特許第6706698号(P6706698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6706698
(24)【登録日】2020年5月20日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】タンクバルブ
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/04 20060101AFI20200601BHJP
   F16K 15/03 20060101ALI20200601BHJP
   F16K 17/36 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   F17C13/04 301Z
   F16K15/03 D
   F16K17/36 Z
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-567713(P2018-567713)
(86)(22)【出願日】2017年6月28日
(65)【公表番号】特表2019-525083(P2019-525083A)
(43)【公表日】2019年9月5日
(86)【国際出願番号】EP2017000767
(87)【国際公開番号】WO2018001561
(87)【国際公開日】20180104
【審査請求日】2019年1月24日
(31)【優先権主張番号】102016008442.1
(32)【優先日】2016年7月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン・アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・ガル
(72)【発明者】
【氏名】フィーリップ・ハオスマン
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−001772(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0289700(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0114194(US,A1)
【文献】 特開2014−095401(JP,A)
【文献】 米国特許第05232019(US,A)
【文献】 特開2013−053659(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0174574(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/04
F16K 15/03
F16K 17/36
H01M 8/04
B60K 15/01
F02M 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧ガス容器(3)に取り付けるためのタンクバルブ(4)であって、本体(5)を備え、充填/取出用の共通のガス接続部(16)を備え、前記ガス接続部(16)は前記本体(5)内で充填配管(24)と取出路の一部としての取出配管(25)とに分岐するものであり、および前記取出配管(25)に取出弁(9)を備え、ガスを取り出す場合の流れ方向(A)と逆向きの流れを遮断する逆止弁(26)が、前記取出路に前記取出弁(9)と直列に配置されている、タンクバルブにおいて、
前記取出路に管破損防止器(22)が配置されており、前記管破損防止器(22)の弁体(32)は、通常動作時に、ばね要素(34)により弁座(33)から持ち上げられること
前記取出配管(25)における前記逆止弁(26)と前記管破損防止器(22)とは、同じ部品(28、29、31、32、33、34)を逆向きに取り付けて形成されていること、および
前記充填配管(24)における逆止弁(23)は、前記取出配管(25)における前記逆止弁(26)および前記管破損防止器(22)と同じ部品から形成されていることを特徴とするタンクバルブ。
【請求項2】
前記逆止弁(26)および前記管破損防止器(22)の前記弁体(28、32)は、共通の構造体(35)と一体的に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のタンクバルブ(4)。
【請求項3】
前記管破損防止器(22)の前記弁体(32)および/または前記弁座(33)は、所定横断面を有する流路を備え、前記流路は、閉状態においても高圧側を低圧側と接続することを特徴とする、請求項1または2に記載のタンクバルブ(4)。
【請求項4】
前記流路は、前記弁体(32)における孔(39、40、41)により形成されていることを特徴とする、請求項に記載のタンクバルブ(4)。
【請求項5】
前記流路は、直線状に、または好ましくはらせん状に取り囲む溝として前記弁体(32)および/または弁座(33)に形成されていることを特徴とする、請求項に記載のタンクバルブ(4)。
【請求項6】
前記取出路は、前記取出弁(9)と前記逆止弁(26)および前記管破損防止器(22)との間に配置されているフィルタ(20)をさらに有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のタンクバルブ(4)。
【請求項7】
