(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
更に、前記抑止部は、前記抑止用コマンドの発行後に、前記抑止用コマンドにより応答不許可状態にされたフラグを応答不許可状態に維持する維持用コマンドを前記RFIDリーダに発行させるものとし、
前記動作制御部は、前記新たなRFIDタグの読取指示があった場合に、前記抑止部に前記RFIDリーダから前記抑止用コマンドの発行を停止させ、かつ前記読取部に前記RFIDリーダから前記読取用コマンドの発行を開始させるとともに、前記抑止部に前記RFIDリーダから前記維持用コマンドを発行させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のRFIDリーダ制御装置。
前記動作制御部は、前記新たなRFIDタグの読取り終了後、さらに、前記新たなRFIDタグに対応する商品の取引処理完了通知を受けてから、前記抑止部に前記RFIDリーダから前記抑止用コマンドの発行を再開させる
ことを特徴とする請求項1に記載のRFIDリーダ制御装置。
前記新商品検知部は、前記新商品検知用コマンドの電波強度を前記抑止用コマンドの電波強度より大きく設定して、前記抑止用コマンドの電波範囲外に存在する前記新たなRFIDタグを検知する
ことを特徴とする請求項9に記載のRFIDリーダ制御装置。
応答許可状態と応答不許可状態を切換え可能なフラグが設けられたRFIDタグの読取りを行うRFIDリーダを制御する制御方法をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、
前記制御方法は、
新たなRFIDタグの読取指示があるまで、前記RFIDタグの読取が行われるエリアに存在する前記RFIDタグのフラグを応答不許可状態にするように前記RFIDリーダから抑止用コマンドを発行させ、
前記新たなRFIDタグの読取指示があった場合に、前記RFIDリーダからの前記抑止用コマンドの発行を停止させ、前記RFIDリーダから読取用コマンドの発行を開始させ、
前記読取用コマンドにより前記新たなRFIDタグの読取が終了した場合に、前記RFIDリーダから前記抑止用コマンドの発行を再開させる
ことを特徴とするプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に従って本発明の実施形態を説明する。以下では、RFIDリーダ制御装置をPOSシステムに適用した例で説明する。
図1は、RFIDリーダ制御装置を適用したPOSシステム1の外観図である。
【0012】
図1のPOSシステム1は、以下で説明する第1実施形態〜第4実施形態に適用される。POSシステム1は、POS端末装置10、RFIDリーダ20及びアンテナ25を有する。POS端末装置10は、商品に添付されたタグ情報に基づき、商品登録及び精算処理を行う装置である。なお、以下では、店員操作によるPOS端末装置10を例にするが、POS端末装置10はセルフPOS端末装置であってもよい。
【0013】
RFIDリーダ20は、POS端末装置10に接続され、商品に添付されるRFIDタグを読取り、読取ったタグ情報をPOS端末装置10に出力する装置である。RFIDリーダ20は、POS端末装置10とUSB(Universal Serial Bus)あるいはLAN(Local Area Network)等で接続される。LANは、有線・無線いずれでも良い。
【0014】
アンテナ25は、RFIDリーダ20からの出力を電波として送信し、RFIDタグから返信された信号を受信してRFIDリーダ20に出力する。RFIDリーダ20とアンテナ25は、例えば同軸ケーブルで接続される。
【0015】
POS端末装置10はカウンタ50の上に設置される。また、RFIDリーダ20とアンテナ25は、例えばカウンタ50の内部に収納される。また、アンテナ25は、カウンタ50に乗せられた商品を読取るために、カウンタ50のオープンスペースの直下に配置されることも多い。
【0016】
図2は、POSシステム1のハードウェアブロック図である。POS端末装置10は、CPU100、RAM102、ROM104、グラフィック処理部106、入出力IF108、通信IF110、表示部112、入力部114、カードR/W116、バーコードスキャナ118、レシートプリンタ120及び入出金部122等を備える。
【0017】
CPU(Central Processing Unit)100は、POS端末装置10を統括的に制御するプロセッサーである。CPU100は、制御プログラムを読み込み、制御プログラムを実行して、商品に添付されたタグ情報に基づき、商品の登録や精算処理を行う。
【0018】
RAM(Random Access Memory)102には、CPU100に実行させるためのOS(Operating System)プログラム、アプリケーションプログラムの一部や画像データが一時的に格納される。
【0019】
ROM(Read Only Memory)104は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリで、CPU100により実行されるアプリケーションプログラムやテーブルデータを不揮発的に記憶する。
【0020】
グラフィック処理部106は、CPU100からの命令に従って、操作画面や商品登録や精算を行うPOS処理画面を作成して、画像信号に変換して表示部112に出力する。表示部112は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)で構成される。
【0021】
入出力IF(Interface)108は、接続される入力部114等の周辺機器を制御する。通信IF(Interface)110は、外部とデータの送受信を行うものであり、例えばLANやUSBなどの接続形式である。CPU100には、バス130を介して、RAM102、ROM104、グラフィック処理部106、入出力IF108、通信IF110等が接続される。
【0022】
入出力IF(Interface)108には、入力部114、カードR/W116、バーコードスキャナ118、レシートプリンタ120、入出金部122等が接続される。入力部114は、店員が操作内容や指示を入力する操作部で、例えばタッチパネルである。カードR/W116は、磁気カードやICカードの読取りや書込みを行う。バーコードスキャナ118は、商品に添付されたバーコードスキャナの読取りを行う。レシートプリンタ120は、客に渡すレシートを発行する。入出金部122は、客から入金された紙幣や硬貨を収納管理し、客に渡す釣銭の出金を管理する。
