(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2データベースには、前記IDにそれぞれ対応付けて、1以上の予測地点の発信機の前記IDが登録されることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の位置検知システム。
【背景技術】
【0002】
人やモノの位置を把握し、その位置に応じた業務やサービス(以下に一例を列挙する)を提供する為の位置検知システムが考えられている。
【0003】
一例;
・製造業など、作業場所に応じた作業員への作業指示。
・エンターテイメント業など、その場所ならではのエンターテイメント情報発信。
・飲食業など、その場所のお店にきた来店クーポン発信。
【0004】
上記位置検知システムにおける位置検知は、例えば下記の方法で実現する。
(a)GPS(Global Positioning System)で緯度/経度データを取得する。
(b)通過ゲートなどとその場所情報を事前にシステムにマスタ登録しておき利用する。
【0005】
上記方法(a)では、例えばユーザが所持するGPS機能付き携帯端末(携帯電話/スマートフォンなど)を利用する。予め緯度・経度に対応付けた所定の情報(例えばその場所にある店に関する情報)が登録されており、携帯端末で検出した現在位置の緯度・経度データより、現在位置に対応する情報が提供できる。
【0006】
例えば、特許文献1,2,3,4等に記載の従来技術が知られている。
【0007】
特許文献1の従来技術は、複数の遊技場にそれぞれ設置されたビーコン情報を発信する発信機と、端末と、サーバと、を備えた来店管理システムである。端末は、ビーコン情報を受信すると、入場情報をサーバに送信する。サーバは、入場情報を受信すると、端末を携帯する遊技者が、特定可能な遊技場に入場したことを判定する。入場の判定と入場情報に含まれる遊技者識別情報に基づき特典を遊技者に付与し、入場の判定が行われたときの入場情報に基づいて来店情報を遊技場ごとに集計する。
【0008】
特許文献2の従来技術は、サーバは、ビーコン装置のビーコン識別情報とそのビーコン装置から発信されるビーコン信号の受信エリアを示すビーコンエリア情報とを対応付けて記憶するビーコンエリアデータベースを有する。サーバは、端末の現在位置の通知を受けると、ビーコンエリアデータベースを参照し、端末の現在位置の周辺において受信エリアを有するビーコン装置を抽出する。サーバは、抽出したビーコン装置のビーコン識別情報およびビーコンエリア情報を端末装置に供給する。端末は、現在位置の近くにおいて受信エリアを有するビーコン装置を、サーバから供給されたビーコン識別情報等に基づいて所定数選択して、待受対象のビーコン装置として設定する。
【0009】
特許文献3の従来技術は、位置提供装置は以下の処理を行う。プローブ要求を送信した端末を識別する端末識別情報と、中継装置識別情報とを対応付けたログ情報を取得する。中継装置識別情報と、中継装置識別情報により識別される中継装置の位置情報とを対応付けて格納する。中継装置識別情報を参照して位置情報を抽出する。抽出された位置情報と、ログ情報において中継装置識別情報に対応付けられた端末識別情報を対応付けて格納する。
【0010】
特許文献4の従来技術は、エリア情報管理サーバは、端末の存在位置周辺の通信可能なエリアを示すエリア情報及びアクセス圏外となる位置を示す圏外情報を、端末に送信する。端末は、自装置の移動ルートと移動予測情報を生成する。また端末は、移動予測情報と、サーバから受信したエリア情報及び圏外情報から自装置が基地局と通信を行う通信期間と、アクセス圏外となる期間を含み通信を中断する中断期間を指示する通信実行計画を立案する。また端末は、通信実行計画の中断期間の前後で通信相手に通信の保留と再開を指示する。また端末は、通信実行計画に従って基地局と通信を行う。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本例の位置検知システムのシステム構成図である。
【0023】
図示のシステムでは、まず、予め、様々な場所に近距離無線通信発信機(ビーコン発信機1)が設置されている。各ビーコン発信機1は、予め自己に割り当てられて記憶されている任意のID番号を含むビーコン信号を、常時、近距離無線通信で送信し続ける。これは、一例としては、例えばWi-Fiや、Bluetooth(登録商標)を利用する「Beacon」等の仕組みを利用するが、この例に限らない。