前記フィルタ(20)と前記逆止弁(26)と前記管破損防止器(22)とは1つの部品(43)となるよう組み立てられていることを特徴とする、請求項に記載のタンクバルブ(4)。
【請求項8】
前記部品(43)は、前記加圧ガス容器(3)の内部方向の前記取出路において前記取出配管(25)に連結することを特徴とする、請求項に記載のタンクバルブ(4)。
【請求項9】
前記取出配管(25)および前記充填配管(24)は、ガスが通流可能なそれらの配管要素の公称径が同じであることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のタンクバルブ(4)。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか1項に記載のタンクバルブ(4)の使用方法であって、車両(1)の燃料としての水素または天然ガスを特に65MPaを超える公称圧力で貯蔵するための加圧ガス容器(3)での使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に詳細に規定されている種類のタンクバルブに関する。さらに本発明は、このようなタンクバルブの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加圧ガス容器に取り付けるタンクバルブは一般的従来技術から公知である。このようなタンクバルブは、英語でオンタンクバルブもしくはその略語OTVと呼ばれることも多い。その際、タンクバルブは、少なくとも2つの区域を含む本体を有する構造であり、第1の本体区域は、取り付けられた状態において加圧ガス容器内に突き出し、該加圧ガス容器と封止接続されている。典型的には、この第1の本体区域は、おねじにより加圧ガス容器の対応する収容部のめねじにねじ込まれている。取り付けられた状態において加圧ガス容器もしくはその接続ねじ山の内側にあるこの第1の本体区域の他に、本体は、典型的には、取り付けられた状態において加圧ガス容器の外側にある第2の本体区域を有している。そして本体区域の一方または典型的には両方がタンクバルブの機能を実現するために必要な、いわゆる機能サブアセンブリを有している。このような機能サブアセンブリは、例えば取出弁、充填配管における逆止弁、安全弁、(手動)遮断弁、フィルタ、充填配管および/または取出配管のためのガス接続部、またはそれに類するものであり得る。
【0003】
例示的に、このようなタンクバルブについては、タンクバルブを高圧バルブという名称で示す属性的に対応する特許文献1を参照されたい。その際、属性的に対応する高圧バルブでは、これがガスの充填と取出とに用いられる共通のガス接続部を具備するというふうになっている。ガス接続部は、タンクバルブの本体内で、より大きい第1横断面で逆止弁を有する充填配管と、より小さい横断面でパイロット弁を有する取出配管とに分岐する。さらに、この構造は、流れるガスから不純物を取り除くための2つのフィルタを示し、フィルタのうちの1つは取出配管においてパイロット弁と加圧ガス容器の内部との間に設置されており、もう1つのフィルタは充填配管に設置されている。この構造では、配管要素に孔をあけて違う直径を有する異なった配管要素を本体に挿入することが、その都度孔あけ工具の装備変更を必要とするため、製造に相応の手間がかかる。これによってタンクバルブのためのセットアップ時間と製造コストが増大する。特に車両に使用する場合に、これは相当な欠点である。
他のバルブが、例えば特許文献2から、またはパイロット弁としての形態では特許文献3からも公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−168165(A)号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0146094(A1)号明細書
【特許文献3】欧州特許第1682801(B1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、上述の欠点を回避すること、および確実に機能するタンクバルブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、本発明によれば請求項1の特徴部に記載の特徴を有するタンクバルブにより解決される。有利な実施形態および展開形態は従属請求項から明らかになる。さらに、請求項15において、このようなタンクバルブの特に好ましい使用方法が記載されている。
【0007】
本発明に係るタンクバルブは、属性的に対応する従来技術によるタンクバルブと同じように、本体を備え、取出路に取出弁、特にパイロット弁を有している。本発明によれば、取出路には取出弁と直列に逆止弁が配置されており、この逆止弁は、ガスを取り出す場合に流れ方向と逆向きの流れを遮断する。これは、充填時に取出路の通流を阻止するように逆止弁が配置されていることを意味する。すなわち逆止弁は、典型的には充填時に開く逆止弁を有する充填配管による充填時には充填配管を通る流路が、そして取出し時には取出配管を通る流路が自動的に選択されるために用いられる。
【0008】
