(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(ブラシレスモータ)
図1は、ブラシレスモータ1の斜視図、
図2は、ステータ2、ロータ3及びバスバーユニット5の斜視図である。
図1、
図2に示すように、ブラシレスモータ1は、例えば、電動パワーステアリング装置(EPS;Electric Power Steering)に用いられるものである。ブラシレスモータ1は、略有底円筒状のモータハウジング4と、このモータハウジング4内に内嵌固定された略円筒状のステータ2と、ステータ2の径方向内側に回転自在に配置されたロータ3と、ステータ2の軸方向一端側に配置され、このステータ2に給電を行うためのバスバーユニット5と、を備えている。
なお、以下の説明では、ロータ3の回転軸線方向を単に軸方向、ロータ3の回転方向を周方向、軸方向及び周方向に直交するロータ3の径方向を単に径方向と称して説明する。
【0022】
モータハウジング4の底部4aには、径方向中央に略円筒状の軸受ハウジング6が、軸方向外側に向かって突出形成されている。この軸受ハウジング6内に、ロータ3の回転軸7の一端側を回転自在に支持するための不図示の軸受が設けられている。
また、モータハウジング4の底部4aとは反対側端には、制御ハウジング8が一体成形されている。制御ハウジング8は、モータハウジング4側とこのモータハウジング4とは反対側の軸方向外側とを連通するように、筒状に形成されている。
【0023】
制御ハウジング8には、バスバーユニット5が収納されている。さらに、制御ハウジング8の開口部8aを閉塞するように、ターミナルユニット70が設けられている。
ターミナルユニット70は、不図示の外部電源とバスバーユニット5とを電気的に接続するためのものである。ターミナルユニット70は、制御ハウジング8の開口部8aを閉塞するように形成された板状の樹脂モールド体71と、樹脂モールド体71に殆どが埋設された複数本(この実施形態では6本)のターミナル72と、により構成されている。
【0024】
各ターミナル72は、一端72aが樹脂モールド体71から制御ハウジング8の開口部8aを介して軸方向外側に突出している。一方、各ターミナル72の他端(不図示)は、バスバーユニット5側に向かって突出している。そして、各ターミナル72の他端が、バスバーユニット5に接続されている。
【0025】
また、制御ハウジング8には、バスバーユニット5とターミナルユニット70との間に、不図示の軸受プレートが設けられている。軸受プレートには、バスバーユニット5の後述する各相給電端子25U1〜25W2を挿通可能な不図示の挿通孔が形成されている。この挿通孔を介して、各相給電端子25U1〜25W2がターミナルユニット70側に突出され、対応するターミナル72に接続される。さらに、軸受プレートには、ロータ3の回転軸7の他端を回転自在に支持するための不図示の軸受が設けられている。
【0026】
図3は、ステータ2及びロータ3の概略構成図である。
図2、
図3に示すように、ロータ3の回転軸7の一端は、モータハウジング4の軸受ハウジング6を介して軸方向外側に突出している。この突出した一端に、ピニオンギヤ9が外嵌固定されている。このピニオンギヤ9に、例えばステアリングに設けられたギヤが噛合される。
また、回転軸7の他端には、不図示のセンサマグネットが設けられている。センサマグネットは、ロータ3の回転位置を検出するものである。制御ハウジング8に収納されている不図示の制御基板には、センサマグネットを検出する磁気センサが実装されている。この磁気センサによって、センサマグネットの磁気変化を検出することにより、ロータ3の回転位置を検出する。
【0027】
また、ロータ3は、回転軸7のステータ2に対応する位置に外嵌固定された円柱状のロータコア10を有している。ロータコア10の外周面には、複数(例えば、本実施形態では8個)のマグネット11が周方向に等間隔で設けられている。また、各マグネット11は、周方向に磁極が順番となるように配置されている。このマグネット11とステータ2に形成される磁界との間で磁気的な吸引力や反発力が生じ、ロータ3が回転する。
【0028】
ステータ2は、モータハウジング4の周壁4b(
図1参照)の内周面に、例えば焼嵌め固定されるステータコア14を有している。ステータコア14は、略円筒状のバックヨーク部12と、バックヨーク部12から径方向中央に向かって突出する12個のティース部13と、により構成されている。バックヨーク部12は、磁路として構成される。