【0024】
スマートフォン等の携帯端末2は、このビーコン信号を受信してID番号を認識する機能や、受信したID番号等をサーバ装置10に通知して問い合わせる機能等を有する。これら機能自体は、上述した従来技術と同様であってよい。
【0025】
サーバ装置10(クラウド)には、予め、各ID番号に対応付けて、このID番号のビーコン発信機1の設置場所に係わる任意の情報(例えば住所やアプリケーションデータ等)が、予め登録されている。これより、サーバ装置10は、上記携帯端末2から通知されるID番号に対応する住所や提供すべきサービスなどを判別可能である。
【0026】
尚、例えば図示の例では、サーバ装置10は、地点データベース11、移動履歴データベース12、移動予測データベース13等を有し、これらについては後に説明するが、これらの例に限らない。
【0027】
図1には、本例の位置検知システムの処理動作の流れの一例を、図示のS1〜S8として示している。これらS1〜S8の処理例について、
図2に示し、以下、説明する。
【0028】
図1には、任意のエリアに3台のビーコン発信機1が設置されており、このエリア内を携帯端末2を所持する任意のユーザが移動する場合を示している。尚、ここでは仮に、3台のビーコン発信機1のID番号を、‘001’‘002’‘003’とするものとする。更に、ID番号=‘001’のビーコン発信機1の設置場所を“地点A”、ID番号=‘002’のビーコン発信機1の設置場所を“地点B”、ID番号=‘003’のビーコン発信機1の設置場所を“地点C”とする。これらID番号と設置場所との対応付け情報は、予めサーバ装置10の地点データベース11に登録されている。
【0029】
また、尚、ここでは、携帯端末2は、一例としてスマートフォン(スマホ)であり、スマホを例にして図示・説明する場合があるものとし、スマホ2などと記す場合もあるものとする。
【0030】
図1において、上記ユーザが上記地点Aのビーコン発信機1に近づいて、このビーコン発信機1のビーコンを当該ユーザの携帯端末2で受信できるようになると、この携帯端末2は上記ID番号=‘001’を受信・認識することになる(S1)。これより、携帯端末2は、このID番号=‘001’を含む所定の要求をサーバ装置10に送って、問い合わせを行う(S2)。但し、携帯端末2内に既にID番号=‘001’に係わる情報が記憶されている場合には、サーバ装置10への問い合わせは行わない。
【0031】
上記要求を受けたサーバ装置10は、上記地点データベース11の登録データに基づいて、受信したID番号=‘001’に紐付く情報(対応する住所(地点A)やアプリケーションデータ等)を認識する(S3)。
【0032】
ここで、サーバ装置10は、この様なユーザの現在位置に係わる情報だけでなく、その近辺等に係わる情報も、携帯端末2に通知するようにしてもよい。例えば、このユーザが次に行く場所を予測して、この移動予測地点に係わる情報も携帯端末2に通知するようにしてもよい。ここでは一例として移動予測地点が上記“地点B”であると判別されているものとし、この“地点B”と対応するID番号=‘002’を認識したものとする。
【0033】
これは、例えば、移動予測グループ(一例が後述する移動予測データベース13)から次に行く予想地点(ここでは地点Bとする)を認識する。また、問い合わせ実績をデータベース化し(一例が後述する移動履歴データベース12)、移動予測グループを自動生成する。詳しくは後述する。
【0034】
サーバ装置10は、上記携帯端末2に対して、上記現在位置のID番号に紐づく情報(地点Aに係わる所定情報等)や、移動予測情報(ID番号=‘002’と地点Bに係わる所定情報))などを返信する(S4)。尚、この所定情報は、例えば、住所やサービス提供の為のアプリケーションデータ等である。
【0035】
これより、携帯端末2側では、現在位置に応じた情報提供やアプリケーション動作が行われる(S5)。また、上記移動予測情報を記憶しておく。
【0036】
ここで、一例としては、上記ユーザは、その後、予測通りに地点Bに移動したものとする。これより、ユーザの携帯端末2は、地点Bに設置されているビーコン発信機1からの無線電波を受信して、そのID番号=‘002’を取得することになる。
【0037】
携帯端末2は、新たなID番号を取得する毎に、まず、移動予測情報を検索する。そして、取得したID番号が移動予測情報に無い場合に、サーバ装置10への問い合わせを行う。上記S2の際にもこの処理は行われており、移動予測情報が無かった為、上記S2のサーバ装置10への問い合わせを行ったものとする。