本発明に係る逆止弁なしには、充填時にガスの圧力が取出路においても増圧するかもしれず、このことは、特に、2つの配管が同等の流路断面を有することにより通流および圧力損失に関する状況が同等である場合に助長される。つまり取出弁は、特にこれがパイロット弁として組み立てられている場合に、一般に、充填時に典型的に生じる相応に大きい圧力差に耐えられず、そのような大きい圧力差によって少なくとも一時的に押し開けられるので、ガスがここを通って加圧ガス容器の内部に流れ込むかもしれない。その際、ガスは、典型的には大きい体積流量と高い流速とによって、場合によっては取出弁のその後の機能を妨げるかもしれない。このことは、所望の通流とは逆の方向にもばね要素によって支援され得る本発明に係る逆止弁によって阻止することができる。
【0009】
さらに、充填時に取出配管を介してガスが流入することにより、取出路の領域でガスが流出するだろう。このことは事情によっては望ましいことではない。なぜなら、典型的には、本体における取出配管が終端する領域には温度センサが配置されているからである。ガスは直接温度センサに向かって流れて来る。この場合ガスが直接流れて来るときの温度が、加圧ガス容器の内部でガスが相応に混ざり合ったときの温度とは異なるため、温度センサは誤った温度値を提供する。
【0010】
加圧ガス容器内に開口する充填配管には、本体に配置された温度センサより大きい軸方向長さを有する管区域が配置されており、この管区域は、加圧ガス容器にねじ込まれたタンクバルブの加圧ガス容器の中心軸線に対して折り曲げられているか、または曲げられている。このような管区域は、上述した欠点をもたらすかもしれないような、充填時に温度センサの領域にガスが直接流れるのではなく、ガスがまず加圧ガス容器に流入してから、すでに加圧ガス容器の内部に入っているガスと混合されるよう支援する。そのようにして加圧ガス容器内の実際の温度を温度センサによってより高い信頼性で測定することができる。
【0011】
本発明に係る思想のさらに別の有利な一実施形態は、さらに、取出配管に管破損防止器が設けられており、該管破損防止器は、管破損防止器の、加圧ガス容器の内部から離反した側の背圧が限界値より低下した場合に取出配管の取出し方向の通流を阻止することを予定する。このような管破損防止器は、取出配管における管破損防止器の、加圧ガス容器から離反した側で圧力が大きく低下するか、または背圧が発生しなくなった場合に取出配管を閉鎖する。このような場合、取出配管または取出配管に連結する構成要素が欠陥していると考えられ、管破損防止器は取出配管を自動的に閉鎖する。それにより、例えば事故によって引きちぎられた管など、欠陥もしくは漏れによりガスが加圧ガス容器から制御不能に流れ出すことはない。
【0012】
本発明に係るタンクバルブの非常に有利な一展開形態では、取出配管における逆止弁の弁体および/または管破損防止器の弁体がばね要素により弁座から持ち上げられることが予定されている。取出配管における逆止弁または管破損防止器、あるいは、特に好ましくはこれらの両方が弁体と弁座とを含む構造を有し、弁体は、通常動作時にそれぞれ1つのばね要素により弁座から持ち上げられる。逆止弁が取出配管にある場合に、例えば加圧ガス容器の充填中に加圧ガス容器が閉鎖するという事態になると、取出配管内の圧力がばねの力に抗して作用し、逆止弁を閉鎖する。管破損防止器の構造が、同等で別の作用方向に取り付けられているだけの場合、圧力が補償されるか、またはわずかに異なるときに、弁体はばねにより弁座から離間した状態で保持されるということになる。弁座の、加圧ガス容器から離反した側の圧力が相応に低下した場合、ばね要素を押すことにより生じた力が消失し、それによりばね要素が加圧ガス容器内の圧力によって弁座に弁体を押し付けるよう支援をし、それにより管破損防止器を閉鎖する。したがって、例えば漏れによって、あるいは破損した、または引きちぎられた配管によって損傷した領域へガスが流れていくことは自動的に阻止される。
【0013】
その際、本発明に係るタンクバルブの非常に有利な一展開形態では、取出配管における逆止弁と管破損防止器とが同じ部品を逆向きに取り付けて形成されていることが予定されていてもよい。このように同種の部品を使用することにより、特に部品点数が比較的多い場合にスケール効果が可能になり、個々の部品のコストを相応に低下させることができる。取出配管における逆止弁と管破損防止器とを同じ部品で組み立てることに加えて、充填配管におけるそれ自体公知の逆止弁も同じ部品で組み立てられてもよく、それによりスケール効果がさらに大きくなり、それによりさらに大きいコスト節減が達成される。
【0014】
これに代わる本発明に係るタンクバルブの特に有利な一展開形態では、管破損防止器および取出配管における逆止弁の弁体が1つの部品として形成されていることが予定されてもよい。共通の構造体としてのそのような部品は、半球形の端部を有する構造体としての長尺状の部品であってもよく、例えば取り付けられたか、またはこの部品と一体型に形成されたリブを介して配管要素に案内される。当然のことながら、リブを配管要素の領域に取り付けることも考えられ、それにより共通の弁体は、上述した例えば半球形または円錐台形に形成された端部を有する1つの円筒状部品のみからなる。その場合、そのような共通の構造体は、2つのばね要素により一方の方向と他方の方向に支持されてもよく、それにより唯一の部品と2つのばね要素とにより、取出配管における逆止弁および管破損防止器の機能を果たすことができる。その際、弁座は、共通の弁体を収容する配管要素の両端部に例えば円錐形の弁座として形成されていてもよい。
【0015】
