(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1弁体(51)及び前記第2弁体(52)の内周面には、前記直動シャフト(30)との間の隙間をそれぞれシールする摺動シール(75)が備えられている請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載のバルブ(10,10V)。
前記第1弁体(51)用及び前記第2弁体(52)用の両前記弁体押圧部(81,82)の両押圧面の間隔は、閉弁状態の前記第1弁体(51)及び前記第2弁体(52)の間隔より小さい請求項1乃至5の何れか1の請求項に記載のバルブ(10,10V)。
前記メイン流路(40)のうち前記第2部屋(22)を間に挟んで前記第2弁口(32)の反対側に位置し、前記第1弁口(31)及び前記第2弁口(32)より大きな第3弁口(33)と、
前記メイン流路(40)のうち前記第3弁口(33)を挟んで前記第2部屋(22)の反対側に連通する第2出力ポート(44)と、
前記第2部屋(22)に直動可能に支持され,前記第3弁口(33)を開閉する第3弁体(53)と、
前記第3弁体(53)を、前記第3弁口(33)に向けて付勢する第3付勢部材(66)と、
前記第3弁体(53)の内部に形成された第3部屋(23)と、
前記第3弁体(53)に形成され、前記直動シャフト(30)が貫通したシャフト挿通孔(61)と、
前記第3弁体(53)のうち前記第3弁口(33)との対向面と前記第3部屋(23)の内面との間を貫通する第4弁口(34)と、
前記第3部屋(23)に配置されて、前記直動シャフト(30)の端部に取り付けられ、前記直動シャフト(30)の直動に伴って前記第4弁口(34)を開閉する第4弁体(54)と、
前記直動シャフト(30)と共に前記第3部屋(23)内を直動し、前記第4弁口(34)が開弁してから前記直動シャフト(30)が更に前記第1部屋(21)側に移動したときに前記第3部屋(23)の内面に当接して、前記第3弁体(53)を前記第3弁口(33)から離間させる前記第3弁体(53)用の弁体押圧部(83)と、
前記第3弁体(53)に形成されて、前記第3部屋(23)内と前記第2入力ポート(42)との間、及び、前記第2部屋(22)内と前記第3部屋(23)内とを常時連通する連通路(62A,62B)とを備える請求項1乃至6の何れか1の請求項に記載のバルブ(10)。
前記第2弁体(52)と前記第3弁体(53)との間に突っ張り状態に設けられ、前記第2付勢部材(66)と前記第3付勢部材(66)とに兼用される圧縮コイルばね(66)を備える請求項7乃至9の何れか1の請求項に記載のバルブ(10)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した上述した従来のバルブの構造では、第2弁体2Bに対する直動シャフト4の当接位置が安定せず、このため第2弁体2Bの動作が不安定になることがあった。それに伴い、直動シャフト4及び第2弁体2Bを支持する支持機構が大型化し、バルブ全体の大型化が問題になっていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来に比べて弁体の動作が安定し、小型化可能なバルブの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、第1弁口(31)と第2弁口(32)とを同軸上に並べて途中に備えるメイン流路(40)を内部に有するバルブボディ(11)と、前記メイン流路(40)のうち前記第1弁口(31)と前記第2弁口(32)との間の中間部屋(25)に連通する第1出力ポート(43)と、前記メイン流路(40)のうち前記第1弁口(31)を挟んで前記中間部屋(25)の反対側の第1部屋(21)に連通する第1入力ポート(41)と、前記メイン流路(40)のうち前記第2弁口(32)を挟んで前記中間部屋(25)の反対側の第2部屋(22)に連通する第2入力ポート(42)と、前記第1弁口(31)及び前記第2弁口(32)を貫通して延びる直動シャフト(30)と、前記直動シャフト(30)の一端部に連結され、前記直動シャフト(30)を任意の直動位置に移動させる
ステッピングモータ(70)と、前記直動シャフト(30)の他端部を直動可能に支持するシャフト支持部(53,90)と、前記第1部屋(21)に配置されかつ前記直動シャフト(30)が中心部を直動可能に貫通し、前記第1弁口(31)を開閉する第1弁体(51)と、前記第2部屋(22)に配置されかつ前記直動シャフト(30)が中心部を直動可能に貫通し、前記第2弁口(32)を開閉する第2弁体(52)と、前記第1弁体(51)を、前記第1弁口(31)に向けて付勢する第1付勢部材(65)と、前記第2弁体(52)を、前記第2弁口(32)に向けて付勢する第2付勢部材(66)と、前記直動シャフト(30)のうち前記第1弁体(51)と前記第2弁体(52)との間に設けられ、前記直動シャフト(30)の前記第1部屋(21)側への移動に伴い、前記第1弁体(51)を開弁側に押圧する前記第1弁体(51)用の弁体押圧部(81)と、前記直動シャフト(30)のうち前記第1弁体(51)と前記第2弁体(52)との間に設けられ、前記直動シャフト(30)の前記第2部屋(22)側への移動に伴い、前記第2弁体(52)を開弁側に押圧する前記第2弁体(52)用の弁体押圧部(82)と、を備えるバルブ(10,10V)である。
【0007】
請求項2の発明は、前記第1弁体(51)及び前記第2弁体(52)は、同一形状をなしている請求項1に記載のバルブ(10,10V)である。
【0008】
請求項3の発明は、前記第1弁体(51)及び前記第2弁体(52)は、各先端部が前記第1弁口(31)及び前記第2弁口(32)に突入する先細り形状をなし、前記第1弁体(51)用の弁体押圧部(81)は、前記第1弁体(51)の先端径と略同一の外径のフランジ形状をなし、前記第2弁体(52)用の弁体押圧部(82)は、前記第2弁体(52)の先端径と略同一の外径のフランジ形状をなしている請求項1又は2に記載のバルブ(10,10V)である。
【0009】
