特許第6706541号(P6706541)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706541
(24)【登録日】2020年5月20日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】屋根
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/068 20060101AFI20200601BHJP
   E04D 3/08 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   E04D13/068 501Z
   E04D3/08 A
   E04D3/08 Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-98207(P2016-98207)
(22)【出願日】2016年5月16日
(65)【公開番号】特開2017-206827(P2017-206827A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2018年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】安田 辰雄
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−264566(JP,A)
【文献】 特開平10−169113(JP,A)
【文献】 特開平05−025892(JP,A)
【文献】 米国特許第04680905(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/00−13/18
E04D 3/06−3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根材と、屋根材同士の隙間に沿って設けた水上側樋部材及び水下側樋部材を備え、水上側樋部材は、上側に排水路を有し、水下側端部に排水路が水下側に突出した上重合部を有し、水下側樋部材は、上側に上排水路を、下側に下排水路を有し、水上側端部に下排水路が水上側に突出した下重合部を有し、水上側樋部材の上重合部と水下側樋部材の下重合部とが上下に重合していることを特徴とする屋根。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根材を並べて配置して構成される屋根に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス等を用いたパネルを縦横に並べて配置してなるトップライト構造の屋根においては、隣接するパネル同士の隙間の下に樋を配置し、パネル同士の隙間から浸入した雨水をその樋を通じて排水している。屋根の奥行長さが長い場合には、樋を一本物で作ることができず、複数本に分割した樋を長手方向に接続しており、その接続部分のシール作業が必要となるため、面倒であると共にシールが切れて漏水するおそれがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、樋のシール作業が不要な屋根の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による屋根は、屋根材と、屋根材同士の隙間に沿って設けた水上側樋部材及び水下側樋部材を備え、水上側樋部材は、上側に排水路を有し、水下側端部に排水路が水下側に突出した上重合部を有し、水下側樋部材は、上側に上排水路を、下側に下排水路を有し、水上側端部に下排水路が水上側に突出した下重合部を有し、水上側樋部材の上重合部と水下側樋部材の下重合部とが上下に重合していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明による屋根は、屋根材同士の隙間に沿って水上側樋部材及び水下側樋部材が配置してあり、水上側樋部材は、上側に排水路を有し、水下側端部に排水路が水下側に突出した上重合部を有し、水下側樋部材は、上側に上排水路を、下側に下排水路を有し、水上側端部に下排水路が水上側に突出した下重合部を有し、水上側樋部材の上重合部と水下側樋部材の下重合部とが上下に重合していることで、水上側樋部材の排水路を流下する雨水を水下側樋部材の下排水路に流すことができるので、水上側樋部材と水下側樋部材との隙間をシールしなくても、雨水が下に漏れない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図4のX部拡大図である。
図2図1のC−C断面図である。
図3】本発明の屋根の一実施形態を示す平面図である。
図4図3のA−A断面図である。
図5図3のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜5は、本発明の屋根の一実施形態を示している。本屋根は、例えば体育館のような四角い大型の建物の屋根であり、図3,4に示すように、アルミのフレームにガラス11を嵌め込んだ屋根材1,1,…を左右方向と前後方向に並べて配置し、屋根全体から採光できるようにしたものである。本屋根は、前後方向の中央部が高くなった勾配の緩い両流れの屋根になっている。
【0008】
本屋根は、図3,4に示すように、棟12から軒先13にかけて2枚の屋根材1,1を前後方向に並べて配置してある。各屋根材1は、左右の縦枠14,14と前後の横枠15,15と無目47,47とからなるフレームにガラス(複層ガラス)11を嵌め込んで構成してある。前後に隣接する屋根材1,1の隙間48は、図1に示すように、シール材16でシールしてあると共に、その上からカバー材17を取付けて塞いである。また、水上側の屋根材1の水下側の横枠15aは、水下側に突出する突部18と、突部18の先端より垂下する垂下片19を有し、水下側の屋根材1の水上側の横枠15bは、水上側に突出する突部20と、突部20の先端より立ち上がる立ち上がり片21を有し、立ち上がり片21の先端部にタイト材22が設けてある。そして、水上側の屋根材1の水下側の横枠15aの突部18を水下側の屋根材1の水上側の横枠15bの突部20の上方に重ね、水上側の屋根材1の水下側の横枠15aの垂下片19を水下側の屋根材1の水上側の横枠15bの立ち上がり片21の前方に重ね、タイト材22を水上側の屋根材1の水下側の横枠15aの突部18の下面に当接している。以上の構成により、前後に隣接する屋根材1,1間の隙間48からの漏水を防いでいる。
