(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の被膜形成方法は、建築物外装等の陶磁器タイル面に対して適用するものであり、タイル部及び目地部を含む陶磁器タイル面の少なくもタイル部に、特定の下塗材を塗付し、次いで上塗材を塗付することを特徴とする。
【0011】
本発明において、タイル部及び目地部を含む陶磁器タイル面とは、例えば、基材に対して下地モルタルで下地を作り、張りモルタルで陶磁器タイルを張り、目地モルタルで目地を詰めることにより形成された一般的なものである。したがって、本発明のタイル部とは、陶磁器タイル部であり、目地部とは、陶磁器タイル間に形成された目地モルタル部である。
【0012】
陶磁器タイルの種類としては、例えば磁器質タイル、せっ器質タイル、半磁器質タイル、陶器質タイル等が挙げられる。また、上記陶磁器タイルは、施釉タイル、無釉タイルどちらにも適用することができる。
【0013】
通常、陶磁器タイル面に被膜を形成する場合、タイル部と目地部では、その性質が全く異なっており、タイル部と目地部の両方に満足のいく性能(密着性等)を得ることは困難である。しかし、本発明で用いられる下塗材は、タイル部はもちろん目地部にも、優れた密着性を示すことができるため、タイル部と目地部を含む全面(陶磁器タイル面の全面)に塗付し、次いで上塗材を塗付することもできる。
【0014】
具体的に、下塗材及び上塗材の塗付方法としては、所望の仕上りに応じて適宜設定すればよい。
下塗材の塗付方法としては、例えば、
(a)タイル部のみに塗付、
(b)陶磁器タイル面の全面に塗付、
する方法等が挙げられる。
一方、上塗材の塗付方法としては、例えば、
(c)タイル部のみに上塗材Aを塗付、
(d)陶磁器タイル面の全面に上塗材Aを塗付、
(e)陶磁器タイル面の全面に上塗材Aを塗付し、タイル部に前記上塗材Aとは異なる色の上塗材B(以下、「上塗材B」という。)を塗付、
(f)タイル部に上塗材Aを塗付し、目地部に上塗材Bを塗付、
(g)陶磁器タイル面の全面に上塗材Aを塗付し、目地部に上塗材Bを塗付、
する方法等が挙げられる。なお、目地部は、公知の表面処理剤(吸水防止剤)等で処理することもできる。
【0015】
本発明は、上記(a)または(b)に対して、上記(c)〜上記(g)を適宜組み合わせて被膜を形成するものである。このような方法により形成された被膜は、陶磁器タイル面に対し、優れた密着性を示し、美観性を高めることができる。
【0016】
(下塗材)
本発明の下塗材は、エポキシ樹脂とアミン硬化剤を含有するものである。具体的に、
本発明で使用するエポキシ樹脂は、エポキシ当量(固形分当たり)が500g/eq以上2000g/eq以下、好ましくは600g/eq以上1500g/eq以下である。
本発明で使用するアミン硬化剤は、活性水素当量(固形分当たり)が50g/eq以上200g/eq以下、好ましくは60g/eq以上150g/eq以下である。
本発明は、このようなエポキシ樹脂とアミン硬化剤において、アミン硬化剤の活性水素当量とエポキシ樹脂のエポキシ当量が、[アミン硬化剤の活性水素当量/エポキシ樹脂のエポキシ当量]で0.4未満、好ましくは0.01以上0.3以下、より好ましくは0.03以上0.25以下、さらに好ましくは0.05以上0.2以下の組み合わせになるように各材料を設定して使用することを特徴とするものである。
【0017】
なお、エポキシ当量とは、エポキシ樹脂の分子量をエポキシ基の数で除した値である。また、活性水素当量とは、アミン硬化剤の分子量をアミノ基の水素原子数で除した値である。
【0018】
一般に、エポキシ樹脂とアミン硬化剤の混合は、エポキシ樹脂のエポキシ当量を基準に、アミン硬化剤の活性水素当量はエポキシ当量の0.5倍から2倍程度のものを組み合わせることが多く、また、当量比率でも約1付近に設定することが通常である。
しかし本発明では、エポキシ当量が500g/eq以上2000g/eq以下という特定のエポキシ樹脂と、活性水素当量が50g/eq以上200g/eq以下という特定のアミン硬化剤を、[アミン硬化剤の活性水素当量/エポキシ樹脂のエポキシ当量]で0.4未満となるように選定し、これらを組み合わせることによって、陶磁器タイル面に対し、優れた密着性を示すことを初めて見出したものである。
このようなメカニズムは、詳細は不明であるが、エポキシ樹脂とアミン硬化剤の分子量バランスと、エポキシ‐アミンの強靭な架橋構造との両立によるものと考えられる。
【0019】
[アミン硬化剤の活性水素当量/エポキシ樹脂のエポキシ当量]が、0.4以上の場合は、優れた密着性を示すことが困難となる。
また、エポキシ樹脂のエポキシ当量、アミン硬化剤の活性水素当量が、上記範囲より大きすぎる場合、あるいは小さすぎる場合、密着性に劣るおそれがある。
【0020】
また、エポキシ樹脂とアミン硬化剤の配合比率は、特に限定されないが、[(アミン硬化剤の配合量/アミン硬化剤の活性水素当量)/(エポキシ樹脂の配合量/エポキシ樹脂のエポキシ当量)]で、好ましくは0.1以上10以下、より好ましくは0.3以上2以下、さらに好ましくは0.5以上1.2以下であればよい。
【0021】
