特許第6706672号(P6706672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6706672多数のアンテナユニットを有するユーザ装置にサービスを提供する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706672
(24)【登録日】2020年5月20日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】多数のアンテナユニットを有するユーザ装置にサービスを提供する方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 8/26 20090101AFI20200601BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20200601BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20200601BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20200601BHJP
【FI】
   H04W8/26 110
   H04W72/04 111
   H04W16/28
   H04W88/02 140
【請求項の数】14
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2018-518403(P2018-518403)
(86)(22)【出願日】2016年3月28日
(65)【公表番号】特表2018-524954(P2018-524954A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(86)【国際出願番号】KR2016003119
(87)【国際公開番号】WO2016208852
(87)【国際公開日】20161229
【審査請求日】2019年1月17日
(31)【優先権主張番号】62/182,625
(32)【優先日】2015年6月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100109841
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 健史
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】パク,クンミン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ジウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム,キテ
(72)【発明者】
【氏名】リ,キルボム
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒジン
【審査官】 深津 始
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/063819(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/084844(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 −H04B 7/26
H04W 4/00 −H04W 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおいて多数のアンテナユニットを有するUE(user equipment)がネットワークからサービスを受信する方法であって、
複数のRNTI(Radio Network Temporary Identifier)を前記ネットワークの第1ノードに登録する段階であって、前記複数のRNTIの各々は前記UEにおける複数のアンテナユニットの少なくとも1つと関連し、前記複数のRNTIはデフォルトUE識別子および複数の仮想UE識別子に使用される、段階;及び
前記複数のRNTIの少なくとも1つに基づいて前記UEと前記ネットワークの前記第1ノードとの間に構成される1つ以上の無線ベアラを介して前記ネットワークから前記サービスを受信する段階であって、前記ネットワークから前記サービスを受信するための同一の無線ベアラが当該多数の仮想UE識別子に関連するアンテナユニットに使用される、段階を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の無線ベアラを介して前記サービスを受信する段階は、前記第1ノードと前記複数のアンテナユニットとの間の複数の論理的チャネルを介して行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記論理的チャネルの各々に対し、
前記ネットワークの第1ノードでの第1無線リンク制御(RLC)プロトコル個体と前記UEでの第2RLCプロトコル個体を構成する段階をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記論理的チャネルの各々に対し、
前記ネットワークの第1ノードでの第1パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)個体と前記UEでの第2PDCP個体を構成する段階をさらに含み、前記第1及び第2PDCP個体は前記第1及び第2RLCプロトコル個体によって処理されるサービスデータのインターネットプロトコル(IP)ヘッダーを管理する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のアンテナユニットは前記ネットワークの前記第1ノード以外のノードによって一つのUEにあると認識される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のアンテナユニットは互いに物理的に離れている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のRNTIに基づいてサービスを受信するための前記1つ以上のベアラは、UEとパケットデータネットワークとインターフェースされたネットワークゲートウェイとの間のIP連結を提供する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
複数の無線ベアラが前記ネットワークからの複数のサービスのために設定され、
前記複数の無線ベアラは、前記複数のRNTIに基づいてサービスを受信するための無線ベアラと、一つのアンテナユニットに関連したRNTIに基づいて設定される少なくとも一つの他のベアラとを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1ネットワークノードは、前記UEと一つ以上の無線ベアラを設定し、前記ネットワークのサービングゲートウェイ(S−GW)と一つ以上のS1ベアラを設定する基地局である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上のベアラを介して前記サービスを受信するのに使われる前記複数のRNTIは一つのS1ベアラに関連した一つの無線ベアラが使用されるアンテナユニットと関連する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記UEは、車内分散アンテナシステム(DAS)を採用する車両UEを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
