えば、
図12(b)に示されるように、ブラケット43が芯材50にビス45Aにより取り付けられる構成において、2個のスペーサ60がブラケット43と芯材50との間に設けられる。ブラケット43の芯材取付部43aには、ビス45Aが挿入されるための一対の挿入孔43dが設けられる。芯材50には、ビス45Aがねじ込まれる取付孔51が設けられる。2個のスペーサ60がブラケット43と芯材50とにより挟み込まれた状態でビス45Aが芯材取付部43aの挿入孔43d及びスペーサ60の挿入孔61に挿入されて芯材50の取付孔51にねじ込まれることにより、ブラケット43が芯材50に取り付けられる。
2個のスペーサ60の面積の合計は、芯材取付部43aの面積よりも小さい。このため、スペーサ60と芯材取付部43aとの接触面積及びスペーサ60と芯材50との接触面積は、芯材取付部43aと芯材50とが直接的に接触したときの接触面積よりも小さい。これにより、芯材取付部43aから芯材50への熱伝導により伝達される伝熱量が小さくなる。なお、芯材取付部43aと芯材50とは近傍で対向しているが直接的に接触する場合に比べ、輻射による伝熱量は少ない。その結果、芯材取付部43aと芯材50とが直接的に接触する場合に比べ、防火戸1の正面側及び背面側の一方で火災が発生したときに防火戸1の正面側及び背面側の他方の化粧材42への伝熱を抑制することができる。また、スペーサ60は、芯材取付部43aの面積よりも小さければ、幅方向ZBに延びる板状に形成し、一対の挿入孔43dが形成された1個のスペーサとして構成してもよい。
なお、
図12(a)及び(b)において、スペーサ60は金属製及び樹脂製であってもよいが、伝熱量を低減する観点から樹脂製であることが好ましい。また複数のスペーサ60を幅方向ZBに積層してもよい。
また、
図12(a)及び(b)において、ブラケット43に代えて、比較遮熱構造TBCのブラケット100を芯材50に取り付けてもよい。この構成によっても、スペーサ60によりブラケット100と化粧材42とが直接的に接触しなくなり、ブラケット100と芯材50とが直接的に接触しなくなるため、
図12(a)及び(b)の構造と同様の効果が得られる。
【0089】
(変形例2)
上記実施形態において、取付部として、変形例1のようなスペーサ60を設けずに化粧材42とブラケット43との接触面積を小さくする構造、又は化粧材42と芯材50との接触面積を小さくする構造を設けてもよい。なお、輻射については変形例1と同じため、その説明を省略する。
【0090】
例えば、
図13(a)に示されるように、ブラケット43の化粧材支持部43bには、化粧材42の側方カバー部42bに向けて突出する突出部43eが設けられる。突出部43eには、ビス45がねじ込まれる取付孔43cが形成されている。ビス45は、側方カバー部42bの挿入孔42cに挿入されて突出部43eの取付孔43cにねじ込まれる。これにより、化粧材42が芯材50に取り付けられる。このとき、突出部43eは、接触面43fにおいて側方カバー部42bと接触する。これにより、ブラケット43と化粧材42との接触面積が小さくなるため、化粧材42からブラケット43への熱伝導により伝達される伝熱量が少なくなる。その結果、防火戸1の正面側及び背面側の一方で火災が発生したときに防火戸1の正面側及び背面側の他方の化粧材42への伝熱を抑制することができる。加えて、変形例1のスペーサ60を用いる構造に比べ、ブラケット43と化粧材42との組み付けが容易となる。
【0091】
また例えば、
図13(b)に示されるように、化粧材42の側方カバー部42bには、ブラケット43の化粧材支持部43bに向けて突出する突出部42dが設けられる。突出部42dには、挿入孔42cが形成されている。ビス45は、側方カバー部42bの挿入孔42cに挿入されて化粧材支持部43bの取付孔43cにねじ込まれる。これにより、化粧材42がブラケット43に取り付けられる。このとき、突出部42dは、接触面42eにおいて化粧材支持部43bと接触する。これにより、
図13(a)の構成と同様の効果が得られる。
【0092】
また例えば、