その際、この思想の有利な一実施形態では、さらに、管破損防止器の弁体および/または弁座は、所定横断面を有する流路を備え、該流路は、閉状態においても高圧側を低圧側と接続することが予定されている。その際、有利な一展開形態では、例えば弁体または弁座に設けられていてもよいそのような流路は、小さい通流可能横断面、例えば70MPaの公称圧力で水素タンクに適用するために50〜300μm、好ましくは約200μmのオーダーの通流可能横断面を有するべきである。このような流路は、動作の比較的長時間にわたって高圧側と低圧側との間の圧力補償を可能にする。管破損防止器が、例えば取出配管からの排気領域における圧力の変動にもとづいて不正確に応答した場合、一種のリセット孔としてのそのような流路を介して圧力補償を行うことができる。それにより、このような場合、管破損防止器はある程度の時間動作を継続した後に再び自動的に開き、したがって所望の機能を復元するための保守の必要がない。上述のように同じ部品を使用する場合、例えばこのような流路が後から設けられるという点で、管破損防止器の弁体および/または弁座はわずかに区別されるだろう。その際、思想の有利な一展開形態では、流路は孔として形成されていてもよいし、補足的または代替的な一実施形態では直線状またはらせん状に取り囲む溝としてそれぞれ弁体および/または弁座に形成されていてもよい。
【0016】
それゆえ、流路の非常に有利な一展開形態では、流路はいずれにしても存在するねじ山の漏れによって形成されていることが予定されていてもよい。例えば、部品または特に弁座がスリーブを介して対応要素にねじ締結される場合、ねじ山を封止するための特別な措置が講じられなければ、ねじ山からどうしても漏れが生じるだろう。すなわち、特にねじ山封止手段もしくはねじ山接着剤を用いない場合、ねじ山の相手間にごくわずかな漏れが生じる。この漏れは上述した意味での流路として十分であり、例えばねじ山相手間の封止手段を単に省略するだけで所望の流路を有する構造を得ることができる。さらに別の利点は、このために異なった部品の必要がなく、それにより、流路がある場合でも冒頭で述べた同部品にするという構想をそのまま簡単に維持することができる。
【0017】
本発明に係るタンクバルブのさらに別の非常に有利な一変形形態は、取出路が、取出弁と逆止弁および管破損防止器との間に配置されているフィルタをさらに有することを予定する。逆止弁および管破損防止器と取出弁との間の取出路にフィルタを配置することにより、例えば逆止弁または取出弁の作動時に生じる粒子が、例えばそのような粒子がそれぞれの弁の弁座または弁体によって運び出された場合に、非常に繊細な取出弁に到達しないことが確保される。そのことにより、構造は、特に、取出弁の流れ方向で対向する側に、例えば取出弁と取出配管におけるガス接続部との間に、充填時に運び込まれ得る不純物からも取出弁を守るためのさらに別のフィルタが配置されている場合に、非常に安全で信頼性の高いものになる。
【0018】
次に、この思想の非常に有利な一実施形態は、フィルタと逆止弁と管破損防止器とが1つの部品となるよう組み立てられていることをさらに予定する。すなわちアセンブリフィルタとも呼ぶことができるかもしれないそのような部品は、フィルタと2つの弁とを含んでもよい。特に、個々の部品をねじ締結によって組み付ける場合、上述した特に有利な実施形態において動作の比較的長時間にわたって圧力補償をするための流路を形成するために、いずれにしても必要となるねじ山が設けられてもよい。
【0019】
その際、この思想のさらに別の非常に有利な一実施形態は、さらに、部品、すなわちアセンブリフィルタが、取出路において、加圧ガス容器の内部の方向で取出配管に連結することを予定する。すなわち、逆止弁と管破損防止器とフィルタとからなる構造は、取出配管の、加圧ガス容器側の端に取り付けられてもよく、そうすることでタンクバルブを取り付けた後に加圧ガス容器の内部へ突出する。それによりこの部品の構造の長さに応じて、ガスが温度センサに向かって流れて来ることがこの部品によって阻止される一方で、タンクバルブの本体の内部の貴重な構造空間を使わなくて済む。さらに、特に安全性に不可欠な部品としての管破損防止器を加圧ガス容器の強度に保護された内部に組み込むことが有利である。
【0020】
本発明に係るタンクバルブの有利な一実施形態では、さらに、取出配管および充填配管の流路断面または通流可能な公称径が同じであることが予定されていてもよい。すなわち典型的にはタンクバルブの本体内の孔をあけた通路によって形成される配管要素は同一の横断面を有する。これによって、タンクバルブの製造プロセスが簡略化され、2つの配管の均一な通流が保証される。場合によって配管に入った粒子は配管を移動し、充填配管の場合には加圧ガス容器の内部に集まる。
【0021】
本発明に係るタンクバルブの決定的な利点は、非常に確実で簡単な機能である。このことは、特に車両に適用した場合に相応に有利に作用する。それゆえ、本発明であh、車両の燃料としての水素または天然ガスを特に65MPaを超える公称圧力で貯蔵するための加圧ガス容器での請求項11に記載のタンクバルブの使用方法が予定されている。
【0022】
さらに、本発明に係るタンクバルブおよびその使用の他の有利な実施形態が、他の従属請求項および以下に図を参照しながら詳しく説明する実施例から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】燃料としての圧縮ガスのための貯蔵システムを備える原理的に示された車両を示す。
