(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る操作パネル2、及び操作パネル2が適用される車両用内装部品としてのインストルメントパネル1について説明する。
【0010】
まず、
図1を参照して、インストルメントパネル1について説明する。
図1は、インストルメントパネル1の構成を示す斜視図である。
【0011】
図1に示すように、インストルメントパネル1は、操作パネル2を有する。インストルメントパネル1は、車両の車室内に設けられる。インストルメントパネル1は、運転席の正面を含む車室の前方に設けられる。インストルメントパネル1には、自動車の情報を示す計器類(図示省略)が配置される。
【0012】
次に、
図2から
図6を参照して、操作パネル2について説明する。
【0013】
図2は、操作パネル2の分解斜視図である。
図3は、パネル部材3の背面からの斜視図である。
図4は、突出部31が設けられる位置におけるパネル部材3及び本体部8の断面図である。
図5は、タッチ位置センサ6及び荷重センサ7の構成について説明する断面図である。
図6は、操作パネル2の背面からの斜視図である。
【0014】
図2に示すように、操作パネル2は、パネル部材3と、センサモジュール5と、本体部8と、を備える。
【0015】
パネル部材3は、少なくとも一部が曲面状である自由曲面状に形成される。パネル部材3は、車両の車室内に露出する。パネル部材3は、操作部としてのスイッチ4を有する。
【0016】
スイッチ4は、パネル部材3の一部として設けられる。スイッチ4は、使用者によって押圧操作される。スイッチ4は、空調装置(エアコンディショナ)を操作するための第1スイッチ4a〜第10スイッチ4jを有する。
【0017】
第1スイッチ4aと第2スイッチ4bと第9スイッチ4iと第10スイッチ4jとは、空調装置の温度を調節するためのスイッチである。第3スイッチ4cは、リアデフォッガのON/OFFを切り換えるためのスイッチである。第4スイッチ4dは、フロントデフロスタのON/OFFを切り換えるためのスイッチである。第5スイッチ4eと第6スイッチ4fとは、空調装置の風量を調節するためのスイッチである。第7スイッチ4gは、オートモードのON/OFFを切り換えるためのスイッチである。第8スイッチ4hは、内外気の切り換えをするためのスイッチである。
【0018】
図3に示すように、パネル部材3は、突出部31と、取付部32と、を有する。
【0019】
突出部31は、パネル部材3の裏面から突出する。各々の突出部31は、複数に分割して設けられる分割突出部311からなる。これにより、各々の分割突出部311を小さく形成できるので、パネル部材3を樹脂材料の射出成形によって形成したときに、裏面に大きな突出部が形成される場合と比較して、パネル部材3の表面にヒケが発生することを抑制することができる。
【0020】
図4に示すように、各々の突出部31は、パネル部材3の平面部分3aに形成される。即ち、パネル部材3の表面が曲面形状であっても、突出部31が形成される裏面には平面部分3aが形成される。これにより、各々の突出部31における各分割突出部311の突出量を同じにすることができる。
【0021】
突出部31は、第1突出部31aと、第2突出部31bと、第3突出部31cと、を有する。第1突出部31aは、後述する第1荷重センサ7aに臨む。第2突出部31bは、後述する第2荷重センサ7bに臨む。第3突出部31cは、後述する第3荷重センサ7cに臨む。第2突出部31bは、第1突出部31aよりも突出量が大きい。第3突出部31cは、第2突出部31bよりも突出量が大きい。第1〜第3突出部31a〜31cの突出量は、パネル部材3の形状に応じて設定される。
【0022】
図5に示すように、突出部31は、先端部311aが荷重センサ7に臨む。分割突出部311は、パネル部材3と荷重センサ7との間の距離が同じになるような突出量に各々形成される。即ち、パネル部材3の表面が曲面形状であっても、分割突出部311の荷重センサ7に当接する先端部311aは、荷重センサ7の表面と平行な平面上にある。これにより、分割突出部311の一部のみが荷重センサ7に当接するのではなく、すべての分割突出部311を荷重センサ7に当接させることができる。