請求項4の発明は、前記第1弁体(51)及び前記第2弁体(52)の内周面には、前記直動シャフト(30)との間の隙間をそれぞれシールする摺動シール(75)が備えられている請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載のバルブ(10,10V)である。
【0010】
請求項5の発明は、前記第1弁体(51)及び前記第2弁体(52)は、前記直動シャフト(30)の軸方向に並ぶ第1構成部品(73)及び第2構成部品(74)が合体してなり、前記摺動シール(75)は、前記直動シャフト(30)に嵌合されると共に外縁部を前記第1構成部品(73)及び前記第2構成部品(74)に挟持され、前記第1弁体(51)の前記摺動シール(75)における内縁部は、前記第1部屋(21)側に突出する漏斗状をなし、前記第2弁体(52)の前記摺動シール(75)における内縁部は、前記第2部屋(22)側に突出する漏斗状をなしている請求項4に記載のバルブ(10,10V)である。
【0011】
請求項6の発明は、前記第1弁体(51)用及び前記第2弁体(52)用の両前記弁体押圧部(81,82)の両押圧面の間隔は、閉弁状態の前記第1弁体(51)及び前記第2弁体(52)の間隔より小さい請求項1乃至5の何れか1の請求項に記載のバルブ(10,10V)である。
【0012】
請求項7の発明は、前記メイン流路(40)のうち前記第2部屋(22)を間に挟んで前記第2弁口(32)の反対側に位置し、前記第1弁口(31)及び前記第2弁口(32)より大きな第3弁口(33)と、前記メイン流路(40)のうち前記第3弁口(33)を挟んで前記第2部屋(22)の反対側に連通する第2出力ポート(44)と、前記第2部屋(22)に直動可能に支持され,前記第3弁口(33)を開閉する第3弁体(53)と、前記第3弁体(53)を、前記第3弁口(33)に向けて付勢する第3付勢部材(66)と、前記第3弁体(53)の内部に形成された第3部屋(23)と、前記第3弁体(53)に形成され、前記直動シャフト(30)が貫通したシャフト挿通孔(61)と、前記第3弁体(53)のうち前記第3弁口(33)との対向面と前記第3部屋(23)の内面との間を貫通する第4弁口(34)と、前記第3部屋(23)に配置されて、前記直動シャフト(30)の端部に取り付けられ、前記直動シャフト(30)の直動に伴って前記第4弁口(34)を開閉する第4弁体(54)と、前記直動シャフト(30)と共に前記第3部屋(23)内を直動し、前記第4弁口(34)が開弁してから前記直動シャフト(30)が更に前記第1部屋(21)側に移動したときに前記第3部屋(23)の内面に当接して、前記第3弁体(53)を前記第3弁口(33)から離間させる前記第3弁体(53)用の弁体押圧部(83)と、前記第3弁体(53)に形成されて、前記第3部屋(23)内と前記第2入力ポート(42)との間、及び、前記
第2部屋(22)内と前記第3部屋(23)内とを常時連通する連通路(62A,62B)とを備える請求項1乃至6の何れか1の請求項に記載のバルブ(10)である。
【0013】
請求項8の発明は、前記直動シャフト(30)の端部に設けられて、前記第4弁体(54)を直動可能に支持する弁体ホルダ(63)と、前記弁体ホルダ(63)に設けられ、前記第4弁体(54)をその直動範囲の前記第4弁口(34)側の端部に位置決めする位置決部(64)と、前記第4弁体(54)をその直動範囲の前記第4弁口(34)側の端部に向けて付勢する第4付勢部材(67)とを備える請求項7に記載のバルブ(10)である。
【0014】
請求項9の発明は、前記直動シャフト(30)が可動範囲の途中の原点位置に配置されたときには、前記第1弁体(51)、前記第2弁体(52)、前記第3弁体(53)及び前記第4弁体(54)が閉弁位置に配置され、前記直動シャフト(30)が前記原点位置から前記第2部屋(22)側に移動するに従って、前記第2弁体(52)が前記第2弁体(52)用の前記弁体押圧部(82)に押圧されて前記閉弁位置から徐々に離れ、前記直動シャフト(30)が前記原点位置から前記第1部屋(21)側に移動すると、前記第4弁体(54)が前記閉弁位置から離れてから前記第3弁体(53)が前記第3部屋(23)内から前記第3弁体(53)用の前記弁体押圧部(83)に押圧されて前記閉弁位置から徐々に離れ、その後、前記第1弁体(51)が前記閉弁位置から徐々に離れる請求項8に記載のバルブ(10)である。
【0015】
請求項10の発明は、前記第2弁体(52)と前記第3弁体(53)との間に突っ張り状態に設けられ、前記第2付勢部材(66)と前記第3付勢部材(66)とに兼用される圧縮コイルばね(66)を備える請求項7乃至9の何れか1の請求項に記載のバルブ(10)である。
【0016】
請求項11の発明は、前記第3弁体(53)が前記シャフト支持部(53)になっている請求項7乃至10の何れか1の請求項に記載のバルブ(10)である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1のバルブ(10,10V)では、第1弁口(31)及び第2弁口(32)を貫通した直動シャフト(30)の一端部が、
ステッピングモータ(70)に、又は、
ステッピングモータ(70)との間に中継部材(29A)を有する場合には中継部材(29A)に、支持されると共に、他端部をシャフト支持部(53,90)に支持されている。即ち、直動シャフト(30)は両端部を支持されているのでその中心位置が安定し、その直動シャフト(30)が中心部を貫通した第1弁体(51)及び第2弁体(52)の位置も安定する。これにより、従来に比べて安定して第1弁体(51)及び第2弁体(52)が動作する。しかも、直動シャフト(30)にて第1弁体(51)及び第2弁体(52)の両方を支持するので、従来のように第2弁体(52)の支持機構を別途設ける必要がなくなる。しかも、直動シャフト(30)の両端部が支持されたことで支持部分における負荷が小さくなり、直動シャフト(30)の支持機構を小型化できる。そして、これらにより、バルブ(10,10V)全体の小型化を図ることができる。
【0018】
請求項2のバルブ(10,10V)は、第1弁体(51)及び第2弁体(52)は、同一形状をなしているので、製造コストを抑えることができる。