【0023】
また、入出力IF108には、RFIDリーダ20も接続される。POS端末装置10からの読取り指示に応じて、RFIDリーダ20は、アンテナ25を介して、商品のRFIDタグから情報を読取り、読取り結果をPOS端末装置10に通知する。
【0024】
図3は、RFIDリーダ制御に関する機能ブロック図である。POS制御部200は、POS端末装置10の制御処理を行う。POS制御部200は、ROM104から制御プログラムを読み出したCPU100によるソフトウェア処理で実現される。
【0025】
POS制御部200は、主に店員操作に従ってPOS処理を行うPOS処理部210と、RFIDリーダ20を制御してRFIDタグから情報を読み出すRFIDリーダ制御部220を有する。RFIDリーダ制御部220は、抑止部222、通常読取部224、新商品検知部226及び動作制御部228を有する。RFIDリーダ制御部220は、RFIDリーダ制御装置とも呼ぶ。
【0026】
抑止部222は、取扱対象外商品のRFIDタグの読取りを抑止する処理を行う。取扱対象外商品のRFIDタグとは、アンテナ25の電波範囲内(カウンタ50に置かれている)に当初より存在するRFIDタグである。取扱対象外商品のRFIDタグを、対象外タグとも呼ぶ。
【0027】
具体的には、抑止部222は、応答許可状態と応答不許可状態を切換え可能なフラグが設けられたRFIDタグに対して、フラグを応答不許可状態にしてRFIDタグの応答を抑止するコマンドをRFIDリーダ20から発行させる。フラグを応答不許可状態にしてRFIDタグの応答を抑止するコマンドを抑止コマンドとも呼ぶ。
【0028】
抑止部222は、対象外のRFIDタグのフラグを応答不許可状態にする。そして、抑止部222は、対象外のRFIDタグのフラグの応答不許可状態が連続的に維持されるように、抑止用コマンドをRFIDリーダから所定時間間隔で発行させる。
【0029】
さらに、抑止部222は、抑止用コマンドの発行後に、抑止用コマンドにより応答不許可状態にされた対象外のフラグを応答不許可状態に維持する維持用コマンドをRFIDリーダから発行させてもよい。抑止部222は、カウンタ50付近に接近した新商品の取引開始のタイミングで、抑止用コマンドを維持用コマンドに変更してもよい。外部から新たに持ち込まれて、カウンタ50付近に接近した新商品に付されたRFIDタグを新たなRFIDタグと呼ぶ。維持用コマンドは抑止用コマンドとフラグ種が異なる。また、抑止部222は、抑止用コマンドと維持用コマンドの電波強度を読取のためのコマンド(読取用コマンド)の電波強度より大きく設定してもよい。
【0030】
通常読取部224は、新たなRFIDタグである新商品のRFIDタグの読取りを行わせるコマンドをRFIDリーダ20から発行させる。新商品のRFIDタグの読取りを行わせるコマンドを読取用コマンドとも呼ぶ。新たなRFIDタグを、対象タグとも呼ぶ。通常読取部224は、単に読取部とも称す。
【0031】
新商品検知部226は、新たなRFIDタグを検知する処理を行う。新商品検知部226は、新たなRFIDタグを検知するコマンドをRFIDリーダ20に発行させる。新たなRFIDタグを検知するコマンドを新商品検知用コマンドとも呼ぶ。新商品検知部226は、新商品検知用コマンドの電波強度を抑止用コマンドの電波強度より大きく設定してもよい。
【0032】
抑止部222、通常読取部224及び新商品検知部226は、各処理に応じたセッションフラグを指定したコマンドの発行や、各処理に応じて電波強度を設定してRFIDリーダ20に指示する。
【0033】
動作制御部228は、抑止部222、通常読取部224及び新商品検知部226の動作を制御する。具体的には、動作制御部228は、新たなRFIDタグの読取指示があるまで、RFIDタグの読取が行われるエリアに存在するRFIDのフラグを応答不許可状態にするように抑止部222にRFIDリーダ20から抑止用コマンドを発行させる。
【0034】
そして、動作制御部228は、新たなRFIDタグの読取指示があった場合に、抑止部222にRFIDリーダ20からの抑止コマンドの発行を停止させ、通常読取部224にRFIDリーダ20から読取用コマンドの発行を開始させる。さらに、動作制御部228は、通常読取部224により新たなRFIDタグの読取が終了した場合に、抑止部222にRFIDリーダ20から抑止用コマンドの発行を再開させる。
【0035】
なお、RFIDタグを単にタグ、取扱対象外商品のRFIDタグを対象外タグ、取扱対象商品のRFIDタグを対象タグとも呼ぶ。
【0036】
本実施形態では、対象外タグの読取りを抑止ししつつ、対象タグの読取りを行うために、セッションフラグを利用する。そこで、まずセッションフラグの概要を説明する。
【0037】
本実施形態で使用するRFIDリーダ20とRFIDタグ間のエアーインタフェースであるEPC global Class1 Generation2 (ISO/IEC 18000-63)準拠のタグを読取りする場合、RFIDリーダ20でインベントリというコマンドをRFIDタグ群に発行する。インベントリを発行すると、複数・大量のタグが同一エリアに存在していてもアンチコリジョン処理で順番にRFIDタグを選んで読取っていくことが出来る。
【0038】
具体的には、RFIDタグは自分がインベントリされたことを記憶するためのフラグ(インベントリ済フラグ)を有する。タグは、自分が応答すると、このフラグを反転(A→B)させて応答しないようにする。これを全てのタグで順番に行うことで全てのタグの読取を実現することが出来る。
【0039】
そして、タグはインベントリ済フラグとして、4つの独立したセッションフラグ(S0、S1、S2、S3)を有する。それぞれのセッションフラグはAとBの状態値を持つ。各セッションフラグの初期値(電源断時)は状態Aとなっており、RFIDリーダ20からインベントリされることで状態Bとなる。
図4は、各セッションフラグが、状態を維持するための条件をまとめた表である。なお、
図4の維持時間は常温時での場合である。状態Aを応答許可状態、状態Bを応答不許可状態とも呼ぶ。応答許可状態は応答可能状態、応答不許可状態は非応答状態とも呼ばれる。
【0040】
また、上記のセッションフラグはタグ側が電力供給状態(コマンド受信可能状態)であれば、リーダが発行するセレクトコマンドのパラメータにより状態をコントロールする(任意に反転させる)ことが可能である。以下では、セッションフラグを、単にフラグとも呼ぶ。