【0023】
図3に示すように、取付部32は、突出部31から長手方向に離間した位置に設けられる。これにより、使用者がスイッチ4を操作したときにパネル部材3が変形することを妨げない。
【0024】
図2に示すように、センサモジュール5は、センサシート5aと、タッチ位置センサ6と、荷重センサ7と、を有する。
【0025】
センサシート5aは、基板部11に接続される。センサシート5aは、タッチ位置センサ6及び荷重センサ7と基板部11とを電気的に接続する。
【0026】
タッチ位置センサ6は、パネル部材3の裏面に臨んで、センサシート5a上に設けられる。タッチ位置センサ6は、各スイッチ4に対応して設けられる。タッチ位置センサ6は、各スイッチ4に使用者の指が触れたことを検知する。即ち、第1〜第10スイッチ4a〜4jに対応する位置には、第1〜第10タッチ位置センサ6a〜6jが各々設けられる。
【0027】
図5に示すように、タッチ位置センサ6は、パネル部材3の裏面に、各スイッチ4に対応して設けられる。タッチ位置センサ6は、静電容量式近接センサである。タッチ位置センサ6は、センサシート5a上に配置された板状の電極62を有する。
【0028】
タッチ位置センサ6は、例えば10[ms]の周期で、静電容量値を測定する。使用者の指がスイッチ4に触れると、タッチ位置センサ6によって測定される静電容量値が変化する。タッチ位置センサ6は、この静電容量値の変化に基づき、使用者の指がどのスイッチ4に触れたかを検出する。
【0029】
図2に示すように、荷重センサ7は、パネル部材3の裏面に臨んで、センサシート5a上に設けられる。荷重センサ7は、スイッチ4が操作された際にパネル部材3が変位することによって作用する荷重を検出する。即ち、荷重センサ7は、使用者が各スイッチ4に加えた荷重を検出する。荷重センサ7は、検出した荷重に基づき、スイッチ4が操作されたことを検出する。荷重センサ7は、第1荷重センサ7aと、第2荷重センサ7bと、第3荷重センサ7cと、を備える。
【0030】
第1荷重センサ7aは、第3スイッチ4cと第4スイッチ4dとの間であって、第3スイッチ4c及び第4スイッチ4dの下方に設けられる。第2荷重センサ7bは、第5スイッチ4eと第6スイッチ4fとの間であって、第5スイッチ4e及び第6スイッチ4fの下方に設けられる。第3荷重センサ7cは、第7スイッチ4gと第8スイッチ4hとの間であって、第7スイッチ4g及び第8スイッチ4hの下方に設けられる。
【0031】
図5に示すように、荷重センサ7は、板状の第1電極71と、板状の第2電極72と、スペーサ73と、を有する。
【0032】
第1電極71は、本体部8に臨んで、センサシート5a上に設けられる。第2電極72は、パネル部材3の裏面に臨んで、センサシート5a上に設けられる。スペーサ73は、パネル部材3とセンサシート5aとの間に設けられて、第1電極71と第2電極72とが所定の間隙を有して対向するように配置される。スペーサ73は、弾性変形可能に設けられ、使用者によってスイッチ4が操作されると圧縮されて変形する。
【0033】
荷重センサ7は、電極としての第1電極71及び第2電極72を保持するセンサシート5aの端部に形成される突出片70をグラウンド部として、突出片70が折り返されることによって包み込まれる静電容量式変位センサである。これにより、突出片70が折り返された部分がクローズ状態になるので、電荷が漏れることを防止できる。したがって、荷重センサ7による誤検知を抑制することができる。
【0034】
荷重センサ7は、例えば、10[ms]の周期で、静電容量値を計測する。使用者が指でスイッチ4を押し込むと、スイッチ4の位置を中心にパネル部材3が凹むように変形する。パネル部材3が凹むと、第1電極71と第2電極72との距離が小さくなる。そのため、第1電極71と第2電極72との間の静電容量値が変化する。荷重センサ7は、この静電容量値の変化に基づき、パネル部材3に作用した荷重の大きさ(荷重検出強度)を検出する。
