(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの四級アンモニウム塩が、ベンザルコニウムサッカリネート、ベンザルコニウム硝酸塩、ジデシルメチルアンモニウム炭酸塩、ジデシルメチルアンモニウム炭酸水素塩、N,N−ジデシル−N−メチル−(ポリオキシルエチル)アンモニウムプロピオン酸塩およびこれらの混合物から選択される、
請求項1に記載の水性組成物。
5〜60mg/Kgのグルコシド系界面活性剤と組み合わせて、場合により、10〜20mg/kgのソルビタンモノラウレート 20mol EOとも組合せて、C10エトキシル化アルコール、6mol EO、C13エトキシル化アルコール 8mol EO、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1つのエトキシル化アルコールを50〜600mg/Kgさらに含む、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の水性組成物。
【背景技術】
【0002】
殺菌の分野において、
消毒/抗菌組成物としての過酸化水素および/または銀イオンに由来する水溶液の使用はよく知られている。
【0003】
EP1100341号は、その悪化を防止するために植物および食品を処理するための方法および組成物を開示し、これを使用し、成長培地および水、作業場および表面などの有害な有機体を取り除くか、またはその量を減らすこともできる。この方法は、0.001%〜50%の濃度の過酸化水素と、1ppb〜5%の範囲の量の分散した金属または金属イオンとを含む水溶液の使用を含み、銅、亜鉛、ニッケル、鉄、マンガン、モリブデン、カリウムおよびこれらの組み合わせから選択される金属イオンの有効濃度は、2.5%以下であり、銀イオンの有効濃度は2.5%以下であり、可能な添加剤を添加する。
【0004】
FR 2860721号は、正確な操作順序に従い、製品の毒性およびアレルゲン活性の観点での限界を超えることなく、有効な処理を得るのに十分な液体の用量を運ぶように、部屋自体の大気に
消毒溶液を散布することによって部屋を処理するための方法を開示する。
【0005】
WO2010001319号は、部屋を殺菌するのに使用可能な、銀イオンおよび過酸化水素との混合物の状態で少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む
消毒組成物を開示し、例えば、エトキシル化アルコールのような非イオン性界面活性剤を使用することができる。
【0006】
特許EP 059 978 A1号は、過酸化水素および四級アンモニウム塩(特に、塩化物)と会合した状態で銅または銀のイオンを含む、スイミングプールの水を処理するための
消毒組成物を開示する。カチオン性界面活性剤(四級アンモニウム塩)が使用される歯科用途に適した同様の
消毒組成物は、特許出願EP1557088号(しかし、組成物のための安定化剤としてクエン酸を使用する)または特許出願EP1382666号にも開示されている。
【0007】
過酸化水素および銀イオンに由来する水溶液が使用され、抗菌活性、殺ウイルス活性および抗真菌活性を有するASP Glosair
TMと呼ばれる既知の系も存在し、ベンチュリ効果を活用することによって、特定の操作条件(例えば、かなり長い作業時間、運ばれる生成物の量がかなり多い、8〜12ミクロンの大きな液滴を含むミスト)下で微生物を破壊することができる十分な濃度の酸化化学種を生成することができる拡散デバイスを用い、室内にミストとして拡散する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本記載および添付の特許請求の範囲において、
消毒溶液に含まれる構成要素の濃度は、最終溶液1Kgあたりの構成要素のグラム数(またはミリグラム数)としてあらわされる(g/Kgまたはmg/Kg)。
【0016】
「C
1−C
22アルキル基」という用語は、1〜22個の炭素原子を含み、直鎖または分枝鎖の、例えば、フェニル基、カルボニル基、エステル基またはエーテル基などで場合により置換されたアルキル残基を示す。
【0017】
「直鎖または分枝鎖のC
1−C