無線通信システムにおいてネットワークが多数のアンテナユニットを有するUE(user equipment)にサービスを提供する方法であって、
前記ネットワークの第1ノードに複数のRNTI(Radio Network Temporary Identifier)を登録する段階であって、前記複数のRNTIの各々は前記UEにおける複数のアンテナユニットの少なくとも1つと関連し、前記複数のRNTIはデフォルトUE識別子および複数の仮想UE識別子に使用される、段階;及び
前記複数のRNTIの少なくとも1つに基づいて前記UEと前記ネットワークの前記第1ノードとの間に構成される1つ以上の無線ベアラを介して前記UEに前記サービスを提供する段階であって、複数のUE識別子のうちの多数のRNTIに基づく多数の仮想UE識別子について、前記ネットワークから前記サービスを受信するための同一の無線ベアラが当該多数の仮想UE識別子に関連するアンテナユニットに使用される、段階を含む、方法。
【請求項13】
無線通信システムにおいてネットワークからサービスを受信するUE(user equipment)であって、
前記UE(10;100)は、
多数のアンテナユニット(115);
前記多数のアンテナユニットに連結され、前記ネットワークに信号を送信するとか前記ネットワークから信号を受信するように構成される送受信機(110);及び
前記送受信機に連結され、前記送受信機を制御するように構成されるプロセッサ(120)を含み、
前記プロセッサは、
複数のRNTI(Radio Network Temporary Identifier)を前記ネットワークの第1ノード(18)に登録する段階であって、前記複数のRNTIの各々は前記UEにおける複数のアンテナユニットの少なくとも1つと関連し、前記複数のRNTIはデフォルトUE識別子および複数の仮想UE識別子に使用される、段階;及び
前記複数のRNTIの少なくとも1つに基づいて前記UEと前記ネットワークの前記第1ノードとの間に構成される1つ以上の無線ベアラを介して前記ネットワークから前記サービスを受信する段階であって、複数のUE識別子のうちの多数のRNTIに基づく多数の仮想UE識別子について、前記ネットワークから前記サービスを受信するための同一の無線ベアラが当該多数の仮想UE識別子に関連するアンテナユニットに使用される、段階を実行するように構成される、UE。
【請求項14】
無線通信システムにおいて多数のアンテナユニットを有するUE(user equipment)(10)にサービスを提供するネットワークノードであって、
前記ネットワークノード(18;200)は、
UEに信号を送信するとかUEから信号を受信するように構成される送受信機(210);及び
前記送受信機に連結され、前記送受信機を制御するように構成されるプロセッサ(220)を含み、
前記プロセッサは、
前記ネットワークの第1ノードに複数のRNTI(Radio Network Temporary Identifier)を登録する段階であって、前記複数のRNTIの各々は前記UEにおける複数のアンテナユニットの少なくとも1つと関連し、前記複数のRNTIはデフォルトUE識別子および複数の仮想UE識別子に使用される段階;及び
前記複数のRNTIの少なくとも1つに基づいて前記UEと前記ネットワークの前記第1ノードとの間に構成される1つ以上の無線ベアラを介して前記UEにサービスを提供する段階であって、複数のUE識別子のうちの多数のRNTIに基づく多数の仮想UE識別子について、前記ネットワークから前記サービスを受信するための同一の無線ベアラが当該多数の仮想UE識別子に関連するアンテナユニットに使用される、段階を実行するように構成される、ネットワークノード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[1] 本文書は無線通信システムに関するものである。より詳しくは、本文書は多数のアンテナユニットを用いた無線通信に関するものである。
【0002】
[2] 本文書では主に車内分散アンテナシステム(in−vehicle distributed antenna system;DAS)を具現する例を挙げて説明するが、これは例示的なものである。提案する方式/構造はコードワード/レイヤーの個数が増加したMIMO(multiple input−multiple output)システムの構造を単純化するために使うことができる。
【背景技術】
【0003】
[3] 主に個人移動通信装置をサーブする従来の移動通信システムにおいて、UEの速度と要求されるデータ送信速度及びサービス品質(quality of service;QoS)は反比例の関係にある。したがって、従来の通信システムは速度が低いUEに対して高いデータ送信速度/QoSを提供して速度が高いUEに対してはデータ送信速度(data rate)/QoSがちょっと低くても無線リンク失敗がない信頼性あるサービスを提供するように構成される。
【0004】
[4] 次世代通信システムにおいては、要求されるサービスの範囲が増加するので、高速のUEに対して高いデータ送信速度/サービス品質が必要である。例えば、車両又は大衆交通の利用者は高速道路を走行するうちにマルチメディアサービスを用いることを願う。また、利用者は車両の速度が速い時にもっとマルチメディアサービスを楽しむことを願う。
【0005】
[5] このような要求を満たすために、二つの接近方法があり得る。その一方法は高速の利用者に高品質のサービスを提供するためにネットワーク基盤施設(infrastructure)そのものを向上させることであり、他の一つはネットワーク基盤施設に大きな影響を与えずにこれを提供する新しいシステム/方式である。
【0006】
[6] 二番目の接近方法のための一つの解決策として車両MIMOシステムを考慮することができる。従来の車両MIMOシステムにおいて、前記目的を達成するために、車両にサイズが大きなアンテナアレイが具現される。しかし、車両の外部にサイズの大きなアンテナアレイを具現すれば、車両のデザインと空気力学に問題が生じる。したがって、車両販売者はこのような種類のサイズの大きなアンテナアレイの具現に気が進まない。現在、販売者は車両にシャークアンテナ(shark antenna)を使うことを好む。
【0007】
[7] 図1は車両通信のための従来のシャークアンテナシステムの構造を示す。
【0008】
[8] 従来のシャークアンテナシステムは組合せアンテナシステム(combinational antenna system)である。図1に示したように、シャークアンテナシステムは、一つの物理的構造内に多様なアンテナを具現した。図1で、シャークアンテナは一つのアンテナに4個以上の他のバンド/サービスのための組み合わせられた構造を含む。よって、高品質の移動通信サービスの提供が制限される。
