(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記本体の他方の側壁と前記第二の連結部とを繋ぐ第二の繋ぎ部の前記長手方向に沿う長さが、前記本体の一方の側壁と前記第一の連結部とを繋ぐ第一の繋ぎ部の前記長手方向に沿う長さよりも長い、
請求項2に記載の端子。
前記本体の他方の側壁と前記第二の連結部とを繋ぐ第二の繋ぎ部の、前記長手方向において前記接触部の接点により近い側に位置する端部が、前記本体の一方の側壁と前記第一の連結部とを繋ぐ第一の繋ぎ部の、前記長手方向において前記接触部の接点により近い側に位置する端部よりも、前記接触部の接点に近い側に位置付けられている、請求項2又は3に記載の端子。
前記補強片は、前記第二の連結部を通じて片持ち梁状に支持された延設部を有し、該延設部の少なくとも一部が、前記第一の連結部、中間部、接触部の少なくともいずれかと対面している、請求項5又は6に記載の端子。
前記補強片は、前記接触部の自由端とは前記長手方向において反対側に位置する端部よりも、前記接触部の自由端側に延設されている、請求項1乃至7のいずれかに記載の端子。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車、オートバイ等の自動車産業の分野で、基板との接触に用いることができる端子や、この端子を収容したコネクタ(以下、「端子収容コネクタ」という。)の開発が急速に進んでいる。この端子は、一般の電気コネクタと異なり、端子同士を接続させるものではなく、様々な電子部品が搭載された基板と接続されるものであり、また、この端子収容コネクタは、一般の電気コネクタと同様に、複数の端子と、これら複数の端子が収容されるハウジングを有しているが、ここでは基板との接触に用いる端子が収容される。
基板は、一般に、該基板を支持するコネクタ(以下、「基板支持コネクタ」という。)によって支持され、この基板支持コネクタを端子収容コネクタと嵌合させることによって、端子と基板を接触させる。基板支持コネクタと端子収容コネクタの嵌合時には、端子収容コネクタの基板挿入部を通じて端子収容コネクタのハウジング内に基板が挿入、設置されるが、このとき使用される基板は、通常、完全に平坦ではなく、若干の歪みを有している。この歪みは、たとえ若干ではあっても、端子と接触部との間に接触不良を引き起こす要因となり得、この接触不良は、自動車等の制御に深刻な影響を及ぼしかねない。このため、基板の歪みを許容して高い接触信頼性を発揮することができる端子や、そのような端子を用いた端子収容コネクタの開発が所望されている。
【0003】
接触信頼性を高める一つの方策として、近年、特許文献1に開示されているような特殊形状の端子が開発されている。この端子は、一枚の金属板から形成された端子であって、一般の電気コネクタに使用される端子と異なり、全体として箱状に形成され、金属板の板厚方向における断面が略凹状の本体を有し該本体(凹部)の開口側に接触片を配置したものとなっている。
【0004】
このタイプの端子では、基板との接触時に、本体の開口側から底部側に向かって接触片に大きな負荷がかかる。また、このような負荷が急激にかかることもある。仮に十分な強度を有していなければ、接触片はこのような負荷に耐えられず、変形或いは破壊されてしまう。特許文献1の端子には、接触片の他に更に一つの片が設けられているが、この片は、本体の底部とは反対側、換言すれば、基板との接触時に接触片が変位する側とは反対の側に設けられていることから、接触片を何ら補強するものとはなっていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのように、基板との接触に用いることができる特殊形状の端子、更に言えば、一枚の金属板から形成された端子であって、全体として箱状に形成され、金属板の板厚方向における断面が略凹状の本体の開口側に接触片が配置されているような、特殊形状の端子における新たな課題に着目し、この課題を解決するためになされたものであり、基板との接触時に受ける負荷に耐えられるよう接触片の強度を高めることができる端子と、この端子を用いたコネクタ、及び、このコネクタを有するコネクタ装置を提供することを目的とする。