特許第6706706号(P6706706)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 星和電機株式会社の特許一覧

特許6706706磁性体材料固定具及び連結タイプ磁性体材料固定具
<>
  • 特許6706706-磁性体材料固定具及び連結タイプ磁性体材料固定具 図000002
  • 特許6706706-磁性体材料固定具及び連結タイプ磁性体材料固定具 図000003
  • 特許6706706-磁性体材料固定具及び連結タイプ磁性体材料固定具 図000004
  • 特許6706706-磁性体材料固定具及び連結タイプ磁性体材料固定具 図000005
  • 特許6706706-磁性体材料固定具及び連結タイプ磁性体材料固定具 図000006
  • 特許6706706-磁性体材料固定具及び連結タイプ磁性体材料固定具 図000007
  • 特許6706706-磁性体材料固定具及び連結タイプ磁性体材料固定具 図000008
  • 特許6706706-磁性体材料固定具及び連結タイプ磁性体材料固定具 図000009
  • 特許6706706-磁性体材料固定具及び連結タイプ磁性体材料固定具 図000010
  • 特許6706706-磁性体材料固定具及び連結タイプ磁性体材料固定具 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6706706
(24)【登録日】2020年5月20日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】磁性体材料固定具及び連結タイプ磁性体材料固定具
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/26 20060101AFI20200601BHJP
   H01F 17/06 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   H01F27/26 160
   H01F17/06 Z
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-90534(P2019-90534)
(22)【出願日】2019年5月13日
【審査請求日】2019年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000195029
【氏名又は名称】星和電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104569
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正夫
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 菜実
(72)【発明者】
【氏名】室田 真実
【審査官】 鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−267346(JP,A)
【文献】 特開平11−176649(JP,A)
【文献】 実開平02−031115(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0042431(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/26
H01F 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の磁性体材料の外形に対応した形状の固定部を有する台座と、
前記台座の前記固定部に載置された状態の前記磁性体材料を前記台座に固定するベルト部と、
前記ベルト部の両端を連結するために前記ベルト部の両端部に設けられた連結部とを具備し、
前記台座には、前記固定部に隣接して前記ベルト部の幅より大きな幅を有する一対の貫通孔部が開設されており、
前記ベルト部は、前記固定部の前記磁性体材料が当接する面とは反対側の面から前記一対の貫通孔部を貫通して配置されており、
前記連結部は、前記ベルト部の一端に設けられた一端側連結部と、前記ベルト部の他端に設けられた他端側連結部と、前記一端側連結部に形成された雌ねじに対応した雄ねじと、この雄ねじの脚部が貫通した押え板とを有しており、前記雌ねじに螺合した前記雄ねじによって前記押え板が前記他端側連結部を前記一端側連結部に向かって押さえ込むことで、前記ベルト部の一端と他端とを連結し、