【0041】
次に、本実施形態を具体的に説明する。本実施形態として、5つの実施形態を示す。
<第1実施形態>
まず、POS端末装置10による商品のPOS処理の過程を簡単に説明する。
図5は、POS処理における電波範囲であるエリアGとタグの位置関係を順に示す図である。エリアGを電波エリアとも呼ぶ。
図5は、レジのカウンタ50を上から見た図で、カウンタ50を挟んで左が店員で、右が客の側である。商品の精算処理は、P1→P2→P3の順番に進む。
【0042】
P1は、カウンタ50に客A〜客Dが並んだ状態である。客A〜客Dは、読取り前の対象タグTaを2つずつ持っているとする。以降で、読取り前の対象タグをTa1、読取り時の対象タグをTa2、読取り後の対象タグをTa3と表記する。
【0043】
アンテナ25の位置を中心とする電波範囲であるエリアGが、RFIDタグの読取り範囲(エリア)である。カウンタ50上のエリアGの範囲には、取扱(売上)対象品の他、返却品等の取扱対象外品が置かれる場合も少なくない。カウンタ50には対象外タグTbが4つ置かれているとする。
【0044】
P2は、店員が客Aから商品を受け取り、対象タグTa2をエリアGに置いて、読取りを行っている状態である。P3は、商品のタグの読取が完了し、精算が終わった客が、読取り後の対象タグTa3が付いた商品を持ってカウンタ50から離れる状態である。
【0045】
図6は、第1実施形態のタグ読取処理の手順を説明するフローチャートである。
図6により、POSシステム1によるRFIDタグの読取処理を説明する。
【0046】
また、
図7は、POS端末装置10とRFIDリーダ20による読取動作のタイムチャートである。横軸が時間で、左から右に進行する。
図7の抑止処理の軸は、フラグS2を指定したセレクトコマンドの発行タイミングを示す。
図7の通常の読取処理の軸は、フラグS2を指定したインベントリコマンドの発行タイミングを示す。また、
図7のPOS処理の軸は、店員の操作によって発生するPOS処理の各種イベントのタイミングを示す。第2実施形態以降のタイムチャートも同様とする。
【0047】
図6の対象外タグ抑止処理は、主に抑止部222と動作制御部228により行われる。抑止部222は、客のいない待機時間帯は、フラグS2を指定して2秒間以内の間隔で定期的にセレクトコマンドを発行する(ステップS100、
図7参照)。
図4に示すように、フラグS2の電力停止後の維持時間が最低2秒であるから、2秒以内で発行させることにより、エリアG内の対象外タグは、フラグS2がB状態に維持されて、応答が抑止され続ける。このような目的で発行するコマンドをダミーコマンドとも呼ぶ。また、ダミーコマンドとしてセレクトコマンドではなく、インベントリコマンドを発行してもよい。
【0048】
動作制御部228は、店員からの取引開始の指示を受けたかを判断する(ステップS102)。店員は、例えばお客様がカウンタに近づいてきたと判断すると、或いは他の手段(センサー等による検知。図示省略)により、POS端末装置10への入力操作(例えば取引開始操作、
図7参照)を行う。POS処理部210は、店員からの取引開始操作を受けて、RFIDリーダ制御部220に取引開始を通知する。
【0049】
動作制御部228がPOS制御部200から取引開始が通知されていない判断すると(ステップS102のNO)、抑止部222は、状態維持時間が到達したかを判断する(ステップS104)。状態維持時間は、2秒である。抑止部222は、状態維持時間が到達していないと判断すると(ステップS104のNO)、ステップS102に戻る。抑止部222は、状態維持時間が到達したと判断すると(ステップS104のYES)、ステップS100に戻る。つまり、抑止部222は、フラグS2のB状態を維持するために2秒間隔でダミーアクセスする。
【0050】
動作制御部228は、取引開始が通知された判断すると(ステップS102のYES)、通常の読取処理に切換える。フラグS2でインベントリコマンドを発行すると共に読めたものを取扱(取引)対象品として扱うように処理が切換る。動作制御部228は、抑止部222の動作を停止し、通常読取部224の動作を開始する。
【0051】
つまり、取引開始通知により、抑止部222は、抑止処理のセレクトコマンドの発行を停止し(
図7参照)、通常読取部224は、通常の読取処理用のインベントリコマンドの発行を開始する(
図7参照)。
【0052】
通常読取部224は、フラグS2を指定してインベントリコマンドを発行する(ステップS130)。通常の読取処理では、インベントリコマンドは高頻度で発行される(
図7参照)。これにより、フラグS2がA状態のタグのみ、つまり読取り前の対象タグのみが読取られることになる。
つまり、対象外タグに対して、フラグS2へのアクセスを
図4に記載された所定の維持時間内に繰返し発行することにより、対象外タグのセッションフラグに対して電力が供給され、これにより、対象外タグのフラグのB状態が継続されて、新たな対象フラグだけを確実に読取ることができる。
【0053】
通常読取部224は、全てのタグの読取が完了したかを判断する(ステップS132)。通常読取部224は、全てのタグの読取が完了していないと判断すると(ステップS132のNO)、ステップS130に戻る。なお、通常の読取処理においても周辺の無関係なタグの応答を抑止するために、通常読取りのためのインベントリコマンドか、或いはタグに対して電波を発する他のコマンドを含めて(タグのS2フラグ状態を維持するための)規定時間の2秒以内の間隔で発行する必要がある。
【0054】
通常読取部224は、全てのタグの読取が完了したと判断すると(ステップS132のYES)、動作制御部228は、POS処理完了が通知されたかを判断する(ステップS134)。
【0055】
店員は、POS処理として、表示部112に表示された登録済(タグ読取済)の商品情報と現品を確認して決済処理(精算)を行う。POS処理部210は、店員からのPOS処理完了の操作を受けて、RFIDリーダ制御部220にPOS処理完了を通知する。
【0056】
動作制御部228は、POS処理完了が通知されていないと判断すると(ステップS134のNO)、通常読取部224はステップS130に戻る。
【0057】