【0038】
ここでは、上記取得したID番号=‘002’が、上記移動予測情報にあることになるので、これに対応する位置情報(地点B)を認識でき、つまりクラウドに問い合わせることなく現在位置を知ることができ、以って現在位置に応じた情報提供やアプリケーション動作が行われることになる(S6)。
【0039】
ここで、本例では、上記ユーザが、続いて更に、地点Cに移動したものとする。これより、ユーザの携帯端末2は、地点Cに設置されているビーコン発信機1からの無線電波を受信して、そのID番号=‘003’を取得することになる。これより上記のように携帯端末2は、移動予測情報を検索するが、今度はID番号=‘003’は移動予測情報に無いことになるので、上記S2と同様、サーバ装置10への問い合わせを行うことになる(S7)。
【0040】
その後のサーバ装置10の処理動作は、上記S3,S4等と同様であり、ここでは特に説明しないものとする(S8)。
【0041】
上記のように、本例の位置検知システムでは、上記ビーコン発信機1等の近距離無線通信発信機が設置している場所(住所等)をクラウド(サーバ装置10)で管理する。また、クラウド側では、各場所毎にその場所に応じたサービス提供の為のアプリケーションデータ等も管理している。
【0042】
尚、例えば、クラウドで管理する住所は、スマホアプリ開発メーカー等が管理するのではなく、管理会社が住所管理サービスを提供するものとする。この場合、スマホアプリ開発メーカー等は、ビーコン発信機1等のID番号に対する住所の管理をしなくてよい(上記サービスを利用すれば済む)。
【0043】
携帯端末2等の受信機が近距離無線通信発信機からの電波を受信すると、この電波に含まれる識別情報(ID番号等)を認識してクラウドに問い合わせをし、住所解決を行う。
【0044】
毎回、クラウドに問い合わせをすると、通信量が多くなるため、クラウドで管理する情報の一部(一例が上記移動予測情報)を、携帯端末2に転送しておき、まず、この情報を用いて住所解決を試みる。そして、住所解決できなかった場合に、クラウドに問い合わせる。尚、住所解決によって、例えば、上記現在位置に応じた情報提供やアプリケーション動作が行われることになる。
【0045】
尚、近距離無線通信発信機が故障した場合の対応も住所管理会社のサービス範囲とし、故障機器のMACアドレスを新規機器にクラウド上で変更することで、受信機のアプリケーションを変更する必要がない。電波発信機が壊れ、電波ID番号が変更になっても、クラウド上のデータ管理を変更すればよいのでスマホアプリの改造が不要となる。
【0046】
また、尚、更に電波強度も用いて更に詳細な住所解決を実現する(「電波強度から、解決する住所を変える」)こともできる。これについては後に一例を用いて説明する。
【0047】
以下、上記データベースの具体例を用いて、更に具体的に説明する。
図3(a)(b)、
図4(a)は、サーバ装置10で記憶・管理する各種データベースの一例である。また、
図4(b)には携帯端末2で保持させるデータの一例である。
【0048】
上記のように、サーバ装置10は、一例としては地点データベース11、移動履歴データベース12、移動予測データベース13等の各種データベースを保持・管理する。
【0049】
図3(a)には地点データベース11の具体例を示す。
図示の例では地点データベース11は、ビーコンID21、距離22、地点23、アプリ制御データ24等の各データ項目から成る。
【0050】
ビーコンID21は、上記ID番号に相当する、各ビーコン発信機1の識別データである。地点23は、場所を示す情報(例えば住所など)であり、図示の例では建物名と該建物内の位置となっているが、この例に限らない。また、ここでは、上記「電波強度から、解決する住所を変える」例に対応した一例を示しているので、距離22がある。つまり、この例の地点データベース11には、予め、ビーコンID21と距離22とに応じた地点23(住所など)が登録されている。また、ビーコンID21と距離22とに応じて実行させるべきアプリケーションに係わるデータ(例えばクーポン、店舗案内、トイレ案内など)が、アプリ制御データ(アプリケーション制御データ)24に予め登録されている。
【0051】
携帯端末2は、任意のアプリ制御データ24によって、例えばディスプレイにトイレ案内表示等を行うことになる。尚、アプリ制御データ24は、例えば、携帯端末2側の所定のアプリケーションによって所定のサービス(情報提供、クーポン配布など)を実現させる為のデータ等であり、上記の例では例えばトイレ案内の為の地図データ、あるいはトイレ案内を行うサイトのURL等となる。