図13(c)に示されるように、化粧材42が芯材50に直接的に取り付けられる構造において、芯材50の幅方向ZBの側面には、化粧材42の側方カバー部42bに向けて突出する突出部52が設けられる。突出部52にはビス45がねじ込まれる取付孔51が形成されている。ビス45は、側方カバー部42bの挿入孔42cに挿入されて芯材50の取付孔51にねじ込まれる。これにより、化粧材42が芯材50に取り付けられる。このとき、突出部52は、接触面52aにおいて側方カバー部42bと接触する。これにより、化粧材42と芯材50との接触面積が小さくなるため、化粧材42から芯材50への熱伝導により伝達される伝熱量が少なくなる。その結果、防火戸1の正面側及び背面側の一方で火災が発生したときに防火戸1の正面側及び背面側の他方の化粧材42への伝熱を抑制することができる。加えて、
図10のスペーサ46を用いる構造に比べ、化粧材42と芯材50との組み付けが容易となる。なお、化粧材42が芯材50に直接的に取り付けられる構造において、突出部52に代えて、
図13(b)に示される突出部42dが化粧材42に設けられる構成としてもよい。
また
図13(a)〜(c)において、ブラケット43に代えて、比較遮熱構造TBCのブラケット100を芯材50に取り付けてもよい。
【0093】
(変形例3)
上記実施形態において、取付部として、変形例1のようなスペーサ60を設けずにブラケット43と芯材50との接触面積を小さくする構造を設けてもよい。なお、輻射については変形例1と同じため、その説明を省略する。
【0094】
例えば、
図14(a)に示されるように、芯材50の前後方向ZCの面には、ブラケット43の芯材取付部43aに向けて突出する一対の突出部53が設けられる。一対の突出部53は、接触面53aにおいて芯材取付部43aと接触する。接触面53aと芯材取付部43aとの接触部分で例えばスポット溶接により固定されることにより、ブラケット43が芯材50に取り付けられる。これにより、ブラケット43と芯材50との接触面積が小さくなるため、ブラケット43から芯材50への熱伝導により伝達される伝熱量が少なくなる。このため、化粧材42から芯材50への熱伝導により伝達される伝熱量が少なくなる。防火戸1の正面側及び背面側の一方で火災が発生したときに防火戸1の正面側及び背面側の他方の化粧材42への伝熱を抑制することができる。加えて、変形例1のスペーサ60を用いる構造(
図12(b)参照)に比べ、ブラケット43と芯材50との組み付けが容易となる。なお、突出部53の数は任意に設定可能であり、1個でも3個以上であってもよい。突出部53の個数に限定はなく、その大きさに影響されるだけである。
【0095】
また例えば、
図14(b)に示されるように、ブラケット43の芯材取付部43aの幅方向ZBの中央部には、芯材50に向けて突出する突出部43gが設けられる。突出部43gは、接触面43hにおいて芯材50と接触する。接触面43hと芯材50との接触部分で例えばスポット溶接により固定されることにより、ブラケット43が芯材50に取り付けられる。これにより、
図14(a)の構成と同様の効果が得られる。なお、突出部43gの数は任意に設定可能であり、複数個であってもよい。突出部43gの個数に限定はなく、その大きさに影響されるだけである。
また
図14(a)及び(b)において、ブラケット43に代えて、比較遮熱構造TBCのブラケット100を芯材50に取り付けてもよい。
【0096】
(変形例4)
上記実施形態において、化粧材42から芯材50への熱伝導(又は輻射)の経路の数を減らす構造としてもよい。その一例として、
図15(a)〜(d)に示されるように、ブラケット43と化粧材42との取付箇所を上記実施形態よりも減らした構造とする。
【0097】
図15(a)に示されるように、芯材50の高さ方向ZAの中央部及び下端部にブラケット43が取り付けられ、芯材50の上端部にブラケット43が取り付けられない。このため、化粧材42は、その高さ方向ZAの中央部及び下端部においてブラケット43に取り付けられる。
図15(b)に示されるように、芯材50の高さ方向ZAの中央部及び上端部にブラケット43が取り付けられ、芯材50の下端部にブラケット43が取り付けられない。このため、化粧材42は、その高さ方向ZAの中央部及び上端部においてブラケット43に取り付けられる。