動作制御部228は、POS処理が完了したと判断すると(ステップS134のYES)、ステップS100に戻る。動作制御部228は、POS処理の完了により、通常読取部224の動作を停止し、抑止部222の動作を再開する。抑止部222は、2秒間隔のセレクトコマンドの発行を再開する(
図7参照)。なお、店員がPOS処理の完了(読取処理の終了)後に、預合計ボタンを押下操作すると、取引が完了したとして、POS全処理完了が動作制御部228に通知される。抑止部222は、動作制御部228からPOS全処理完了の通知を受けた後から、抑止処理(2秒間隔のセレクトコマンドの発行)を再開してもよい。
【0058】
また、読取り後の対象タグ(
図5のTa3)も、エリアGから離れてから一定時間(最低2秒間)以内は読取の抑止状態が維持される。
【0059】
なお、ステップS100のセレクトコマンドは、インベントリコマンドに代えてもよい。また、上記説明ではフラグS2を使用したが、フラグS3を使用してもよい。そして、カウンタ同士が接近してエリアGが重なる可能性がある場合には、一方をフラグS2、他方をフラグS3で使用することで、相互干渉を回避することができる。
【0060】
以上説明した第1の実施形態は、要約すると、フラグS2を使って、予めアンテナ周辺の対象外タグをB状態に維持し、対象タグの読取りの際も、フラグS2を使って引続き対象外タグのB状態を維持しつつ、フラグS2を使って、対象タグの読取りを行うものである。
【0061】
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の抑止処理の一部を変更したものである。第1実施形態では、店員が取引開始操作をした場合に、抑止処理を直ちに停止するようにした。第2実施形態では、店員の取引開始操作後、フラグS2をフラグS1に切換えて、抑止処理を継続するようにする。
【0062】
図8は、POS処理におけるエリアGとタグの位置関係を示す図である。
図8は、
図6で分けて説明した位置関係の図を1枚にまとめた図である。第2実施形態におけるエリアGとタグの位置関係は、
図6と同様であるので、説明は省略する。
【0063】
図9は、第2実施形態における読取処理の手順を説明するフローチャートである。
図10は、第2実施形態における読取動作を示すタイムチャートである。
【0064】
ステップS100〜ステップS104は、第1実施形態(
図6)と同様であるので、説明は省略する。
【0065】
抑止部222は、店員からの取引開始指示を受けたと判断すると(ステップS102のYES)、S1を指定してセレクトコマンドを発行する(ステップS120)。抑止部222は、取引開始指示により、それ以前の2秒間隔でのフラグS2のセレクトコマンドの発行から、2秒間隔でのフラグS1のセレクトコマンドの発行に切換える(
図10参照)。
【0066】
動作制御部228は、店員からの読取り指示が有ったかを判断する(ステップS122)。読取り指示とは、店員が読取対象(取引対象)を一つ一つ確認した上で、まとめてエリアGの上に置いて、例えばPOS端末装置10の読取ボタン(図示省略)を押下する操作である。POS処理部210は、店員からの読取り指示を受けて、RFIDリーダ制御部220に読取り指示を通知する。
【0067】
動作制御部228が、読取り指示がないと判断すると(ステップS122のNO)、抑止部222は、状態維持時間が到達したかを判断する(ステップS124)。状態維持時間は、2秒である。抑止部222は、状態維持時間が到達していないと判断すると(ステップS124のNO)、ステップS122に戻る。抑止部222は、状態維持時間が到達したと判断すると(ステップS124のYES)、ステップS120に戻る。抑止部222は、フラグS1のB状態を維持するための電源供給として、2秒間隔でダミーアクセス(フラグS1のセレクトコマンドの発行)を行う。
【0068】
動作制御部228は、読取り指示が有ったと判断すると(ステップS122のYES)、抑止部222による動作(フラグS1指定のセレクトコマンド発行)を継続させたまま、通常読取部224の動作を開始する。つまり、対象外タグに対して、電力供給のためだけのダミーのアクセス(フラグS1のセレクトコマンド)を
図4に記載された所定の維持時間内に繰返し発行することにより、対象外タグに電力が供給され、フラグのB状態が継続される。これにより、対象フラグのみを確実に読取ることができる。
【0069】
通常読取部224は、通常の読取処理を行う。ステップS130〜ステップS134の通常の読取処理は、第1実施形態(
図6)と同様である。動作制御部228は、POS処理が完了したと判断すると(ステップS134のYES)、通常読取部224の動作を停止させる。通常読取部224はインベントリコマンドの発行を停止する(
図10参照)。あわせて、動作制御部228は、抑止部222の動作を再開する。抑止部222は、フラグS1のセレクトコマンド(S1)の2秒間隔の発行を停止し、フラグS2のセレクトコマンドの2秒間隔の発行を再開する(
図10参照)。
【0070】
なお、ステップS100及びステップS120のセレクトコマンドは、それぞれインベントリコマンドに代えてもよい。また、第2実施形態と同様に、抑止部222は、動作制御部228からPOS全処理完了の通知を受けた後から、抑止処理(2秒間隔のセレクトコマンドの発行)を再開してもよい。
【0071】
以上説明した第2実施形態の要点は、第1実施形態に対して、取引開始から読取り指示の間の抑止処理で他フラグ(本例ではフラグS1)で中継ぎをすることである。これにより、取引開始から読取り指示の間で切り替えタイミングに余裕を設けることができる。他のフラグによる中継ぎがないと、切換えタイミングの時間に余裕が少なくなって、誤って読取対象を抑止してしまう可能性もあるからである。具体的には、この中継ぎがないと、顧客がカウンタ50まで商品を持ってくる間、つまり、顧客がカウンタ50に近づいてから店員が読取開始をするまでの間で、商品のフラグS2がフラグS2のセレクトコマンドによってB状態、つまり抑止状態になってしまうおそれがあるからである。
【0072】
<第3実施形態>
第3実施形態は、抑止処理時の電波強度を通常の読取処理時の電波強度よりも強くしたものである。
【0073】
図11は、POS処理におけるエリアGとタグの位置関係を示す図である。第3実施形態では、抑止処理時の電波強度を通常の読取処理時の電波強度よりも強くして、抑止処理時の電波範囲であるエリアG2を、通常の読取処理時の電波範囲であるエリアG1よりも大きくする。
【0074】
図12A、