【0052】
また、尚、ビーコンID21と距離22とによって、ユーザの詳細な現在位置が示されることになる。つまり、携帯端末2のユーザの現在位置として、単にビーコンID21のビーコン発信機1の近くにいることが分かるだけでなく、どの程度近くにいるかまで分かることになる。
【0053】
図3(b)には、移動履歴データベース12の具体例を示す。
図示の例では、移動履歴データベース12は、受信日時31、ビーコンID32、距離33、スマホID34等の各データ項目から成る。これら各データ項目については後述するが、移動履歴データベース12には、上記S2や後述するステップS12などで携帯端末2から送信されてくるデータが、蓄積されるものである。
【0054】
図4(a)には、移動予測データベース13の具体例を示す。
図示の例では、移動予測データベース13は、ビーコンID41、予測ビーコンID42、予測ビーコンID43の各データ項目より成る。
【0055】
ビーコンID41は、任意のビーコン発信機1のビーコンIDである。上記携帯端末2のユーザが、このビーコンID41のビーコン発信機1の位置から次の移動する可能性が高いと見做される位置になるビーコン発信機1のビーコンIDが、予測ビーコンID42、予測ビーコンID43に登録される。尚、図示の例では予測ビーコンIDは2つ登録されるが、この例に限らず、1つあるいは3つ以上であっても構わない。
【0056】
移動予測データベース13の登録内容は予め開発者等が任意に決めてもよいが、予測精度を向上させる為に、上記移動履歴データベース12の蓄積データを利用して随時予測ビーコンIDを求めて移動予測データベース13を更新させるようにしてもよい。これについて、詳しくは後述する。
【0057】
図4(b)には、携帯端末2で保持させるスマホ内データベース50の一例を示す。
図示の例では、スマホ内データベース50は、ビーコンID51、距離52、地点53、アプリ制御データ54等の各データ項目より成る。
【0058】
スマホ内データベース50には、上記地点データベース11の一部のレコードが格納されると見做してよく、従ってデータ構成自体は地点データベース11と同じであってよい。つまり、ビーコンID51、距離52、地点53、アプリ制御データ54は、ビーコンID21、距離22、地点23、アプリ制御データ24と同じと見做してよく、その説明は省略するものとする。
【0059】
以下、上記
図1、
図2で説明した本システムの動作について、
図5と上記
図3(a)、(b)、
図4(a)(b)の具体例を参照して、更に詳細に説明する。
【0060】
図5は、本システムの詳細な処理動作例を示す図である。
(1)
図5において、まず、任意のユーザが所持する携帯端末2が、任意のビーコン発信機1からの送信電波(ビーコン)を受信する(ステップS11)。ここでは上記の通り携帯端末2の一例であるスマホを示し、スマホ2と記すものとする。このスマホ2に搭載されている所定のアプリケーション(スマホアプリ)が、ビーコンデータを受信・認識する。尚、ここではサーバ装置10をクラウドサーバ10等と図示/記載する場合もあるものとする。
【0061】
ビーコンの特性で、スマホアプリは、ビーコン発信機1−スマホ2間の大まかな距離が分かる。これは、スマホ2では一般的な既存技術によって受信した電波の強度(RSSI値等)が分かるので、更にこのRSSI値等に基づいて既存の算出方法により推定距離を算出することができる。尚、ここでは、推定距離は、近距離、中距離、遠距離の3つに大まかに判定させるものとする。
【0062】
ビーコン発信機1が送信するデータは例えば「AAA0001」等とする。AAAAはビーコンの管理会社を表し、0001はビーコンIDの一例である。AAAAは、別のビーコン電波と混在したときに識別できるようにする為に付加しており、スマホアプリでは例えば管理会社AAAA以外のデータは無視するように設定されている。
【0063】
(2)上記ビーコンを受信したスマホ2は、このビーコンの上記ビーコンIDが、スマホ内データベース50に登録されていない場合、サーバ装置10(クラウド)に対して、所定データを含む要求を送信する(ステップS12)。所定データには、例えば「ビーコン発信機1の識別データと上記推定距離とスマホID」等が含まれる。具体例としては、所定データは、例えば、「AAA0001Zabc」(※AAAA:ビーコン企業コード、0001:ビーコンID、Z:推定距離(遠距離、中距離、近距離の3パターンに集約する)、abc:スマホID)等とする。尚、スマホIDは、予め各携帯端末2(スマホ2)に割り当てられている識別データである。