【0019】
請求項3のバルブ(10,10V)では、第1弁体(51)は、先端部が第1弁口(31)に突入する先細り形状をなし、第1弁体(51)用の弁体押圧部(81)が、第1弁体(51)の先端径と略同一の外径のフランジ形状をなしているので、弁体押圧部(81)が第1弁体(51)を押圧する際に第1弁体(51)と一体化して、流体がスムーズに第1弁口(31)を通過する。第2弁体(52)用の弁体押圧部(82)に関しても同様である。
【0020】
請求項4の構成では、第1弁体(51)及び第2弁体(52)の内周面に、直動シャフト(30)との間の隙間をシールする摺動シール(75)を備えているので、閉弁状態の第1弁体(51)及び第2弁体(52)と直動シャフト(30)との間の隙間から流体が漏れることを防ぐことができる。また、請求項5の構成によれば、摺動シール(75)の内縁部が漏斗状をなして直動シャフト(30)に当接しているので、直動シャフト(30)に対して第1弁体(51)及び第2弁体(52)がスムーズに移動する。しかも、第1弁体(51)の摺動シール(75)における漏斗状の先端は、第1弁体(51)にとって高圧側の第1部屋(21)側に向けられ、第2弁体(52)の摺動シール(75)における漏斗状の先端は、第2弁体(52)にとって高圧側の第2部屋(22)側に向けられているので、閉弁状態の第1弁体(51)及び第2弁体(52)と直動シャフト(30)との間の隙間から流体の漏れを確実に防ぐことができる。
【0021】
請求項6のバルブ(10,10V)では、直動シャフト(30)を動かしても第1弁体(51)及び第2弁体(52)が閉弁位置に維持される領域が直動シャフト(30)の可動領域内に形成される。これにより、確実に、第1弁体(51)及び第2弁体(52)にて第1弁口(31)及び第2弁口(32)を閉じることができ、第1入力ポート(41)及び第2入力ポート(42)から第1出力ポート(43)への流体の流れを確実に停止することができる。
【0022】
請求項7のバルブ(10)では、第2弁体(52)と共に第2部屋(22)に収容された第3弁体(53)の内部に第3部屋(23)が形成され、その第3部屋(23)内で直動シャフト(30)の先端部に第4弁体(54)が取り付けられている。そして、第2部屋(22)を挟んで第2弁口(32)と反対側の第3弁口(33)が第3弁体(53)によって閉じられ、第3弁体(53)に形成されて第3弁口(33)に連通する第4弁口(34)が第4弁体(54)によって閉じられる。そして、この状態で、第2入力ポート(42)からの高圧の流体が第3部屋(23)に流れ込むので、その流体圧力を利用して直動シャフト(30)に対する僅かな駆動力で第3弁口(33)を閉弁位置に保持すことができる。一方、第4弁体(54)を閉弁位置から離れる側に移動し、さらにその移動を進めると弁体押圧部(83)が第3弁体(53)を第3部屋(23)内から押圧して第3弁口(33)が開かれる。また、第3弁口(33)が開く前に、第3部屋(23)内の高圧の流体は第4弁口(34)から第2出力ポート(44)に抜けているので、直動シャフト(30)に対する僅かな駆動力で第3弁口(33)が開かれる。
【0023】
請求項8の構成によれば、第4弁体(54)を閉弁位置に配置し、これにより第3弁体(53)を閉弁位置に配置した状態で、第4付勢部材(67)を変形させながら直動シャフト(30)を移動して第2弁体(52)を開くことができる。
【0024】
請求項9の構成によれば、直動シャフト(30)が原点位置に配置された状態では、第1入力ポート(41)及び第2入力ポート(42)をへてバルブ(10)を流体が通過することはなくなる。そして、直動シャフト(30)を原点位置から第2部屋(22)側に移動していくと、第2入力ポート(42)から第1出力ポート(43)へと流体が流れる。また、直動シャフト(30)を原点位置から第1部屋(21)側に移動していくと、最初に第4弁口(34)が開いて第2入力ポート(42)から第2出力ポート(44)へと流体が流れ、次いで、第3弁体(53)が開いて第2入力ポート(42)から第2出力ポート(44)へと大流量の流体が流れ、その後、第1弁体(51)が開いて第1入力ポート(41)から第1出力ポート(43)へと流体が流れる。即ち、最終的には、第1入力ポート(41)から第1出力ポート(43)への流路と第2入力ポート(42)から第2出力ポート(44)の流路の両方に流体が流れた状態になる。
【0025】
請求項10の構成のように、第2弁体(52)と第3弁体(53)との間に圧縮コイルばね(66)を設けて、それを第2付勢部材(66)と第3付勢部材(66)に兼用すればバルブ(10)の小型化が図られる。また、請求項11の構成のように、第3弁体(53)をシャフト支持部(53)とすれば、第2部屋(22)内の壁や梁等でシャフト支持部を構成した場合に比べてバルブ(10)の小型化が図られる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を
図1〜
図7に基づいて説明する。
図1には、本実施形態のバルブ10の側断面図が示されている。以下、説明の便宜上、
図1〜
図6における上下方向をバルブ10の上下方向として説明するが、そのことがバルブ10の使用時の向きを限定するものではなく、バルブ10は重力方向に対して任意の向きにして使用することができる。
【0028】
図1に示すように、本実施形態のバルブ10のバルブボディ11は、例えば、ブロック12と、ブロック12に形成された嵌合孔13に嵌合されるコア部材14とからなる。嵌合孔13は、ブロック12の上面から下端寄り位置に亘って延び、下方に向かって段階的に縮径している。これに対応して、コア部材14は、下端部に向かって段階的に縮径した円柱状をなしている。また、コア部材14の上端外周面に雄螺子部14Aが形成される一方、嵌合孔13の上端内周面に雌螺子部13Aが形成され、これらが螺合してコア部材14がブロック12に固定されている。なお、コア部材14の下端面は、嵌合孔13のうち上下方向の中央近傍から下端寄り位置まで均一内径をなして延びた部分における中間に配置されている。
【0029】