エポキシ樹脂としては、上記条件を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型ビスフェノールAエポキシ樹脂、フェノールノボラック型ビスフェノールFエポキシ樹脂等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とフェノールノボラック樹脂との共重合型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル、モノ(ジ)ヒドロキシナフタレンノボラックのポリグリシジルエーテル、フェノール−ジビニルベンゼン架橋型フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、ビスフェノールA−ジビニルベンゼン架橋型フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル、モノ(ジ)ヒドロキシナフタレン−ジビニルベンゼン架橋型フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
本発明では、特に、フェノールノボラック型ビスフェノールAエポキシ樹脂、フェノールノボラック型ビスフェノールFエポキシ樹脂から選ばれる1種以上のフェノールノボラック型エポキシ樹脂を好適に使用することができる。
【0022】
アミン硬化剤としては、上記条件であれば特に限定されないが、例えば、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、複素環状アミン、脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミド、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミドアミン、脂環式ポリアミドアミン、芳香族ポリアミドアミン等が挙げられる。
本発明では、特に、脂肪族ポリアミン、脂肪族ポリアミド、脂肪族ポリアミドアミンから選ばれる1種以上の脂肪族アミン硬化剤を好適に使用することができる。
【0023】
また、本発明の下塗材には、シラン化合物を含むことが好ましい。
シラン化合物としては、例えば、
テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能アルコキシシラン化合物、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン等の3官能アルコキシシラン化合物、
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等の2官能アルコキシシラン化合物、
テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン等のクロロシラン化合物、
テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン等のアセトキシシラン化合物、
γ−グリシドキシプロピルトリメキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロペニルオキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイミノオキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリイソプロペニルオキシシランとグリシドールとの付加物等のエポキシ基を含有するシラン化合物、
N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を含有するシラン化合物、
γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシ基を含有するシラン化合物
等が挙げられる。
これらシラン化合物を含むことにより、さらに密着性を高めることができる。
本発明では、特に、エポキシ基を含有するシラン化合物、アミノ基を含有するシラン化合物から選ばれる1種以上を好適に使用することができる。
【0024】
シラン化合物の混合比率は、特に限定されないが、エポキシ樹脂(固形分)100重量部に対し、0.1重量部以上30重量部以下(さらには0.3重量部以上10重量部以下、さらには0.5重量部以上3重量部以下)であることが好ましい。
このような範囲であることにより、より密着性を高めることができるとともに、エポキシ樹脂、アミン硬化剤の混合直後に塗装する場合だけでなく、混合して時間経過した後に塗装する場合でも、優れた密着性を示すことができる。
【0025】
また、本発明の下塗材には、溶剤を含むことが好ましい。
下塗材で用いる溶剤としては、特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、n−ペンタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、テルピン油、ミネラルスピリット、ソルベッソ等の炭化水素溶剤、