ティース部13は、軸方向に直交する断面が略T字状となるように形成されている。ティース部13は、周方向に等間隔で配置されており、周方向に隣接するティース部13間に蟻溝状のスロット17が形成される。つまり、スロット17の個数も12個に設定される。すなわち、本実施形態のブラシレスモータ1は、マグネット11の個数が8個(磁極数が8極)、スロット17の個数が12個(スロット数が12)の8極12スロットのモータである。
【0029】
各ティース部13には、このティース部13の周囲を覆うように樹脂製のインシュレータ15が装着されている。そして、各ティース部13には、インシュレータ15の上からコイル16が集中巻方式により巻回されている。各コイル16の端末部16aは、制御ハウジング8側に引き出されており、バスバーユニット5に接続されている。
ここで、バスバーユニット5によって、コイル16は、2系統の3相(U相、V相、W相)構造となるように結線されている。以下、詳述する。
【0030】
(各相コイルの割り当て)
まず、ティース部13に巻回されている各コイル16の相の割り当てについて説明する。
各コイル16は、同一系統が1つ置きのティース部13に配置されている。また、各コイル16は、2系統のうちの一方の系統の任意の相に対し、この相の周方向両隣が他方の系統の他の相であって、且つ互いに異なる相となるように割り当てられている。
すなわち、1系統目のコイル16は、1つ置きのティース部13に第1U相コイル161U、第1V相コイル161V、第1W相コイル161W、第1U相コイル161U、第1V相コイル161V、第1W相コイル161Wの順に割り当てられている。同様に、2系統目のコイル16は、1つ置きのティース部13に第2U相コイル162U、第2V相コイル162V、第2W相コイル162W、第2U相コイル162U、第2V相コイル162V、第2W相コイル162Wの順に割り当てられている。
【0031】
つまり、各相コイル161U〜162Wはそれぞれ2つずつ存在し、同一系統においては、同一相のコイル161U〜162Wが回転軸7を中心に対向配置(点対称配置)されている。そして、第1U相コイル161Uの周方向両隣が第2V相コイル162Vと第2W相コイル162Wとなるように、各相コイル161U〜162Wが配置されている。
【0032】
(バスバーユニット)
図4は、バスバーユニット5の分解斜視図である。
次に、バスバーユニット5について詳述する。
図2、
図4に示すように、バスバーユニット5は、略円環状の樹脂モールド体(絶縁体)19と、一定の絶縁距離を存するよう所定間隔を空けて積層された状態で樹脂モールド体19に埋設(配置)された複数のバスバー20と、により構成されている。
樹脂モールド体19は、内径がステータコア14の内径、つまりティース部13の内周面の直径とほぼ同一となるように形成されている。また、樹脂モールド体19は、外径がステータコア14の外径、つまり、バックヨーク部12の外径よりも小さくなるように形成されている。
【0033】
複数のバスバー20は、大きく2系統のバスバーに分類される。第1系統のバスバー20は、2つの第1U相バスバー21U1,21U2と、2つの第1V相バスバー21V1,21V2と、2つの第1W相バスバー21W1,21W2と、第1中性点バスバー21Nと、により構成されている。
2つの第1U相バスバー21U1,21U2は、2つの第1U相コイル161Uを直列に接続する。2つの第1V相バスバー21V1,21V2は、2つの第1V相コイル161Vを直列に接続する。2つの第1W相バスバー21W1,21W2は、2つの第1W相コイル161Wを直列に接続する。第1中性点バスバー21Nは、第1系統の中性点を形成する。
【0034】
一方、第2系統のバスバー20は、2つの第2U相バスバー22U1,22U2と、2つの第2V相バスバー22V1,22V2と、2つの第2W相バスバー22W1,22W2と、第2中性点バスバー22Nと、により構成されている。
2つの第2U相バスバー22U1,22U2は、2つの第2U相コイル162Uを直列に接続する。2つの第2V相バスバー22V1,22V2は、2つの第2V相コイル162Vを直列に接続する。2つの第2W相バスバー22W1,22W2は、2つの第2W相コイル162Wを直列に接続する。第2中性点バスバー22Nは、第2系統の中性点を形成する。
【0035】
そして、これらバスバー21U1〜22Nは、軸方向に5層となるように、且つ互いに絶縁された状態で並んで配置されている。