また、負荷が急激に加わることを防止でき、端子の変形或いは破損を防止できる端子、及び、これを用いたコネクタ等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様による端子は、一枚の金属板から形成された端子であって、該金属板の板厚方向における断面が略凹状の本体と、該本体の底部と対面させた状態で前記本体の開口側に配置された接触片及び補強片と、を備え、前記接触片は、前記本体の一方の側壁に所定の長さに亘って連結された第一の連結部と、該第一の連結部を通じて片持ち梁状に支持され、前記本体の開口側から底部側に向って弾性変位可能に形成された接触部と、を有し、前記接触部の少なくとも一部は、前記底部側から前記開口側に向かって前記第一の連結部よりも突出させた状態で設けられており、前記補強片は、前記本体の他方の側壁に所定の長さに亘って連結された第二の連結部を有し、前記接触片の少なくとも一部と前記補強片の少なくとも一部は、前記金属板の板厚方向にて対面しており、前記補強片は、前記接触片に対して、前記本体の底部側に配置されていることを特徴として有する。
この態様の端子によれば、接触時に特に大きな負荷がかかる接触片の接触部の変位側、換言すれば、本体の底部側に、接触片を補強することができる補強片が設けられることになり、これにより、接触片の強度を高めることができる。
【0008】
上記態様の端子において、前記第一の連結部の少なくとも一部と、前記第二の連結部の少なくとも一部とが、前記金属板の板厚方向にて対面しているのが好ましい。
この態様の端子によれば、端子の本体に連結された特に強度の高い連結部同士を対面させることによって、接触片をより効率的に補強することができる。
【0009】
また、上記態様の端子において、前記本体の他方の側壁と前記第二の連結部とを繋ぐ第二の繋ぎ部の前記長手方向に沿う長さが、前記第一の繋ぎ部の前記長手方向に沿う長さよりも長いのが好ましい。
この態様の端子によれば、前記本体の一方の側壁と前記第一の連結部とを繋ぐ本体に対する補強片の固定強度を接触片のそれより高めることができる。
【0010】
また、上記態様の端子において、前記本体の他方の側壁と前記第二の連結部とを繋ぐ第二の繋ぎ部の、前記長手方向において前記接触部の接点により近い側に位置する端部が、前記本体の一方の側壁と前記第一の連結部とを繋ぐ前記第一の繋ぎ部の、前記長手方向において前記接触部の接点により近い側に位置する端部よりも、前記接触部の接点に近い側に位置付けられているのが好ましい。
この態様の端子によれば、接触時に特に負荷がかかる接触部の後端部に接触片よりも近い側で補強片が固定されることになるため、本体に対する補強片の固定強度を、接触片のそれより高めることができる。
【0011】
更に、上記態様の端子において、前記接触片は、前記第一の連結部と前記接触部との間に、前記第一の連結部を通じて前記接触部とともに片持ち梁状に支持された中間部を有していてもよい。
この態様の端子によれば、中間部を設けることによって、接触部61Cは片持ち梁状の部分と連結されることになるため、接触部61Cの弾性変位作用をより大きくすることができる。
【0012】
更にまた、上記態様の端子において、前記第二の連結部の少なくとも一部が、前記第一の連結部、中間部、接触部の少なくともいずれかと対面しているのが好ましい。
この態様の端子によれば、端子の本体に連結された連結部によって接触片をより強固に支持することができる。
【0013】
また、上記態様の端子において、前記補強片は、前記第二の連結部を通じて片持ち梁状に支持された延設部を有し、該延設部の少なくとも一部が、前記第一の連結部、中間部、接触部の少なくともいずれかと対面しているのが好ましい。
この態様の端子によれば、延設部を設けた分、接触片をより大きな長さ部分に亘って支持することができる。
【0014】
また、上記態様の端子において、前記補強片は、前記接触部の自由端とは前記長手方向において反対側に位置する端部よりも、前記接触部の自由端側に延設されているのが好ましい。