【0009】
[9] しかし、車両販売者がサイズの大きなアンテナシステムの代わりにこのようなシャークアンテナを好む理由はアンテナのための空間を減らすためである。大きなアンテナは車両のデザイン上良くなく、車両の本来の駆動性能を減少させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
[10] このような問題を解決するために、本発明の発明者は車内分散アンテナシステム(以下、車内DAS)の使用を提案した。
【0011】
[11] 図2は車内に具現される車内DASの概念を示す図である。
【0012】
[12] 図2に示したように、車内DASは車内に配置された比較的小さな多数のアンテナユニットを使う。多数のアンテナユニットは、例えば図2に示したように、車両のコーナーに配置されることができる。このような多数のアンテナユニットはDU(distributed unit)と名付けることができる。車内DASのCU(central unit)は車両のそれぞれのDUを制御することができる。
【0013】
[13] DUは車内で互いに離れているから、相異なる独立的な物理的チャネル特性を有する。よって、ダイバーシティ利得(diversity gain)が提供されることができるが、それぞれの物理的チャネル特性を考慮するために、シグナリングオーバーヘッドが増加することができる。
【0014】
[14] また、車内DASを具現するためには、従来のMIMOシステムに比べて追加的な考慮事項が必要である。
【0015】
[15] 図3及び図4は車内DASを具現するとき、セル選択のために要求される追加的な考慮事項の一例を示したものである。
【0016】
[16] 従来の移動通信システムにおいて、セル選択は、受信された信号の信号強度が減少しもっと高い信号強度を有する他のセルがある場合に行われる。すなわち、セル選択はそれぞれのセルの信号強度のみに基づいて行われる。しかし、車内DASが具現される場合、それぞれのDUに対するレイ(ray)のダイバーシティも考慮することがもっと好ましい。
【0017】
[17] 図3において、大きなトラックが車両と一緒に移動しながら通信中である。両車両が類似の速度を有すれば、ネットワークからの特定方向のレイ(rays)が相当時間の間に遮断されることができる。これにより、車両内の利用者のためのサービスの品質が低下することができる。したがって、セル選択を行うとき、レイ(rays)のダイバーシティも考慮することが好ましい。
【0018】
[18] 図4に示したように、第1セルc0は最強信号を提供する最も近いセルであるが、ただ一方向のレイのみを提供する。しかし、第2セルc1は第1セルc0より信号強度がちょっと低いが、多様なレイを提供する。この場合、図3で説明したように、レイ分布(ray distribution)におけるダイバーシティがもっと安定的なサービスを提供するので、第2セルc1がより良い選択となることができる。
【0019】
[19] したがって、車内DASは追加的な考慮が必要であり得、複雑度が増加する。
【0020】
[20] また、車内DASを具現するためには、コードワード/レイヤーの数が従来の4G LTE及びLTE−Aシステムに比べて増加することができる。
【0021】
[21] 図5はLTE−Aシステムにおける上りリンクMIMO送信のための過程を示す図である。
【0022】
[22] LTE−Aシステムにおいて、上りリンクにおける同時送信のために2個のコードワードが支援される。コードワードはUE特定IDとセルIDを用いてスクランブルされる(301)。スクランブルされたコードワードは変調されて変調シンボルストリームが得られる(302)。その後、変調シンボルストリームは特定数のレイヤーにマッピングされる(303)。LTE−Aにおいて、上りリンク送信ために最大で4個のレイヤーが支援される。コードワードとレイヤー間のマッピング関係は次のようである。
【表1】
【0023】
[23] ここで、
【数1】
は各レイヤーに対するシンボルの個数を示し、
【数2】
はコードワードqに対するシンボルの個数を示す。
【数3】
は(k+1)番目レイヤーに対する(i+1)番目シンボルを示し、
【数4】
は(q+1)番目コードワードに対する(i+1)番目シンボルを示す。
【0024】
[24] そして、前記レイヤーは特定のプリコーディング行列でプリコードされる(304)。上りリンク送信のためのプリコーディング行列は使われるレイヤーの数によってコードブックで選択される。コードブックは次のように定義される。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0025】
[25] プリコードされたシンボルはリソース要素にマッピングされてから(305)処理されて単一搬送波−周波数分割多重アクセス(single carrier−frequency division multiple access(SC−FDMA))信号を形成する(306)。
【0026】
[26] 下りリンクMIMO送信のためのプロセッシングチェーン(processing chain)は図5と類似しているが、LTE−Aシステムは同時送信で最大で2個のコードワードと8個のレイヤーを支援する。したがって、レイヤーマッピング関係は次のように拡張される。
【表6】
【表7】
【0027】
[27] 下りリンク送信に対するコードブックも拡張される。
【0028】
[28] これにより、車内DASを具現するために支援されるコードワードとレイヤーの個数を増加させれば、このための標準化が非常に複雑になる。
【課題を解決するための手段】
【0029】
[29] 前記目的を達成するために、無線通信システムにおいてUE(user equipment)がネットワークからサービスを受信する方法を提案する。多数のアンテナユニットを有するUEに対し、前記方法は、多数のUE識別子を前記ネットワークの第1ノードに登録する段階、ここで、前記それぞれのUE識別子は前記UEの多数のユーザ末端の一つと関連し、それぞれのユーザ末端は前記UEの多数のアンテナユニットの少なくとも一つのサブセットを含み;及び前記多数のUE識別子を用いて前記ネットワークとのベアラを介して前記サービスを受信する段階を含む。
【0030】
[30] “ユーザ末端(user terminations)”は自分が使用する他のアンテナユニットを考慮して一つ以上のネットワークノード、例えばeNB(evolved Node B)によって互いに区別されるUEとして認識する個体である。ここで、より高いレベル(ベアラ)で動作する一つ以上の他のネットワークノード、例えばEPC(evolved packet core)のノードはこのような区別を認識することができなく、サービスの伝達及び品質を制御することができる。このような特徴はサービス品質管理に影響を与えないながらUEとネットワーク間の無線リンクの管理に柔軟性を提供する。また、このような特徴は特に速く動くUE、例えば車内DASに適する。
【0031】
[31] また、“ユーザ末端”は“仮想UE”又は“VUE”と名付けることができ、二つの用語を以下で代案的に使う。
【0032】