4アルコール」は、1〜4個の炭素原子を含み、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどから選択される有機アルコール化合物を示す。
【0018】
「アリール基」という用語は、可能ならば、アルキル基、エステル基またはエーテル基で置換された、6個の炭素原子を含む芳香族残基を示す。
【0019】
「エトキシル化度」EO(または「プロポキシル化度」OP)という用語は、エポキシレート(および/またはプロポキシレート)誘導体1モル中に存在するエトキシド−(CH
2CH
2O)−(またはプロポキシド−CH
2CH(CH
3)−O−)のモル数を示す。
【0020】
「脂肪族アルコール」という用語は、8〜24個の炭素原子を含む直鎖脂肪族アルコールを示す。
【0021】
「銀イオンと
適合性のある四級アンモニウム塩」は、この塩と銀イオンとの相互作用に起因して実質的な沈殿を生じることなく、本組成物中で混合することができるアンモニウム塩を示す。
【0022】
アンモニウム塩は、正電荷を保持し、可能ならば1つ以上の脂肪族および/または芳香族のC
1−C
22官能基で置換された窒素原子を含み、カウンターイオンが銀イオンと
適合性がない場合(例えば、塩化物カウンターイオン(Cl
−)など)に起こり得るような沈殿現象を生じることなく、水溶液の形態で本発明の組成物中にアンモニウム誘導体および銀塩が存在することを可能にするカウンターイオンを有することを特徴とする。
【0023】
「水溶液」という用語は、種々の構成要素を水に溶解するか、または混合することによって得られる液体組成物を示すことを意味し、この溶液は、例えば、沈殿、懸濁物などに起因する残渣を含まない。
【0024】
「脱イオン水」という用語は、塩成分が抽出され、好ましくは、導電率≦0.1μS/cmの水を示す。
【0025】
「
消毒剤」という用語は、特に、室内環境、例えば、部屋、家屋など(これらに含まれる任意の物体を含む)の処理に適した、抗菌特性、殺ウイルス特性、殺胞子性特性、抗真菌特性および/または抗マイコバクテリア特性を付与する薬剤を示す。
【0026】
「乾燥ミスト」という用語は、接触して配置される表面を濡らさないミストを示すことを意味している。空気を含む液滴の分散物がドライミストのような挙動をするためには、このミストが、10ミクロン未満の粒径を有していなければならない。
【0027】
上述のように、本発明の組成物は、過酸化水素および銀イオン(Ag
+)と会合した状態で、驚くべきことに、アニオン性構成要素と銀イオンとの相互作用に起因して沈降する物質または沈殿が確実に存在しないようにしつつ、迅速な作用速度に関連して、組成物に強い殺菌特性を付与することができる少なくとも1つの四級アンモニウム塩を含有することを特徴とする。従って、本発明の組成物は、部屋および部屋に含まれる物体、例えば、病院、外来クリニック、手術室、一般的に、平均的な微生物汚染に比例して高い殺菌度を有することが必要なヘルスケア環境を殺菌するのに適している。
【0028】
一改変例によれば、本発明の組成物は、0.5重量%以下、好ましくは0.3重量%以下の量の乾燥残渣を含むことを特徴とする。
【0029】
本発明の
消毒組成物において、好ましい四級アンモニウム塩は、
互いに同一また
は異なるC
1−C
22アルキル基またはアルキルアリール基で置換されたカチオン性窒素から構成される。上述のカチオン性窒素原子は、銀イオンと
適合性のあるカウンターイオンを有し、好ましくは、サッカリネートイオン、硝酸イオン、リン酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、プロピオン酸イオンおよび水酸化物イオンから選択され、いずれにせよ、沈殿を生じないものである。
【0030】
従って、本発明は、過酸化水素、リン酸イオンおよび/またはリン酸水素イオンおよび/またはホスホン酸イオンおよび少なくとも銀イオン(Ag
+)源を含み、銀イオンと
適合性があり、
互いに同一また
は異なるC
1−C