なお、以下の説明では、各層を、ステータコア14から最も離間した箇所(
図4における上側)からステータコア14に接近するに従って(
図4における下方に向かうに従って)順に第1層L1、第2層L2、第3層L3、第4層L4、第5層L5と称する。
【0036】
第1層L1には、第1U相バスバー21U1と、第2W相バスバー22W1と、が配置されている。第2層L2には、第1U相バスバー22U1と、第1V相バスバー21V1と、第2U相バスバー22U2と、第2V相バスバー22V1と、第2W相バスバー22W2と、が配置されている。第3層L3には、第1W相バスバー21W1と、第2V相バスバー22V1と、第1W相バスバー21W2と、が配置されている。第4層L4には、第1V相バスバー21V2と、第2中性点バスバー22Nと、が配置されている。第5層L5には、第1中性点バスバー21Nと、第1U相バスバー21U2と、が配置されている。
【0037】
図5は、各バスバーの配置状態を示す平面図であり、(a)は第1層L1を示し、(b)は第2層L2を示し、(c)は第3層L3を示し、(d)は第4層L4を示し、(e)は第5層L5を示す。
図4、
図5(a)に示すように、第1層L1に配置された第1U相バスバー21U1は、樹脂モールド体19の周方向に沿って周方向の長さが半円よりもやや短くなるように円弧状に延出形成されている。第1U相バスバー21U1の周方向一端には、第1U相コイル161Uの端末部16aが接続される第1U相端子23U1が径方向外側に向かって突出形成されている。また、第1U相バスバー21U1の周方向他端は、一旦径方向内側に屈曲された後、第1U相給電端子25U1がターミナルユニット70側に向かって、且つ軸方向に沿って突出形成されている。つまり、第1U相給電端子25U1は、第1U相端子23U1よりも径方向内側に位置している。
【0038】
ここで、第1U相端子23U1の先端は、周方向中央がステータコア14とは反対側(
図4における上側、
図5における紙面手前側)に切り起されてなる切起し部28を有している。そして、第1U相端子23U1の先端は、二又状に形成されている。これにより、第1U相端子23U1によってコイル16の端末部16aを挟持できる。また、第1U相端子23U1とコイル16の端末部16aとを、例えばTIG溶接によって容易に溶接できる。
【0039】
なお、以下に詳述する各バスバー21U2〜22Nの端子23U2〜24W2は、第1U相端子23U1と同一形状に形成されているので、同一符号を付して説明を省略する。また、各給電端子25U2〜25W2と各端子23U2〜24W2との位置関係も、第1U相端子23U1よりも第1U相給電端子25U1が径方向内側に位置している位置関係と同様である。このため、以下では、各給電端子25U2〜25W2と各端子23U2〜24W2との位置関係の詳細な説明について、適宜割愛する。
【0040】
第1層L1に配置された第2W相バスバー22W2は、樹脂モールド体19の周方向に沿って、2つの第2W相コイル162Wに跨るように円弧状に延出形成されている。換言すれば、第2W相バスバー22W2の周方向の長さは、半円よりもやや短くなるように設定されている。
第2W相バスバー22W1の周方向両端には、それぞれ第2W相コイル162Wの端末部16aが接続される第2W相端子24W1が径方向外側に向かって突出形成されている。これら2つの第2W相端子24W1には、それぞれ別々の第2W相コイル162Wの端末部16aが接続される。
【0041】
このように形成された第1U相バスバー21U1と第2W相バスバー22W2は、第1U相端子23U1と第2W相端子24W1との間に所定の間隔が形成されるように、且つ第1U相給電端子25U1と第2W相端子24W1との間に所定間隔をあけて配置されている。また、第1U相バスバー21U1は、第1U相コイル161Uの端末部16aが引き出される位置に、第1U相端子23U1が位置するように配置されている。さらに、第2W相バスバー22W2は、第2V相コイル162Vの端末部16aが引き出される位置に、それぞれ2つの第2W相端子24W1が位置するように配置されている。
【0042】
第2層L2に配置された第2U相バスバー22U1は、樹脂モールド体19の周方向に沿って、2つの第2U相コイル162Uに跨るように円弧状に延出形成されている。換言すれば、第2U相バスバー22U1の周方向の長さは、半円よりもやや短くなるように設定されている。