この態様の端子によれば、接触時に特に大きな負荷がかかる接触部の自由端とは反対側の端部を、補強片によってより確実に支持することができる。
【0015】
上記態様の端子と、該端子が収容されるハウジングとを備え、前記ハウジングは、前記長手方向に沿って前記基板が挿入、設置される挿入部を有し、前記端子の接触部のうち、少なくとも前記基板との接点は、前記底部側から前記開口側に向かって前記挿入部内に突出させた状態で設けられているコネクタとしてもよい。
また、上記態様のコネクタと、該コネクタと嵌合可能であって、前記基板を支持するコネクタと、の組から成るコネクタ装置としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基板との接触時に受ける負荷に耐えられるよう接触片の強度を高めた端子と、この端子を用いたコネクタ、及び、このコネクタを有するコネクタ装置が提供される。また、本発明によれば、端子に負荷が急激に加わることを防止できるとともに、端子の変形或いは破損を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な一実施形態による端子及びコネクタを説明する。尚、ここでは、説明の便宜のため本発明の好適な実施形態のみを示すが、勿論、これによって本発明を限定しようとするものではない。
【0019】
図1に、本発明の一実施形態によるコネクタ装置の使用状態の一例を斜視図で示し、更に、
図2、
図3に、このコネクタ装置を構成している2つのコネクタ、即ち、端子収容コネクタ及び基板支持コネクタそれぞれの使用状態の一例を斜視図で示す。
図1のコネクタ装置1は、
図2、
図3にそれぞれ示した嵌合可能な端子収容コネクタ20と基板支持コネクタ70との組から成る。
図1は嵌合後の状態を、
図2、
図3は嵌合前の状態を、それぞれ示している。尚、本明細書では、便宜上、コネクタ装置1の前後方向を「α」方向、コネクタ装置1の高さ方向を「β」、コネクタ装置1の幅方向を「γ」方向として説明する。
【0020】
端子収容コネクタ20と基板支持コネクタ70は、それらの前側において「α」方向にて互いに突き合わせることにより嵌合させ、また、抜去させることができる。嵌合時には、端子収容コネクタ20に接続されたケーブル3と、基板支持コネクタ70によって支持された基板10が、互いに電気的に接続される。
【0021】
端子収容コネクタ20は、樹脂等の絶縁材料で形成されたハウジング21と、ハウジング21に収容される複数の端子50を含む。ハウジング21は、本体22と、後部カバー23から成っていてもよい。本体22は、全体として略丸型扁平の断面を有した筒状体として形成されている。後部カバー23の前側は、本体22の後部形状に対応して略丸型扁平の断面を有しており、ケーブル3を挿通可能な状態で本体22の後部に取り付けられる。本体22に取り付けられることにより、後部カバー23は本体22の後部を閉じ、本体22と後部カバー23との間で防水パッキン28(
図11参照)を挟み込むことができる。
【0022】
本体22の側面には、リテーナ4が挿入されるリテーナ挿入口26が設けられている。リテーナ4により、ハウジング21からの端子50の抜け落ちを防止できる。本体22の前側には、基板支持コネクタ70の前側の一部が挿入される挿入口24が設けられている。挿入口24から「α」方向に沿って奥まった位置に、後側から前側に向かって突出した端子配列部34が設けられている。端子配列部34は、「α」方向に沿って端子50が挿入される複数の端子挿入部48(48−1、48−2)を有し、これら端子挿入部48は、「β」方向に沿って上下2段に形成されている。上段の端子挿入部48−1と下段の端子挿入部48−2との間に形成された隙間によって、基板挿入部38が形成される。端子収容コネクタ20と基板支持コネクタ70の嵌合時には、この基板挿入部38に、基板支持コネクタ70に配置された基板10が「α」方向に沿って挿入、設置される。
【0023】