コア部材14の中心部には、中心孔15が貫通している。そして、中心孔15と嵌合孔13におけるコア部材14より下側部分とによって本発明に係るメイン流路40が構成されている。また、メイン流路40には、その下端寄り位置(即ち、嵌合孔13の下端寄り位置)を絞って本発明に係る第3弁口33が形成されている。また、その第3弁口33の開口縁からは、上方に円筒状の弁口突部33Tが突出している。
【0030】
第3弁口33の下方には、第2出力ポート44が備えられている。その第2出力ポート44は、
図1におけるブロック12の右側面から水平に延びて嵌合孔13の下端部と交差している。メイン流路40のうちコア部材14の下端面と第3弁口33との間には、
図1におけるブロック12の左側面から水平に延びた第2入力ポート42が連通している。つまり、第2入力ポート42と第2出力ポート44との間に第3弁口33が備えられている。
【0031】
中心孔15は、上端部から下寄り中間位置に亘って徐々に縮径され、その下寄り中間位置より下側は上側に比べて十分に大きな均一内径の下端大径部15Aになっている。
【0032】
中心孔15の上寄り中間位置には、中間リング16が嵌合した状態に固定され、その中間リング16の内側が本発明に係る第1弁口31になっている。また、中心孔15の上端部にはシャフト支持リング17が嵌合した状態に固定されている。そして、シャフト支持リング17と中間リング16との間が本発明に係る第1部屋21になっている。
【0033】
中心孔15のうち中間リング16から下端大径部15Aの手前位置までの間は、均一内径の中間小径部15Bとなっていて、その中間小径部15Bの内側が本発明に係る中間部屋25になっている。また、中心孔15のうち中間小径部15Bと下端大径部15Aとの間を急峻に絞って本発明に係る第2弁口32が形成されている。そして、メイン流路40のうち第2弁口32と第3弁口33との間が本発明に係る第2部屋22になっている。
【0034】
コア部材14のうち第1部屋21が形成されている部分の外周には第1外周溝19Aが形成されている。そして、コア部材14を径方向に貫通する中継孔18Aによって第1外周溝19Aと第1部屋21とが連絡されると共に、
図1におけるブロック12の左側面から水平に延びた第1入力ポート41が第1外周溝19Aに連通している。
【0035】
コア部材14のうち中間部屋25が形成されている部分の外周には第2外周溝19Bが形成されている。そして、コア部材14を径方向に貫通する中継孔18Bによって第2外周溝19Bと第2外周溝19Bとが連絡されると共に、
図1におけるブロック12の右側面から水平に延びた第1出力ポート43が第2外周溝19Bに連通している。
【0036】
なお、コア部材14の外周面には、第1外周溝19Aの上側と、第1外周溝19Aと第2外周溝19Bとの間と、さらには、第2外周溝19Bの下側とにそれぞれOリング26が装着されている。
【0037】
シャフト支持リング17の内側は、ガイド孔17Aになっている。ガイド孔17Aは、中心孔15と同軸の丸孔の内周面における周方向の一部を平坦面にしてなる。そして、そのガイド孔17Aに、断面D形の摺動シャフト29Aが直動可能かつ回転不能に支持されている。また、摺動シャフト29Aから上方にボルト部29Bが延びていて、コア部材14より上方に突出している。
【0038】
コア部材14の上端部には、本発明に係る「駆動源」としてのステッピングモータ70が取り付けられている。ステッピングモータ70は、コア部材14に上端部に固定されて上方に起立した円筒ケース70Cを有する。その円筒ケース70Cの外側には、電機子70Dが嵌合した状態に固定され、円筒ケース70Cの内側には、ロータ71が1対のベアリング72,72によって回転可能に支持されている。そして、ロータ71の中心部に形成された螺子孔71Nにボルト部29Bが螺合している。これにより、ロータ71の回転がボルト部29B及び摺動シャフト29Aの直動に変換される。
【0039】
摺動シャフト29Aの下端部には、中心孔15の同心上に延びる連結孔29Cが穿孔されていて、そこに本発明に係る直動シャフト30の上端部が圧入固定されている。その直動シャフト30は、断面円形をなして、第1弁口31及び第2弁口32の中心部を貫通し、第1部屋21から第2部屋22まで延びている。
【0040】
なお、上記した説明では、直動シャフト30が、駆動源(ステッピングモータ70)に、摺動シャフト29A及びボルト部29Bを介して連結されているが、摺動シャフト29A及びボルト部29Bとステッピングモータ70とから本発明に係る駆動源が構成されていると捉えかつ、その駆動源の一部である摺動シャフト29Aに直動シャフト30が連結されていると捉えてもよい。また、直動シャフト30と摺動シャフト29Aとボルト部29Bとを併せて本発明に係る「直動シャフト」に相当すると捉えてもよい。
【0041】
第2部屋22には、本発明に係る第3弁体53が収容されている。第3弁体53は、底壁53Bから円筒体53Aが起立した構造の弁体本体53Hの上端開口を蓋体53Fにて閉塞してなる。そして、第3弁体53の内側が、本発明に係る第3部屋23になっている。また、底壁53Bは、円筒体53Aより側方に張り出している。そして、第3弁体53のうち底壁53Bより上側部分が、下端大径部15A内に直動可能に嵌合されている。
【0042】
図2に示すように、蓋体53Fと弁体本体53Hとの間には、パッキン53Dが挟まれて斜め下側方に張り出している。そのパッキン53Dの外縁部は、下端大径部15Aに密着し、その外縁部の先端は、第3弁体53にとって高圧側の第2入力ポート42側に向けられている。これにより、高圧の流体が、第2入力ポート42側から第3弁体53と下端大径部15Aとの間の隙間を通って、第2部屋22における第3弁体53より上側の領域へと流れ込むことを確実に防ぐことができる。
【0043】
底壁53Bの下面には、環形板状のシール部材53Sが取り付けられている。そして、そのシール部材53Sが第3弁口33の弁口突部33Tに押し当てられて第3弁口33が第3弁体53にて閉塞される。なお、第3弁口33が閉じられたときには、パッキン53Dを含む第3弁体53の上端部のみが下端大径部15A内に嵌合された状態になる。