前記磁性体材料が前記固定部に当接され、かつ、前記ベルト部の内面に当接した状態で前記連結部により前記ベルト部の両端が連結されることで前記磁性体材料を固定保持することを特徴とする磁性体材料固定具。
【請求項2】
前記固定部は、前記磁性体材料の外周部の曲率半径に合わせた凹形状からなることを特徴とする請求項1記載の磁性体材料固定具。
【請求項3】
前記一対の貫通孔部は、固定部に設置された磁性体材料が固定部と接触している部分と接触していない部分との境目に開設されていることを特徴とする請求項1又は2記載の磁性体材料固定具。
【請求項4】
複数個の環状の磁性体材料をその開口部を一致させて並べて配置固定する連結タイプ磁性体材料固定具であって、
複数個の磁性体材料を載置可能な固定部を有する台座と、
前記台座の前記固定部に載置された複数個の前記磁性体材料を前記台座にそれぞれ固定するベルト部と、
それぞれの前記ベルト部の両端を連結するために前記ベルト部の両端部に設けられた連結部とを具備し、
前記台座には、前記固定部に隣接して前記ベルト部の幅より大きな幅を有する一対の貫通孔部がそれぞれ開設されており、
前記ベルト部は、前記固定部の前記磁性体材料が当接する面とは反対側の面から前記一対の貫通孔部を貫通して配置されており、
前記連結部は、前記ベルト部の一端に設けられた一端側連結部と、前記ベルト部の他端に設けられた他端側連結部と、前記一端側連結部に形成された雌ねじに対応した雄ねじと、この雄ねじの脚部が貫通した押え板とを有しており、前記雌ねじに螺合した前記雄ねじによって前記押え板が前記他端側連結部を前記一端側連結部に向かって押さえ込むことで、前記ベルト部の一端と他端とを連結し、
前記磁性体材料が前記固定部に当接され、かつ、前記ベルト部の内周に当接した状態で前記連結部により前記ベルト部の両端が連結されることで複数個の前記磁性体材料を固定保持することを特徴とする連結タイプ磁性体材料固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェライト、アモルファス、ナノクリスタル、ダスト等からなる環状の磁性体材料を固定保持する磁性体材料固定具と、複数個の環状の磁性体材料を固定保持する連結タイプ磁性体材料固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
フェライトコア等の環状の磁性体材料を固定保持するものとしては、特開2013−069658号公報に示されるように、環状のフェライトコアを金具の水平部分に載置し、水平部分に開設された貫通口に結束バンドを貫通させ、フェライトコアの下端部(水平部分に接触した部分)において前記結束バンドをフェライトコアの開口部を通して固定保持するようにしたものがある(特開2013−069658号公報の段落番号0050、0051、図4参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2013−069658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような固定手法では、フェライトコアの下端部のみを固定しているため、耐振動性能や耐衝撃性能に劣っている。
また、結束バンドでの固定では、作業員による締め付け強さの個人差があるため、均一な固定が難しいという問題もある。
これは、フェライトコアが単数でも複数であっても同様である。
【0005】
また、図10に示すような磁性体材料固定具もある。この磁性体材料固定具は固定台900と幅広のベルト部910とを用いてフェライトコアを固定するものである。
しかしながら、この磁性体材料固定具は耐振動性能や耐衝撃性能には優れているが、台座900の縁部を内側に折り曲げて形成した折り曲げ部901によってベルト部910を台座900に取り付け固定する構造である。従って、台座900の幅はベルト部910の幅より大きくすることが要求される。
このような場合、フェライトコアを台座900に配置し、ベルト部910で固定した磁性体材料を取り付けた磁性体材料固定具を、フェライトの開口部を一致させた状態で複数個配列するとすれば、台座900の幅に規制され、磁性体材料固定具同士を密接して配置することができないという問題がある。