【0009】
図5に示すように、左右に隣接する屋根材1,1の隙間49もシール材16でシールし、その上からカバー材17を取付けて塞いであり、これにより左右に隣接する屋根材1,1間の隙間49からの漏水を防いでいる。さらに、左右に隣接する屋根材1,1の隙間49の下方には樋部材2が前後方向に沿って配置してあり、万が一左右に隣接する屋根材1,1の隙間49から雨水が浸入しても、その雨水はこの樋部材2を介して軒先13に排水され、下に水が落ちないようにしてある。
【0010】
樋部材2は、図4に示すように、水上側樋部材2aと水下側樋部材2bとに分割して構成され、それぞれファスナ23を介して建物の躯体24に固定してある。水上側樋部材2aと水下側樋部材2bは、同一の断面形状のアルミ押出形材よりなり、図5に示すように、上部に底壁25と立ち上がり壁26,27とからなる上排水路3,3(水上側樋部材2a),4,4(水下側樋部材2b)が左右両側に設けてある。上排水路3,3,4,4は、左右両端の立ち上がり壁26と中間の立ち上がり壁27との間の下面が、左右両端から中央に向けて下方に傾斜した傾斜面28となっている。また、左右両端の立ち上がり壁26の内側には、軟質のフィン29が上方に立ち上げて設けてあり、フィン29の上端部が屋根材1の下面に当接している。上排水路3,3,4,4の下方には中空部30,30が設けてあり、該中空部30,30により下排水路5,5(水上側樋部材2a),6,6(水下側樋部材2b)を形成してある。なお、水上側樋部材2aの下排水路5,5は、排水路として機能しないものであり、必ずしもなくてもよい。
【0011】
図5に示すように、水上側樋部材2a及び水下側樋部材2bの上面の中央部には、長手方向に沿ってボルト保持溝31が形成してあり、ボルト保持溝31に頭部を保持したボルト32とナット33とで屋根材取付け用のベース金具34を前後方向に位置調整可能に取付け、縦枠14の側面に取付けた金具35をベース金具34に上方からのボルト36で固定して、屋根材1を樋部材2a,2bに固定している。
また、水上側樋部材2a及び水下側樋部材2bの下面の中央部には、長手方向に沿って裏板保持溝37が形成してあり、裏板保持溝37に保持した裏板38にファスナ23をボルト・ナット39で固定している。
【0012】
図1に示すように、水上側樋部材2aの水下側端部は、下部側を切り欠くことで上排水路3,3が水下側に突出した上重合部7を形成してあり、水下側樋部材2bの水上側端部は、上部側を切り欠くことで下排水路6,6が水上側に突出した下重合部8を形成してあり、水上側樋部材2aの上重合部7と水下側樋部材2bの下重合部8とが上下に重合している。水上側樋部材2aの水下側端部と水下側樋部材2bの水上側端部との間には、隙間40を有している。
上重合部7の水下側端部には、図1,2に示すように、塞ぎブロック41,41を取付けて上排水路3,3の水下側端部を堰き止めてあり、塞ぎブロック41,41に隣接する上排水路3,3の底壁25に排水孔42,42が設けてある。下重合部8の水上側端部にも塞ぎブロック43,43が取付けてあり、塞ぎブロック43,43により下排水路6,6の水上側端部を堰き止めてある。
【0013】
水上側の屋根材1,1同士の隙間49から浸入した雨水は、図1の矢印44に示すように、水上側樋部材2aの上排水路3,3(排水路)を流下し、水下側端部で塞ぎブロック41,41で堰き止められ、上重合部7に設けた排水孔42,42から水下側樋部材2bの下重合部8に落ち、水下側樋部材2bの下排水路6,6を通じて軒先13に排水される。水上側樋部材2aは、上排水路3,3の水下側端部で塞ぎブロック41,41により雨水を堰き止めてあり、上重合部7の底壁25に排水孔42,42が設けてあることで、水上側樋部材2aを流れてきた雨水を水下側樋部材2bの下排水路6,6へ確実に誘導することができる。さらに、図2に示すように、上排水路3,3の左右端部から中央に向けて下方に傾斜した傾斜面28を有することで、図2中の矢印45に示すように、上排水路3,3の排水孔42,42へ雨水を誘導することができる。さらに、排水孔42の傾斜面28と対向する側に立ち上がり壁27を設けたことで、傾斜面28から勢いよく流れてきた雨水を立ち上がり壁27で堰き止めて排水孔42へと誘導できる。水下側の屋根材1,1同士の隙間49から浸入した雨水は、図1中の矢印46に示すように、水下側樋部材2bの上排水路4,4を通じて軒先13へと排水される。
【0014】
以上に述べたように本屋根は、屋根材1,1同士の隙間に沿って水上側樋部材2a及び水下側樋部材2bが配置してあり、水上側樋部材2aは、上側に排水路(上排水路3,3)を有し、水下側端部に排水路(上排水路3,3)が水下側に突出した上重合部7を有し、水下側樋部材2bは、上側に上排水路4,4を、下側に下排水路6,6を有し、水上側端部に下排水路6,6が水上側に突出した下重合部8を有し、水上側樋部材2aの上重合部7と水下側樋部材2bの下重合部8とが上下に重合していることで、水上側樋部材2aの排水路(上排水路3,3)を流下する雨水を水下側樋部材2bの下排水路6,6に流すことができるので、水上側樋部材2aと水下側樋部材2bとの隙間をシールしなくても、雨水が下に漏れない。
水上側樋部材2aと水下側樋部材2bに同一の断面形状の形材を用いたので、コストを削減できる。
【0015】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。屋根材の材質、形状等は、適宜変更することができ、ガラスを用いたものに限らず、金属やセラミックのパネルを用いたものであってもよい。樋部材は、長手方向に3本以上に分割したものでもよい。水上側樋部材は、下排水路を有しないものであってもよい。
【符号の説明】
【0016】
1 屋根材
2a 水上側樋部材
2b 水下側樋部材
3 水上側樋部材の上排水路(排水路)
4 水下側樋部材の上排水路
6 水下側樋部材の下排水路
7 上重合部
8 下重合部
図1
図2
図3
図4
図5