図12Bは、第3実施形態における読取処理の手順を説明するフローチャートである。
図13は、第3実施形態における読取動作を示すタイムチャートである。
図12Aの処理から開始される。
【0075】
図12Aで、対象外タグ抑止処理は、抑止部222と動作制御部228とによって行われる。対象外タグ抑止処理において、抑止部222は、通常の読取処理よりも電波強度を強める設定をする(ステップS200)。例えば、電波強度を通常の読取処理よりも+3dBアップさせる。
【0076】
抑止部222は、客のいない待機時間帯は、フラグS2を指定して2秒以内の間隔で定期的にセレクトコマンドを発行する(ステップS202、
図13参照)。なお、
図13では2秒と表記している。
【0077】
動作制御部228は、店員からの取引開始の指示を受けたかを判断する(ステップS204)。店員は、例えばお客様がカウンタに近づいてきたと判断すると、或いは他の手段(センサー等による検知。図示省略)により、POS端末装置10への入力操作(例えば取引開始操作、
図13参照)を行う。POS処理部210は、店員からの取引開始操作を受けて、RFIDリーダ制御部220に取引開始を通知する。
【0078】
動作制御部228がPOS制御部200から取引開始が通知されていないと判断すると(ステップS204のNO)、抑止部222は、状態維持時間が到達したかを判断する(ステップS206)。状態維持時間は、2秒以内である。抑止部222は、状態維持時間が到達していないと判断すると(ステップS206のNO)、ステップS204に戻る。抑止部222は、状態維持時間が到達したと判断すると(ステップS206のYES)、ステップS202に戻る。つまり、抑止部222は、フラグS2のB状態を維持するために2秒以内の間隔でダミーアクセスする。
【0079】
動作制御部228は、取引開始が通知されたと判断すると(ステップS204のYES)、フラグ変更処理を行う。抑止部222は、フラグS2指定のセレクトコマンドの2秒間隔の発行を停止し、代りにフラグS1指定のセレクトコマンドの2秒以内の間隔の発行を開始する(
図13参照)。
【0080】
抑止部222は、フラグS1を指定してセレクトコマンドを発行させる(ステップS210)。抑止部222は、状態維持時間が到達したかを判断する(ステップS212)。状態維持時間は、2秒以内である。抑止部222は、状態維持時間が到達したと判断すると(ステップS212のYES)、ステップS210に戻る。抑止部222は、フラグS1のB状態を維持するために2秒以内の間隔でダミーアクセス(フラグS1のセレクトコマンドの発行)を行う。
【0081】
抑止部222は、状態維持時間が到達していないと判断すると(ステップS212のNO)、POS全処理完了通知を受けたかを判断する(ステップS214)。POS処理部210は、店員からのPOS全処理完了の操作を受けて、動作制御部228にPOS全処理完了を通知する。POS全処理完了とは商品取引の完了を意味し、例えば、店員が読取処理の終了後に、預合計ボタンを押下操作するとPOS全処理完了が通知される。動作制御部228から、抑止部222と通常読取部224にPOS全処理完了が通知される。POS全処理完了通知は、商品の取引処理完了通知とも呼ぶ。
【0082】
抑止部222は、POS全処理完了通知を受けていないと判断すると(ステップS214のNO)、ステップS212に戻る。抑止部222は、POS全処理完了通知が受けたと判断すると(ステップS214のYES)、ステップS202に戻る。抑止部222は、フラグS1のセレクトコマンド(S1)の2秒以内の間隔の発行を停止し、フラグS2のセレクトコマンドの2秒以内の間隔の発行を再開する(
図13参照)。
【0083】
次に、
図12Bに進む。
図12Bで、通常読取部224は、対象タグの読取処理を行う。通常の読取処理において、通常読取部224は、抑止処理に対して電波強度を弱める設定をする(ステップS220)。例えば、抑止処理の電波強度に比べて−3dBに設定する。
【0084】
通常読取部224は、取引開始通知を受けたかを判断する(ステップS222)。通常読取部224は、取引開始通知がないと判断すると(ステップS222のNO)、ステップS222に戻る。
【0085】
通常読取部224は、取引開始通知を受けたと判断すると(ステップS222のYES)、フラグS2を指定してインベントリコマンドを発行する(ステップS224)。通常の読取処理では、インベントリコマンドは高頻度で発行される(
図13参照)。これにより、フラグS2がA状態のタグのみ、つまり読取り前の対象タグのみが読取られる。
【0086】
通常読取部224は、全てのタグの読取が完了したかを判断する(ステップS226)。通常読取部224は、全てのタグの読取が完了していないと判断すると(ステップS226のNO)、ステップS224に戻る。
【0087】
通常読取部224は、全てのタグの読取が完了したと判断すると(ステップS226のYES)、動作制御部228は、POS処理が完了したかを判断する(ステップS228)。
【0088】
POS処理部210は、POS処理が完了していないと判断すると(ステップS228のNO)、ステップS224に戻る。POS処理部210は、POS処理が完了した判断すると(ステップS228のYES)、POS全処理完了通知を受けたかを判断する(ステップS230)。
【0089】
店員はPOSの全処理が完了したと判断すると、例えばPOS端末装置10の預合計ボタン(不図示)を押下する。POS処理部210は、店員による預合計ボタンの押下を検出すると、RFIDリーダ制御部220にPOS全処理完了を通知する。
【0090】
通常読取部224は、POS全処理完了通知を受けていないと判断すると(ステップS230のNO)、ステップS224に戻る。通常読取部224は、POS全処理完了通知を受けたと判断すると(ステップS230のYES)、インベントリコマンドの発行を終了して、通常の読取処理を終了する(
図13参照)。通常読取部224は、ステップS222に戻り、新たな取引開始通知を待つ。
【0091】
以上の第3実施形態によれば、対象外タグに対して、ダミーのアクセス(フラグS1のセレクトコマンド)を
図4に記載された所定の維持時間内に繰返し発行することにより電力が供給され、フラグのB状態が継続されて、対象フラグを確実に読取ることができる。
【0092】
さらに、第3実施形態では、抑止処理の電波強度を通常の読取処理に比べて強くしたので(例えば通常の読取処理に対して+3dBアップ)、通常の読取処理とは無関係に、且つ通常の読取範囲より広い範囲(直線距離で約1.4倍の範囲)の対象外タグを抑止状態に維持することができる。