【0044】
第3弁体53の底壁53Bの中心部には、本発明に係る第4弁口34が形成され、第4弁口34の開口縁から上方に円筒状の弁口突部34Tが突出している。また、第3弁体53の上部(即ち、蓋体53F)の中心部には、シャフト挿通孔61が形成され、その周りには複数の上部貫通孔62Aが形成されている。さらに、円筒体53Aには、側部貫通孔62Bが形成されている。そして、例えば、第4弁口34の開口面積(流体が通過する部分の最小の断面積)と複数の上部貫通孔62Aの総開口面積とが略同一で、側部貫通孔62Bの開口面積は、第4弁口34の開口面積及び複数の上部貫通孔62Aの総開口面積に比べて十分に小さくなっている。また、側部貫通孔62Bの開口面積は、第2弁口32が全開したときの開口面積と略同一かそれより広くなっている。
【0045】
直動シャフト30は、シャフト挿通孔61を貫通し、直動シャフト30の先端部が第3部屋23内に突入している。即ち、本実施形態では、第2部屋22の内側面(詳細には、下端大径部15Aの内側面)に支持された第3弁体53にて直動シャフト30の端部が直動可能に支持されていて、第3弁体53が本発明に係る「シャフト支持部」を兼ねている。
【0046】
第3部屋23内では、直動シャフト30の先端部に、本発明に係る弁体ホルダ63が取り付けられている。
図2に示すように、弁体ホルダ63は、上端有底の円筒部63Bの上面中央から円形突部63Tが突出した構造をなし、その円形突部63Tの中心部に穿孔された取付孔63Aに直動シャフト30の下端部が圧入固定されている。また、円筒部63Bの下端部内側には、カラー64が圧入固定されて本発明に係る「位置決部」を構成している。
【0047】
弁体ホルダ63の円筒部63B内には、第4弁体54が直動可能に収容されている。第4弁体54は、円柱体54Bの上端部から側方にフランジ54Fが張り出しかつ、円柱体54Bの下面に凹部54Eを備えた形状をなしている。そして、フランジ54Fが弁体ホルダ63の円筒部63B内のうちカラー64より上方に受容されると共に、フランジ54Fより下側部分がカラー64の内側に直動可能に支持されている。また、凹部54Eには、円板状のシール部材54Sが収容されて凹部54Eを囲む円筒部54Aの下端部がカシメられている。
【0048】
弁体ホルダ63の円筒部63B内の上面と第4弁体54の上面との間には、本発明に係る「第4付勢部材」に相当する圧縮コイルバネ67が突っ張り状態になって収容されている。これにより、シール部材54Sが弁口突部34Tに押し付けられ、第4弁体54により第4弁口34が閉塞されている。
【0049】
また、シール部材54Sが第4弁口34の弁口突部34Tに接した状態で弁体ホルダ63の下端部と第3部屋23の下側内面との間にはクリアランスが形成される。これにより、その状態から弁体ホルダ63と共に直動シャフト30を降下させることができる。
【0050】
なお、円筒部63B内の上面には位置決め凹部63Uが形成される一方、第4弁体54の上面には位置決め突部54Tが形成されて、それら凹部63Uと位置決め突部54Tとに圧縮コイルバネ67の上端部と下端部とが嵌合されることで、圧縮コイルバネ67が弁体ホルダ63内に心出しされている。
【0051】
図3に示すように、第1部屋21には、第1弁体51が収容されて、その第1弁体51の中心部を直動シャフト30が直動可能に貫通している。また、第2部屋22には、第2弁体52が収容されて、その第2弁体52の中心部を直動シャフト30が直動可能に貫通している。
【0052】
図2に示すように、第2弁体52は、第1構成部品73と第2構成部品74と摺動シール75とから構成されている。第1構成部品73は円板状をなし、その下面からは円形突部73Tが突出し、上面からは円筒部73Aが突出している。また、第1構成部品73の中心部には、直動シャフト30が挿通される貫通孔73Bが形成されている。貫通孔73Bは、円筒部73Aの内側に相当する部分の内径がそれより下側部分の内径より大きくなっていて、それら大径部分と小径部分とのテーパー部73Cになっている。
【0053】
第2構成部品74は、上端有底の円筒ベース74Aの上面からテーパー突部76が突出した構造をなし、中心部には、直動シャフト30が挿通される貫通孔74Bが形成されている。また、円筒ベース74Aの内側上面には、貫通孔74Bの開口縁からテーパー状の押圧突起74Cが突出している。そして、第2構成部品74の円筒ベース74Aが第1構成部品73の円筒部73Aの外側に圧入固定されると共に、押圧突起74Cが円筒部73A内に突入している。また、摺動シール75は、中心孔を有する円板状をなし、その外縁部が円筒部73Aの先端面と円筒ベース74Aの内側上面との間で挟持され、摺動シール75の内縁部が押圧突起74Cに押圧されて第1部屋21側に突出する漏斗状をなして直動シャフト30に密着している。
【0054】
テーパー突部76は、その軸方向の途中より基端側と先端側とでテーパー角が異なる。具体的には、テーパー突部76の先端側テーパー部76Bに比べて基端側テーパー部76Aの方が、テーパー突部76の中心軸に対する勾配(即ち、テーパー角)が大きくなっている。そして、
図3に示すように、第2弁体52の基端側テーパー部76Aが第2弁口32の開口縁(即ち、第2弁口32の弁座)に当接して第2弁口32を閉塞する。
【0055】
図2に示すように、第1弁体51は、上記した第2弁体52と同一構造をなしている。そして、第1弁体51は、第2弁体52と逆の向きに直動シャフト30に取り付けられて、第1弁体51の基端側テーパー部76Aが第1部屋21側から第1弁口31の弁座に当接して、第1弁口31が閉塞する。
【0056】
図1に示すように、第1弁体51とシャフト支持リング17との間には、本発明に係る「第1付勢部材」としての圧縮コイルバネ65が突っ張り状態となって収容されている。これにより、第1弁体51は、第1弁口31を閉塞する閉弁位置に付勢されている。なお、圧縮コイルバネ65の下端部は、第1弁体51の円形突部73Tの外側に嵌合している(
図2参照)。
【0057】