図2】本発明に係るタンクバルブの可能な実施形態の3次元図を示す。
図3】気体の流れ図の形態の本発明に係る可能なアセンブリの模式図を示す。
図4】逆止弁と管破損防止器とフィルタの可能な構造の断面図を示す。
図5】管破損防止器と逆止弁とを組み合わせた実施形態の原理的断面図を示す。
図6図5におけるVI−VI線に沿う原理的断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1の図示では車両1が単に例示されている。この車両は、例えば圧縮された天然ガスまたは圧縮された水素などの気体燃料で駆動される。そのために、燃料は、内燃機関で、または特に水素を使用する場合には好ましくは燃料電池システムにおいても駆動するために利用される出力に変換することができる。圧縮ガスを貯蔵するために、車両1にはその全体が2で示されるリザーバ装置が設けられている。このリザーバ装置は、各々がタンクバルブ4を備える複数の個々の加圧ガス容器3からなる。このタンクバルブ4は、オンタンクバルブまたは略してOTVとも呼ばれる。その際、個々の加圧ガス容器3は、それぞれが有する、例えば冒頭で述べた従来技術から公知のタンクバルブ4と一緒に共通の配管を介して互いに接続されていてもよく、それによりリザーバ装置2からのガスを車両において利用することができる。その際、特に、例えば燃料電池システムにおける好ましい適用のために、水素を貯蔵する場合に、それぞれがタンクバルブ4を有するこのような加圧ガス容器3における公称圧力は典型的には70MPaのオーダーである。個々の加圧ガス容器3およびそれらが有するタンクバルブ4に課せられる安全要求の他に、封止性に関して、そしてさらにこれらの加圧ガス容器およびタンクバルブを安全に、高い信頼性で、かつ安価に製造する可能性に関してさらに高い要求が課せられなければならない。
【0025】
図2の図示では、タンクバルブ4の3次元図が見て取れる。その際、タンクバルブ4は、実質的に2つの区域からなる本体5を備えている。第1の本体区域5.1は、タンクバルブ4が取り付けられた後の状態においてそれぞれの加圧ガス容器3内に突出するように形成されている。そのために、この第1の本体区域は、ここに図示される実施例において、6で示されるねじ山を有しており、このねじ山は、加圧ガス容器3の図示されない収容要素における対応するねじ山と相互に作用する。さらに、この第1の本体区域5.1は、図2の図示で示される、例えば1つまたは複数のシールリングおよび/または支持リングからなるシール装置8を有している。第2の本体区域5.2は、図2の図示ではタンクバルブ4の下部領域に見て取れる。この第2の本体区域5.2は、タンクバルブ4を取り付けた後には加圧ガス容器3の外側にある。その際、この第2の本体区域5.2は、タンクバルブ4の、複数のいわゆる機能サブアセンブリを有している。その際、第2の本体区域5.2における機能サブアセンブリは、加圧ガス容器3からガスを取り出すための取出弁として電磁的に操作されるパイロット弁9を含む。パイロット弁は、10で示される電磁コイルを介して操作される。そのようなパイロット弁の機能について、例示的に、例えば出願人の独国特許出願公開第102013019978(A1)号明細書における説明を参照することができる。
【0026】
図2の図示では、第2の本体区域5.2に組み込まれた他の機能サブアセンブリが見て取れる。これらの機能サブアセンブリは、例えば、互いに平行に配置された2つの手動弁11、12であり、手動弁11は手動遮断弁11として形成されており、手動弁12は手動排出弁12として形成されている。これについてはさらに詳しく後述する。第2の本体区域5.2における他の機能サブアセンブリとして、さらに、熱作動式安全弁13の一部が見て取れる。そのような熱作動式安全弁は、基本的に一般的従来技術から公知である。通常の一実施形態において、ここで中心孔を有するねじが用いられる。中心孔には、はんだ、またははんだにより堅固に保持される遮断体が入っている。タンクバルブ4もしくは熱作動式安全弁13の領域がはんだの融解温度を超えて熱せられると、ねじの貫通孔が開き、加圧ガス容器13の内部でねじと継続的に接触しているガスが流れ出ることができる。これに代わる、特に欧州および米国の市場に非常に多く投入されている代替的実施形態では、沸騰しやすい液体の入ったガラスアンプルによって弁体が定位置に保持される構造である。ガラスアンプル内の液体の沸点は、熱作動式安全弁13の臨界温度で沸騰し始めるように調整されている。沸騰時に体積が増加することによってガラスアンプルが破壊され、弁体が弁座から解離する。弁体に接する加圧ガス容器内のガスの圧力によって、弁体が弁座から離れて開位置へ動かされ、それにより加圧ガス容器3からガスが流れ出すことができる。このために、図2および図4の図示では14で示される排出配管が用いられる。この排出配管は、熱作動式安全弁13が応答すると加圧ガス容器3の内部と接続される。排出配管14、もしくはタンクバルブ4の第2の本体区域5.2における排出配管の開口部の他に、ねじを収容するのに適した、図中に15で示されるねじ付き孔がある。ここにいわゆる排出配管もしくは通気管を、例えば出願人の独国特許出願公開第102013015515(A1)号明細書に記載されているように簡単で確実にねじ固定することができる。
【0027】