図15(c)に示されるように、芯材50の上端部及び下端部にブラケット43が取り付けられ、芯材50の高さ方向ZAの中央部にブラケット43が取り付けられない。このため、化粧材42は、その上端部及び下端部においてブラケット43に取り付けられる。
図15(d)に示されるように、芯材50の高さ方向ZAの中央部にブラケット43が取り付けられ、芯材50の上端部及び下端部にブラケット43が取り付けられない。このため、化粧材42は、その高さ方向ZAの中央部においてブラケット43に取り付けられる。
上記
図15(a)〜(d)の構成によれば、上記実施形態よりもブラケット43と化粧材42との接触面積(又は対向する面の面積)が小さくなるため、化粧材42からブラケット43への熱伝導(又は輻射)により伝達される伝熱量が少なくなる。このため、化粧材42から芯材50への熱伝導(又は輻射)により伝達される伝熱量が少なくなる。その結果、防火戸1の正面側及び背面側の一方で火災が発生したときに防火戸1の正面側及び背面側の他方の化粧材42への伝熱を抑制することができる。
また、図示はしないが、化粧材42を芯材50に直接的に取り付ける構造において、
図15(a)〜(d)と同様に化粧材42と芯材50との取付箇所を減らした構造としてもよい。
【0098】
(変形例5)
上記実施形態において、取付部は、化粧材42と芯材50との間に断熱材70を介在させた構造であってもよい。
【0099】
例えば、
図16(a)に示されるように、化粧材42の側方カバー部42bとブラケット43の化粧材支持部43bとの間に断熱材70が挟み込まれる。断熱材70は、例えばグラスウール等の繊維系断熱材が用いられる。断熱材70は、化粧材支持部43bにおいて側方カバー部42bと対向する面の全面に亘って覆う。断熱材70には、ビス45が挿入されるための挿入孔71が設けられている。ビス45は、化粧材42の側方カバー部42bの挿入孔42c及び断熱材70の挿入孔71に挿入され、ブラケット43の化粧材支持部43bの取付孔43cにねじ込まれることにより、断熱材70を化粧材42とブラケット43とで挟んだ状態で化粧材42をブラケット43に取り付ける。これにより、上記実施形態と同様に化粧材42とブラケット43との接触面積が小さくなると共に、断熱材70により化粧材42からブラケット43に伝熱し難くなるため、化粧材42から芯材50への熱伝導により伝熱される伝熱量が更に少なくなる。その結果、防火戸1の正面側及び背面側の一方で火災が発生したときに防火戸1の正面側及び背面側の他方の化粧材42への伝熱を抑制することができる。
【0100】
また例えば、
図16(b)に示されるように、化粧材42と芯材50とがビス45により直接的に取り付けられる構成において、化粧材42の側方カバー部42bと芯材50の幅方向ZBの側面との間に断熱材70が挟み込まれる。断熱材70は、
図16(a)の断熱材70と同じサイズである。すなわち、断熱材70は、芯材50及び化粧材42のそれぞれに部分的に接触している。ビス45は、化粧材42の挿入孔42c及び断熱材70の挿入孔71に挿入され、芯材50の取付孔51にねじ込まれることにより、断熱材70を化粧材42と芯材50とで挟んだ状態で化粧材42を芯材50に取り付ける。これにより、
図16(a)の構成と同様の効果が得られる。なお、断熱材70のサイズや形状は、芯材50及び化粧材42のそれぞれに部分的に接触していれば、
図16(a)及び(b)のようなサイズや形状に限定されない。
なお、ブラケット43の芯材取付部43aと芯材50との間に断熱材70を介在させた構造であってもよい。これにより、ブラケット43から芯材50に伝熱し難くなるため、芯材50の熱による変形を抑制することができる。また断熱材70に代えて、耐火板が用いられてもよい。耐火板は、例えば珪酸カルシウム板、石膏等により形成される。
【0101】
(変形例6)
上記実施形態において、化粧材42から芯材50への熱伝導の経路が長くなる構造を設けてもよい。
【0102】
例えば、
図17(a)に示されるように、ブラケット43には、化粧材支持部43bにおいて化粧材42の側方カバー部42b(
図16参照)と接触する接触部43iから芯材取付部43aまでの距離を長くする延長部43jが設けられる。延長部43jは、接触部43iから下方に向けて折り曲げられつつ高さ方向ZAに延びた後、上方に向けて折り曲げられつつ高さ方向ZAに延びて化粧材支持部43bに連続する。接触部43iには、ビス45(