第2弁体52と第3弁体53との間には、本発明に係る「第2付勢部材」兼「第3付勢部材」としての圧縮コイルバネ66が突っ張り状態となって収容されている。この圧縮コイルバネ66により第2弁体52、第3弁体53が共に閉弁側に付勢されている。なお、圧縮コイルバネ66の上端部は、第2弁体52の円形突部73Tの外側に嵌合し、下端部は、第3弁体53の上面の凹部53Uに嵌合している。
【0058】
図2に示すように直動シャフト30には、第1弁体51と第2弁体52とに挟まれて部分に1対の係合溝30A,30Aが形成されて、それら係合溝30A,30AにEリングが側方から取り付けられることで、本発明に係る第1弁体51用の弁体押圧部81と第2弁体52用の弁体押圧部82とが形成されている。また、
図3に示すように、弁体押圧部81,82の間隔は、共に閉弁位置に配置されている第1弁体51及び第2弁体52の先端同士の間隔より狭くなっている。
【0059】
また、第1弁体51,52の各テーパー突部76の先端外縁は僅かに面取りされていて、その面取り部分を除いたテーパー突部76の先端部の外径と第1弁体51,52との外径とは略同一になっている。さらには、第1弁口31及び第2弁口32の奥行きに比べて弁体押圧部81,82は十分に薄くなっている。
【0060】
そして、
図6に示すように、第1弁体51側の位置する第1弁体51用の弁体押圧部81により第1弁体51が先端面を押されて開弁方向に移動する。それとは逆に、
図2に示すように、第2弁体52側に位置する第2弁体52用の弁体押圧部82により第2弁体52が先端面を押されて開弁方向に移動する。
【0061】
前述した弁体ホルダ63の上端部は、本発明に係る第3弁体53用の弁体押圧部83になっている。そして、
図4に示すように、第3弁体53が弁体押圧部83に内側から押圧されて開弁方向に移動する。
【0062】
図3には、直動シャフト30が原点位置に配置された状態が示されている。その原点位置は、直動シャフト30の可動範囲の途中に設けられている。そして、同図に示すように、直動シャフト30が原点位置に位置すると、第1〜第4の弁体51,52,53,54の全てが閉弁位置に位置して、第1〜第4の弁口31,32,33,34が閉塞される。また、直動シャフト30が原点位置に配置されたときには、弁体押圧部82が第2弁体52の先端面に隣接し、第3弁体53用の弁体押圧部83が第3弁体53の内面から離間し、その離間距離より大きく第1弁体51用の弁体押圧部81が第1弁体51の先端面から離間した状態になる。
【0063】
本実施形態のバルブ10の構成に関する説明は以上である。次に、このバルブ10の動作について説明する。本実施形態のバルブ10は、例えば、特開2012−225366号公報の
図1〜
図3に開示されている車両用冷暖房装置の冷媒回路に設けられている第1制御弁4などに置き換えて使用することができる。その冷媒回路の構成や動作については、同公報に開示されているので説明を割愛し、バルブ10の動作に関してのみ説明する。なお、本実施形態のバルブ10は、上記公報の車両用冷暖房装置の冷媒回路への使用に限るものではなく、その他の車両用冷暖房装置の冷媒回路に適用してもよい。
【0064】
図3に示すように、直動シャフト30が原点位置に配置されると、第1〜第4の弁体51,52,53,54の全てが閉弁位置に位置し、バルブ10を流体が通過することはなくなる。
【0065】
ここで、第1弁体51及び第2弁体52と直動シャフト30との間には、摺動シール75が備えられているので、閉弁状態の第1弁体51及び第2弁体52と直動シャフト30との間の隙間から流体が漏れることを防ぐことができる。しかも、摺動シール75の内縁部が漏斗状になって直動シャフト30に密着し、その漏斗状の先端は、第1弁体51の摺動シール75においては、第1弁体51にとって高圧側の第1部屋21側に向けられ、第2弁体52の摺動シール75においては、第2弁体52にとって高圧側の第2部屋22側に向けられているので、上記した第1弁体51及び第2弁体52と直動シャフト30との間の隙間からの流体の漏れを確実に防ぐことができる。
【0066】
また、第3弁体53に関しては、第2入力ポート42からの高圧の流体が、側部貫通孔62Bと上部貫通孔62Aとを通して、第2部屋22における第3弁体53より上側の領域に流れ込んでいるので、第3弁体53が上面側から受ける高圧の流体圧力と第3弁口33を介して第3弁体53が下面側から受ける小さい流体圧力との差圧を利用して、直動シャフト30に対する僅かな駆動力で第3弁体53を閉弁位置に保持すことができる。なお、第3弁体53内の第3部屋23にも高圧の流体が流れ込んでいるが、その流体圧力は第3部屋23の下側内面と上側内面とに略同じように作用して相殺される。
【0067】
さて、
図4に示すように、直動シャフト30を原点位置から第1部屋21側に移動していくと、直動シャフト30と共に第4弁体54が第4弁口34から離れ、第4弁口34を通して第2入力ポート42から第2出力ポート44へと流体が流れる。そして、第4弁体54が第4弁口34から離れるに従って第2入力ポート42から第2出力ポート44へと流れる流体の流量が徐々に増加する。このときの特性が、
図7の第2領域R2として示されている。この間、第2弁体52用の弁体押圧部82は第2弁体52から離れ、第1弁体51用の弁体押圧部81は第1弁体51に接近するが第1弁体51には当接しない。即ち、第1弁体51及び第2弁体52は閉弁位置に維持されている。
【0068】
そして、直動シャフト30を更に第1部屋21側に移動すると、第1弁体51用の弁体押圧部81が第1弁体51に押圧する前に、