22アルキル基および/またはアルキルアリール基を含む少なくとも1つの四級アンモニウム塩をさらに含み、この四級アンモニウム塩は、サッカリネートイオン、硝酸イオン、リン酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、プロピオン酸イオンおよび水酸化物イオンから選択されるカウンターイオンを含むことを特徴とする、水性組成物に関する。
【0031】
一実施形態において、上述の少なくとも1つのアンモニウム塩は、ベンザルコニウムサッカリネート、ベンザルコニウム硝酸塩、ジデシルメチルアンモニウム炭酸塩、ジデシルメチルアンモニウム炭酸水素塩、ジデシルメチルポリオキシルエチルアンモニウムプロピオン酸塩およびこれらの混合物から選択され、好ましくは、ベンザルコニウムサッカリネート、ジデシルメチルポリオキシルエチルアンモニウムプロピオン酸塩およびこれらの混合物から選択される。
【0032】
ベンザルコニウムイオンは、複数のアルキルジメチルベンジルアンモニウムイオンの不均一な混合物のようであり、上述のアルキル基は、8〜18個の炭素原子を含み、好ましくは、偶数の炭素原子を含む直鎖アルキル基である。直鎖アルキル基が12〜18個の炭素原子を含むベンザルコニウムサッカリネート(アルキルジメチルベンジルアンモニウムサッカリネート−CAS番号68989−01−5)が特に好ましい。ベンザルコニウムサッカリネートは、市販されている。
【0033】
プロピオン酸塩誘導体に関し、同様に市販されるN,N−ジデシル−N−メチル−(ポリオキシルエチル)アンモニウムプロピオン酸塩−CAS94667−33−1が特に好ましい。
【0034】
少なくとも1つの四級アンモニウム塩が、溶液の0.01〜50g/Kg含まれる量で組成物中に存在していてもよく、200〜800mg/Kg含まれる値が特に好ましい。水性組成物が四級アンモニウム塩の混合物を含む場合、その量は、組成物中に含まれるアンモニウム塩の合計量を指す。
【0035】
本出願人らは、驚くべきことに、十分な濃度のAg
+イオンおよび過酸化水素と共に上述のような少なくとも1つの四級アンモニウム塩が存在すると、本発明の
消毒溶液にさらに強い殺菌特性を付与することを発見した。この観点で、本発明の組成物は、表面への長期間にわたる接触を確保し、そのため、殺菌作用および静菌作用を、通常の処理時間を超えても長く継続しつつ、特に、カビおよび酵母に対し、優れた殺菌の有効性を示す。さらに、作用の迅速さも特に便利である。
【0036】
本発明の組成物は、さらに、銀イオン(Ag
+)源を、特に、硝酸塩、クエン酸塩または水酸化物から選択される塩の形態で含み、硝酸銀
(AgNO3)が特に好ましい。
【0037】
Ag
+イオン源は、組成物中に、溶液1kgあたり10〜200mgのAg
+イオン源が含まれる量で存在し、50〜150mg/Kgの量が特に好ましい。
【0038】
過酸化水素は、本発明の組成物中に、5〜200g/Kg、好ましくは10〜100g/Kg、さらに好ましくは30〜100g/Kg、さらになお好ましくは60〜80g/Kg含まれる濃度で使用される。利用可能な(安定化された)過酸化水素は、例えば、食品グレードまたは化粧品グレードのH
2O
2の形態で、市場で簡単に見つけることができる。
【0039】
リン酸イオン(PO
43−)、リン酸水素イオン(HPO
42−および/またはH
2PO
4−)および/または下式のホスホン酸イオン(後者のホスホン酸イオンは、ほとんどが、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、HEDPまたはエチドロン酸(editronic acid)から誘導される)
【0041】
は、本発明の組成物中に、溶液の50〜2000mg/Kg、好ましくは100〜500mg/Kg、さらに好ましくは100〜200mg/Kg含まれる量で存在していてもよい。上述のリン酸イオン(PO
43−)、リン酸水素イオン(HPO
42−および/またはH
2PO
4−)および/またはホスホン酸イオンは、リン酸塩および/またはリン酸、アルカリ金属リン酸塩またはアルカリ土類金属リン酸塩、水溶性ジホスホン酸または誘導体、リン酸(H
3PO
4)またはこれらの混合物を加えることによって、本発明の