第2U相バスバー22U1の周方向両端には、それぞれ第2U相コイル162Uの端末部16aが接続される第2U相端子24U1が径方向外側に向かって突出形成されている。これら2つの第2U相端子24U1には、それぞれ別々の第2U相コイル162Uの端末部16aが接続される。
【0043】
第2層L2に配置された第2U相バスバー22U2は、周方向一端に第2U相コイル162Uの端末部16aが接続される第2U相端子24U2が径方向外側に向かって突出形成されている。また、第2U相バスバー22U2の周方向他端は、一旦径方向内側に屈曲された後、第2U相給電端子25U2がターミナルユニット70側に向かって、且つ軸方向に沿って突出形成されている。さらに、第2U相バスバー22U2は、第2U相端子24U2と第2U相給電端子25U2とが径方向で重ならない位置となるように形成されている。
【0044】
第2層L2に配置された第1V相バスバー21V1は、周方向一端に第1V相コイル161Vの端末部16aが接続される第1V相端子23V1が径方向外側に向かって突出形成されている。また、第1V相バスバー21V1の周方向他端は、一旦径方向内側に屈曲された後、第1V相給電端子25V1がターミナルユニット70側に向かって、且つ軸方向に沿って突出形成されている。さらに、第1V相バスバー21V1は、第1V相端子23V1と第1V相給電端子25V1とが径方向で重ならない位置となるように形成されている。
【0045】
第2層L2に配置された第2V相バスバー22V1は、略L字状に形成されている。すなわち、第2V相バスバー22V1は、径方向に延出する第2V相端子24V1の基端と、ターミナルユニット70側に向かって、且つ軸方向に沿って突出する第2V相給電端子25V2の基端と、が接合された形になる。第2V相端子24V1には、第2V相コイル162Vの端末部16aが接続される。
【0046】
第2層L2に配置された第2W相バスバー22W2は、周方向一端に第2W相コイル162Wの端末部16aが接続される第2W相端子24W2が径方向外側に向かって突出形成されている。また、第2W相バスバー22W2の周方向他端は、一旦径方向内側に屈曲された後、第2W相給電端子25W2がターミナルユニット70側に向かって、且つ軸方向に沿って突出形成されている。さらに、第2W相バスバー22W2は、第2W相端子24W2と第2W相給電端子25W2とが径方向で重ならない位置となるように形成されている。
【0047】
このように形成された第2U相バスバー22U1,22U2、第1V相バスバー21V1、第2V相バスバー22V1、及び第2W相バスバー22W2は、それぞれ周方向に所定間隔をあけて配置されている。また、第2U相バスバー22U1,22U2は、第2U相コイル162Uの端末部16aが引き出される位置に、それぞれ2つの第2U相端子24U1及び第2U相端子24U2が位置するように配置されている。さらに、第1V相バスバー21V1は、第1V相コイル161Vの端末部16aが引き出される位置に、第1V相端子23V1が位置するように配置されている。
【0048】
また、第2V相バスバー22V1は、第2V相コイル162Vの端末部16aが引き出される位置に、第2V相端子24V1が位置するように配置されている。さらに、第2W相バスバー22W2は、第2W相コイル162Wの端末部16aが引き出される位置に、第2W相端子24W2が位置するように配置されている。また、第2U相バスバー22U2及び第2V相バスバー22V1は、これらバスバー22U2,22V1の各相給電端子25U2,25V2の間に、第2V相バスバー22V2に形成されている後述のクランク部26を配置可能なように、このクランク部26を避けて配置されている。
【0049】
第3層L3に配置された第2V相バスバー22V2は、樹脂モールド体19の周方向に沿って、2つの第2V相コイル162Vに跨るように円弧状に延出形成されている。換言すれば、第2V相バスバー22V2の周方向の長さは、半円よりもやや短くなるように設定されている。
第2V相バスバー22V2の周方向両端には、それぞれ第2V相コイル162Vの端末部16aが接続される第2V相端子24V2が径方向外側に向かって突出形成されている。これら2つの第2V相端子24V2には、それぞれ別々の第2V相コイル162Vの端末部16aが接続される。ここで、第2V相バスバー22V2の周方向一端には、クランク状に屈曲されたクランク部26が形成されており、このクランク部26の端部に、第2V相端子24V2が形成されている。