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、デカノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等のアルコール溶剤、
酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、酢酸メチルアミル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル等のエステル溶剤、
メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルn−アミルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン溶剤等が挙げられる。
【0026】
本発明では、溶剤として、炭化水素溶剤とアルコール溶剤を含むことが好ましい。特に、アルコール溶剤として、溶解度パラメータ(SP値)が、10以上15以下(好ましくは12以上14以下)のアルコール溶剤を用いることが好ましい。このような溶剤を用いることにより、10℃以下のような低温環境下でも、優れた性能を発揮することができる。また、沸点として70℃以上260℃以下(さらには150℃以上230℃以下)のアルコール溶剤を用いることが好ましく、このような溶剤を用いることにより、10℃以下のような低温環境下でも、優れた性能を発揮することができる。
このようなアルコール溶剤としては、イソプロピルアルコール(SP値11.5、沸点82℃)、n−ブチルアルコール(SP値11.4、沸点117℃)、ヘキサノール(SP値10.1、沸点158℃)、オクタノール(SP値10.3、沸点195℃)、エチルアルコール(SP値12.7、沸点78℃)、さらには、ベンジルアルコール(SP値12.1、沸点205℃)等が好適に用いられる。
【0027】
なお、溶解度パラメータ(SP値)は、溶解性の指標となる値であり、ポリマーハンドブック第4版(Polymer Handbook Fourth Edition、ジェー・ブランド(J.Brand)著、ワイリー(Wiley)社1998年発行)、VII−675頁〜VII−711頁に記載された値を採用した。
【0028】
本発明の下塗材としては、上述の成分の他、必要に応じ着色顔料、体質顔料、防錆顔料、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、艶消し剤、触媒、硬化促進剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を、本発明の効果が阻害されない範囲内で混合することができる。
また下塗材は、以上のような各成分を常法により均一に撹拌・混合して製造することができる。被膜形成材の形態は、流通時にはエポキシ樹脂を含む主剤とアミン硬化剤を含む硬化剤からなる2液型の形態としておき、これらを塗装時に混合して使用することが望ましい。
【0029】
下塗材の塗装においては、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、スプレー塗装等の種々の方法を採用することができる。また工場内で塗装する場合は、ロールコーター、フローコーター等を用いて塗装することもできる。
下塗材の塗付け量については、好ましくは0.05〜0.5kg/m
2、より好ましくは0.07〜0.3kg/m
2程度である。
下塗材の塗回数は、陶磁器タイル面の表面状態等によって適宜設定すればよいが、好ましくは1〜2回である。本発明の下塗材では、このような少ない塗回数であっても、シール性に優れた塗膜が形成できる。
下塗材の乾燥時間は、好ましくは1時間以上1週間以内とすればよい。また乾燥温度は、好ましくは−10℃以上50℃以下、より好ましくは−5℃以上40℃以下であればよい。本発明では10℃以下の低温環境下であっても、優れた性能を発揮するものである。
【0030】
(上塗材)
上塗材は、仕上げ表面の保護、あるいは、美観性の向上等を図るものである。本発明の上塗材は、特に限定されないが、結合材を含むことが好ましい。
結合材としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アクリル酢酸ビニル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0031】
また、上塗材には、結合材とともに、着色粒子を含有して、美観性を付与することもできる。
着色粒子としては、例えば、顔料、着色骨材、着色樹脂粒子、着色ゲル粒子等が挙げられる。このような着色粒子の種類、組合せ、含有量等を適宜調整することにより色調の異なる上塗材を得ることができる。
【0032】
また、上塗材には、上記成分の他に、必要に応じ、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、体質顔料、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、吸着剤、繊維、架橋剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒、溶剤、水等を、本発明の効果が阻害されない範囲内で混合することができる。