基板支持コネクタ70は、樹脂等の絶縁材料で形成されており、全体として有底の筒状体とされている。前側は、端子収容コネクタ20の本体22に対応して略丸型扁平の断面を有する。後側も同様に、略丸型扁平の断面を有するが、前側に比べて小径とされている。
【0024】
基板支持コネクタ70の前側には、端子収容コネクタ20に設けた端子配列部34が収容される収容空間80が設けられている。端子収容コネクタ20と基板支持コネクタ70の嵌合時には、端子収容コネクタ20の挿入空間36に基板支持コネクタ70が挿入されるとともに、基板支持コネクタ70の収容空間80に端子配列部34が収容される。
【0025】
端子収容コネクタ20と基板支持コネクタ70の嵌合向きを決定するため、端子収容コネクタ20と基板支持コネクタ70のそれぞれに、嵌合向きを決定する部材を設けてもよい。これらの部材には、端子収容コネクタ20の左右の内壁に設けた、「α」方向に沿って前端から後側に延設されたガイド用の溝46と、これに対応して基板支持コネクタ70の左右の外壁に設けた、「α」方向に沿って前端から後側に延設されたガイド用のリブ73が含まれる。
【0026】
嵌合状態をロックするため、ロック機構を設けてもよい。ロック機構は、端子収容コネクタ20の内部に設けたロック30と、これに対応して基板支持コネクタ70の前側の上外壁に設けたロック突部77から成る。端子収容コネクタ20と基板支持コネクタ70の嵌合時には、ロック30の対応ロック突部30’がロック突部77に係止される。対応ロック突部30’はロック操作部31を通じて操作可能とされており、このロック操作部31を操作することにより、係止を解除することができる。ロックの操作を可能とするため、ロック操作部31は、端子収容コネクタ20の本体22の背面側に取り付けた後部カバー23の上部側面にて外部に露出した状態で設けられている。
【0027】
図4乃至
図9を参照して、端子50の構造を説明する。端子50は、一枚の金属板を打ち抜き、折り曲げることによって形成される。
図4に、端子50の右側斜視図、
図5に、その左側斜視図、
図6に、その平面図、
図7に、
図6のA−A線断面図、
図8に、
図7のB−B線断面図、
図9に、折り曲げ前の端子50の平面図を、それぞれ示す。
【0028】
端子50は、全体として略角筒形状を有し、長手方向(
図1に示した基板コネクタ装置1の前後方向「α」に相当)に沿って延びている。略角筒状に形成することにより、単なる板面に比べて強度が高められており、歪んだ基板に対しても接触信頼性を高めることができるようになっている。端子50は、主に、略凹状の本体54と、本体54の先端に設けた舌片状の検査部53と、本体54の上方に設けた2つの板状の片、即ち、接触片61及び補強片62を含み、更に、本体54の後方に、リテーナ用凹部59、芯線保持部55、外覆保持部56をこれらの順に含む。
【0029】
リテーナ用凹部59は、端子50の上側の一部を切り欠くことによって形成されている。リテーナ用凹部59には、リテーナ(
図1のリテーナ4)の一部が引っ掛かる。これにより、端子挿入部48からの端子50の抜けが防止される。
【0030】
芯線保持部55は、ケーブル3(
図1、
図2参照)の芯線を保持し、外覆保持部56は、ケーブル3の外覆を保持する。芯線保持部55の強度を高めるため、厚み方向「β」において2つの半円状断面部分を形成してもよい。
【0031】
検査部53は、端子50の導通検査を行うために使用される。導通検査の際は、検査治具(図示されていない)を検査部53の垂設部分53Aに接触させる。このとき、検査部53には所定の応力がかかる。検査治具等に対する強度を高めるため、垂設部分53Aの端部に接触片61の側に向かって折り曲げ部53Bを設けてもよい。
【0032】
本体54は、主に、右側側壁52Aと、右側側壁52Aと所定の空間54aを介して対面している左側側壁52Bと、底壁60を含む。この結果、本体54の、金属板の板厚方向「β」(「γ」)における断面は、略凹状となっている。
【0033】
本体54の底壁60には、端子50の底側の一部を切り欠くことにより、ランス用の凹部58が形成されている。ランス用凹部58には、端子配列部34(