また、フェライトコアが当接する台座900の領域は平面であるので、フェライトコアはこの面では点接触することになり、大きな締め付け力や振動が生じると破損するおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたもので、熟練者だけでなくだれでも確実な固定ができ、耐振動性能や耐衝撃性能を有する磁性体材料固定具を提供することを目的としている。
また、複数個の磁性体材料をその開口部を一致させて並べて配置し固定する場合に、磁性体材料同士の距離を小さくして全体として小型の連結タイプ磁性体材料固定具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る磁性体材料固定具は、環状の磁性体材料の外形に対応した形状の固定部を有する台座と、
前記台座の前記固定部に載置された状態の前記磁性体材料を前記台座に固定するベルト部と、
前記ベルト部の両端を連結するために前記ベルト部の両端部に設けられた連結部とを具備し、
前記台座には、前記固定部に隣接して前記ベルト部の幅より大きな幅を有する一対の貫通孔部が開設されており、
前記ベルト部は、前記固定部の前記磁性体材料が当接する面とは反対側の面から前記一対の貫通孔部を貫通して配置されており、
前記磁性体材料が前記固定部に当接され、かつ、前記ベルト部の内面に当接した状態で前記連結部により前記ベルト部の両端が連結されることで前記磁性体材料を固定保持するようになっている。
【0008】
前記固定部は、前記磁性体材料の外周部の曲率半径に合わせた凹形状に形成されている。
【0009】
また、前記一対の貫通孔部は、固定部に載置された磁性体材料が固定部と接触している部分と接触していない部分との境目に開設されている。
【0010】
さらに、前記連結部は、ベルト部の一端に設けられた一端側連結部と、ベルト部の他端に設けられた他端側連結部と、一端側連結部に形成された雌ねじに対応した雄ねじと、この雄ねじの脚部が貫通した押え板とを有しており、雌ねじに螺合した雄ねじによって押え板が他端側連結部を一端側連結部に向かって押さえ込むことで、ベルト部の一端と他端とを連結するようになっている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る磁性体材料固定具は、磁性体材料をベルト部によって台座の固定部に固定するものであるため、磁性体材料を確実に台座に固定することができる。すなわち、従来のものより耐振動性能や耐衝撃性能に優れたものとすることができる。
【0012】
しかも、連結部が雄ねじによってベルト部の両端を連結するものであるため、雄ねじのをねじ込む際のトルク値を一定にすることで磁性体材料を一定の強さで台座に固定することができる。すなわち、磁性体材料の台座への取り付け強さが作業員によって変動するというおそれが少なくなる。
【0013】
また、複数個の磁性体材料を固定する連結タイプ磁性体材料固定具であれば、個々の台座を複数個並べるタイプの磁性体材料固定具より隣接する磁性体材料同士の距離をより小さくすることができる。すなわち、磁性体材料を複数個取り付ける必要がある場合にその設置面積を小さくできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る磁性体材料固定具の図面であって、同図(A)は概略的正面図、同図(B)は概略的平面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る磁性体材料固定具で磁性体材料を固定した状態の図面であって、同図(A)は概略的正面図、同図(B)は概略的平面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る磁性体材料固定具を構成する台座の概略的斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る磁性体材料固定具を構成する台座の図面であって、同図(A)は概略的正面図、同図(B)は概略的平面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る磁性体材料固定具を構成する連結部の概略的斜視図である。
図6】本発明の実施の形態に係る磁性体材料固定具によって固定される磁性体材料の図面であって、同図(A)は概略的正面図、同図(B)は概略的平面図である。
図7】本発明の他の実施の形態に係る磁性体材料固定具で磁性体材料を固定した状態の図面であって、同図(A)は概略的正面図、同図(B)は概略的平面図である。
図8】本発明の他の実施の形態に係る磁性体材料固定具を構成する台座の概略的斜視図である。