【0064】
(3)サーバ装置10は、上記スマホ2からの送信データを受信すると、この受信データに基づき下記のステップS13,S14,S15の処理を実行する。
【0065】
まず、ビーコンデータに基づいて、送信元スマホ2の所持者の現在位置に対応するレコードを取得する(ステップS13)。ビーコンデータとは、例えば上記受信データのビーコンIDと推定距離であり、これらを用いて地点データベース11を検索して、該当レコードを取得する。尚、ここでの該当レコードとは、そのビーコンID21及び距離22が、上記ビーコンデータのビーコンID及び推定距離と同一であるレコードである。
【0066】
既に説明したように地点23は場所を示す情報(例えば住所など)であり、ここでは送信元スマホ2の所持者の現在位置を示す地点23等が、取得されることになる。
【0067】
続いて、上記送信元スマホ2の所持者が次に行きそうな場所のビーコンIDや対応するデータ(地点23やアプリ制御データ24)を取得する(ステップS14)。これは、まず、ビーコンデータのビーコンIDに基づいて移動予測データベース13を検索して、該当レコードの予測ビーコンID42,43を取得する。尚、ここでの該当レコードとは、そのビーコンID41が、ビーコンデータのビーコンIDと同一であるレコードである。
【0068】
ステップS14の処理では、続いて、地点データベース11を検索して、そのビーコンID21が、上記取得した予測ビーコンID42または43と同一であるレコードを全て取得する。
【0069】
尚、上記ステップS14で取得されたレコードは、全て、後述するステップS16の処理で送信元スマホ2に返信されることになる。
【0070】
そして、ビーコンデータを蓄積し、蓄積データを用いて予測精度を向上させる(ステップS15)。ビーコンデータの蓄積は、上記受信データ(但し、ビーコン企業コードは除く)を、その受信日時と共に、移動履歴データベース12に新規レコードとして追加格納する。つまり、受信データの上記ビーコンIDと推定距離とスマホIDとその受信日時を、移動履歴データベース12の新規レコードのビーコンID32と距離33とスマホID34と受信日時31に、それぞれ格納する。
【0071】
その後、移動履歴データベース12に基づいて、移動予測データベース13を更新する処理を行うが(ステップS15)、この処理は上記ステップS12の送信データの受信時に行う必要はなく、例えば定期的に(1時間毎、毎日所定の時間に等)実行するようにしてもよい。
【0072】
これは、例えば、移動履歴データベース12から、次の要素で集計する。
イ)同じスマホ(ユーザ)からのビーコンID
ロ)イ)をある一定期間に区切り、任意のビーコンIDから次にアクセスされたビーコンIDを抽出する。そして、全ユーザトータルで各ビーコンID毎に、次にアクセスされた回数が多いビーコンID(上位のビーコンID)を抽出。
ハ)上位のビーコンIDで移動予測データベース13を作成する。
【0073】
これは、例えば、まず、移動履歴データベース12の全レコードのなかで、その受信日時31が任意に設定される上記一定期間内であるレコード全てを抽出する。次に、抽出したレコード群から、各ユーザ毎にそのユーザに係わるレコードを全て抽出し、これをそのユーザに係わる処理対象レコード群とする。例えば、各ユーザを、順次、処理対象ユーザとして、上記抽出したレコード群から、そのスマホID34が対象ユーザのスマホIDと同一であるレコードを全て抽出する。なお、スマホIDがユーザを示すものとし、スマホID34に登録されている全てのスマホIDが、処理対象ユーザと成り得るものと見做して構わない。
【0074】
そして、各ユーザ(スマホID)毎に順次処理対象として下記の処理を行う。尚、
図3(b)の例では、‘最初はスマホID=‘abc’のユーザが処理対象となり、次にスマホID=‘hij’のユーザが処理対象となる。
【0075】
すなわち、処理対象ユーザについて、上記“そのユーザに係わる処理対象レコード群”を用いて、全レコードのビーコンID32について、その次のレコードのビーコンID32を抽出して蓄積記憶する。換言すれば、各ユーザ毎に(最初は‘abc’)、そのユーザが任意の場所から次にどの場所したのかを検出する。但し、任意のレコードのビーコンID32が、その次のレコードのビーコンID32と同一であった場合には、抽出しない。