【0035】
ここで、
図5に示すように、パネル部材3の上端部36は、車体に取り付けられる固定端であり、下端部37は、他の部材に取り付けられない自由端である。荷重センサ7は、スイッチ4よりも下端部37に近い位置に設けられる。即ち、荷重センサ7は、スイッチ4が操作されたときに当該スイッチ4の変位量よりもパネル部材3が大きく変位する位置に設けられる。
【0036】
これにより、荷重センサ7は、使用者の操作によってスイッチ4に作用する荷重よりも大きな荷重を検出することになる。したがって、使用者によるスイッチ4の操作を荷重センサ7が検出する正確性を向上させることができる。
【0037】
図2に示すように、本体部8は、ベース部9と、照明部10と、基板部11と、ケース部12と、振動発生デバイスとしての一対のソレノイド13と、を有する。
【0038】
ベース部9は、車体に取り付けられる。ベース部9には、照明部10を埋め込むための複数の貫通孔が形成される。
【0039】
照明部10は、光を通す透明な部材である。照明部10は、第1〜第10スイッチ4a〜4jの各々に対応して複数設けられる。照明部10は、第1〜第10スイッチ4a〜4jを裏面から照射する光を透過させる。
【0040】
基板部11は、ベース部9とケース部12との間に設けられる。基板部11には、タッチ位置センサ6及び荷重センサ7からの電気信号が入力される。基板部11は、車両のコントローラ(図示省略)に、入力された電気信号に応じた電気信号を出力する。基板部11には、照明部10を各々照射する複数の発光部(図示省略)が実装される。発光部は、例えばLED(発光ダイオード)によって構成される。
【0041】
ケース部12は、ベース部9の裏側に挿入されると共に、車体に取り付けられる。ケース部12は、ソレノイド13の一端を保持する。
【0042】
図6に示すように、本体部8は、車体に取り付けられる複数の取付部8aを有する。これにより、本体部8は、車体に取り付けられて剛性が確保される。これに対して、パネル部材3は、本体部8から長手方向に離間した位置にて車体に取り付けられる。よって、使用者がスイッチ4を押圧操作したときには、車体への取付剛性が確保された本体部8に対してパネル部材3が変形する。したがって、使用者がスイッチ4を押圧操作した際に、荷重センサ7に押圧力が作用するようにでき、例えば車体など他の部分へ押圧力が逃げることが抑制される。
【0043】
図2に示すように、ソレノイド13は、パネル部材3の裏面側に配置される。ソレノイド13は、スイッチ4が操作された際に、パネル部材3を振動させることによって、使用者の指に触感を発生させる。ソレノイド13は、コイル(図示省略)と可動鉄心(図示省略)と、を有する。
【0044】
ソレノイド13は、コイルに通電されると、可動鉄心をパネル部材3に向けて変位させる。一方、ソレノイド13は、コイルへの通電が停止されると、可動鉄心をパネル部材3から離間させる。これにより、ソレノイド13は、パネル部材3に振動を発生させる。
【0045】
ソレノイド13の一端はケース部12によって保持される。よって、可動鉄心の変位によって発生する振動を、パネル部材3に確実に伝達することができる。
【0046】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0047】
車両に設けられる操作パネル2は、少なくとも一部が曲面状に形成され、車両の車室内に露出するパネル部材3と、パネル部材3に設けられ、使用者によって押圧操作されるスイッチ4と、パネル部材3の裏面に臨んで設けられ、パネル部材3が変位することによって作用する荷重に基づきスイッチ4が操作されたことを検出する荷重センサ7と、を備え、荷重センサ7は、スイッチ4が操作されたときに当該スイッチ4の変位量よりもパネル部材3が大きく変位する位置に設けられる。
【0048】