図5に示すように、第3弁体53用の弁体押圧部83が第3弁体53を第3部屋23内から押圧して第3弁体53が第3弁口33から離れる。このとき、第4弁口34が開いていて、第2部屋22における第3弁体53より上側の領域の高圧の流体は、複数の上部貫通孔62Aと第4弁口34とを通して第2出力ポート44側に抜けている。また、第4弁口34が開いた後も側部貫通孔62Bを通して第3部屋23へと高圧の流体が流れ込むが、側部貫通孔62Bの開口面積は、第4弁口34の開口面積に比べて十分に小さいので、側部貫通孔62Bから第3部屋23へと流れ込む高圧の流体によって第3部屋23及び第2部屋22における第3弁体53より上側の領域が高圧状態になることはない。しかも、第3弁体53の外周面に備えたパッキン53Dにより、高圧の流体が、第2入力ポート42側から第3弁体53と下端大径部15Aとの間の隙間を通って、第2部屋22における第3弁体53より上側の領域へと流れ込むことも防がれている。これらにより、第3弁体53が上面側から受ける流体圧力と第3弁口33を介して第3弁体53が下面側からから受ける流体圧力との差圧が小くなり、直動シャフト30に対する僅かな駆動力で第3弁体53を閉弁位置から離して第3弁口33を開くことができる。そして、第3弁体53が第3弁口33から離れるに従って第2入力ポート42から第2出力ポート44へと流れる流体の流量が徐々に増加する。このときの特性が、
図7の第3領域R3として示されている。また、第4弁口34より第3弁口33の開口面積の方が広いので、直動シャフト30の移動量に対する流量の増加率は、第2領域R2より第3領域R3の方が大きくなる。なお、
図7に示すように、第3弁体53が第3弁口33から一定距離まで離れると、それ以上離れても流量が増加しなくなる。
【0069】
第3弁口33から第3弁体53までの距離が上記した一定距離に達する前、即ち、直動シャフト30が第1部屋21に移動するに従って第3弁口33を流れる流体の流量が増加している間に、
図6に示すように、第1弁体51用の弁体押圧部81が第1弁体51を押圧して第1弁体51が第1弁口31から離れ、第1弁口31を通して第1入力ポート41から第1出力ポート43へと流体が流れる。そして、第1入力ポート41から第1出力ポート43への流路と第2入力ポート42から第2出力ポート44の流路の両方に流体が流れた状態になる。
【0070】
また、第1弁体51が第1弁口31から離れるに従って第1入力ポート41から第1出力ポート43へと流れる流体の流量が徐々に増加する。このときの特性が、
図7の第4領域R4として示されている。ここで、第1弁体51用の弁体押圧部81は、第1弁体51の先端径と略同一の外径のフランジ形状をなしているので、弁体押圧部81が第1弁体51を押圧する際に第1弁体51と一体化して、流体がスムーズに第1弁口31を通過する。また、第1弁体51は、先細り形状をなして第1弁口31に突入していると共に、基端側より先端側のテーパー角が小さくなっているので、この点においても、流体がスムーズに第1弁口31を通過する。これらにより、精度が高い流体制御を行うことができる。また、第1弁体51に備えた摺動シール75は、内縁部が漏斗状をなして直動シャフト30に当接しているので、直動シャフト30に対して第1弁体51がスムーズに移動する。次述する第2弁体52用の弁体押圧部82にて第2弁体52を押圧した場合に関しても同様である。
【0071】
図2に示すように、直動シャフト30を原点位置から第2部屋22側に移動していくと、第2弁体52用の弁体押圧部82が第2弁体52を押圧して第2弁体52が第2弁口32から離れ、第2弁口32を通して第2入力ポート42から第1出力ポート43へと流体が流れる。そして、第2弁体52を押し進めると、第2入力ポート42から第1出力ポート43へと流れる流体の流量が徐々に増加する。この特性が、
図7の第1領域R1として示されている。
【0072】
以上の説明のように本実施形態のバルブ10は、直動シャフト30の直動によって第1〜第4の弁体51〜54が開閉する。そして、その直動シャフト30は、一端部をステッピングモータ70との間に備えた摺動シャフト29A(
図1参照)に支持されると共に、他端部をバルブボディ11に支持された第3弁体53に支持されている。即ち、直動シャフト30は、両端部を支持されているのでその中心位置が安定する。よって、その直動シャフト30が中心部を貫通する第1弁体51及び第2弁体52の位置も安定する。これにより、従来に比べて安定して第1弁体51及び第2弁体52が動作する。しかも、直動シャフト30にて第1弁体51及び第2弁体52の両方を支持するので、従来のように第2弁体52の支持機構を別途設ける必要がなくなる。さらには、直動シャフト30の両端部が支持されたことで支持部分における負荷が小さくなり、直動シャフト30の支持機構を小型化できる。これらにより、バルブ10全体の小型化を図ることができる。また、第1弁体51及び第2弁体52は、同一形状をなしているので、製造コストを抑えることができる。
【0073】
[第2実施形態]
図8〜
図11には、本発明の第2実施形態が示されている。
図8に示すように、本実施形態のバルブ10Vは、第1実施形態のバルブ10から第2出力ポート44,第3弁口33,第3弁体53,第4弁体54等を排除してなる、所謂、三方弁であって、直動シャフト30の下端部が、ブロック12における嵌合孔13の下端部に圧入固定された摺動スリーブ90にて直動可能に支持された構成になっている。バルブ10Vのその他の部位に関しては、第1実施形態のバルブ10と同一であるので、第1実施形態と同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0074】
図9には直動シャフト30が原点位置に配置された状態が示されている。直動シャフト30が原点位置に配置されると、第1及び第2の弁体51,52が閉弁位置に位置すると共に、第2弁体52用の弁体押圧部82が第2弁体52に隣接し、第1弁体51用の弁体押圧部81が第1弁体51から離間した状態になる。
【0075】
その原点位置から直動シャフト30が第2部屋22側に移動していくと、第2弁体52用の弁体押圧部82が第2弁体52を押圧して第2弁口32が開いていき(
図8参照)、第2弁口32を通して第2入力ポート42から第1出力ポート43へと流れる流体の流量が徐々に増加していく。この特性が、
図11の第1領域R1として示されている。
【0076】
また、原点位置から直動シャフト30が第1部屋21側に移動していくと、第1弁体51と第2弁体52とが共に閉弁位置に維持された状態で第1弁体51用の弁体押圧部81が第1弁体51に近づいていき、やがて当接する。この特性が、
図11の第3領域R3として示されている。
