特許第6706545号(P6706545)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 豊興工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6706545-油圧装置 図000002
  • 特許6706545-油圧装置 図000003
  • 特許6706545-油圧装置 図000004
  • 特許6706545-油圧装置 図000005
  • 特許6706545-油圧装置 図000006
  • 特許6706545-油圧装置 図000007
  • 特許6706545-油圧装置 図000008
  • 特許6706545-油圧装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706545
(24)【登録日】2020年5月20日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】油圧装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 1/26 20060101AFI20200601BHJP
   F15B 21/041 20190101ALI20200601BHJP
【FI】
   F15B1/26
   F15B21/041
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-109678(P2016-109678)
(22)【出願日】2016年6月1日
(65)【公開番号】特開2017-150655(P2017-150655A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2019年5月20日
(31)【優先権主張番号】特願2016-31572(P2016-31572)
(32)【優先日】2016年2月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000241267
【氏名又は名称】豊興工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岸 将男
【審査官】 小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−502851(JP,A)
【文献】 特開2004−225741(JP,A)
【文献】 特開2000−249102(JP,A)
【文献】 特開平06−042501(JP,A)
【文献】 実開昭63−001904(JP,U)
【文献】 実開昭55−147501(JP,U)
【文献】 実開昭53−069971(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 1/00− 1/26,21/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に作動油を貯蔵する油タンクの上板上に、貯蔵作動油を吸入吐出して負荷側に供給する油圧ポンプと油圧ポンプを回転駆動する電動機とを載置し、負荷側から油タンクに還流する作動油を流通する戻り管を設け、戻り管には作動油に混入する塵埃を除去するリターンフィルタを配設し、リターンフィルタは負荷側からの作動油を流入する流入口と塵埃を除去した作動油を流出する流出口とを形成したフィルタ本体と、作動油に混入する塵埃を除去するフィルタエレメントと、フィルタエレメントを内部に収装してフィルタ本体に着脱自在に装着したケーシングとから構成し、戻り管は負荷側とフィルタ本体の流入口との間を接続する第1戻り管と、フィルタ本体の流出口と油タンクとの間を接続して先端部を貯蔵作動油中に浸漬する第2戻り管とから構成し、リターンフィルタは油タンクの貯蔵作動油より垂直方向で上方に位置し、フィルタ本体を油タンクに垂直方向へ移動自在に取付け、フィルタ本体の上方への移動で貯蔵作動油中に浸漬した第2戻り管の先端部を上方へ引き出し可能としたことを特徴とする油圧装置。
【請求項2】
前記油タンクの上板上に取付ブラケットを立設し、取付ブラケットには垂直方向に延びる長孔を形成し、長孔を挿通するボルト部材の締め付けで前記フィルタ本体を取付ブラケットに取付けたことを特徴とする請求項1に記載の油圧装置。
【請求項3】
前記油タンクの上板上に取付ブラケットを立設し、前記フィルタ本体の上方への移動により貯蔵作動油中に浸漬した前記第2戻り管の先端部を上方へ引き出した状態において、前記フィルタ本体を取付ブラケットに係止可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧装置。