消毒組成物に導入することができる。リン酸イオンの場合には、アンモニウム塩のカウンターイオンとして組成物に導入することもできる。好ましい実施形態において、本発明の組成物は、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸および/またはKH
2PO
4を、さらになお好ましくは、溶液の150〜300mg/Kg、好ましくは100〜200mg/Kg含まれる合計量で含む。この観点で、リン酸塩および/またはリン酸水素イオンおよび/またはホスホン酸イオンは、過酸化水素のための安定化効果を発揮すると考えられる。特に、上述のイオンの導入によって、酸性pHを有する緩衝溶液の生成を伴い、最適な様式でpHを過酸化水素がもっと安定になり、特に高い酸化能を有する値に調節することができる。従って、本発明の一実施形態において、
消毒組成物のpHは、5未満、さらになお好ましくは1〜4の値に調節され、2〜3を含む値が特に好ましい。pH調節は、上述の少なくとも1種類のリン系誘導体を添加することによって、および/またはカルボン酸(例えば、クエン酸)を加えることによって達成することができる。
【0042】
驚くべきことに、一般的な四級アンモニウム塩(例えば、塩化物の形態)と銀イオンとの会合の後に起こることとは対照的に、本発明の組成物は、過酸化水素および銀イオンの両方と、カチオン性塩自体の抗菌作用および殺菌作用をさらに増加させるのに役立つ。本発明の組成物は、実際に、四級アンモニウム塩とAg
+イオンとの会合から典型的に生じる有害となる沈殿または沈降する物体を実質的に生成することなく、安定な水溶液の形態を長時間にわたって維持することができる。その安定性のおかげで、本発明の組成物は、短期間および長期間にわたる抗菌殺菌効果を示すことができる。Ag
+イオンの存在によって、組成物に長期間にわたる殺菌作用を付与し、一方、アンモニウム塩が、比較的短期間の殺菌作用を発揮する。
【0043】
さらに、以下に記載するエトキシル化化合物および/またはプロポキシル化化合物のような界面活性剤が存在すると、本発明の組成物の高い濡れ性および作用の有効性を確保し、このことが、本発明の組成物を特に有利で便利なものにする。この観点で、一実施形態によれば、本発明の組成物は、エトキシル化度EOおよび/またはプロポキシル化度OPが4〜40mol、好ましくは4〜22の少なくとも1つのエトキシル化誘導体および/またはプロポキシル化誘導体も含んでいてもよい。好ましくは、本発明の
消毒水性組成物は、8〜18個の炭素原子(C
8−C
18)を含むエトキシル化アルコールの混合物を含む。一例として、「エトキシル化誘導体20mol EO」は、20molのエチレンオキシドと反応した脂肪族アルコールを示す。
【0044】
さらなる改変例によれば、本発明の組成物は、上に明記した構成要素に加え、少なくとも1つのエトキシル化および/またはプロポキシル化C
10−C
18アルコール、4〜40mol EO/OPを含んでいてもよい。
【0045】
さらなる実施形態において、組成物は、5〜60mg/Kg、好ましくは10〜40mg/kgのグルコシド系界面活性剤(例えば、ココグルコシド、すなわち、エーテル結合を用いてグルコースオリゴマーに結合したC8−C16炭化水素)と組み合わせて、場合により、10〜20mg/kgのソルビタンモノラウレート 20mol EOも含み、50〜600mg/KgのC10エトキシル化アルコール、6mol EO、C13エトキシル化アルコール 8mol EO、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1つのエトキシル化アルコールを含む。
【0046】
出願人らは、上述の混合物の存在が、
消毒溶液を噴霧するプロセスを改良し、スプレー用途の場合、もっと大きな接触表面、均一な拡散およびもっと少ない用量を可能にすることに寄与することを発見した。エトキシル化誘導体および/またはプロポキシル化誘導体は、組成物中に、溶液の20〜1000mg/Kg、さらになお好ましくは、200〜600mg/Kg、最も好ましくは、200〜500mg/Kg含まれる量で存在していてもよい。
【0047】
本発明の組成物は、さらに、例えば、エタノール、プロパノールから選択されるC
1−C