図9】本発明のさらに他の実施の形態に係る磁性体材料固定具を構成する台座の概略的正面図である。
図10】従来のこの種の磁性体材料固定具の概略的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態に係る磁性体材料固定具1000について、図1から図6を用いて詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係る磁性体材料固定具1000は、環状の磁性体材料Mの外形に対応した形状の固定部110を有する台座100と、
前記台座100の前記固定部110に載置された状態の前記磁性体材料Mを前記台座100に固定するベルト部200と、
前記ベルト部200の両端を連結するために前記ベルト部200の両端部に設けられた連結部300とを備えており、
前記台座100には、前記固定部110に隣接して前記ベルト部200の幅より大きな幅を有する一対の貫通孔部111が開設されており、
前記ベルト部200は、前記固定部110の前記磁性体材料Mが当接する面とは反対側の面から前記一対の貫通孔部111を貫通して配置されており、
前記連結部300は、前記ベルト部200の一端に設けられた一端側連結部310と、前記ベルト部200の他端に設けられた他端側連結部320と、前記一端側連結部310に形成された雌ねじ311に対応した雄ねじ330と、この雄ねじ330の脚部331が貫通した押え板340とを有しており、前記雌ねじ311に螺合した前記雄ねじ330によって前記押え板340が前記他端側連結部320を前記一端側連結部310に向かって押さえ込むことで、前記ベルト部200の一端と他端とを連結し、
前記磁性体材料Mが前記固定部110に当接され、かつ、前記ベルト部200の内面に当接した状態で前記連結部300により前記ベルト部200の両端が連結されることで前記磁性体材料Mを固定保持するようになっている。
【0016】
まず、本発明の実施の形態に係る磁性体材料固定具1000の説明の前に、この磁性体材料固定具1000によって固定される磁性体材料Mについて説明する。
この磁性体材料Mは、フェライトコアに代表されるものであって、図6に示すように円形に形成されている。
まず、以下では円形の磁性体材料Mとして説明を行う。
この円形の磁性体材料Mは中央に貫通部である開口部MAを有している。この磁性体材料Mの厚さ寸法をW5、外側半径をR1、内側半径をR2とする。従って、この磁性体材料Mの外形の長さ寸法は、2×R1×πになる。
なお、この種の磁性体材料Mは、図6に示すような円形のものの他に、角部が円弧状に形成された略長方形状や略正方形状のものもある。
また、この種の磁性体材料Mの素材は、フェライトの他に、アモルファス、ナノクリスタル、ダスト等がある。
【0017】
前記台座100は、例えば厚さ寸法が1〜3mm程度の金属板を折曲形成したものであって、磁性体材料Mの外形に対応した円弧状の固定部110と、この固定部110の両端に延設される一対の脚部120とが一体に形成されたものである。
かかる台座100は、図3図4に示すように、略M字形状に形成されている。中央の凹状に形成された部分が固定部110であり、この固定部110の両端から延設される部分が脚部120である。
この台座100の幅寸法W1は、固定保持すべき磁性体材料Mの厚さ寸法W2より若干大きく設定されている(図2(B)参照)。
【0018】
前記固定部110は、凹状に形成されているため、載置された固定保持すべき磁性体材料Mが密着するようになっている。
しかもこの固定部110には、固定部110に載置された磁性体材料Mが固定部110と接触している部分P1と接触していない部分P2との境目に一対の貫通孔部111が開設されている。
この貫通孔部111は、幅寸法W3が後述するベルト部200の幅寸法W4より若干大きく設定されており、ベルト部200がスムーズに抜き差し可能であり、かつ幅方向にはずれないようになっている。
【0019】
固定部110の両端から延設される一対の脚部120は、台座100をシャーシCに固定するためのものである。
この脚部120は、シャーシCに接触する接触部121と、この接触部121の縁部から立ち上がって固定部110の端部に連なる立上部122とで全体として略L字形状に形成されている。
一方の接触部121には丸孔121Aが、他方の接触部121には長孔121Bがそれぞれ開設されている。これらの丸孔121A及び長孔121Bは、台座100をシャーシCに固定するためのものであり、一方を長孔121Bとしたのは台座100の取付位置を微調整可能とするためである。