【請求項4】
前記取付ブラケットは、垂直方向に延び上端に窪み部を有する係止孔を形成し、前記第2戻り管には係止部材を設け、係止部材を係止孔の窪み部に係止して、前記フィルタ本体を取付ブラケットに係止可能にしたことを特徴とする請求項3に記載の油圧装置。
【請求項5】
前記リターンフィルタは、前記取付ブラケットに取付けた前記フィルタ本体に、水平方向の外方に向けて前記ケーシングを装着したことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一つに記載の油圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動油を貯蔵する油タンクの上板上に貯蔵作動油を吸入吐出して負荷側に供給する油圧ポンプと油圧ポンプを回転駆動する電動機とを載置し、負荷側から油タンクに還流する作動油に混入する塵埃を除去するリターンフィルタを有する油圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の油圧装置は、作動油を貯蔵する油タンクの上板上に油圧ポンプと油圧ポンプを回転駆動する電動機とを載置し、油圧ポンプの回転駆動で油タンクに貯蔵した作動油を吸入吐出して負荷側としてのアクチュエータに供給し、アクチュエータから戻る作動油を油タンクに還流している(たとえば、特許文献1参照)。
また、タンク本体の上壁にリターンフィルタを組み付け、アクチュエータから油タンクに還流する作動油に混入する塵埃をリターンフィルタで除去するものがある(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−42501号公報
【特許文献2】特開2000−249102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された油圧装置の油タンクの上板に、特許文献2に開示されたリターンフィルタを組み付けようとすると、上板にリターンフィルタを組み付けるための設置面積が必要となり、油タンクが大型化する。
【0005】
また、油タンクを大型化しないために、特許文献2の図4および図5に開示された如き、リターンフィルタを作動油の戻り管に配設すると、フィルタ本体からケーシングを取り外してフィルタエレメントを交換する際に、取り外した個所から流出する作動油を回収しなければならず、交換作業が面倒であった。
【0006】
本発明の課題は、油タンクを大型化することなく、フィルタエレメントの交換作業を容易にし得る油圧装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を達成すべく、本発明は次の手段をとった。即ち、
内部に作動油を貯蔵する油タンクの上板上に、貯蔵作動油を吸入吐出して負荷側に供給する油圧ポンプと油圧ポンプを回転駆動する電動機とを載置し、負荷側から油タンクに還流する作動油を流通する戻り管を設け、戻り管には作動油に混入する塵埃を除去するリターンフィルタを配設し、リターンフィルタは負荷側からの作動油を流入する流入口と塵埃を除去した作動油を流出する流出口とを形成したフィルタ本体と、作動油に混入する塵埃を除去するフィルタエレメントと、フィルタエレメントを内部に収装してフィルタ本体に着脱自在に装着したケーシングとから構成し、戻り管は負荷側とフィルタ本体の流入口との間を接続する第1戻り管と、フィルタ本体の流出口と油タンクとの間を接続して先端部を貯蔵作動油中に浸漬する第2戻り管とから構成し、リターンフィルタは油タンクの貯蔵作動油より垂直方向で上方に位置し、フィルタ本体を油タンクに垂直方向へ移動自在に取付け、フィルタ本体の上方への移動で貯蔵作動油中に浸漬した第2戻り管の先端部を上方へ引き出し可能としたことを特徴とする油圧装置がそれである。
【0008】
この場合、前記油タンクの上板上に取付ブラケットを立設し、取付ブラケットには垂直方向に延びる長孔を形成し、長孔を挿通するボルト部材の締め付けで前記フィルタ本体を取付ブラケットに取付けてもよい。また、前記油タンクの上板上に取付ブラケットを立設し、前記フィルタ本体の上方への移動により貯蔵作動油中に浸漬した前記第2戻り管の先端部を上方へ引き出した状態において、前記フィルタ本体を取付ブラケットに係止可能にしてもよい。また、前記取付ブラケットは、垂直方向に延び上端に窪み部を有する係止孔を形成し、前記第2戻り管には係止部材を設け、係止部材を係止孔の窪み部に係止して、前記フィルタ本体を取付ブラケットに係止可能にしてもよい。また、前記リターンフィルタは、前記取付ブラケットに取付けた前記フィルタ本体に、水平方向の外方に向けて前記ケーシングを装着してもよい。