図2参照)の一部が引っ掛かる。これにより、端子50は端子配列部に係止される。尚、ランス用凹部58を設けた部分では、本体54の断面は完全な略凹状とはなっていないが、例えば、このような部分についても、少なくとも略凹状の断面を有しているものということができる。故に、本体54の断面は、このようなランス用凹部58が設けられている部分をも含めて略凹状であるといえる。
【0034】
右側側壁52A又は左側側壁52Bのいずれか一方(実施形態では、左側側壁52B)に、外部突出部52’(
図5参照)を設けてもよい。端子挿入部48に端子50を挿入する際、この外部突出部52’を利用して、端子50を端子挿入部48の内壁に圧入し、端子挿入部48における端子50の位置を安定させることができる。勿論、右側側壁52Aと左側側壁52Bの双方に、このような外部突出部を設けてもよい。
【0035】
接触片61と補強片62は、略凹状の本体54の開口側(矢印「β」側)に、本体54の開口に蓋をするような状態で、また、本体54の底部60と対面させた状態で配置される。
【0036】
接触片61は、後側に設けた連結部61Aと、前側に設けた接触部61Cと、これらの間に設けた中間部61Bとを含む。
連結部61Aは、長手方向「α」に沿って所定の長さ「L1」を有する繋ぎ部64を介して、その片側の一辺において右側側壁52Aに連結されている。接触片61のバネ性は、この「L1」の長さを調整することによって自由に制御できる。例えば、「L1」の長さを短くすることにより、接触片61のバネ性を増加させ、それを柔らかくすることができる。また、接触片61のバネ性は、連結部61Aの幅(
図9の「γ」方向における大きさ)を調整することによっても自由に制御できる。接触部61Cと中間部61Bは、この連結部61Aを通じて片持ち梁状に支持されている。
接触部61Cは、本体54の底部60側から開口側に向かって折り曲げることによって山状に形成される。接触部61Cの頂部は、被接触対象物、例えば、基板10の接点13(
図3参照)と接触する接点51Aとして形成されている。接点51Aは、本体54の底部60側から開口側に向かって連結部61Aよりも突出させた状態で設けられている。接触部61Cの先端部は、本体54に向って下方に折り曲げることにより、舌片状の自由端51Bとして形成されており、本体54の凹状部分によって形成された空間54a内に位置する。接触部61Cは、本体54の開口側から底部60側に向かって弾性変位可能である。弾性変位は、自由端51Bとは長手方向「α」において反対側に位置する、接触部61Cの後端部51C近傍を中心として行われる。
中間部61Bは必ずしも必要ではないが、中間部を設けることによって接触部61Cは片持ち梁状の部分と連結されることになり、接触部61Cの弾性変位作用をより大きくすることができる。
【0037】
補強片62は、後側に設けた連結部62Aと、前側に設けた延設部62Bとを含む。
連結部62Aは、長手方向「α」に沿って所定の長さ「L2」を有する繋ぎ部65を介して、その片側の一辺において左側側壁52Bに連結されている。接触片61と同様に、補強片62のバネ性は、この「L2」の長さを調整することによって自由に制御できる。また、そのバネ性は、連結部62Aの幅(
図9の「γ」方向における大きさ)を調整することによっても自由に制御できる。補強片62の少なくとも一部と接触片61の少なくとも一部は、金属板の板厚方向「β」にて対面させた状態で配置されており、補強片62は、接触片61に対して本体54の底部60側に配置される。この構成によれば、接触時に特に大きな負荷がかかる、接触片61の接触部61Cの変位側、換言すれば、本体54の底部60側に、接触片61を補強することができる補強片62が設けられることになり、これにより、接触片61を支持しその強度を高めることができる。
このように、接触片61は連結部61Aを介して一方の側壁52Aと連結し、補強片62は連結部62Aを介して一方の側壁52Aとは別の他方の側壁52Bと連結することにより、
図9に示すように、折り曲げ前の展開状態の形状を簡単なものとすることができ、また、折曲加工を容易なものとすることができる。
【0038】