【0093】
また、通常の読取処理時の電波強度を対象外タグ抑止処理に比べて弱め(例えば−3dB)にすることにより、読取エリア限界付近の対象外タグの読取りを確実に防止することもできる。なお、周辺の対象外タグの処理は、対象外タグ抑止処理側で独立に(2秒以内の間隔で)実行されているため、通常の読取処理側では2秒サイクルを意識する必要が無く、読取処理完了後もイレギュラー対応等の時間に自由度がある。
【0094】
<第4実施形態>
第4実施形態は、第3実施形態に更に新商品検知処理を加え、電波強度を3段階にした処理である。
図14は、POS処理におけるエリアGとタグの位置関係を示す図である。第4実施形態では、新商品検知処理用の電波範囲としてエリアG3、抑止処理用の電波範囲としてG2エリア、通常の読取処理用の電波範囲としてG1エリアが、それぞれ設定される。
【0095】
G3エリアは、商品を事前に検知するものでカウンタに並ぶ客が一人だけはいるエリアである(後続の人はこの手前で待つ)。G2エリアは、カウンタ上のエリアで、取扱(売上)対象品の他、返却品等の取扱対象外品が置かれる場合もある。G1エリアは、G2のエリアを更に狭めたエリアであって、通常読取用のエリアである。電波範囲のサイズとしては、エリアG1<G2エリア<G3エリアの関係になる。
【0096】
図15A、
図15B、
図15Cは、第4実施形態における読取処理の手順を説明するフローチャートである。
図16は、第4実施形態における読取動作を示すタイムチャートである。
【0097】
以下で、新商品検知処理、抑止処理、通常の読取り処理の3つの処理は、1台のRFIDリーダ20とPOS端末装置10で行われ、それぞれ独立、並行して行われる。
【0098】
図15Aは新商品検知処理の手順である。新商品検知処理は、主に新商品検知部226により行われる。新商品検知部226は、電波強度を大に設定する(ステップS300)。例えば、抑止処理に比べて+3dB、通常の読取処理に比べて+6dBとする。
【0099】
新商品検知部226は、フラグS3指定のインベントリコマンドを比較的高頻度(例えば、0.1秒間隔)で発行させて、新商品の読取りを行う(ステップS302)。新商品検知部226により発行される電波範囲は、
図14のG3エリアとなる。
【0100】
新商品検知処理の電波強度を、抑止処理より大きくする理由は、新商品検知処理で検知したタグが、抑止処理で抑止されて、通常読取処理で読めなくなってしまうことを防ぐためである。
【0101】
新商品検知部226は、新たなタグを検知したかを判断する(ステップS304)。新商品検知部226は、新たなタグを検知していないと判断すると(ステップS304のNO)、ステップS302に戻る。新商品検知部226は、新たなタグを検知したと判断すると(ステップS304のYES)、タグ検知を、抑止部222や通常読取部224に通知する(ステップS306)。
【0102】
図15Bは、抑止処理の手順である。抑止処理は、主に抑止部222により行われる。対象外タグ抑止処理において、抑止部222は、電波強度を中程度に設定をする(ステップS320)。例えば、通常の読取処理の電波強度に比べて、+3dBとする。
【0103】
抑止部222は、客のいない待機時間帯は、フラグS2を指定したセレクトコマンドを2秒間以内の間隔で定期的に発行する(ステップS322、
図16参照)。
【0104】
抑止部222は、G3エリアで新たなタグが検出されたかを判断する(ステップS324)。ステップS306で説明したように、新商品検知部226から抑止部222へ新たなタグ検出が通知される。
【0105】
抑止部222は、G3エリアで新たなタグが検出されていないと判断すると(ステップS324のNO)、状態維持時間が到達したかを判断する(ステップS326)。状態維持時間は、2秒である。抑止部222は、状態維持時間が到達していないと判断すると(ステップS326のNO)、ステップS324に戻る。抑止部222は、状態維持時間が到達したと判断すると(ステップS326のYES)、ステップS322に戻る。抑止部222は、フラグS2のB状態を維持するために2秒間隔でダミーアクセスする。
【0106】
抑止部222は、ステップS306からの通知で、G3エリアで新たなタグが検出されたと判断すると(ステップS324のYES)、フラグ変更処理を行う。抑止部222は、フラグS2指定のセレクトコマンドの2秒間隔の発行を停止し、代りにフラグS1指定のセレクトコマンド(S1)の2秒間隔の発行を開始する(
図16参照)。
【0107】
抑止部222は、S1を指定してセレクトコマンドを発行する(ステップS330)。抑止部222は、状態維持時間が到達したかを判断する(ステップS332)。状態維持時間は、2秒である。抑止部222は、状態維持時間が到達したと判断すると(ステップS332のYES)、ステップS330に戻る。抑止部222は、フラグS1のB状態を維持するために2秒間隔でダミーアクセス(フラグS1のセレクトコマンドの発行)を行う。
【0108】
抑止部222は、状態維持時間が到達していないと判断すると(ステップS332のNO)、POS全処理完了通知を受けたかを判断する(ステップS334)。ステップS214と同様な処理である。
【0109】
抑止部222は、POS全処理完了通知を受けていないと判断すると(ステップS334のNO)、ステップS332に戻る。抑止部222は、POS全処理完了通知が受けたと判断すると(ステップS334のYES)、ステップS322に戻る。抑止部222は、フラグS1指定のセレクトコマンド(S1)の2秒間隔の発行を停止し、フラグS2指定のセレクトコマンドの2秒間隔の発行を再開する(
図16参照)。
【0110】
図15Cに進む。
図15Cは、通常の読取処理の手順である。通常の読取処理は、主に通常読取部224により行われる。通常読取部224は、電波強度を小に設定をする(ステップS340)。例えば、抑止処理の電波強度に比べて、―3dBとする。
【0111】
通常読取部224は、G3エリアで新たなタグが検出されたかを判断する(ステップS342)。ステップS306で説明したように、新商品検知部226から通常読取部224へ新たなタグ検出が通知される。
【0112】