【0050】
図6は、クランク部26の拡大斜視図である。
同図に示すように、クランク部26は、第2V相バスバー22V2から第2層L2側に向かって屈曲する立上り部26aと、立上り部26aの先端から周方向に沿って延出する延出部26bと、により構成されている。そして、延出部26bは、第2層L2に位置している。また、延出部26bは、第3層L3の延出部26bに対応する位置に、第1W相バスバー21W1に形成されている後述の第1W相端子23W1を配置可能な長さに設定されている。
【0051】
第3層L3に配置された第1W相バスバー21W1は、樹脂モールド体19の周方向に沿って、2つの第1W相コイル161Wに跨るように円弧状に延出形成されている。換言すれば、第1W相バスバー21W1の周方向の長さは、半円よりもやや短くなるように設定されている。
第1W相バスバー21W1の周方向両端には、それぞれ第1W相コイル161Wの端末部16aが接続される第1W相端子23W1が径方向外側に向かって突出形成されている。これら2つの第1W相端子23W1には、それぞれ別々の第1W相コイル161Wの端末部16aが接続される。
【0052】
ここで、
図4、
図5に示すように、同一層(第3層L3)に配置されている第2V相バスバー22V2にはクランク部26が形成されているので、このクランク部26によって形成された空きスペースS1に、第1W相バスバー21W1の第1W相端子23W1が配置されている。このため、第2V相バスバー22V2及び第1W相バスバー21W1のそれぞれの周方向の長さが半円よりもやや短くなる程度に設定されていても、他の層と比較して空きスペースS1を確保できる。この空きスペースS1に、第1W相バスバー21W2が配置されている。
【0053】
第3層L3に配置された第1W相バスバー21W2は、略L字状に形成されている。すなわち、第1W相バスバー21W2は、径方向に延出する第1W相端子23W2の基端と、ターミナルユニット70側に向かって、且つ軸方向に沿って突出する第1W相給電端子25W1の基端と、が接合された形になる。第1W相端子23W2には、第1W相コイル161Wの端末部16aが接続される。
【0054】
このように形成された第2V相バスバー22V2は、第2V相コイル162Vの端末部16aが引き出される位置に、第2V相端子24V2が位置するように配置されている。また、第1W相バスバー21W1,21W2は、第1W相コイル161Wの端末部16aが引き出される位置に、第1W相端子23W1が位置するように配置されている。さらに、第1W相バスバー21W2は、第1W相コイル161Wの端末部16aが引き出される位置に、第1W相端子23W2が位置するように配置されている。
【0055】
第4層L4に配置された第1V相バスバー21V2は、樹脂モールド体19の周方向に沿って、2つの第1V相コイル161Vに跨るように円弧状に延出形成されている。換言すれば、第1V相バスバー21V2の周方向の長さは、半円よりもやや短くなるように設定されている。
第1V相バスバー21V2の周方向両端には、それぞれ第1V相コイル161Vの端末部16aが接続される第1V相端子23V2が径方向外側に向かって突出形成されている。これら2つの第1V相端子23V2には、それぞれ別々の第1V相コイル161Vの端末部16aが接続される。
【0056】
第4層L4に配置された第2中性点バスバー22Nは、樹脂モールド体19の周方向に沿って、第2系統の各相のコイル162U,162V,162W(第2U相コイル162U、第2V相コイル162V、第2W相コイル162W)の1つずつに跨るように円弧状に延出形成されている。換言すれば、第2中性点バスバー22Nの周方向の長さは、半円よりもやや短くなるように設定されている。
第2中性点バスバー22Nの周方向両端、及び周方向略中央には、それぞれ第2U相コイル162U、第2V相コイル162V及び第2W相コイル162Wの端末部16aが接続される第2中性点端子24Nが径方向外側に向かって突出形成されている。これら3つの第2中性点端子24Nに、それぞれ第2系統の各相のコイル162U,162V,162Wの端末部16aが1つずつ接続される。
【0057】
このように形成された第1V相バスバー21V2及び第2中性点バスバー22Nは、それぞれ周方向に所定間隔をあけて配置されている。また、第1V相バスバー21V2は、第1V相コイル161Vの端末部16aが引き出される位置に、それぞれ2つの第1V相端子23V2が位置するように配置されている。さらに、第2中性点バスバー22Nは、第2系統の各相のコイル162U,162V,162Wの端末部16aが引き出される位置に、それぞれ第2中性点端子24Nが位置するように配置されている。