[32] 一実施例において、ベアラを介したサービスの受信は第1ノードと多数のユーザ末端間の多数の論理的チャネルを介して行われる。前記方法は、前記それぞれの論理的チャネルに対して前記ネットワークの第1ノードでの第1RLC(radio link control)プロトコル個体と前記UEでの第2RLCプロトコル個体を構成する段階をさらに含む。また、前記方法は、前記それぞれの論理的チャネルに対し、前記ネットワークの第1ノードでの第1PDCP(packet data convergence protocol)個体と前記UEでの第2PDCP個体を構成する段階を含む。ここで、前記第1及び第2PDCP個体は前記第1及び第2RLCプロトコル個体によって処理されるサービスデータのIPヘッダーを管理する。
【0033】
[33] 前記UEの多数のユーザ末端は前記ネットワークの第1ノード以外のノードによって一つのUEと認識される。
【0034】
[34] 一例において、前記UEの多数のアンテナユニットは前記UE内から離れた位置に位置する。
【0035】
[35] 一例において、前記多数のUE識別子を用いてサービスを受信するベアラは前記UEとパケットデータネットワークとインターフェースされたネットワークゲートウェイの間にインターネットプロトコル(IP)連結を提供する。
【0036】
[36] 前記多数のUE識別子はRNTI(radio network temporary identifier)を含む。
【0037】
[37] 多数のベアラが前記ネットワークからの多数のサービスのために設定される場合、前記多数のベアラは、前記多数のUE識別子を用いてサービスを受信するベアラと、一つのユーザ末端と関連するUE識別子を用いて設定される少なくとも一つのベアラとを含むことができる。
【0038】
[38] 一実施例において、前記第1ネットワークノードは、前記UEと一つ以上の無線ベアラを設定し、前記ネットワークのサービングゲートウェイ(S−GW)と一つ以上のS1ベアラを設定するeNBである。前記ベアラを介して前記サービスを受信するのに使われる前記多数のUE識別子は一つのS1ベアラと関連した一つの無線ベアラを共有するユーザ末端と関連することができる。
【0039】
[39] 本発明の他の態様は、無線通信システムにおいてネットワークが多数のアンテナユニットを有するUEにサービスを提供する方法に関するものである。前記方法は、前記ネットワークの第1ノードに多数のUE識別子を登録する段階、ここで、前記それぞれのUE識別子は前記UEの多数のユーザ末端の一つと関連し、それぞれのユーザ末端は前記UEの多数のアンテナユニットの少なくとも一つのサブセットを含み;及び前記多数のUE識別子を用いて前記ネットワークとのベアラを介して前記UEに前記サービスを提供する段階を含む。
【0040】
[40] 本発明のさらに他の態様は無線通信システムにおいてネットワークからサービスを受信するUEに関するものである。前記UEは、多数のアンテナユニット;前記多数のアンテナユニットに連結され、前記ネットワークに信号を送信するとか前記ネットワークから信号を受信するように構成される送受信機;及び前記送受信機に連結され、前記送受信機を制御するように構成されるプロセッサ120を含む。前記プロセッサは、多数のUE識別子を前記ネットワークの第1ノードに登録し、ここで、それぞれのUE識別子は前記UEの多数のユーザ末端の一つと関連し、それぞれのユーザ末端は前記UEの多数のアンテナユニットの少なくとも一つのサブセットを含み;前記多数のUE識別子を用いて前記ネットワークとのベアラを介して前記サービスを受信するように構成される。
【0041】
[41] 本発明のさらに他の態様は無線通信システムにおいて多数のアンテナユニットを有するUEにサービスを提供するネットワークノードに関するものである。前記ネットワークノードは、UEに信号を送信するとかUEから信号を受信するように構成される送受信機;及び前記送受信機に連結され、前記送受信機を制御するように構成されるプロセッサを含む。前記プロセッサは、多数のUE識別子を登録し、ここで、前記それぞれのUE識別子は前記UEの多数のユーザ末端の一つと関連し、それぞれのユーザ末端は前記UEの多数のアンテナユニットの少なくとも一つのサブセットを含み;前記多数のUE識別子を用いてベアラを介して前記UEにサービスを提供するように構成される。
【発明の効果】
【0042】
[42] 前記方式を用いることによって高ランク通信と多重コードワード同時送信のための標準化を簡素化することができ、従来のネットワーク構成に大きく影響を与えないながら高い通信処理量(throughput)を得ることができる。
【0043】
[43] 本発明の効果は以上で言及した効果に制限されず、言及しなかった他の効果は以下の説明から当業者に明らかに理解可能であろう。また、本発明は以下の説明に基づいて当業者によって具現されることができるが、本発明は予期せぬ利点を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
[44] 本発明の理解を助けるために含まれる添付図面は詳細な説明と一緒に本発明の実施例を提供する。本発明の技術的特徴は特定の図面に制限されない。各図に開示された特徴を組み合わせて新しい実施例を構成することができる。各図の参照番号は構造要素を意味する。
【0045】
図1】[45]車両通信のための従来のシャークアンテナシステムの構造を示す。
図2】[46]車両に具現される車内DASの概念を示す。
図3】[47]車内DASが具現される場合、セル選択のために要求される追加的な考慮事項の一例を示す。
図4】車内DASが具現される場合、セル選択のために要求される追加的な考慮事項の一例を示す。
図5】[48]LTE−Aシステムにおいて上りリンクMIMO送信のための過程を示す。
図6】[49]仮想UE(VUE)概念の導入による送信(Tx)ビーム制御を詳細に示した図である。
図7】[50]多数の仮想UEとこれに相応するUE IDを定義する例示的な実施例を示す。
図8】[51]3GPPネットワークにおける現在のベアラ構造を示す。
図9A】[52]仮想UE方式を具現するための提案されたベアラ概念の例を示す。
図9B】仮想UE方式を具現するための提案されたベアラ概念の例を示す。
図9C】仮想UE方式を具現するための提案されたベアラ概念の例を示す。
図10】[53]UEがネットワークに多数のサービスを要求する場合を示す。
図11】[54]ネットワーク(eNB)側で本発明の一実施例による仮想UE概念を支援するための構造を示す。
図12】UE側で本発明の一実施例による仮想UE概念を支援するための構造を示す。
図13】[55]ネットワーク側で本発明の他の実施例による仮想UE概念を支援するための代替構造を示す。
図14】UE側で本発明の他の実施例による仮想UE概念を支援するための代替構造を示す。
図15】[56]本発明によるUEとeNBのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
[57] 本明細書で使われる用語は機能を考慮して現在広く使われる一般的な用語から選択されたものであるが、当該分野の技術者の意図、慣習、新技術の出現などによって変更されることもできる。時々一部の用語は出願人によって任意に選択されることができる。この場合、任意に選択される用語の意味は明細書の詳細な説明の該当部分で記述する。したがって、本明細書で使う用語は単純な用語の名前と解釈されるよりは該当用語の実質的な意味と本明細書に開示された全体内容に基づいて解釈されなければならない。