【発明の効果】
【0009】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明は、リターンフィルタは負荷側からの作動油を流入する流入口と塵埃を除去した作動油を流出する流出口とを形成したフィルタ本体と、作動油に混入する塵埃を除去するフィルタエレメントと、フィルタエレメントを内部に収装してフィルタ本体に着脱自在に装着したケーシングとから構成し、戻り管は負荷側とフィルタ本体の流入口との間を接続する第1戻り管と、フィルタ本体の流出口と油タンクとの間を接続して先端部を貯蔵作動油中に浸漬する第2戻り管とから構成し、リターンフィルタは油タンクの貯蔵作動油より垂直方向で上方に位置し、フィルタ本体を油タンクに垂直方向へ移動自在に取付け、フィルタ本体の上方への移動で貯蔵作動油中に浸漬した第2戻り管の先端部を上方へ引き出し可能とした。このため、フィルタ本体を上方へ移動して第2戻り管の先端部を貯蔵作動油の油面より上方へ引き出すと、リターンフィルタ内部の作動油が第2戻り管を流れて油タンクに流出できるから、フィルタ本体からケーシングを取り外してフィルタエレメントを交換する際に、取り外した個所から作動油が流出することを軽減して作動油の回収を不要にでき、フィルタエレメントの交換作業を容易にできる。また、リターンフィルタは、油タンクの上板に組み付けなくてよく、油タンクを大型化することなくできる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、油タンクの上板上に取付ブラケットを立設し、取付ブラケットには垂直方向に延びる長孔を形成し、長孔を挿通するボルト部材の締め付けでフィルタ本体を取付ブラケットに取付けた。このため、長孔内の任意の位置でリターンフィルタの垂直方向の位置を設定でき、これに伴い第2戻り管の先端部の位置も設定できるから、油タンクの貯蔵作動油量に応じた最適位置に第2戻り管の先端部を位置することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、油タンクの上板上に取付ブラケットを立設し、フィルタ本体の上方への移動により貯蔵作動油中に浸漬した前記第2戻り管の先端部を上方へ引き出した状態において、フィルタ本体を取付ブラケットに係止可能にした。このため、フィルタ本体からケーシングを取り外してフィルタエレメントを交換する際に、第2戻り管の先端部を貯蔵作動油の油面より上方へ引き出した状態で仮止めでき、フィルタエレメントの交換作業を容易にできる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、取付ブラケットは、垂直方向に延び上端に窪み部を有する係止孔を形成し、第2戻り管には係止部材を設け、係止部材を係止孔の窪み部に係止して、フィルタ本体を取付ブラケットに係止可能にした。このため、フィルタ本体からケーシングを取り外してフィルタエレメントを交換する際に、第2戻り管の先端部を貯蔵作動油の油面より上方へ引き出した状態で容易に仮止めでき、フィルタエレメントの交換作業をより一層容易にできる。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、リターンフィルタは、取付ブラケットに取付けたフィルタ本体に、水平方向の外方に向けてケーシングを装着している。このため、フィルタ本体の垂直方向の上下位置に空間を確保することができ、フィルタ本体の垂直方向の上下位置に第1戻り管と第2戻り管とを略垂直方向に取付けることができ、リターンフィルタ、第1戻り管、第2戻り管をコンパクトに配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態を示した油圧装置の正面図である。
図2図1の左側面図である。
図3図1の平面図である。
図4図3の線A−Aに沿った拡大断面図である。
図5図4の矢視Bから見た図である。
図6図4とはリターンフィルタの異なる取付状態を示した拡大断面図である。
図7】本発明の他実施形態を示した要部拡大図である。
図8図7とはリターンフィルタの異なる取付状態を示した要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