通常読取部224は、G3エリアで新たなタグが検出されていないと判断すると(ステップS342のNO)、ステップS342を繰り返す。通常読取部224は、G3エリアで新たなタグが検出されたと判断すると(ステップS342のYES)、POS取引サービス中であるかを判断する(ステップS344)。通常読取部224は、POS処理部210からの通知によって、POS取引サービス中でないと判断すると(ステップS344のNO)、ステップS352に進む。POS取引サービス中とは、店員が、商品を受取り、受け取った商品のRFIDタグを読取り操作し、読取った表示を確認等している期間である。POSサービス停止中の場合は、本処理は無視される。
【0113】
通常読取部224は、POS取引サービス中であると判断すると(ステップS344のYES)、フラグS2指定のインベントリコマンドを発行する(ステップS346)。通常の読取処理では、インベントリコマンドは高頻度で発行される(
図16参照)。これにより、フラグS2がA状態のタグのみ、つまり読取り前の対象タグのみが読取られる。
【0114】
通常読取部224は、全てのタグの読取が完了したかを判断する(ステップS348)。通常読取部224は、全てのタグの読取が完了していないと判断すると(ステップS348のNO)、ステップS346に戻る。
【0115】
通常読取部224は、全てのタグの読取が完了したと判断すると(ステップS348のYES)、通常読取部224は、POS処理が完了したかを判断する(ステップS350)。POS処理部210は、店員からのPOS処理完了の操作を受けて、RFIDリーダ制御部220にPOS処理完了を通知する。
【0116】
POS処理部210は、POS処理が完了していないと判断すると(ステップS350のNO)、ステップS346に戻る。POS処理部210は、POS処理が完了した判断すると(ステップS350のYES)、POS全処理完了通知を受けたかを判断する(ステップS352)。POS処理部210は、店員による預合計ボタンの押下を検出すると、RFIDリーダ制御部220にPOS全処理完了を通知する。
【0117】
通常読取部224は、POS全処理完了通知を受けていないと判断すると(ステップS352のNO)、ステップS346に戻る。通常読取部224は、POS全処理完了通知を受けたと判断すると(ステップS352のYES)、インベントリコマンドの発行の発行を終了して、通常の読取処理を終了する(
図16参照)。通常読取部224は、ステップS342に戻り、G3エリアで新たなタグが検出されるのを待つ。
【0118】
以上第4実施形態によれば、対象外タグに対して、ダミーのアクセス(フラグS1のセレクトコマンド)を
図4に記載された所定の維持時間内に繰返し発行することにより電力が供給され、フラグのB状態が継続されて、対象フラグを確実に読取ることができる。
【0119】
また、第4実施形態によれば、POS端末装置10に新たに持ち込まれるタグをG3エリアで自動的に検知されるので、店員の負担が軽減される。また、新商品検知エリア(G3エリア)を抑止エリア(G2エリア)より十分に大きくしたので、POS端末装置10に新たに持ち込まれるタグを確実に検知することができる。
【0120】
また、新商品検知処理では、POS端末装置10に近づいたタグを、POS処理される対象タグとして検出する。しかし、POS端末装置10に対象タグでない無関係なタグが近づいた場合にも、新商品検知処理で検知される可能性がある。新商品検知処理で無関係なタグが検知された場合に、それを排除するイレギュラ処理を2例説明する。
【0121】
図17は、第1のイレギュラ処理を説明するタイムチャートである。G3エリアを無関係なタグが一時的に通過する場合がある。この場合には、一旦抑止処理と通常の読取処理に移行するが、通常の読取処理の開始後一定時間以内(例えば、10秒)にG1エリアで新たなタグが検知されない場合には、POS処理部210はタイムアウト処理を行う。店員がタイムアウトを判断して操作してもよい。
【0122】
図18は、第2のイレギュラ処理を説明するタイムチャートである。G3エリア→G2エリア→G1エリアの経路で無関係なタグが一時的に通過した場合である。POS端末装置10が取引中でなければ、POS処理部210が、読取り開始後一定時間経過しても(例えば10秒)読取処理が始まらなければ、当該タグを無関係なタグとしてシステム的に無効とすることで対応できる。また、POS端末装置10が取引中であれば、店員が、画面での現品や数量確認によって、無関係なタグを無効とするようにすれば良い。
【0123】
なお、第4実施形態で、G3エリア用にアンテナ25以外の別のアンテナを使用することで、
図14とは異なる列に客の並び側を集中させることも可能である。
【0124】
〈第5実施形態〉
第1〜第4実施形態によれば、カウンタ50に既に存在するタグは抑止処理により、読取りができない状態になる。しかし、カウンタ50に既に存在し抑止処理されたタグを読取ることが必要な場合もある。第5実施形態は、カウンタ50に存在する抑止処理済のタグを、クリアボックスを利用することで、対象タグとして読取る処理である。なお、以下では、第4実施形態の構成に、フラグクリア処理を適用する例を説明する。
【0125】
図19は、第5実施形態のPOSシステム2の外観図である。POSシステム2は、POSシステム2の基本構成にクリアボックス60を追加した構成の例である。クリアボックス60は、外部からの電波を遮蔽する電波遮蔽ボックスである。
【0126】
クリアボックス60は、カウンタ50の上部のPOS端末装置10横に配置される。クリアボックス60の内部に、第2アンテナ25bが設けられる。RFIDリーダ20には、アンテナ25と第2アンテナ25bが接続される。
【0127】
図20は、POSシステム2のRFIDリーダ制御に関する機能ブロック図である。POSシステム2のRFIDリーダ制御に関する機能ブロック図につき、
図3のPOSシステム1の機能ブロック図と異なる点を主に説明する。
【0128】
RFIDリーダ制御部220は、フラグクリア処理部230を更に有する。フラグクリア処理部230は、クリアボックス60に収納されたRFIDタグのフラグを応答許可状態に切換えるクリア用コマンドをRFIDリーダ20から発行させる。
【0129】
また、RFIDリーダ20には、アンテナ25の他に、第2アンテナ25bが接続される。第2アンテナ25bはクリアボックス60内部に収納される。フラグクリア処理部230は、第2アンテナ25bからクリア用コマンドが発行させるようにRFIDリーダ20に指示する。
【0130】