【0058】
第5層L5に配置された第1U相バスバー21U2は、樹脂モールド体19の周方向に沿って、2つの第1U相コイル161Vに跨るように円弧状に延出形成されている。換言すれば、第1U相バスバー21U2の周方向の長さは、半円よりもやや短くなるように設定されている。
第1U相バスバー21U2の周方向両端には、それぞれ第1U相コイル161Uの端末部16aが接続される第1U相端子23U2が径方向外側に向かって突出形成されている。これら2つの第1U相端子23U2には、それぞれ別々の第1U相コイル161Uの端末部16aが接続される。
【0059】
第5層L5に配置された第1中性点バスバー21Nは、樹脂モールド体19の周方向に沿って、第1系統の各相のコイル161U,161V,161W(第1U相コイル161U、第1V相コイル161V、第1W相コイル161W)の1つずつに跨るように円弧状に延出形成されている。換言すれば、第1中性点バスバー21Nの周方向の長さは、半円よりもやや短くなるように設定されている。
第1中性点バスバー21Nの周方向両端、及び周方向略中央には、それぞれ第1U相コイル161U、第1V相コイル161V及び第1W相コイル161Wの端末部16aが接続される第1中性点端子23Nが径方向外側に向かって突出形成されている。これら3つの第2中性点端子23Nに、それぞれ第1系統の各相のコイル161U,161V,161Wの端末部16aが1つずつ接続される。
【0060】
このように形成された第1U相バスバー21U2及び第1中性点バスバー21Nは、それぞれ周方向に所定間隔をあけて配置されている。また、第1U相バスバー21U2は、第1U相コイル161Uの端末部16aが引き出される位置に、それぞれ2つの第1U相端子23U2が位置するように配置されている。さらに、第1中性点バスバー21Nは、第1系統の各相のコイル161U,161V,161Wの端末部16aが引き出される位置に、それぞれ第1中性点端子23Nが位置するように配置されている。
【0061】
また、このように5層(L1〜L5)に配置されたバスバー20は、第1系統の第1中性点バスバー21Nと、第2系統の第2中性点バスバー22Nとがそれぞれ別の層に配置されている。また、第1系統の各相バスバー21U1〜21W2と第2系統の各相バスバー22U1〜22W2のそれぞれ同相に相当するバスバー21U1〜22W2は、それぞれ別の層に配置されている。
さらに、各層L1〜L5のそれぞれに、少なくとも1つ、周方向の長いバスバー(第1U相バスバー21U1,21U2、第1V相バスバー21V2、第1W相バスバー21W1、第2U相バスバー22U1、第2V相バスバー22V2、及び第2W相バスバー22W1)が配置されている。
【0062】
図7は、ステータ2及びバスバーユニット5を軸方向からみた平面図である。
また、同図に示すように、5層(L1〜L5)に配置された各バスバー21U〜22Wは、それぞれの給電端子25U1〜25W2が周方向に不均等に配置されている。より具体的には、樹脂モールド体19のほぼ半円の範囲に、給電端子25U1〜25W2が集中配置されている。そして、各給電端子25U1〜25W2間の間隔は、不均一に設定されている。
【0063】
図2、
図4に示すように、各給電端子25U1〜25W2は、樹脂モールド体19の軸方向一端面19aから突出されている。各給電端子25U1〜25W2の先端は、ターミナルユニット70のターミナル72(
図1参照)の他端に、例えばTIG溶接される。これにより、ターミナルユニット70を介してバスバーユニット5に外部電源の電力が供給され、さらに、バスバーユニット5を介して各コイル16(161U〜162W)に給電が行われる。
【0064】
また、樹脂モールド体19には、この樹脂モールド体19から突出する各給電端子25U1〜25W2の根元を保持する保持凸部27が突出形成されている。この保持凸部部27により、各給電端子25U1〜25W2の樹脂モールド体19から突出する部位の強度が向上される。このため、各給電端子25U1〜25W2の先端とターミナル72の他端との接続作業を容易に行うことができる。
【0065】
図8は、バスバーユニット5によるコイル16の結線図である。