図1ないし図3において、1は内部に作動油を貯蔵するタンクで、上部を開口した略直方体形状に形成し、上部開口を着脱自在の上板2で閉塞している。3は油圧ポンプ4を回転駆動する電動機で、上板2上に複数の緩衝部材5、基板部材6を介して載置固定している。油圧ポンプ4は、上板2上で電動機3の一側面に固定し、電動機3の回転駆動で油タンク1の貯蔵作動油を吸入管路4Aより吸入して吐出管路4Bに吐出する。吐出管路4Bに吐出した作動油は負荷側としての図示しないアクチュエータに供給する。油タンク1の一側面上方には作動油の貯蔵量を外部から視認する油面計を保護する保護部材7を配置すると共に、油タンク1の一側面下方には貯蔵作動油を排出する排出口を着脱自在に閉塞する栓部材8を設けている。油タンク1の上板2には、作動油を油タンク1内部に注油する注油口兼エアブリーザ9と、装置を吊り上げて移動するための複数のフック部材10と、油圧ポンプ4のドレンをドレン導入管路11より導入して冷却し、冷却したドレンをドレン導出管路12より油タンク1に還流する冷却器13を設けている。油タンク1の下方には、油タンク1より大面積の油受け14を設置し、漏出した作動油を回収する。
【0016】
15はアクチュエータ側から油タンク1に還流する作動油を流通する戻り管で、作動油に混入する塵埃を除去するリターンフィルタ16を配設している。図4ないし図6に示す如く、リターンフィルタ16はアクチュエータ側からの作動油を流入する流入口17と塵埃を除去した作動油を流出する流出口18とを形成したフィルタ本体19と、作動油に混入する塵埃を除去するフィルタエレメント20と、フィルタエレメント20を内部に収装してフィルタ本体19に着脱自在に装着したケーシング21とから構成している。22はフィルタ本体19に収装した弁体で、ばね23で付勢されて弁座24に着座して流入口17と流出口18との間を遮断している。弁体22は、フィルタエレメント20の目つまりにより流入口17側の作動油の圧力に基づく作用力がばね23力を上回ると弁座24から離脱し、流入口17と流出口18との間を連通する。
【0017】
25は板状の取付ブラケットで、略長方形に形成し、油タンク1の上板2上に立設している。取付ブラケット25には、垂直方向に延びる長孔26A、26Bを2個形成している。27A、27Bはボルト部材で、それぞれ長孔26A、26Bを挿通してフィルタ本体19のねじ孔19Aに螺合している。フィルタ本体19はボルト部材27A、27Bの締め付けで取付ブラケット25に取付け、長孔26A、26Bの範囲内で垂直方向へ移動自在に取付けている。
【0018】
戻り管15は、アクチュエータ側とフィルタ本体19の流入口17との間を接続する第1戻り管28と、フィルタ本体19の流出口18と油タンク1との間を接続して先端部29Aを貯蔵作動油中に浸漬する第2戻り管29とから構成している。第1戻り管28は可撓性で、フィルタ本体19の上下移動に支障をきたさないよう湾曲自在に設け、流入口17に螺着している。第2戻り管29は鋼管から直線状に形成し、上板2に配置した円板状の密封部材30により上板2を密封して貫通し、流出口18に螺着している。そして、第2戻り管29は、フィルタ本体19の上方への移動で貯蔵作動油中に浸漬した先端部29Aを貯蔵作動油の油面Tより上方へ引き出し可能としている。
【0019】
次に、かかる構成の作動を説明する。
電動機3によって油圧ポンプ4を回転駆動すると、油圧ポンプ4は吸入管路4Aより油タンク1に貯蔵した作動油を吸入して吐出管路4Bに吐出し、この吐出した作動油は図示しないアクチュエータに供給される。アクチュエータからの戻り油は、第1戻り管28を流れ、リターンフィルタ16の流入口17よりケーシング21内部に入り、フィルタエレメント20で塵埃を除去され、流出口18より第2戻り管29を流れて油タンク1に還流する。このとき、リターンフィルタ16の弁体22はばね23で付勢されて弁座24に着座して流入口17と流出口18との間を遮断している。
【0020】
この状態で、リターンフィルタ16のフィルタエレメント20が目つまりすると、作動油が流れにくくなる。フィルタエレメント20の目つまりで流入口17側の作動油の圧力が上昇し、この圧力に基づく作用力がばね23力を上回ると、弁体22が弁座24から離脱して流入口17と流出口18との間を連通する。流入口17に流入した作動油は、フィルタエレメント20を介さず直接に流出口18より第2戻り管29を流れて油タンク1に還流する。
【0021】
目つまりしたフィルタエレメント20を新しいフィルタエレメント20に交換するには、油圧ポンプ4を停止した状態で、作業者がボルト部材27A、27Bを緩め、図6に示す如く、リターンフィルタ16のフィルタ本体19を上方へ移動して、第2戻り管29の先端部29Aを貯蔵作動油の油面Tより上方へ引き出し、ボルト部材27A、27Bを締め付け、フィルタ本体19を取付ブラケット25に上方位置で固定する。そして、リターンフィルタ16の内部に残存した作動油は、第2戻り管29の先端部29Aより油タンク1の貯蔵作動油の上方空間に流出される。