【0077】
第1弁体51用の弁体押圧部81が第1弁体51に当接してから、さらに、直動シャフト30が第1部屋21側に移動すると、第1弁体51用の弁体押圧部81が第1弁体51を押圧して第1弁口31が開いていき(
図10参照)、第1弁口31を通して第1入力ポート41から第1出力ポート43へと流れる流体の流量が徐々に増加していく。この特性が、
図11の第1領域R2として示されている。
【0078】
[参考例]
図12〜
図16には、第1実施形態のバルブ10と共通の構成を備えたバルブ10Wが、本発明に関連する参考例として示されている。本参考例のバルブ10Wは、第1実施形態のバルブ10と同様に、上端部にステッピングモータ70が取り付けられたコア部材14Wが、ブロック12Wに形成された嵌合孔13Wに嵌合された構造をなしている。コア部材14W内には、ステッピングモータ70から動力を受けて直動する摺動シャフト29Aが備えられ、摺動シャフト29Aから下方に直動シャフト30Wが延びている。また、
図13に示すように、直動シャフト30Wは、長手方向の途中から先端側が段付き状に細くなっていて、その段差部分が弁体押圧部30Dになっている。なお、直動シャフト30Wは摺動シャフト29Aに一体形成されている。
【0079】
コア部材14Wには、第1実施形態の第1弁口31及び第2弁口32に相当する弁口及び、第1部屋21に相当する部屋は備えられていない。また、本参考例のバルブ10Wには、第1実施形態の第1入力ポート41に相当するポートはなく、第1実施形態の第2入力ポート42に相当する構造の第1入力ポート42Wと、第1実施形態と同様の第1出力ポート43及び第2出力ポート44とが備えられている。また、第1入力ポート42Wと第2出力ポート44との間には、第1実施形態の第3弁口33がメイン弁口33Wとして備えられている。
【0080】
コア部材14Wの中心孔15のうち第1出力ポート43に連通する部分より下側は、メイン弁体53Wを直動可能に支持するガイド筒部14Gになっている。メイン弁体53Wは、第1実施形態の第3弁体53を縦長にして上部貫通孔62Aとシャフト挿通孔61とを廃止し、そのシャフト挿通孔61の代わりにサブ弁口32Wを備えた構造をなしている。また、メイン弁体53Wの内部屋23W内には、第1実施形態の第4弁体54と同一形状のアシスト弁体54Wが弁体ホルダ63に支持された状態に備えられている。そして、サブ弁口32Wを介して内部屋23W内に突入した直動シャフト30Wの先端部に弁体ホルダ63が固定されている。なお、メイン弁体53Wの下面中央には、第1実施形態の第4弁口34がアシスト弁口34Wとして備えられている。
【0081】
メイン弁体53Wの内側上面と弁体ホルダ63との間には、サブ弁体52Wが配置されて、その中心部を直動シャフト30Wが直動可能に貫通している。
図13に示すように、サブ弁体52Wは、下面に凹部52Eを備えている点のみが第1実施形態の第2弁体52と異なる。そして、サブ弁体52Wと弁体ホルダ63との間に圧縮コイルバネ68が突っ張り状態に収容され、その上端部がサブ弁体52Wの凹部52Eに嵌合される一方、下端部が弁体ホルダ63の円形突部63Tに嵌合している。また、摺動シャフト29Aを支持するシャフト支持リング17とメイン弁体53Wとの間にも、圧縮コイルバネ69が突っ張り状態に収容されている。
【0082】
以上が本参考例のバルブ10Wの構成に関する説明である。次に、バルブ10Wの動作について説明する。直動シャフト30Wが原点位置に配置されると、
図13の状態から直動シャフト30Wが僅かに降下した状態になり、メイン弁体53W、サブ弁体52W、アシスト弁体54Wが閉弁位置に位置すると共に、弁体押圧部30Dがサブ弁体52Wに隣接する。
【0083】
その原点位置から直動シャフト30Wがメイン弁口33W側に移動していくと、弁体押圧部30Dがサブ弁体52Wを押圧してサブ弁口32Wが開いていき(図示せず)、サブ弁口32Wを通して第1入力ポート42Wから第1出力ポート43へと流れる流体の流量が徐々に増加していく。この特性が、
図16の第1領域R1として示されている。
【0084】
また、原点位置から直動シャフト30Wがメイン弁口33Wから離れる側に移動していくと、メイン弁体53W、アシスト弁体54W、サブ弁体52Wが閉弁位置に維持された状態で弁体押圧部30Dがサブ弁体52Wから離れていき、弁体ホルダ63のカラー64がアシスト弁体54Wのフランジ54Fに近づき、やがて当接する。この特性が、
図16の第4領域R4として示されている。
【0085】
カラー64がアシスト弁体54Wのフランジ54Fに当接してから、さらに、直動シャフト30Wがメイン弁口33Wから離れる側に移動すると、アシスト弁体54Wが直動シャフト30Wと共に上昇してアシスト弁口34Wが開いていき(
図14参照)、アシスト弁口34Wを通して第1入力ポート42Wから第2出力ポート44へと流れる流体の流量が徐々に増加していく。この特性が、
図16の第1領域R2として示されている。
【0086】
さらに、直動シャフト30Wがメイン弁口33Wから離れる側に移動すると、弁体ホルダ63の弁体押圧部83Wがサブ弁体52Wを介してメイン弁体53Wを内側から上方に押し上げ、
図15に示すようにメイン弁口33Wが開き、メイン弁口33Wを通して第1入力ポート42Wから第2出力ポート44へと大流量の流体が流れる。この特性が、
図16の第3領域R3として示されている。
【0087】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0088】
(1)前記第1実施形態の弁体押圧部81,82は、Eリングによって構成されていたが、直動シャフトからの削り出しによって弁体押圧部を直動シャフトに一体形成してもよい。また、直動シャフトの中間部に段付き状に外径が大きくなった大径部を設け、その大径部の一端部を第1弁体用の弁体押圧部とする一方、他端部を第2弁体用の弁体押圧部としてもよい。
【0089】
(2)前記第1及び第2の実施形態のバルブ10,10Vでは、第1弁体51と第2弁体52とが同一形状であったが、第1弁体と第2弁体とが互いに異なる形状であってもよい。