4アルコール、好ましくは、イソプロパノールを含んでいてもよい。上述のアルコールを、一般的に、選択したアンモニウム塩とあらかじめ混合するため、本発明の組成物の水性環境での溶解性が向上する。
【0048】
上述のアルコールは、本発明の
消毒組成物中に、溶液の0.5〜100g/Kg、好ましくは0.5〜50g/Kg、さらに好ましくは0.5〜4g/Kg含まれる量で存在していてもよい。
【0049】
場合により、本発明の組成物は、少なくとも1つの有機C
1−C
12脂肪族および/または芳香族の酸、例えば、サリチル酸および/またはクエン酸を、好ましくは、溶液の10〜500mg/Kg含まれる量で含有していてもよい。上述の酸は、製品の殺菌/静菌効果をさらに向上させるのに有用である。
【0050】
本発明の組成物は、例えば、ホスホン酸、アミノおよび/またはグルコン酸の錯化剤または封鎖剤と、可能ならば、界面活性剤、典型的には、炭水化物からの界面活性剤、例えば、ココグルコシドなどを含んでいてもよい。好ましい錯化剤は、グルコン酸、EDTA、DTPAおよびホスホン酸から選択される。封鎖剤は、処理を受ける材料に対し、特に、微生物の膜において、その作用を発揮する。実際に、上述の封鎖剤は、一方でタンパク質の構成要素に作用し、他方で一般的に微生物を保護する複雑な構造を変性させる。
【0051】
従って、一実施形態において、本発明の組成物は、以下の構成要素を以下の量で含む。
【0052】
さらなる実施形態において、本発明の組成物は、以下のものを含む。
【0053】
水溶液の形態の本発明の組成物は、予備的な量の脱イオン水にAg
+イオン源および四級アンモニウム塩を加え、その後に、これに過酸化水素を加えることを伴うプロセスによって調製することができる。最終的に、リン酸塩および/またはリン酸水素イオンおよび/またはホスホン酸イオンと、場合により体積に達するように脱イオン水を加える。
【0054】
第1の改変例によれば、水性組成物は、適切な四級アンモニウム塩と選択したC
1−C
4アルコールとをあらかじめ混合することを伴うプロセスによって調製することができる。このことは、特に、組成物の水性環境において、サッカリネートの場合に、アンモニウム塩を可溶化しやすくするのに役立つ。
【0055】
従って、さらなる態様において、本発明は、
a.脱イオンH
2Oと補助構成要素(錯化剤、界面活性剤など)とを混合する工程と、
b.脱イオン水に、Ag
+イオン源と、
適合性のある四級アンモニウム塩
を加え、
適合性のある四級アンモニウム塩は、可能ならばC
1−C
4アルコールとあらかじめ混合する工程と、
c.H
2O
2を加える工程と、
d.好ましくは、リン酸および水を加えることによって、pHを5より低い値に調節する工程と、
を含む、上述の
消毒組成物を調製するためのプロセスに関する。
【0056】
好ましくは、上述の工程は、上述の好ましい実施形態に従って本発明の組成物を得るために、上に明記した順序で行われる。
【0057】
有利には、得られる
消毒水溶液は、高い殺菌力、作用の優れた迅速さを有し、乾燥残渣が非常に少ない。特に、乾燥残渣は、3g/Kg未満であってもよい。
【0058】
本発明の組成物は、さらに、銅、亜鉛などの重金属のイオンを含まず、上述の金属の存在から誘導され得る典型的な毒性の問題を実質的に避けつつ、大スケールで簡単に適用されてもよいことを特徴とする。
【0059】
さらに、本発明の組成物において、特に、ハロゲンイオンおよび塩化物が存在しないことは、特に、ステンレス鋼を含む金属から作られる物体に対する塩化物の腐食効果を最低限にするため、特に重要性がある。
【0060】
一実施形態において、本発明の組成物は、合計重量に対して3% p/p(30g/Kg)以下、好ましくは、5〜30g/Kgの量の過酸化水素を含むため、ゲルとして配合することも可能である。上述の配合物は、上述の組成物を当該技術分野で知られているゲル化剤と合わせることによって調製することができる。ゲルまたは乾燥ミストの形態の本発明の組成物の使用、または手動の噴霧器を用いて塗布することによる使用によって、殺菌剤、抗菌剤および静菌剤としての本組成物の広範囲にわたる用途が可能になる。
【0061】
さらなる態様によれば、本発明は、抗菌剤、殺ウイルス剤、殺胞子剤、抗真菌剤および/または抗マイコバクテリア剤としての既に定義されるような水性組成物の使用に関する。