また上塗材は、以上のような各成分を常法により均一に撹拌・混合して製造することができる。
【0033】
上塗材は、例えば、刷毛、こて、ローラー、スプレー等の公知の塗装器具を用いて塗装することができる。
上塗材の塗付け量については、好ましくは0.05〜0.5kg/m
2、より好ましくは0.07〜0.3kg/m
2程度である。
上塗材の塗回数は、適宜設定すればよいが、好ましくは1〜2回である。上塗材の乾燥時間は、好ましくは1時間以上1週間以内とすればよい。
また乾燥温度は、好ましくは−10℃以上50℃以下、より好ましくは−5℃以上40℃以下であればよい。
【実施例】
【0034】
以下に実施例及び比較例を示して、本発明の特徴をより明確にする。
【0035】
<下塗材の製造>
表1に示す比率にて各成分(主剤、硬化剤)を常法にて均一に混合・攪拌して、下塗材1〜14を製造した。なお、原料としては、それぞれ以下に示すものを使用した。
【0036】
・エポキシ樹脂A:フェノールノボラック型ビスフェノールAエポキシ樹脂のミネラルスピリット溶液、固形分50重量%、エポキシ当量(固形分)950g/eq
・エポキシ樹脂B:フェノールノボラック型ビスフェノールAエポキシ樹脂のミネラルスピリット溶液、固形分50重量%、エポキシ当量(固形分)730g/eq
・エポキシ樹脂C:フェノールノボラック型ビスフェノールAエポキシ樹脂のミネラルスピリット溶液、固形分50重量%、エポキシ当量(固形分)550g/eq
・エポキシ樹脂D:フェノールノボラック型ビスフェノールAエポキシ樹脂のミネラルスピリット溶液、固形分50重量%、エポキシ当量(固形分)1600g/eq
・エポキシ樹脂E:ビスフェノールAエポキシ樹脂溶液、固形分50重量%、エポキシ当量(固形分)240g/eq
・アミン硬化剤A:脂肪族ポリアミドアミン、固形分100重量%、活性水素当量(固形分)80g/eq
・アミン硬化剤B:脂肪族ポリアミドアミン、固形分100重量%、活性水素当量(固形分)230g/eq
・アミン硬化剤C:脂肪族ポリアミン、固形分100重量%、活性水素当量(固形分)20g/eq
・シラン化合物:N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン
・炭化水素溶剤:ミネラルスピリットと芳香族炭化水素の混合物
・アルコール溶剤A:イソプロピルアルコール、SP値11.5、沸点82℃
・アルコール溶剤B:n−ブチルアルコール、SP値11.4、沸点117℃
・アルコール溶剤C:ベンジルアルコール、SP値12.1、沸点205℃
・添加剤:シリコン系消泡剤、増粘剤
【0037】
(実施例1〜10、比較例1〜4)
陶磁器タイル面の全面に対し、表2に示す組み合わせにて、下塗材を塗付け量0.15kg/m
2でスプレー塗装後、72時間乾燥させ、次に、上塗材1(弱溶剤形ウレタン樹脂系艶有りペイント)を陶磁器タイル部に対し塗付け量0.3kg/m
2でローラー塗装後、24時間乾燥させ、試験体を得た。なお、塗装及び乾燥は、標準状態(温度23℃・相対湿度50%RH)で行った。
【0038】
(試験1)
作製した試験体を水中に14日間浸漬した後、JIS K 5600−5−6に準じ、碁盤目テープ法にて密着性を評価した。結果は表2に示す。評価基準は以下の通りである。
5:欠損部なし
4:欠損部の面積が10%未満
3:欠損部の面積が10%以上25%未満
2:欠損部の面積が25%以上40%未満
1:欠損部の面積が40%以上
【0039】
(試験2)
作製した試験体について、水浸漬18時間・−20℃3時間放置・50℃3時間放置を1サイクルとする温冷繰返し試験を合計10サイクル行った後、その外観変化を目視にて観察した。結果は表2に示す。評価は、不具合(膨れ、剥れ、割れ等)の発生が認められなかったものを「A」、明らかに不具合の発生が認められたものを「D」とする4段階(A>B>C>D)で行った。
【0040】
(試験3)
試験1で作製した試験体について、水浸漬18時間・−20℃3時間放置・80℃3時間放置を1サイクルとする温冷繰返し試験を合計30サイクル行った後、その外観変化を目視にて観察した。結果は表2に示す。評価は、不具合(膨れ、剥れ、割れ等)の発生が認められなかったものを「A」、明らかに不具合の発生が認められたものを「D」とする4段階(A>B>C>D)で行った。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
(試験4)
実施例3〜6について以下の試験を行った。
陶磁器タイル面の全面に対し、表2に示す組み合わせにて、下塗材を塗付け量0.15kg/m
2でスプレー塗装後、72時間乾燥させた。(塗装及び乾燥は5℃雰囲気下にて行った。)
次に、上塗材1(弱溶剤形ウレタン樹脂系艶有りペイント)を陶磁器タイル部に対し塗付け量0.3kg/m
2でローラー塗装後、24時間乾燥させ、試験体を得た。(塗装及び乾燥は、標準状態(温度23℃・相対湿度50%RH)で行った。)
作製した試験体について、試験1と同様の評価を行った。
その評価結果は、実施例3が「3」、実施例4及び実施例5が「4」、実施例6が「5」となった。