第2の本体区域5.2の領域における他の機能サブアセンブリとして、図2の図示ではガス接続部16が見て取れる。このガス接続部16は、パイロット弁9を介して加圧ガス容器3からガスを取り出すために、および加圧ガス容器3を充填するために用いられる。第2の本体区域は、その他に、後からさらに詳しく記載されるフィルタ17を有していてもよい。その際、図2の図示に見て取れる第2の本体区域5.2の領域もしくは電磁コイル10の領域にある他の要素は、18で示されるプラグ接続部であり、このプラグ接続部を介して電磁コイル10、したがってパイロット弁9、他方、測定データ、例えば19で示される温度センサの測定データを伝送することができる。その際、特にタンクバルブ4は、唯一の電気接続部としての電気プラグ接続部18を有しており、それによりリザーバ装置2の配線を簡単かつ効率的に形成することができる。
【0028】
温度センサ19の他に、第1の本体区域5.1の領域にはさらに加圧ガス容器3の内部の方向に取り付けられたわずかに湾曲した管区域21が見て取れる。その際、この管区域の形態は、加圧ガス容器3の充填時に流入するガスを、ガスが混ぜ合わせられ、それにより温度センサ19により温度が確実に測定されるよう加圧ガス容器3内に可能な限り分散させるように選択されている。その際、流入するガスの噴流形成を支援するため、そしてそれにより加圧ガス容器3の内部のガスの混合をさらに改善するために、曲がった管区域21の流出開口部42は、流路断面の公称径より狭くなっていることが理想的である。
【0029】
図2の図示では第1の本体区域5.1にはさらに複数の個別部品を取り付けて組み立てられている43で示される部品が見て取れる。以下にアセンブリフィルタ43とも呼ばれるこの部品43は、さらに詳しく後述するフィルタ20と管破損防止器22と逆止弁26とを備える。さらに、アセンブリフィルタ43は後述される図4に詳細に図示されている。その際、他の機能サブアセンブリは、第1の本体区域5.1の内部に組み込まれて形成されていてもよい。
【0030】
図3の図示では、気体の流れ図でタンクバルブ4の本発明に関連する部分が再度模式的に示されている。タンクバルブ4は、ここでもまた5で示される本体からなり、この本体は、2つの本体区域5.1および5.2に分かれている。ガスの充填および取出しのために、タンクバルブ4を、図2に見て取れたガス接続部16を介して配管系に連結することができる。配管系は、タンクバルブ4を備える加圧ガス容器を充填配管とエネルギー消費装置および/またはリザーバ装置2の他の加圧ガス容器3と接続する。
【0031】
ガス接続部16にはフィルタ17が連結する。ガス接続部は、本体5内において管区分30を介してさらに先へ通じ、その後、充填配管24と取出し管25とに分岐する。その際、2つの配管は、同一の通流可能横断面を有している。このことにより、特に、典型的には本体5に孔をあける管要素24、25の製作が特に簡単になる。充填配管24は、すでに述べた管区域21へ通じており、逆止弁23を有している。この逆止弁23は、充填過程においてばね要素27の力に抗して押し開けられ、それにより充填時にガスが管区域21を介して加圧ガス容器3に流れ込むことができる。その際、流入は、管区域21を通って、すでに言及したように温度センサ19の傍らを通り過ぎる。それによって温度センサは加圧ガス容器3内に形成される混合気の温度を測定し、直接流入するガスの温度は測定しない。
【0032】
取出配管25は、同様に本体5を通って延び、アセンブリフィルタ43の領域で終端する。図2の図示にも見て取れるように、アセンブリフィルタは、取出路において、取出配管25が加圧ガス容器3の内部と接続する領域に配置されている。本体5内に延びる取出路の部分として、配管区域30が分岐した後に形成されている取出配管25は、取出弁9としてパイロット弁9を有している。このパイロット弁は、例えば上記の独国出願に記載された仕方で機能する。さらに、取出路には別の逆止弁26が設けられている。
【0033】
その際、逆止弁26は、弁体28と弁座29とを有している。弁体28は、加圧ガス容器2が充填されない場合にはいつもばね要素31により弁座29から持ち上げられている。このことにより、取出弁9としてのパイロット弁9を介してガスを取り出す場合に、ばね要素31の力による支援で流路が開けられる。逆向きの流れ方向の場合、すなわちガス接続部16を介した加圧ガス容器3の充填にもとづいて逆止弁26に圧力がかかると、弁体28が弁座29へ押されることにより、逆止弁が過圧によってばね要素31の力に抗して閉鎖される。このことは、パイロット弁9が、例えば5〜10barを超える圧力差など比較的高い圧力差の場合にガスを通過させるだろうから有意義であるとともに必要である。しかしこれは望ましいことではない。なぜなら、体積流量が大きいことにより、例えばシールリップまたはそれに類するものが流れによって損傷または損耗されることでパイロット弁9が損なわれる恐れがあるからであり、その一方で、取出配管25を介して加圧ガス容器3に流れ込むガスが本体区域5.2における取出配管25の端部の領域において流出するだろうからである。その場合、ガスは、直接温度センサ19の領域に到達するであろう。そしてここで温度値を歪曲するであろう。なぜならこの場合、第1に、充填時に直接加圧ガス容器3に流入するガスの温度が測定されるからである。このことは、特に、図2の図示とは違い、アセンブリフィルタ43が存在しない場合に当てはまる。図3の図示に部分的組込みとして示されているように、逆止弁26と管破損防止器22とフィルタ20とは、完全または部分的に本体5または第1の本体区域5.2に組み込まれていてもよい。まさにこの適用事例について、温度センサ19の温度値の歪曲が起こり得る。アセンブリフィルタ43を使用した場合、この温度値の歪曲をおそらくほとんど不可能にすることができる。しかしそれでもタンクに入ったガス、特に、管区域21を介して流入し、すでにタンク内に入っている残留ガスと混合されるガスの温度を測定することが望ましい。それにより温度センサ19の領域においてガスの所望の平均温度を測定することができる。