【0022】
この状態で、フィルタ本体19よりケーシング21を取り外し、フィルタエレメント20を新しいフィルタエレメント20に交換する。そして、フィルタ本体19にケーシング21を再び装着したら、ボルト部材27A、27Bを緩め、リターンフィルタ16のフィルタ本体19を図4の原位置に向けて下方へ移動し、第2戻り管29の先端部29Aが貯蔵作動油中に浸漬する図4の原位置に復帰したら、ボルト部材27A、27Bを締め付け、フィルタ本体19を取付ブラケット25に固定する。
【0023】
新しいフィルタエレメント20に交換した後、油圧ポンプ4を回転駆動すると、流入口17の作動油がフィルタエレメント20を介して流れるようになり、流入口17側の圧力が低下して弁体22がばね23力で弁座24に着座して流入口17と流出口18との間を遮断する。
【0024】
かかる作動で、リターンフィルタ16はアクチュエータ側からの作動油を流入する流入口17と塵埃を除去した作動油を流出する流出口18とを形成したフィルタ本体19と、作動油に混入する塵埃を除去するフィルタエレメント20と、フィルタエレメント20を内部に収装してフィルタ本体19に着脱自在に装着したケーシング21とから構成し、戻り管15はアクチュエータ側とフィルタ本体19の流入口17との間を接続する第1戻り管28と、フィルタ本体19の流出口18と油タンク1との間を接続して先端部29Aを貯蔵作動油中に浸漬する第2戻り管29とから構成し、リターンフィルタ16は油タンク1の貯蔵作動油より垂直方向で上方に位置し、フィルタ本体19を油タンク1に垂直方向へ移動自在に取付け、フィルタ本体19の上方への移動で貯蔵作動油中に浸漬した第2戻り管29の先端部29Aを上方へ引き出し可能とした。このため、フィルタ本体19を上方へ移動して第2戻り管29の先端部29Aを貯蔵作動油の油面Tより上方へ引き出すと、リターンフィルタ16内部の作動油が第2戻り管29を流れて油タンク1に流出できるから、フィルタ本体19からケーシング21を取り外してフィルタエレメント20を交換する際に、取り外した個所から作動油が流出することを軽減して作動油の回収を不要にでき、フィルタエレメント20の交換作業を容易にできる。また、リターンフィルタ16は、油タンク1の上板2に組み付けなくてよく、油タンク1を大型化することなくできる。
【0025】
また、油タンク1の上板2上に取付ブラケット25を立設し、取付ブラケット25には垂直方向に延びる長孔26A、26Bを形成し、長孔26A、26Bを挿通するボルト部材27A、27Bの締め付けでフィルタ本体19を取付ブラケット25に取付けた。このため、長孔26A、26B内の任意の位置でリターンフィルタ16の垂直方向の位置を設定でき、これに伴い第2戻り管29の先端部29Aの位置も設定できるから、油タンク1の貯蔵作動油量に応じた最適位置に第2戻り管29の先端部29Aを位置することができる。
【0026】
また、リターンフィルタ16は、取付ブラケット25に取付けたフィルタ本体19に、水平方向の外方に向けてケーシング16を装着している。このため、フィルタ本体19の垂直方向の上下位置に空間を確保することができ、フィルタ本体19の上下位置に第1戻り管28と第2戻り管29とを略垂直方向に取付けることができ、リターンフィルタ16、第1戻り管28、第2戻り管29をコンパクトに配置することができる。
【0027】
図7および図8は本発明の他実施形態を示し、一実施形態と同一個所には同符号を付して説明を省略し、異なる個所についてのみ説明する。
図7および図8において、油タンク1の上板2上に立設した取付ブラケット31には、垂直方向に延びる係止孔32を形成しており、係止孔32の上端には窪み部32Aを形成している。また、取付ブラケット31には、垂直方向に延びて上端側に開口する2個の長孔33A、33Bを形成している。ボルト部材27A、27Bは、それぞれ長孔33A、33Bの下端に当接し、長孔33A、33Bを挿通してフィルタ本体19に螺合している。
【0028】
34は第2戻り管29に取付けた係止部材で、係止孔32を挿通し、フィルタ本体19の上方への移動により貯蔵作動油中に浸漬した第2戻り管29を引き出した状態で、窪み部32Aに係止可能にする。係止部材34は、係止孔32の窪み部32Aに係止した状態で、フィルタ本体19を取付ブラケット31の上方位置で係止する。
【0029】
35は第1戻り管28とフィルタ本体19の間に介在された圧力計で、第1戻り管28からフィルタ本体19に流れる作動油の圧力を表示する。