同図に示すように、バスバーユニット5によって、コイル16は、2系統の3相(U相、V相、W相)構造となるようにスター結線方式にて結線される。また各系統において、同相となるコイル16は、直列に結線される。
【0066】
したがって、上述の実施形態によれば、不具合が生じて2系統のうちの1系統のコイル16に給電できなくなった場合であっても、もう1系統のコイル16に給電を行うことができる。このため、ブラシレスモータ1が完全に駆動しなくなってしまうことを防止できる。
【0067】
また、ステータ2に12個のティース部13が設けられ、各ティース部13にコイル16が集中巻方式により巻回されているブラシレスモータ1において、各相コイル161U〜162Wはそれぞれ2つずつ存在し、同一系統においては、同一相のコイル161U〜162Wが回転軸7を中心に対向配置(点対称配置)されている。そして、第1U相コイル161Uの周方向両隣が第2V相コイル162Vと第2W相コイル162Wとなるように、各相コイル161U〜162Wが配置されている。
【0068】
この上で、コイル16を結線するバスバーユニット5は、略円環状の樹脂モールド体19と、この樹脂モールド体19に埋設された複数の各系統のバスバー20と、を備えている。そして、各系統のバスバー20のうち、第3層L3に配置された第2V相バスバー22V2にクランク部26が形成されており、このクランク部26によって空いたスペースに、第1W相バスバー21W1の第1W相端子23W1を配置している。つまり、複数のバスバー20のうち、第2V相バスバー22V2と第1W相バスバー21W1は、同一層(第3層L3)に配置されながら、一部を軸方向で間隙を介して重なるように配置できる。
【0069】
このため、第2V相バスバー22V2及び第1W相バスバー21W1のそれぞれの周方向の長さが半円よりもやや短くなる程度に設定されていても、他の層と比較して空きスペースS1を確保できる。この空きスペースS1に、第1W相バスバー21W2を配置できる。この結果、バスバーユニット5全体でバスバー20の積層数を5層とすることができ、バスバーユニット5の軸方向の厚さを薄くすることができる。また、第2V相バスバー22V2にクランク部26を形成することにより、例えば、空きスペースS1に第1W相バスバー21W2を配置するなど、各バスバー20のレイアウトの制約を緩和できる。このため、全体として各バスバー20の全長を短く設定できる。
【0070】
また、各相給電端子U1〜W2は、それぞれの給電端子25U1〜25W2が周方向に不均等に配置されている。より具体的には、樹脂モールド体19のほぼ半円の範囲に、給電端子25U1〜25W2が集中配置されている。そして、各相給電端子25U1〜25W2間の間隔は、不均一に設定されている。このため、各相給電端子25U1〜25W2のレイアウトを考慮して無駄にバスバー20の全長が長くなってしまうことを防止できる。
【0071】
さらに、第2U相バスバー22U2及び第2V相バスバー22V1は、これらバスバー22U2,22V1の各相給電端子25U2,25V2の間に、第2V相バスバー22V2に形成されている後述のクランク部26を配置可能なように、このクランク部26を避けて配置されている。このように、クランク部26が配置されている層(第2層L2)と同一層のスペースを有効活用して、各相給電端子25U1〜25W2やバスバー20を配置できる。このため、バスバーユニット5の軸方向の厚さを薄くすることができる。
【0072】
また、クランク部26は、第2V相バスバー22V2の周方向一端に形成されている。そして、クランク部26の端部に、第2V相端子24V2が形成されている。ここで、第2V相バスバー22V2と第1W相バスバー21W1との一部を軸方向で重ねるにあたって、第2V相バスバー22V2の周方向端部にクランク部26を形成することにより、クランク部26の長さをできる限り短く設定することができる。この分、クランク部26が配置されている層(第2層L2)において、クランク部26の占有スペースを省スペースにできるので、バスバー20全体としてレイアウト性を向上できる。
【0073】
さらに、上記のように各層L1〜L5にバスバー20を配置するにあたって、第1系統の第1中性点バスバー21Nと、第2系統の第2中性点バスバー22Nとがそれぞれ別の層に配置されている。また、第1系統の各相バスバー21U1〜21W2と第2系統の各相バスバー22U1〜22W2のそれぞれ同相に相当するバスバー21U1〜22W2は、それぞれ別の層に配置されている。このため、無駄な空きスペースを極力減らし、層数の増大を抑えることができる。また、各バスバー20の各々全長をできる限り短く設定することができる。