【0034】
取出配管25において、または取出路の一部として第1の本体区域5.1へ加圧ガス容器3の内部の方向に取り付けられた、図2の図示でも見て取れるすでに述べた管破損防止器22がある。管破損防止器22は、任意の仕方で組み立てられていてもよく、基本的に加圧ガス貯蔵器の分野から公知である。管破損防止器は、特に、弁体32が通常動作時に弁体32の両側の圧力が補償される場合にばね要素34により弁座33から持ち上げられるように形成されていてもよい。弁体32の、加圧ガス容器3から離反する側で圧力低下が生じるという事態になると、加圧ガス容器の内圧が弁体32をばね要素34の力に抗して弁座33に押し付け、それにより取出配管25が確実かつ高い信頼性で閉鎖される。取出配管25のそのような安全に関連する閉鎖は、例えばタンクバルブ4の第2の本体区域5.2が、例えば事故時にせん断される場合に生じる。このような場合、管破損防止器22を介してガスの流出を阻止することができる。同じく取出路における圧力の低下、したがって管破損防止器22の閉鎖をもたらす、例えばガス接続部16の後方、またはリザーバ装置2における他の箇所で配管要素が引きちぎられた場合も同等のことが当てはまる。その際、図3における図示は、部分的に本体5に組み込まれた構造を示す。この構造では、フィルタ20と逆止弁26とが第1の本体区域5.1に組み込まれて形成されている。管破損防止器22は、取出配管25を加圧ガス容器3の内部の方向に延長する取出路の一部において本体区域5.1に取り付けられている。管破損防止器22は本体区域5.1に同様に良好に統合することができよう。あるいは、管破損防止器は、他の部品と一緒にすでに述べたアセンブリフィルタ43のように、フィルタ20のみならず管破損防止器22および逆止弁26も、取出配管25において加圧ガス容器の内部の方向に連結する取出路の一部に位置するように取り付けることもできよう。その場合、部品は加圧ガス容器の内部へ突出する。そこでは事故の場合に部品が比較的安全でもある。
【0035】
その際、管破損防止器22および逆止弁26、ならびに特に逆止弁23も同じ部品から組み立てられていてよい。これによって、同じ部品を比較的大量に使用することができる。このことは、これらの部品の製造コストにおいて相応に有利であり、タンクバルブのコストを全体として低下させるのに役立つ。
【0036】
弁体32または弁座33、あるいは場合によってはその両方が、一般に必ずしも必要でないが、例えば200μmのオーダーの公称径を有する所定の小さい横断面を有する流路を付加的に有することが理想的である。この流路は、例えば孔または溝によって実現されてもよい。この流路によって、管破損防止器22が、圧力変動にもとづいて不都合に応答をした場合に、管破損防止器22の弁体32の両側間で圧力補償が行われ、それにより管破損防止器は、比較的長い時間の後に圧力が補償されると直ちに、ばね要素34が弁体32を弁座33から持ち上げる所望の元の状態に戻る。この流路はリセット通路とも呼ばれる。その際、この流路は小さいので、管が破損した場合にこの流路を通って流れ出すガス量が安全性を脅かすことはない。
【0037】
次に、図4の図示ではアセンブリフィルタ43の断面図が見て取れる。アセンブリフィルタは、内部にフィルタ20を示す実質的にフィルタハウジング44からなる。このフィルタハウジング44は、第1の本体区域5.1における対応する孔に緊密にねじ締めされている。ごみがフィルタ20をバイパスで迂回できることを阻止するために、ここでは、ねじ山に緊密にねじ締めする必要がある。フィルタハウジング44とねじ締結された逆止弁26がフィルタ20に連結する。逆止弁26は管破損防止器22と弁座29、33を共有している。これらの弁座は、ここでは管破損防止器22を有する螺合された要素に一体的に配置されている。その際、理想的には、構造は、弁座29、33が例えばPEEKなどのプラスチック材料から製造された形態であってもよい。ここではピストンとして形成された弁体28、32が、相応に、例えば鋼などの金属材料から製造されていてもよい。
【0038】