補強片62は、図示実施形態のように延設部62Bを利用する等して、又は、連結部62A自体によって、接触部61Cの後端部51Cよりも、長手方向「α」において接触部61Cの自由端51B側に延設されているのが好ましい。この構成によれば、接触時に特に大きな負荷がかかる接触部61Cの後端部51Cを、補強片62、本実施形態では、特に、延設部62Bによって、より確実に支持することができる。
【0039】
尚、接触片61の連結部61Aの少なくとも一部と、補強片62の連結部62Aの少なくとも一部は、金属板の板厚方向「β」において対面しているのが好ましい。端子50の本体54に連結された特に強度の高い連結部61A、62A同士を対面させることにより、接触片61をより効率的に補強することができる。
【0040】
また、補強片62の連結部62Aは、接触片61の連結部61Aのみならず、中間部61Bや接触部61Cとも対面しているのが好ましい。この構成によれば、補強片62の連結部62Aによって接触片61をより強固に支持することができる。
【0041】
更に、補強片62の延設部62Bが、接触片61の連結部61A、中間部61B、接触部61Cの少なくともいずれかと対面していてもよい。この構成によれば、延設部62Bを設けた分、接触片61をより大きな長さ部分に亘って支持することができる。
【0042】
図9によく示されているように、補強片62の連結部62Aと本体54とを連結している繋ぎ部65の長手方向「α」に沿う長さ「L2」は、接触片61の連結部61Aと本体54とを連結している繋ぎ部64の長手方向「α」に沿う長さ「L1」よりも長いのが好ましい。この構成によれば、本体54に対する補強片62の固定強度を、接触片61のそれより高めることができ、この結果、例えば、接触片61の接触部61Cの弾性変位作用を大きくするために接触片61の繋ぎ部64の長さを短く設定したときであっても、補強片62によって接触片61の強度を十分に維持することができる。
【0043】
また、補強片62の連結部62Aと本体54とを連結している繋ぎ部65の端部「n」、更に言えば、長手方向「α」において接触部61Cの接点51Aにより近い側に位置する端部「n」は、接触片61の連結部61Aと本体54とを連結している繋ぎ部64の端部「m」、更に詳細には、長手方向「α」において接触部61Cの接点51Aにより近い側に位置する端部「m」よりも、接触部61Cの接点51Aに近い側に位置付けられているのが好ましい。この構成によれば、接触時に特に負荷がかかる接触部61Cの後端部51Cに接触片61よりも近い側において補強片62が固定されることになるため、本体54に対する補強片62の固定強度を、接触片61のそれよりも高めることができ、この結果、例えば、接触片61の接触部51の弾性変位作用を大きくするために接触片61の繋ぎ部64分の長さ「L1」を短く設定したときであっても、補強片62によって接触片61の強度を十分に維持することができる。
【0044】
図10に、端子収容コネクタ20の正面図を、
図11に、
図10のC−C線断面図を、それぞれ示す。端子配列部34の前面には、端子挿入部48に挿入された端子50の検査部53を露出させる複数の窓40が設けられている。これらの窓40は、各端子50の検査部53に対するアクセスを可能とする検査孔として使用され得る。
【0045】
端子配列部34には、端子挿入部48と並行して「α」方向に沿って延設された空間42が設けられている。この空間42は、端子50が端子挿入部48に挿入されたときにランス44の移動空間として使用される。端子50が端子挿入部48に挿入されたとき、ランス44は、端子50の前側との接触を通じて空間42側に変位し、その後、ランス用凹部58に係止される。この結果、端子挿入部48からの端子50の抜けが防止される。
【0046】