【0074】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、ブラシレスモータ1は、電動パワーステアリング装置に用いられるものである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、さまざまな用途にブラシレスモータ1を用いることができる。
【0075】
また、上述の実施形態では、第2V相バスバー22V2にクランク部26を形成し、このクランク部26と第1W相バスバー21W1の一部を軸方向に間隙を介して配置した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、第1W相バスバー21W1にクランク部26を形成してもよい。さらに、各バスバー20のレイアウトに応じて、他の層のバスバー20にクランク部26を形成してもよい。また、クランク部26は、バスバー20の周方向端部のみに形成しなくてもよい。例えば、第2V相バスバー22V2の周方向中央から周方向端部に渡ってクランク部26を形成してもよい。
さらに、各層L1〜L5に配置するバスバー20は、仕様等に応じて任意に設定することができる。
【0076】
また、上述の実施形態では、バスバーユニット5によってコイル16は、2系統の3相(U相、V相、W相)構造となるようにスター結線方式にて結線される場合について説明した。また各系統において、同相となるコイル16は、直列に結線される場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、各系統において、同相となるコイル16が並列結線されるようにバスバーユニット5を構成してもよい。
さらに、上述の実施形態では、ブラシレスモータ1は、マグネット11の個数が8個(磁極数が8極)、スロット17の個数が12個(スロット数が12)の8極12スロットのモータである場合について説明した。しかしながら、マグネット11の個数については、任意の個数に設定することが可能である。
【0077】
また、上述の実施形態では、略円環状の樹脂モールド体19と、樹脂モールド体19に複数のバスバー20をモールド成形する場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、例えば円筒状に予め樹脂材料により樹脂モールド体を形成し、周方向に沿って複数の略環状の溝部を形成し、複数のバスバー20を径方向の外側から挿入配置する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…ブラシレスモータ
2…ステータ
5…バスバーユニット
13…ティース部
16…コイル
19…樹脂モールド体
21U1,21U2…第1U相バスバー(第1系統相バスバー)
21V1,21V2…第1V相バスバー(第1系統相バスバー)
21W1,21W2…第1W相バスバー(第1系統相バスバー)
21N…第1中性点バスバー(第1系統中性点バスバー)
22U1,22U2…第2U相バスバー(第2系統相バスバー)
22V1,22V2…第2V相バスバー(第2系統相バスバー)
22W1,22W2…第2W相バスバー(第2系統相バスバー)
22N…第2中性点バスバー(第2系統中性点バスバー)
23U1,23U2…第1U相端子(第1系統相端子)
23V1,23V2…第1V相端子(第1系統相端子)
23W1,23W2…第1W相端子(第1系統相端子)
23N…第1中性点端子(第1系統中性点端子)
24U1,24U2…第2U相端子(第2系統相端子)
24V1,24V2…第2V相端子(第2系統相端子)
24W1,24W2…第2W相端子(第2系統相端子)
24N…第2中性点端子(第2系統中性点端子)
25U1…第1U相給電端子(給電端子)
25U2…第2U相給電端子(給電端子)
25V1…第1V相給電端子(給電端子)
25V2…第2V相給電端子(給電端子)
25W1…第1W相給電端子(給電端子)
25W2…第2W相給電端子(給電端子)
26…クランク部
161U…第1U相コイル(コイル)
161V…第1V相コイル(コイル)
161W…第1W相コイル(コイル)
162U…第2U相コイル(コイル)
162V…第2V相コイル(コイル)
162W…第2W相コイル(コイル)
L1…第1層(層)
L2…第2層(層)
L3…第3層(層)
L4…第4層(層)
L5…第5層(層)