ここに図示されたアセンブリフィルタ43の例示的構造は、ここではフィルタハウジング44と逆止弁26との間にねじ山を有している。図4の図示では、このねじ山に参照符号45が付されている。さらに別のねじ山が、弁座29、33を有する部分と逆止弁26のハウジング46との間にある。このねじ山は、図4の図示では参照符号47で示されている。ここでは、両方のねじ山45、47は、これらのねじ山を完全に緊密に封止しない場合には管破損防止器22へのそれぞれ1つのバイバスを形成する。この事例においては、まさにこのことが所望され得る。このバイパスから粒子が入っても問題はない。なぜなら、流れていくガスの方向に、ねじ山45、47により流路になる可能性のあるこの場所の後にフィルタ20が続くからである。それゆえ、有利な一実施形態では、これらの2つのねじ山45、47のうちの少なくとも1つがねじ山シール手段を備えていないことが予定されている。したがって、例えばここでは金属上に金属、またはプラスチック上に金属が載っており完全には封止できないため、取付け時にねじ山45、47のうちの1つに必然的にごくわずかな漏れが生じる。一方のねじ山にも両方のねじ山45、47にも相応に生じ得るねじ山45、47からの漏れは、すでに述べたリセット通路としての流路の代わりになり得る。それによって逆止弁26および管破損防止器22の構造に専用の流路を設ける必要がない。このことは、製造に関して非常に有利である。なぜなら、例えば200μmの通流可能横断面を有する相応に小さい流路は製造が相応に複雑だからである。それでも管破損防止器22の領域にこの流路を設けることもここでは基本的に考えられる。
【0039】
例えば弁体32において設けられたリセット孔を除いて同じ部品を使用すること、ならびにこれらの部品を逆止弁26として、および管破損防止器22として単に逆向きに取り付けることの他に、管破損防止器22および逆止弁26を唯一の構造で実現することも考えられる。そのような構造は、例示的に図4および図5の図示で示されている。管破損防止器22と逆止弁26との組合せは、そのために共通の構造体35を有している。この構造体は、実質的に円筒状に形成されており、その両端に弁体28、32を有する。これらの弁体は、図5の図示ではそれぞれ半球形に形成されており、共通の構造体35の両端に着座する。特に、これらの弁体は、この共通の構造体35と一体的に形成されている。共通の構造体35よりいくらか大きい直径を有する拡径された管区域36が構造体35を包囲する。それにより管破損防止器22および逆止弁26が開状態にあるとき、この共通の構造体35の周りをガスが流れることができる。その際、特に図6の断面図に見て取れるように、構造体は、個々のリブ37により拡径された管区域36の壁に支持され、それにより案内される。
【0040】
その際、図5の図示において、ガスの取出し時の流れ方向は、拡径された管区域36が一部を形成する取出配管25の領域においてAで示される矢印により示されている。その際、管破損防止器22もしくは逆止弁26の2つのばね要素34、31は、それぞれの弁座29もしくは33を環状に取り囲んで拡径された管区域36を包囲する材料とリブ37とで支持される。したがって、この構造は、図5における原理的な図示とは異なり、例えば弁座29、33のうちの1つがねじ込み可能であるか、または管区域36の全体が分割可能であり、例えば加圧またはねじ締結によって取付け可能に形成されている場合にきわめて簡単かつ効率的に取り付けることができる。図4の図示では、さらに弁体28の領域にシール要素38が見て取れ、共通の構造体35における弁体32の領域にシール要素38が見て取れる。これらのシール要素38は、それぞれの弁座33、29における弁体32、28の当接を改善し、それにより封止を改善する。
【0041】
リセット通路としての流路は、図5の図示では単に例示的に弁体32の領域における孔によって実現されている。第1の軸方向孔39は、単に例示的に150μmの直径を有する40で示される孔の領域において所定の通流可能横断面へと縮小する。この孔は、径方向孔41へ通じ、それにより弁体32が弁座33に封止して当接する場合にもガスに管破損防止器22の弁をガスが通ることを可能にする。したがって、孔40は、図5の図示では管破損防止器22を場合によっては不正確な応答の後に元に戻すための所定の横断面を有する流路を形成する。この構造に代えて、当然のことながら、例えば弁座33または弁体32における溝の使用も考えられよう。特に、とりわけ弁座32の領域においてシール要素38を用いない封止では、共通の構造体35の製造時に例えば旋盤工具により弁体32の領域にらせん状の溝を実現することもできよう。この溝も、孔40により横断面が区画される孔39、40、41により形成される流路と同等の意味での相応の流路を形成することができよう。これに代わるものとして、弁座33の領域におけるらせん状の溝も考えられよう。弁座33および弁体32において軸方向に延びる溝も同様に考えられる。しかしこのような溝は、製造においてらせん状の溝として所望の精度で製作することが難しい。図5の図示で見て取れる構造全体を、例えばフィルタ20に直接、またはフィルタハウジング44を介して図4における図示と同様に取り付けることも考えられよう。このような場合、図4において45、47で示されるねじ山についての説明において先に説明したように、そのような取付けのためにねじ山がリセット通路としての流路を形成することもできよう。
【0042】
共通の構造体35を有する構造は、2つの部品の機能を1つの部品に統合するので、特に簡単かつ効率的である。この構造は、特に、タンクバルブに取り付ける際に、図2における図示と同様に、拡径された管区域36の一部が本体5の第1の本体区域5.1に導入されており、図2の図示に原理的に見て取れるように、拡径された管区域36のもう1つの部分が螺合された要素によって実現されるようにして実現することができ、その際、この要素は付加的にフィルタ20を備えていてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6