【0062】
本発明のさらなる態様は、
(a)殺菌される部屋の体積を決定し、部屋自体に存在する物体に由来する露出した表面を評価する工程と、
(b)上の工程(a)で決定されたことに基づき、部屋に運ばれる本発明の
消毒水性組成物の最適な体積濃度を決定する工程と、
(c)乾燥ミストの形態で前記
消毒水性組成物を部屋に運ぶ工程と、
を含み、前記乾燥ミストを構成する粒子の100%が、3ミクロン以下の直径を有し、少なくとも50%が、0.40ミクロン以下の直径を有する、部屋および部屋に場合により含まれていてもよい物体を殺菌する方法に関する。
【0063】
本発明の方法の第1の改変例によれば、工程(a)の前に、最も適切な様式での処理を調整するために、微生物による部屋の汚染の種類および程度を決定することを目的として、さらなる工程(i)を行ってもよく、そのため、決定されたパラメータに基づき、運ばれる量を最適化する。
【0064】
殺菌される部屋の汚染の種類および程度の決定、殺菌処理の有効性の決定は、CFU/cm
2であらわされる生存可能な微生物の計測を行うために目的の微生物を培養する当該技術分野でよく知られた方法に基づいていてもよい。
【0065】
本発明の殺菌処理の有効性は、以下に示すように決定することができる。
【0066】
出願人らによって行われた実験に基づき、工程(b)の
消毒水性組成物の体積濃度は、約0.5ml/m
3〜30ml/m
3、さらに好ましくは約1ml/m
3〜10ml/m
3に含まれていてもよいことがわかった。
【0067】
工程(c)によって部屋へ運ぶことは、例えば、当該技術分野で使用され、粒子の100%が3ミクロン以下の直径を有し、少なくとも50%が、0.40ミクロン以下の直径を有する乾燥ミストを得ることができる噴霧デバイスを用いて行うことができる。さらに好ましい改変例によれば、乾燥ミストの形態で工程(c)において放出される粒子の少なくとも95%は、1ミクロン以下の直径を有し、粒子の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%が、0.4ミクロン以下の直径を有する。所与の直径を有する粒子の割合は、数の割合としてあらわされ、粒子の数および大きさは、以下に記載するように測定される。上述の間隔に含まれる粒径を有する粒子を部屋に運ぶことによって、ミストの落下現象(ミストが凝縮してもっと大きな粒径の液滴になり、床に落ちる)を避けることができるため、乾燥ミストを構成する粒子の空気中への均一な拡散および処理を受ける表面への均一な堆積が起こりやすくなる。
【0068】
好ましくは、上述の乾燥ミストを運ぶ速度は、約70m/秒〜90m/秒である。工程(c)中の拡散圧は、通常、好ましくは約5℃〜約40℃の乾燥ミストの形態で噴霧される
消毒溶液の温度を得るような様式で較正される。
【0069】
工程(c)において、乾燥ミストは、15.0〜20.0ml/分の流速で運ばれてもよい。
【0070】
本発明の方法の一改変例によれば、工程(c)中の溶液を噴霧する時間は、約10分未満であり、好ましくは、約1〜10分であり、さらに好ましくは、約2〜7分である。本発明の方法のこの改変例は、好ましくは、ヘルスケア環境(救急車、クリニック、患者の病棟、手術室など)の処理に適用される。
【0071】
一改変例によれば、本発明の方法は、望ましい殺菌レベルを達成するために、乾燥ミストの形態の
消毒組成物が、以前に確立された期間、部屋および部屋に含まれる物体と接触したままである、さらなる工程(d)を含む。存在する場合、この工程(d)は、持続時間が約5〜約180分、好ましくは、5〜120分であってもよい。
【0072】
上述の粒径を有する
消毒組成物の粒子を運ぶことを伴う本発明の方法は、短期間、低用量、均一な様式で、部屋および部屋に含まれる物体の効果的な殺菌を確保する。
【0073】
これにより、部屋および部屋に含まれる物体を1日の間に数回繰り返して、例えば、その微生物汚染度が悪化するそれぞれの使用後に殺菌することもできる。この可能性は、被検体が微生物の汚染を繰り返し受ける環境、例えば、手術室および病室または救急車の内装の殺菌に特に有利である。
【0074】