【0030】
次に、かかる構成の作動を説明する。
目つまりしたフィルタエレメント20を新しいフィルタエレメント20に交換するには、油圧ポンプ4を停止した状態で、作業者がボルト部材27A、27Bを緩め、図8に示す如く、リターンフィルタ16のフィルタ本体19を上方へ移動して、係止部材34を係止孔32の窪み部32Aに係止し、フィルタ本体19を取付ブラケット31に上方位置で係止する。そして、第2戻り管29の先端部29Aが貯蔵作動油の油面Tより上方へ引き出され、リターンフィルタ16の内部に残存した作動油は、第2戻り管29の先端部29Aより油タンク1の貯蔵作動油の上方空間に流出される。
【0031】
この状態で、フィルタ本体19よりケーシング21を取り外し、フィルタエレメント20を新しいフィルタエレメント20に交換する。そして、フィルタ本体19にケーシング21を再び装着したら、係止部材34と窪み部32Aの係止状態を解除し、リターンフィルタ16のフィルタ本体19を第2戻り管29の先端部29Aが貯蔵作動油中に浸漬する図7の原位置へ移動し、ボルト部材27A、27Bを締め付け、フィルタ本体19を取付ブラケット31に固定する。
【0032】
かかる作動で、一実施形態と同様に、フィルタ本体19を上方へ移動して第2戻り管29の先端部29Aを貯蔵作動油の油面Tより上方へ引き出すと、リターンフィルタ16内部の作動油が第2戻り管29を流れて油タンク1に流出できるから、フィルタ本体19からケーシング21を取り外してフィルタエレメント20を交換する際に、取り外した個所から作動油が流出することを軽減して作動油の回収を不要にでき、フィルタエレメント20の交換作業を容易にできる。また、リターンフィルタ16は、油タンク1の上板2に組み付けなくてよく、油タンク1を大型化することなくできる。また、長孔33A、33B内の任意の位置でリターンフィルタ16の垂直方向の位置を設定でき、これに伴い第2戻り管29の先端部29Aの位置も設定できるから、油タンク1の貯蔵作動油量に応じた最適位置に第2戻り管29の先端部29Aを位置することができる。
【0033】
また、油タンク1の上板2上に取付ブラケット31を立設し、フィルタ本体19の上方への移動により貯蔵作動油中に浸漬した前記第2戻り管29の先端部29Aを上方へ引き出した状態において、フィルタ本体19を取付ブラケット31に係止可能にした。このため、フィルタ本体19からケーシング21を取り外してフィルタエレメント20を交換する際に、第2戻り管29の先端部29Aを貯蔵作動油の油面Tより上方へ引き出した状態で仮止めでき、フィルタエレメント20の交換作業を容易にできる。
【0034】
また、取付ブラケット31は、垂直方向に延び上端に窪み部32Aを有する係止孔32を形成し、第2戻り管29には係止部材34を設け、係止部材34を係止孔32の窪み部32Aに係止して、フィルタ本体19を取付ブラケット31に係止可能にした。このため、フィルタ本体19からケーシング21を取り外してフィルタエレメント20を交換する際に、第2戻り管29の先端部29Aを貯蔵作動油の油面Tより上方へ引き出した状態で容易に仮止めでき、フィルタエレメントの交換作業をより一層容易にできる。
【0035】
なお、前述の各実施形態では、油圧ポンプ4を電動機3の一側面に固定したが、油圧ポンプを油タンクの上板上に載置固定しても良い。また、取付ブラケット25または31には垂直方向に延びる長孔26A、26Bまたは33A、33Bを2個形成したが、これに限定されるものではなく、長孔を1個や3個以上形成してもよい。また、第2戻り管29に取付けた係止部材34を係止孔32の窪み部32Aに係止してフィルタ本体19を取付ブラケット31に係止可能にしたが、これに限定されるものではなく、ボルト部材を係止孔32の窪み部32Aを挿通してフィルタ本体19に螺合して、フィルタ本体19を取付ブラケット31に係止可能にしてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0036】
1:油タンク
2:上板
3:電動機
4:油圧ポンプ
15:戻り管
16:リターンフィルタ
17:流入口
18:流出口
19:フィルタ本体
20:フィルタエレメント
21:ケーシング
25、31:取付ブラケット
26A、26B、33A、33B:長孔
27A、27B:ボルト部材
28:第1戻り管
29:第2戻り管
29A:第2戻り管の先端部
32:係止孔
32A:窪み部
34:係止部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8