【0047】
[58] 以下の実施例は本発明の要素と特徴の所定形態の組合せに相当する。そして、それぞれの要素又は特徴は明示的に言及しない限り、選択的であり得る。それぞれの要素又は特徴は他の要素又は特徴と組み合わせられることができない形態に具現されることができる。また、部分的には要素及び/又は特徴を一緒に組み合わせて本発明の実施例を具現することができる。本発明のそれぞれの実施例について説明する一連の動作は変更可能である。一実施例の一部の構成又は特徴は他の実施例に含まれるとか他の実施例の該当の構成又は特徴と取り替えられることができる。
【0048】
[59] 本発明の要点を不明瞭にすることができる過程又はステップは省略し、当業者が理解することができる過程又はステップも省略する。
【0049】
[60] 本明細書において、“含む(comprise)”、“含む(include)”などの用語は特別な言及がなければ他の構成要素を除くものではなく他の構成要素をさらに含むものと解釈されなければならない。そして、本明細書において、“部”、“装置”、“モジュール”などの用語は少なくとも一つの機能又は動作を処理するためのユニットを意味し、ハードウェア、ソフトウェア又はその組合せによって具現することができる。また、“ある一つ(a or an)”、“一つ(one)”、“その(the)”又はこれと類似の単語は本発明の門脈で明確に否定しない限り、以下では(特に、特許請求範囲で)単数と複数の両者を含む意味として使うことができる。
【0050】
[61] 本明細書で、本発明の実施例は主に基地局と移動局間のデータ送信及び受信について説明する。この場合、基地局は移動局との直接通信を行うネットワークの端末ノードの意味を有する。本発明において、基地局によって行われるものと説明する特定の動作は場合によって基地局の上位ノードによって行われることもできる。
【0051】
[62] 特に、基地局を含む多数のネットワークノードで構成されるネットワークにおいて、移動局との通信のために行われる多様な動作は基地局又は基地局を除いた他のネットワークによって行われることができる。“基地局(base station(BS))”は固定局、ノードB、eNode B(eNB)、ABS(advanced base station)、アクセスポイント(AP)などの用語に取り替えることができる。
【0052】
[63] 移動局(MS)はユーザ装置(user equipment(UE))、加入者局(subscriber station(SS))、移動局加入者局(mobile station subscriber station(MSS))、移動端末(MT)、AMS(advanced mobile station)、ターミナルなどの用語に取り替えることができる。
【0053】
[64] また、送信端はデータサービス又はオーディオサービスを提供する固定ノード及び/又は移動ノードに相当し、受信端はデータサービス又はオーディオサービスを受信する固定ノード及び/又は移動ノードに相当する。よって、上りリンクにおいて、移動局は送信端となり、基地局は受信端となる。同様な方式で、下りリンクにおいて、移動局は受信端となり、基地局は送信端となる。
【0054】
[65] 装置が“セル”と通信を行う場合、これは装置がセルの基地局と信号を送受信することを意味する。特に、前記装置が実際に特定の基地局と信号を送受信しても、前記装置が前記特定の基地局によって形成されるセルと信号を送受信することを意味することができる。同様に、“マクロセル”及び/又は“スモールセル”はそれぞれ特定のカバレッジを示すことができる。また、“マクロセル”及び/又は“スモールセル”はそれぞれ“マクロセルを支援するマクロ基地局”及び“スモールセルを支援するスモールセル基地局”を示す。
【0055】
[66] 本発明の実施例はIEEE 802.xxシステム、3GPPシステム、3GPP LTEシステム、3GPP2システムのうち少なくとも一つに開示する標準文書によって支援されることができる。特に、本発明の実施例の言及しなかった明確な段階又は部分は前記標準文書を参照して説明することができる。
【0056】
[67] また、本明細書で開示する全ての用語は前記標準文書によって説明できる。特に、本発明の実施例は、P802.16e−2004、P802.16e−2005、P802.16.1、P802.16p及びP802.16.1bを含むIEEE 802.16の少なくとも一つの標準文書によって支援されることができる。
【0057】
[68] 以下で、本発明による好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。添付図面と一緒に開示する詳細な説明は本発明の唯一の実施例を説明するためのものではなくて本発明の例示的な実施例を説明するためのものである。
【0058】
[69] また、本発明の実施例で使われる特定の用語は本発明の理解を助けるために提供し、この特定の用語の使用は本発明の技術的思想を逸脱しない範疇内で他の形態に変更可能である。
【0059】
車内DASの一例において提案する仮想UE概念
[70] 車内DAS構造において、DUは物理的に離れている。金属表面を有する車両によってDUは設置位置によって互いに異なる放射パターンを有する。また、金属表面の反射及び伝播によって、eNBとそれぞれのDU間のチャネルは一般的な線形アレイ構造におけるeNBとそれぞれの受信(Rx)ユニット間のチャネルに比べて低い相関度と高い独立性のような特性を有する。
【0060】
[71] これを用いて、それぞれのDUは他のDUから独立した個別ユーザとして送信及び受信を行うことができる。また、それぞれのグループがそのグループに属しないDUから独立した個別ユーザとして送信及び受信を行うように一つ以上のDUグループが定義されることができる。
【0061】
[72] 一つの車両に属するDUを他のUEのようなネットワークの一部エントリーに報告し、前記他のUEを介して高ランクの送信及び受信を行うための方式を仮想ユーザ登録方式又は“仮想UE方式”と名付ける。一つ以上のDUと、関連した低いレイヤープロセッシングユニットとから構成される独立UE(低いレイヤーで見られるような)を“仮想UE(VUE)”と言う。仮想UEは本文書でユーザ末端(user termination)とも言う。仮想ユーザ登録によって標準化及び実行の問題点を解決することができ、車内DASのための下記の利得を得ることができる。
・VUEを指定するとき、それぞれのVUE又はDUに対してサービス品質管理を行う必要がない。一つのベアラを介した統合管理が可能であり、eBNを除いたネットワークの一部個体(例えば、MME、S−GWなど)は車両を単一ユーザと認識する。
・マルチユーザチャネルがeNBと車両の間に設定され、eNBはそれぞれのVUE又はDUへの送信及びそれぞれのVUE又はDUからのフィードバックの受信を制御する。他の装置は仮想UE方式に影響されない。
【0062】