さらに、殺菌される部屋に存在する表面に、乾燥ミストの構成要素である粒子が堆積するおかげで、上述の方法に従って適用される場合、本発明の
消毒水性組成物は、短期間および長期間にわたる殺菌活性および/または静菌活性を発揮し、ある殺菌処理と別の殺菌処理の間の微生物による再汚染現象を予防し、および/または遅らせる。
【0075】
以下の非限定的な実験の章で、本発明を記載する。
【実施例】
【0076】
(実験の章)
(測定方法)
乾燥残渣:約100〜200gの
消毒組成物サンプルを、広く、適切な大きさのカプセルに注意深く秤量する。このサンプルを、105℃±2℃の温度制御されたオーブンに少なくとも3時間置く。その後、シリカゲル乾燥器中でサンプルを室温まで冷却し、残渣の重量を決定する。
【0077】
汚染の殺菌処理/程度の有効性:方法AFNOR NF T 72−281、May 2009。
【0078】
粒子の数および直径:Grimm spectrometer Mod.1.108を用いて測定した。
【0079】
(実施例1:本発明の組成物(AgQ)の調製)
1kgの製品の調製に関連して、
1− 500mgのベンザルコニウムサッカリネートと5gのイソプロピルアルコールをあらかじめ混合する。
【0080】
2− 100gの硝酸銀と約50mLの脱イオン水をあらかじめ混合する。
【0081】
3− 1リットルの容器中、攪拌しつつ、明記した順序で、約700mLの脱イオン水に加える。
【0082】
−クエン酸(40mg);ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(200mg);EDTA二ナトリウム(80mg/kg);エトキシル化アルコール 10、6mol EO(400mg/kg);ココグルコシド(10mg)
−サッカリネート溶液(1);
−硝酸銀溶液(2);
−約230gの過酸化水素130Vol(最終濃度が76g/Lに達するような)。
【0083】
4− 1〜2gのリン酸を加えることによってpHを調節する。
【0084】
5− 暗色容器に移し、使用時まで光源から離した寒い場所に保存する。
【0085】
(実施例2:抗菌剤としての本発明の組成物AgQの使用)
実施例1で調製した組成物AgQを噴霧することによって、約5×10
3コロニーのStaphylococcus aureus 6538で試験を行った。
【0086】
この組成物を乾燥ミストの形態で、55m
3の完全に閉じた部屋に、体積濃度1ml/m
3で3分間噴霧した。この組成物を運び終わってから30分後、この処理から得られる細菌コロニーの減少を決定した。
【0087】
得られたデータを表1にまとめており、表1は、対数百分率の観点であらわされた減少値を示す。
【0088】
比較のために、同じ表1は、以下の水性組成物を用い、上に記載したのと同じ方法に従って行われた処理の後の減少値を示す。
【0089】
Q(比較):76g/Kgの過酸化水素と0.5g/Kgの塩化ベンザルコニウムを含有する殺菌水性組成物。
【0090】
C(比較):76g/Kgの過酸化水素と100g/Kgの硝酸銀を含有する殺菌水性組成物。
【0091】
(表1)
組成物Q、CおよびAgQの比較データ
【0092】
この表からわかるように、本発明の組成物AgQは、組成物Q(過酸化水素と四級アンモニウム塩化物を含む)および組成物C(過酸化水素と銀イオンを含む)の両方よりも明らかに良い作用を示す。
【0093】
(実施例3:乾燥ミスト粒子の数および大きさの決定)
実施例1で調製した組成物AgQを、実施例2に記載する条件で噴霧したが、放出された粒子の数および大きさを決定するために、空気を含む粒子のサンプルを採取した。
消毒組成物を運んでいる間に、Grimm spectrometer Mod.1.108によって、データ(ミスト粒子の数および大きさ)を得て、測定を6秒ごとに行った。
【0094】
図1は、その直径による、放出される粒子の数の分布百分率を示す。
【0095】
このグラフは、乾燥ミストの形態で拡散した粒子の60%より多くが、0.30〜0.40μmの間隔に入る寸法を有し、拡散した粒子の96%が、1.00μm未満の直径を有することを示す。さらに、拡散した粒子の100%が、3.00μm未満の直径を有する。