端子配列部34の前面に設けられた基板挿入部38では、上段の端子挿入部48に設けた端子50−1の接点51A−1と、これに対向して下段に設けた端子50−2の接点51A−2とが、互いに接近する方向に基板挿入部38内に突出しており、それらの間にギャップ39が形成されている。尚、上側の端子50−1と下側の端子50−2は、図示実施形態のように、端子ピッチ方向において互いにずらされていてもよいが、勿論、端子50や基板10の厚み方向「β」において完全に重なった状態であってもよい。上側の端子50−1と下側の端子50−2がそれぞれ、いずれかの端子の接点51Aを利用して、基板10が挟み込まれるギャップ39を形成するように配列されていれば十分である。
【0047】
尚、防水機能を高めるため、端子収容コネクタ20の本体ハウジング22に後部カバー23を取り付ける際、ケーブル3の周囲に防水パッキン28(
図11参照)を設けるのが好ましい。これにより、ケーブル3の外周に形成され得る隙間を塞ぎ、端子収容コネクタ20内への水の浸入を防ぐことができる。
【0048】
図12に、嵌合途中における端子収容コネクタ20と基板支持コネクタ70の平面図を、
図13に、
図12におけるD−D線断面図を、更に、
図14に、嵌合完了時における、
図13と同様の断面図を、それぞれ示す。
【0049】
これらの図、及び、
図3乃至
図9等をも参照して、端子収容コネクタ20と基板支持コネクタ70の嵌合時における端子50の働きを説明する。嵌合時には、基板支持コネクタ70によって支持された基板10が、上側の端子50−1の接点51A−1と、下側の端子50−2の接点51A−2との間に形成されたギャップ39に、基板10の厚み方向「β」において挟み込まれる。当初、端子50は、主として、接点51を形成している接触片61の接触部61Cによって力を受けるが、嵌合が進むにつれ、接触部61Cに連結された中間部61Bや連結部61Cも力を受け、この結果、接触片61の弾性変位側に設けた弾性片62に力が加わることになる。したがって、端子50は、接触片61のみならず補強片62によっても弾性力を発揮することができ、基板10の厚みに多少のバラツキがあっても、基板10の接触部13(
図3参照)に対して十分な接触圧を得ることができる。また、接触片61は補強片62によって補強されていることから、基板を複数回挿抜したときであっても、接触片61が容易にへたることはなく、接触片61だけを設けている場合に比べてより長期に亘って十分な接圧を発揮し得る。
更に、端子50は一枚の金属板を折り曲げることによって形成されていることから、接触片61と補強片62との間に多少の隙間(図示されていない)が形成され、基板10の接触時には、この隙間を、接触片61の接触部61Cから連結部61A側に向って、また、補強片62の延部62Bから連結部62Aに向って徐々に埋めるように、力が加わることになる。よって、端子50に負荷が急激に加わってしまうことを効果的に防止することができる。
尚、この場合、接触片61や補強片62の弾性力は、基板10に対して徐々に加わることになる。また、接触片61や補強片62は片持ち梁状に設けられていることから、この構成によっても、接触片61や補強片62の弾性力は、基板10に対して徐々に加わることになる。この結果、本構成によれば、基板10をスムーズに端子50に接触させることができ、基板10の接触部13の削れ等も効果的に防止することができる。
【0050】
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、上に説明した実施形態では、接点51Aを、一か所でのみ接触し得る一点接触構造として説明したが、二か所で接触し得る二点接触構造としてもよい。例えば、接触部61Cの中央付近に端子50の長手方向「α」に沿って金属板を貫通するスリットを入れることで、接触箇所を実質的に「二点」とすることができる。
【0051】
本発明の更に別の態様、特徴及び効果は、本発明を実施するよう意図された最良の態様を含めて、多数の特定の実施形態及び実施例を示すだけで、以下の詳細な説明から容易に明らかとなろう。又、本発明は、他の及び異なる実施形態で構成することもでき、そしてその多数の細部は、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、種々の明らかな観点において変更することができる。従って、図面及び説明は、例示に過ぎず、これに限定されるものではない。