この構成では、荷重センサ7は、スイッチ4が操作されたときに当該スイッチ4の変位量よりもパネル部材3が大きく変位する位置に設けられる。そのため、荷重センサ7は、使用者の操作によってスイッチ4に作用する荷重よりも大きな荷重を検出する。したがって、使用者によるスイッチ4の操作を荷重センサ7が検出する正確性を向上させることができる。
【0049】
また、パネル部材3は、先端部311aが荷重センサ7に臨むように裏面から突出する突出部31を有する。
【0050】
この構成によれば、先端部311aが荷重センサ7に臨むように突出する突出部31が形成されるので、パネル部材3が曲面形状であっても、使用者によってスイッチ4が押圧操作された際の荷重を荷重センサ7に伝達することができる。
【0051】
また、突出部31は、複数に分割して設けられる分割突出部311からなる。
【0052】
この構成によれば、各々の分割突出部311を小さく形成できるので、パネル部材3を樹脂材料の射出成形によって形成したときに、裏面に大きな突出部が形成される場合と比較して、パネル部材3の表面にヒケが発生することを抑制することができる。
【0053】
また、分割突出部311は、パネル部材3と荷重センサ7との間の距離が同じになるような突出量に各々形成される。
【0054】
この構成によれば、パネル部材3の表面が曲面形状であっても、分割突出部311の荷重センサ7に当接する先端部311aは、荷重センサ7の表面と平行な平面上にある。これにより、分割突出部311の一部のみが荷重センサ7に当接するのではなく、すべての分割突出部311を荷重センサ7に当接させることができる。
【0055】
また、突出部31は、前記パネル部材の平面部分3aに形成される。
【0056】
この構成によれば、パネル部材3の表面が曲面形状であっても、突出部31が形成される裏面には平面部分3aが形成されるので、各々の突出部31における各分割突出部311の突出量を同じにすることができる。
【0057】
荷重センサ7は、第1電極71及び第2電極72を保持するセンサシート5aの端部に形成される突出片70をグラウンド部として、突出片70が折り返されることによって包み込まれる静電容量式センサである。
【0058】
この構成によれば、突出片70が折り返された部分がクローズ状態になるので、電荷が漏れることを防止できる。したがって、荷重センサ7による誤検知を抑制することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0060】
例えば、上記実施形態では、荷重センサ7を静電容量式とする例を示した。しかしながら、荷重センサ7としては、抵抗線式、拡散式、成膜式等の他の荷重センサを使用することができる。
【0061】
また、上記実施形態では、スイッチ4を空調装置の操作のためのスイッチとする例を示した。しかしながら、スイッチ4としては、カーオーディオの操作のためのスイッチとしてもよいし、その他の操作のためのスイッチとしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、荷重センサ7を3つ設ける例を示した。しかしながら、荷重センサ7は、1つ若しくは2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0063】
上記実施形態では、スイッチ4を10つ設ける例を示した。しかしながら、スイッチ4の数は、この態様に限定されない。
【0064】
上記実施形態では、本発明をインストルメントパネル1に設けられた操作パネル2に適用する例を示した。しかしながら、本発明は、コンソールやアームレストに設けられた入力装置に適用できる。また、本発明は、家具や電化製品等に設けられた入力装置に適用することができる。
【解決手段】車両に設けられる操作パネル2は、少なくとも一部が曲面状に形成され、車両の車室内に露出するパネル部材3と、パネル部材3に設けられ、使用者によって押圧操作されるスイッチ4と、パネル部材3の裏面に臨んで設けられ、パネル部材3が変位することによって作用する荷重に基づきスイッチ4が操作されたことを検出する荷重センサ7と、を備え、荷重センサ7は、スイッチ4が操作されたときに当該スイッチ4の変位量よりもパネル部材3が大きく変位する位置に設けられる。