【0076】
上記処理を全ての処理対象ユーザについて実行することで、任意のビーコンIDと次のビーコンIDとのペアが蓄積されるので、これらを集計することで、各ビーコンID毎に、その次のビーコンIDとして最も出現回数が多かったビーコンIDと、2番目に出現回数が多かったビーコンIDが分かることになる。
【0077】
これより、任意のビーコンIDをビーコンID41に登録すると共に、このビーコンIDに関して次のビーコンIDとして最も出現回数が多かったビーコンIDを予測ビーコンID42に登録し、2番目に出現回数が多かったビーコンIDを予測ビーコンID43に登録することで、移動予測データベース13を生成/更新する。
【0078】
上記のように、実際の多くのユーザの行動実績に基づいて移動予測データベース13を生成/更新するので、この様な移動予測データベース13を用いた移動予測精度が向上することが期待できる。
【0079】
(4)サーバ装置10は、上記ステップS13,S14で取得したレコード全てを、要求送信元スマホ2に送信する(ステップS16)。上述したことから、この送信データには、例えば下記の内容が含まれていることになる。
(a)送信元スマホ2の所持者の現在位置に対応する地点23とアプリ制御データ24
(b)送信元スマホ2の所持者が次に行くと予測される位置に対応するビーコン発信機1のIDと、それに対応する地点23とアプリ制御データ24
【0080】
(5)送信元スマホ2では、受信データのなかで上記(4)(a)の現在位置に対応する地点23または/及びアプリ制御データ24を用いて、現在位置に応じた動作を行う(ステップS17)。例えば、アプリ制御データ24を用いて、現在位置に応じたアプリケーション制御を行う。例えば、現在いる店舗の店内情報を、送信元スマホ2のディスプレイに表示する。あるいは、地点23を用いて、現在位置の場所/住所等を送信元スマホ2のディスプレイに表示する。
【0081】
また、受信データ(上記ステップS13,S14で取得したレコード全て、あるいは予測に関するデータのみ)を、スマホ内データベース50に新規登録する。尚、その際、スマホ内データベース50に既存データがある場合には全て消去してから新規登録するようにしてもよい。
【0082】
これによって、次以降にビーコンを受信したときに、それが予測地点のビーコン発信機1からのビーコンである場合には、サーバ装置10との通信を行う必要なく、アプリ制御等が可能となる。
【0083】
このようにして、本例の位置検知システム等によれば、対象者がGPS電波が届かない場所にいても位置把握できると共に位置把握の為の負担を軽減できる。
【0084】
尚、サーバ装置10は、特に図示しないが、一般的なサーバ装置のハードウェア構成を有するものであり、例えば不図示のCPU、記憶装置(ハードディスク、メモリ等)、通信インタフェース等を有している。記憶装置には予め所定のアプリケーションプログラムが記憶されている。CPUがこのアプリケーションプログラムを実行することで、上述したサーバ装置10の各種処理機能が実現される。
【0085】
また、携帯端末(スマホ)2も、一般的なスマートフォンのハードウェア構成を有するものであり、例えば不図示のCPU、記憶装置(メモリ等)、通信インタフェース、入力操作部、表示部等を有している。記憶装置には予め所定のアプリケーションプログラムが記憶されている。CPUがこのアプリケーションプログラムを実行することで、上述した携帯端末(スマホ)2の各種処理機能が実現される。
【0086】
図6は、本システムの機能ブロック図である。
本システムは、任意の各所に設けられ近距離無線通信により自己のIDを送信する1台以上の発信機60とサーバ装置80を備えるシステムである。また、本システムは、任意のユーザが所持する携帯端末70を用いる。発信機60の一例が上記ビーコン発信機1であり、サーバ装置80の一例が上記サーバ装置10であり、携帯端末70の一例が上記携帯端末2である。
【0087】
携帯端末70は、端末内データベース71、受信ID対応部72を備える。
受信ID対応部72は、任意の発信機60からIDを受信すると、端末内データベース71に該受信IDが登録されている場合にはサーバ装置80と通信することなく該端末内データベース71から該受信IDに応じた所定データを取得し、登録されていない場合にはサーバ装置80に該受信IDを含む所定の要求を送信する。