[73] 図6はVUE概念の導入によるTxビーム制御を示す図である。
【0063】
[74] 仮想UE方式を考慮するに先立ち、eNBは車両を一つのUEと見なし、コードブックに1ランク8−プリコーダーのみが定義されているので、4個の他の方向にこのようなUEに対して最大で8個の相異なるTxビームを要求することができる。
【0064】
[75] 仮想UE方式の一例において、車両は4個のVUE(UE0、UE1、UE2、UE3)(ここで、それぞれのVUEは車両の4個のDU(DU0、DU1、DU2、DU3)の一つを含む)を有する。8個のビームをまた使うことによって2個のTxビームを4個のVUEのそれぞれに割り当てることができる。この時、相異なる16個のTxビーム組合せの一つを選択して使うことができる。
【0065】
[76] 図7は多数の仮想UEとこれに対応するUE IDを定義する例示的な実施例を示す。図7は車両が4個のDUとこれら4個のDUを制御する一つのCUとから構成される場合を示す。
【0066】
[77] 車両は一つ以上のDUの組合せでVUEを定義することができる。それぞれのVUEは互いに異なるDU組合せで構成されることができ、それぞれのVUEの物理的特性は互いに異なるように構成される。VUEは一つ以上のDUを共有するように構成されることにより、MU−MIMOアクセスのためのMAI(Multiple Access Interface)を効率的に制御することができる。VUEは互いに異なる個数のDUを含むように構成されることにより、Rx性能/複雑度がそれぞれのVUEに対して違うように設定できる。特定のDUの組合せ(すなわち、特定のVUE)、例えば車両の全てのDUの組合せはデフォルトユーザとして登録可能である。
【0067】
[78] この際、あるVUEは、物理的階層ID、セル特定UE ID(RNTI(Radio Network Temporary Identifier)、Rxアンテナ表示の少なくとも一つが他のVUEと違う。すなわち、互いに異なる表示がそれぞれのVUEに割り当てられることにより、eNB又はネットワークエントリーの一部がデータ送信のターゲット(又は目的地)間の違いを認識する。
【0068】
[79] 図7はDU1及びDU2(RNTI#1、#2)のような一つの分散アンテナユニットのサブセットを有するVUEと、DU3とDU4及びDU1とDU2(RNTI#4、#5)のような一つ以上の分散アンテナユニットのサブセットを有するVUEとが存在することができることを示す。
【0069】
[80] 上述した仮想UE概念は車内DAS以外のシステムにも適用可能である。例えば、仮想UE概念は多数のTx/Rxアンテナを採用する大規模MIMOシステムに適用可能である。提案する仮想UE方式は複雑度を減少させ、多数のアンテナに対するMIMO方式を簡素化することができる。
【0070】
提案するベアラ共有概念
[81] 図8は3GPPネットワークにおける現在のベアラ構造を示す。
【0071】
[82] 従来の回路交換ネットワーク(circuit switched network)において、データは物理的に前もって定義された経路を介して送信される。これとは反対に、パケットデータネットワーク(PDN)の場合、データ送信経路は目的地がどこであり、データがどこに中継されるかを定義する論理的経路である。このようなEPS(Evolved Packet System)内の論理的経路を通常にEPSベアラと言う。
【0072】
[83] UEとPDN間のIP連結はPDN連結とEPSベアラの概念によってEPS内で定義される。UE10とPDN15間のPDN連結はデフォルトEPSベアラと一つ以上の専用ベアラを含む。デフォルトEPSベアラ又は専用EPSベアラはUEと関連のネットワークゲートウェイ間の共通サービス品質トリートメントを受信するトラフィックフローを特異的に識別する。EPSの外部で外部ベアラはEPSを確張してPDN連結を完成する。
【0073】
[84] PDN連結とIPプロトコル階層でのEPSベアラを支援するため、EPSで使われる低いプロトコル階層は他の種類のベアラを提供する。ネットワークノードの間でベアラはゲートウェイトンネリングプロトコル(GTP)を用いて実行されることができる。PDN連結は互いに異なるネットワーク個体間のベアラの組合せで構成される。図8で、EPSベアラはPDN15とインターフェースされたPDNゲートウェイ(P−GW)16とUE10間の連結を形成するものとして示されており、P−GW16とS−GW17間の連結は“S5ベアラ”と言い、S−GW17とUE10間の連結はE−RAB(evolved radio access bearer)と言い、S−GW17とeNB18間の連結は“S1ベアラ”と言い、eNB18とUE10間の連結は“データ無線ベアラ”又は“無線ベアラ”と言える。したがって、図8に示したように、EPSベアラは、GTPトンネルを用いてS5ベアラによってEPC(evolved packet core)で拡張されたE−RABで構成され、E−RABはeNB/S−GWインターフェースでGTPトンネルを用いてS1ベアラによって拡張されるデータ無線ベアラ(DRB)で構成される。前記で定義されたそれぞれのベアラはそれぞれのベアラIDと関連し、そのベアラのそれぞれのエンドポイントに二つのノードを有する。すなわち、
・EPSベアラは“EPSベアラID”によって識別され、
・E−RABは“E−RAB ID”によって識別され、
・データ無線ベアラは“DRB ID”によって識別され、
・S1ベアラはGTPトンネルのエンドポイント(eNBとS−GW)によって割り当てられるトンネルエンドポイント識別子(TEID)によって識別され、
・S5ベアラはGTPトンネルのエンドポイント(eNBとS−GW)によって割り当てられる他のTEIDによって識別される。
【0074】
[85] 上位ベアラ、すなわちEPSベアラと下位ベアラの間には1:1の関係が存在する。このような1:1の関係を用いてネットワーク個体は再分配パケットのようなパケットを複雑な過程なしに送信することができる。
【0075】
[86] 図9Aは仮想UE方式を具現する前記提案する共有ベアラ概念の一例を示す。
【0076】
[87] この例で、eNB18以外のネットワーク個体によって一つのUE10と認識される二つの仮想UE11、12が存在する。S−GW17はVUE(VUE−A、VUE−B)を互いに別個のUEと認識することができないので、このVUEのための別個のベアラを設定しない。すなわち、ネットワークベアラであるEPSベアラ、E−RAB、S1ベアラ及びS5ベアラの設定のために同じUE10のVUEは一つのUEと認識される。
【0077】
[88] 図9Aに示したように、データ無線ベアラも多数のVUEによって共有されることができる。すなわち、ネットワークにおけるデータ経路は従来技術と同一であるが、特定のネットワーク個体であるeNB18はVUEの物理的チャネル状況に基づいてそれぞれのVUEに対してパケットを分配することができる。すると、VUEは、図7に示したように、それぞれのRNTIによって区別できる。無線インターフェース上の公知の任意接続過程(random access procedure)を用いて互いに異なるRNTIがそれぞれのVUEに対してeNBに登録できる。