図16参照)がねじ込まれる取付孔43cが形成されている。これにより、ブラケット43から芯材50への熱伝導により伝達される伝熱量が少なくなる。このため、化粧材42から芯材50への熱伝導により伝達される伝熱量が少なくなる。その結果、防火戸1の正面側及び背面側の一方で火災が発生したときに防火戸1の正面側及び背面側の他方の化粧材42への伝熱を抑制することができる。
【0103】
また例えば、
図17(b)に示されるように、延長部43jは、芯材取付部43aから幅方向ZBの内側に向けて曲げられつつ幅方向ZBに延びた後、幅方向ZBの外側に向けて曲げられつつ幅方向ZBに延びて接触部43iに連続する構造である。これにより、
図17(a)の構造と同様の効果が得られる。なお、延長部43jの形状は、芯材取付部43aと接触部43iとの間の熱伝導の経路が延長可能な形状であれば、
図17(a)及び(b)に示される形状に限定されない。
【0104】
(変形例7)
上記実施形態において、ブラケット43の材料を次の(A)及び(B)のように変更してもよい。
【0105】
(A)ブラケット43が断熱材により形成される。この構成によれば、ブラケット43を介して化粧材42から芯材50へ伝熱し難くなる。その結果、化粧材42から芯材50への熱伝導により伝達される伝熱量が少なくなるため、防火戸1の正面側及び背面側の一方で火災が発生したときに防火戸1の正面側及び背面側の他方の化粧材42への伝熱を抑制することができる。
【0106】
(B)ブラケット43が樹脂材料により形成される。この構成によれば、金属材料に比べて熱伝達率が低い樹脂材料を用いるため、ブラケット43から芯材50への熱伝導により伝達される伝熱量が少なくなる。加えて、ブラケット43の温度上昇に伴い樹脂材料が溶融することにより、化粧材42と芯材50とが非接触状態となる。これにより、化粧材42と芯材50との間の空気層により断熱されるため、化粧材42から芯材50へ伝熱し難くなる。このように化粧材42から芯材50への熱伝導により伝達される伝熱量が少なくなるため、防火戸1の正面側及び背面側の一方で火災が発生したときに防火戸1の正面側及び背面側の他方の化粧材42への伝熱を抑制することができる。
【0107】
(変形例8)
上記実施形態及び上記変形例において、化粧材42の一対の側方カバー部42bのうちの一方を省略してもよい。この場合、化粧材42の一つの側方カバー部42bと取付部(ブラケット43又はスペーサ46,60)とが連結することにより、芯材(芯材11X,50等)に化粧材42が取り付けられる。
【0108】
(変形例9)
上記変形例1〜8において、
図12〜
図17に示されるように、芯材50は高さ方向ZAに延びる構成として示しているが、上框23や下框24等の幅方向ZBに延びる芯材に対しても上記変形例1〜8を適用することができる。
【0109】
(変形例10)
第6遮熱構造TB6において、横部材27の芯材27Xの背面側に配置された耐火板41の構成を
図18(a)〜(c)に示すような耐火板41の構成に変更してもよい。
【0110】
図18(a)に示されるように、耐火板41が上方に向かうにつれて前後方向ZCの厚さが厚くなるように構成されてもよい。
図18(b)に示されるように、背面側の耐火板41の上端部が前後方向ZCに突出するL字状に形成されてもよい。
図18(c)に示されるように、耐火板41が上方に向かうにつれて前後方向ZCの厚さが厚くなるように高さ方向ZAの長さの異なる複数の耐火板41を前後方向ZCに積層してもよい。
要するに、横部材27の芯材27Xの背面側に配置される耐火板41は、芯材27Xの下方に比べ上方の耐火性能が向上するような構成であればよい。
【0111】
(変形例11)
上記実施形態において、引戸20R,20Lから縦部材26、横部材27、丁番28及びドアクローザを省略してもよい。すなわち引戸20R,20Lは、全閉状態において回転することにより通行可能な状態にする開き戸構造を省略してもよい。
【0112】
(変形例12)
上記実施形態では、防火設備を防火戸1として具体化したが、防火設備は防火戸に限られず、例えば防火窓であってもよい。