【0088】
また、サーバ装置80は、要求対応部81、返信部82、第1データベース83、第2データベース84を有する。
【0089】
第1データベース83の一例が上記地点データベース11であり、第2データベース84の一例が上記移動予測データベース13であるが、これらの例に限るものではない。
【0090】
要求対応部81は、上記要求を受信すると、上記受信IDに基づいて第1データベース83を検索して該受信IDに対応する所定データを取得すると共に、該受信IDに基づいて第2データベース84を検索して予測地点の発信機60のIDと対応する所定データを取得する。
【0091】
返信部82は、上記要求対応部81で取得した各所定データを、返信データとして上記要求元の携帯端末70へ返信する。
【0092】
上記携帯端末70の受信ID対応部72は、上記返信部82により上記受信IDに応じた所定データを取得すると共に、上記返信データ(全部または予測地点に関するデータのみ)を端末内データベース71に登録する。
【0093】
例えば、上記所定データは、そのIDが前記受信IDである前記発信機に係わる場所を示す情報(一例が上記地点23)、または/及び、該場所に応じた所定のアプリケーション制御データ(一例が上記アプリ制御データ24)である。
【0094】
また、例えば、上記携帯端末70の受信ID対応部72は、上記受信IDが端末内データベース71に登録させた上記予測地点の発信機60のIDと一致する場合にも、サーバ装置80と通信することなく該端末内データベース71から該受信IDに対応する所定データを取得する。
【0095】
また、例えば、第1データベース83には、各IDと距離とに対応する上記所定データが登録されており、上記受信ID対応部72は、発信機60からの距離を求めて、該距離を更に含む上記要求を送信する。上記要求対応部81は、該要求に含まれる受信IDと距離とに対応する上記所定データを第1データベース83から取得するものであっても構わない。
【0096】
また、例えば、サーバ装置80は更に蓄積データベース85を備えていても良い。
そして、例えば、上記要求には、送信元の携帯端末70の識別情報が含まれており、サーバ装置80の上記要求対応部81は、受信した要求に含まれる該識別情報と上記受信IDを蓄積データベース85に追加記録する。そして、該蓄積データベース85に基づいて上記第2データベース84を生成/更新する生成/更新部86を更に有するものであってもよい。
【0097】
また、第2データベース84には、例えば、上記IDにそれぞれ対応付けて、1以上の予測地点の発信機60のIDが登録される。
【0098】
また、例えば、上記返信部82からの返信データによって、上記端末内データベース71には、上記第1データベース83の格納データの一部が格納されることになる。
【0099】
尚、サーバ装置80は、特に図示しないが、一般的なサーバ装置のハードウェア構成を有するものであり、例えば不図示のCPU、記憶装置(ハードディスク、メモリ等)、通信インタフェース等を有している。記憶装置には予め所定のアプリケーションプログラムが記憶されている。CPUがこのアプリケーションプログラムを実行することで、上述した
図6のサーバ装置80の各種処理機能が実現される。
【0100】
また、携帯端末(スマホ)70も、一般的なスマートフォンのハードウェア構成を有するものであり、例えば不図示のCPU、記憶装置(メモリ等)、通信インタフェース、入力操作部、表示部等を有している。記憶装置には予め所定のアプリケーションプログラムが記憶されている。CPUがこのアプリケーションプログラムを実行することで、上述した
図6の携帯端末(スマホ)70の各種処理機能が実現される。
【0101】
上記のように、本手法は、例えば、人やモノの位置を把握し、その位置に応じた業務やサービスを提供する為の位置検知システムであって、特に対象者がGPS電波が届かない場所にいても位置把握できると共に位置把握の為の負担を軽減できる。位置把握の為の負担とは、例えば、携帯端末2が逐一サーバ装置10に問い合わせる処理負担である。あるいは、位置把握の為の負担は、例えば、携帯端末2が位置把握の為に必要な情報を予め全て保持する負担である。
【0102】
また、上記本手法では、携帯端末2は、サーバ装置10から、現在位置に応じた情報だけでなく、所持者が次に行く可能性が高いと思われる位置に応じた情報も取得して保持しておくことで、サーバ装置10に問い合わせる頻度を少なくすることができる。