前記立上部122は、固定部110の最底部BがシャーシCに接触しないようにするためのものである。
【0020】
一方、前記ベルト部200は、磁性体材料Mの外形にしなやかに沿うことができるような金属製又は合成樹脂製の幅広の帯状部材であって、その両端には後述する連結部300が設けられている。
かかるベルト部200の幅寸法W4は、上述したように、ベルト部200が貫通孔部111の幅寸法W3より若干小さく設定されており、ベルト部200が貫通孔部111に対してスムーズに抜き差し可能であり、かつ幅方向にはずれないようになっている。
また、金属製のベルト部200の長さ寸法は、固定保持すべき磁性体材料Mの外形長さ寸法2×R1×πより若干短く設定されている。
【0021】
前記連結部300は、ベルト部200の一端に取り付けられた一端側連結部310と、ベルト部200の他端に取り付けられた他端側連結部320と、一端側連結部310に形成された雌ねじ部311に対応する雄ねじ330と、この雄ねじ330の脚部331が嵌まり込む貫通孔341を有する押え板340とを有している。
【0022】
前記一端側連結部310は、ベルト部200の一端に接触する接触面312と、この接触面312からほぼ直交して延出される延出面313とが一体に形成された側面視略L字形状の部材である。
この一端側連結部310は、前記延出面313がベルト部200の一端に溶接されることでベルト部200に取り付けられている。また、この一端側連結部310の延出面313は、ベルト部200の外側に向かって突出するようになっている。
かかる一端側連結部310の延出面313の略中央部分には、雌ねじ部311が開設されている。
【0023】
一方、前記他端側連結部320は、ベルト部200の他端に接触する接触面322と、この接触面322からほぼ直交して延出される延出面323と、この延出面323の両側面側から立上形成された壁部324と、延出面323の外側縁部から立上形成された2つの爪部325とを有している。延出面323の略中央部分には、雄ねじ330の脚部が入り込む切欠き部(図示省略)が形成されている。
【0024】
また、前記押え板340は、前記他端側連結部320の壁部324と爪部325とで囲まれた延出面323上に入り込むように形成された板材である。かかる押え板340の略中央部分には、雄ねじ330の脚部331が貫通する貫通孔341が開設されている。
【0025】
前記雄ねじ330は、脚部331が雌ねじ部311に螺合するものであって、頭部332は押え板340を押さえ込むようになっている。
【0026】
前記一端側連結部310と他端側連結部320とは、ベルト部200を台座100の一対の貫通孔部111に貫通させ、その一部が磁性体材料Mが当接する面とは反対側の面に位置し、かつ一端と他端とが固定部110より上方に位置した状態でベルト部200の一端と他端とにそれぞれ溶接で取り付けられる。
【0027】
次に、上述したような部品から構成された磁性体材料固定具1000を用いて円形の磁性体材料Mを固定保持する手順について説明する。
台座100の固定部110の上に磁性体材料Mを載置する。すると、磁性体材料Mはベルト部200によって囲まれたような状態になる。
押え板340を他端側連結部320の延出面323の上に載置し、雄ねじ330の脚部311を押え板340の貫通孔341に貫通させる。すると、雄ねじ330の脚部331は、前記延出面323の切欠き部を通過する。
【0028】
ベルト部200は、雄ねじ330をさらにねじ込むことによって磁性体材料Mを強固に締めつけて固定部110に固定保持するようになる。
すなわち、ベルト部200を磁性体材料Mに密着させて、雄ねじ330を一端側連結部310の延出面313の雌ねじ311に螺合させると、ベルト部200の両端が連結される。雄ねじ330の頭部332によって押え板340が他端側連結部320の延出面323により密着し、前記延出面323が一端側連結部310の延出面313により近づくので、磁性体材料Mが強固に台座100の固定部110に対して固定保持される。
【0029】
ここで、雄ねじ330のねじ込み量を調整することで磁性体材料Mを一定の強さで台座100に固定保持することができるようになる。具体的には、雄ねじ330をねじ込む際のトルク値を一定にすることで磁性体材料Mを一定の強さで台座100に固定保持することができるようになる。