【0078】
[89] 若しくは、同じUE10に属するVUEは、それぞれのDRB IDによって識別され、図9Bに示したように、共通S1ベアラを介したS−GW17との送信及び受信のためにeNB18が組み合わせる互いに異なるデータ無線ベアラ(“データ無線ベアラA”と“データ無線ベアラB”)を使うことができる。このような場合、同じUE10に属するVUEは自分のDRB−ID及びRNTIによって区別され、他のベアラのID(E−RAB ID、S1 TEID、S5 TEID、EPSベアラID)は前記UE10に属するVUEによって共有される。この場合、eNB18は同じユーザにサービスを提供する互いに異なるVUEを知っている唯一のネットワークノードとなる。
【0079】
[90] 他の実施例において(図9C)、多数のVUEを有するユーザのためのサービスを支援するEPSベアラは前記ユーザのUE10に対するS5ベアラとそれぞれのVUEに対するE−RABを有し、それぞれのE−RABは自分のS1ベアラ(“S1ベアラA”及び“S1ベアラB”)と自分のデータ無線ベアラ(“データ無線ベアラA”及び“データ無線ベアラB”)を有する。この場合、同じUE10に属するVUEはそれらのE−RAB ID、S1 TEID、DRB−ID及びRNTIによって区別され、他のベアラのID(S5 TEID、EPSベアラID)は前記UEに属するVUEによって共有される。よって、eNB18とS−GW17は同一ユーザにサービスを提供する互いに異なるVUEを知っているネットワークノードとなる。
【0080】
提案する方式の応用
[91] 現在のPDNシステムにおいて、ベアラ(論理的経路)はユーザごとにかつサービスごとに設定される。よって、一ユーザが互いに異なるサービス品質を有する二つ以上のサービスを要求する場合、二つ以上のEPSベアラが設定され、それぞれのEPSベアラは一つのサービス又はサービス品質レベルのためのものである。例えば、UEが実時間トラフィックサービス(例えば、VoIP(Voice over Internet Protocolサービス)とベストエフォート型(best−effort)サービス(例えば、ファイルダウンロードサービス)を同時に要求すれば、ネットワークはこのサービスを支援するためにEPSベアラを構成する。他の例で、二つ以上のユーザが同種のサービスを要求する場合、ネットワークはそれぞれのユーザに対してベアラを設定し、該当ユーザにそれぞれのベアラを介して前記サービスを提供する。
【0081】
[92] 提案する方式において、ユーザが高いデータ送信速度のための専用の高ランク送信ビーム制御のためにネットワークに多数のVUEを登録し、多数のユーザを介して同一サービスを受信することを望む場合、例えばユーザはサイズの大きなファイルダウンロードサービスに対して二つのVUEを登録する場合、ネットワークは多数の(仮想)UEが同じUEであるという認識の下で前記サービスに対して単一EPSベアラを設定することができる。このような方式に対するベアラ構造は図9Aに示したようであるか、又は図9B又は9Cに示したようである。このような方式を用いることによって、ネットワークはVUEが別個のUEとして取り扱われ、同じサービスがEPCで繰り返される状況と比較してリソースの浪費を避けることができる。
【0082】
[93] 図10はUEがネットワークに多数のサービスを要求する場合を示す。
【0083】
[94] UE10がネットワークに相異なるサービス品質レベルを有する多数のサービスを要求する場合、図7に基づいて説明したように、UE10はDU、又はDUのグループを多数のVUEとして登録することができる。ネットワークはそれぞれのサービスに対してそれぞれのベアラを設定することができる。図10に示したように、“サービス1”に対するベアラは2個のVUEが共有することができるが、“サービス2”に対するベアラは共有しない。このように互いに異なる連結は柔軟性を提供する。例えば、ネットワークはUE10に相異なる種類のサービス(例えば、低いデータ送信速度を有するがレイテンシーに非常に敏感なサービス及び高いデータ送信速度を有するサービス)を効率的に提供することができる。このような方式を支援するためには、多数対多数連結の支援が好ましい。
【0084】
プロトコル構造
[95] 図11及び12は、図9Aに示したように共有ベアラが具現される場合、本発明の一実施例の仮想UE概念を支援する例示的な構造を示す。
【0085】
[96] 仮想ユーザ登録によって専用の高ランク送信ビーム制御を行うためには同じS1ベアラを介してeNB18に伝達されるが、同じUE内の相異なる(仮想)ユーザ端末に送信されるデータ間の別個のリンク制御が実行されなければならない。
【0086】
[97] このために、多数のコントローラが同じデータ無線ベアラ(eNB18とUE10間の論理的経路)内で具現されて同じUE内の相異なる(仮想)ユーザ端末に連結される無線リンクのそれぞれに対して別個のリンク制御を行う計測的プロトコル(hierarchical protocol)構造を提案する。
【0087】
[98] コントローラはパケット単位でeNB18に伝達されるトラフィックに対してパケットユニット当たり付加されるヘッダー又は前記ヘッダーを管理するための無線トラフィックスタック、例えばRLC(radio link control)スタックを意味する。
【0088】
[99] 図11は同じデータ無線ベアラを介した仮想ユーザ登録を用いて二つのユーザID(例えば、RNTI)を有するユーザにデータを伝達するためにeNB18でそれぞれの仮想ユーザの別個のリンク制御を行うための送信構造の一例を示す。
【0089】
[100] 図11の実施例において、下りリンクパケットが送信されるUE10が多数のVUEを有するように構成される場合、eNB18はRLC(radio link control)階層でS1ベアラを介してS−GW17から受信される前記下りリンクパケットを分離する。よって、eNB18は無線リンクコントローラ20を有し、この無線リンクコントローラ20はRLC階層を担当し、与えられた論理的チャネルに対して知られたように自動繰り返し要求(automatic repeat request(ARQ))制御などのパケット分割及び再組立の機能を担当する多数のRLC階層個体21、22を設定するように構成される。RLC階層個体21、22によって処理される相異なるパケットはそれぞれの論理的チャネルに割り当てられ、物理的階層40を介した送信のためにMAC(medium access control)階層30に提供される。MAC階層40は同じUE10のVUEに関連した論理的チャネルを相異なるUEに関連した論理的チャネルのように見なす。
【0090】
[101] 上りリンク送信に関して、VUEが使われれば、eNB18のRLC個体21、22はMAC階層30を介して受信されるデータを処理してS1ベアラを介したEPCへのトンネリングのためのIPパケットを生成する。
【0091】