図21は、電波エリアとタグの位置関係を示す図である。例としてお客様の予約品(2点)がカウンタ上に置かれ(抑止状態)、お客様が商品を受取りに来るケースで説明する。前述のように、第4実施形態をベースにした構成で説明する。G3エリア、G2エリア、G1エリアは、第4実施形態と同じである。
【0131】
そして、第4実施形態で説明したように、G3エリア内に既に存在するRFIDタグのフラグS3は、新商品検知処理によりB状態が維持され、かつ、G2エリア内に既に存在するRFIDタグのフラグS2は、抑止処理によりB状態が維持される。
【0132】
これにより、お客様の予約品(対象タグTc)は既にG3エリア及びG2エリア内に置かれているため、フラグS3では読取(検出)できず、またフラグS2での読取も抑止状態にあることから読取れない状態にある。なお、No1〜No6は、店員の操作手順を順に示す番号である。
【0133】
図22は、フラグクリア処理の手順を説明するフローチャートである。お客様が来店すると、店員はお客様の予約品(対象タグTc)をクリアボックス60に入れて、フラグクリア処理を実行する。RFIDタグフラグクリア処理は、主にフラグクリア処理部230により行われる。
【0134】
店員は、カウンタ50に置いてあるお客様の予約品(対象タグTc)をクリアボックス60内に収納して扉を閉める(
図21のNo1→No2)。フラグクリア処理部230は、クリアボックス60の扉が閉状態であるかを判断する(ステップS400)。クリアボックス60の扉の閉状態は、例えば、クリアボックス60の扉のセンサ(不図示)からの信号により、RFIDリーダ制御部220で扉の開閉が検知される。
【0135】
フラグクリア処理部230は、クリアボックス60の扉が閉状態でないと判断すると(ステップS400のNO)、ステップS400を繰り返す。フラグクリア処理部230は、クリアボックス60の扉が閉状態であると判断すると(ステップS400のYES)、対象タグTcのフラグをB状態からA状態にするためのセレクトコマンドを、RFIDリーダ20の第2アンテナ25bから発行させる。
【0136】
具体的には、フラグクリア処理部230は、S2フラグをクリア(BからA状態)にするセレクトコマンドと、S3フラグをクリア(BからA状態)にするセレクトコマンドを交互に第2アンテナ25bから発行するように、RFIDリーダ20に指示する((ステップS402、
図23参照)。
【0137】
フラグクリア処理部230は、セレクトコマンドの発行を2回実行したかを判断する(ステップS404)。フラグクリア処理部230は、セレクトコマンドの発行を2回実行したと判断すると(ステップS404のYES)、フラグクリア処理を完了する。なお、セレクトコマンドの発行は1回の実行でもよい。本実施形態では、より確実に処理するため、2回実行している。フラグクリア処理部230は、完了通知をPOS処理部210に発行してもよい。
【0138】
次に、店員がクリアボックス60よりお客様の予約品(対象タグTa1)を取出し(
図21のNo3)、読取位置に移動させる(
図21のNo4、No5)。フラグクリア処理以降の処理は、第4実施形態による読取処理がそのまま適用される。この商品状態は通常のお客様が店内に配置された商品をカウンタレジに持ってくるものと同じ状態にある。即ち、G3エリアで新たな商品として検知できると共に、G1エリアでも読める状態にある。
【0139】
具体的には、お客様の予約品(対象タグTa1)は、新商品検知部226によってG3エリアで新しい商品として検知され、これをトリガーに以下の処理が進む。G2エリアにある他の商品はフラグS2からフラグS1に切り替えられて、抑止状態が維持される。お客様の予約品が更にG1エリアに入ることで、取引商品として扱われる。店員は、読取処理後に、お客様の予約品(対象タグTa3)をお客様に渡す(
図21のNo6)。
【0140】
なお、フラグクリア処理の起動方法としては、上述したクリアボックス60の扉閉状態検知以外でも良い。例えば、第1実施形態等の読取処理と同様にPOS端末装置10上に起動スイッチを用意し、起動スイッチ操作によって、RFIDリーダ20にフラグクリア用のセレクトコマンド(ステップS402での説明)を発行させるようにしても良い。あるいは、クリアボックス60を閉めた後の手動操作で、起動させても良い。また、常に上記セレクトコマンドの発行が実行されていても良い。なお、一般的にフラグクリア処理そのものは1秒も掛らない短時間で済む。
【0141】
上記説明では、第5実施形態として、第4実施形態の構成にフラグクリア処理を適用した例を説明した。第4実施形態の構成によれば、G3エリア(フラグS3)での新商品検知が通常の読取処理の開始トリガーであるため(ステップS342での説明)、フラグクリア処理との信号連携等は不要になる。
【0142】
また、第5実施形態として、第1〜3実施形態の構成にフラグクリア処理を適用することも可能である。この場合では「フラグクリア処理完了」を通常の読取処理の開始トリガーにすることで容易に実現できる。また、同じPOS端末装置10、同じRFIDリーダ20からの指示で連携して実現可能となるため構成的にも容易なものとなる。なお、第1〜3実施形態の場合では、フラグクリア処理は、クリアボックス60内で、S2フラグのクリア処理のみ行えば良い。
【0143】
なお、クリアボックス60用のアンテナは、第1〜第4実施形態で使用しているRFIDリーダ20に第2アンテナ25bのみを接続することで良い。
【0144】
以上第5実施形態によれば、クリアボックス60を使用することで、カウンタ50に既に存在し抑止処理された対象タグTcでも、短時間でかつ確実にフラグをクリアして、読取ることができる。
【0145】
対象タグTcをクリア(BからA状態)にする他の方法として、電波の当たらない一般的な(開放的な)環境に一定時間に置くことでも実現はできる。しかし、S2/S3フラグの保持規定2秒以上に対し、実際には数十秒以上かかるものがあると共に、電波の当たらない一般的(開放的)で且つ確実な環境を用意するのは現場では難しくなっている。それに対し、フラグクリア処理によれば1秒と掛からない。
【0146】
なお、各実施形態におけるRFIDリーダ制御部(RFIDリーダ制御装置)220は、ソフトウェア処理で実現される例を説明したが、一部あるいは全部をハードウェアで構成するようにしてもよい。
【0147】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。