【0030】
固定部110の貫通孔部111は、固定部110に載置された磁性体材料Mが固定部110と接触している部分P1と接触していない部分P2との境目に開設されている。このため、台座100に取り付けられたベルト部200のうち、固定部110の裏面側に位置していない部分は確実に磁性体材料Mの外周に接触するようになっているので、台座100に固定保持された磁性体材料Mは、振動や衝撃が加わっても固定部110からずれるおそれは格段に少なくなっている。
【0031】
なお、上述した実施の形態に係る磁性体材料固定具1000では、貫通孔部111の幅寸法W3は、ベルト部200の幅寸法W4より若干大きいとしたが、ベルト部200の幅寸法W4は磁性体材料Mの厚さ寸法W2の100〜50%の範囲で適宜に設定することが可能である。
【0032】
また、上述した実施の形態に係る磁性体材料固定具1000では、連結部300が一端側連結部310と、他端側連結部320と、雄ねじ330と、押え板340とから構成されているとしたが、合成樹脂製のいわゆる結束バンドと称される部材やバックルを有する布製のベルト等の多種のベルト部を使用することも可能である。
【0033】
上述した実施の形態に係る磁性体材料固定具1000では、1個の磁性体材料Mを固定保持することができるだけであったが、本発明に係る他の磁性体材料固定具2000では2個の磁性体材料Mを同時に固定保持することができる。
図7及び図8に示すように、かかる磁性体材料固定具2000は、複数個の環状の磁性体材料をその開口部を一致させて並べて配置固定する連結タイプ磁性体材料固定具であって、2個の前記磁性体材料Mの外形に対応した形状の固定部510を有する台座500と、前記台座500の前記固定部510に載置された状態の前記磁性体材料Mを前記台座500にそれぞれ固定する2個のベルト部と、それぞれの前記ベルト部200の両端を連結するために前記ベルト部200の両端部に設けられた連結部300とを備えており、前記台座300には、前記固定部510に隣接して前記ベルト部200の幅より大きな幅を有する一対の貫通孔部511がそれぞれ開設されており、前記ベルト部200は、前記固定部510の前記磁性体材料Mが当接する面とは反対側の面から前記一対の貫通孔部511を貫通して配置されており、前記磁性体材料Mが前記固定部510に当接され、かつ、前記ベルト部200の内周に当接した状態で前記連結部300により前記ベルト部200の両端が連結されることで2個の前記磁性体材料Mを固定保持するようになっている。
【0034】
この磁性体材料固定具2000を構成する2つのベルト部200及び2つの連結部300は、上述した磁性体材料固定具1000を構成するものと同一であるので、その詳細な説明は省略する。
【0035】
前記台座500は、上述した台座100と同様に、例えば厚さ寸法が1〜3mm程度の金属板を折曲形成したものであって、磁性体材料Mの外形に対応した円弧状の固定部510と、この固定部510の両端に延設される一対の脚部520とが一体に形成されたものである。
【0036】
前記固定部510には、固定部510に載置された2個の磁性体材料Mが固定部510と接触している部分P1と接触していない部分P2との境目に一対2組の貫通孔部511が開設されている。
この貫通孔部511は、幅寸法がベルト部200の幅寸法より若干大きく設定されており、ベルト部200がスムーズに抜き差し可能であり、かつ幅方向にはずれないようになっている。
【0037】
固定部510の両端から延設される一対の脚部520は、台座500をシャーシCに固定するためのものである。
この脚部520は、シャーシCに接触する接触部521と、この接触部521の縁部から立ち上がって固定部510の端部に連なる立上部522とで全体として略L字形状に形成されている。
一方の接触部521には2つの丸孔521Aが、他方の接触部521には長孔521Bがそれぞれ開設されている。これらの丸孔521A及び長孔521Bは、台座500をシャーシCに固定するためのものであり、一方を長孔521Bとしたのは台座500の取付位置を微調整可能とするためである。なお、本実施の形態では丸孔521Aと長孔521Bとをそれぞれ2個設けたが、1個ずつでも構わない。
前記立上部522は、固定部510の最底部BがシャーシCに接触しないようにするためのものである。
【0038】