[102] 図12はUE側での対称的な具現を示す。この例において、UE10は分散アンテナユニットDU1、DU1を有し、それぞれの分散アンテナユニットはそれぞれの物理的階層個体141、142、それぞれのMAC階層個体131、132及びそれぞれのRLC階層個体121、122を有することによって二つの仮想UE(VUE−A、VUE−B)を形成する。一般に、VUEと関連した物理的、MAC及びRLC階層個体141、142、131、132、121、122はVUEを介して送信されるパケットが発信されるとか(上りリンク)送信される(下りリンク)S1ベアラエンドポイントを具現するUEのCUで具現される。
【0092】
[103] 図13及び14は本発明の他の実施例において仮想UE概念を支援する代替構造を示す。ここで、共有されるベアラ概念は図9に示したように具現される。
【0093】
[104] 図13及び14の実施例において、プロトコルスタックにおいてRLCより高いプロトコル個体はUE送信制御器ごとに細分されるように(仮想)分離されて構成される。ここで、前記分離はIPヘッダーを管理するパケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)階層で起こる。eNB18はそれぞれのVUE(VUE−A、VUE−B)に対するそれぞれの制御個体61、62を含むPDCPコントローラ60を有し(図13)、下位層の(underlying)RLC階層も分離される。UE側のプロトコルスタックはRLC階層121、122上にそれぞれのVUEでのPDCP制御個体161、162を有するように対称的に構成される(図14)。
【0094】
装置構成
[105] 図15は本発明の一実施例によるUEとeNBのブロック図である。
【0095】
[106] 図15において、UE100とeNB200は、高周波(RF)ユニット110/210、プロセッサ120/220及びメモリ130/230をそれぞれ備えることができる。図15はUE100とeNB200間の1対1通信環境を示しているが、この通信環境は多数のUEとeNB200間にも構成されることができる。また、図15に示したeNB200はマクロセルeNBとスモールセルeNBのいずれにも適用可能である。
【0096】
[107] それぞれのRFユニット110/210は、送信ユニット112/212及び受信ユニット114/214を備える。UE100の送信ユニット112及び受信ユニット114は、上述したように、相異なるVUEにマッピング可能なUEの分散アンテナユニット(DU)115に連結される。前記送信ユニットと受信ユニットはeNB200と信号を送受信するように構成される。前記送信ユニットと受信ユニットは“送受信機110”と名付けることができる。プロセッサ120は送信ユニット112及び受信ユニット114と機能的に連結され、送信ユニット112と受信ユニット114を制御して他の装置と信号を送受信するように構成される。そして、プロセッサ120は送信される信号に多様な処理を行い、前記信号を送信ユニット112に送信する。プロセッサは受信ユニット114によって受信される信号の処理を行う。
【0097】
[108] 必要な場合、プロセッサ120は、交換されるメッセージに含まれる情報をメモリ130に保存することができる。UE100は相異なるVUEと関連し得る多数のアンテナユニットと関連した上述した構造を有する本発明の多様な実施例を行うことができる。
【0098】
[109] 前記eNB200の送信ユニット212と受信ユニット214はeNBの一つ以上のアンテナ215に連結され、他のUEと信号を送受信するように構成される。前記送信ユニットと受信ユニットは“送受信機210”と名付けることができる。プロセッサ220は送信ユニット212及び受信ユニット214と機能的に連結され、送信ユニット212と受信ユニット214を制御して他の装置と信号を送受信するように構成される。そして、プロセッサ220は送信される信号に多様な処理を行い、前記信号を送信ユニット212に送信する。プロセッサは受信ユニット214によって受信される信号の処理を行う。必要な場合、プロセッサ220は、交換されるメッセージに含まれる情報をメモリ230に保存することができる。eNB200は上述した構造を有する本発明の多様な実施例を行うことができる。
【0099】
[110] UE100とeNB200のプロセッサ120/220はUE100とeNB200における動作を指示(例えば、制御、調整、管理)する。プロセッサ120/220はプログラムコードとデータを保存するメモリ130/230に連結される。メモリ130/230はプロセッサ120/220に連結され、オペレーティングシステム、アプリケーション及び一般ファイルを保存する。
【0100】
[111] 本発明のプロセッサ120/220は、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータなどの用語と呼ぶことができる。一方、プロセッサは、ハードウェア、ファームウエア、ソフトウェア及びこれらの組合せによって具現されることができる。ハードウェアによる具現の場合、本発明を行うように構成されるASICs(application specific integrated circuits)、DSPs(digital signal processors)、DSPDs(digital signal processing devices)、PLDs(programmable logic devices)、FPGAs(field programmable gate arrays)などがプロセッサ120/220に取り付けられることができる。
【0101】
[112] 一方、上述した方法はコンピュータで実行可能なプログラムによって記録されることができ、コンピュータ可読媒体を用いてプログラムを動作させることができる一般的なデジタルコンピュータによって具現されることができる。そして、上述した方法のために使われるデータ構造は多様な手段によってコンピュータ可読媒体に記録されることができる。本発明の多様な方法を行うための実行可能なコンピュータコードを含む保存装置を説明するのに利用可能なプログラム保存装置は搬送波及び信号のような一時的な対象(object)と理解されてはいけない。コンピュータ可読媒体は磁気保存媒体(例えば、ROM、フロッピーディスク、ハードディスクなど)と光学読出媒体(例えばCD−ROM、DVDなど)のような保存媒体を含む。
【0102】
[113] 以上では本発明の好適な実施例について図示して説明したが、本発明は上述した特定の実施例に限定されなく、請求範囲で請求する本発明の要旨を逸脱しないことなしに当該発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって多様な変形実施が可能である。したがって、開示の方法は制限的な観点ではなくて説明のための観点で考慮されなければならない。本発明の範囲は本発明の詳細な説明ではなくて特許請求範囲に示されている。したがって、本発明は特許請求範囲とその同等物の範囲を逸脱しない変更及び変化をカバーする。
【産業上の利用可能性】
【0103】
[114] 本文書では主に車内DASシステムを具現する例について説明したが、これは例示的なものであり、提案する方式/構造はコードワード/レイヤーの個数が増えたMIMOシステムの単純な構成のために用いられることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14
図15