かかる磁性体材料固定具2000は、2個の磁性体材料Mを密接して固定保持できるので、従来の固定具に比べて設置面積を減少できる効果を奏する。また、従来、複数の磁性体材料Mをノイズ防止対策のために設置する場合には、1個の磁性体材料Mが固定されている磁性体材料固定具をそれぞれ設置する必要があり、作業性が悪かった。しかし、本実施の形態の磁性体材料固定具2000では、2個の磁性体材料Mが取り付けられているので設置作業を効率化できる。
なお、本実施の形態の磁性体材料固定具2000では、2個の磁性体材料Mを固定保持する構造について説明したが、本発明は2個の磁性体材料Mを固定する構造に限定されない。たとえば、台座として3個以上の磁性体材料Mを固定可能な大きさとし、その磁性体材料Mの数に合わせて貫通孔を設けた構造としてもよい。このような構造とすれば、3個以上の磁性体材料Mを設置する場合に設置作業をさらに効率化することができる。
【0039】
上述した2つの磁性体材料固定具1000、2000では、円形の磁性体材料Mを固定保持したが、角部が円弧状に形成された略長方形状や略正方形状の磁性体材料MSも同様にして固定保持することができる。
磁性体材料MSを固定保持する磁性体材料固定具を構成する台座600は、図9に示すように、例えば厚さ寸法が1〜3mm程度の金属板を折曲形成したものであって、磁性体材料MSの外形に対応した形状の固定部610と、この固定部610の両端に延設される一対の脚部620とが一体に形成されたものである。
かかる台座600は、中央の凹状に形成された部分が固定部610であり、この固定部610の両端から延設される部分が脚部620である。
この台座600の幅寸法は、固定保持すべき磁性体材料MSの厚さ寸法より若干大きく設定されている。
【0040】
この台座600を使用する磁性体材料固定具は、固定部610のほとんどの部分が平坦で、脚部620と繋がる部分のみが、磁性体材料MSの円弧状の角部に対応して円弧状に形成されている。
この固定部610には、ベルト部200が貫通する一対の貫通孔部(図示省略)が開設されているのは上述した2つの磁性体材料固定具1000、2000と同様である。
【0041】
また、この磁性体材料固定具を構成する他の部材、すなわちベルト部200、連結部300も上述した2つの磁性体材料固定具1000、2000と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0042】
なお、上述した実施の形態に係る磁性体材料固定具1000以外の磁性体材料固定具2000や台座600を使用する磁性体材料固定具でも、貫通孔部211、511の幅寸法は、ベルト部200の幅寸法より若干大きいとしたが、ベルト部200の幅寸法は磁性体材料M、MSの厚さ寸法の100〜50%の範囲で適宜に設定することが可能である。
【0043】
また、上述した実施の形態に係る磁性体材料固定具1000以外の磁性体材料固定具2000や台座600を使用する磁性体材料固定具でも、一端側連結部310と、他端側連結部320と、雄ねじ330と、押え板340とから構成される連結部300ではなく、合成樹脂製のいわゆる結束バンドと称される部材やバックルを有する布製のベルト等の多種のベルト部を使用することも可能である。
【0044】
なお、上述した磁性体材料固定1000、2000は、EMC対策、高調波対策、リアクトルなどのノイズ対策用に用いる場合に最適である。
【符号の説明】
【0045】
100 台座
110 固定部
111 貫通孔部
200 ベルト部
300 連結部
1000 磁性体材料固定具
M 磁性体材料
【要約】      (修正有)
【課題】耐振動性能や耐衝撃性能に優れた磁性体材料固定具を提供する。
【解決手段】環状の磁性体材料Mの外形に対応した形状の固定部110を有する台座100と、台座100の固定部110に載置された状態の磁性体材料Mを台座100に固定するベルト部200と、ベルト部200の両端を連結するためにベルト部200の両端部に設けられた連結部300とを備える。台座100には固定部110に隣接してベルト部200の幅より大きな幅を有する一対の貫通孔部111が開設され、ベルト部200は固定部110の磁性体材料Mが当接する面とは反対側の面から一対の貫通孔部111を貫通して配置され、磁性体材料Mが固定部110に当接され、かつ、ベルト部200の内面に当接した状態で連結部300によりベルト部200の両端が連結されることで磁性体材料Mを固定保持する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10